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▶ 東莞立徳精密工業有限公司の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20220613BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
H01R43/00 B
H01R13/52 301A
H01R13/52 301F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020140041
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2021077628
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】201911090297.4
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518089609
【氏名又は名称】東莞立徳精密工業有限公司
【氏名又は名称原語表記】Dongguan Leader Precision Industry Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building D, Diaobashan Area, Qinghuang Village Committee, Qingxi Town, Dongguan City, Guang Dong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】彭 梦杰
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139526(JP,A)
【文献】特開2019-75301(JP,A)
【文献】特開2009-87838(JP,A)
【文献】特開2019-21531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの製造方法であって、
端子本体と複数の端子とを備える端子モジュールを得るステップであって、前記端子本体は、インターフェース部、中空領域、および電気接続部を備え、前記中空領域は、前記インターフェース部と前記電気接続部との間に配置され、前記複数の端子は、前記端子本体に配置され、前記端子のそれぞれは、前記インターフェース部、前記中空領域、および前記電気接続部を通過するステップと、
前記端子モジュールにハウジングを組み立てるステップであって、前記複数の端子が通過する前記中空領域が、前記ハウジングから露出されるステップと、
前記中空領域に防水ブロックを射出成形するステップであって、前記防水ブロックは、前記中空領域に配置された前記複数の端子を包み込み、前記防水ブロックは、前記インターフェース部と前記電気接続部との間に配置されるステップと、
を備え、
前記中空領域に前記防水ブロックを射出成形するステップでは、前記複数の端子が通過する前記中空領域は、前記ハウジングの側面または背面から露出され、
前記中空領域に前記防水ブロックを射出成形するステップは、前記ハウジングの前記側面または前記背面から前記中空領域に射出することによって実行され
前記インターフェース部に近い前記ハウジングの外壁に防水リングをさらに射出成形するステップをさらに有し、
前記中空領域に前記防水ブロックを射出成形するステップと、前記インターフェース部に近い前記ハウジングの前記外壁に前記防水リングを射出成形するステップとは、同じ射出成形プロセスで同時に実行される、
コネクタの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタの製造方法において、
前記防水ブロックを前記中空領域に射出成形する前に、筐体を前記ハウジングに射出成形するステップをさらに備え、前記筐体は、前記ハウジングおよび前記端子本体を包み込み、前記複数の端子が通過する前記中空領域は、前記筐体から露出される、
コネクタの製造方法。
【請求項3】
請求項に記載のコネクタの製造方法において、
前記インターフェース部に近い前記筐体の外壁に防水リングをさらに射出成形するステップを備える、
コネクタの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタの製造方法において、
前記ハウジングに前記筐体を射出成形するステップと、前記インターフェース部に近い前記筐体の前記外壁に前記防水リングを射出成形するステップとは、同じ射出成形プロセスで実行される、
コネクタの製造方法。
【請求項5】
請求項に記載のコネクタの製造方法において、
前記筐体を前記ハウジングに射出成形するステップと、前記防水ブロックを前記中空領域に射出成形するステップと、前記インターフェース部に近い前記筐体の前記外壁に前記防水リングを射出成形するステップとは、同じ射出成形プロセスで実行される、
コネクタの製造方法。
【請求項6】
請求項に記載のコネクタの製造方法において、
前記防水ブロックを前記中空領域に射出成形するステップと、前記インターフェース部に近い前記筐体の前記外壁に前記防水リングを射出成形するステップとは、同じ射出成形プロセスで同時に実行される、
コネクタの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載のコネクタの製造方法において、
前記防水ブロックを前記中空領域に射出成形するステップの後に、前記コネクタにおいて試験プロセスが前記コネクタ内で実行される、
コネクタの製造方法。
【請求項8】
請求項記載のコネクタの製造方法において、
前記試験プロセスにおいてウェーブはんだ付けを行った後に、気密性試験を行う、
コネクタの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載のコネクタの製造方において、
前記複数の端子が通過する前記中空領域は、前記ハウジングの側面から露出され、
前記中空領域に前記防水ブロックを射出成形するステップは、前記ハウジングの
側面から前記中空領域に射出することにより実行され、
前記防水ブロックの前面、面、上面、および底面は、前記端子本体に接触し、前記防水ブロックの2つの側面は、前記ハウジングの外部に露出される、
コネクタの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のコネクタの製造方法において、
前記複数の端子が通過する前記中空領域は、前記ハウジングの背面から露出され、
前記中空領域に前記防水ブロックを射出成形するステップは、前記ハウジングの
背面から前記中空領域に射出することにより実行され、
前記防水ブロックの面は、前記ハウジングの外部に露出され、前記防水ブロックの他の面は、前記端子本体に接触する、
コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月8日に提出された中国特許出願番号CN201911090297.4の優先的利益を主張し、その完全な開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、コネクタの技術分野に関し、より具体的には、コネクタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、コネクタの防水構造のほとんどは、接着剤を噴霧または塗布することによって形成されている。コロイドは、接着剤を噴霧または塗布して防水構造を形成することにより防水処理される必要がある領域に配置される。噴霧または塗布によって形成された防水構造の欠点は、次のとおりである。
【0004】
噴霧の欠点に関して:1.高価な噴霧器は、すべての製造業者にとって手頃な価格ではなく;2.噴霧器の噴霧ノズルは、作業中に簡単に詰まり、メンテナンスと修理を困難にし、追加費用を発生させ;3.噴霧中に製品に残った接着剤をきれいにするのが難しいので、生産の難しさが挙げられ;4.高コストかつ高粘度のシリコン接着剤は、おそらく意図せずに固化され続け、その結果、不要な廃棄物に終わり5.製品を焼いて接着剤の固化時間を短縮することによる追加コストが挙げられる。
【0005】
塗布の不利な点に関して:1.高価な塗布器はすべての製造業者にとって手頃な価格ではなく;2.塗布器の効率が低く;3.塗布処理中に空気圧供給によりコロイド内に気泡が形成され易いので、コロイドの気密性は低く;4.接着剤は、製品の表面の予期しない領域に簡単に塗布でき、塗布中にその表面をべとつかし;5.高コストかつ高粘度のシリコン接着剤は、おそらく意図せずに固化され続け、その結果、不要な廃棄物に終わり;6.製品を焼いて接着剤の固化時間を短縮することによる追加コストが挙げられる。
【0006】
噴霧または塗布によって作製されたコネクタの防水構造は、上述のように高コストおよび低効率の問題を有するように思われ、これらはコネクタの製造に貢献しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の実施形態は、噴霧または塗布によってコネクタ製造の高コストおよび低効率の問題を解決しようとするコネクタの製造方法を提供する。
【0008】
本開示は、コネクタを製造するための方法を提供し、その方法は、第1に、端子本体と複数の端子とを備える端子モジュールを得るステップであって、端子本体は、インターフェース部、中空領域、および電気接続部を備え、中空領域は、インターフェース部と電気接続部との間に配置され、複数の端子は、端子本体に配置され、各端子は、インターフェース部、中空領域、および電気接続部を通過し、第2に、端子モジュールにハウジングを組み立てるステップであって、複数の端子が通過する中空領域は、ハウジングから露出され、第3に、中空領域に防水ブロックを射出成形するステップであって、防水ブロックは、中空領域に配置された複数の端子を包み込み(収容し)、防水ブロックは、インターフェース部と電気接続部との間に配置される。
【0009】
本開示の実施形態では、防水ブロックは、ハウジングと端子モジュールをコネクタに組み合わせた後に、防水処理される必要がある領域に防水ブロックを射出成形することにより、露出した複数の端子を包み込んで、コネクタの防水構造を作ることができるようにする。上記の方法に従うことにより、本開示の防水構造を正確に位置決めすることができ、焼き付け(ベーキング)プロセスを省略でき、固化および製造時間を著しく短縮できるので、生産効率を高めることができる。
【0010】
しかしながら、理解されるべきことは、この要約が、本発明のすべての態様および実施形態を含むとは限らず、この要約が、いかなる形でも限定または制限することを意味するものではなく、本明細書に開示される発明が、当業者によって明らかな改善および修正を包含するように理解されることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
新規であると考えられる例示的な実施形態の特徴と、例示的な実施形態に特徴的な要素および/または工程(ステップ)とは、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。図は図示目的のみであり、一定の縮尺で描かれていない。構成および作業方法の両方に関する例示的な実施形態は、添付の図面と併せて取られる以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるだろう。
図1】本開示の第1の実施形態のコネクタの製造ステップのフローチャートである。
図2】本開示の第1の実施形態の注入コロイド付きコネクタの概略図である。
図3】本開示の第1の実施形態のコネクタの端子モジュールの分解図である。
図4】本開示の第1の実施形態のコネクタの分解図である。
図5】本開示の第1の実施形態のコネクタの概略図である。
図6】本開示の第1の実施形態のコネクタの断面図である。
図7】本開示の第1の実施形態のコネクタの防水リングの概略図である。
図8】本開示の第1の実施形態のコネクタの防水ハウジングの概略図である。
図9】本開示の第1の実施形態のコネクタの注入コロイ付き防水ハウジングの概略図である。
図10】本開示の第1の実施形態の別のコネクタの概略図である。
図11】本開示の第1の実施形態の別のコネクタの断面図である。
図12】本開示の第2の実施形態の注入コロイド付きコネクタの概略図である。
図13】本開示の第2の実施形態のコネクタの概略図である。
図14】本開示の第2の実施形態のコネクタの断面図である。
図15】本開示の第2の実施形態のコネクタの端子モジュールの分解図である。
図16】本開示の第2の実施形態のコネクタの分解図である。
図17】本開示の第2の実施形態のコネクタの防水ハウジングおよび防水リングの概略図である。
図18】本開示の第2の実施形態のコネクタの注入コロイド付き防水ハウジングの概略図である。
図19】本開示の第2の実施形態の別のコネクタの概略図である。
図20】本開示の第2の実施形態の別のコネクタの断面図である。
図21】本開示の第3の実施形態の注入コロイド付きコネクタの概略図である。
図22】本開示の第3の実施形態のコネクタの概略図である。
図23】本開示の第3の実施形態のコネクタの断面図である。
図24】本開示の第3の実施形態のコネクタの端子モジュールの分解図である。
図25】本開示の第3の実施形態のコネクタの分解図である さて、本発明の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明を以下でより充分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に説明される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本発明が完全かつ完成し、本発明の範囲を当業者に充分に伝えるように提供される。
【0012】
明細書の説明および以下の特許請求の範囲を通して、ある用語を使って具体的な構成要素を言及している。当業者が理解するように、製造業者は、異なる名前で構成要素に言及するかもしれない。このドキュメントでは、機能を除いて名前が異なる構成要素間の相違を示すことは意図されていない。以下の説明および特許請求の範囲において、「include/including(含む/含む)」および「comprise/comprising(備える/備える)」という用語は、制限のない形で使用され、したがって、「含んでいるが、限定されない」と解釈されるべきである。「実質的/実質的に」とは、許容可能な誤差範囲内で、当業者が特定の誤差範囲での技術的問題を解決して基本的な技術的効果を達成できることを意味する。
【0013】
以下の説明は、本発明を実施する最適なモードに関するものである。この説明は、本発明の一般的な原理を例示する目的で行われ、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによって最もよく決定される。
【0014】
さらに、用語「include(含む)」、「contain(含む)」、およびそれらの任意の変形は、非排他的な包含を覆うように意図されている。したがって、一連の要素を備えるプロセス、方法、オブジェクト、またはデバイスは、これらの要素を含むだけでなく、明示的に指定されていない他の要素も備え、または、そのプロセス、方法、オブジェクト、またはデバイスの固有の要素を含んでもよい。これ以上制限されない場合、「include a / an…」によって制限された要素は、その要素を備えるそのプロセス、方法、オブジェクト、またはデバイスに存在する他の同じ要素を除外しない。
【0015】
以下の実施形態では、同じ参照番号は、本発明を通して同じまたは同様の要素を言及するために使用される。
【0016】
図1は、本開示の第1の実施形態のコネクタの製造工程のフローチャートである。図2は、本開示の第1の実施形態の、コロイドが注入されたコネクタの概略図である。これらの図に示すように、本実施形態のコネクタ1の製造方法のステップ(工程)は、以下の通りである。ステップS1では、端子本体131および複数の端子133を備える端子モジュール13が得られ、端子本体131は、インターフェース部1311、中空領域1313、および電気接続部1315を備える。中空領域1311は、インターフェース部1311と電気接続部1315との間に配置される。複数の端子133は、端子本体131上に配置される。各端子133は、インターフェース部1311、中空領域1313、および電気接続部1315を通過する。
【0017】
ステップS3では、ハウジング11が端子モジュール13上に組み立てられ、複数の端子133が通過する中空領域1313は、ハウジング11から露出される。
【0018】
ステップS5では、防水ブロック31は、中空領域1313に射出成形され、防水ブロック31は、中空領域1313内に配置された複数の端子133を包み込む。防水ブロック31は、インターフェース部1311と電気接続部1315との間に配置される。
【0019】
図3は、本開示の第1の実施形態のコネクタの端子モジュールの分解図である。この実施形態では、端子モジュール13は、最初に組み立てられる。端子ジュール13は、第1端子部品135、第2端子部品137、中間プレート139、および固定リング141を備える。第1端子部品135は、第1端子板1351および第1端子1353を備える。第1端子板1351は第1中空領域1352を備える。第1端子1353は、第1端子板1351上に配置される。第1端子1353の一部は、第1中空領域1352を通過する。第2端子部品137は、第2端子板1371および第2端子を備える。第2端子板1371は、第2中空領域1372を備える。第2端子1373は、第2端子板1371上に配置される。第2端子1373の一部は、第2中空領域1372を通過する。中間プレート139は、第1端子部品135と第2端子部品137との間に配置される。第1端子部品135は、第2端子部品137の上に配置される。第1端子部品135の第1中空領域1352は、第2端子部品137の第2中空領域1372と連通して、中空領域1313を形成する。第1端子1353および第2端子1373は、両方とも中空領域1313内に露出されている。固定リング141は、第1端子部品135、中間プレート139、および第2端子部品137の間にスリーブを付けられる。第1端子板1351、第2端子板1371、中間プレート139、および固定リング141は、端子モジュール13の端子本体131を構成する。第1端子1353および第2端子1373は、端子モジュール13の端子133を構成する。
【0020】
図4は、本開示の第1の実施形態のコネクタの分解図である。同図に示すように、端子モジュール13の端子本体131が組み立てられた後、端子本体131は、インターフェース部1311、中空領域1313、電気接続部1315の3つの領域に分割される。その後に、コロイド33は、インターフェース部1311および固定リング141を包むように射出成形されて、第1端子部品135、中間プレート139、第2端子部品137および固定リング141の前端を固定して舌状プレートを形成する。
【0021】
次に、ハウジング11は、端子モジュール13に取り付けられる。ハウジング11は、第1ハウジング111および第2ハウジング113を備える。第1ハウジング111は、舌状プレートの一端から端子モジュール13上にスリーブを付けられる。第2ハウジング113は、舌状プレートから離れた端子モジュール13の一端から端子モジュール13に取り付けられる。複数の第1端子1353および複数の第2端子1373が通過する中空領域1313は、ハウジング11の上部から露出されている。防水ブロック31を射出成形するステップは、ハウジング11の上部から中空領域1313の中へ射出することにより実行されるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、中空領域1313をハウジング11の他の方向から露出することができる。防水ブロック31は、射出時に、ハウジング11の他の方向から中空領域1313の中へ射出成形され得る。
【0022】
図5は、本開示の第1の実施形態のコネクタの概略図である。図6は、本開示の第1の実施形態のコネクタの断面図である。図に示すように、コロイド(ユーザーの要件に応じた液体シリコンまたは材料など)を中空領域1313に注入して、コロイドを第1端子部品135の第1中空領域1352と第2端子部品137の第2中空領域1372に充填する。それから、コロイドは中空領域1313で防水ブロック31に変わり、中空領域1313内の複数の端子133を包み込む。防水ブロック31の前面および背面と2つの側面とは、端子本体131に接触し、すなわち、防水ブロック31は、端子本体131の中央に配置され、防水ブロック31は、インターフェース部1311と電気接続部1315との間に配置される。防水ブロック31の底面は、ハウジング11に接触し、すなわち、防水ブロック31は、第2ハウジング113上に配置され、防水ブロック31は、第2ハウジング113上に配置される。防水ブロック31の上面は、ハウジング11の外部に露出されている。
【0023】
したがって、防水ブロック31は、インターフェース部1311と電気接続部1315との間の流路の連通を遮断する。これにより、防水ブロック31は、端子モジュール13の電気接続部1311の電子部品に有害な水分が端子モジュール13のインターフェース部1311を介して入るのを効果的に防止することができる。
【0024】
この実施形態は、防水性試験または気密性試験または関連するプロセスを実行する前に、防水コロイドを固化するのに時間のかかるプロセスを必要とする、従来の接着剤の噴霧、塗布、または注入の欠点を改善する。こうして、本開示は、コネクタを製造する方法を提供する。防水ブロック31は、防水処理される必要があるコネクタ1内の位置にコロイド(液体シリコン等)を注入することにより射出成形される。上記の方法に基づけば、防水ブロック31を必要な位置の真上に正確かつ直接的に作ることができる。一方、液体シリコンの射出成形方法に基づけば、焼き付けおよび固化プロセスを省略して、製造コストを削減できる。製造されたコネクタ1は、ウェーブはんだ付け後の気密性試験などの関連試験プロセスに直接さらされ得る。これは、生産プロセスをスピードアップするとともに生産効率を向上させるのを助ける。
【0025】
図7は、本開示の第1の実施形態のコネクタの防水リングの概略図である。図に示すように、本実施形態では、ステップS5の後に、インターフェース部1311に近いハウジング11の外壁にさらに防水リング35を射出成形する。また、本実施形態では、中空領域1313に防水ブロック31を射出成形するステップと、インターフェース部1311に近いハウジング11の外側壁に防水リング35を射出成形するステップとが、同じ射出出成形プロセスの中で同時に行われる。これにより、防水ブロック31と防水リング35とを同時に形成することができ、生産時間の節約と生産効率の向上とに貢献する。
【0026】
図8は、本開示の第1の実施形態のコネクタの防水ハウジングの概略図である。図9は、本開示の第1の実施形態のコネクタの、コロイドが注入された防水ハウジングの概略図である。図10は、本開示の第1の実施形態の別のコネクタの概略図である。図11は、本開示の第1の実施形態の別のコネクタの断面図である。本実施形態のステップS1の後、筐体7(ケーシング)は、ハウジング11上に射出成形される。筐体7は、ハウジング11と端子モジュール13とを包み込む(収容する)。複数の端子133が通過する中空領域1313は、筐体7から露出されている。本実施形態において、筐体7(すなわち防水ケース)は、開口部71と防水開口部73とを備える。開口部71は、インターフェース部1311に対応する。防水開口部73は、中空領域1313に対応し、第1中空領域1352および第2中空領域1372と連通する。このようにして、コロイド(液体シリコーンなど)を防水開口部73から中空領域1313に注入して、防水ブロック31を作成することができる。さらに、防水リング35を、インターフェース部1311に近い筐体7の外壁上に射出成形することができる。
【0027】
したがって、筐体7をハウジング11上に射出成形するステップと、インターフェース部1311に近い筐体7の外壁上に防水リング35を射出成形するステップとを、同じ射出成形プロセスの中で行うことができる。さらに、防水ブロックを中空領域内に射出成形するステップを、上記のステップと同一の射出成形プロセス内で同時に行うことができる。また、中空領域1313内に防水ブロック31を射出成形するステップと、インターフェース部131に近い筐体7の外壁上に防水リング35を射出成形するステップとは、ハウジング11上に筐体7を射出成形するステップを実行した後に、同時に実行され得る。上記の同時射出成形方法は、生産時間を短縮し、かつ、生産効率を向上させるのに役立つ。
【0028】
図12は、本開示の第2の実施形態の、コロイドが注入されたコネクタの概略図である。図13は、本開示の第2の実施形態のコネクタの概略図である。図14は、本開示の第2の実施形態のコネクタの断面図である。この実施形態と第1の実施形態との違いは、射出成形された防水ブロックの位置にある。この実施形態では、端子モジュール13Aは、端子本体131Aと複数の端子133Aとを備える。端子本体131Aは、端子本体131Aの表側から裏側に向かって順に、インターフェース部1311A、中空領域1313A、電気接続部1315Aを備えている。ハウジング11Aは、端子モジュール13A上に配置されている。複数の端子133Aが通過する中空領域1313Aは、ハウジング11Aの側面から露出されている。防水ブロック31Aを射出成形するステップは、ハウジング11Aの側面から中空領域1313Aの中に射出することにより実行される。射出成形されたコロイドを中空領域1313Aに充填して、端子本体131Aのインターフェース部1311Aと端子本体131Aの電気接続部1315Aとの間の流路の連通を遮断する防水ブロック31Aを形成する。
【0029】
図15は、本開示の第2の実施形態のコネクタの端子モジュールの分解図である。図16は、本開示の第2の実施形態のコネクタの分解図である。この実施形態では、端子モジュール13Aが組み立てられる。端子モジュール13Aは、第1端子部品135A、第2端子部品137A、中間プレート139A、および固定リング141Aを備える。第1端子部品135Aは、第1端子板1351Aおよび第1端子1353Aを備える。第1端子板1351Aは、第1溝1352Aを備える。第1端子1353Aは、第1端子板1351A上に配置される。第1端子1353Aは、第1溝1352Aを通過する。第2端子部品137Aは、第2端子板1371Aおよび第2端子1373Aを備える。第2端子板1371Aは、第2溝1372Aを備える。第2端子1373Aは、第2端子板1371A上に配置される。第2端子1373Aは、第2溝1372Aを通過する。中間プレート139Aは、第1端子部品135Aと第2端子部品137Aとの間に配置される。第1端子部品135Aは、第2端子部品137Aの上方に配置されている。第1端子部品135Aの第1溝1352Aは、第2端子部品137Aの第2溝1372Aに対応する。第1溝1352Aは、第2溝1372Aと組み合わされて収容空間を形成する。固定リング141Aは、第1端子部品135A、中間プレート139A、および第2端子部品137Aの間にスリーブを付けられる。第1端子板1351A、第2端子板1371A、中間プレート139A、および固定リング141Aは、端子モジュール13Aの端子本体131Aを構成する。第1端子1353Aおよび第2端子1373Aは、端子モジュール13Aの端子133Aを構成する。
【0030】
したがって、端子モジュール13Aの端子本体131Aが組み立てられた後に、端子本体131Aは、インターフェース部1311A、中空領域1313A、および電気接続部分1315Aの3つの領域に分割される。それから、コロイド33Aを射出成形して、インターフェース部1311Aおよび固定リング141Aを包み込み、第1端子部品135A、中間プレート139A、第2端子部品137A、および固定リング141Aの前端を固定して、舌状プレートを形成する。
【0031】
それから、ハウジング11Aを端子モジュール13A上に取り付ける。ハウジング11Aは、第1ハウジング111Aおよび第2ハウジング113Aを備える。第1ハウジング111Aは、舌状プレートの一端から端子モジュール13Aにスリーブを付けられる。第2ハウジング113Aは、舌状プレートから離れた端子モジュール13Aの一端で端子モジュール13Aに取り付けられる。複数の第1端子1353Aおよび複数の第2端子1373Aが通過する中空領域1313Aは、第1ハウジング111Aおよび第2ハウジング113Aが端子モジュール13A上に配置されると、ハウジング11Aの上部から露出される。防水ブロック31Aを射出成形するステップは、ハウジング11Aの側面から中空領域1313Aの中に射出することにより行われる。この実施形態では、ハウジング11Aの2つの対向する側面は、中空領域1313Aと連通する。
【0032】
コロイド(たとえば、液体シリコン)は、側方から収容スペースに注入されて、コロイド(たとえば、液体シリコン)を第1端子部品135Aの第1溝1352Aと第2端子部品137Aの第2溝1372Aとに充填する。次に、コロイドは、中空領域1313Aで防水ブロック31Aに変わり、中空領域1313A内に複数の端子133Aを包み込む。防水ブロック31Aの表裏面と上下面は、端子本体131Aに接触している。防水ブロック31Aの両側面は、ハウジング11Aの外部に露出されている。
【0033】
防水ブロック31Aの表裏面および2つの側面は、端子本体131Aに接触し、すなわち、防水ブロック31Aは、端子本体131Aの中央に配置され、防水ブロック31Aは、インターフェース部1311Aと電気接続部1315Aとの間に配置される。防水ブロック31Aの底面は、ハウジング11Aと接触しており、すなわち、防水ブロック31Aは、第2ハウジング113Aの上方に配置されている。防水ブロック31Aの上面は、ハウジング11Aの外部に露出されている。これにより、防水ブロック31Aは、端子モジュール13Aの電気接続部1315Aの電子部品に有害な水分が端子モジュールのインターフェース部1311Aを介して入るのを効果的に防止することができる。
【0034】
図17は、本開示の第2の実施形態のコネクタの、コロイドが注入された防水ハウジングと防水リングとの概略図である。図18は、本開示の第2の実施形態のコネクタの、コロイドが注入された防水ハウジングの概略図である。図19は、本開示の第2の実施形態の別のコネクタの概略図である。図20は、本開示の第2の実施形態の別のコネクタの断面図である。この実施形態の防水リング35Aは、第1の実施形態で説明した防水リング35と同一であるので、ここでは繰り返し説明されない。本実施形態では、さらに、ハウジング11A上への筐体7Aの射出成形を実行する。筐体7Aは、ハウジング11Aおよび端子モジュール13Aを包み込む(収容する)。複数の端子133Aが通過する中空領域1313Aは、筐体7Aから露出されている。本実施形態では、筐体7A(すなわち防水ケース)は、開口部71Aと防水開口部73Aとを備える。開口部71Aは、インターフェース部1311に対応する。防水開口部73Aの個数は2つである。 2つの防水開口部73Aは、中空領域1313の2つの側面に対応し、第1中空領域1352Aおよび第2中空領域1372Aと連通する。このようにして、コロイド(液体シリコンなど)を防水開口部73Aから中空領域1313Aに注入して、防水ブロック31Aを作製することができる。また、防水リング35Aは、インターフェース部1311Aに近い筐体7Aの外壁に射出成形され得る。
【0035】
したがって、筐体7Aをハウジング11Aに射出成形し、防水リング35Aをインターフェース部1311Aに近い筐体7Aの外壁に射出成形し、防水ブロック31Aを中空領域1313Aの中に射出成形するという3つのステップが第1の実施形態において説明されているので、ここでは繰り返し説明されない。この実施形態のステップは、同じ射出成形プロセス内で、または、要件に応じた順序で実行可能であり、このことはこの実施形態に限定されない。
【0036】
図21は、本開示の第3の実施形態の、コロイドが注入されたコネクタの概略図である。図22は、本開示の第3の実施形態のコネクタの概略図である。図23は、本開示の第3の実施形態のコネクタの断面図である。図に示すように、本実施形態と第1の実施形態との違いは、射出成形された防水ブロックの位置である。本実施形態では、コネクタ1Bは、端子モジュール13Bを備える。端子モジュール13Bは、端子本体131Bと、複数の端子133Bとを備える。端子本体131Bは、表側から裏側に向かって順に、インターフェース部1311B、中空領域1313B、および、電気接続部1315Bを備えている。ハウジング11Bは、端子モジュール13B上に配置される。複数の端子133Bが通過する中空領域1313Bは、ハウジング11Bの裏側から露出される。すなわち、電気接続部1315Bによりハウジング11Bの一端から露出することである。防水ブロック31Bを射出成形するステップは、ハウジング11Bの裏側から中空領域1313Bの中に射出することにより行われる。射出成形されたコロイドを中空領域1313Bに充填して、端子本体131Bのインターフェース部1311Bと端子本体131Bの電気接続部1315Bとの間の流路の連通を遮断する防水ブロック31Bを形成する。
【0037】
図24は、本開示の第3の実施形態のコネクタの端子モジュールの分解図である。図25は、本開示の第3の実施形態のコネクタの分解図である。この実施形態では、端子モジュール13Bが組み立てられる。端子モジュール13Bは、第1端子部品135B、第2端子部品137B、中間プレート139B、および固定リング141Bを備える。第1端子部品135Bは、第1端子板1351Bおよび第1端子1353Bを備える。第1端子板1351Bは、第1凹部1352Bを備える。第1端子1353Bは、第1端子板1351Bに配置される。第1端子1353Bの一部は、第1凹部1352Bから露出されている。第2端子部品137Bは、第2端子板1371Bおよび第2端子1373Bを備える。第2端子板1371Bは、第2凹部1372Bを備える。第2端子1373Bは、第2端子板1371B上に配置される。第2端子1373Bの一部は、第2凹部1372Bから露出されている。中間プレート139Bは、第1端子部品135Bと第2端子部品137Bとの間に配置される。第1端子部品135Bは、第2端子部品137Bの上方に配置される。第1端子部品135Bの第1凹部1352Bは、第2端子部品137Bの第2凹部1372Bと組み合わされて収容スペースを形成する。固定リング141Bは、第1端子板1351B、中間プレート139B、および第2端子板1371Bの間にスリーブを付けられて、端子モジュール13Bの端子本体131Bを構成する。
【0038】
したがって、端子モジュール13Bの端子本体131Bが組み立てられた後、端子本体131Bは、インターフェース部1311B、中空領域1313B、および電気接続部1315Bの3つの領域に分割される。その後に、コロイド33Bを射出成形して、インターフェース部1311Bおよび固定リング141Bを包み込み、第1端子部品135B、中間プレート139B、第2端子部品137B、および固定リング141Bの前端を固定して舌状プレートを形成する。一方、コロイド33Bは、電気的接続部1315Bにより端子本体131Bの一端に射出成形される。コロイド33Bは、端子本体131Bに射出成形されて、ハウジング11Bを固定するために使用される固定部品331Bを形成する。それから、ハウジング11Bを端子モジュール13Bに組み付ける。ハウジング11Bは、第1ハウジング111Bおよび第2ハウジング113Bを備える。続いて、第2ハウジング113B、次いで第1ハウジング111Bは、舌状プレートの一端から端子モジュール13B上にスリーブを付けられる。第2ハウジング113Bは、固定部品331Bに固定される。
【0039】
複数の第1端子1353Bおよび複数の第2の端子1373Bが通過する中空領域1313Bは、第1ハウジング111Bおよび第2ハウジング113Bが端子モジュール13B上に配置されたとき、ハウジング11Bの背面から露出される。射出成形された防水ブロック31Bは、ハウジング11Bの背面(すなわち、電気的接続部1315Bのある端部)から中空領域1313Bの中に射出される。
【0040】
コロイド(たとえば、液体シリコン)は、その背面から収容スペースに注入されて、コロイド(たとえば、液体シリコン)を、第1端子部品135Bの第1凹部1352Bおよび第2端子部品137Bの第2凹部1372Bに充填する。それから、コロイドは、中空領域1313B内で防水ブロック31Bに変わり、複数の端子133Bを中空領域1313Bで包み込む。防水ブロック31Bの後側面は、ハウジング11Bの外部に露出されている。これにより、防水ブロック31Bは、端子モジュール13Bの電気接続部1315Bの電子部品に有害な水分が端子モジュール13Bのインターフェース部1311Bを介して入るのを効果的に防止することができる。
【0041】
本実施形態では、防水リング35Bが、インターフェース部1311Bに近いハウジング11Bの外壁にさらに射出成形されている。また、防水リング35Bは、射出されたコロイド(液体シリコンなど)を防水ブロック31Bとして射出成形するときに同時に射出成形されて、生産時間を短縮し生産効率を向上させることができる。
【0042】
要約すると、本開示は、ハウジングおよび端子モジュールをコネクタに組み立てた後に、液体シリコンをハウジング内の端子のある領域に注入することにより、コネクタ内で使用される防水構造を製造する方法を提供する。本開示の上記方法に基づけば、防水構造を正確に位置決めすることができ、焼き付けプロセスを省略することができ、それにより、生産効率を改善するとともにコストを削減することができる。
【0043】
理解されるべきことは、用語「comprise(備える)」、「comprising(備える)」、またはその任意の他の変形が、非排他的な包含を包み込むように意図されて、一連の要素におけるプロセス、方法、物品、またはデバイスがそのような要素を含むだけでなく、明示的にリストされていない他の要素、または、そのようなプロセス、方法、記事、またはデバイスに固有の要素も備えるようにしていることである。「comprising a …(・・・を備える)」という句によって定義される要素は、その要素を備えるプロセス、方法、物品、またはデバイスにおける同じ要素の存在を排除するものではない。
【0044】
本発明は、その好適な実施形態に関連して説明されてきたが、本発明を限定することを意図するものではない。本発明を考慮する当業者にとって、本明細書で具体的に説明された実施形態を超える例示的な実施形態の他の変更が、本発明の趣旨から逸脱することなく行われ得ることは明らかであろう。したがって、そのような変更は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるような本発明の範囲内であると見なされる。
図1
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