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特許7087088アオキ抽出物を含む眼球乾燥症の予防または治療用組成物
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  • 特許-アオキ抽出物を含む眼球乾燥症の予防または治療用組成物 図1
  • 特許-アオキ抽出物を含む眼球乾燥症の予防または治療用組成物 図2A
  • 特許-アオキ抽出物を含む眼球乾燥症の予防または治療用組成物 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】アオキ抽出物を含む眼球乾燥症の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/40 20060101AFI20220613BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220613BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220613BHJP
【FI】
A61K36/40
A61P27/02
A23L33/105
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020542144
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2018012976
(87)【国際公開番号】W WO2019146881
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0010843
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520283325
【氏名又は名称】全北大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL COOPERATION FOUNDATION CHONBUK NATIONAL UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ヒョン
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0050778(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1762797(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1764377(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0111646(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0135528(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1849301(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アオキ抽出物を有効成分として含む眼球乾燥症を予防または治療するための薬学的組成物。
【請求項2】
前記アオキ抽出物は、エタノール抽出物または熱水抽出物である請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記エタノール抽出物は、20~40%エタノール(w/w)抽出物である請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記熱水抽出物は、90~120℃の温度から抽出した請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記組成物は、経口投与される請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記アオキ抽出物は、アオキの葉または茎の抽出物である請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
アオキ抽出物を有効成分として含む眼球乾燥症を予防または改善するための健康機能食品用組成物。
【請求項8】
前記アオキ抽出物は、エタノール抽出物または熱水抽出物である請求項7に記載の健康機能食品用組成物。
【請求項9】
前記アオキ抽出物は、アオキの葉または茎の抽出物である請求項7に記載の健康機能食品用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球乾燥症を予防、改善または治療するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
眼球乾燥症(乾性眼:dry eye syndrome)は、大韓民国の成人の20%内外に発生する平凡な疾病であって、全世界的な気候変化と環境汚染とによって発病率が持続的に増加している。このような眼球乾燥症は、単純な涙の不足だけではなく、眼球表面(角膜及び結膜)の炎症による眼球の不便感、視力低下、及び涙層の不安定性を誘発して、眼球表面に損傷を与える。また、眼球乾燥症は、疼痛、不規則な角膜表面、ぼやけて変動幅が大きくなった視力及び角膜潰瘍など多様な眼球疾患を共に引き起こす危険性が大きい。眼球乾燥症の発病機転は、まだ完全に究明されていないが、炎症細胞の浸潤、免疫活性化分子及び接着分子の発現増加、Th1及びTh17反応、細胞死マーカー及びケモカインの非正常な変化など炎症が重要な役割を行うという研究結果が報告されている。一般的に、眼球乾燥症の治療のために、カリウムとアントシアニンとが豊かな食べ物摂取を推奨しており、それ以外にも、ケール、キウイ、リンゴなどの果物摂取も積極的に推奨している。また、人工涙の点眼、涙点を塞いで排出される涙の量を調節する治療法を使用することもある。しかし、このような処方は、一時的なものであり、いまだには特別な治療剤または機能性食品がない状況である。
【0003】
一方、アオキ(Acuba japonica)は、大韓民国の南海及び済州一帯で育つガリア科闊葉灌木であって、主に暖かい産地で庭園樹として育ち、温帯照葉樹林を成す代表的な種類であって、大韓民国の南部、特に、鬱陵島地域に主に分布している。アオキの果実は、美しくて観賞用として人気があり、葉と樹皮は、薬用として使用するが、生薬名を桃葉珊瑚、天脚板あるいは青木と言う。アオキは、伝統的に神経痛や痛風性関節炎のような炎症の治療に使われてきた。
【0004】
本発明者らは、天然物で眼球乾燥症の予防及び治療用組成物を検索しているうちに、アオキ抽出物またはその分画物が涙分比量の増加及び角膜形態変化の抑制を通じて眼球乾燥症を治療することができるということを確認して、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アオキ抽出物を有効成分として含む眼球乾燥症を予防または治療するための薬学的組成物を提供する。
【0006】
本発明は、また、アオキ抽出物を有効成分として含む眼球乾燥症を予防または改善するための健康機能食品用組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、アオキ抽出物を有効成分として含む眼球乾燥症を予防または治療するための薬学的組成物を提供する。本発明の他の態様は、アオキ抽出物を有効成分として含む眼球乾燥症を予防または改善するための健康機能食品用組成物を提供する。
【0008】
「アオキ」は、双子葉植物繖形花目ミズキ科の常緑灌木一種を意味するものであって、大韓民国の南部、特に、鬱陵島地域に主に分布している。他の言葉で、桃葉珊瑚、天脚板あるいは青木とも呼ばれることもある。
【0009】
「眼球乾燥症」は、涙が足りないか、涙が過度に蒸発、または涙の構成成分の均衡が合わなくて、眼球表面が損傷される眼球疾患を意味する。一般的に、目がしみ、刺激感、異物感、乾燥感などの刺激症状を感じる。
【0010】
前記抽出物は、前記アオキの地上部の全体、その一部、またはこれらから由来した材料から溶媒によって抽出された抽出物である。前記一部は、アオキの茎、葉、花、花びらまたは種実である。抽出に使われた前記アオキの全体、その一部、またはこれらから由来した材料は、粉砕または細切りされるか、適当に乾燥されたものである。
【0011】
前記抽出物は、水、アセトン、アルコール、例えば、C1~C6アルコール、またはこれらの混合物を溶媒として用いて抽出したものである。前記C1~C6アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3-プロパンジオール、ブタノール、ペンタノール、またはヘキサノールなどである。前記溶媒は、例えば、水とアルコールとの混合物、すなわち、アルコール水溶液である。アルコール水溶液のアルコール濃度は、1~100(w/w)%、例えば、1~99.5(w/w)%、10~100(w/w)%、20~100(w/w)%、20~80(w/w)%、20~60(w/w)%、20~40(w/w)%、または30(w/w)%である。前記アルコール水溶液は、メタノール、エタノール、またはブタノール水溶液である。
【0012】
前記抽出は、加温された液体抽出、加圧された液体抽出(pressurized liquid extraction:PLE)、超音波支援抽出(microwave assisted extraction:MAE)、亜臨界抽出(subcritical extraction:SE)、またはこれらの組み合わせによって行われる。前記亜臨界抽出は、亜臨界水抽出(subcritical water extraction:SWE)である。亜臨界水抽出は、超加熱された水抽出(superheated water extraction)または加圧された熱水抽出(pressurized hot water extraction:PHWE)とも言う。前記加温された液体抽出は、還流抽出である。
【0013】
前記抽出は、4~70℃、例えば、4~50℃、4~40℃、4~30℃、10~70℃、15~70℃、20~70℃、4~50℃、10~50℃、4~40℃、4~30℃、10~40℃、10~35℃、または10~30℃で行うものである。前記抽出が加温された抽出である場合、抽出に使われる溶媒が、沸き温度または植物体から所望の成分が抽出される温度で行うものであり、例えば、40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、100℃以上、120℃以上、140℃以上、160℃以上、または200℃以上の温度で行うものであり、具体例を挙げれば、水を溶媒として用いて90~120℃の温度で行うものである。前記抽出に必要な時間は、選択された温度によって変わりうるが、1時間~2ヶ月、例えば、1時間~1ヶ月、1時間~15日、1時間~10日、1時間~5日、1時間~3日、1時間~2日、1時間~1日、5時間~1ヶ月、5時間~15日、5時間~10日、5時間~5日、5時間~3日、5時間~2日、5時間~1日、10時間~1ヶ月、10時間~15日、10時間~10日、10時間~5日、10時間~3日、または10時間~2日である。前記抽出は、前記溶媒中にアオキの地上部の全体、その一部、種実、またはこれらから由来した材料を混合し、一定時間放置するものを含みうる。前記放置は、適当な撹拌を含みうる。前記抽出は、1回以上、例えば、1~5回反復される。
【0014】
前記抽出は、植物体残余物及び抽出液を濾過などの知られた方法によって分離する過程をさらに含みうる。前記抽出は、また得られた抽出液から減圧濃縮のような知られた方法によって溶媒を除去するものを含みうる。前記抽出は、また得られた抽出物を窒素乾燥または凍結乾燥のような乾燥によって乾燥抽出物を製造するものを含みうる。前記抽出物は、乾燥された以後、必要に応じて適切な溶媒で再溶媒化される。
【0015】
前記組成物は、前記抽出物の分画物をさらに含みうる。用語「分画物(fraction)」は、前記アオキ抽出物がその一部の成分に分けられた物質、すなわち、分画された物質を示す。前記分画物は、溶媒分画化(fractionation)によって得られたものである。前記溶媒分画化は、アオキ抽出物を溶媒と混合し、前記溶媒に存在する物質を分離するものである。本明細書において、抽出物は、明白に取り立てて説明しない限り、分画物を排除する純粋抽出物として解釈されない。
【0016】
前記組成物は、組成物総重量に対して0.001~80重量%、例えば、0.01~60重量%、0.01~40重量%、0.01~30重量%、0.01~20重量%、0.01~10重量%、0.01~5重量%、0.05~60重量%、0.05~40重量%、0.05~30重量%、0.05~20重量%、0.05~10重量%、0.05~5重量%、0.1~60重量%、0.1~40重量%、0.1~30重量%、0.1~20重量%、0.1~10重量%、または0.1~5重量%のアオキ抽出物を含みうる。
【0017】
前記組成物は、その用途によって、前記抽出物を有効な量、または有効成分として含みうる。前記有効な量は、個体によって適切に選択することができる。疾患ないし状態の重症度、個体の年齢、体重、健康、性別、個体の抽出物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、投与期間、前記組成物と配合または同時使われる他の組成物を含んだ要素及びその他の生理ないし医学分野によく知られた要素によって決定される。
【0018】
前記組成物が、健康機能食品用組成物である場合、当該技術分野に公知されている通常の健康機能食品の剤型で製剤化される。前記健康機能食品用組成物は、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、懸濁液、乳剤、シロップ剤、浸剤、液剤、エクストラクト剤などの一般的な剤型で製造されても、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、ゼリー、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲料水、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などの任意の健康食品の形態で製造されても良い。前記健康食品の製剤化のために、食品学的に許容可能な担体または添加剤を使用し、製造しようとする剤型の製造に当該技術分野で使用可能であると公知されている任意の担体または添加剤が用いられる。前記添加剤として各種栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含有することができる。それ以外にも、天然果汁、果汁飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような添加剤成分は、独立して、または組み合わせて使用し、添加剤の比率は、組成物全体重量を基準に0.001~5重量%、または0.01~3重量%である。
【0019】
前記健康機能食品用組成物中の前記抽出物の含量は、使用目的(予防または改善)によって適するように決定される。一般的に、全体食品重量の0.01~15重量%に含み、飲料として製造される場合、100mLを基準に0.02~10g、望ましくは、0.3~1gの比率で含有することができる。前記飲料は、前記抽出物以外の他の成分をさらに含み、通常の飲料に使われる多様な香味剤または天然炭水化物などをさらに含有することができる。前記天然炭水化物としては、単糖類(例:ブドウ糖、果糖など)、二糖類(例:マルトース、スクロースなど)、多糖類(例:デキストリン、シクロデキストリンなど)のような通常の糖及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールが含有されうる。また、香味剤として天然香味剤(例:タウマチン、ステビア抽出物など)及び合成香味剤(例:サッカリン、アスパタムなど)を含有することができる。前記天然炭水化物の比率は、飲料100mL当たり、一般的に、約1~20g、望ましくは、約5~12gで含有されうる。
【0020】
前記組成物が、薬学的組成物である場合、薬剤学的に許容可能な希釈剤または担体を含みうる。前記希釈剤は、乳糖、トウモロコシ澱粉、大豆油、非晶質セルロース、またはマンニトール、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはその組み合わせである。前記担体は、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、またはその組み合わせである。前記賦形剤は、非晶質セルロース、乳糖、低置換度ヒドロキシセルロース、またはその組み合わせである。前記崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、無水リン酸一水素カルシウム、またはその組み合わせである。前記結合剤は、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはその組み合わせである。前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、またはその組み合わせである。前記薬学的組成物は、前記抽出物を有効な量、または有効成分として含みうる。前記有効な量は、個体によって適切に選択することができる。疾患の重症度、患者の年齢、体重、健康、性別、患者の薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、前記組成物と配合または同時使われる薬物を含んだ要素及びその他の医学分野によく知られた要素によって決定される。
【0021】
本発明者らは、アオキ抽出物または分画物が眼球乾燥症によって表われる涙分比量の減少及び角膜形態の変化を有意に抑制するだけではなく、眼球乾燥症の治療のために使われている常用薬物と類似した効果を示すことを実験を通じて確認した。したがって、アオキ抽出物は、眼球乾燥症を予防、改善、または治療するのに有用に用いられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のアオキ抽出物は、眼球乾燥症を予防、改善、または治療するのに有用に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】アオキ抽出物の投与による涙分比量の変化を示す。
図2A】アオキ抽出物の投与による角膜表面の状態を示すイメージである。
図2B】アオキ抽出物によって角膜損傷の回復程度を角膜平滑度点数(corneal smoothness score)で定量的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲が、これら実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1.アオキ還流抽出物の製造
アオキ葉と茎は、2017年6月と9月とに大韓民国済州特別自治道西帰浦市上孝洞及びドネコ渓谷一帯2ヶ所と済州市旧左邑松堂里日の出近所1ヶ所とに2次にわたって採集し、証拠標本は、大韓民国の全北大試料保管室に保管中である。
【0026】
以後、前記アオキ50g(葉と茎との混合物)を30%エタノール(w/w)1500mLに入れて、100℃で3時間1回還流抽出して、30%エタノール還流抽出物を得た。
【0027】
実施例2.アオキ熱水抽出物の製造
アオキ葉と茎は、2017年6月と9月とに済州特別自治道西帰浦市上孝洞及びドネコ渓谷一帯2ヶ所と済州市旧左邑松堂里日の出近所1ヶ所とに2次にわたって採集し、証拠標本は、大韓民国の全北大試料保管室に保管中である。
【0028】
以後、アオキ50g(葉と茎との混合物)に900mLの蒸留水を加えた後、100℃で3時間煎湯して減圧濃縮した後、乾燥してアオキ熱水抽出物を製造した。
【0029】
実施例3.アオキ抽出物のHPLC分析を通じたアウクビン含量の分析
HPLC-DAD(high-performance liquid chromatography-diode array detector)(Shimadzu HPLC system,Shimadzu,Kyoto,Japan)分析法でアオキ抽出物に含まれたアウクビンの含量分析を行った。その結果は、下記の表1のようである。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例4.眼球乾燥症モデル動物を利用したアオキ抽出物のin vivo機能性評価
4.1 実験動物及び実験デザイン
6週齢SDラットを(株)オリエントから購入後、1週間順化した。1週間後、深麻酔下で涙腺(exorbital lacrimal gland)を手術的に除去して、眼球乾燥症を誘発した。1週間後、フェノールレッドスレッド(phenol-red thread)涙量検査紙(FCI Opthalmics Zone Quick、Japan)をまぶた外側端部眼球表面に接触させた後、30秒後、涙によって検査紙の色が変わった長さを測定した。これらのうち、非手術群に比べて顕著に涙分比量が減少した個体のみ選別して、薬効試験を進行した。群分離後、薬物は、1日1回ずつ各群に合わせて調剤して、5日間経口投与し、対照薬物としては、眼球乾燥症に使用する健機食素材であるオメガ-3を使用した。実験動物の飼育及び実験動物を利用したあらゆる実験過程は、韓国韓医学研究院動物実験倫理委員会の承認を受け、規定によって実行した。
【0032】
4.2 涙量及び角膜乾燥損傷分析
涙分比量は、フェノールレッドスレッド涙量検査紙(FCI Opthalmics Zone Quick、Japan)をまぶた外側端部眼球表面に接触させた後、30秒後、涙によって検査紙の色が変わった長さを測定して、涙分比量を測定した。角膜の乾燥損傷は、円形イルミネーター(ring type light illuminator)を角膜に照らして反射される形態を撮影した後、円形照明の角膜乾燥損傷によって潰れる程度を評価して分析した。
【0033】
4.3 実験の結果
4.3.1 涙分比量増加効果
前記眼球乾燥症誘導動物モデルにアオキ30%エタノール抽出物をそれぞれ100、250mg/kg/dayの濃度で5日間経口投与した。以後、涙分比量を測定した結果、図1のように涙分比量がアオキ抽出物投与によって有意に増加することを確認した。特に、眼球乾燥症に代表的に使われるオメガ-3(omega-3)と効能を比較した結果、アオキ抽出物を投与する場合、オメガ-3よりも優れた効果を示すことを確認した。
【0034】
4.3.2 角膜乾燥損傷の改善効果
眼球乾燥症の場合、涙の不足によって角膜の乾燥損傷が引き起こされる。したがって、前記動物モデルを用いてアオキ30%エタノール抽出物の角膜乾燥損傷の改善効果を評価した。
【0035】
その結果、図2Aのように、正常群では、涙膜(tear film)の正常な形成によって角膜が滑らかく、平らな表面状態を保持していた。一方、眼球乾燥症疾患群では、涙膜の形成不足によって角膜上皮細胞に乾燥損傷が誘発されて、角膜の表面が凹凸に変わって丸い円形の照明が不規則に潰れる形態で観察された。一方、アオキ抽出物投与群では、角膜の乾燥損傷による潰れる現象を有意的に抑制し、対照薬物であるオメガ-3よりも優れた効能を確認することができた。図2Bは、角膜損傷程度を角膜平滑度点数で定量的に示したものである。
図1
図2A
図2B