(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】光源装置、内視鏡システム、及び、光源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/11 20200101AFI20220613BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20220613BHJP
【FI】
H05B47/11
H05B47/17
(21)【出願番号】P 2020547700
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2018035847
(87)【国際公開番号】W WO2020065805
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】正木 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】西尾 真博
(72)【発明者】
【氏名】橋本 進
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-65738(JP,A)
【文献】特開2012-19982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0214750(US,A1)
【文献】特開2015-226340(JP,A)
【文献】特開平2-172183(JP,A)
【文献】特開平10-144476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加電流に応じた光量の光を放射する半導体光源と、
入力される制御情報に基づいて電流指示値を決定する制御部と、
前記半導体光源及び前記制御部に接続され、前記電流指示値と対応する大きさの電流を前記半導体光源に出力可能な第1の駆動部と、
前記半導体光源及び前記制御部に接続され、前記電流指示値と対応する大きさの電流を前記半導体光源に出力可能な第2の駆動部と、
を備え、
前記制御情報は、撮像素子で撮像された撮像画像の明るさに基づいて設定されており、
前記制御部は、前記第1の駆動部と前記第2の駆動部とを一方の駆動部から他方の駆動部へと切り替える場合、前記一方の駆動部からの前記半導体光源への電流の出力を停止してから、前記撮像素子による撮像のフレームレートに対して所定の割合以下の長さである所定の停止時間が経過した後に、前記他方の駆動部に前記半導体光源への電流の出力を開始させる
ことを特徴とする、光源装置。
【請求項2】
前記第1の駆動部が出力する最小電流値は、前記第2の駆動部が出力する最小電流値よりも小さく、
前記第1の駆動部が出力する最大電流値は、前記第2の駆動部が出力する最大電流値よりも小さく、かつ、前記第2の駆動部が出力する最小電流値よりも大きい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電流指示値に基づいて、前記第1の駆動部と前記第2の駆動部とのうちのいずれか一方を選択し、選択した駆動部から前記電流指示値と対応する大きさの電流を前記半導体光源へと出力させる、請求項
2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流指示値と対応する電流値を前記選択した駆動部において指定する個別の電流指示値に変換し、変換して得られた前記個別の電流指示値を前記選択した駆動部に出力する、ことを特徴とする、請求項
3に記載の光源装置。
【請求項5】
更に、第1の電流指示値を記憶する記憶部を含み、
前記制御部は、前記第1の駆動部が前記半導体光源に電流を出力しており、かつ、前記第1の電流指示値が前記第1の駆動部に対して対応づけられる電流値以上の電流値を示す値に前記電流指示値がなった場合、前記第1の駆動部からの前記半導体光源への電流の出力を停止して、前記第2の駆動部から前記電流指示値と対応する大きさの電流を前記半導体光源へと出力させる、ことを特徴とする、請求項1から
4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記記憶部は、更に、前記第1の電流指示値が対応づけられる電流値よりも小さい電流値と対応づけられる第2の電流指示値を記憶しており、
前記制御部は、前記第2の駆動部が前記半導体光源に電流を出力しており、かつ、前記第2の電流指示値が前記第2の駆動部に対して対応づけられる電流値以下の電流値を示す値に前記電流指示値がなった場合、前記第2の駆動部からの前記半導体光源への電流の出力を停止して、前記第1の駆動部から前記電流指示値と対応する大きさの電流を前記半導体光源へと出力させる、ことを特徴とする、請求項
5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記第1の電流指示値において前記第2の駆動部が出力する電流値と、前記第1の電流指示値が前記第1の駆動部に対して対応づけられる電流値とは異なっている、請求項
5または
6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第1の電流指示値において前記第2の駆動部が出力する電流値は、前記第1の電流指示値が前記第1の駆動部に対して対応づけられる電流値以上の大きさを有することを特徴とする、請求項
5から
7のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記第1の電流指示値において前記第2の駆動部が出力する電流値は、前記第1の電流指示値が前記第1の駆動部に対して対応づけられる電流値から所定の許容範囲内の大きさを有する、請求項
8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第2の電流指示値において前記第1の駆動部が出力する電流値は、前記第2の電流指示値が前記第2の駆動部に対して対応づけられる電流値以下の大きさを有することを特徴とする、請求項
6に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第2の電流指示値において前記第1の駆動部が出力する電流値は、前記第2の電流指示値が前記第2の駆動部に対して対応づけられる電流値から所定の許容範囲内の大きさを有する、請求項
10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第1の駆動部に対して前記第1の電流指示値が対応づけられる電流値よりも、前記第2の駆動部に対して前記第2の電流指示値が対応づけられる電流値は小さい値を有する、請求項
6、
10、および
11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記撮像素子による撮像のフレーム内で前記所定の停止時間、前記半導体光源への電流の出力を停止する場合、前記電流指示値と対応する大きさの電流を印加したときに前記半導体光源が発する光量を前記フレームの時間長にわたって積算した積算光量と、前記所定の停止時間を含むフレームの期間に前記半導体光源が発する光量を積算した積算光量とが所定の誤差範囲内で等しくなるように、前記電流指示値を補正した補正電流指示値と対応する大きさの電流を前記他方の駆動部から出力させる、請求項
1乃至請求項12のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項14】
内視鏡と、
印加電流に応じた光量の光を前記内視鏡に供給する半導体光源と、
入力される制御情報に基づいて電流指示値を決定する制御部と、
前記半導体光源及び前記制御部に接続され、前記電流指示値と対応する大きさの電流を前記半導体光源に出力可能な第1の駆動部と、
前記半導体光源及び前記制御部に接続され、前記電流指示値と対応する大きさの電流を前記半導体光源に出力可能な第2の駆動部と、
を備え、
前記制御情報は、前記内視鏡の撮像素子で撮像された撮像画像の明るさに基づいて設定されており、
前記制御部は、前記第1の駆動部と前記第2の駆動部とを一方の駆動部から他方の駆動部へと切り替える場合、前記一方の駆動部からの前記半導体光源への電流の出力を停止してから、前記撮像素子による撮像のフレームレートに対して所定の割合以下の長さである所定の停止時間が経過した後に、前記他方の駆動部に前記半導体光源への電流の出力を開始させる、ことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項15】
入力される制御情報に基づいて電流指示値を決定し、前記電流指示値と対応する大きさの電流を半導体光源に出力可能な第1の駆動部及び第2の駆動部を備える光源装置の制御方法であって、
前記制御情報を撮像素子で撮像された撮像画像の明るさに基づいて設定し、
前記第1の駆動部と前記第2の駆動部とを一方の駆動部から他方の駆動部へと切り替える場合、前記一方の駆動部からの前記半導体光源への電流の出力を停止してから、前記撮像素子による撮像のフレームレートに対して所定の割合以下の長さである所定の停止時間が経過した後に、前記他方の駆動部に前記半導体光源への電流の出力を開始させる、ことを特徴とする光源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、例えば、体腔内面および臓器表面等の被検部位を観察したり、各種処置を施したりするために広く用いられている。内視鏡では、被検部位の撮影を行うために光源装置が用いられる。内視鏡の光源装置では、光源の固体光源化が進んでいる。固体光源は、印加する電流によって光量を調整することが可能である。また、近年、大電流を印加することで大光量を出射可能なLED(light emitting diode)などの半導体光源が利用されている。
【0003】
光源装置は、例えば、光源に印加する電流を制御して光源が射出する光量を調節する。これに関し、光源に印加する電流の調節に関連する技術が知られている(例えば、特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-287544号公報
【文献】特開2012-19982号公報
【文献】特開2012-100887号公報
【文献】中国特許第105357805号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、光源に大光量のLEDなどの半導体光源を用いる場合に、望まれる調光範囲の光を射出するためには、広い範囲の電流値の電流を光源に印加する光源装置が必要となる。そのため、広い範囲の電流値の電流を光源に印加することが可能な光源装置が望まれている。
【0006】
1つの側面では、本発明は、広い範囲の電流値の電流を光源に印加することが可能な光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様の光源装置は、印加電流に応じた光量の光を放射する半導体光源と、入力される制御情報に基づいて電流指示値を決定する制御部と、半導体光源及び制御部に接続され、電流指示値と対応する大きさの電流を半導体光源に出力可能な第1の駆動部と、半導体光源及び制御部に接続され、電流指示値と対応する大きさの電流を半導体光源に出力可能な第2の駆動部と、を備える。制御情報は、撮像素子で撮像された撮像画像の明るさに基づいて設定されており、制御部は、第1の駆動部と第2の駆動部とを一方の駆動部から他方の駆動部へと切り替える場合、一方の駆動部からの半導体光源への電流の出力を停止してから、撮像素子による撮像のフレームレートに対して所定の割合以下の長さである所定の停止時間が経過した後に、他方の駆動部に半導体光源への電流の出力を開始させる。
本発明の一つの態様の内視鏡システムは、内視鏡と、印加電流に応じた光量の光を内視鏡に供給する半導体光源と、入力される制御情報に基づいて電流指示値を決定する制御部と、半導体光源及び制御部に接続され、電流指示値と対応する大きさの電流を半導体光源に出力可能な第1の駆動部と、半導体光源及び制御部に接続され、電流指示値と対応する大きさの電流を半導体光源に出力可能な第2の駆動部と、を備える。制御情報は、内視鏡の撮像素子で撮像された撮像画像の明るさに基づいて設定されており、制御部は、第1の駆動部と第2の駆動部とを一方の駆動部から他方の駆動部へと切り替える場合、一方の駆動部からの半導体光源への電流の出力を停止してから、撮像素子による撮像のフレームレートに対して所定の割合以下の長さである所定の停止時間が経過した後に、他方の駆動部に半導体光源への電流の出力を開始させる。
本発明の一つの態様の光源装置の制御方法は、入力される制御情報に基づいて電流指示値を決定し、電流指示値と対応する大きさの電流を半導体光源に出力可能な第1の駆動部及び第2の駆動部を備える光源装置の制御方法である。制御情報を撮像素子で撮像された撮像画像の明るさに基づいて設定し、第1の駆動部と第2の駆動部とを一方の駆動部から他方の駆動部へと切り替える場合、一方の駆動部からの前記半導体光源への電流の出力を停止してから、撮像素子による撮像のフレームレートに対して所定の割合以下の長さである所定の停止時間が経過した後に、他方の駆動部に前記半導体光源への電流の出力を開始させる。
【発明の効果】
【0008】
広い範囲の電流値の電流を光源に印加することが可能な光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係る光源駆動部の例を説明する図である。
【
図3】駆動部の切替条件の設定について説明する図である。
【
図4】実施形態に係る駆動部の切り替え制御の流れを説明する図である。
【
図5】第1の駆動部から第2の駆動部に切り替える際の光量の変化について説明する図である。
【
図6】第2の駆動部から第1の駆動部に切り替える際の光量の変化について説明する図である。
【
図7】個別の電流指示値への変換について説明する図である。
【
図8】第1の駆動部および第2の駆動部のそれぞれの個別の電流指示値と印加電流との関係をプロットした図である。
【
図9】例示的な停止時間について説明する図である。
【
図10】撮像フレームと停止時間の関係を示す図である。
【
図11】停止時間の長さと補正光量とを例示する図である。
【
図12】実施形態に係る駆動部の切り替え制御の流れを説明する別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
【0011】
図1は、内視鏡システム100を例示する図である。
図1は、実施形態に係る光源装置101を内視鏡システム100に適用したものである。
【0012】
内視鏡システム100は、例えば、光源装置101、内視鏡102、ビデオプロセッサ103、およびモニタ104を含む。内視鏡102は、先端側に、管腔内等に挿入可能な細長の挿入部121を有しており、基端側は、コネクタ122によって光源装置101に着脱可能に接続されている。また、内視鏡102は、ケーブル123およびコネクタ124によってビデオプロセッサ103に着脱可能に接続されている。そのため、内視鏡システム100では、光源装置101およびビデオプロセッサ103に、様々な種類の内視鏡102を装着することができる。
【0013】
挿入部121の先端には、体腔内面や臓器表面等の被検部位の映像を撮像するための撮像素子125および光源装置101からの光を被検部位に照射するためのレンズ126が配設されている。光源装置101からライトガイド127を通って伝送された光は、レンズ126を経由して被検部位に照射される。
【0014】
撮像素子125は、例えば、CCD(Charged-coupled devices)やCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)センサ等によって構成されている。撮像素子125は、ビデオプロセッサ103から同期信号を含む駆動信号が供給されて動作する。また、レンズ126から被検部位に照射された光の戻り光は、撮像素子125の撮像面に入射され、撮像素子125は、入射された被検部位の光学像を光電変換し、蓄積した電荷に基づく撮像出力を、信号線128を経由してビデオプロセッサ103に供給する。
【0015】
ビデオプロセッサ103は、撮像出力に対して所定の信号処理を施してモニタ104に表示可能な映像信号を生成する。ビデオプロセッサ103からの映像信号は、ケーブル131を経由してモニタ104に供給される。モニタ104は、供給された撮像出力に基づく内視鏡画像を表示画面に表示する。
【0016】
また、ビデオプロセッサ103は、例えば、撮像画像の明るさが目標の明るさとなるように、光源装置101を制御する。例えば、ビデオプロセッサ103は、撮像画像の明るさを目標とする所定の明るさに調整するための光量の調整量を表す制御情報を光源装置101に出力する。制御情報はケーブル132を経由して光源装置101の制御部111に供給される。
【0017】
光源装置101は、例えば、制御部111、光源112、光源駆動部113、ダイクロイックミラー114、を含む。制御部111は、演算を行う回路であってよく、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、またはプロセッサなどの制御回路であってよい。
【0018】
光源112は、例えば、印加する電流に応じた光量の光を放射するLEDや半導体レーザ(LD:laser diode)などの半導体光源であってよい。なお、
図1の例では、光源装置101は、紫色(V:バイオレット)、青色(B:ブルー)、緑色(G:グリーン)、橙色(A:アンバー)、赤色(R:レッド)の5つの光源112を備える例を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではない。別の実施形態では、光源装置101には、5つよりよりも多いまたは5つよりも少ない数の光源112が備えられていてもよい。また、光源112の色も、上記の限定されるものではなく、一部の色が含まれていなくても、または他の色であってもよい。一例では、光源装置101が備える光源112は、1つであってもよい。
【0019】
また、例えば、光源装置101に備えられる光源112の種類や数、および光源装置101の制御部111が発光させる光源の種類や数は、光源装置101の用途に応じて異なってよい。例えば、内視鏡システム100では、観察する対象に応じて発光させる光源112が制御される。例えば、内視鏡102では観察モードとして、白色光による観察(WLI:white-light imaging)と、狭帯域光観察(NBI:Narrow band imaging)および自家蛍光観察(AFI:Autofluorescence imaging)と呼ばれる特殊光観察とが知られている。
【0020】
白色光による観察(WLI)では、制御部111は、紫色(V)、青色(B)、緑色(G)、琥珀色(A)、赤色(R)の5色の光源112を発光させるように制御する。狭帯域光観察(NBI)は、血管をコントラスト良く観察するための観察モードで、制御部111は、紫色(V)と緑色(G)の光源112のみを発光させる。自家蛍光観察(AFI)は、自家蛍光を観察するための観察モードであり、紫色(V)と緑色(G)の光源112のみを発光させるが、狭帯域光観察(NBI)とは紫色(V):緑色(G)の光量比が異なる。
【0021】
各光源112から発せられた光は、例えば、レンズによって略平行光に変換されて出射されてよい。光源112からの出射光の光軸上には、ダイクロイックミラー114が配置されている。ダイクロイックミラー114は、例えば、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する特性を有し、各光源112からの光を合成する。例えば、
図1の左端のダイクロイックミラー114は、紫色(V)の光を発する光源112からの出射光を透過し、一方、青色(B)の光を発する光源112からの出射光を反射して、紫色(V)の出射光と青色(B)の出射光を合成する。ダイクロイックミラー114からの合成光は、例えば、レンズを経由してライトガイド127に入射され、被検部位に照射される。なお、
図1の各色の光源112の並びは例示であり、ダイクロイックミラー114の特性を適切に設定することで、様々な並びに変更することが可能である。
【0022】
各光源112は、その光源112と対応する光源駆動部113から電流が印加されることによって駆動され点灯する。光源駆動部113は、制御部111による制御を受けて、対応する光源112に電流を印加する。各光源112は、例えば、光源駆動部113から印加された電流に応じた発光量で発光する。制御部111は、例えば、各光源112を制御するための電流指示値を光源駆動部113に出力することで、光源駆動部113から印加する電流レベルを制御して、各光源112の光量を制御する。なお、光源112には、安定な発光を保証できる最小電流値と、安全性や製品寿命等を考慮した最大電流値とが定められていてよい。一実施形態では、最小電流値については、制御部111は、それを下回る電流を光源駆動部113に供給させてもよい。また、最大電流値については、それを越えた電流が光源112に供給されないように、制御部111が光源駆動部113を制御してよい。
【0023】
各光源112は、個別に発光および光量を制御可能である。制御部111は、各光源112に接続された光源駆動部113と電気的に接続されており、各光源112の光量比や発光タイミングなどを連動させるように制御してよい。例えば、ビデオプロセッサ103は、撮像素子125で撮像された撮像出力に基づいて、モニタ104に出力する撮像画像が、ユーザにとって現在の画像よりも見やすい所定の目標光量となるように光量を調整する調整量を表す制御情報を光源装置101の制御部111に出力する。光源装置101の制御部111は、例えば、ビデオプロセッサ103から入力された制御情報に従って、光源駆動部113に電流指示値を出力し、光源駆動部113が入力された電流指示値に応じた電流を光源112に印加することで、光源112の発する光量が制御される。
【0024】
光源装置101の記憶部115は、例えば、メモリなどの記憶装置であってよく、RAM領域およびROM領域を含んでよい。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
【0025】
ここで、上述のように、近年、大電流を印加することで大光量を出射可能なLEDが利用されている。そして、大光量を含む広い範囲の光を光源112から射出させるために、広い電流範囲の電流を光源112に印加することのできる光源装置101の提供が望まれている。そこで、実施形態では、光源駆動部113は、1つの光源112に対し、印加することが可能な電流範囲が異なる複数の駆動部201を備える。
【0026】
図2は、実施形態に係る光源駆動部113の例を説明する図である。
図2には、制御部111と、光源112と、光源駆動部113と、記憶部115と、光センサ250とが示されている。なお、
図2では光源駆動部113、光源112、および光センサ250が1組示されているが、
図1で例示したように、光源装置101が複数の光源112を備える場合には、制御部111には、複数の光源駆動部113、光源112、および光センサ250の組が接続されてよい。
【0027】
光源装置101の制御部111は、例えば、ビデオプロセッサ103から入力される光量の調整量を表す制御情報に従って、光源112に印加する電流を指定する電流指示値を決定する。なお、別の実施形態では、制御部111は、例えば、ビデオプロセッサ103から入力される制御情報に加えて、更に、光センサ250で検出された現在の光源112の光量の情報も用いて、光源112に印加する電流を指定する電流指示値を決定してもよい。光センサ250で検出された光源112の光量は、一例では、光源112の光量を調整したり、光源装置101が備える複数の光源112間で光量のバランスを調整したりするために利用することができる。
【0028】
電流指示値は、例えば、光源駆動部113が光源112に出力することが可能な電流範囲内の電流と対応するデジタル値であってよく、一例では、電流指示値は、0000~FFFFの値で指定されてよい。
【0029】
また、光源駆動部113は、それぞれが異なる電流範囲の電流を光源112に印加するように構成されている複数の駆動部201を含む。駆動部201は、例えば、電流指示値と対応する大きさの電流を光源112に出力することで光源112を駆動する駆動回路である。複数の駆動部201のそれぞれが印加する電流の電流範囲が異なるように構成することで、光源駆動部113は、大光量のLEDなどの光源112に幅広い範囲の電流値の電流を印加することが可能である。
図2では、光源駆動部113は、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとの2つの駆動部201を含む例が示されており、以下では、2つの駆動部201を用いる場合を例に説明を行う。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、光源駆動部113は、それぞれが異なる電流範囲の電流を光源112に印加するように構成されている3つ以上の駆動部201を含んでもよい。
【0030】
図2において、例えば、第2の駆動部201bは、第1の駆動部201aよりも大電流側の電流範囲の電流を光源112に印加するように構成されていてよい。換言すると、第1の駆動部201aが出力する最大電流値は、第2の駆動部201bが出力する最大電流値よりも小さくてよい。また、第1の駆動部201aが出力する最小電流値は、第2の駆動部201bが出力する最小電流値よりも小さくてよい。また更に、第1の駆動部201aが出力する電流範囲と、第2の駆動部201bが出力する電流範囲とは重なりを有していてよい。例えば、第1の駆動部201aが出力する最大電流値は、第2の駆動部201bが出力する最小電流値よりも大きくてよい。なお、駆動部201が出力する最大電流値は、例えば、駆動部201が出力可能な電流の最大値であってよい。また、駆動部201が出力する最小電流値は、例えば、駆動部201が出力可能な電流の最小値であってよい。例えば、駆動部201は、駆動部201の回路構成および設定、並びに駆動部201が搭載される光源駆動部113の回路構成および設定などに応じて、所定の電流範囲の電流を出力するように構成されていてよい。この場合に、最大電流値は、例えば、所定の電流範囲の最大値の電流であってよい。また、最小電流値は、例えば、所定の電流範囲の最小値の電流であってよい。
【0031】
図2に示す様に、駆動部201(例えば、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201b)は、例えば、デジタルアナログコンバータ(DAC)231、ドライバ232、周辺回路233、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路234を含む。なお、
図2の例では、第1の駆動部201aに含まれる構成に添え字“a”を付し、第2の駆動部201bに含まれる構成に添え字“b”を付している。
【0032】
そして、実施形態では、制御部111は、例えば、光量の調整量を表す制御情報に基づき特定した次のタイミングでの電流指示値と、現在選択している駆動部201とに基づいて、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとのうちのいずれか一方を選択する。なお、電流指示値は、例えば、光源112に印加する電流に対応する値である。
【0033】
続いて、制御部111は、選択した駆動部201から電流指示値と対応する大きさの電流を光源112に印加させる。例えば、制御部111は、次のタイミングの電流指示値を、選択された駆動部201においてその電流指示値と対応する電流値を示す個別の電流指示値に変換する。そして、制御部111は、選択した駆動部201に信号線240を経由して選択したことを示す信号を出力するとともに、選択した駆動部201のデジタルアナログコンバータ231に変換した個別の電流指示値を出力する。デジタルアナログコンバータ231は、個別の電流指示値をドライバ232が受信可能な信号に変換し、ドライバ232に供給する。ドライバ232は、デジタルアナログコンバータ231から送信された信号に従って光源112を駆動させるための駆動電流を出力する。なお、デジタルアナログコンバータ231は、例えば、データ信号で使用するCH(チャネル)の設定、およびリファレンス電圧が選択可能であってよい。この場合に、例えば、制御部111からデジタルアナログコンバータ231に送信するデータ値に外部ノイズが重畳してしまうと、データ値が変わり、リファレンス電圧の選択が切り替わってしまうことがある。その結果、デジタルアナログコンバータ231が正常に動作しなくなることがある。そのため、デジタルアナログコンバータ231に送信するデータの更新周期は、以上を踏まえて設定されてもよい。
【0034】
周辺回路233は、対応する駆動部201のドライバ232に電気的に接続されている。周辺回路233は、ドライバ232から出力される駆動電流を所定の比率で増幅したり、出力電流の平滑化やノイズ除去をしたりした後、光源112に供給する。光源112は、供給された駆動電流に応じた明るさで光を放出する。
【0035】
PWM制御回路234は、対応する駆動部201のドライバ232に電気的に接続されている。PWM制御回路234は、対応する駆動部201のドライバ232からの制御信号を受け、PWMを行う。PWMは、発光する時間によって光量を調整する技術である。
【0036】
記憶部115は、例えば、制御部111が、2つの駆動部201を切り替えながら光源112を駆動するために参照する情報を記憶していてよく、一例では、後述する第1の電流指示値と、第2の電流指示値とを記憶していてよい。
【0037】
光センサ250は、光源112から放出された光を受光し、光量に応じた信号を制御部111に出力する。制御部111は、例えば、光センサ250から入力された光量に応じた信号に基づいて、光源112の光量を調整したり、複数の光源112間で光量のバランスをとったりしてよい。
【0038】
なお、一実施形態においては、ドライバ232aとドライバ232bとは、同じ回路構成を有していてもよい。同じ回路構成とすることで、周辺温度等の環境変化や劣化などが略同一の傾向で変化する。そのため、環境変化や劣化などに起因して、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとを切り替えるための後述する条件等の大小関係が逆転するなど、関係が大きく変化することを抑制することができる。また、この場合にも、例えば、第1の駆動部201aの周辺回路233aによる電流の増幅率よりも第2の駆動部201bの周辺回路233bによる電流の増幅率を大きく設定することで、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとで異なる電流範囲の電流を光源112に印加することができる。
【0039】
続いて、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとを切り替えるための切替条件について説明する。
【0040】
図3は、駆動部201の切替条件の設定について説明する図である。上述のように、実施形態では、小電流側の電流範囲の電流を光源112に印加する第1の駆動部201aと、第1の駆動部201aの電流範囲よりも大電流側にある電流範囲の電流を光源112に印加する第2の駆動部201bとを切り替えて、広い範囲の電流値の電流を光源112に供給する。
【0041】
ここで、例えば、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えと、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えとを行う電流指示値として所定値を用い、制御部111が、所定値を境に切り替えを行うとする(
図3(a))。この場合、例えば、所定値を跨いで電流指示値が変化すると、駆動部201の切り替えが行われる。そして、例えば、所定値の付近で電流指示値が繰り返し変化した場合、頻繁に切り替えが行われることがあり、好ましくない。
【0042】
そこで、実施形態では、例えば、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えに第1の電流指示値を用い、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えには第1の電流指示値と異なる第2の電流指示値を用いる(
図3(b))。なお、第1の電流指示値は、第2の電流指示値よりも大電流側の電流を指定する電流指示値であってよい。この様にすることで、いわゆるヒステリシスを実現することができ、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとの切り替えが頻繁に実行されてしまうことを抑制することができる。なお、第1の電流指示値および第2の電流指示値は、例えば、記憶部115に記憶されていてよい。制御部111は、記憶部115に記憶された第1の電流指示値および第2の電流指示値を参照し、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとの切り替えを制御してよい。
【0043】
続いて、以上で述べた第1の電流指示値および第2の電流指示値を用いた駆動部201の切り替え制御の例を説明する。
【0044】
図4は、実施形態に係る駆動部201の切り替え制御の流れを説明する図である。
図4において、縦軸は、駆動部201が光源112に印加する電流を表す。また、横軸は、電流指示値である。
【0045】
図4には、第1の駆動部201aが出力する電流と、電流指示値との対応関係を表す点Aから点Bまでの第1の線分401と、第2の駆動部201bが出力する電流と、電流指示値との対応関係を表す点Cから点Dまでの第2の線分402とが示されている。そして、第1の駆動部201aは、例えば、第1の線分401で示される電流範囲の電流を出力するように構成されていてよく、第1の線分401で示される電流指示値範囲の電流指示値において、その電流指示値と第1の線分401で対応づけられる電流を出力する。同様に、第2の駆動部201bは、例えば、第2の線分402で示される電流範囲の電流を出力するように構成されていてよく、第2の線分402で示される電流指示値範囲の電流指示値において、その電流指示値と第2の線分402で対応づけられる電流を出力する。
【0046】
また、
図4に示す様に、第1の駆動部201aの第1の線分401と、第2の駆動部201bの第2の線分402とは、横軸の電流指示値において、第1の電流指示値と第2の電流指示値の範囲で電流指示値の重なり領域を有している。
【0047】
ここで、例えば、制御部111が、第1の駆動部201aから光源112に電流を印加させている状態で、第1の線分401上の或る電流指示値から電流を増加させる方向に電流指示値を徐々に変化させて行ったとする。この場合、電流指示値が第1の電流指示値(点B)になると、制御部111は、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替え、第1の電流指示値における第2の線分402上の点Eと対応する電流を第2の駆動部201bから光源112に印加させる。
【0048】
一方、例えば、制御部111が、第2の駆動部201bから光源112に電流を印加させている状態で、第2の線分402上の或る電流指示値から電流を減少させる方向に電流指示値を徐々に変化させて行ったとする。この場合、電流指示値が第2の電流指示値(点C)になると、制御部111は、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替え、第2の電流指示値における第1の線分401上の点Fと対応する電流を第1の駆動部201aから光源112に印加させる。この様に、第1の電流指示値と第2の電流指示値の範囲で電流指示値に重なりを設けることで、上述のいわゆるヒステリシスが実現される。
【0049】
また、実施形態では、
図4に示す様に、第1の駆動部201aの第1の線分401と、第2の駆動部201bの第2の線分402とは、縦軸において、第1の電流指示値および第2の電流指示値と対応する電流範囲で電流の重なり領域を有している。即ち、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えを行う第1の電流指示値における第1の線分401上の点Bよりも、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えを行う第2の電流指示値における第2の線分402上の点Cに小さな電流を割り当てている。この様にすることで、2つの駆動部201を用いて点Aから点Dまでの範囲の電流を切れ目なく光源112に印加することができる。
【0050】
また、
図4に示す様に、例えば、第1の電流指示値において第2の駆動部201bが出力する電流値(点Eの電流値)と、第1の電流指示値と対応する電流を第1の駆動部201aに出力させる場合に対応づけられる電流値(点Bの電流値)とは異なっていてもよい。同様に、第2の電流指示値において第1の駆動部201aが出力する電流値(点Fの電流値)と、第2の電流指示値と対応する電流を第2の駆動部201bに出力させる場合に対応づけられる電流値(点Cの電流値)とは異なっていてもよい。換言すると、1つの電流指示値に対して第1の駆動部201aが出力する電流と第2の駆動部201bが出力する電流とを厳密に一致させなくてもよく、
図4に示すように、第1の線分401と第2の線分402とは不連続な隙間を有していてもよい。
【0051】
また、この様に不連続な隙間を有する場合にも、例えば、所定の条件を満たすように、電流指示値と、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係を定めることで、駆動部201の切り替えの際の光源112の光量の変化が、ユーザに与える違和感を抑えることができる。以下、切り替えの際に、ユーザに与える違和感を抑えるための所定の条件について説明する。
【0052】
図5は、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える際の光量の変化について説明する図である。
【0053】
例えば、制御部111が、第1の駆動部201aを制御して光源112に電流を供給している状態で、電流を増加させる方向に電流指示値を徐々に変化させて行ったとする。この場合、例えば、電流指示値が第1の電流指示値になると、制御部111は光源112に電流を供給する駆動部201を第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える。ここで、例えば、切り替え前に第1の駆動部201aが光源112に印加していた電流と、切り替え後に第2の駆動部201bが光源112に印加する電流との差が大きかったり、増減の方向が変わったりすると、モニタ104に写る撮像画像を見ているユーザが違和感を覚えることがある。
【0054】
図5(a)に示す例では、電流を増加させる方向に電流指示値を徐々に変化させて行き、第1の電流指示値で第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える際に、光源112に供給する電流が大きく増加している。この様に、駆動部201の切り替え時に光源112に供給する電流が急激に大きくなると、光源112の光量が急に増えて、モニタ104を見ているユーザが急に明るくなった画面に違和感を覚えることがある。そのため、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える際の電流の差は、ユーザが急に明るくなったことを検知できないレベルであることが好ましい。
【0055】
人間は、一般に変化前と変化後の光量が光量比で5%以内の差であれば、光量の変化に対して違和感を持ちにくい。そのため、例えば、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第2の駆動部201bが出力する電流での光量が、その電流指示値が第1の駆動部201aに対して対応づけられる電流での光量の約5%以内の変化(光量の増加)に収まるように、電流指示値と、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい。
【0056】
以上の光量での関係を電流での関係に言い換えると、例えば、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第2の駆動部201bが出力する電流値が、その電流指示値が第1の駆動部201aに対して対応づけられる電流値から所定の許容範囲内の大きさを有するように、電流指示値と、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい。
【0057】
また、
図5(b)に示す例では、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える際に、光源112に供給する電流が小さくなっている。この場合、モニタ104を見ているユーザには、例えば、第1の駆動部201aで駆動中は画面が段々と明るくなってゆき、切り替え時に一旦暗くなり、その後、第2の駆動部201bで駆動中は再び画面が段々と明るくなって行くように見える。この様に画面の明るさの制御の方向が頻繁に切り替わると、ユーザに違和感を与えることがある。そのため、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える際の電流の差は、ユーザが暗くなったことに気付かないレベルであることが好ましい。
【0058】
人間が明るさの変化方向の逆転を検知可能なレベルには個人差がある。そのため、安全を見て、一実施形態では、切り替え時に光量の変化の方向が逆転しないようにする。例えば、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第2の駆動部201bが出力する電流値は、その電流指示値が第1の駆動部201aに対して対応づけられる電流値以上の大きさを有するように、電流指示値と、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい。
【0059】
また、以上の関係を組み合わせて用いることもできる。例えば、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第2の駆動部201bが出力する電流値は、その電流指示値が第1の駆動部201aに対して対応づけられる電流値以上であり、かつ、その差が出力電流と対応する光量の光量比で約5%以下に収まるように、電流指示値と、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい(
図5(c))。
【0060】
なお、以上の第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへの切り替えにおける電流の関係は、例えば、第1の電流指示値において成り立っていてよく、また、別の実施形態では、第1の電流指示値から第2の電流指示値の範囲など、第1の電流指示値の周辺の所定の範囲の電流指示値において成り立っていてよい。
【0061】
続いて、
図6を参照し、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替える際の光量の変化について説明する。
【0062】
例えば、制御部111が、第2の駆動部201bを制御して光源112に電流を供給している状態で、電流を減少させる方向に電流指示値を徐々に変化させて行ったとする。この場合、電流指示値が第2の電流指示値になると、制御部111は光源112に電流を供給する駆動部201を、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替える。
【0063】
この場合も
図5で述べたのと同様に、例えば、切り替え前に第2の駆動部201bが光源112に印加していた電流と、切り替え後に第1の駆動部201aが光源112に印加する電流との差が大きかったり(
図6(a))、増減の方向が変わったりすると(
図6(b))、モニタ104を見ているユーザが違和感を覚えることがある。そのため、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替える際の光量の差は、ユーザが急に暗くなったことを検知できないレベルであることが好ましい。
【0064】
そこで、例えば、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第1の駆動部201aが出力する電流での光量が、その電流指示値が第2の駆動部201bに対して対応づけられる電流での光量の約-5%以上の光量への変化(光量の低下)に収まるように、電流指示値と第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい。この光量での関係を電流での関係に言い換えると、例えば、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第1の駆動部201aが出力する電流値が、その電流指示値が第2の駆動部201bに対して対応づけられる電流値から所定の許容範囲内の大きさを有するように、電流指示値と、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい。
【0065】
また、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替える際の電流の差は、切り替え時に光量の増減の方向が変わって画面が明るくなったことにユーザが気付づいてしまわないレベルであることが好ましい。そのため、一実施形態では、切り替え時に光量の変化の方向が逆転しないようにする。例えば、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第1の駆動部201aが出力する電流値は、その電流指示値が第2の駆動部201bに対して対応づけられる電流値以下の大きさを有するように、電流指示値と第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい。
【0066】
また、以上の関係を組み合わせて用いることもできる。例えば、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えでは、切り替え時の電流指示値で第1の駆動部201aが出力する電流は、その電流指示値が第2の駆動部201bに対して対応づけられる電流値以下であり、かつ、その差が出力電流と対応する光量の光量比で約5%以下に収まるように、電流指示値と、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が定められていてよい(
図6(c))。
【0067】
また、以上で述べた第2の駆動部201bから第1の駆動部201aへの切り替えにおける電流の関係は、例えば、第2の電流指示値において成り立っていてよく、また、別の実施形態では、第2の電流指示値から第1の電流指示値までの範囲など、第2の電流指示値の周辺の所定の範囲の電流指示値において成り立っていてよい。
【0068】
なお、駆動部201に対して電流指示値が対応づけられる電流値は、必ずしも駆動部201の出力可能な電流範囲内に収まっていなくてもよい。例えば、駆動部201に対する電流と電流指示値との関係は、
図4では直線で表される対応関係を有するように、駆動部201が出力可能な電流範囲において所定の傾向を示す対応関係を有していてよい。そして、例えば、その対応関係を、駆動部201の電流値を特定したい電流指示値まで延長することで、駆動部201で出力可能な電流範囲外の電流指示値に対する電流も見積もることが可能である。
【0069】
また、例えば、第1の駆動部201aの電流指示値と電流値との対応関係(例えば、
図4の第1の線分401)と、第2の駆動部201bの電流指示値と電流値との対応関係(例えば、
図4の第2の線分402)とは所定の位置関係を有してもよい。所定の位置関係は、一例では、電流指示値の全範囲または一部の範囲において、いずれの電流指示値でも、第2の駆動部201bの対応関係で対応づけられる電流値が、第1の駆動部201aの対応関係で対応づけられる電流値以上の値を有する位置関係であってよい。換言すると、第2の線分402は、電流指示値の全範囲または一部の範囲において、第1の線分401よりも大電流側にあってよい。なお、電流と電流指示値との対応関係は、直線に限定されるものではなく、その他の関数で表される関係であったり、おおよそ直線で表される傾向を示す関係であったりなど、その他の関係で表されてもよい。
【0070】
続いて、制御部111が駆動部201に出力する電流指示値について説明する。
【0071】
上述のように、光源装置101の制御部111は、例えば、ビデオプロセッサ103から入力される光量の調整量を表す制御情報に基づいて、光源112に印加する電流を指定する電流指示値を求める。
【0072】
そして、制御部111は、ビデオプロセッサ103から入力された光量の調整量を表す制御情報に基づき特定した次のタイミングでの電流指示値と、現在選択している駆動部201とに基づいて第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのどちらを使用して電流を光源112に印加するかを決定する。
【0073】
例えば、制御部111は、第1の駆動部201aを現在選択して光源112に電流を印加しており、かつ、第1の駆動部201aに対して第1の電流指示値が対応づけられる電流値以上の電流を次のタイミングでの電流指示値が第1の駆動部201aに対して指定している場合、駆動部201を、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替えてよい。
【0074】
一方、例えば、制御部111は、第2の駆動部201bを現在選択して光源112に電流を印加しており、かつ、第2の駆動部201bに対して第2の電流指示値が対応づけられる電流値以下の電流を次のタイミングでの電流指示値が第2の駆動部201bに対して指定している場合、駆動部201を、第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替えてよい。
【0075】
その他の場合、制御部111は、例えば、現在選択している駆動部201を用いて光源112に電流を印加してよい。即ち、例えば、第1の駆動部201aを現在選択して光源112に電流を印加しており、かつ、第1の駆動部201aに対して第1の電流指示値が対応づけられる電流値未満の電流を次のタイミングでの電流指示値が第1の駆動部201aに対して指定している場合、制御部111は、駆動部201の切り替えを行わなくてよい。また、例えば、第2の駆動部201bを現在選択して光源112に電流を印加しており、かつ、第2の駆動部201bに対して第2の電流指示値が対応づけられる電流値よりも大きい電流を次のタイミングでの電流指示値が第2の駆動部201bに対して指定していた場合、制御部111は、駆動部201の切り替えを行わなくてよい。
【0076】
そして、例えば、以上のようにして光源112に電流を出力させる駆動部201を決定すると、制御部111は、決定した駆動部201に含まれるドライバ232に信号線240を経由して信号を送って駆動部201を選択する。また、制御部111は、選択した駆動部201のデジタルアナログコンバータ231に電流指示値を出力する。この場合に、制御部111は、ビデオプロセッサ103から入力された光量の調整量を表す制御情報に基づいて求めた電流指示値を、選択した駆動部201にそのまま出力してもよいし、別の実施形態では、求めた電流指示値を、選択した駆動部201に応じた個別の電流指示値(以下、個別電流指示値と呼ぶことがある)に変換してから出力してもよい。
【0077】
図7は、個別電流指示値への変換について説明する図である。
図7には、制御部111が示されており、制御部111は、例えば、変換部701、第1の個別変換部702a、および第2の個別変換部702bを含む。例えば、制御部111にビデオプロセッサ103から光量の調整量を表す制御情報が入力されると、変換部701は、入力された制御情報から次のタイミングで光源112に印加する電流を表す電流指示値を生成する。続いて、変換部701は、生成した電流指示値に基づいて、光源112の駆動に用いる駆動部201を選択する。
【0078】
例えば、変換部701が第1の駆動部201aを選択した場合、変換部701は、電流指示値を第1の個別変換部702aに出力する。第1の個別変換部702aは、変換部701から入力された電流指示値が示す電流値を、第1の駆動部201aにおいて指定する個別電流指示値に変換し、第1の駆動部201aのデジタルアナログコンバータ231aに出力する。
【0079】
一方、例えば、変換部701が第2の駆動部201bに選択した場合、変換部701は、電流指示値を第2の個別変換部702bに出力する。第2の個別変換部702bは、変換部701から入力された電流指示値が示す電流値を、第2の駆動部201bにおいて指定する個別電流指示値に変換し、第2の駆動部201bのデジタルアナログコンバータ231bに出力する。
【0080】
図8は、横軸に個別電流指示値をとり、縦軸に印加電流をとり、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの個別電流指示値と印加電流との関係をプロットした図である。個別電流指示値は、光源112に印加する電流と対応づけられた値であり、例えば、0000~FFFFまでの範囲の値などのデジタル値で表されてよい。なお、個別電流指示値と電流値との対応関係は、例えば、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとのそれぞれの駆動部201で個別に設定されていてよい。
【0081】
図8では、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流に個別電流指示値の近しい範囲の値を割り当てて、同じグラフにまとめて表示している。以下、
図8を参照して、光源112の発光を小光量から大光量に変化させる場合について説明する。この場合、光源112に印加される電流は、小電流から大電流に変化する。
【0082】
小光量のとき、制御部111は第1の駆動部201aを選択している。電流を増加させてゆくと、個別電流指示値はやがて、第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替えを行う第1の電流指示値(
図4の点B)と対応する第1の個別電流指示値(
図8の点B)となる。個別電流指示値が、第1の電流指示値と対応する第1の個別電流指示値になると、制御部111は、駆動部201を第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える。このとき、第2の駆動部201bに出力する個別電流指示値は、第1の電流指示値と
図4の第2の線分402で対応づけられる電流(
図4の点Eの電流)を、第2の駆動部201bにおいて指定する第2の個別電流指示値(
図8の点E)である。その後、制御部111が、電流を単調増加させて行くと、やがて最大電流(
図8の点D)に達する。
【0083】
次に最大電流から単調に電流を減少させる場合を考える。大電流において、制御部111は第2の駆動部201bを選択している。制御部111が、電流を徐々に小さくするように第2の駆動部201bに対する個別電流指示値を変化させて行くと、個別電流指示値はやがて第2の個別電流指示値(
図8の点E)に達する。制御部111は、第2の個別電流指示値(
図8の点E)では何も行わず、更に電流を小さくするように個別電流指示値を変化させる。やがて、第2の駆動部201bに対する個別電流指示値が、
図4の第2の電流指示値(
図4の点C)と対応する第3の個別電流指示値(
図8の点C)になると、制御部111は、駆動部201を第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替える。このとき、第1の駆動部201aへの個別電流指示値は、第2の電流指示値と
図4の第1の線分401で対応づけられる電流(
図4の点Fの電流)を、第1の駆動部201aにおいて指定する第4の個別電流指示値(
図8の点F)である。その後、制御部111が、電流を単調減少させて行くと、やがて最小電流(
図8の点A)に達する。
【0084】
以上のように、制御部111は、例えば、第1の個別変換部702aおよび第2の個別変換部702bを用いることで駆動部201ごとに個別電流指示値を出力し、実施形態に係る電流制御を実行することができる。
【0085】
なお、第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの個別電流指示値は、例えば、
図5および
図6を参照して述べた、切り替え時の電流指示値と第1の駆動部201aおよび第2の駆動部201bのそれぞれの出力電流との関係が満たされるように、電流指示値および電流と対応づけられていてもよい。
【0086】
電流指示値を選択された駆動部201ごとの個別電流指示値に変換することで、例えば、それぞれの駆動部201で生成できる電流をフルスケールで使用できる利点がある。また、上述のように、例えば、光源装置101が複数の光源112を備える場合、観察モードなどに応じて、制御部111は、それぞれの光源112の光量のバランスをとる制御を行うが、電流指示値と個別電流指示値との変換を行うことで、その制御を簡略化することが可能である。
【0087】
なお、一実施形態においては、記憶部115は、以下の情報の全部または一部を記憶していてもよい。そして、制御部111は、例えば、電流指示値と個別電流指示値との変換の際に以下の情報を用いてもよい。
・駆動部201ごとの個別電流指示値と、光源112に印加される電流値との関係
・第1の電流指示値および第2の電流指示値において光源112に印加される電流値
・第1の個別電流指示値~第4の個別電流指示値と、そのときに光源112に印加される電流値
・光源112に印加可能な最大電流値と、そのときの電流指示値
・光源112に印加可能な最小電流値と、そのときの電流指示値
【0088】
続いて、切り替え時の駆動部201からの電流出力の停止について説明する。例えば、第1の駆動部201aと第2の駆動部201bとを一方の駆動部201から他方の駆動部201へと切り替えるとする。この場合に、一方の駆動部201が電流供給を停止する前に、他方の駆動部201が電流供給を開始してしまうと、光源112には一時的に約2倍の電流が供給されてしまうことになる。その結果、光源112が発する光量が大きく振れてしまうことになるため、好ましくない。
【0089】
そこで、実施形態では、駆動部201の切り替え時に、制御部111は、例えば、いずれの駆動部201からも電流を光源112に供給しない所定の停止時間を設けてよい。例えば、制御部111は、一方の駆動部201から他方の駆動部201へと切り替える場合、一方の駆動部201からの光源112への電流の出力を停止してから所定の停止時間が経過した後に、他方の駆動部201に光源112への電流の出力を開始させる。この様に制御することで、切り替えの際に複数の駆動部201から光源112に同時に電力が供給されてしまうことを抑止できる。なお、停止時間は、例えば、記憶部115に記憶されていてよい。
【0090】
図9は、例示的な停止時間について説明する図である。
図9では、横軸に時間、縦軸に電流指示値をとり、駆動部201の切り替えのタイミングを含む期間における時間と電流指示値との関係を示す。
【0091】
図9に示すように、第1の駆動部201aで光源112を駆動中に、光量を増加させるように電流指示値を徐々に変化させて行くと、電流指示値はやがて第1の電流指示値に達する。ここで、制御部111は、駆動部201を第1の駆動部201aから第2の駆動部201bに切り替える。このとき、制御部111は、まず、第1の駆動部201aに光源112への電流を停止させる。なお、第1の駆動部201aの電流出力の停止は、例えば、出力電流を0にする電流指示値:0000を、デジタルアナログコンバータ231aに出力したり、信号線240aを経由してドライバ232aに停止信号を送ったりすることで実行されてよい。また、駆動部201からの電流の出力を停止させる例はこれに限定されるものではなく、第1の駆動部201aから光源112に電流が供給されなければ、その他の制御が実行されてもよい。
【0092】
次に、制御部111は、例えば、所定の停止時間が経過した後に、第1の電流指示値と対応する大きさの電流の出力を第2の駆動部201bに指示する第2の個別電流指示値をデジタルアナログコンバータ231bに出力する。
【0093】
光源112の光量を下げる場合も同様に、電流を小さくするように電流指示値を変更して行く。やがて電流指示値は、第1の電流指示値を通過して第2の電流指示値に達する。このとき、制御部111は、第2の駆動部201bからの電流の出力を停止させる。なお、第2の駆動部201bの電流出力の停止は、例えば、出力電流を0にする電流指示値:0000をデジタルアナログコンバータ231bに出力したり、信号線240bを経由してドライバ232bに停止信号を送ったりすることで実行されてよい。そして、制御部111は、例えば、所定の停止時間が経過した後、第2の電流指示値と対応する大きさの電流の出力を第1の駆動部201aに指示する第4の個別電流指示値をデジタルアナログコンバータ231aに出力する。
【0094】
以上で述べた様に、
図9では、切り替え時に、切り替え前に選択していた駆動部201からの電流の出力を停止させて所定時間が経過した後、切り替え後に選択する駆動部201から電流を出力させている。そのため、光源112に複数の駆動部201から同時に電流が印加されて光量が一時的に振れてしまったりすることを抑制できる。
【0095】
なお、電流指示値は、例えば、撮像素子125による撮像の1フレームごとに一定の値をとってもよい。この場合、駆動部201の切り替えは、フレーム単位で実行されてよい。
【0096】
図10は、撮像フレームと停止時間との関係を例示する図である。第1フレームと第2フレームとの間に駆動部201の切り替えが実行され、停止時間が設けられている。一方、駆動部201が変わらない第2フレームと第3フレームとの間には停止時間は設けられなくてよい。そして、例えば、停止時間は、撮像素子125による1フレームの撮像時間に対して十分に短い所定の割合以下の長さに設定されてよい。一例では、停止時間は、フレームレートの3%~0.1%以下、好ましくは1%以下に設定されてよい。この様にすることで、停止時間によるフレームあたりに照射される光量の減少が、撮像画像に与える影響を小さく抑えることができ、一例では無視することが可能である。
【0097】
なお、停止時間の長さは、同時に複数の駆動部201から光源112に電流が印加されることを抑止できれば短い方が、停止時間によるフレームあたりに照射される光量の減少が、撮像画像に与える影響を小さく抑えることができるため、好ましい。しかしながら、次のような制御を実行して電流指示値を補正することで、停止時間を長くとっても画像の明るさに影響を与えない制御が可能である。
【0098】
例えば、停止時間が無い場合に光源112が発する光量をフレームの時間長にわたって積算した積算光量(例えば:フレーム時間×光量)が、停止時間がある場合の停止時間を含むフレームの期間に光源112が発する光量を積算した積算光量(例えば:(フレーム時間-停止時間)×補正光量)と所定の誤差範囲内で等しくなるように補正光量を決定する。この様に決定した補正光量と対応する大きさの電流を指定する補正電流指示値を、制御部111が、切り替え後の駆動部201に停止時間を含むフレームでの電流指示値として出力することで、停止時間を長くしても撮像画像の明るさに与える影響を抑えた制御が可能である。
【0099】
図11は、停止時間の長さと、停止時間の長さに応じた補正光量の変化とを例示する図である。
図11には、停止時間無し、停止時間あり(短い)、停止時間あり(長い)場合の3つのフレームが示されており、これらのフレームで斜線部の面積が等しくなるように光量が設定されている。
【0100】
続いて、別の実施形態を例示する。例えば、上記の
図4の説明では、電流指示値が、第1の電流指示値または第2の電流指示値になった場合に、駆動部201の切り替えを実行する例を述べている。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、
図10を参照して述べた様に、電流指示値はフレームごとに固定の値としてもよい。例えば、この様な場合に、次のタイミングでの電流指示値が、現在の電流指示値から第1の電流指示値または第2の電流指示値を跨いで変化することがある。
【0101】
図12は、次のタイミングでの電流指示値が、現在の電流指示値から第1の電流指示値または第2の電流指示値を跨いで変化する場合の駆動部201の切り替え制御を例示する図である。
【0102】
図12において、例えば、制御部111が第1の駆動部201aを選択し、第1の駆動部201aから光源112に電流を出力させている状態で、現在、電流指示値が点Gの位置にあるとする。このとき、制御部111が、ビデオプロセッサ103からの制御情報に基づいて求めた次のタイミングの電流指示値Xが、第1の電流指示値と対応する第1の駆動部201aの電流値以上の電流を第1の駆動部201aにおいて示していることがある。ここでは、次のタイミングの電流指示値Xは第1の電流指示値と対応する電流値(点Bにおける電流値)を超えた点Hの位置を指している。この場合、制御部111は、駆動部201を第1の駆動部201aから第2の駆動部201bへと切り替える。例えば、制御部111は、第1の駆動部201aからの光源112への電流の出力を停止して、第2の駆動部201bから電流指示値Xと対応する電流(点Iにおける電流)を光源112に印加させてよい。
【0103】
また、例えば、制御部111が第2の駆動部201bを選択し、第2の駆動部201bから光源112に電流を出力させている状態で、現在、電流指示値が点Jの位置にあるとする。そして、制御部111が、ビデオプロセッサ103からの制御情報に基づいて求めた次のタイミングの電流指示値Yが、第2の電流指示値と対応する第2の駆動部201bの電流値以下の電流を第2の駆動部201bにおいて示していることがある。ここでは、次のタイミングの電流指示値Yは第2の電流指示値と対応する電流値(点Cにおける電流値)を下回る点Kの位置を指している。この場合、制御部111は、駆動部201を第2の駆動部201bから第1の駆動部201aに切り替える。例えば、制御部111は、第2の駆動部201bからの光源112への電流の出力を停止して、第1の駆動部201aから電流指示値Yと対応する電流(点Lにおける電流)を光源112に印加させてよい。
【0104】
この様に、実施形態に係る駆動部201の切り替え制御は、次のタイミングでの電流指示値が、現在の電流指示値から第1の電流指示値または第2の電流指示値を跨いで変化する場合にも適用することができる。
【0105】
以上で述べた様に、実施形態によれば、光源装置101は、異なる電流範囲の電流を出力する複数の駆動部201を切り替えて光源112に電流を供給するため、広い範囲の電流値の電流を光源112に供給することが可能である。例えば、光源112が出力可能な光量の範囲と対応する電流範囲を、ハードウェアの構成上の制限などで1つの駆動部201では網羅できないことがある。この場合にも、実施形態によれば、複数の駆動部201を用いて1つの駆動部201では供給できない電流範囲を別の駆動部201に供給させることで、幅広い範囲の電流値の電流を光源112に供給することができる。また、実施形態によれば、駆動部201の切り替えが、例えば、撮像素子125の撮像画像に与える影響を抑えることができる。
【0106】
以上において、実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御部111は、FPGAで実装することができるが、制御部111を、マイクロプロセッサなどのプロセッサで実装してもよい。この場合、制御部111は、記憶部115に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、上述の制御部111として動作してよい。
【0107】
また、例えば、上述の実施形態においてPWM制御を用いて更に光源112が発する光が制御されてもよい。例えば、一実施形態においては、一定のパルス幅で光源112を駆動しながら、光源112に印加する電流に応じて上述の実施形態に係る駆動部201の切り替えを実行してもよい。
【0108】
また、例えば、光源駆動部113が備える第1の駆動部201aのドライバ232aと、第2の駆動部201bのドライバ232bとは、同一の回路構成を有していてもよい。この様にすることで、環境変化および劣化などに対して、ドライバ232aとドライバ232bとが同様の傾向を示すため、切替条件等の大小関係が逆転するなど、関係が大きく変化することを抑制することができる。なお、ドライバ232aと、ドライバ232bとは、一例では、同一の基板上の同一の面上に配置されていてよい。また、光源装置101は、光源112の数に応じた複数の光源駆動部113を備えていてもよい。そして、複数の光源駆動部113のうちの、或る光源駆動部113のドライバ232aとドライバ232bとの温度差が、他の光源駆動部113のドライバ232aとドライバ232bとの温度差と所定誤差範囲内で等しくなるように、複数の光源駆動部113は構成されていてよい。
【0109】
また、上述の実施形態では、制御情報が、内視鏡システム100のビデオプロセッサ103から取得した光量の調整量を表す情報である例を述べたが実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、光源112の光量の調整に利用可能な情報であれば、制御情報は、その他の情報であってもよく、また、その他の装置から取得されてもよい。例えば、制御部111は、光センサ250から入力された光量に応じた信号を制御情報として用いてもよい。或いは、制御部111は、制御情報を、光源112を用いる他のシステムの他の装置から受信してもよい。
【0110】
また、例えば、
図12で例示した処理において、制御情報に基づいて求めた次のタイミングの電流指示値が示す電流値と、現在の電流指示値が示す電流値との差が大きいことがある。この場合、制御部111は、例えば、3フレームなど、複数フレームをかけて次のタイミングの電流指示値が示す電流値に調整するというように、段階的に電流を変化させるように電流指示値を出力してもよい。
【0111】
また、一実施形態においては、記憶部115は、例えば、以下の情報の全部または一部を記憶していてもよい。そして、制御部111は、例えば、以下の情報を用いて、温度変化や駆動部201の劣化等により光源112が受ける影響を補正するように電流指示値を調整してもよい。
・駆動部201の温度特性に関する情報
・駆動部201の経時劣化に関する情報
・光源112の劣化に関する情報
・各種制御異常に関する情報
【0112】
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態および代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨および範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してまたは置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0113】
100 内視鏡システム
101 光源装置
102 内視鏡
103 ビデオプロセッサ
104 モニタ
111 制御部
112 光源
113 光源駆動部
114 ダイクロイックミラー
115 記憶部
121 挿入部
122 コネクタ
123 ケーブル
124 コネクタ
125 撮像素子
126 レンズ
127 ライトガイド
128 信号線
131 ケーブル
132 ケーブル
201 駆動部
231 デジタルアナログコンバータ
232 ドライバ
233 周辺回路
234 PWM制御回路
240 信号線
250 光センサ
701 変換部
702a 第1の個別変換部
702b 第2の個別変換部