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特許7087022人間コンピュータインタフェースシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】人間コンピュータインタフェースシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220613BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 662
G06F3/041 600
G06F3/044 120
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020113821
(22)【出願日】2020-07-01
(62)【分割の表示】P 2018551260の分割
【原出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2020181591
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】62/343,453
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/316,417
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516091916
【氏名又は名称】センセル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SENSEL,INC.
【住所又は居所原語表記】321 Soquel Way,Sunnyvale,California 94085,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ,イリア,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ザラガ,ジョン,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ブローガン
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】モスコヴィッチ,トマー
(72)【発明者】
【氏名】グラウ,アレクサンダー
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-026344(JP,A)
【文献】特表2012-522317(JP,A)
【文献】特開2011-209785(JP,A)
【文献】特開2011-048409(JP,A)
【文献】特開2012-027875(JP,A)
【文献】特開2011-048665(JP,A)
【文献】特開2008-192092(JP,A)
【文献】国際公開第2013/001779(WO,A1)
【文献】特開平11-085380(JP,A)
【文献】特開2015-125666(JP,A)
【文献】特開2002-149312(JP,A)
【文献】特開2012-181833(JP,A)
【文献】特開2015-002853(JP,A)
【文献】特開2012-048407(JP,A)
【文献】米国特許第09019207(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/041-3/047
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムとユーザをインタフェースするためのシステムであって、
・剛性バッキングを含むタッチセンサであって、前記剛性バッキング上に配置された検知電極および駆動電極のペアのアレイを含み、前記検知電極および駆動電極のペアのアレイ上に延びるタッチセンサ面を規定するタッチセンサと、
・前記タッチセンサに結合された振動子であって、
前記タッチセンサ面に平行な平面内で前記タッチセンサを振動させ、
前記タッチセンサの表面に接している物体に対して前記タッチセンサの表面を振動させるように構成された振動子と、
・シャーシと、
・前記剛性バッキングに組み込まれた屈曲部を有するカプラであって、当該カプラが、前記タッチセンサと前記シャーシとの間に介装され、前記振動子の作動中に、前記タッチセンサ面に平行な、前記シャーシに対する前記タッチセンサの変位を吸収するように構成され、前記屈曲部が前記シャーシに対して相対的に移動することにより、前記タッチセンサ面が前記シャーシに対して横方向および縦方向にシフトすることを可能にするように構成されたカプラと、
・コントローラとを備え、
前記コントローラが、
-前記タッチセンサの第1の検知電極と駆動電極のペア間の第1の抵抗変化に基づき、第1の時間において、前記タッチセンサ面上への第1の入力の印加および前記第1の入力の第1の力の大きさを検出し、
-前記第1の力の大きさが第1の閾値の大きさを超えることに応答して、前記振動子を駆動して前記シャーシ内で前記タッチセンサを振動させることによって、第1のクリックサイクルを実行し、
-ほぼ第1の時間に、前記タッチセンサ面上の前記第1の入力の第1の位置および前記第1の力の大きさを示す第1のタッチ画像を出力する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、
・前記第1の検知電極と駆動電極のペア間の第2の抵抗変化に基づき、前記第1の時間に続く第2の時間において、前記タッチセンサ面からの前記第1の入力の後退および前記第1の入力の第2の力の大きさを検出し、
・前記第2の力の大きさが、前記第1の閾値の大きさより小さい第2の閾値の大きさを下回ることに応答して、第2のクリックサイクルを実行する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、
・前記振動子を第1の振動周波数で駆動することによって、第1のクリックサイクルを実行し、
・前記第1の振動周波数よりも大きい第2の振動周波数で前記振動子を駆動することによって、第2のクリックサイクルを実行する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、
・前記タッチセンサ面上の第1の入力の第1の入力領域を検出し、
・前記第1の入力領域および前記第1の力の大きさに基づいて、前記第1の入力の第1の圧力を計算し、
・前記第1の圧力が前記第1の閾値の大きさを超えることに応答して、第1のクリックサイクルを実行する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、
・前記第1の閾値の大きさと、前記第1の位置を含む前記タッチセンサ面の第1の領域に割り当てられた第1のコマンドとにアクセスし、
・前記第1の閾値の大きさを超える第1の力の大きさの前記タッチセンサ面への第1の入力の印加を検出することに応答して、ほぼ第1の時間に第1のコマンドを出力し、
・前記タッチセンサの第2の検知電極と駆動電極のペア間の第2の抵抗変化に基づき、第2の時間において、前記タッチセンサ面上への第2の入力の印加および前記第2の入力の第2の力の大きさを検出し、
・前記第1の閾値の大きさよりも大きい第2の閾値の大きさにアクセスするとともに、第2の位置を含む前記タッチセンサ面の第2の領域であって、前記第1の領域とは異なる第2の領域に割り当てられた第2のコマンドにアクセスし、
・前記第2の閾値の大きさを超える第2の力の大きさの前記タッチセンサ面への第2の入力の印加を検出することに応答して、ほぼ第2の時間に前記第2のコマンドを出力する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、
・キーボード表面を規定する前記タッチセンサ面の第1の領域に割り当てられたキーストローク入力を規定する前記第1のコマンドのために、ユーザにより設定された前記第1の閾値の大きさにアクセスし、
・トラックパッド面を規定する前記タッチセンサ面の第2の領域に割り当てられた左クリック入力を表す前記第2のコマンドのために、ユーザにより設定された前記第2の閾値の大きさにアクセスする
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、前記第1のクリックサイクル中に、前記第1の時間の直後の第2の時間に、前記第1の入力が前記タッチセンサ面に印加されている間に、前記振動子の作動を開始するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、前記第1のクリックサイクル中に、約250ミリ秒間、方形波信号で前記振動子を駆動するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・前記シャーシが、モバイルコンピューティングデバイスのハウジングを備えるとともに、前記シャーシの空洞によって規定されるレセプタクルを備え、
・前記カプラが、前記レセプタクル内に前記タッチセンサを配置し、
・前記タッチセンサ面が、前記レセプタクルの縁部から内側に間隔を空けて配置されるトラックパッド面を規定し、それによりギャップを形成することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・前記シャーシが、モバイルコンピューティングデバイスのハウジングを備えるとともに、レセプタクルを規定し、
・前記カプラが、前記レセプタクル内に前記タッチセンサを配置し、
・前記コントローラが、前記第1のクリックサイクル中に、前記振動子を駆動して前記レセプタクル内で前記タッチセンサを振動させるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、
・前記振動子が、前記タッチセンサ面の第1の領域の下に配置され、
・前記タッチセンサ面の第1の領域に隣接しかつ第1の領域とは別個の前記タッチセンサ面の第2の領域の下に配置された第2の振動子をさらに備え、
・前記コントローラが、
-前記タッチセンサ面の第1の領域内に含まれる第1の位置における前記第1の入力の印加の検出に応答して、前記振動子を駆動して前記シャーシ内で前記タッチセンサを振動させることによって、第1のクリックサイクルを実行し、
-前記タッチセンサの第2の検知電極と駆動電極のペア間の第2の抵抗変化に基づき、第2の時間において、前記タッチセンサ面上への第2の入力の印加および前記第2の入力の第2の力の大きさを検出し、
-前記タッチセンサ面の第2の領域内に含まれる第2の位置における前記第2の入力の印加の検出に応答して、前記第2の振動子を作動させて前記シャーシ内で前記タッチセンサを振動させることによって、第2のクリックサイクルを実行するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
システムであって、
・剛性バッキングを含むタッチセンサであって、前記剛性バッキング上に配置された検知電極および駆動電極のペアのアレイを含み、前記検知電極および駆動電極のペアのアレイ上に延びるタッチセンサ面を規定するタッチセンサと、
・前記タッチセンサに結合された振動子であって、
前記タッチセンサ面に平行な平面内で前記タッチセンサを振動させ、
前記タッチセンサの表面に接している物体に対して前記タッチセンサの表面を振動させるように構成された振動子と、
・前記剛性バッキングに組み込まれた屈曲部を有するカプラであって、当該カプラが、前記タッチセンサと前記シャーシとの間に介装され、前記振動子の作動中に、前記タッチセンサ面に平行な、前記シャーシに対する前記タッチセンサの変位を吸収するように構成され、前記屈曲部が前記シャーシに対して相対的に移動することにより、前記タッチセンサ面が前記シャーシに対して横方向および縦方向にシフトすることを可能にするように構成されたカプラと、
・コントローラとを備え、
前記コントローラが、
-前記タッチセンサの第1の検知電極と駆動電極のペア間の第1の電気量変化に基づき、第1の時間において、前記タッチセンサ面上への第1の入力の印加および前記第1の入力の第1の力の大きさを検出し、
-前記第1の力の大きさが第1の閾値の大きさを超えることに応答して、前記振動子を作動させることによって、第1のクリックサイクルを実行し、
-前記第1の検知電極と駆動電極のペア間の第2の電気量変化に基づき、前記第1の時間に続く第2の時間において、前記タッチセンサ面からの前記第1の入力の後退および前記第1の入力の第2の力の大きさを検出し、
-前記第2の力の大きさが、前記第1の閾値の大きさより小さい第2の閾値の大きさを下回ることに応答して、前記振動子を作動させることによって、第2のクリックサイクルを実行する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、
・前記振動子を第1の振動周波数で駆動することによって、第1のクリックサイクルを実行し、
・前記第1の振動周波数よりも大きい第2の振動周波数で前記振動子を駆動することによって、第2のクリックサイクルを実行する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムにおいて、
-シャーシであって、当該シャーシの空洞によって規定されるレセプタクルを備えるシャーシをさらに備え、
・前記タッチセンサ面が、前記レセプタクルの縁部から内側に間隔を空けて配置されるトラックパッド面を規定し、それによりギャップを形成することを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してタッチセンサの分野に関し、より詳細には、タッチセンサの分野における新規かつ有用な人間コンピュータインタフェースシステムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年3月31日出願の米国仮出願第62/316,417号および2016年5月31日出願の米国仮出願第62/343,453号の利益を主張するものであり、それらは全体が引用により援用される。
【0003】
本願は、2014年9月26日出願の米国特許出願第14/499,001号に関連するものであり、その全体が引用により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、システムの概略図である。
図2図2は、システムの一変形例の概略図である。
図3図3は、方法のフローチャートである。
図4図4は、方法の一変形例のフローチャートである。
図5図5Aおよび図5Bは、システムの一変形例の概略図である。
図6図6は、システムの一変形例の概略図である。
図7図7は、システムの一変形例の概略図である。
図8図8Aおよび図8Bは、方法の変形例のフローチャートである。
図9図9Aおよび図9Bは、システムの変形例の概略図である。
図10図10Aおよび図10Bは、方法の変形例の概略図である。
図11図11は、システムの一変形例の概略図である。
図12図12は、システムの一変形例の概略図である。
図13図13A図13Hは、システムの変形例の概略図である。
図14図14は、方法の一変形例の概略図である。
図15図15A図15Fは、システムの変形例の概略図である。
図16図16は、システムの一変形例の概略図である。
図17図17Aおよび図17Bは、システムの変形例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の本発明の実施形態の説明は、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図したものではなく、当業者が本発明を実施および使用できるようにすることを意図したものである。本明細書に記載の変形例、構成、実施例、例示的実施形態および例は任意選択的であり、それらが説明する変形例、構成、実施例、例示的実施形態および例のみに限定されるものではない。本明細書に記載の発明は、それらの変形例、構成、実施例、例示的実施形態および例のうちの何れかおよびすべての入れ替えを含むことができる。
【0006】
1.システムと方法
図1および図2に示すように、人間コンピュータインターフェースシステム(以下、「システム」と称する)は、タッチセンサ110、ハウジング160、オーディオドライバ140(以下、「スピーカ」と称する)、振動子120およびコントローラ150を含む。タッチセンサ110は、基板上にわたってパターン化された検知電極(sense electrode)および駆動電極(drive electrode)のペア116のアレイと、検知電極および駆動電極のペアと接触する状態で基板上に配置された抵抗層とを含み、この抵抗層が、基板と反対側のタッチセンサ面112を規定するとともに、タッチセンサ面112に加えられる力の大きさの変化に応じて局所的バルク抵抗の変化を示す材料を規定する。ハウジング160は、タッチセンサ110に結合され、スピーカおよび振動子120を収容する。コントローラ150は、閾値の力の大きさを超える力がタッチセンサ面112上に加えられることに応答して、クリックサイクル中に、スピーカを起動してクリック音を再生させるとともに、振動子120を起動してハウジング160を振動させるように構成され、かつ、閾値の力の大きさを超える力がタッチセンサ面112上に加えられることに応答して、コマンドを出力するように構成されている。
【0007】
システムの一変形例は、タッチセンサ面114を含むタッチセンサ110であって、タッチセンサ面114上にわたって配置された検知電極および駆動電極のペア116のアレイを有し、検知電極および駆動電極のペア116のアレイ上に延びるタッチセンサ面112を規定するタッチセンサと、タッチセンサ110に結合された振動子120であって、タッチセンサ面112と平行な面内で質量体を振動させるように構成された振動子と、シャーシ130に結合されたオーディオドライバ140と、コントローラ150とを含む。この変形例において、コントローラ150は、タッチセンサ110の第1の検知電極および駆動電極のペア間の第1の抵抗変化に基づき、第1の時間において、タッチセンサ面112への第1の入力の印加(application)および第1の入力の第1の力の大きさを検出し;第1の力の大きさが第1の閾値の大きさを超えることに応答して、振動子120を駆動するとともに、オーディオドライバ140を起動してクリック音を出力することによって、第1のクリックサイクルを実行し;第1の検知電極と駆動電極のペア間の第2の抵抗変化に基づき、前記第1の時間に続く第2の時間において、タッチセンサ112面からの第1の入力の後退(retraction)および第1の入力の第2の力の大きさを検出し;第2の力の大きさが、第1の閾値の大きさより小さい第2の閾値の大きさを下回ることに応答して、振動子120を駆動するとともに、オーディオドライバ140を起動してクリック音を出力することによって、第2のクリックサイクルを実行するように構成されている。
【0008】
図8Aに示すように、一変形例では、システムが、タッチセンサ面112上の入力に応答する方法S100を実行し、この方法が、ブロックS110において、第1の時間に、タッチセンサ面112上への第1の入力の印加および第1の入力の第1の力の大きさを検出するステップと、ブロックS120において、第1の力の大きさが第1の閾値の大きさを超えることに応答して、第1のクリックサイクル中にタッチセンサ面112に連結された振動子120を作動させるとともに、第1のクリックサイクル中にタッチセンサ面112近傍のオーディオドライバ140を起動してクリック音を出力するステップと、ブロックS112において、第1の時間に続く第2の時間に、タッチセンサ面112からの第1の入力の後退および第1の入力の第2の力の大きさを検出するステップと、ブロックS122において、第2の力の大きさが、第1の閾値の大きさよりも小さい第2の閾値の大きさを下回ることに応答して、第1のクリックサイクルとは異なる第2のクリックサイクル中に振動子120を作動させるとともに、第2のクリックサイクル中にオーディオドライバ140を起動してクリック音を出力するステップとを含む。
【0009】
1.1 アプリケーション
概して、システムは、(人間の)ユーザによる入力を検出し、それら入力を機械可読コマンドに変換し、それらコマンドをコンピューティングデバイスに伝達し、入力が検出されたことを示すフィードバックをユーザに与える人間コンピュータインタフェースデバイスとして機能する。具体的には、システムは、入力を検出するタッチセンサ110と、フィードバックをユーザに与えるハプティックフィードバックモジュール(例えば、スピーカおよび振動子120)と、タッチセンサ110で検出された入力に基づいて、コンピューティングデバイスにコマンドを出力するコントローラ150であって、ハプティックフィードバックモジュールを介してハプティックフィードバックをトリガするコントローラとを含み、システムは、タッチセンサ面112上の入力を検出して応答するための方法のブロックを実行することができる。
【0010】
一実施例において、システムは、コンピューティングデバイスに接続されたときに、閾値力(または圧力)の大きさを超えるタッチセンサ面112上のタッチ入力に応答して、クリックイベントをコンピューティングデバイスに伝達するハンドヘルドコンピュータポインティングデバイス(または「マウス」)を規定することができる。この実施例では、システムは、そのようなタッチ入力に応答して、聴覚的および振動的(以下「ハプティック」と称する)フィードバックをユーザに発して、押下または解放されるときの機械的スナップボタンの聴覚および触覚応答を模倣することができる。具体的には、システムは、タッチセンサ面112に印加された入力が第1の閾値力(または圧力)の大きさを超えたときに、振動子120を作動させるとともに、オーディオドライバ140を起動してクリック音を出力し、それにより機械的ボタンが押下されるときの触覚感覚および可聴音を再現することができ、その後、タッチセンサ面112上の同入力が持ち上げられて第1の閾値の大きさより小さい第2の閾値未満となったときに、振動子120を作動させるとともに、オーディオドライバ140を起動して(より低い周波数の)クリック音を出力し、それにより、押下された機械的ボタンが解放されるときの触覚感覚および可聴音を再現することができる。このため、システム自体は、外部の動く部品または表面(例えば、ボタン)を有していない実質的に固定されたエキソ構造を規定するにもかかわらず、当該システムは、ボタンが押下および解放された触感をユーザに提供することができる。さらに、この実施例では、システムは、動きセンサ170(例えば、光学的または機械的動きセンサ170)を含むことができ、コントローラ150は、動きセンサ170により検出された隣接面に対するシステムの動きに基づいて、カーソルの移動ベクトルまたは他のコマンドを出力することができる。
【0011】
上記実施例において、システムは、システムが面上に置かれる向きまたはユーザの手に保持される向きに基づいて、リモートコントローラ150またはゲームパッドとして機能するように、再構成可能であってもよい。特に、システムは、その長さおよび幅の全部または一部にわたるタッチセンサ面112を規定することができ、コントローラ150は、システムの現在の機能に基づいて、異なるコマンド、ジェスチャおよび他の出力タイプをタッチセンサ面112の別個のサブ領域にマッピングすることができる。さらに、システムは、様々な構成におけるタッチセンサ面112の様々なサブ領域上の入力に応じて、ハプティック(例えば、可聴および触覚)フィードバックを選択的に出力することができ、それにより、機械的変更をデバイスに加えることなく、単一デバイスで機械的スナップボタンの複数の組合せおよび配置構成を模倣することができる。
【0012】
本明細書では、システムは、ユーザ入力を検出し、ユーザ入力に応答してユーザにハプティックフィードバックを提供し、それらユーザ入力に基づいて、接続されたコンピューティングデバイスにコマンドを出力するスタンドアロンの人間コンピュータインタフェースコンポーネントとして説明されている。しかしながら、システムは、以下に説明するようにコンピューティングデバイスに統合されるものであってもよく、あるいは他の方法で1または複数のコンピューティングデバイスと連動するものであってもよい。
【0013】
1.2 タッチセンサ
図1および図2に示すように、タッチセンサ110は、基板(例えば、ガラス繊維PCB)にわたってパターン化された検知電極および駆動電極のペア116のアレイと、検知電極および駆動電極のペア(または「センサ素子」)と接触するように基板上に配置され、上のカバー層に加えられる力の変化に応じて局所的なバルク抵抗および/または局所的な接触抵抗の変化を示す力感知材料を規定する力感知層とを含む。米国特許出願第14/499,001号に記載されているように、抵抗性タッチセンサ110は、基板にわたってパターン化された、互いに組み合わされた駆動電極と検知電極のグリッドを含むことができる。力感知層は、基板にわたって、各検知電極および駆動電極のペア間のギャップに跨り、それにより、局所的な力がカバー層に加えられたときに、その加えられた力の大きさに、隣接する駆動電極および検知電極のペア間の抵抗が比例(例えば、直線的に比例、反比例、二次的に比例など)して変化するようになっている。以下に述べるように、コントローラ150は、タッチセンサ110内の各駆動電極および検知電極のペア間の抵抗値を読み取ることができ、それらの抵抗値を、カバー層に印加される1または複数の別個の力入力の位置および大きさに変換することができる。
【0014】
一実施例では、システムは、硬質PCB(例えば、ガラス繊維PCB)の形態のような硬質基板またはタッチセンサ面114上のPCB(例えば、アルミニウムバッキングプレート)を含み、駆動電極および検知電極の横列および縦列が、基板の上面にわたってパターン化されて、センサ素子のアレイを形成する。力感知層は、センサ素子のアレイの上に取り付けられ、その外周の周りに基板が接続されている。代替的には、システムは、可撓性PCBなどの可撓性基板を含むことができ、可撓性PCB上にセンサ素子を加法的または減法的に作製することができる。しかしながら、このシステムは、他の任意の方法または技術に従って他の任意のやり方で作製することができる。
【0015】
1.3 コントローラ
概して、コントローラ150は、ブロックS110、S112において、タッチセンサ110を駆動し、スキャンサイクル中に駆動電極と検知電極との間の抵抗値を読み取り、タッチセンサ110からの抵抗データをタッチセンサ110上の力入力の位置および大きさに変換するように機能する。また、コントローラ150は、2以上のスキャンサイクルにわたって検知された力の位置および/または大きさをジェスチャ(図10Bに示す)、カーソルの移動ベクトル(図10Aに示す)または他のコマンドに変換して、そのようなコマンドを、有線接続または無線接続などを介して接続されたコンピューティングデバイスに出力するように機能することもできる。例えば、コントローラ150は、システム内のメモリに記憶された予めプログラムされたコマンド機能にアクセスすることができ、そのようなコマンド機能には、接続されたコンピューティングデバイスにより読み取り可能なマウスおよびキーボードの値の組合せが含まれ、それにより、後述するように、例えば、仮想カーソルを移動させ、テキスト文書をスクロールし、ウィンドウを拡大し、あるいはウィンドウ内で2Dまたは3Dの仮想グラフィックリソースを平行移動および回転させることができる。
【0016】
一実施例では、コントローラ150は、米国特許出願第14/499,001号に記載されているように、アレイカラムドライバ(ACD)、カラムスイッチングレジスタ(CSR)、カラム駆動源(CDS)、アレイローセンサ(ARS)、ロースイッチングレジスタ(RSR)およびアナログ・デジタル変換器(ADC)を含む。この実施例では、タッチセンサ110は、可変インピーダンスアレイ(VIA)を含むことができ、この可変インピーダンスアレイが、ACDに結合された相互接続されたインピーダンスカラム(IIC)と、ARSに結合された相互接続されたインピーダンスロー(IIR)とを規定する。抵抗スキャン期間中、ACDはCSRを介してIICを選択して、IICをCDSで電気的に駆動することができ、VIAは、駆動されるIICから、ARSにより検知されたIICに電流を伝達することができ、ARSは、タッチセンサ110内のIIRを選択して、RSRを介してIIRの状態を電気的に検知することができ、コントローラ150は、ARSからの検知した電流/電圧信号を付け加えて、単一のサンプリング期間中の抵抗スキャン期間において、タッチセンサ110上の個別の力入力の近接、接触、圧力および/または空間位置の実質的に正確な検出を達成することができる。
【0017】
例えば、タッチセンサ110の駆動電極の横列を直列に接続することができ、同様に、抵抗性タッチセンサ110の検知電極の縦列を直列に接続することができる。サンプリング期間中、コントローラ150は、ブロックS110において、他のすべての横列の駆動電極をフローティングさせる間に、第1の横列の駆動電極を基準電圧に駆動し、他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、第1の縦列の検知電極の電圧を検知し、他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、第2の縦列の検知電極の電圧を検知し、・・・他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、最後の縦列の検知電極の電圧を検知し、他のすべての横列の駆動電極をフローティングさせる間に、第2の横列の駆動電極を基準電圧に駆動し、他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、第1の縦列の検知電極の電圧を検知し、他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、第2の縦列の検知電極の電圧を検知し、・・・他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、最後の縦列の検知電極の電圧を検知し、・・・最後に、他のすべての横列の駆動電極をフローティングさせる間に、最後の横列の駆動電極を基準電圧に駆動し、他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、第1の縦列の検知電極の電圧を検知し、他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、第2の縦列の検知電極の電圧を検知し、・・・他のすべての縦列の検知電極をフローティングさせる間に、最後の縦列の検知電極の電圧を検知することができる。このため、コントローラ150は、ブロックS110において、抵抗性タッチセンサ110の横列の駆動電極を順次駆動することができ、抵抗性タッチセンサ110の縦列の検知電極から抵抗値(例えば、電圧)を順次読み取ることができる。
【0018】
このため、コントローラ150は、ブロックS110において、サンプリング期間中に駆動電極および検知電極のペア(または「センサ素子」)をスキャンすることができる。その後、コントローラ150は、ブロックS130において、1つのサンプリング期間中にタッチセンサ110から読み取った抵抗値を、タッチセンサ面112に加えられる力(または圧力)の位置および大きさを示す単一のタッチ画像にマージすることができる。コントローラ150は、ブロックS130において、(例えば、ブロブ検出を実行してタッチ画像を処理することにより)タッチセンサ面112上の個別の入力領域を特定し、入力領域にわたって加えられる全体の力に基づいて、入力領域上の圧力の大きさを計算し、個別の入力領域に対応する入力タイプ(例えば、指、スタイラス、手のひらなど)を特定し、個別の入力領域を様々なコモンに関連付け、かつ/または、圧力の大きさ、入力タイプ、コマンドなどを用いて、タッチ画像の個別の入力領域を分類することもできる。コントローラ150は、このプロセスを繰り返して、システムの動作中の各サンプリング期間中に(分類された)タッチ画像を生成することができる。
【0019】
1.4 ハプティックフィードバックモジュール
システムは、ハプティックフィードバックモジュールを含み、それには、図1および図3に示すように、ハウジング160内に配置された振動子120およびスピーカが含まれる。通常は、閾値力(または閾値圧力)を超えるタッチセンサ面112上のタッチ入力に応答して、コントローラ150は、ブロックS120において、振動子120を起動して振動信号を出力すると同時に、スピーカを起動して可聴信号を出力し、機械的なスナップボタンの操作の感触および音をそれぞれ模擬することができる(以下「クリックサイクル」と称する)。
【0020】
振動子120は、振動線形アクチュエータ、線形共振アクチュエータ上の質量体、回転アクチュエータ上の偏心質量体、振動ダイアフラム、圧電アクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータまたは他の任意の適切なタイプの振動アクチュエータ上の質量体を含むことができる。振動子120は、共振周波数(例えば、自然周波数)を呈することができ、コントローラ150は、クリックサイクル中にアクチュエータがこの共振周波数で振動するように起動することができる。例えば、システムに最初に電源が投入されると、コントローラ150は、テストルーチンを実行することができ、それには、振動子120を低周波数から高周波数にランピングすること、低周波数と高周波数との間の共振周波数を検出すること、並びに、この共振周波数を現在の使用セッション中の振動子120の動作周波数として記憶することが含まれる。振動子120は、ハウジング160の底面とタッチセンサ110との間のハウジング160内に配置することができる。例えば、タッチセンサ110は、PCBの第1の面にわたってパターン化された検知電極および駆動電極のペア116のアレイを含むことができ、振動子120は、PCBの反対側の面の中心近傍に配設することができる。
【0021】
ハプティックフィードバックモジュールは、複数の振動子を含むこともでき、例えば、タッチセンサ面112の各半分または各象限の下にそれぞれ1つずつ振動子を配置することができる。この実施例では、コントローラ150が、クリックサイクル中にセット内のすべての振動子を作動させることができる。代替的には、コントローラ150は、現在のスキャンサイクルと最後のスキャンサイクルとの間でタッチ面で検出された最新のタッチ入力の重心に最も近い単一の振動子120など、クリックサイクル中に振動子の1つまたはサブセットを選択的に作動させることができる。しかしながら、ハプティックフィードバックモジュールは、他の任意の構成の他の任意の数の振動子を含むことができ、クリックサイクル中に他の1または複数の振動子を作動させることができる。
【0022】
ハプティックフィードバックモジュールは、クリックサイクル中に「クリック」音を置き換えるように構成されたスピーカ(またはブザーまたは他のオーディオドライバ)も含む。また、一実施例では、ハウジング160は、スピーカグリル、例えば、タッチセンサ面112とは反対側のハウジング160の底面の領域にわたる開口領域または穿孔の形態であるスピーカグリルであって、スピーカにより出力される音をハウジング160の外部に伝達するためのスピーカグリルと、図5Aおよび図5Bに示すように、隣接面によりスピーカから出力される音の減衰を制限するために、スピーカグリルとシステムを配置する平坦面との間のオフセット(例えば、0.085インチの)ギャップを維持するように機能する底面上のパッド162(または「脚部」)のセットとを含む。特に、このシステムは、タッチセンサ110、振動子120、オーディオドライバ140およびコントローラ150を含むハウジング160であって、オーディオドライバ140に隣接しかつタッチセンサ面112とは反対側を向くスピーカグリルを規定するハウジングと、1または複数のパッドとを含むことができ、各パッドが、タッチセンサ面112とは反対側にハウジング160から延び、テーブル面に沿ってスライドするように構成されたベアリング面を規定し、かつ目標ギャップ距離だけテーブル面の上方にスピーカグリルをオフセットするように構成されている。このため、システムを実質的に平坦な面に置くと、スピーカとスピーカグリルが協働して、ハウジング160の底面と隣接する面との間で反射される音を出力することができ、この音は、ハウジング160から横方向および縦方向に外側に分散することができ、その結果、ユーザは、システムに対する自身の向きに実質的に関係なく、この音を聴覚的に知覚することができる。代替的には、ハウジング160は、その側部を横断する、タッチセンサ面112に隣接する上面を横断する、あるいはその他の位置または向きで横断する、1または複数のスピーカグリルを規定することができる。さらに代替的には、ハプティックフィードバックモジュールはスピーカキャビティを含むことができ、このスピーカキャビティは、スピーカが駆動されてシステムから「クリック」音を出力するときに、スピーカとともに振動する。
【0023】
1.5 ハプティクス
閾値力(または圧力)の大きさを超えるタッチセンサ面112上のタッチ入力に応答して、コントローラ150は、図3に示すように、「クリックサイクル」において振動子120およびオーディオドライバ140の両方を実質的に同時に駆動して、機械的なスナップボタンの操作を触覚的かつ聴覚的に模倣する。例えば、そのようなタッチ入力に応答して、コントローラ150は、スピーカにより「クリック」音バイトを同時に再生しながら、モータドライバを起動して、目標クリック持続時間(例えば、250ミリ秒)振動子120を方形波で駆動することができる。クリックサイクルの間、コントローラ150は、クリックサイクル中に特定のハプティック応答を達成するために、例えば、+/-50ミリ秒、振動ルーチンに対するクリック音バイトの再生を遅延させるか、またはリードすることもできる。
【0024】
さらに、クリックサイクルの間、コントローラ150は、ブロックS112において、振動子120がピーク出力パワーまたはピーク振動振幅に到達する時間に対応する「オンセット時間」だけ、クリックサイクルの音および振動成分を同じイベントに対応するものとして人間が知覚することができる最大時間(例えば、数ミリ秒)の範囲内において、スピーカにより出力される音を遅らせることができる。例えば、10ミリ秒のオンセット時間によって特徴付けられる振動子120の場合、コントローラ150は、クリックサイクル中に振動子120を起動した後、5-10ミリ秒だけ、スピーカによる音の出力を遅延させることができる。このため、ブロックS110において、コントローラ150が第1の時間にタッチセンサ面112上の第1の閾値力(または圧力)の大きさを超える力の印加を検出したときに、コントローラ150は、ブロックS120において、第1の時間の直後の第2の時間(例えば、第1の時間の50ミリ秒以内、かつタッチセンサ面112への第1の入力の印加中)に、振動子120の作動を開始し、振動子120が最小振動振幅に達する振動子120のオンセット時間に相当する遅延時間(例えば、10ミリ秒)だけ第2時間よりも後の第3時間に、オーディオドライバ140の作動を開始することができる。
【0025】
上述したように、コントローラ150は、ブロックS120において、1または複数のプリセットパラメータを満たすか又は超えるタッチセンサ面112上のタッチ入力に応答してクリックサイクルを実行することができる。例えば、コントローラ150は、機械的マウスボタン(または後述する機械的トラックパッドボタンまたはスナップドーム)を押すのに必要な共通の力または圧力に対応する閾値力または圧力を超えるタッチセンサ面112上のタッチ入力の検出に応答して、クリックサイクルを開始することができる。このため、コントローラ150は、タッチセンサ面112上の検出されたタッチ入力の圧力を、予め設定された固定の力または圧力閾値と比較して、入力を識別し、または明らかにすることができる。
【0026】
代替的には、コントローラ150は、システムに接続されたコンピューティングデバイス上で実行されるグラフィカルユーザインターフェースを介して設定される、例えば、(より低い圧力閾値に対応する)より高い入力感度に対するユーザの好みまたは(より高い圧力閾値に対応する)より低い入力感度に対するユーザの好みに基づいて、ユーザがカスタマイズした圧力閾値を実施することができる。この実施例では、システムは、(接続または一体化された)コンピューティングデバイスを介してアクセス可能な仮想制御パネルによりユーザに設定された、カスタムスピーカ音量、カスタム振動子振動周波数または振幅、カスタム振動子波形および/または他のカスタムハプティックパラメータを追加的に記録することができる。代替的には、それらのパラメータは製造者が設定することができ、かつソフトウェア更新によって製造者が調整することができる。別の実施例では、コントローラ150は、後述するように、例えばシステムの現在のモードまたは向きに基づいて、タッチセンサ面112を2以上のアクティブ領域および/または非アクティブ領域に分割することができ、コントローラ150は、タッチセンサ面112の非アクティブ領域上の入力を捨てることができ、タッチセンサ面112のアクティブ領域内に十分な大きさのタッチ入力が検出されたときにクリックサイクルを開始することができる。
【0027】
この実施例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112の個別の領域に固有の閾値力(または圧力)の大きさを付加的または代替的に割り当てて、その割り当てた閾値の大きさを超えるタッチセンサ面112の様々な領域上の力(または圧力)の印加に応答して、共通のハプティックフィードバックモジュールによるクリックサイクルを選択的に実行することができる。例えば、コントローラ150は、タッチセンサ面112の左クリック領域に第1の閾値の大きさを割り当てるとともに、タッチセンサ面112上の異常な右クリックを拒絶するために、タッチセンサ面112の右クリック領域に、第1の閾値の大きさよりも大きい第2の閾値の大きさを割り当てることができる。また、この実施例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112上の異常なスクロール入力を拒絶するために、第1の閾値の大きさよりも大きい第3の閾値の大きさをタッチセンサ面112の中央スクロール領域に割り当てるが、スクロールイベントを持続させるために、第1の閾値の大きさよりも小さい第4の閾値の大きさに中央スクロール領域をリンクすることができる。
【0028】
1.6 標準クリックおよびディープクリック
一変形例では、コントローラ150は、図8Bおよび図10Cに示すように、第1の力の大きさを超えるが第2の力閾値未満のままである力の印加(以下「標準クリック入力」と称する)に応答して、ブロックS110およびS120において「標準的なクリックサイクル」を実行し、第2の力閾値を超える力の印加(以下「ディープクリック入力」と称する)に応答して、ブロックS114およびS124において「ディープクリックサイクル」を実行する。この変形例では、ディープクリックサイクル中、コントローラ150は、ディープクリック入力が検出および処理されたことを触覚的にユーザに示すために、振動子120を長時間(例えば、750ミリ秒)にわたって駆動することができる。また、コントローラ150は、ディープクリックサイクル中に、スピーカを非アクティブにしたり、あるいはスピーカを長時間にわたって駆動することもできる。一実施例では、コントローラ150は、標準クリック入力に応答して、左クリックマウス制御機能(または後述するように、左クリックトラックパッド制御機能)を出力することができ、ディープクリック入力に応答して、右クリックマウス制御機能を出力することができる。このため、システムは、タッチセンサ面112上の異なる力の大きさの入力を検出し、入力のタイプをその大きさに基づいて入力に割り当て、入力の割り当てたタイプに基づいて振動子120およびスピーカにより異なるハプティックフィードバックを提供し、入力の割り当てたタイプに基づいて異なる制御機能を出力することができる。
【0029】
一実施例では、コントローラ150は、ブロックS110において、タッチセンサ面112下方の第1の検知電極および駆動電極のペア間の第1の抵抗変化に基づき、第1の時間において、タッチセンサ面112への第1の入力の印加および第1の入力の第1の力の大きさを検出し、ブロックS120において、第1の力の大きさが第1の閾値の大きさと第2の閾値の大きさとの間であることに応答して、第1の持続時間(例えば、標準クリックサイクル)にわたって第1のクリックサイクルを実行し、第1の入力を第1の入力タイプとして分類する。また、この実施例では、コントローラ150は、ブロックS114において、タッチセンサ面112下方の第2の検知電極および駆動電極のペア間の第2の抵抗変化に基づき、第2の時間において、タッチセンサ面112への第2の入力の印加および第2の入力の第2の力の大きさを検出し、ブロックS124において、第2の力の大きさが第2の閾値の大きさを上回ることに応答して、第1の持続時間を超える第2の持続時間(例えば、ディープクリックサイクル)にわたって第2のクリックサイクルを実行し、第2の入力を第1の入力タイプとは異なる第2の入力タイプとして分類する。
【0030】
別の実施例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112上のディープクリック入力に応答して、入力モード間の遷移または切り替えを行うことができ、例えば、コントローラ150が相対位置変更コマンドを出力してカーソルを移動させる第1のモードと、コントローラ150が(例えば、デスクトップ上の)ビューウィンドウ内のカーソルの位置を規定する絶対位置コマンドを出力する第2のモードとの間で遷移または切り替えを行うことができる。
【0031】
コントローラ150は、同様に、タッチセンサ面112上で検出される入力の力の大きさが増加するに連れて、3回、4回またはそれ以上のクリックサイクルを実行するなど、複数レベルのクリックサイクルを実施することができる。また、コントローラ150は、複数の予め設定された力の大きさの範囲のうちの1つに含まれる力のタッチセンサ面112上への印加に応じて、様々なコマンドを出力することもできる。例えば、システムがモバイルコンピューティングデバイスに組み込まれている後述する変形例におけるように、タッチセンサ面112の領域上の入力が削除キーに対応する場合に、タッチセンサ面112上に加えられる力の大きさがより高い別の力の範囲に入るのに応じて、コントローラ150は、コマンドを出力して、一つの記号を削除し、一つの単語を削除し、一つの文章を削除し、あるいは段落全体を削除することができる。
【0032】
コントローラ150は、タッチセンサ面112に同時にまたは間断なく印加される複数の個別の入力に応じて、それらのハプティック効果を実現することができる。例えば、ユーザが複数の指をタッチセンサ面112に接触させると、コントローラ150は、重複する複数のクリックサイクル内で、タッチセンサ面112上の各指の検出に応答して、それら指の各々により加えられる力の大きさが共通の閾値の大きさを超える(またはタッチセンサ面112の対応する領域に割り当てられた閾値の大きさを超える)時間に基づいて、クリックサイクルを起動することができる。コントローラ150は、タッチセンサ面112と接触している各指について、ユーザの各指による様々な力(または圧力)の大きさの遷移に応じて、「ダウン」クリックサイクル、「アップ」クリックサイクル、「ディープ」クリックサイクル、複数レベルのクリックサイクルなどを含む、前述した方法および技術を実施することができる。
【0033】
1.7 ヒステリシス
図8Aに示す一変形例では、コントローラ150は、ブロックS110、S120、S112およびS122において、タッチセンサ面112上の単一の力入力の印加および後退中に複数のクリックサイクルを起動するヒステリシスを実行する。特に、この変形例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112に力が加えられたとき、並びに、タッチセンサ面112から力が解放されたときに、振動子120およびスピーカを選択的に作動させることにより、機械的なボタンが押下されるときと、その後解放されるときの感触と音を触覚的および聴覚的に再現する。コントローラ150は、タッチセンサ面112への力の印加が第1の閾値の大きさに達したときに「バウンシング」を防ぐために、入力がタッチセンサ面112から解放されるまで、この入力に対して、機械式ボタンの押下を示唆する単一の「ダウン」クリックサイクルを実行することができる。しかしながら、コントローラ150は、同じ入力によって加えられる力が第2のより低い閾値の大きさまで減少する際に、押下された機械的ボタンの解放を示唆する「アップ」クリックサイクルを実行することもできる。このため、コントローラ150は、タッチセンサ面112上の入力に対するハプティック応答における「バウンシング」を防止して、タッチセンサ面112に加えられた力が検知されている(すなわち、第1の閾値の大きさに達している)ことをハプティック応答を介してユーザに示すとともに、ユーザの選択がクリアされてタッチセンサ面112に加えられた力が検知されている(すなわち、加えられた力が低下して第2の閾値の大きさを下回る)ことを追加的ハプティック応答を介してユーザに示すために、ヒステリシス技術を実行することができる。
【0034】
例えば、コントローラ150は、ブロックS110およびS120において、数グラムを超える力の大きさのタッチセンサ面112上の入力の印加を検出することに応答して、「ダウン」クリックサイクルを起動することができ、ブロックS112およびS122において、入力がタッチセンサ面112から解放されて、この入力からのタッチセンサ面112に加えられる力が60グラム未満に低下したときに、「アップ」クリックサイクル(例えば、ダウンクリックサイクルより短く、高い周波数の変形例)を起動することができる。この実施例では、コントローラ150は、「アップ」クリックサイクルの場合よりも振動子120が大きな振幅および/または周波数で駆動されて、スピーカが低い周波数の音を出力する「ダウン」クリックサイクルを実行することができる。このため、コントローラ150は、移行力を超える力の印加を必要とする機械的ボタンの押下を触覚的および聴覚的に再現する「ダウン」クリックサイクルを実行することができ、また、コントローラ150は、機械的ボタンに加えられた力が低下して移行力を大幅に下回るときにのみ元の位置に戻る機械的ボタンの解放を触覚的かつ聴覚的に再現する「アップ」クリックサイクルを実行することができる。さらに、機械的ボタンと機械的ボタンを押す指との間の接触は、押下された機械的ボタンの戻る音と速度の両方を抑えることから、物理的ボタンが解放されるときよりも速くて低ピッチの「スナップダウン」感触および音を与えることができる。このため、コントローラ150は、「ダウン」クリックサイクルを実行することにより、押下されたときの機械的ボタンの感触および音を模倣することができ、コントローラ150は、一定期間にわたってタッチセンサ面112と接触する物体によって加えられる力の変化に応じて、「アップ」クリックサイクルを実行することにより、押下された機械的ボタンが解放されるときの感触および音を模倣することができる。
【0035】
1.8 ハウジング
ハウジング160は、図1および図2に示すように、コントローラ150、振動子120、スピーカおよびタッチセンサ110の検知電極および駆動電極などのシステムの構成要素を収容および支持するように機能する。前述したように、ハウジング160は、システムが起立して置かれる平面上でハウジング160の底面を支持するように機能する脚部160のセット(または「パッド」)を規定することができる。この実施例では、各脚部は、システムを隣接面から機械的に分離するように機能する圧縮性材料または他の振動減衰材料を含むことができ、それによりクリックサイクル中にガタガタ鳴るのを低減し、システムの振動を実質的に抑制する。
【0036】
さらに、周辺ヒューマンインターフェースデバイス(または「マウス」)を規定するシステムの場合、各脚部は、先端が滑らかで、剛性でかつ/または比較的低摩擦の材料(例えば、テフロンフィルム、ナイロンブッシュ)であり、その結果、平坦面上に起立状態で置かれたときに、システムが相対的に最小限の抵抗で平坦面上を滑らかに動くことが可能となっている。例えば、前述した実施例では、ハウジング160は、直線で特徴付けられる射出成形された不透明ポリマー構造体を規定することができ、構造体の矩形底面の各角部に1つずつの独立気泡発泡体のインサートを含むことができる。しかしながら、ハウジング160は、他の任意の形態を規定することができ、他の任意の材料から形成することができる。
【0037】
周辺ヒューマンインターフェースデバイスを規定するシステムの場合、ハウジング160は、タッチセンサ面112と反対側のその底面に、LEDまたはレーザベースの光学的動きセンサ170または機械的動きセンサ170などの1または複数の動きセンサを支持することもできる。コントローラ150は、動作全体にわたって(または、後述するように「マウスモード」にあるとき)、動きセンサ170をサンプリングして、隣接面上のシステムの相対移動を追跡することができる。また、システムは、カーソルベクトルにおけるそのような相対的な動きまたは他のコマンドをほぼリアルタイムで変換し、このカーソルベクトルまたは他のコマンドを、接続されたコンピューティングデバイスに送信することもできる。
【0038】
1.9 マウスジェスチャ
システムは、ブロックS130において、タッチ面で検出された入力を、タッチ面上の入力の初期位置、最終位置、速度、力(または圧力)の大きさなどに基づいて、様々なコマンドのうちの1つに変換することができる。例えば、コントローラ150は、タッチ面上の入力を、右クリック、左クリック、中央クリック、スクロールおよびズームなどの様々なマウスコマンドの1つとして解釈することができる。
【0039】
システムがマウスモードで動作する一実施例では、コントローラ150は、タッチ面の領域を右クリック、左クリックおよび中央クリックのコマンドと選択的に関連付ける。例えば、図3に示すように、ユーザがシステムの上に手のひらを置き、システム前端の近傍のタッチセンサ面112に接触する状態で1本の指(例えば人差し指)を置くと、コントローラ150は、タッチセンサ110と連動して、タッチセンサ面112の前半部上のこの単一のタッチ入力を検出することができ、この入力を左クリックコマンドに割り当てることができ、かつ、この入力の大きさがタッチセンサ面112のこの領域に割り当てられた閾値力の大きさを超えることに応答して、クリックサイクルを開始し、左クリックコマンドを出力することができる。しかしながら、ユーザがタッチセンサ面112の前半部に2本の指(例えば、人差し指と中指)を置くと、コントローラ150は、タッチセンサ110と連動して両方のタッチ入力を検出し、タッチセンサ面112の前半部の最も左のタッチ入力を左クリックコマンドに関連づけ、タッチセンサ面112の前半部の最も右のタッチ入力を右クリックコマンドに関連づけ、それらタッチ入力の力の大きさが共通の力の大きさの閾値またはタッチセンサ面112のそれらの領域に割り当てられた固有の力の大きさの閾値を超えることに応答して、左クリックコマンドおよび右クリックコマンドを選択的に出力することができる。さらに、ユーザがタッチセンサ面112上に3本の指(例えば、人差し指、中指および薬指)を載せた場合、コントローラ150は、タッチセンサ110と連動して3つのタッチ入力をすべて検出し、タッチセンサ面112の前半部の最も左のタッチ入力を左クリックコマンドに関連づけ、横方向において最も左のタッチ入力と最も右のタッチ入力との間のタッチセンサ面112の前半部のタッチ入力を中央クリックまたはスクロールコマンドと関連付け、タッチセンサ面112の前半部の最も右のタッチ入力を右クリックコマンドに関連づけ、それらタッチ入力の力の大きさがタッチセンサ面112のそれらの領域に割り当てられた力の大きさの閾値を超えることに応答して、左クリックコマンド、中央クリックまたはスクロールコマンドおよび右クリックコマンドを選択的に出力することができる。このため、コントローラ150は、例えばタッチセンサ面112上の他のタッチ入力の数および位置に基づいて、タッチセンサ面112上のタッチ入力を様々なコマンドタイプに動的に関連付けることができる。代替的には、コントローラ150は、例えば、タッチセンサ面112の第1(I)象限に右クリックコマンドを割り当て、タッチセンサ面112の第2(II)象限に左クリックコマンドを割り当てることにより、固定コマンドをタッチセンサ面112のサブ領域に割り当てることができる。
【0040】
別の実施例では、コントローラ150は、図4および図9Aに示すように、スクロールコマンドで、タッチセンサ面112上で検出されたタッチ入力を解釈する。この実施例では、コントローラ150は、第1の時間に、タッチセンサ110と連動して、タッチセンサ面112の第1の位置で、ユーザの指またはスタイラス先端などからのタッチ入力を検出し;第2の時間に、タッチセンサ110と連動して、タッチセンサ面112上の第2の位置へのタッチ入力の移行を検出し;閾値距離を超える第1の位置と第2の位置との間の距離に基づいて、タッチ入力をスクロール入力として識別し;第1の位置から第2の位置へのベクトルの方向に基づいてスクロール入力の方向(例えば、左、右、上、下)を判定し;それに応じてスクロールコマンドを開始する。(この実施例では、コントローラ150は、タッチ入力が第1の位置でタッチセンサ面112上の閾値力または圧力の大きさを超えることに応答して、第1の位置のタッチ入力を意図的な入力として確認することもできる。)その後、ユーザが、指またはスタイラスを、タッチセンサ面112との接触を維持したまま、タッチセンサ面112に沿って移動させると、コントローラ150は、第1(または第2)の位置から横断する距離に対応するスクロール距離またはスクロール速度を含むスクロールコマンドを出力することができる。しかしながら、スクロールコマンドがこうして開始されると、コントローラ150は、タッチ入力の力の大きさに対応するスクロール距離またはスクロール速度を含むスクロールコマンドを追加的または代替的に出力することができる。例えば、スクロールの方向を含むスクロールコマンドが開始されると、コントローラ150は、タッチ入力の力の大きさに比例するスクロール速度コマンド(最大スクロール速度まで)を出力することができる。さらに、ユーザが、タッチセンサ面112との接触を断つことなく、タッチセンサ面112を横切って指またはスタイラスを動かすと、コントローラ150は、スピーカおよび振動子を一定の間隔で起動して、例えばスクロールイベントによってカバーされる距離または速度に比例する頻度で、追加的なクリックサイクルを実行し、スクロールイベントが現在のものであることをユーザに示すこともできる。
【0041】
このため、コントローラ150は、タッチセンサ面112の領域にわたるタッチ入力のトラバースに基づいてスクロールコマンドを開始することができ、その後、ユーザがタッチセンサ面112を押下する力の大きさに基づいて、スクロールコマンドを修正することができ、それにより、図4に示すように、スクロールコマンドが開始されると、接続されたコンピューティングデバイス上で見られる文書または他のリソースを操作するときに、ユーザがタッチセンサ面112を押下する強さを変更することにより、ユーザがスクロール速度を調整することが可能になる。コントローラ150は、タッチセンサ110をサンプリングし続けることができ、タッチセンサ面112からタッチ入力が除かれると(例えば、タッチ入力の力または圧力の大きさが低い閾値を下回ると)、スクロールコマンドを終了することができる。
【0042】
別の実施例では、ユーザがタッチセンサ面112上で人差し指を押し下げて揺する(例えば、縦に揺らす)と、コントローラ150は、タッチセンサ110と連動して、第1の時間に、ほぼ卵形のタッチ領域によって特徴付けられる対応するタッチ入力を検出し;第1の時間において卵形のタッチ領域内の最大の力を識別し;卵形のタッチ領域の位置および卵形のタッチ領域内の最大の力の位置を第1の時間から第2の時間まで追跡することができる。この実施例では、第1の時間から第2の時間まで、卵形のタッチ領域の重心位置、向きまたは周囲の幾何学形状などが閾値未満で変化し、かつ、卵形のタッチ領域内の最大の力の位置が閾値距離より大きく変化する場合に、コントローラ150は、このタッチ入力をスクロールコマンドと解釈することができ、第1の時間における最大の力の位置から第2の時間における最大の力の位置までのベクトルの方向に対応する方向を含むスクロールコマンドを開始することができる。こうしてスクロールコマンドが開始されると、コントローラ150は、卵形タッチ領域における力の大きさの合計に基づいて、または卵形タッチ領域内の最大の力の大きさに基づいて、スクロールコマンドのスクロール速度またはスクロール距離を調整することができる。
【0043】
別の実施例では、コントローラ150は、ズームコマンドを用いてタッチセンサ面112上で検出されたタッチ入力を解釈する。この実施例では、コントローラ150は、第1の時間に、タッチセンサ110と連動して、タッチセンサ面112上の第1の位置および第2の位置におけるユーザの親指および人差し指などからの第1のタッチ入力および第2のタッチ入力をそれぞれ検出し;第2の時間に、タッチセンサ110と連動して、タッチセンサ面112上における第1のタッチ入力の第3の位置への移行および第2のタッチ入力の第4の位置への移行を検出し;第1の位置と第2の位置間の第1の長さと、第3の位置と第4の位置間の第2の長さとの差が閾値距離または比率よりも大きく異なることに基づいて、タッチ入力をズーム入力と識別し;第1の距離が第2の距離を超えるか否かに基づいて、ズーム入力の方向(例えば、ズームイン、ズームアウト)を判定し(例えば、第1の距離が第2の距離を超える場合にはズームイン、第2の距離が第1の距離を超える場合にはズームアウト);それに応じてズームコマンドを開始する。(この実施例では、コントローラ150は、第1および第2の位置におけるタッチ入力の一方または両方がタッチセンサ面112上の閾値力または圧力の大きさを超えることに応答して、第1および第2の位置におけるタッチ入力を意図的な入力として確認することもできる。)その後、ユーザが、タッチセンサ面112と接触を断つことなく、指を互いに引き寄せるか、または指を引き離すと、コントローラ150は、第1(または第2)の長さからのユーザの指間の距離の変化に対応する、ズーム方向、ズーム距離および/またはズーム速度を含むズームコマンドを出力することができる。しかしながら、こうしてズームコマンドが開始されると、コントローラ150は、タッチ入力の力の大きさに対応するズーム距離またはズーム速度を含むズームコマンドを追加的または代替的に出力することができる。例えば、ズーム方向を含むズームコマンドが開始されると、コントローラ150は、タッチセンサ面112上のタッチ入力の一方または両方の力の大きさに比例するズーム速度コマンド(最大ズーム速度まで)を出力することができる。このため、コントローラ150は、タッチセンサ面112の領域にわたる2つのタッチ入力のトラバースに基づいてズームコマンドを開始することができ、その後、ユーザがタッチセンサ面112を押下する力の大きさに基づいて、ズームコマンドを修正することができ、それにより、図8Bに示すように、ズームコマンドが開始されると、接続されたコンピューティングデバイス上で見られる文書または他のリソースを操作するときに、ユーザがタッチセンサ面112を押下する強さを変更することにより、ユーザがズーム速度を調整することが可能になる。コントローラ150は、タッチセンサ110をサンプリングし続けることができ、タッチセンサ面112からタッチ入力が除かれると、ズームコマンドを終了することができる。
【0044】
また、コントローラ150は、タッチセンサ面112上の入力に基づいて、カーソルベクトルを規定し、それらのカーソルベクトルを、接続されたコンピューティングデバイスに出力することができる。例えば、タッチセンサ面112の前縁に沿ったタッチセンサ面112の押下に応答して、コントローラ150は、出力カーソルベクトルを垂直軸にロックすることができる。同様に、タッチセンサ面112の左縁または右縁に沿ったタッチセンサ面112の押下に応答して、コントローラ150は、出力カーソルベクトルを水平軸にロックすることができる。また、コントローラ150は、タッチセンサ面112の右前コーナおよび左前コーナにおける押下に応答して、45°ベクトルおよび135°ベクトルに沿って出力カーソルベクトルをそれぞれロックすることもできる。
【0045】
さらに、コントローラ150は、タッチセンサ面112の選択領域におけるカーソル制御を選択的にアクティブ化および非アクティブ化することができる。例えば、コントローラ150は、タッチセンサ面112の前半部上のタッチ入力を選択(例えば、「クリック」)、スクロールおよびズームコマンドとして解釈することができるが、この領域内のカーソルベクトル制御を非アクティブ化して、タッチセンサ面112の前半部をタッチすることにより、ユーザが仮想オブジェクトを選択し、仮想メニューにアクセスし、仮想リソースをスクロールし、あるいは接続されたコンピューティングデバイス上の仮想リソースにズームインまたはズームアウトすることを可能にする。しかしながら、この実施例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112の後半部におけるカーソルベクトル制御をアクティブ化することができ、その結果、隣接する面に対してシステムを動かし、かつ、タッチセンサ面112の後半部を横切るように指、スタイラスまたは他の器具を引くことによって、ユーザが、接続されたコンピューティングデバイス上のグラフィカルユーザインターフェース内のカーソルの位置を制御することが可能になる。この実施例では、コントローラ150は、複合カーソルベクトルを生成するために、隣接面に対するシステムの動きに第1のスケール(例えば、1:1、または相対的に高い位置感度)を適用することができ、タッチセンサ面112の後半部のタッチ入力位置の変化に第2のスケール(例えば、1:5、または相対的に低い位置感度)を適用することができる。このため、コントローラ150は、システムを隣接面に対して相対的に移動させることによって、ユーザがグラフィカルユーザインターフェース内の相対的に大きな仮想距離にわたってカーソルを迅速に移動させることが可能となり、また、コントローラ150は、タッチセンサ面112の後端にわたって指、スタイラスまたは他の器具を引くことによって、ユーザが相対的に高度なカーソル位置制御を行うことも可能になる。
【0046】
しかしながら、コントローラ150は、ブロックS130において、他の任意の静的または動的スケジュールに従ってタッチセンサ面112の領域を分割することができ、それらの領域を他の任意のコマンドまたは機能と関連付けることができる。
【0047】
1.10 コンテキストを意識したジェスチャ
一変形例では、システムは、図9Aおよび図9Bに示すように、マウスモード、リモートコントローラ150モードおよびゲームパッドモードなど、2以上のモードで選択的に動作する。一実施例では、動きセンサ170が、隣接面、例えばハウジング160の底面から単位時間当たりの閾値距離以上に深度が変化しない表面を検出した場合に、システムは、マウスモードで動作し、上述した方法および技術を実行する。この実施例では、隣接面が存在しないこと、または単位時間当たりの閾値距離以上に隣接面の近接性の変化を動きセンサ170が検出した場合に、システムは、マウスモードを終了して、リモートコントローラ150モードまたはゲームコントローラ150モードの何れかに入る準備を行うこともできる。
【0048】
また、システムは、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計または他の運動センサを含むこともでき、動きセンサの出力に基づいて選択モードに入ることができる。例えば、システムが直立姿勢にあること(または、(0°,0°)のピッチおよびロールの向きから+/-10°ピッチおよびロールなど、直立姿勢の範囲にあること)を動きセンサの出力が示す場合に、システムは、マウスモードに入って留まることができる。しかしながら、システムが縦向きに保持されている場合(かつ動きセンサ170が隣接面または信頼できる面を検出しない場合)、システムはリモートコントローラ150モードに入ることができる。同様に、システムが横向きに保持されている場合(かつ動きセンサ170が隣接面または信頼できる面を検出しない場合)、システムはゲームパッドモードに入ることができる。
【0049】
さらに、動きセンサ170が隣接面または信頼できる表面を検出した場合、システムは、タッチセンサ面112上のタッチ入力の位置に基づいて、リモートコントローラ150モードおよびゲームパッドモードに選択的に入ることができる。例えば、システムがマウスモードから移行したら、システムは、タッチセンサ面112上で単一のタッチ入力(例えば、親指)が検出された場合に、リモートコントローラ150モードに入ることができ、タッチセンサ面112上で2つのタッチ入力(例えば、2本の親指)が検出された場合に、ゲームパッドモードに入ることができる。しかしながら、システムは、システム内の他の任意の機械的、光学的、音響的または他のセンサの出力に基づいて、2以上のモードに選択的に入り、かつそれらモードから出ることができる。その後、コントローラ150は、上述した方法および技術を実行して、システムの現在の動作モードに基づいて、タッチセンサ面112上の入力をコマンドまたは他の機能(例えば、システム上に予め規定およびロードされたコマンド)に変換することができる。
【0050】
代替的には、システムは、タッチセンサ面112上で検出された1または複数のタッチ入力に基づいてモード間で遷移することができる。例えば、システムは、タッチセンサ面112の前部領域上で2つの(上述した)ディープクリック入力を検出することに応答して、マウスモードに入ることができ;タッチセンサ面112の横方向および縦方向の中心近傍で1つのディープクリック入力を検出することに応答して、リモートコントローラ150モードに入ることができ;タッチセンサ面112の前部領域の1つのディープクリック入力と、タッチセンサ面112の後部領域の1つのディープクリック入力とを実質的に同時に検出することに応答して、ゲームパッドモードに入ることができる。
【0051】
ゲームコントローラ150モードの一実施例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112上の入力の位置および力の大きさを結合して、ジョイスティックベクトルにすることができる。例えば、ゲームパッドモードでは、コントローラ150は、タッチセンサ面112のサブ領域(例えば、円形のサブ領域)をジョイスティック領域として指定することができる。このジョイスティック領域内の入力の検出に応答して、コントローラ150は、タッチ入力領域の重心を計算し(またはタッチ入力領域内に入力された最大力点を特定し);ジョイスティック領域の中心を中心とする座標系内のタッチ入力領域重心(または入力された最大力点)の角度オフセットを計算し;この角度オフセットによって規定される方向と、タッチ入力の最大力、平均力または合計力の大きさに対応する大きさとを含むジョイスティックベクトルを生成することができる。この実施例では、コントローラ150は、ジョイスティック領域の中心(例えば、座標系の原点)からタッチ入力の重心(または最大力点)までの距離に基づいて、ジョイスティックベクトルの大きさを拡大縮小することもできる。このため、コントローラは、ゲームパッドモードにおいて、タッチ入力の位置とタッチ入力の力(または圧力)の大きさの両方をジョイスティックベクトルにマージし、その後、例えば、ウィンドウ内のカーソル位置や、コンピューティングデバイス上のゲームインターフェース内の第1の人の観察位置を制御するために、このジョイスティックベクトルを、接続されたコンピューティングデバイスに出力することができる。
【0052】
1.11 可動スタイラス面
一変形例では、システムは、隣接面に対するシステムの位置の変化と、タッチセンサ面112上のタッチ入力の位置の変化の両方に基づいてカーソルベクトル(またはカーソル位置コマンドなど)を出力する。この変形例では、システムは、ハウジング160の底面において横方向および/または縦方向にオフセットする2(またはそれより多く)の動きセンサを含むことができ、コントローラ150は、動作全体にわたって各動きセンサ170をサンプリングし、それら動きセンサの出力に基づいて動作中のシステムの横方向(例えば、X軸)位置、縦方向(例えば、Y軸)位置およびヨー(例えば、Z軸を中心とする円弧位置)の変化を追跡することができる。さらに、動作全体にわたって、コントローラ150は、タッチセンサ110をサンプリングし、例えば指またはスタイラスなどによる、タッチセンサ面112を横切る連続的なタッチ入力を追跡することができる。その後、コントローラ150は、連続する2つのサンプリング期間の間のタッチ入力の位置の変化を、動きセンサの出力を比較することによって決定される、同じサンプリング期間の間のハウジング160の位置の変化に射影して、2つのサンプリング期間の間の隣接面に対するタッチ入力の位置のグローバル変化を判定し、このグローバル位置変化をカーソルベクトル(またはカーソル位置コマンドなど)として、接続されたコンピューティングデバイスに出力することができる。
【0053】
この一変形例では、システムが表面を上にして机のような平坦面上に置かれた状態において、右手にスタイラスを保持するユーザは、右の手のひらをタッチセンサ面112の後半部に置くことができ、その後、タッチセンサ面112の前半分の上にスタイラスの先端を引き出すことができる。コントローラ150は、例えばHzの速度でタッチセンサ110を系統的にサンプリングすることができ、パターンマッチング、エッジ検出、物体認識またはその他の技術を使用して、タッチセンサ110で読み取られた各「フレーム」において、ユーザの手のひらおよびスタイラスの先端を識別することができる。その後、コントローラ150は、入力としてユーザの手のひらを拒絶し、その代わりに、タッチセンサ面112の前半分上のスタイラスの位置の変化に基づいてカーソルベクトルを出力することができる。しかながら、ユーザがタッチセンサ面112を横切ってスタイラスを引き続けると、ユーザは、下の机に対してシステムを動かす可能性もある。このため、コントローラ150は、動きセンサの出力に基づいて、机に対するシステムのそのような動きを追跡し;机に対するスタイラス先端のグローバル位置変化を計算するために、実質的に同一の期間(例えば、サンプリング期間の間に8ミリ秒の継続時間)にわたって生じるタッチセンサ面112上のスタイラス先端の位置の変化と、上記のようにして検出したシステムの位置の変化とをマージし;それに応じてカーソルベクトル(または他のカーソル移動コマンド)を出力することができる。このため、システムは、片手でより大きな(例えば、約24平方インチの机の)領域上でタッチセンサを移動させながらも、相対的に小さい(例えば、幅1.8インチ、長さ3.6インチの)タッチセンサ面112上でユーザが描くことを可能にする。特に、システムは、スタイラスのグローバル位置変化を計算するために、システムに対するスタイラス先端のミクロの位置変化と、机に対するシステムのマクロ位置変化とをマージすることができ、それにより、ユーザは、相対的に小さなタッチセンサ面112を介して、接続されたコンピューティングデバイス上で実行されるアプリケーション内の相対的に大きな仮想領域内でユーザが描くことを可能にする。例えば、システムは、幅約1.8インチのタッチセンサ面112上の8インチ幅の文字列の手書き線を、接続されたコンピューティングデバイスにユーザが入力すること、または幅1.8インチ、長さ3.6インチのタッチセンサ面112を介して仮想スケッチウィンドウ内に約12平方インチのスケッチのラインをユーザが入力することを可能にすることができる。
【0054】
1.12 カバー層
一変形例では、システムは、タッチセンサ面112上に配置されたカバー層を含む。この変形例では、カバー層は、(平面)タッチセンサ110上に曲線状および/または変形可能な(例えば、「柔らかい」低デュロメータ)制御面を規定することができ、制御面上の入力をタッチセンサ面112に機械的に伝達することができる。
【0055】
一実施例では、カバー層は、テキスタイル(例えば、織物、皮革)の第1の面を向き、かつ反対側がタッチセンサ110上に取り付けられた、均一な厚さ(例えば、0.025インチ)および均一なデュロメータ(例えば、ショア25)の発泡体パッドを含む。この実施例では、タッチセンサ110が、相対的に硬い構造体(例えば、ショア80以上)を規定することができ、カバー層は、タッチセンサ110上に相対的に柔軟な(例えば、変形可能な、柔軟な、弾力性のある、圧縮性の)層を規定することができる。テキスタイルは、発泡体パッドによってタッチセンサ面112上にオフセットされた制御面を規定することができ、発泡体パッド(およびテキスタイル)は、ユーザが指で制御面を押下したときに指とタッチセンサ面112との間で圧縮することができる。タッチセンサ110は、タッチセンサ面112に加えられる力の大きさの範囲を検出するように構成されているため、タッチセンサ110は、そのような入力を検出することができる。また、発泡体パッドは、制御面からタッチセンサ面112へと、より大きな接触領域にわたってユーザの指の印加力を分散させることができるが、コントローラ150は、タッチセンサ110上の個別のセンサピクセルで計算された入力された力を合計して、制御面に加えられる合力を計算することができる。コントローラ150は、加えられた力の変化を検知した、個別のセンサピクセルの隣接クラスタの重心を計算して、入力の力中心を判定することもできる。
【0056】
前述した実施例では、カバー層の制御層は、エンボス領域、デボス領域、デカールなどを含むこともでき、それによりタッチセンサ110のアクティブ領域、タッチセンサ110の非アクティブ領域、制御面のそのような領域上の入力に応答してシステムにより出力される機能の触覚インジケータを規定することができる。
【0057】
別の実施例では、カバー層は厚さの変化するパッドを含み、このパッドは、テキスタイルの第1の面を向き、反対側がタッチセンサ110上に取り付けられている。一実施例では、パッドは、均一デュロメータの発泡体構造を含み、タッチセンサ110の後端に近い厚い部分からタッチセンサ110の前端に近い薄い部分に向かってテーパが付けられたくさび形の輪郭を規定する。この実施例では、パッドの厚さが変化するため、パッドは、制御面の後端付近に加えられた力を、制御面の前端付近に加えられる力より広い領域で、タッチセンサ110へと伝達することができ、よって、システムは、制御面の後端よりも前端に近い制御面に加えられるタッチ入力に対してより大きな感度を呈することができる。別の実施例では、パッドは、同様に、(例えば、図5Bに示すように)タッチセンサ110の後端に近い厚い部分からタッチセンサ110の前端に近い薄い部分に向かってテーパが付けられたくさび形の輪郭を規定する発泡体構造または他の圧縮可能な構造を含む。しかしながら、この実施例では、発泡体構造は、その後端から前端まで増加するデュロメータを示すことができ、それにより、システムが制御面の各位置のタッチ入力に対して実質的に均一な感度を示すように、パッドの厚さの変化を相殺することができる。
【0058】
しかしながら、カバー層は、タッチセンサ面112上に他の任意の均一な厚さまたは可変厚さを規定することができる。例えば、カバー層は、(平面)タッチセンサ面112上にドーム状または半球状の輪郭を規定することができる。また、カバー層は、他の任意のテキスタイルまたは他の材料に向けることもできる。その後、システムは、上述した方法および技術を実行して、カバー層によってタッチセンサ面112上に変換された制御面上の入力を検出し、それらの入力に従って制御機能を出力することができる。
【0059】
1.13 マウスオーバーレイ
一変形例では、システムは、図5A図5B図6および図7に示すように、スタンドアロンのタッチセンサ110を規定し、システムの異なる動作モードに対応する2以上の異なるオーバレイと物理的にインタフェースをとる。この変形例では、システムおよびオーバーレイが、人間コンピュータインタフェース「キット」を規定することができる。
【0060】
一実施例では、キットがマウスオーバーレイ164を含み、このマウスオーバーレイが、システムを一時的に受け入れるように構成されるとともに、上述したように、平面状、ドーム状、半球状または波形輪郭の制御面などの制御面をタッチセンサ面112上に規定する。例えば、マウスオーバーレイ164は、図5Aおよび図5Bに示すように、その後端に近い第1の厚さから、その前端に向かって第2のより薄い厚さに先細になり、ユーザの人差し指および中指がマウスオーバーレイ164の前端に延びる状態でユーザの手のひらの内部で受けるようにサイズ設定された曲線状輪郭を規定することができる。この実施例では、マウスオーバーレイ164は、エンボス加工、デボス加工、または様々なテクスチャまたは表面プロファイル(例えば、左クリック領域、右クリック領域およびスクロールホイール領域の周りのデボス加工された外周部)の制御面を規定することができ、それにより、マウスオーバーレイ164に関連する様々なコマンドに対応する様々な入力領域を触覚的に示すことができる。
【0061】
マウスオーバーレイ164は、図5Bに示すように、システムと一時的に(すなわち、取り外し可能に)係合するように構成されたキャビティをさらに規定することができる。例えば、マウスオーバーレイ164は、制御面と反対側のキャビティと、システムがキャビティ内に「スナップ留め」されたときにシステムをキャビティ内に保持するように構成されたキャビティ外周の周りの保持リングまたはアンダーカットとを規定することができる。代替的には、マウスオーバーレイ164は、キャビティに隣接する1または複数の磁石(または鉄要素)を含むことができ、それら磁石(または鉄要素)が、ハウジング160内に配置された鉄要素(または磁石)に磁気的に結合して、キャビティ内にシステムを保持するように構成されている。しかしながら、マウスオーバーレイ164は、マウスオーバーレイ164の上または中にシステムを一時的に保持するように構成された任意の機構または特徴を含むことができる。
【0062】
さらに、マウスオーバーレイ164は、キャビティの下方に垂直方向にオフセットされた一体的滑り脚部を含むことができる。マウスオーバレイ164およびシステムが組み立てられた状態で、一体的滑り脚部は、システム底部の動きセンサ170と、アセンブリが配置および操作される面との間のギャップを設定および維持することができる。上述したように、各一体的滑り脚部は、先端が滑らかで剛性かつ/または相対的に低摩擦の材料とされて、アセンブリが比較的小さな抵抗で隣接する平坦面を滑らかに動くことを可能にする。また、各一体的滑り脚部は、上述したように、アセンブリを隣接する平坦面から機械的に分離するように構成された圧縮可能な(例えば、発泡体)構造も含むことができる。
【0063】
このため、この実施例では、オーバーレイ164は、三次元の人工工学的マウス形態を規定することができ;タッチセンサ面112上に一時的に取り付けるように構成することができ;オーバーレイ164の表面に加えられた力をタッチセンサ面112へと下方に伝達するように構成された弾性材料を含むことができる。
【0064】
別の実施例では、キットは、図7に示すように、リモートコントローラ150オーバーレイ164を含む。このリモートコントローラオーバーレイは、ユーザの親指がリモートコントローラオーバーレイの前端に向かって制御面上に延びる状態において、縦方向の向きでユーザの手のひらの中で握るようにサイズ設定された直線的または曲線的なプロファイルを規定することができる。また、リモートコントローラオーバーレイは、例えば音量アップおよび音量ダウン領域、左、右、上、下のスクロール領域、一時停止/再生領域および/または選択領域などの様々な入力タイプに対応する領域のためのインジケータで、エンボス加工、デボス加工または他の触覚的または視覚的に標識される制御面を規定することもできる。マウスオーバーレイ164と同様に、リモートコントローラオーバレイは、システムを一時的に受け入れるように構成されたキャビティをさらに規定することができる。代替的には、リモートコントローラオーバーレイは、タッチセンサ面112上に貼付するように構成されたフィルムを含むことができる。例えば、リモートコントローラオーバーレイは、対応するコマンドタイプを示す、エンボス加工、デボス加工および/またはインクラベル付けされた領域を有するシリコーンフィルムと、シリコーンフィルムをシステムのタッチセンサ面112に一時的に接着するように構成された接着性バッキングとを含むことができる。
【0065】
キットは、ゲームパッドオーバーレイをさらに含むことができ、このゲームパッドオーバーレイは、同様に、図6に示すように、ユーザの親指がゲームパッドオーバーレイの左側または右側に向かって制御面上に延びた状態において、横向きでユーザの両手の間で把持するようにサイズ設定された平面または曲線的なプロファイルを規定する。ゲームパッドオーバレイは、左右のアナログジョイスティック、Dパッド、フェイスボタンのセット、左右の肩ボタンのセット、選択/戻るボタン、選択/進むボタン、メニューボタンおよび/またはホームボタンなど、様々なコマンドに対応する領域のための触覚または視覚インジケータを含む、エンボス加工、デボス加工等された制御面を規定することができる。マウスオーバーレイおよびリモートコントローラオーバーレイと同様に、ゲームパッドオーバレイは、システムを一時的に受け入れて保持するように構成されたキャビティを規定することができる。代替的には、ゲームパッドオーバーレイは、上述したように、タッチセンサ面112上に一時的に貼付されるように構成されたフィルムを規定することができる。
【0066】
また、コントローラ150は、一時的に取り付けられたオーバーレイを識別し、識別したオーバーレイのタイプに基づいて、制御面からタッチセンサ面112に伝達される入力に応答して、その出力を再構成することもできる。例えば、システムは、磁場(例えば、ホール効果)センサのセットを含むことができ、そのセットの各オーバーレイは、システムがオーバーレイ内に取り付けられたときに磁場センサを向く磁石の固有の配置を含むことができ、システムは、磁場センサの出力に基づいて、システムが取り付けられたオーバーレイを識別し、システム内のローカルメモリに記憶された対応する出力構成を読み出し、その後、制御面上の入力に応答して、その出力構成に従い信号を出力することができる。他の実施例では、各オーバーレイは、オーバーレイタイプで符号化された集積回路を含むことができ、システムは、有線接続または無線通信プロトコルを介して、接続されたオーバーレイからオーバーレイタイプをダウンロードし、オーバーレイタイプに対応する出力構成を選択し、それに応じて、システムがオーバーレイから取り外されるまで信号を出力することができる。同様に、各オーバーレイは、完全なタッチセンサ出力構成で符号化された集積回路を含むことができ、システムは、有線または無線通信プロトコルを介して、接続されたオーバーレイからその完全な出力構成をダウンロードし、それに応じて、システムがオーバーレイから取り外されるまで、その出力構成を実行することができる。
【0067】
キット内のシステムおよびオーバーレイは、システムおよびオーバレイを単一の向きで組み立てることを許容する方向的特徴を規定することもできる。例えば、システムは、その後端の左コーナにノッチを有する押出矩形形状を規定することができ、オーバーレイは、後端の左コーナに対応するノッチを有する押出矩形キャビティを規定することができ、それにより、システムを一方向のみからキャビティ内に取り付けること可能となっている。このため、コントローラは、システムに対するオーバレイのこの既知の向きに基づいて、オーバレイの制御面上の入力を解釈することができる。代替的には、システムは、(例えば、オーバーレイに一体化された磁石からの磁場の検出に基づいて)オーバーレイに対するシステムの向きを検出する1または複数のセンサ(例えば、ホール効果センサ)を含むことができ、コントローラは、システムに対するオーバーレイのこの検出した向きに基づいて、タッチセンサ面112のコマンド領域レイアウトを設定することができる。
【0068】
2.一体化されたトラックパッド
図11に示すように、人間コンピュータインターフェースのためのシステムの一変形例は、タッチセンサ110、カプラ132、振動子120、スピーカ(すなわち、オーディオドライバ140)およびコントローラ150を含む。タッチセンサ110は、基板と、基板上にパターン化された検知電極および駆動電極のペア116のアレイと、基板の上方に配置されて、基板の反対側にタッチセンサ面112を規定する抵抗層であって、タッチセンサ面112に加えられる力の大きさの変化に応じて局所的バルク抵抗の変化を示す材料を含む抵抗層とを含む。カプラ132は、基板をコンピューティングデバイスのシャーシ130に取り付けるとともに、基板の広い平面に平行な振動面内での基板の動きを許容するように構成されている。振動子120は、クリックサイクル中に振動面内で基板を振動させるように構成されている。スピーカは、クリックサイクル中にクリック音を再生するように構成されている。コントローラ150は、タッチ面上に閾値力の大きさを超える力が加えられたことに応答して、クリックサイクル中にスピーカを起動してクリックを再生するとともに、振動子120を起動してハウジング160を振動させ、さらに、タッチ面上に閾値力の大きさを超える力が加えられたことに応答して、コマンドを出力する。
【0069】
コンピュータシステムとユーザをインタフェースするシステムの同様の変形例は、タッチセンサ面114を含むタッチセンサ110であって、タッチセンサ面114上に配置された検知電極および駆動電極のペア116のアレイを含み、検知電極および駆動電極のペア116上に延在するタッチセンサ面112を規定するタッチセンサと、タッチセンサ110に結合され、タッチセンサ面112に平行な面内で質量体を振動させるように構成された振動子120と、シャーシ130と、タッチセンサ110とシャーシ130との間に設けられ、振動子120の作動時にタッチセンサ面112と平行なシャーシ130に対するタッチセンサ110の変位を吸収するように構成されたカプラ132と、シャーシ130に結合されたオーディオドライバ140と、コントローラ150とを含む。この変形例では、コントローラ150は、タッチセンサ110の第1の検知電極および駆動電極のペア間の第1の抵抗変化に基づき、第1の時間において、タッチセンサ面112への第1の入力の印加および第1の入力の第1の力の大きさを検出し;第1の力の大きさが第1の閾値の大きさを超えることに応答して、振動子120、シャーシ130内のタッチセンサ110を駆動し、オーディオドライバ140を起動してクリック音を出力することによって、第1のクリックサイクルを実行し;ほぼ第1の時間に、タッチセンサ面112上の第1の入力の第1の位置および第1の力の大きさを示す第1のタッチ画像を出力する。
【0070】
2.1 アプリケーション
この変形例では、通常、システムは、(人間の)ユーザによる入力を検出し、それら入力を機械可読コマンドに変換し、それらコマンドをコンピューティングデバイスに伝達し、入力が検出されたことを示すフィードバックをユーザに与える人間コンピュータインタフェースデバイスを規定するための要素を含み、上述した方法および技術を実行する。具体的には、システムは、入力を検出するタッチセンサ110と、フィードバックをユーザに与えるハプティックフィードバックモジュール(例えば、スピーカおよび振動子120)と、タッチセンサ110で検出された入力に基づいて、接続されたコンピューティングデバイスにコマンドを出力するコントローラ150であって、ハプティックフィードバックモジュールを介してハプティックフィードバックをトリガするコントローラとを含む。
【0071】
システムは、図12図15A図15B図15C図15Dおよび図15Fに示すように、コンピューティングデバイスに統合されて、一体化されたトラックパッドおよび/または一体化されたキーボードにまたがるような、タッチセンサ面112を規定することができる。システムは、閾値最小印加力または圧力を超える指またはスタイラスによる印加など、タッチセンサ面112上の入力を検出し、そのような入力に応答して、聴覚的および振動的(以下「ハプティック」と称する)フィードバックをユーザに発して、押下および解放されるときの機械的スナップボタンの聴覚的および触覚的な応答を模倣することができる。このため、システムは、垂直方向に拘束されたタッチセンサ面112を規定するが、機械的ボタンが押下および解放されたという印象をユーザに提供することができる。システムは、ラップトップコンピュータなどのコンピューティングデバイスに組み込まれた場合、タッチセンサ面112で検出された入力に基づいて、キーストローク、カーソルベクトルおよび/またはスクロールコマンドなどを出力することができ、コンピューティングデバイスは、システムから受信したそのようなコマンドに基づいて、処理を実行すること、あるいは一体化されたディスプレイ上に与えられるグラフィックユーザインターフェースをアップデートすることができる。代替的には、システムは、周辺機器キーボードまたは一体化されたトラックパッドを有する周辺機器キーボードなどの周辺装置に統合することができる。
【0072】
本明細書では、システムは、ユーザ入力を検出し、ユーザ入力に応答してユーザにハプティックフィードバックを提供し、それらユーザ入力に基づいて、統合されたコンピューティングデバイス内の別の処理ユニットまたはコントローラ150にコマンドを出力する統合された人間コンピュータインタフェースコンポーネントとして説明されている。しかしながら、システムは、コンピューティングデバイスに対して接続および切断されるスタンドアロンデバイスまたは周辺装置を代わりに規定することができ、接続されたときに、タッチセンサ面112上で検出された入力に基づいてコンピューティングデバイスにコマンドを出力することができる。例えば、システムは、リモートコントローラ150、ゲームコントローラ150、固定電話、スマートフォンまたはウェアラブル装置などを規定することができる。
【0073】
2.2 統合
この変形例では、システムは(例えば、コンピューティングデバイスに一時的に接続するように構成された周辺インターフェースデバイスを規定するのではなく)コンピューティングデバイスに統合される。一実施例では、システムは、ラップトップコンピュータのキーボードに隣接する一体化されたトラックパッドとして機能することができる。この実施例では、タッチセンサ面112および振動子120は、クリックサイクル中にタッチセンサ面112を通る振動の伝達を実質的に維持するために、コンピューティングデバイスの構造から機械的に分離されている。例えば、振動子120、検知電極および駆動電極を含み、タッチセンサ110を支持するハウジング160は、ハウジング160を吊り下げる圧縮可能な発泡体パッドによって、その頂面、底面および/または側面をコンピューティングデバイスの筐体から分離することができる。別の実施例では、ハウジング160は、流体で満たされたダンパによってコンピューティングデバイスの筐体に結合することができる。したがって、この実施例では、シャーシ130は、モバイルコンピューティングデバイスのハウジング160を含み、レセプタクル134を規定することができ、カプラ132は、レセプタクル134内でタッチセンサ110を位置決めすることができる。この実施例では、システムは、ハウジング160内に配置され、よってコンピューティングデバイスの構造から機械的に分離された、上述のオーディオドライバ140を含むことができる。コンピューティングデバイスは、主スピーカ(または主スピーカのセット)を含むことができるとともに、副スピーカを含むシステムを含むことができ、副スピーカは、主スピーカとは独立に、クリックサイクル中にクリック音を再生して、作動された機械的スナップボタンの音を模倣する。代替的には、この実施例では、システムは、スピーカを除くことができ、コントローラ150は、コンピューティングデバイスに組み込まれた1または複数の主スピーカを介してクリック音を再生することができる。
【0074】
2.3 タッチセンサ+コントローラ
この変形例では、タッチセンサ110およびコントローラ150は、タッチセンサ110の検知電極と駆動電極のペア間の抵抗の変化などに基づいて、タッチセンサ面112上の入力および入力の大きさを検出するための要素を含み、上述したものと同様の機能を実行することができる。
【0075】
さらに、コントローラ150は、タッチセンサ110の基板上に配置されて、完全に収容されたタッチセンサ110を形成することができ、このタッチセンサは、接続されたコンピューティングデバイスから電力を受け取り、タッチセンサ面112上の入力を検出し、検出した入力に応答して機械的な振動および音などの形態のハプティックフィードバックを出力し、タッチセンサ面112上で検出した入力に対応するコマンドを出力する。代替的には、コントローラ150のすべてまたは一部が基板から離れていてもよく、例えば、接続されたコンピューティングデバイス内に配置され、かつ/またはコンピューティングデバイス内の他のコントローラとともに1または複数のプロセッサと物理的に同一の広がりを有するようにしていもよい。
【0076】
2.4 ハプティックフィードバックモジュール
この変形例では、システムは、上述したように、振動子120およびスピーカを含む。例えば、振動子120は、振動線形アクチュエータに接続された質量体を含むことができ、このアクチュエータは、作動時に質量体を単一の作動軸に沿って振動させる。この実施例では、振動子120の作動軸をシステムの振動面と平行にして、振動子120を基板に結合させることができ、カプラ132は、振動子120の作動軸と実質的に平行な移動の1角度(one degree)を除いて基板を拘束することができる。別の実施例では、振動子120は、回転アクチュエータに結合された偏心質量を含み、このアクチュエータが、作動時に回転軸を中心に偏心質量を回転させる。この実施例では、振動子120の回転軸をシステムの振動面に対して垂直にして、振動子120を基板に結合させることができ、カプラ132は、振動子120の回転軸に対して垂直な移動の2角度を除いて、基板を拘束することができる。代替的には、振動子120は、振動ダイヤフラムまたは他の任意の適切なタイプの振動アクチュエータ上の質量体を含むことができる。また、振動子120は、圧電アクチュエータ、ソレノイド、静電モータ、ボイスコイル、または質量体を振動させるように構成された他の任意の形態またはタイプのアクチュエータを含むことができる。
【0077】
上述したように、システムは、クリックサイクル中に「クリック」音を出力するように構成されたスピーカ(またはブザーまたは他のオーディオドライバ140)も含む。この変形例では、スピーカを基板上に配置して、クリックサイクル中に基板とともに移動させることができる。この実施例では、抵抗層は、スピーカ上のスピーカグリルを規定する1または複数の穿孔を含むことができ、スピーカは、穿孔を介してユーザに音を出力することができる。代替的には、抵抗層の外周が、コンピューティングデバイスと抵抗層との間にギャップを形成するために、基板と抵抗層を収容するコンピューティングデバイスのレセプタクル134内でオフセットされるようにしてもよく、スピーカは、このギャップを介してユーザに伝達される音を出力することができる。例えば、スピーカは、タッチセンサ面112の反対側の基板上に配置することができ、タッチセンサ面112は、スピーカにより出力される音を通過させるように構成されたギャップを形成するために、レセプタクル134の1または複数の縁部からインセットされるトラックパッド面を規定することができる。
【0078】
代替的には、スピーカを基板から離して配置することができる。例えば、スピーカは、コンピューティングデバイスのシャーシ130内に配置された別個のスピーカ(例えば、主スピーカ)を規定することができる。それらの実施例において、コンピューティングデバイスは、主スピーカ(または主スピーカのセット)を含むことができ、コンピューティングデバイスに統合されたシステムは、副スピーカを含むことができ、副スピーカは、主スピーカとは独立に、クリックサイクル中にクリック音を再生して、作動された機械的スナップボタンの音を模倣する。代替的には、スピーカは、コンピューティングデバイスの主スピーカと物理的に同一の広がりを持つことができ、主スピーカは、「クリック」音と、録音されたライブオーディオ(例えば、音楽、コンピューティングデバイスで再生されるビデオのオーディオトラック、ビデオまたはボイスコール中の生の音声)を実質的に同時に出力することができる。
【0079】
さらに、コンピューティングデバイス内のオーディオシステムがユーザによってミュートされると、コンピューティングデバイスは、タッチセンサ面112上の入力に応答して、「クリック」音を除き、コンピューティングデバイスからのすべてのオーディオ出力をミュートすることができる。同様に、コンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイスによって実行され、コンピューティングデバイス上で設定される様々な他の機能にもかかわらず、タッチセンサ面112上の入力の実質的に均一な「感触」を維持するために、コンピューティングデバイスで設定されたオーディオレベルに関係無く、スピーカを起動して一定のデシベルレベル(または「音の大きさ」)で「クリック」音を出力することができる。このため、スピーカがコンピューティングデバイスに組み込まれて(例えば、タッチセンサ110から離れてシャーシ130に取り付けられて)モバイルコンピューティングデバイスにおいて主スピーカを規定するこの実施例では、コントローラ150は、モバイルコンピューティングデバイスのグローバル音量設定とは無関係に、オーディオドライバ140を起動して固定の予め設定された音量でクリック音を出力するように構成されている。
【0080】
2.5 カプラ
カプラ132は、基板をコンピューティングデバイスのシャーシ130に取り付けるとともに、基板の広い平面に平行な振動面内での基板の動きを許容するように構成されている。一般に、カプラ132は、コンピューティングデバイス(例えば、ラップトップコンピュータ)のシャーシ130に対して基板を拘束するが、基板、振動子120および抵抗層がクリックサイクル中に、タッチセンサ面112に対して実質的に平行な平面内で振動することを許容する。
【0081】
Z軸に対して垂直で振動面に対して平行なシステムのX軸に沿って振動子120が直線的に質量体を振動させる一実施例では、カプラ132は、何れかの軸周りの回転およびシステムのY軸およびZ軸の両方に沿った移動を含む5自由度で、基板を(ほぼ)拘束することができ、カプラ132は、クリックサイクル中に振動子120が作動されるときに、基板が(実質的に)システムのX軸に沿ってのみ移動することを許容することができる。振動子120が回転アクチュエータの出力軸に結合された偏心質量体を含み、回転アクチュエータの出力軸がタッチセンサ面112に対して垂直である(すなわち、システムのZ軸に平行である)別の実施例においては、カプラ132は、何れかの軸周りの回転およびシステムのZ軸に沿った移動を含む4自由度で、基板を(ほぼ)拘束することができ、カプラ132は、クリックサイクル中に振動子120が作動されるときに、基板がシステムのX軸およびY軸に沿って(すなわち、タッチセンサ面112に平行な面において)移動することを許容することができる。
【0082】
一実施例では、コンピューティングデバイスのシャーシ130は、システムを受け入れるように構成されたレセプタクル134(例えば、キャビティ)を規定し、カプラ132は、レセプタクル134内の基板および抵抗層を位置決めするように機能する。また、コンピューティングデバイスのシャーシ130は、レセプタクル134の上および中に延在してキャビティの周りにアンダーカットを形成するオーバーハングも規定することができ、カプラ132は、例えば、1または複数の機械的ファスナー、グロメットまたは接着剤などを介して、オーバーハングの下側に基板を取り付けることができる。
【0083】
一変形例では、タッチセンサ110がタッチセンサ面114を含み、このタッチセンサ面が、基板の裏面にわたって延在し、タッチセンサ面112に加えられる下向きの力などによる振動面からの偏向に対して、基板を支持するように機能する。この変形例では、タッチセンサ面114は、ガラス繊維プレート、金属(例えば、アルミニウム)プレート、繊維充填ポリマープレートまたは他の任意の材料からなるプレートを含むことができ、機械的ファスナまたはグロメットなどにより基板に結合すること又は取り付けることができ、タッチセンサ面114は、コンピューティングデバイスのシャーシ130に結合または固定して、レセプタクル134内に基板および抵抗層を取り付けることができる。
【0084】
代替的には、典型的な荷重がタッチセンサ面112に加えられたときに、振動面からの実質的な変形に抵抗するのに十分な剛性を基板が有するように、基板を剛性材料から形成し、かつ/または厚さとすることができる。例えば、基板は、厚さ3mmのガラス繊維または炭素繊維のPCBを含むことができる。追加的または代替的には、基板は、基板の剛性を改善するために、1または複数の鋼、銅またはアルミニウムのリブを含むことができ、それらが、基板の裏面にはんだ付けまたはリベット止めされて、基板の長さおよび/または幅にわたっている。このため、基板は、ある材料および形状からなるものであってもよく、かつ/または、基板および抵抗層アセンブリに実質的な質量を追加することなく振動面における基板の剛性を増加させる追加的な補強要素を含むことができ、それにより、剛性基板による振動の吸収の減少によるシステムの応答性を改善することができるとともに、クリックサイクル中の振動子120の1ストローク当たりの基板および抵抗層アセンブリの変位を増加させることができる。
【0085】
2.5.1 グロメット
一実施例では、カプラ132は、弾性グロメット(例えば、「振動減衰スナップイン非ネジ式スペーサ」)を介して、コンピューティングデバイスのレセプタクル134に基板(またはタッチセンサ面114)を取り付ける。図13D図13E図17Aおよび図17Bに示す一実施例では、カプラ132は、2つのネック部を含む1つの円筒形グロメットを含み、グロメットの上側ネック部が基板の対応するボアと係合した状態で、グロメットが基板の各コーナでボアに挿入されている。この実施例では、各グロメットについて、カプラ132は、金属またはガラス繊維のタブなどの剛性タブも含み、この剛性タグが、グロメットの下側ネック部と係合する第1のボアと、第1のボアから横方向にオフセットした第2のボアであって、ネジ、ナットまたはリベットなどのファスナを介してコンピューティングデバイスのシャーシ130に取り付けられるように構成された第2のボアとを含む。この実施例では、剛性タブが、例えば基板の周囲を取り囲む剛性フレームを形成するように、あるいは基板の裏面にまたがる剛性プレートの形態に連結されるものであってもよい。この実施例では、各グロメットは、上側ネック部と下側ネック部との間の拡大部分を含み、その拡大部分が、タブの上方(または剛性フレームの上方、剛性プレートの上方)で基板を垂直方向にオフセットさせるとともに、基板を垂直方向に支持しながら基板がタブ(または剛性フレーム、剛性プレート)に対して横方向に移動することを許容する。この実施例では、各グロメットは、シリコーン、ゴムまたは他の任意の可撓性または弾性材料から形成することができ、さらに、クリックサイクル中の振動子120の振動に起因するグロメットの横方向の撓みを許容するが、タッチセンサ面112上に人間の片手または両手が置かれているとき、および/またはタッチセンサ面112にわたって両手がキーストローク(例えば、「タイプ」)を入力しているときなど、典型的な荷重におけるグロメットの圧縮を制限するのに十分なデュロメータによって特徴付けることができる。
【0086】
図13Fに示す別の実施例では、カプラ132は、単一のネック部を含む円筒形グロメットを含み、このグロメットが基板の各コーナのボアに一つずつ挿入されている。この実施例では、カプラ132は、グロメットごとに1つの剛性タブまたは基板にまたがる剛性フレームまたは剛性プレートも含む。タブ、フレームまたはプレートは、コンピューティングデバイスのシャーシ130に対して垂直方向にグロメットを拘束するために、基板の背部に取り付けられている。クリックサイクル中、グロメットは、振動子120が作動されるときに、曲がりまたは屈曲して、基板が振動面内を移動することを可能にする。コンピューティングデバイスのシャーシ130および/またはタブ、フレームまたはプレートは、グロメット凹部も含むことができ、このグロメット凹部は、グロメットの端部を受け入れて、グロメットをコンピューティングデバイスのレセプタクル134内で横方向および縦方向に位置決めするように構成されている。各グロメット凹部は、円筒状グロメットには大き過ぎる円筒状凹部を規定することができ、それによりグロメットが横方向および縦方向の両方に移動することを可能にして、クリックサイクル中に基板が振動面内で横方向および縦方向の両方に移動することを可能にする。同様に、各グロメット凹部は、グロメットがグロメット凹部内で横方向にのみ(または縦方向にのみ)移動することを可能にする細長い(または「菱形」)凹部を規定することができ、それにより、クリックサイクル中に基板が振動面内で横方向(または縦方向)に移動するのを可能にすることができる。
【0087】
この実施例では、グロメットは中実の可撓性本体を規定することができる。代替的には、グロメットは、剛性または弾性本体と、本体の内側(または外側)に配置された屈曲部とを含むことができる。この実施例では、グロメットは、基板(またはタッチセンサ面114)をコンピューティングデバイスのシャーシ130に結合させることができ、屈曲部は、本体に対して相対的に移動して、それによりシャーシ130に対して基板が横方向および/または縦方向にシフトすることを可能にするように構成されている。代替的には、システムは、より大きな圧縮およびコンプライアンスを許容する1または複数の流体で満たされかつ/またはリブ付きのグロメットを含むことができる。例えば、グロメットは、振動面からの撓みよりも振動面内におけるより大きな撓みを許容する内部半径方向リブのセットを含むことができる。
【0088】
このため、この実施例では、振動子120は、タッチセンサ110のタッチセンサ面114(例えば、タッチセンサ110の中心付近)に結合させることができるとともに、タッチセンサ面112に平行でかつタッチセンサ110の縁部に平行なベクトルに沿って質量体を振動させるように構成された線形アクチュエータを含むことができ、カプラ132は、モバイルコンピューティングデバイスのシャーシ130から延びてタッチセンサ面114内の取付ボアを通り抜けるグロメットであって、シャーシ130に対してタッチセンサ面114を垂直方向に拘束するように構成されるとともに、タッチセンサ面112と平行な方向に弾性を示すグロメットを含むことができる。しかしながら、この実施例では、カプラ132は、他の任意の構成の他の任意の数のグロメットを含むことができる。例えば、カプラ132は、三角形構成の3つのグロメットと;基板またはタッチセンサ面114の各コーナに1個ずつ設けられた四角形構成の4つのグロメットと;基板(またはタッチセンサ面114)の各コーナに1個ずつ設けられたグロメットおよび基板の各長辺(またはタッチセンサ面114の各長辺)の中心に1個ずつ設けられたグロメットを含む6つのグロメットとを含むことができる。このため、システムは、限定された数のファスナまたは接着剤でコンピューティングデバイスのレセプタクル134に取り付けることができる完全な人間コンピュータインタフェースサブシステムを規定することができる。
【0089】
2.5.2 アイソレータ
図13Aに示す別の実施例では、カプラ132は、基板の裏面側(またはタッチセンサ面114の裏面側)およびコンピューティングデバイスのレセプタクル134内の表面に接合された弾性アイソレータを含む。一実施例では、カプラ132は、一方の側でタッチセンサ面114の裏面に結合され、かつコンピューティングデバイスのレセプタクル134の底部に結合された(例えば4つの)シリコーンボタンのセットを含む。この実施例では、タッチセンサ面112に力が加えられたときにシリコーンボタンを圧縮状態とすることができ、このため、シリコーンボタンは、タッチセンサ面112に力が加えられるときに圧縮に実質的に抵抗するのに十分な弾性率および幾何学的形状を規定することができるが、クリックサイクル中に振動面において基板が平行移動することを可能にする。代替的には、この実施例では、カプラ132は弾性アイソレータを含むことができ、この弾性アイソレータが、基板の上面(またはタッチセンサ面114の上面)に接合されるとともに、コンピューティングデバイスのレセプタクル134内に延びるコンピューティングデバイスのCサイド(C-side)の上面の下側に接合され、弾性アイソレータは、レセプタクル134内で基板を吊り下げることができる。
【0090】
2.5.3 バネクリップ
図13Cに示す別の実施例では、カプラ132は、基板(またはタッチセンサ面114)をコンピューティングデバイスのシャーシ130に結合するバネクリップのセットを含む。一実施例では、カプラ132は(例えば、4つ)のバネ鋼のバネクリップのセットを含み、それぞれが実質的に水平な2つのタブの間に介装された実質的に垂直なセクションを規定して、ZセクションまたはCセクションを形成する。この実施例では、各バネタブの上側タブがコンピューティングデバイスのシャーシ130に固定され(例えば、リベット留めされ)、各バネタブの下側タブが同様に、基板の1つのコーナに固定され、バネクリップのセットのすべての中央セクションの広い面が平行に配置される。この実施例では、バネクリップに張力をかけることができ、バネクリップがシャーシ130から基板を吊り下げることができるが、基板を振動面内の単一軸に沿って動くのを許容することができる。
【0091】
2.5.4 発泡体ラップ
図13Gに示す別の実施例では、カプラ132は、基板の一縁部に沿って基板の上面から基板の底面に巻き付けられた第1の発泡体部分と、基板の反対側の縁部に沿って基板の上面から基板の底面に巻き付けられた第2の発泡体部分と、コンピューティングデバイスのシャーシ130に対して固定され、発泡体部分をシャーシ130に対して拘束するクランプのセットとを含む。例えば、各発泡体部分は、独立気泡シリコーン発泡体を含むことができ、基板の上面および底面の両方で基板(またはシリコーンバッキング)に接着することができる。代替的には、基板は、発泡体部分から引き離すことができ(例えば、接着されておらず)、クリックサイクル中に発泡体部分に対して平行移動することができる。各クランプはクリップを含むことができ、このクリップが、リベット、ネジまたは他の機械的ファスナを用いて、コンピューティングデバイスのシャーシ130に固定して、基板の縁部の周りに巻き付けられた隣接する発泡体部分を、コンピューティングデバイスのシャーシ130に対して圧縮するように構成されている。さらに、この実施例では、レセプタクル134によって基板が過度に拘束されずに、クリックサイクル中に基板が振動面内を移動することができるように、コンピューティングデバイスのレセプタクル134の長さおよび/または幅を大きくすることができる。
【0092】
2.5.5 ベアリング
図13Bに示すさらに別の実施例では、カプラ132は、ベアリングのセットを介して基板(またはタッチセンサ面114)をコンピューティングデバイスのシャーシ130に取り付ける。一実施例では、コンピューティングデバイスのレセプタクル134は、複数のベアリング受けを含むことができ、基板は、各ベアリング受けと垂直方向に整列され、かつタッチセンサ面112とは反対側の基板の裏面側に配置される1つのベアリング面を含むことができ、カプラ132はボールベアリングを含むことができ、ボールベアリングは各ベアリング受けに1個ずつ配置され、基板の裏面側の対応するベアリング面で基板を垂直方向に支持するように構成されている。
【0093】
別の実施例では、コンピューティングデバイスのレセプタクル134は、基板の裏面に沿って間隔を置いて配置された3×8グリッドアレイに配置された24個のベアリング受けを規定し、カプラ132は各ベアリング受けに1個ずつ配置されたボールベアリングを含む。この実施例では、ベアリングは、(典型的な大きさの)荷重がタッチセンサ面112に加えられたときに基板の局所的な撓みを制限するために、隣接するベアリング間の限られた最大スパンで基板(またはタッチセンサ面114)を支持することができる。このため、カプラ132は、基板を垂直方向に支持するスラストベアリングとして機能する複数のベアリングを含むことができる。しかしながら、この実施例では、コンピューティングデバイスは、他の任意の方法で配置された他の任意の数のベアリングを含むことができる。
【0094】
この実施例では、各ベアリング受けは、平行移動においてボールベアリングを拘束する半球形のカップを規定することができ、基板は、鋼またはポリマーの平坦なベアリング面を含むことができ、このベアリング面は、基板の裏面(またはタッチセンサ面114の裏面)にはんだ付けされ、接着され、または取り付けられ、図13Hに示すように、接触点で隣接するボールベアリングと係合するように構成されている。代替的には、基板(またはタッチセンサ面114)に取り付けられた各ベアリング面は、線形トラック(例えば、V溝)を規定することができ、ベアリング面のセットのすべての線形トラックは、図13Bに示すように、平行となっていて、クリックサイクル中に線形トラックに平行な単一方向に振動平面内で基板が平行移動することができる(またはその逆となっている)。また、ベアリング受けおよびベアリング面は、単一の軸に沿って平行移動するように基板を拘束する同様の平行な線形トラックを規定することもでき、あるいはベアリング受けおよびベアリング面は、振動プレート内の2つの軸に沿って基板が平行移動することを可能にする、同様であるが、垂直方向の線形トラックを規定することができる。さらに、各ベアリング受けには、湿潤または乾式潤滑剤(例えば、グラファイト)を充填することができる。
【0095】
この実施例では、カプラ132は、代替的に、1つまたは2つの軸のみに沿って平行移動するように基板を同様に拘束する1または複数の線形ベアリングまたは線形スライドを含むことができる。
【0096】
さらに、カプラ132は、基板(またはタッチセンサ面114)に追加の支持を提供するために、上述した実施例の何れかを備えた1または複数のベアリングを組み込むことができる。例えば、基板がレセプタクル134内に配置されて、基板(またはタッチセンサ面114)の厚さおよび剛性(例えば、弾性率)に対して大きな幅および/または大きな長さにわたる場合、コンピューティングデバイスのレセプタクル134は、1または複数のベアリング受けを含むことができ、基板は、抵抗層とは反対側の基板の裏側にあるコンピューティングデバイスのレセプタクル134内の各ベアリング受けと整列されたベアリング面をそれぞれ含むことができ、カプラ132は、シャーシ130からの基板の四隅の各々を吊り下げる4つのバネクリップと、各ベアリング受けに1個ずつ配置されて、基板の裏面の対応するベアリング面で基板を垂直方向に支えるように構成されたボールベアリングとを含むことができる。
【0097】
2.5.6 屈曲部
図13Hに示す別の実施例では、カプラ132は屈曲部を規定し、この屈曲部が、基板(またはタッチセンサ面114)に結合されるか、または組み込まれている。例えば、基板の外周に沿った部分を、例えばルータ加工により取り除いて、基板の中心部分から延びる蛇行したビームまたはブストロフェディック(boustrophedic)なビームのセットを形成することができる。この実施例では、基板をシャーシ130に結合するが、コンピューティングデバイスに対して振動面内で基板を横方向および/または横方向に平行移動させるために、各ビームの遠位端をコンピューティングデバイスのシャーシ130にリベットまたはネジ付きファスナなどで固定することができる。この実施例では、カプラ132は、上述したように、タッチセンサ面112に力が加えられたときに、内向きの撓みに対して基板の中心部分を垂直方向に支持するための1または複数のベアリングも含むことができる。
【0098】
2.6 振動子の変形例
図16に示す一変形例では、振動子120は、基板(またはタッチセンサ面114)に取り付けられた磁気コイルと、コンピューティングデバイスのシャーシ130に結合された磁気(または鉄)要素とを含むか、またはその反対に取り付けられた磁気コイルおよび磁気要素を含む。例えば、磁気要素は、システムおよびコンピュータシステムの合計高さを低減するために、コンピューティングデバイスのシャーシ130の凹部内に埋め込むことができる。代替的には、振動子120は、ブロックS120において、コンピューティングデバイスのシャーシ130の凹部内に配置された磁気コイルと、基板に固定(例えば、リベット留め、接着、はんだ付け)された磁気要素とを含むことができる。クリックサイクル中、コントローラ150は、磁気コイルを交流で駆動して、ボイスコイルと同様に磁気要素に磁気的に結合する交番磁界を磁気コイルに出力させ、それにより振動面において基板をシャーシ130に対して相対的に振動させる。この変形例では、基板(またはタッチセンサ面114)は、上述したようにシャーシ130から吊り下げられている。
【0099】
代替的には、システムは、図17Aに示すように、基板(またはタッチセンサ面114)とコンピューティングデバイスのシャーシ130との間に配置され、かつ振動面内で横方向(または縦方向)に基板を振動させるように構成された、圧電アクチュエータ、ソレノイド、静電モータ、ボイスコイル、スピーカまたは他の任意のタイプのアクチュエータを含むことができる。
【0100】
2.7 タッチセンサ面の接合部
一実施例では、抵抗層は、基板の外周を越えて延び、コンピュータデバイスのシャーシ130の外面と接触する。例えば、コンピューティングデバイスのCサイドにわたって連続的な表面を形成するために、抵抗層は、基板の外周から、基板とコンピューティングデバイスのレセプタクル134との間の接合部を越えて、コンピューティングデバイスのシャーシ130の上面の外周まで延びるようにしてもよい。この実施例では、抵抗層が基板とコンピューティングデバイスのレセプタクル134との間の接合部に及ぶ場合に、クリックサイクル中に基板の振動を減衰させ、かつ/またはクリックサイクル中の振動面内での基板の平行移動に対する機械的抵抗を制限するために、抵抗層は、薄い領域または「ネック」を規定することもできる。
【0101】
別の実施例では、抵抗層は基板の外周まで延びるが、基板の外周を(実質的に)越えることはない。この実施例では、システムは、基板の外縁部とコンピューティングデバイスのレセプタクル134の内壁との間に配置された軟質シール(例えば、成形シリコーンリング)をさらに含むことができ、それによりシステムとコンピューティングデバイスのレセプタクル134との間に埃、湿気および/または他のゴミが侵入するのを防止することができる。代替的には、抵抗層の外周に成形された隆起部または蛇腹部などのような形態のシールを抵抗層と一体化することができ、基板とコンピューティングデバイスのレセプタクル134との間の接合部を橋渡ししてシールするのに十分な短い距離だけ、基板の外周を越えて抵抗層を延ばすことができる。
【0102】
しかしながら、システムは、基板とコンピューティングデバイスのレセプタクル134との間の接合部を閉鎖またはシールするための他の任意の要素または特徴を含むことができる。
【0103】
2.8 トラックパッド+キーボード
コンピューティングデバイスがラップトップコンピュータを規定する一変形例では、図12図15A図15B図15C図15Dおよび図15Fに示すように、コンピューティングデバイスは、そのCサイドの実質的に全幅および全長にわたるレセプタクル134を含み、システムが、トラックパッド領域およびキーボード領域の両方を規定することができる。この変形例では、コントローラ150は、クリックサイクルを起動し、クリックコマンド、カーソルベクトルまたはスクロールコマンドなどを出力することによって、トラックパッド領域上の入力に応答する前述した方法および技術を実行することができる。この変形例では、コントローラ150は、キーボードの個別のキー領域(例えば、26個のアルファベットキー領域、10個の数字キー領域および様々な句読点および制御キー)を指定することもでき、キーボードの対応する個別のキー領域上で検出された入力に応答して、クリックサイクルを起動してキーストロークコマンドを出力することができる。
【0104】
一実施例では、タッチセンサ面112は、キーボード領域およびトラックパッド領域にわたって連続面を規定し、システムは、タッチセンサ面112にわたってスクリーン印刷された白インクのような、タッチセンサ面112のキーボード領域における個別のキー領域に印刷または貼付されるキー指定子(例えば、英数字キャラクタ、句読点キャラクタ)を含む。この実施例では、システムは、そのようなインクで指定された個別のキー領域および/またはトラックパッド領域のための境界も含むことができる。システムは、追加的または代替的に、タッチセンサ面112にわたってエンボス加工またはデボス加工されたキー指定子および/または領域指定子を含み、それによりユーザが、タッチセンサ面112の様々な領域を触覚的に区別することを可能にする。さらに代替的には、システムは、タッチセンサ面112のキーボード領域上に取り付けられ、かつ視覚的にまたは機械的に区別された個別のキー領域を含むキーボードオーバーレイ164を含むことができ、それにより、キーボード領域内の様々な個別の入力領域にリンクされたコマンドまたは入力を規定することができる。この実施例では、キーボードオーバーレイ164は、タッチセンサ面112のキーボード領域に一時的に(すなわち取り外し可能に)取り付けることができ、それにより例えば、ユーザがQWERTYキーボードレイアウトを規定する第1のキーボードオーバーレイ164を、AZERTYキーボードレイアウトを規定する第2のキーボードオーバーレイ164と交換することを可能にすることができる。この実施例では、タッチセンサ面112のキーボード領域上に配置されたオーバーレイ164の個別のキー領域を押し下げることにより、抵抗層を局所的に圧縮することができ、それにより駆動電極および検出電極上の抵抗層のバルク抵抗および/または接触抵抗を変更することができ、また、コントローラ150は、そのような抵抗層のバルク抵抗および/または接触抵抗の変化を入力として検知し、入力の位置に基づいて特定のキーストロークをその入力に関連付け、コンピューティングデバイス内の処理ユニットにそのキーストロークを出力し、クリックサイクルを起動することができる。
【0105】
この変形例では、コンピューティングデバイスのCサイドの近端部とキーボード領域との間にトラックパッド領域を介在させることができ、ユーザがキーボードをタイプするときにトラックパッド上に手のひらを置くことができるように、トラックパッド領域がキーボード領域の幅のかなりの部分に沿って広がるものであってもよい。動作中、コントローラ150は、ユーザがキーボード領域上でタイプしているときに、カーソル移動ではなく、キーストロークを検知するために、トラックパッド上の入力を手のひらと特徴付けて、そのような入力を拒絶し、キーボード領域上の入力を選択することができる。例えば、コントローラ150は、パターンマッチングまたはテンプレートマッチング技術を実行して、タッチセンサ面112のトラックパッド領域上で検出された1または複数の入力領域を、1または2の手のひらと一致させることができ、コントローラ150はそれらの入力を拒絶することができる。この実施例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112のキーボード領域上の1入力または一連の入力(例えば、「キーストローク」)の検出に応答して、置いている手のひらに対応するものとして入力領域の特定を確認することができ(例えば、入力領域と分類された手のひらテンプレートとの間のマッチングを確認することができ)、その反対を行うこともできる。また、システムは、トラックパッド領域上の入力領域をキャプチャし、それらの入力領域を新しいテンプレート画像として記憶し、トラックパッド領域上の入力領域の検出の閾値時間(例えば、3秒)以内に続くキーボード領域上のキーストロークの検出に基づいて、それらの新しいテンプレート画像を、置いている手のひらを示すものとして、または置いている手のひらを示すものではないとして、分類することもできる。しかしながら、コントローラ150は、手のひらを排除する他の任意の方法または技術を実行することができ、手のひらの排除モデルを自動的に教育するための他の任意の方法または技術を実行することができる。
【0106】
さらに、システムは、タッチ面のトラックパッド領域内で検出された入力を、タッチ面上の入力の初期位置、最終位置、速度、力(または圧力)の大きさなどに基づいて、様々なコマンドの1つとして変換することができる。例えば、コントローラ150は、上述した方法および技術に基づいて、クリック、ディープクリックスクロール、ズームおよびカーソル移動のコマンドのうちの1つとしてタッチ面上の入力を解釈することができる。この実施例では、コントローラ150は、トラックパッド領域内のクリック入力を規定する第1の押下閾値の大きさまでの第1の力がトラックパッド領域に加えられ、その後にトラックパッド領域から第1の力が解放された(すなわち、第1の押下閾値の大きさより小さい第1の解放閾値の大きさ未満となった)場合に、選択(または「左クリック」)入力として解釈することができる。その後、コントローラ150は、選択(または「左クリック」)コマンドを出力し、それに応じて、タッチセンサ面112のトラックパッド領域の下にある第1の振動子120などを介して、「ダウン」クリックサイクルを実行し、次に「アップ」クリックサイクルを実行することができる。
【0107】
同様に、コントローラ150は、トラックパッド領域内の「ディープ」(または「右クリック」)クリック入力を規定する第2の押下閾値の大きさまでの第2の力がトラックパッド領域に加えられ、その後にトラックパッド領域から第2の力が解放された(すなわち、第1の解放閾値の大きさ未満となった)場合に、「ディープクリック」入力として解釈することができる。その後、コントローラ150は、ディープクリック(または「右クリック」)コマンドを出力し、それに応じて、第1の振動子120を介して「ディープダウン」クリックサイクルを実行し、次に「アップ」クリックサイクルを実行することができる。
【0108】
さらに、コントローラ150は、キーボード領域内のクリック入力を規定する(例えば、第1の押下閾値の大きさよりも小さい)第3の押下閾値の大きさまでのキーボード領域に加えられる第3の力を、タッチセンサ面112上の第3の力の位置に割り当てられたキャラクタのキーストロークとして解釈することができ、その後、コントローラ150は、このキーストロークを出力し、タッチセンサ面112のキーボード領域の下にある第2の振動子122を介して、単一の「ダウン」クリックサイクルを実行することができる。コントローラ150は、キーボード領域からの第3の力の解放が検出されるまで(すなわち、第2の押下閾値の大きさより小さい第2の解放閾値の大きさ未満となるまで)、キーストロークを繰り返し出力し、その後、それに応じて「アップ」クリックサイクルを実行することができる。
【0109】
また、コントローラ150は、2つの異なるタッチ入力、すなわち、タッチセンサ面112上で互いに向かって移動するタッチ入力または互いに離れるように移動するタッチ入力を、ズームアウト入力またはズームイン入力としてそれぞれ解釈することもできる。さらに、コントローラ150は、タッチセンサ面112に沿って移動する入力の速度および方向に基づいて、カーソルベクトルを生成し、それらのカーソルベクトルをコンピューティングデバイス内の処理ユニットまたは他のコントローラ150にほぼリアルタイムで出力することができる。
【0110】
しかしながら、コントローラ150は、タッチセンサ面112上の他の任意の形態またはタイプの他の任意の入力を検出し、それら入力に他の任意の方法で応答することができる。
【0111】
2.9 マルチ振動子
前述した実施例では、システムは、複数のスピーカおよび複数の振動子を含むことができ、トラックパッド領域およびキーボード領域の両方の入力に応答してスピーカおよび振動子でクリックサイクルを選択的に起動することができる。クリックサイクル中にコントローラ150がモータドライバを起動して、250ミリ秒の目標クリック持続時間だけ振動子120を駆動する一実施例では、システムは、1分間に480キーストローク(すなわち、8Hzのキーストローク入力速度)までの人間のキーストローク速度をサポートするために、タッチセンサ面112の反対側で基板に接続された3つの振動子を含むことができる。この実施例では、振動子120は、基板の中心付近のような基板の裏側の狭いクラスタ内に配置することができ、コントローラ150は、キーボード領域の次の入力に応答して、一次振動子120を起動してクリックサイクルを実行することを行わないようにすることができる。しかしながら、タッチセンサ面112上の次の入力が検出されたときに一次コントローラ150がクリックサイクルを完了している場合、または次の入力を受け取って閾値休止時間(例えば、数ミリ秒)未満で一次振動子120がクリックサイクルを完了した場合には、コントローラ150は、この次の入力に応答して、二次振動子120を起動してクリックサイクルを実行することができる。この実施例では、コントローラ150は、次の入力を受けたときに一次および二次振動子がクリックサイクルを完了している場合、次の入力に応答して、同様の方法を実行し、三次振動子120を起動してクリックサイクルを実行する。代替的には、コントローラ150は、タッチセンサ面112上で入力が検出されると、第1の振動子120、第2の振動子122および第3の振動子120を順次作動させることができる。さらに代替的には、この実施例では、振動子を基板の裏面全体にわたって分散配置させることができ、例えば、基板の裏面の3つの等幅の縦列領域の各々に1つずつの振動子120を配置させることができ、コントローラ150は、入力の検出に応答して、タッチセンサ面112上で検出された入力に最も近く現在静止中で休止時間外にある振動子120を選択的に起動して、クリックサイクルを実行することができる。
【0112】
コントローラ150は、タッチセンサ面112上で検出された入力に応答して、同様の方法および技術を実行して、システム内またはコンピューティングデバイス内の1または複数のスピーカを起動してクリックサイクルを実行することができる。例えば、システムは、基板に結合された(例えば、取り付けられた)1または複数の別個のスピーカを含むことができる。代替的には、コントローラ150は、タッチセンサ面112上で検出された入力に応答して、コンピューティングデバイスに組み込まれた1または複数のスピーカ(例えば、1または複数のオーディオモニタ)または基板から離れた別のスピーカまたはオーディオドライブを起動してクリックサイクルを実行することができる。
【0113】
別の実施例では、システムは、タッチセンサ面112の第1の領域の下に配置された第1の振動子120と、タッチセンサ面112の第2の領域の下に配置された第2の振動子122とを含み、第2の領域が、タッチセンサ面112の第1の領域に隣接し、第1の領域とは異なる。この実施例では、コントローラ150は、第1の領域に割り当てられた第1の閾値の大きさを超えるタッチセンサ面112上の第1の力の検出に応答して第1の振動子120を選択的に作動させ、第2の領域に割り当てられた第2の閾値の大きさを超えるタッチセンサ面112上の第2の力の検出に応答して第2の振動子122を選択的に作動させ、第1および第2の閾値は同一であるか、または固有であり、例えば、ユーザによって手動で設定されるか、または第1および第2の領域に割り当てられた固有のコマンドに基づいてコントローラ150によって自動的に設定される。この実施例では、コントローラ150は、第1および第2の領域の両方のそのような入力に応答して、単一のスピーカを起動してクリック音を出力することもできる。代替的には、システムは、タッチセンサ面112の第1の領域に隣接する第1のスピーカと、タッチセンサ面112の第2の領域に隣接する第2のスピーカとを含むことができ、コントローラ150は、そのような入力がタッチセンサ面112の左右の領域でそれぞれ検出されたときに、第1および第2のスピーカを選択的に起動してクリック音を再生することができる。この実施例では、コントローラ150は、タッチセンサ面112の左右の領域に加えられた検出された力が、それら領域に割り当てられた共通または固有の後退閾値よりも低くなったときに、「アップ」クリックサイクル中に前述したヒステリシス法を実行して左右の振動子を選択的に作動させることもできる。
【0114】
しかしながら、コントローラ150は、他の任意の方法または技術を実行して、トラックパッドおよびキーボード領域上の入力を検出し、それに応答することができる。さらに、システムは、前述した方法または技術を実行して、タッチセンサ面112に対して実質的に垂直な方向(すなわち、上述した振動面から外れる方向)に基板を振動させることができる。
【0115】
2.10 追加検知
一変形例では、システムは、シャーシ130および/または基板に結合された、容量性センサ、光学センサ、磁気変位センサ、歪みゲージ、FSRまたは他の任意のセンサを含み、タッチセンサ面112に加えられる力に応じた振動(例えば、X-Y)面における基板の変位を検出するように構成されている。その後、コントローラ150は、タッチセンサ面112に加えられる力またはそのような面内変位に基づいてコマンドを出力することができる。
【0116】
同様に、システムは、図13Bに示すように、シャーシ130および/または基板に結合されるとともに振動面からの(すなわち、Z軸に沿った)基板の絶対変位を検出するように構成された、容量性センサ、光学センサ、磁気変位センサ、歪みゲージ、FSRまたは他の任意のセンサを含むことができる。この変形例では、コントローラ150は、カプラ132の既知のばね定数に基づいて、求めた基板の絶対変位を、タッチセンサ面112に加えられる絶対的な力の大きさに変換することができる。その後、コントローラ150は、この絶対的な力の大きさと、タッチセンサ面112と接触している物体の相対的な力の大きさとを比較して、タッチセンサ面112と接触している各物体の絶対的な力の大きさをいつでも計算することができる。その後、コントローラ150は、それに応じて、タッチセンサ面112上の1または複数のタッチ入力に対するコマンドを出力することができる。
【0117】
例えば、静電容量検知アレイは、タッチセンサ上に作製または配設され、タッチセンサ面が静電容量検知アレイ上に規定される。この実施例では、コントローラは、静電容量検知アレイとタッチセンサの両方を定期的にサンプリングし、タッチセンサ面近傍の(例えば、近傍で停止しているが接触していない)物体およびタッチセンサ面に軽い力(例えば、タッチセンサのセンサ素子のダイナミックレンジのローエンドの近傍または外側の力または圧力)を加える物体を検出し、静電容量検知アレイを介して検出された物体の位置および軽い力を、タッチセンサによって検出された力の位置とマージして、タッチセンサ面上の入力の検出位置の精度を向上させることができる。その後、コントローラは、振動子およびスピーカ(例えば、検出および確認された入力の位置に最も近い振動子およびスピーカ)を選択的に起動してクリックサイクルを実行することができる。システムは、それらの検出および確認された入力の位置に基づいてカーソルおよび入力コマンドを出力することもできる。
【0118】
しかしながら、このシステムは、他の任意のタイプのコンピューティングデバイスに他の任意の方法で組み込むことができる。
【0119】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成されたマシンとして少なくとも部分的に具現化および/または実行することができる。命令は、アプリケーション、アプレット、ホスト、サーバ、ネットワーク、ウェブサイト、通信サービス、通信インタフェース、ユーザコンピュータまたはモバイルデバイス、リストバンド、スマートフォンのハードウェア/ファームウェア/ソフトウェア要素またはそれらの任意の適切な組合せと統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントにより実行することができる。実施形態の他のシステムおよび方法は、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成されたマシンとして少なくとも部分的に具現化および/または実行することができる。命令は、上述したタイプの装置およびネットワークと統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントにより統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行することができる。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブまたは任意の適切なデバイスなど、任意の適切なコンピュータ可読媒体に格納することができる。コンピュータ実行可能コンポーネントはプロセッサであってもよいが、任意の適切な専用ハードウェアデバイスが(代替的にまたは追加的に)命令を実行することができる。
【0120】
当業者であれば、上述した詳細な説明および図面および特許請求の範囲から認識するように、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態に修正および変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11
図12
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図14
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図16
図17