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特許7087023エレベータシステム及びエレベータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】エレベータシステム及びエレベータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20220613BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B66B1/14 M
B66B3/00 M
B66B3/00 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020117713
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015088
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2020-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】奥村 浩二
(72)【発明者】
【氏名】西田 岳人
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-358674(JP,A)
【文献】特開2007-084237(JP,A)
【文献】特開昭61-140478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/14
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフロア間を移動する乗りかごの運行を制御する運行制御部と、
前記乗りかご内の荷重を検出する荷重センサと、
前記乗りかご内の上限荷重よりも低い閾値荷重が設定され、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重以上且つ前記上限荷重未満である警戒荷重であるか否かを判定する荷重判定部と、を備え、
前記運行制御部は、
前記乗りかご内の荷重が前記警戒荷重であるとき、一のフロアにて乗りかごを呼ぶ操作であるフロア呼びが行われ、前記一のフロアで前記乗りかごが停車した後に、前記乗りかご内の荷重が増加に転じなかった際には、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重未満になるまで、各フロアでのフロア呼びに応答せず、
前記乗りかご内の乗員により、停止フロアを設定する操作であるかご呼びが行われ、停止したフロアにて乗りかご内の荷重が減少に転じた場合には、その後のフロア呼びが行われたフロアに乗りかごを停止させること
を特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
複数のフロア間を移動する乗りかごの運行を制御する運行制御部と、
前記乗りかご内の荷重を検出する荷重センサと、
前記各フロアに、このフロアにおける待ち人数を検出する人数検出部と、
前記乗りかご内の上限荷重よりも低い閾値荷重が設定され、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重以上且つ前記上限荷重未満である警戒荷重であるか否かを判定する荷重判定部と、を備え、
前記運行制御部は、
前記乗りかご内の荷重が前記警戒荷重であるとき、一のフロアにて乗りかごを呼ぶ操作であるフロア呼びが行われ、前記一のフロアで前記乗りかごが停車した後に、前記乗りかご内の荷重が増加に転じなかった際には、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重未満になるまで、各フロアでのフロア呼びに応答せず、
前記一のフロアの人数検出部で検出される待ち人数よりも、前記一のフロアよりも後のフロアのうち、フロア呼びが行われた他のフロアの待ち人数の方が少ない場合には、前記他のフロアのフロア呼びに応答すること
を特徴とするエレベータシステム。
【請求項3】
前記運行制御部は、
前記フロア呼びに応答しないことにより、フロア呼びを行ったにも関わらず前記乗りかごが通過した通過フロアに対して、フロア呼びを自動設定し、前記通過フロアに専用の乗りかごを停止させる制御を行うこと
を特徴とする請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記各フロアに、前記専用の乗りかごを自動設定したことを乗車待ちの乗員に報知する報知部を設置したこと
を特徴とする請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
乗りかご内の荷重を検出するステップと、
前記乗りかご内の上限荷重よりも低い閾値荷重が設定され、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重以上且つ前記上限荷重未満である警戒荷重であるか否かを判定するステップと、
前記乗りかご内の荷重が前記警戒荷重であるとき、一のフロアにて乗りかごを呼ぶ操作であるフロア呼びが行われ、前記一のフロアで前記乗りかごが停車した後に、前記乗りかご内の荷重が増加に転じなかった際には、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重未満になるまで、各フロアでのフロア呼びに応答せずに、前記乗りかごの運行を制御するステップと、
前記乗りかご内の乗員により、停止フロアを設定する操作であるかご呼びが行われ、停止したフロアにて乗りかご内の荷重が減少に転じた場合には、その後のフロア呼びが行われたフロアに乗りかごを停止させるステップと、
を備えたことを特徴とするエレベータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステム及びエレベータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかご内に多くの乗員が乗車している場合には、フロア待ちをしている乗員は、乗りかご内の乗員人数が乗車可能な人数である定員に達していなくても、乗車を見送ることがある。例えば、定員が15名であるエレベータの乗りかごにおいて、13名の乗員が既に乗車している場合には、1~2名であれば乗車可能であるにも関わらず、この乗りかごに乗車せず次の乗りかごを待つ人が少なくない(特許文献1、2参照)。
【0003】
このような場合には、各フロアでのフロア呼びに対して乗りかごを停車させると、乗員が乗車しないにも関わらず乗りかごが停車することになり、乗員の搬送効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-67429号公報
【文献】特開昭62-175393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来におけるエレベータシステムでは、乗員が乗車しないにも関わらず乗りかごがそのフロア停車することになり、乗員の搬送効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明の実施形態は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、乗りかごが不必要なフロアに停止することを防止し、乗員の搬送効率を向上させることが可能なエレベータシステム及びエレベータの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、複数のフロア間を移動する乗りかごの運行を制御する運行制御部と、前記乗りかご内の荷重を検出する荷重センサと、前記乗りかご内の上限荷重よりも低い閾値荷重が設定され、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重以上且つ前記上限荷重未満である警戒荷重であるか否かを判定する荷重判定部と、を備え、前記運行制御部は、前記乗りかご内の荷重が前記警戒荷重であるとき、一のフロアにて乗りかごを呼ぶ操作であるフロア呼びが行われ、前記一のフロアで前記乗りかごが停車した後に、前記乗りかご内の荷重が増加に転じなかった際には、前記乗りかご内の荷重が前記閾値荷重未満になるまで、各フロアでのフロア呼びに応答しないことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るエレベータシステムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係るエレベータシステムの処理手順を示すフローチャート。
図3】通過フロアに専用の乗りかごを割り当てる処理手順を示すフローチャート。
図4】第1実施形態の変形例に係るエレベータシステムの処理手順を示すフローチャート。
図5】本発明の第2実施形態に係るエレベータシステムの構成を示すブロック図。
図6】第2実施形態に係るエレベータシステムの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
[第1実施形態の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るエレベータシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るエレベータシステムは、主制御装置1と、複数のフロア間(図1では、1階からN階)を、乗員や荷物を乗せて移動する乗りかご2と、各フロアに設置されたフロア装置3(3-1~3-N)と、を備えている。
【0011】
なお、本実施形態では、乗りかご2内の利用者、及び各フロアのエレベータ乗り場で待機している利用者を含めて「乗員」という。また、乗員が乗りかご2に乗ることを「乗車」と言い、降りることを「降車」と言うことにする。また、図1では、一系統の乗りかご2を有するエレベータシステムを示しているが、複数系統の乗りかご2を備えて群管理されるエレベータシステムであってもよい。
【0012】
フロア装置3(3-1~3-N)は、フロア通信機31(31-1~31-N)と、フロア呼びボタン32(32-1~32-N)と、フロア表示部33(33-1~33-N)、を備えている。なお、以下では、複数のフロア装置3-1~3-Nを特定せずに示す場合、或いは総称して示す場合には、「フロア装置3」とサフィックスを付さずに示し、フロア装置3を特定して示す場合には、「フロア装置3-1」のようにサフィックスを付して示すことにする。他の構成要素についても同様とする。
【0013】
フロア通信機31は、主制御装置1との間で有線或いは無線による通信を行う。
【0014】
フロア呼びボタン32は、各フロアのエレベータ乗り場に設置され、上昇或いは下降の乗りかごを呼ぶフロア呼びを行うボタンである。フロア呼びボタン32を押すことにより、乗りかご2をそのフロアに停止させることができる。
【0015】
フロア表示部33は、各フロアのエレベータ乗り場に設置され、現在の乗りかご2が存在するフロア、及び上昇・下降を示す矢印などを表示する。更に、フロア表示部33は、後述するように、専用の乗りかご2のフロア呼びを自動設定したことを、乗車待ちしている乗員に報知するための画像を表示する。なお、フロア表示部33以外にも、例えば報知用のブザーを鳴動させたり、報知用のランプを点灯させる構成としてもよい。即ち、フロア表示部33は、各フロアに、専用の乗りかご2を自動設定したことを乗車待ちの乗員に報知する報知部としての機能を備えている。
【0016】
一方、乗りかご2は、開閉ボタン21と、フロア選択ボタン22と、かご内インジケータ23と、かご内通信機24と、荷重センサ25、を備えている。
【0017】
開閉ボタン21は、乗りかご2内の乗員がドアの開閉を操作するボタンである。
【0018】
フロア選択ボタン22は、乗りかご2内の乗員が、降車するフロアを選択するボタンである。例えば、2階で降車する乗員は、2階を示すフロア選択ボタンを押すことにより、乗りかご2を2階に停止させることができる。
【0019】
かご内インジケータ23は、例えば液晶表示器であり、乗りかご2が停止しているフロアや、上昇、下降などの各種情報を表示する。
【0020】
かご内通信機24は、主制御装置1との間で有線或いは無線による通信を行う。
【0021】
荷重センサ25は、乗りかご2に乗車した乗員或いは荷物による荷重を検出する。
【0022】
また、主制御装置1は、運行制御部11と、荷重判定部12と、通信部13、を備えている。主制御装置1は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
【0023】
通信部13は、乗りかご2及び各フロア装置3(3-1~3-N)との間で有線或いは無線による通信を行う。
【0024】
荷重判定部12は、乗りかご2に設置された荷重センサ25で検出される乗りかご2内の荷重を取得する。荷重判定部12はまた、乗りかご2内に乗車可能な上限荷重(これを「Pth1」とする)を設定しており、乗りかご2内の荷重が上限荷重Pth1に達した場合には、乗りかご2に警報信号を出力する。荷重判定部12はまた、上限荷重Pth1よりも低い荷重である閾値荷重(これを「Pth2」とする)を設定する。閾値荷重Pth2は、例えば上限荷重Pth1の60%の荷重に設定される。以下では、閾値荷重Pth2以上で、且つ、上限荷重Pth1未満の範囲の荷重を「警戒荷重」とする。
【0025】
運行制御部11は、乗りかご2の上昇・下降、各フロアでの停止、ドアの開閉などの制御を総括的に行う。具体的に、運行制御部11は、荷重判定部12にて乗りかご2内の荷重が上限荷重Pth1に達して警報信号が出力された際には、荷重が上限荷重Pth1未満になるまで乗りかご2の動作を停止する制御を行う。
【0026】
運行制御部11はまた、乗りかご2内の荷重が上述した警戒荷重であるときに、フロア呼びボタン32が押されたフロアで停止し、その後、乗りかご2内の荷重が増加に転じない場合、即ち、乗りかご2内の荷重が変化無し、或いは減少に転じた場合には、その後のフロア呼びボタン32によるフロア呼びに応答しないように制御する。
【0027】
例えば、乗りかご2が10階から下降を開始し、乗りかご2内の荷重が9階で警戒荷重となり、その後、8階のフロア呼びボタン32-8が押されたことにより、乗りかご2が8階で停止したとする。この際、8階にて乗りかご2内の荷重が増加に転じない場合には、その後、7階以下のフロアで出力されるフロア呼びには応答しないように制御する。
【0028】
つまり、8階で停止した乗りかご2の荷重が増加に転じなかったということは、8階で乗りかご2に乗車しようとした乗員が、乗車を見送ったと推察できる。このような場合には、7階以下のフロアでも同様のことが起こると判断し、7階以下のフロアで出力されるフロア呼びに応答しないことにより、乗りかご2の不必要な停止を防止し、エレベータによる乗員の搬送効率を向上させる。
【0029】
[第1実施形態の動作]
図2は、第1実施形態に係るエレベータシステムの動作を示すフローチャートである。図3は、専用の乗りかご2を所望のフロアに割り当てる処理を示すフローチャートである。以下、図2図3に示すフローチャートを参照して第1実施形態に係るエレベータシステムの動作について説明する。
【0030】
初めに、図2のステップS11において、図1に示す荷重判定部12において閾値荷重Pth2を設定する。例えば、閾値荷重Pth2を上限荷重Pth1の60%に設定する。
【0031】
ステップS12において、荷重判定部12は、荷重センサ25で検出される乗りかご2内の荷重を取得し、取得した荷重が上限荷重Pth1以上であるか否かを判定する。上限荷重Pth1以上であれば(S12;YES)、ステップS13に処理を進め、そうでなければ(S12;NO)、ステップS14に処理を進める。
【0032】
ステップS13において、運行制御部11は、従来より行われている満員待機処理を実施する。即ち、乗りかご2内には定員に達する乗員が乗車しており、これ以上の乗車ができないことを各フロア装置3、及び乗りかご2に通知する処理を実施する。また、乗りかご2は、各フロアでのフロア呼びに応答せずに最終のフロア(例えば、1階)まで移動する。
【0033】
ステップS14において、荷重判定部12は、荷重センサ25で検出される荷重が、閾値荷重Pth2以上であるか否かを判定する。閾値荷重Pth2以上でない場合には(S14;NO)、本処理を終了する。即ち、乗りかご2内の荷重が閾値荷重Pth2に達していなければ、その後に停止したフロアで乗員が乗車することができるので、乗りかご2を通過させる制御は不要であると判断し、本処理を終了して通常の運行制御を行う。
【0034】
一方、閾値荷重Pth2以上である場合、即ち、乗りかご2内の荷重が警戒荷重である場合には(S14;YES)、ステップS15において、運行制御部11は、次のフロア以降のフロア呼びに応答する。
【0035】
ステップS16において、運行制御部11は、フロア呼びが出力されたフロア(これを、「第1停止フロア」という)で乗りかご2を停止させる。
【0036】
ステップS17において、荷重判定部12は、乗りかご2の荷重が増加に転じたか否かを判定する。荷重が増加に転じたと判定された場合には(S17;YES)、ステップS18に処理を進め、そうでなければ(S17;NO)、ステップS21に処理を進める。
【0037】
ステップS18において、運行制御部11は、第1停止フロア以降のフロアに対して満員通過処理を実施する。即ち、第1停止フロアにおいて、乗りかご2内の荷重が増加に転じなかったということは、乗員は乗りかご2内への乗車を見送ったと推察される。このため、第1停止フロア以降のフロアにおいても、乗りかご2内に乗員が乗車しないものと判断し、第1停止フロア以降のフロア装置3で出力されるフロア呼びに応答せず、最終フロア(例えば、1階)まで運行する処理を実施する。
【0038】
ステップS19において、運行制御部11は、ステップS18の処理で満員通過したフロア(以下、「通過フロア」という)に対して、専用の乗りかご2を割り当てることを通知する。具体的に、図1に示したフロア表示部33に、専用の乗りかご2を割り当てる旨の情報(例えば、画像)を表示する。
【0039】
ステップS20において、運行制御部11は、専用の乗りかご2を割り当てる処理を実施する。例えば、5階及び4階でフロア呼びが出力されたにもかかわらず、満員通過した場合には、5階及び4階に専用の乗りかご2を割り当てる。専用の乗りかご2は、エレベータが複数系統存在する場合では、満員通過したエレベータとは異なる他のエレベータの乗りかご2を割り当てることができる。また、エレベータが1系統のみである場合には、このエレベータの乗りかご2を5階及び4階に割り当てる。
【0040】
以下、専用の乗りかご2を通過フロアに割り当てる処理を、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0041】
初めに、ステップS31において運行制御部11は、通過フロアに対して、再度フロア呼びを自動登録する。例えば、5階及び4階を満員通過した場合には、5階及び4階のフロア装置3-5、3-4において、フロア呼びを自動登録する。
【0042】
ステップS32において、運行制御部11は、通過フロアのうち最も上の通過フロアに乗りかご2を移動させる。例えば、5階に乗りかご2を移動させる。
【0043】
ステップS33において、運行制御部11は、通過フロアに乗りかご2を順次移動させて乗員を乗車させる。このため、満員通過されたことにより乗りかご2に乗車できなかった乗員は、割り当てられた専用の乗りかご2に乗車して目的のフロアに迅速に移動することができる。
【0044】
図4に戻って、ステップS17の処理で、乗りかご2内の荷重が増加に転じたと判定された場合には(S17;YES)、ステップS21において運行制御部11は、乗りかご2を、次にフロア呼びが出力されているフロアに移動させ、停止させる。
【0045】
ステップS22において、運行制御部11は、停止したフロアが最後のフロア(例えば、1階)であるか否かを判定し、最後のフロアである場合には(S22;YES)、本処理を終了し、そうでなければ(S22;NO)、ステップS16に処理を戻す。
【0046】
[第1実施形態の効果]
このようにして、第1実施形態に係るエレベータシステムでは、乗りかご2内の荷重が上限荷重Pth1未満で閾値荷重Pth2以上である警戒荷重であり、更に、フロア呼びにより乗りかご2が停止したフロアにて荷重が増加に転じなかった場合(荷重の変化無しまたは減少した場合)には、その後のフロア呼びに対して応答しないように制御する。
【0047】
即ち、フロア呼びにより乗りかご2が停止した第1停止フロアで荷重が増加に転じないということは、この第1停止フロアで乗りかご待ちをしている乗員が、乗りかご2に乗車できるにも関わらず、乗車を見送ったものと推察される。このような場合には、フロア呼びに対して乗りかご2を停車させると乗員の搬送が遅れ、搬送効率の低下につながる。
【0048】
従って、このような場合には、第1停止フロア以後のフロア呼び信号に応答せずに乗りかご2を満員通過させるので、乗員の搬送効率を向上させることができる。
【0049】
また、乗りかご2を満員通過させた場合には、満員通過したフロア(通過フロア)にてフロア呼びを自動登録することにより、満員通過したことにより乗りかご2に乗車できなかった乗員を優先的に乗車できるようにしている。従って、通過フロアで乗りかご待ちをしている乗員に不安感や不満感を感じさせることなく、専用の乗りかご2に乗車させることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、荷重判定部12が主制御装置1に搭載される例について示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、荷重判定部12が乗りかご2内に設けられる構成とすることも可能である。
【0051】
[第1実施形態の変形例]
次に、上述した第1実施形態に係るエレベータシステムの変形例について説明する。装置構成は図1と同様であるので、構成説明を省略する。
【0052】
以下、図4に示すフローチャートを参照して、変形例に係るエレベータシステムの動作について説明する。図4において、ステップS51~S57の処理は、図2に示したステップS11~S17の処理と同一である。従って、ステップS58以降の処理について説明する。
【0053】
ステップS57の処理で、乗りかご2内の荷重が増加に転じていないと判定された場合には(S57;NO)、ステップS58において、運行制御部11は、次のかご呼びがあったフロアに乗りかご2を移動させる。「かご呼び」とは、乗りかご2内の乗員がフロア選択ボタン22を押して、停止するフロアを設定する操作を示す。
【0054】
ステップS59において、荷重判定部12は、上記のかご呼びにより停止したフロア(これを、「第2停止フロア」という)で乗員が降車した後の乗りかご2内の荷重が、閾値荷重Pth2以上であるか否かを判定する。閾値荷重Pth2以上である場合には(S59;YES)、ステップS60に処理を進め、そうでなければ(S59;NO)、本処理を終了する。
【0055】
ステップS60において、運行制御部11は、第2停止フロア以降のフロアで、フロア呼びがあったフロア(これを、「第3停止フロア」という)に乗りかご2を停止させる。
【0056】
ステップS61において、荷重判定部12は、第3停止フロアにおいて、再度乗りかご2内の荷重が増加に転じたか否かを判定する。荷重が増加に転じた場合には(S61;YES)、ステップS65に処理を進め、そうでなければ(S61;NO)、ステップS62に処理を進める。
【0057】
ステップS62~S64の処理は、図2に示したステップS18~S20の処理と同様であり、ステップS65、S66の処理は、図2に示したステップS21、S22の処理と同様であるので説明を省略する。
【0058】
[変形例の効果]
このようにして、第1実施形態の変形例に係るエレベータシステムでは、乗りかご2内の荷重が警戒荷重となっている状態で、フロア呼びがあったフロア(第1停止フロア)で荷重が増加に転じなかった場合には、その後のフロアにおいては乗りかご2を満員通過させる。更に、かご呼びにより乗りかご2が第2停止フロアに停止して乗りかご2内の荷重が減少した場合には、第2停止フロア以降でフロア呼びがあった第3停止フロアに乗りかご2を停止させ、再度荷重の増減を判断して乗りかご2を満員通過させるか否かを判定する。
【0059】
従って、乗りかご2内の荷重が警戒荷重となり、乗りかご2を満員通過している際に、任意のフロアで乗員が降車した場合には、満員通過を取りやめて、再度フロア呼びのあるフロアに乗りかごを停止させる。例えば、乗りかご2が10階から下降を開始し、9階で警戒荷重となり、それ以降のフロアを満員通過させている際に、5階で乗員が乗りかご2から降車した場合を想定する。その後、例えば3階でフロア呼びが発生している場合には、乗りかご2を満員通過させるのではなく、3階で停止させる。従って、3階で乗車待ちをしている乗員を乗りかご2に乗車させることができ、乗員の搬送効率をより一層向上させることが可能となる。
【0060】
[第2実施形態の構成]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るエレベータシステムの構成を示すブロック図である。図5に示すように、第2実施形態に係るエレベータシステムは、図1に示したエレベータシステムと対比して、主制御装置1が画像処理部14を備えている点、及び各フロア装置3がカメラ34(34-1~34-N)を備えている点で相違している。それ以外の構成は、図1と同様であるので、同一符号を付して構成説明を省略する。
【0061】
カメラ34-1~34-Nは、各フロア(1階~N階)のエレベータ乗り場に設置され、乗車待ちをしている乗員を撮像する。カメラ34はまた、撮像した画像を主制御装置1に送信する。
【0062】
画像処理部14は、各フロアのカメラ34で撮像された画像に基づいて、所定の画像処理を実施し、各フロアで乗車待ちをしている乗員の人数を算出する。例えば、5階のエレベータ乗り場では3人の乗員が乗車待ちをしている、などの情報を取得することができる。即ち、カメラ34及び画像処理部14は、各フロアにてエレベータの乗車待ちをしている待ち人数を検出する人数検出部としての機能を備えている。
【0063】
[第2実施形態の動作]
次に、図6に示すフローチャートを参照して、第2実施形態に係るエレベータシステムの動作について説明する。
【0064】
図6において、ステップS61~S67の処理は、図2に示したステップS11~S17の処理と同様であり、ステップS72、S73の処理は、図2に示したステップS21、S22の処理と同様である。以下、ステップS68以降の処理について説明する。
【0065】
ステップS67の処理で、乗りかご2内の荷重が増加に転じていないと判定された場合には(S67;NO)、ステップS68において、画像処理部14はこのフロア(以下、「第4停止フロア」という)のカメラ34で撮像された画像を取得し、画像処理部14に送信する。画像処理部14は、第4停止フロアで乗車待ちをしている乗員の人数(これを、人数X1とする)を算出する。
【0066】
ステップS69において、画像処理部14は、第4停止フロア以降でフロア呼びがあったフロアのカメラ34で撮像された画像に基づき、乗車待ちをしている乗員の人数(これを、人数X2とする)を算出する。
【0067】
ステップS70において、運行制御部11は、各フロアで乗車待ちをしている人数X2と第4停止フロアで乗車待ちをしている乗員の人数X1を対比し、「X2<X1」となるフロアが存在するか否かを判定する。「X2<X1」となるフロアが存在する場合には(S70;YES)、ステップS71に処理を進め、そうでなければ(S70;NO)、ステップS74に処理を進める。
【0068】
ステップS71において、運行制御部11は「X2<X1」となるフロア(これを、「第5停止フロア」という)にて乗りかご2を停止させる。その後、本処理を終了する。
【0069】
ステップS74において、運行制御部11は、乗りかご2を満員通過させる。その後、本処理を終了する。
【0070】
[第2実施形態の効果]
このようにして、第2実施形態に係るエレベータシステムでは、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、第2実施形態では、各フロアで乗車待ちをしている乗員の人数を検出し、乗車待ちをしている乗員の人数に基づいて、乗りかご2を停止させるフロアを設定している。
【0071】
即ち、乗員が乗りかご2への乗車を見送ったフロア(第4停止フロア)における乗員の人数X1が例えば3人であり、このフロア以降の第5停止フロアで乗車待ちをしている乗員の人数X2が2人である場合(即ち、X2<X1)には、第5停止フロアにて乗員が乗車する可能性がある。このような場合には、乗りかご2を満員通過せず、第5停止フロアにて停止させる。従って、第5停止フロアで乗車待ちをしている乗員はこの乗りかご2に乗車することができ、より一層乗員の搬送効率を向上させることが可能となる。
【0072】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…主制御装置、2…乗りかご、3…フロア装置、11…運行制御部、12…荷重判定部、13…通信部、14…画像処理部、21…開閉ボタン、22…フロア選択ボタン、23…かご内インジケータ、24…かご内通信機、25…荷重センサ、31(31-1~31-N)…フロア通信機、32(32-1~32-N)…フロア呼びボタン、33(33-1~33-N)…フロア表示部、34(34-1~34-N)…カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6