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特許7087097オペレータのスキル軽減用のシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】オペレータのスキル軽減用のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20220613BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20220613BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20220613BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220613BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W50/14
B60W40/09
G08G1/16 A
G09B19/00 H
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020548704
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019021601
(87)【国際公開番号】W WO2019177963
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】15/918,669
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518102470
【氏名又は名称】トヨタ リサーチ インスティテュート,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン エム.メイソン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラオス ミカラキス
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197066(JP,A)
【文献】特開2015-219830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/08
B60W 50/14
B60W 40/09
G08G 1/16
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータによる車両アクセスを調節するための車両調節システムにおいて、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに対して通信可能な形で結合されたメモリであって、
前記1つ以上のプロセッサにより命令が実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、運転能力情報を用いて車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定させる命令を含む測定モジュールであって、前記運転能力情報はオペレータのパフォーマンスおよびオペレータの個人的特徴を含み、該オペレータのパフォーマンスは、車両の外部センサから得られる種々の環境特徴を考慮して複数の車両システムを操作する技量であり、該個人的特徴は、オペレータに関する挙動、マンネリズム、人柄、注意力、医療情報のうち少なくとも1つを含む、測定モジュール、
前記1つ以上のプロセッサにより命令が実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、前記車両内の複数の車両システムついての車両システム習熟度を評価させ、前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較させる命令を含む、比較モジュール、及び、
前記1つ以上のプロセッサにより命令が実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、前記比較を用いて、予期される挙動に基づいて選択された前記複数の車両システムの選択された車両システムについての前記オペレータの習熟度レベルを決定させ、前記習熟度レベルに基づいて前記選択された車両システムに対するアクセスを前記オペレータに対して提供させ、車両における1つ以上の通信システムを使用して、習熟度レベルに関する矯正措置を含むガイダンスをオペレータに対して送出させる命令を含む、評価モジュール、
を記憶するメモリと、
を含む、車両調節システム。
【請求項2】
前記測定モジュールが、前記車両内の前記オペレータについての運転能力情報および環境情報を収集するための命令をさらに含む、請求項1に記載の車両調節システム。
【請求項3】
前記評価モジュールが、時刻またはオペレータの位置に関連するオペレータの習熟レベルの変化を決定する上で、環境情報によって影響を受ける運転能力情報を使用するための命令をさらに含む、請求項2に記載の車両調節システム。
【請求項4】
前記車両システム習熟度がオペレータモデルを用いて決定される、請求項1に記載の車両調節システム。
【請求項5】
数の個別化した測定基準のうちの1つが前記複数の車両システムのうちのそれぞれ1つと結び付けられている、請求項1に記載の車両調節システム。
【請求項6】
前記比較モジュールが、前記複数の個別化した測定基準の各々において前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較するための命令をさらに含む、請求項5に記載の車両調節システム。
【請求項7】
前記測定モジュール、前記比較モジュールおよび前記評価モジュールが、複数の習熟度レベルを決定するために1回以上実行され、前記複数の習熟度レベルが、オペレータモデルにおける1つ以上の運転条件に関連する1つ以上の条件付き習熟度レベルを更新するために使用される、請求項1に記載の車両調節システム。
【請求項8】
オペレータによる車両アクセスを調節し、1つ以上のプロセッサにより命令が実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、
運転能力情報を用いて、車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定させ、前記運転能力情報はオペレータのパフォーマンスおよびオペレータの個人的特徴を含み、該オペレータのパフォーマンスは、車両の外部センサから得られる種々の環境特徴を考慮して複数の車両システムを操作する技量であり、該個人的特徴は、オペレータに関する挙動、マンネリズム、人柄、注意力、医療情報のうち少なくとも1つを含み
記車両内の複数の車両システムについての車両システム習熟度を評価させ、
前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較させ、
前記比較を用いて予期される挙動に基づいて選択された前記複数の車両システムの選択された車両システムについての前記オペレータの習熟度レベルを決定させ、
前記習熟度レベルに基づいて前記選択された車両システムに対するアクセスを前記オペレータに対して提供させ、
車両における1つ以上の通信システムを使用して、習熟度レベルに関する矯正措置を含むガイダンスをオペレータに対して送出させる、
命令を記憶するための、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記車両内の前記オペレータについての運転能力情報および環境情報を収集するための命令をさらに含み、前記運転能力情報および前記環境情報が、時刻またはオペレータの位置に関連するオペレータの習熟レベルの変化を決定する上で使用される、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記車両システム習熟度がオペレータモデルを用いて決定される、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
数の個別化した測定基準のうちの1つが前記複数の車両システムのうちのそれぞれ1つと結び付けられている、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記複数の個別化した測定基準の各々において前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較するための命令をさらに含む、請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
複数の習熟度レベルを決定するために前記命令が1回以上実行され、前記複数の習熟度レベルが、オペレータモデルにおける1つ以上の運転条件に関連する1つ以上の条件付き習熟度レベルを更新するために使用される、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
オペレータによる車両アクセスを調節するための方法において、
運転能力情報を用いて、車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定することであって、前記運転能力情報はオペレータのパフォーマンスおよびオペレータの個人的特徴を含み、該オペレータのパフォーマンスは、車両の外部センサから得られる種々の環境特徴を考慮して複数の車両システムを操作する技量であり、該個人的特徴は、オペレータに関する挙動、マンネリズム、人柄、注意力、医療情報のうち少なくとも1つを含むことと
記車両内の複数の車両システムについての車両システム習熟度を評価することと、
前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較することと、
前記比較を用いて、予期される挙動に基づいて選択された前記複数の車両システムの選択された車両システムについての前記オペレータの習熟度レベルを決定することと、
前記習熟度レベルに基づいて前記選択された車両システムに対するアクセスを前記オペレータに対して提供することと、
車両における1つ以上の通信システムを使用して、習熟度レベルに関する矯正措置を含むガイダンスをオペレータに対して送出させることと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記車両内の前記オペレータについての運転能力情報および環境情報を収集することをさらに含み、時刻またはオペレータの位置に関連するオペレータの習熟レベルの変化を決定する上で、環境情報によって影響を受ける運転能力情報が使用される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
記車両システム習熟度が、前記複数の車両システムの各々と結び付けられた複数の個別化した測定基準を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
複数の習熟度レベルを決定することをさらに含み、前記複数の習熟度レベルが、オペレータモデルにおける1つ以上の運転条件に関連する1つ以上の条件付き習熟度レベルを更新するために使用される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載の実施形態は概して、自律車両に関する。より具体的には、実施形態は概して、オペレータの挙動およびスキルを考慮して車両を制御するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両の操作は、一世紀以上にわたり日常的なことであり続けている。車両は長い間、ハンドルおよびペダルなどの車両内の制御機構を用いて有能なオペレータによって操作されてきた。しかしながら、車両を運転するためのオペレータの習熟度は、異なるオペレータが異なるスキルレベルを有するために大きく変動する。予期されるように、何年もの経験をもつ人は、新規ドライバである人に比べて、道路をナビゲートする上で習熟しているものである。同様に、異なる運転状況により、安全に運転するための異なるスキルレベルが求められる。例えば、オペレータは、或る住宅地区を容易にナビゲートできるかもしれないが、高速道路上をナビゲートするためのスキルセットを習得していない可能性がある。オペレータの習熟度は、年令、訓練、生来のケイパビリティ(capability)または他の要因によって変動し得る。車両は本質的に危険なデバイスであるため、オペレータの力量および習熟度が役に立つ。
【発明の概要】
【0003】
本明細書中に記載のシステムおよび方法は、オペレータの習熟度の決定および前記習熟度を考慮した1つ以上の車両システム制御を含む。一実施形態においては、オペレータによる車両アクセスを調節するための車両調節システムが開示される。車両調節システムは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサに対して通信可能な形で結合されたメモリとを含むことができる。メモリは、1つ以上のプロセッサにより実行された時点で、1つ以上のプロセッサに、運転能力情報を用いて車両内のオペレータについての運転能力測定基準(driving capacity metric)を決定させる命令を含む測定モジュールを記憶することができる。メモリはさらに、1つ以上のプロセッサにより実行された時点で1つ以上のプロセッサに、車両システム習熟度について車両内の少なくとも1つの車両システムを評価させ、運転能力測定基準と車両システム習熟度とを比較させる命令を含む、比較モジュールを記憶することができる。メモリはさらに、1つ以上のプロセッサにより実行された時点で1つ以上のプロセッサに、比較を用いて少なくとも1つの車両システムについてのオペレータの習熟度レベルを決定させ、習熟度レベルに基づいて少なくとも1つの車両システムに対するアクセスをオペレータに対して提供させる命令を含む、評価モジュールを記憶することができる。
【0004】
別の実施形態においては、オペレータによる車両アクセスを調節するための非一時的コンピュータ可読媒体が開示される。メモリは、1つ以上のプロセッサにより実行された時点で1つ以上のプロセッサに、運転能力情報を用いて、車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定させる命令を記憶することができる。メモリはさらに、車両システム習熟度について車両内の少なくとも1つの車両システムを評価するための命令を記憶することができる。メモリはさらに、運転能力測定基準と車両システム習熟度とを比較するための命令を記憶することができる。メモリはさらに、比較を用いて少なくとも1つの車両システムについてのオペレータの習熟度レベルを決定するための命令を記憶することができる。メモリはさらに、習熟度レベルに基づいて少なくとも1つの車両システムに対するアクセスをオペレータに対して提供するための命令を記憶することができる。
【0005】
別の実施形態においては、オペレータによる車両アクセスを調節するための方法が開示されている。該方法はさらに、運転能力情報を用いて、車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定することを含むことができる。該方法はさらに、車両システム習熟度について車両内の少なくとも1つの車両システムを評価することを含むことができる。該方法はさらに、運転能力測定基準と車両システム習熟度とを比較することを含むことができる。該方法はさらに、比較を用いて少なくとも1つの車両システムについてのオペレータの習熟度レベルを決定することを含むことができる。該方法はさらに、習熟度レベルに基づいて少なくとも1つの車両システムに対するアクセスをオペレータに対して提供することを含むことができる。本出願の実施形態は、以下の図および説明との関連でより明確に理解することができる。
【0006】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、添付図面に一部が例示されている実施形態を参照することによって、以上で簡単に要約された開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、その範囲を限定するものとみなされてはならない、ということを指摘しておかなければならない。本開示は、他の同等に有効な実施形態を認め得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書中に記載の実施形態に係る、車両調節システムの一部として使用可能な車両のブロック図である。
図2A】本明細書中に記載の実施形態に係る、オペレータによる車両アクセスを調節するための車両調節システムの例示である。
図2B】1つ以上の実施形態に係る、車両調節システムの概略図である。
図3】本明細書中に記載の実施形態に係る、車両調節システムを組み込んだ車両内のオペレータを描く。
図4】1つ以上の実施形態に係る、オペレータによる車両アクセスを調節するための方法の流れ図である。
【0008】
理解を容易にするため、可能な場合にはいつでも、図に共通の同一の要素を呼称するためには同一の参照番号が使用されている。さらに、1つの実施形態の要素は、有利にも、本明細書中に記載の他の実施形態における使用のために適応させることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中に記載のシステムおよび方法は、1つ以上の車両システムでのオペレータ習熟度を決定する。次にこの習熟度を用いて、このオペレータについて前記車両システムに対するアクセスを制限または許可することができる。本明細書中に記載の実施形態は、コントローラアクセスネットワーク(CAN)バス、外部環境センサおよび車両の他のコンポーネントからのデータを活用することができる。該システムおよび方法は、オペレータの挙動を監視し、車両の操作全般において、および車両の1つ以上のコンポーネントの操作において彼らがいかに「信頼できる」かまたはいかに「スキルが高いか」を決定する。いくつかの実施例において、車両は、オペレータのスキルレベルを決定するために同じシナリオにおいて車両が行なうと考えられることとオペレータの決定とを比較することができる。
【0010】
システムおよび方法は、ひとたびオペレータのスキルレベル(例えばオペレータ習熟度)を決定した時点で、次に適切なレベルの車両のインタラクションおよび制御を許可することができる。一実施例において、最高のスキルレベルが決定された場合、車両は、最大の挙動範囲を容認することができる。この点に関して、オペレータはこのとき、あらゆる環境内でかつあらゆるエリア内で車両を操作することができる。しかしながら、オペレータが高いスキルを有していない場合、またはその通常のスキルレベルが他の形で影響を受けている場合(すなわち新規のオペレータまたはオペレータの一時的能力低下の場合)、本明細書中に記載のシステムおよび方法は、半自律式および自律式システムによる車両の安全性保持を保証する目的で、車両のケイパビリティについて「厳しい上限」を設定することができる。操作制御は、オペレータがいつ車両を操作するか(例えば一日のうちの一定の時刻)、オペレータがどこで車両を操作するか(例えば都市部の運転、住宅街の運転、高速道路での運転など)、オペレータが車両を操作するときの条件(例えば高い交通量、悪天候など)、他の形のオペレータの制約条件、またはそれらの組合せ、の制限という形をとる。
【0011】
さらに、本明細書中に記載のシステムおよび方法は、所与のオペレータに対し適応可能である。一実施例において、オペレータが一貫して一時停止標識を走り抜ける場合、システムおよび方法は、前記オペレータのケイパビリティが比較的低く、車両のケイパビリティを低下させるということを学習する。オペレータがその後正しく停止することを学習した場合、システムおよび方法はこのときこの新たな挙動を学習し、上述の制約条件を緩和することができる。新規オペレータに適用される場合、該システムおよび方法は教育ツールとして作用し得る。オペレータが新たなシナリオにおいて力量を発揮するにつれて、システムは新しい車両のケイパビリティ(例えば速度、高速道路アクセスなど)を解除する。この意味において、本明細書中に記載のシステムおよび方法は、運転そのものを実際にゲームに変えてしまうことのない、「運転パフォーマンスのゲーミフィケーション(gamification)」である。オペレータのスキルが向上するにつれて、オペレータには異なる機能性へのアクセスが与えられる。本出願の実施形態は、以下の図および説明との関連で、より明確に理解することができる。
【0012】
図1を参照すると、車両100の一実施例が例示されている。本明細書中で使用される「車両」とは、あらゆる形態の原動機式輸送手段である。1つ以上の実装において、車両100は自動車である。本明細書では自動車に関する配設について説明されるが、実施形態は自動車に限定されないということが理解される。いくつかの実装において、車両100は、例えば車両内のオペレータにより自律式、半自律式または手動式で動作し得る他の任意の形態の原動機式輸送手段であってよい。車両100は、車両調節システム170または車両調節システム170を支持するケイパビリティを含むことができ、こうして本明細書中で論述される機能性の恩恵を享受する。
【0013】
車両100は同様に、さまざまな要素を含む。さまざまな実施形態においては、車両100が図1に示された要素の全てを有する必要がない場合もあるということが理解される。車両100は、図1に示されたさまざまな要素の任意の組合せを有することができる。さらに、車両100は、図1に示されたものに追加の要素を有することができる。いくつかの配設において、車両100は、図1に示された要素のうちの1つ以上が無い状態で実装され得る。さまざまな要素が図1中の車両100の内部に位置設定されているものとして示されているものの、これらの要素のうちの1つ以上を車両100の外部に位置設定することができる、ということが理解される。さらに図示された要素は、大きい距離だけ物理的に離隔されていてよい。
【0014】
車両100の考えられる要素のいくつかが図1に示されており、後続図と併せて説明される。しかしながら、図1中の要素の多くについての説明は、この説明の簡潔さを目的として、図2~4についての論述の後に提供される。さらに、図の単純さおよび明瞭さのため、該当する場合、異なる図の間で、対応するまたは類似の要素を示すために参照番号が反復して使用されるということが認識される。さらに、論述では、本明細書中に記載の実施形態のより完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細の概要が示されている。しかしながら、当業者であれば、これらの要素のさまざまな組合せを用いて本明細書中に記載の実施形態を実践できるということを理解するものである。
【0015】
図2Aを参照しながら、車両調節システム170についてより明確に説明する。車両調節システム170は、図1に描かれている車両100由来のプロセッサ110を含むものとして示されている。したがって、プロセッサ110は車両調節システム170の一部であり得、車両調節システム170はプロセッサ110とは別個のプロセッサを含むことができ、あるいは車両調節システム170はデータバスまたは別の通信路を通してプロセッサ110にアクセスすることができる。一実施形態において、車両調節システム170は、測定モジュール220、比較モジュール230および評価モジュール240を記憶するメモリ214を含む。メモリ214は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、または、モジュール220、230および240を記憶するための他の好適なメモリである。モジュール220、230および240は例えば、プロセッサ110によって実行された時点でプロセッサ110に、本明細書中で開示されているさまざまな機能を行なわせるコンピュータ可読命令である。
【0016】
測定モジュール220は概して、運転能力情報260を用いて、車両内のオペレータについての運転能力測定基準265を決定するようにプロセッサ110を制御するために機能する命令を含む。より具体的には、運転能力情報260は、車両100を操作している間のオペレータのパフォーマンスおよび個人的特徴についての情報、例えば挙動、マンネリズム、人柄、医療情報、そして車両を操作する間のパフォーマンスに直接的または間接的に関係し得る他の情報を広く網羅する。運転能力情報260は、車両の操作に関連するような車両の1つ以上の車両システム、例えば推進システム141、制動システム142、操舵システム143、信号送りシステム146、他のシステムおよびそれらの組合せを取扱うオペレータの技量を含むことができる。1つの実施例において、運転能力情報260は、運転経験、車両システムのいずれかまたは全てを制御する技量、オペレータが慣れている具体的環境、経時的な能力変化、オペレータについての医療情報(日没症候群、認知症の発症など)、センサデータまたは、運転ケイパビリティに関係付けされ得るオペレータについての他の情報を含むことができる。
【0017】
運転能力情報260は、1つ以上のセンサを用いて収集された情報を含み得る。本明細書中で使用されるセンサには、内部に位置付けされた(例えば車両の内側に位置付けされた)または外部に位置付けされた(車両の外側上に位置された)センサが含まれ得る。本明細書中に記載のシステムおよび方法のために適応され得る例示的センサとしては、画像捕捉デバイス(例えばカメラ、熱画像化)、オーディオデバイス(例えばマイクロホン)、他が含まれる。センサは、図1の車両100の一部として描かれたセンサシステム120の一部であり得る。一実施形態において、測定モジュール220は、センサシステム120を用いて運転能力情報260を受信することができる。測定モジュール220は、オペレータが車両を運転する前、最中または後に、センサシステム120からデータを受信することができる。運転能力情報260を生成する上で使用できるオペレータについてセンサにより収集されたデータには、顔の表情、凝視、位置付け、車両の動きを結果としてもたらすアクション、注意力および覚醒、他が含まれる。したがって、運転能力情報260は、オペレータの運転能力に関係する情報であり、運転能力測定基準265を含み得る。
【0018】
運転能力測定基準265は、車両システム140の1つ以上でのオペレータのパフォーマンスに関して車両調節システム170によって収集される情報である。運転能力測定基準265は、運転能力情報260の一部として記憶され得る。運転能力測定基準265は数値的に、例えば1つ以上のシステムに関するオペレータのパフォーマンスの一部分を標示する一連の数字または範囲として表現され得る。運転能力測定基準265は、オペレータの運転能力の1つ以上の指標の集積であり得る。一実施形態において、運転能力測定基準265は、運転特性に関係する一連の測定値であり得る。運転能力測定基準265は、本質的にそれが由来した車両システム140に関係しているものの、車両システム140の各々に対して直接的にまたは間接的に適用可能であり得る。運転能力測定基準265の例示的実施形態としては、位置変化、速度、加速度、サージング、障害からの距離、車線位置の維持他が含まれる。本明細書中に具体的に列挙されていなくても、さらなる実施形態が想定される。
【0019】
センサシステム120を用いて測定モジュール220は、オペレータの習熟度レベル255を評価する上で使用可能である環境についての情報をさらに収集することができる。一実施形態において、測定モジュール220は、オペレータが具体的な一組の運転条件の下でどのようにパフォーマンスを示すべきかの決定を行なうことができる。したがって、測定モジュール220は、予期されるオペレータの運転挙動の車両調節システム170による決定の基礎を成し得る環境情報270を収集することができる。環境情報270には、1つ以上の時点の間に車両100の周りの環境から収集される情報を含むことができる。一実施形態において、環境情報270は、車両の位置、大気条件、時刻、交通量レベル、一般的場所タイプ(近隣、高速道路など)他についての情報を含む。環境情報270および運転能力情報260を用いて、測定モジュール220は、運転能力測定基準265の一部として記憶され得るオペレータのケイパビリティの評価を行なうことができる。
【0020】
比較モジュール230は概して、車両システム習熟度250について車両100の車両システム140を評価するようにプロセッサ110を制御するために機能する命令を含む。図1を参照して以上で説明された通り、車両システム140は、車両システム習熟度250を含むことができる。車両システム習熟度250は、車両システム140のうちの1つ以上に対するアクセスまたは制限の解除の境界として車両調節システム170が指定したオペレータ習熟度である。車両システム習熟度250は、特定の車両システムに対し個別化されるかまたは一般的に提供され得る。いくつかの実施形態においては、あるアクセスレベルについてオペレータを適格とする運転能力測定基準265をオペレータが有するとひとたび決定された時点で、特定のレベルの全てのシステムが利用可能になるという点において、車両システム習熟度250は段階的であり得る。他の実施形態においては、車両システム習熟度250は個別に結び付けられ、こうして、オペレータに利用可能なアクセスレベルはその車両システムについてのオペレータのパフォーマンスとの関係において制御されるようになっている。
【0021】
比較モジュール230はさらに、運転能力測定基準265と車両システム習熟度250とを比較するための命令を含むことができる。ひとたび車両システム習熟度250が確立された時点で、運転能力測定基準265を車両システム習熟度250と比較することができる。比較モジュール230由来の比較には、定性的測定値(例えばオペレータが「平均レベル」で操舵機能を果たしている)および定量的測定値(例えば、操舵システムへのアクセスのための最低の車両システム習熟度は10分の2.5であり、オペレータについての運転能力測定基準265は6.7である)が含まれ得る。車両システム習熟度250は、車両の人的操作の限界および車両システム140の限界の両方を含むことができる。したがって、車両システム習熟度250は、車両特異的であり得、特定のオペレータおよび/または特定の車両に関係する制限を有する。同様に、車両システム習熟度250は、車両システム140が劣化するかまたは修理されるにつれて、経時的に変化し得る。さらなる実施形態において、車両システム習熟度250は、より多くの使用量または劣化を有するシステムの安全な動作の限界を反映するように、経時的に変化し得る。
【0022】
さらなる実施形態において、第1のシステムにおけるオペレータについての運転能力測定基準265は、第2のシステムにおけるオペレータについての運転能力測定基準265と比較され得るかまたは第2のシステムにおけるオペレータについての運転能力測定基準265の比較において考慮され得る。一実施例において、操舵システム143(すなわち第2のシステム)におけるオペレータについての運転能力測定基準265は、操舵システム143についての車両システム習熟度250と比べて遜色がない。しかしながら、推進システム141(すなわち第1のシステム)におけるオペレータについての運転能力測定基準265は、推進システム141についての車両システム習熟度250と比べて引けをとる。比較モジュール230はこのとき、操舵システム143における比較の中で推進システム141における比較を使用することができ、その逆も成り立つ。
【0023】
評価モジュール240は概して、車両システムについてのオペレータの習熟度レベル255を、比較を用いて決定するようにプロセッサ110を制御するために機能する命令を含む。オペレータの習熟度レベル255は、考慮対象である車両システムについての、運転能力測定基準から決定されるオペレータの力量および習熟度である。オペレータの習熟度レベル255は、予想される挙動285に関して決定され得る。予想される挙動285は、オペレータに由来する車両調節システム170により予期される車両制御挙動であり得る。予想される挙動285は、収集されたオペレータ情報(例えばオペレータモデルを作成するための複数のオペレータソースの使用)、最適なオペレータの情報(例えばエキスパートオペレータ)、車両制御モデル(例えば、自律式運転システムの動作に基づく予期されたオペレータ挙動)、または予期されるオペレータ挙動の標示を提供することのできる他のもの、を含めたさまざまなソースから導出され得る。予想される挙動285としては、適正な方向転換、他の車両との車間距離、静止摩擦の維持、特定の運転条件下での制御、アクションタイミング、注意力、および他の安全性および車両制御関連の要因が含まれ得る。
【0024】
評価モジュール240はさらに、習熟度レベル255を考慮して車両システム140を制御するための命令を含むことができる。評価モジュール240は、車両100内の1つ以上のシステムまたはデバイス、例えばデータストア115、センサシステム120、車両システム140、自律式運転モジュール160、拡張現実システム(augmented reality system)180、他のシステム、またはそれらの組合せと通信状態にあり得る。評価モジュール240はこのとき、接続されたシステムに対するアクセスを停止または制限することができ、こうして、前記システムに対するオペレータのアクセスレベルは、習熟度レベル255を反映することになる。評価モジュール240はさらに、車両システム140内のさまざまな制約および許可に関するガイダンスをオペレータに対して転送することができる。評価モジュール240は、図1を参照して説明された、例えば拡張現実システム180を通して、車両100内のオペレータに対しグラフィックまたは言語の形で情報を提供することを含むことができる。
【0025】
任意の実施形態において、予想される挙動285は、オペレータモデル280の一部として記憶され得る。オペレータモデル280は、1つ以上の運転挙動およびアクションの質に関するガイダンスを車両調節システム170に対して提供する情報の集積である。オペレータモデル280は、1人以上のオペレータに関して収集された運転情報を含むことができる。この実施形態において、1人以上のオペレータに関する運転情報は、予想された挙動285を決定する上で使用可能である。一実施例において、運転情報は、予想される挙動を予測するためのモデルを作成するために使用される。別の実施例において、運転情報は、既存のモデルを選択または修正するために使用される。当業者であれば、前記運転情報の使用のために利用可能なさまざまな置換を理解するものである。
【0026】
上述の通り、習熟度レベル255は、段階的または個別に結び付けられた実装のいずれかであり得る。段階的実装では、1つ以上の車両システム140についての習熟度レベルは、初心者からエキスパートまでのスキル範囲などの1つのスキル範囲へと一般化される。段階的実装の一実施例においては、ひとたび運転能力測定基準265が中間であるとみなされるレベルに達した時点で、全ての車両システム140は、非高速道路環境において利用可能になる。個別に結び付けられた実装では、車両システム140の各々についての習熟度レベル255は個別に提示され、車両システム140は前記個別の測定値に基づいて制御される。個別に結び付けられた実装の一実施例においては、運転能力測定基準265は、操舵、制動、制御、応答性他について決定され、こうして各システムの利用可能性は個別の測定基準により左右されるようになっている。本明細書中に具体的に列挙されていないが、他の実施形態も企図される。
【0027】
評価モジュール240はさらに、習熟度レベル255に基づいて車両システムに対するアクセスを提供するための命令を含むことができる。本明細書中に記載の実施形態において、車両100は、車両調節システム170を通して、車両システム140に対するアクセスを制御することができる。評価モジュール240は、1つ以上の車両システム140に対するアクセスを制限または許可することができる。別の実施形態において、評価モジュール240は、車両速度の制約など、車両システム140の一部分に対するアクセスを許可することができる。さらなる実施形態において、評価モジュール240は、オペレータが車両100の操作を意図している時刻または場所などの環境パラメータに基づいて、車両システム140に対するアクセスを制御することができる。
【0028】
さらに、評価モジュール240は、経時的に、健康状態に基づいて、またはオペレータの習熟度レベル255の改善につれて、といったように、さまざまな事象に基づいて車両システム140に対するアクセスを調整するための命令を含むことができる。車両調節システム170は、オペレータの習熟度レベル255に関係する情報を収集することを、経時的に更新することができる。習熟度レベル255は、時刻(例えば太陽が昇っているときの改善)、場所(例えばオペレータは、近隣においてより高い習熟度で運転する)、他に関連して決定可能である。さらに、上述のように、車両調節システム170は多数のオペレータに適応可能であり得る。車両調節システム170は、モジュール220、230および240を通して、多数のプロファイルを作成できる。特定のオペレータに結び付けられる各プロファイルは、各オペレータの個別の習熟度レベル255を含むことができ、こうして、各オペレータは個別の能力に基づいて車両システム140に対するアクセスを有するようになっている。
【0029】
図2Bは、1つ以上の実施形態に係る、車両調節システム170の概略図を描いている。車両調節システム170は、測定モジュール220を通して、オペレータおよび環境に関する情報を収集する。この情報は比較モジュールに転送され、このモジュールがシステムに対するアクセスのための境界を設定し、オペレータの習熟度を前記境界と比較する。比較モジュール230由来の比較は次に、評価モジュール240に転送され、このモジュールは、オペレータ習熟度を決定し、前記習熟度に基づいてアクセスを許可する。
【0030】
ここで示されているように、測定モジュール220は、センサシステム120などのセンサシステムから入力を受信する。受信される情報には、車両100を操作する上でのオペレータのパフォーマンスに関する情報、および環境および周囲のものに関する情報が含まれ得る。センサシステム120のセンサは、画像捕捉デバイス、音声捕捉デバイス、LIDAR、RADAR他を含むことができる。受信された情報は次に、測定モジュール220によって、図2Aを参照して以上で説明されている運転能力情報260および環境情報270へと処理され得る。運転能力測定基準265を含む運転能力情報260および環境情報270は、その後、比較モジュール230へと転送され得る。
【0031】
比較モジュール230は次に、決定された車両システム習熟度250に対して運転能力測定基準265および環境情報270を適用することができる。当初、比較モジュール230は、車両システム習熟度250を形成する。車両システム習熟度250は、環境情報270、他のオペレータのパフォーマンスまたはモデルシステム(例えばオペレータモデル280)に基づく状況期待値他に基づいて作成され得る。上述のように、オペレータモデル280は、車両100に対して局所および遠隔(例えば「クラウド」290を介したサーバ292)の両方の一定数のソースから導出され得る。このとき運転能力測定基準265は、オペレータのパフォーマンスに関連する環境情報270を考慮して、車両システム習熟度に適用され得る。運転能力測定基準265は、ここでは、別個の要素として示されているが、運転能力測定基準265は、図2Aに関して以上で説明されている運転能力情報260の一部分であり得る、ということを理解すべきである。
【0032】
さらに、運転能力情報260は、運転能力測定基準265と車両システム習熟度250との比較を決定するかまたは他の形で修正することに対して適用され得る。一例において、運転能力情報260は、オペレータの運転中の激昂に関する情報を含む。この事例において、オペレータはその他の点では車両システム140にアクセスするのに適格であると考えられる。しかしながら、この運転中の激昂の情報および高速道路の交通量に関する情報に基づいて、車両調節システム170はこのとき、上述の情報を反映するように比較を修正することができる。当業者であれば、上述の比較に関して利用可能なさまざまな置換を理解するものである。本明細書に具体的に列挙されないものの、他の実施形態も企図される。
【0033】
比較モジュール230は次に、比較を評価モジュール240に対し転送することができる。評価モジュール240はその後、図2Aを参照して説明された通り、比較から習熟度レベル255を決定することができる。このとき、オペレータの習熟度レベルは、そのオペレータについての車両システム140の調節を決定するために使用される。評価モジュール240はさらに、更新可能であり、こうして運転能力測定基準265が変化するにつれて、習熟度レベル255および車両システム140に対するアクセスも相応して変化することになる。車両システム140へのアクセスは、多くの方法で修正され得る。一例において、1つ以上の車両システム140に対するアクセスを許可する習熟度レベル255をオペレータが有していない場合、前記車両システム140の制御を、自律運転モジュール160などの自律運転モジュールに対し与えることができる。別の例において、車両調節システム170は前記車両システム140を制御することができる。別の例では、前記車両システムへのアクセスは、オペレータの制御を補完するための車両システムの自律制御を伴ってまたは伴わずに、完全に停止されるのではなくむしろ制限され得る。
【0034】
したがって、車両調節システム170は、オペレータの習熟度およびパフォーマンスを用いて車両100を制御し、こうしてオペレータおよび大衆に対して多くのメリットを提供することができる。車両調節システム170は、オペレータが手動制御のケイパビリティを有していない可能性がある場合、オペレータのために自律的な制御を行うことによって道路上の安全性を増大させる。さらに、車両調節システム170は、車両調節についてオペレータを教育することによってオペレータがより安全に運転を行なう一助となることができる。最後に、車両調節システム170は、経時的に制御レベルを変更し、こうして、オペレータの自信を再確認し、運転習熟度が変化するにつれて適切な車両アクセスを提供することができる。
【0035】
図3は、本明細書中に記載の実施形態に係る、車両100の内部部分300におけるオペレータ304を描いている。この実施形態において、車両100は、車両調節システム170を内蔵している。オペレータ304は、車両100のオペレータ用座席306に位置付けされている。車両100は、図1を参照して説明された通り、半自律式または自律式であり得る。概して、車両100は、フロントガラス308およびダッシュボード310およびミラー318を含むことができる。車両100はさらに、内部センサ315、例えば画像捕捉デバイス312aおよび312b(例えばカメラまたは赤外線センサなど)および/または1つ以上の音声捕捉デバイス314aおよび314b(例えばマイクロホンまたはSONARなど)を含むことができる。いくつかの実施形態において、画像捕捉デバイス312aおよび312bおよび音声捕捉デバイス314aおよび314bは、車両100内、例えばダッシュボード310および/またはミラー318に一体化されている。本明細書中に記載の実施形態において使用されるセンサは、さらに、図1中でセンサシステム120の一部として描かれているセンサのうちの1つ以上であり得る外部センサ330aおよび330bを含むことができる。
【0036】
ここで示されている例示的実施形態において、車両調節システム170は、測定モジュール220からの命令を通して始まる。測定モジュール220は、オペレータ304についての運転能力情報260を収集するための命令を含む。車両調節システム170は、オペレータ304が、近隣、高速道路、オフロードまたは車両が操作され得る他の場所などの1つ以上の場所を通って車両100を操作することで開始できる。測定モジュール220はこのとき、1つ以上の内部センサ、例えば画像捕捉デバイス312aおよび312bおよび/または音声捕捉デバイス314aおよび314bにアクセスする。画像捕捉デバイス312aおよび312bは、ビデオカメラなど、1つ以上のオブジェクトの画像を収集する能力を有するあらゆるデバイスであり得る。画像捕捉デバイス312aおよび312bは、車両100の内部部分300の一部分の画像を収集するように位置付けされ得る。一実施形態において、画像捕捉デバイス312は、例えばダッシュボード310またはミラー318と一体化されて、車両100の内部部分300に位置付けされている。
【0037】
測定モジュール220は、内部センサ315を通して、場所、操縦、加速他に基づいて、集中力持続時間、焦点、空間認識、適用可能な運転法規の知識を含めたオペレータ304の運転能力情報260に関する情報を収集することができる。ここで描写されている実施形態において、測定モジュール220は、画像捕捉デバイス312aおよび312bおよび音声捕捉デバイス314aおよび314bを用いて、オペレータ304から、発話、凝視方向、ハンドルの動き、位置付けおよび姿勢他を収集する。センサシステム120からのさらなる車両センサ(例えば燃料流量センサ、GPSセンサ他)を運転能力情報260内に組込み、車両のアクションおよびパフォーマンスの実時間測定値を提供するために使用することができる。
【0038】
オペレータ302は、測定モジュール220がオペレータ304についての情報を収集する間、標準的な手法で車両100を操作することができる。車両調節システム170は、オペレータの習熟度レベル255の決定に先立ちデフォルトのアクセスレベルを有することができる。デフォルトアクセスレベルは、車両調節システム170、オペレータ304またはエンドユーザによって決定されるフルアクセス、制限付きアクセス他であり得る。車両調節システム170は、日、週または月単位の期間といった一定の期間にわたり運転能力情報260を収集することができる。運転能力情報260は、オペレータ304についての運転能力測定基準265を含むことができる。運転能力測定基準265は、車両100内のオペレータのパフォーマンスに基づいて、特定の車両システム140についてのデータ点を含むことができる。上述のデータおよび情報は、運転能力情報260との結び付けを通してアクションと観察事実の結果を標示するために使用され得る環境情報270と同時に収集され得る。
【0039】
さらなる実施形態において、オペレータ304は、車両100または車両調節システム170の少なくとも一部分を有する別の車両を、以前に1回以上の回数操作した可能性がある。この場合、車両調節システム170は、データベース210または別のデータストア内に以前に記憶された運転能力情報260、運転能力測定基準、および/または環境情報270を有し得る。この実施形態では、車両調節システム170は、本明細書中に記載の車両調節を決定する上で使用するために、運転能力情報260および/または環境情報270にアクセスするかまたはこれを検索することができる。ここで示されている例においては、オペレータ304は、デフォルトで、車両システム140に対するフルアクセスを有する。
【0040】
車両調節システム170は、測定モジュール220を用いて、比較モジュール230に対して、運転能力情報260、運転能力測定基準265、環境情報270および/またはオペレータモデル280を転送することができる。比較モジュール230は、環境情報270を考慮して車両システム習熟度250を決定または取得するための命令を含むことができる。車両システム習熟度250は、車両100がオペレータ304によって操作されている間に決定され得る。さらに、車両システム習熟度250は、オペレータモデル280を内蔵することができる。正常な操作中にオペレータ304が車両100を制御するにつれて、車両調節システム170は、車両システム140のケイパビリティを検出することができる。ここで示された例において、オペレータ304は、近隣の街路上で車両100を操作している。さらなる例は、異なる場所、より高い速度率またはさまざまな車両システム140のケイパビリティを区別するために使用可能な他の因子を含み得る。
【0041】
この時間中、車両調節システム170は、ステアリングコラムの適正な動き、車両の位置の異常な変化、タイヤと道路の間の静止摩擦の維持、加速中の燃料流の質、適正な酸素混合気、および車両100の他の操作特性に関する情報を収集している。この情報は、測定モジュール220、比較モジュール230またはそれらの組合せのいずれかによって収集され得る。上述の情報をオペレータモデル280と比較して、車両100のシステムの各々について制御および/または安全性を維持することのできる考えられるオペレータ(例えばオペレータ304)からの入力の決定を行なうための、他の部分では車両システム習熟度250と呼ばれている車両システム習熟度を作成することが可能である。
【0042】
比較モジュール230はさらに、運転能力情報260を考慮して、運転能力測定基準265を車両システム習熟度250と比較するための命令を含むことができる。上述のように、車両システム習熟度250は、車両システム140の各々の安全性および/または制御を維持することのできる入力または入力範囲を含む。こうして、オペレータ304から受信した入力は次に、車両システム140の少なくとも1つについての車両システム習熟度250と比較され得る。比較は、運転能力測定基準265が車両システム習熟度250の中または近くに来るか否かの決定であり得る。さらなる実施形態において、比較モジュール230の比較は、車両システム習熟度250により設定された入力または入力範囲に対する近接性に基づくものであり得る。比較モジュール230の比較はさらに、車両システム習熟度250に対する運転能力測定基準265の統計的尺度を含むことができる。一例において、オペレータ304は、交差点340において合計6回の方向転換を行なった可能性がある。6回の方向転換のうち、5回だけが熟練したものとみなされ、6回目の方向転換は余裕を取りすぎたため不適切とみなされた可能性があると考えられる。この場合、平均値が、操舵システム143についての異常な運転能力測定基準265を標示し得ると考えられる。しかしながら、運転能力測定基準265内の標準偏差または異常値の除外によって、オペレータ304が上述の通りの車両システム習熟度250内に入るということが標示され得る。
【0043】
このとき、評価モジュール240は、オペレータ304の習熟度レベルを決定するために比較モジュール230からの比較を適用することができる。次に、車両システム習熟度250および運転能力測定基準265を含めたオペレータ304からの情報の比較を、環境情報270と運転能力情報260によって提供される運転事象、条件および状況を考慮して分析して、オペレータ304の習熟度レベル255を決定することができる。したがって、このようにして、評価モジュール240は、比較モジュール230における比較についてのチェックとして作用することができる。
【0044】
以上からの例を使用すると、オペレータ304は近隣の街路を運転しており、交差点340における合計6回の方向転換のうち1回不適切な方向転換を行なった。以上で指摘した通り、運転能力測定基準265の平均値は、操舵システム143についての異常な運転能力測定基準265を標示した。ここで、評価モジュール240は、運転能力測定基準265の測定値を説明する情報について、運転能力情報260を精査する。さらに評価モジュール240は、運転能力測定基準265と現実世界の事象を相関させる情報について、環境情報270を精査することができる。この精査において、評価モジュール240は、不適切な方向転換の間に動物が交差点340内へと進入したことを環境情報270から認識する可能性がある。このとき、評価モジュール240は、運転能力情報260を用いて、オペレータ304のアクションが、動物を避けるための回避操縦と一貫性をもつものであったことを確認することができる。評価モジュール240はこのとき、評価から不適切な方向転換を除外することを選択し、運転能力情報260および環境情報270に基づいて習熟度レベル255を相応して決定することができる。当業者であれば、上述の例をさまざまな事象に拡大できることを理解するものである。
【0045】
習熟度レベル255の決定が行なわれた時点で、次に、評価モジュール240は、車両システム140に対するアクセスを提供するかまたは制御することができる。以上の例について述べた通り、オペレータ304はデフォルトにより車両システム140を利用することができる。ここで評価モジュール240は、オペレータ304が操舵システム143について適切である習熟度レベル255を有することを決定していた。したがって、評価モジュール240は、オペレータ304についてフルアクセスを維持する。さらなる実施形態では、評価モジュール240は、状況が容認する通りに、削減/制約付きアクセスからフルアクセスへ、フルアクセスから削減/制約付きアクセス他へと移動することができる。
【0046】
さらなる実施形態において、車両調節システム170は、評価モジュール240を通して、習熟度レベル255に関する情報をオペレータ304に提供することができる。一実施形態において、評価モジュール240は、コンソールディスプレイ324を用いてオペレータ304に対して情報を提供するための命令を含むことができる。別の実施形態においては、評価モジュール240は、ここではオペレータディスプレイ320として示されている拡張現実システム180を用いてオペレータ304に情報を提供するための命令を含むことができる。コンソールディスプレイ324または拡張現実システムのいずれかの実施形態において、評価モジュール240は、オペレータ304に対して習熟度レベル255に関する有用なデータまたはガイダンスを提供することができる。一例において、評価モジュール240は、オペレータ304についてまたは他のオペレータについての習熟度レベル255および適切な説明を提供する。評価モジュール240はさらに、オペレータ304が自らの運転を改善する一助とするための矯正措置または他のヒントに関するガイダンスを提供することができる。
【0047】
車両調節システム170は、車両オペレータに対して多くのメリットを提供することができる。車両調節システム170は、車両オペレータの運転スタイルおよび癖に関する洞察を提供し、改善すべきところがある場合には彼らの運転を改善するためのガイダンスを提供することができる。さらに、車両調節システム170は、オペレータが車両操作中に健全な意思決定またはスキルを示さない場合には、オペレータについて運転を制約することによって、道路をより安全なものにすることができる。
【0048】
図4は、1つ以上の実施形態に係る、オペレータによる車両アクセスを調節するための方法400の流れ図である。該方法は、車両の操作の前、最中または後のいずれかにおいてオペレータの習熟度レベルを決定することを含むことができる。ひとたびオペレータ習熟度レベルが確立された時点で、該方法は、車両のためにオペレータがどのレベルの制御を安全に処理できるかを決定することができる。制御レベルは、車両調節システム170に関して以上で説明した通り、そして本明細書中に記載されている通り、段階的、状況他であり得る。方法400は、402において車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定することを含むことができる。次に、404において、車両の車両システムを、車両システム習熟度について評価することができる。その後406において、運転能力測定基準と車両システム習熟度を比較することができる。408において、比較を用いて、車両システムについてのオペレータの習熟度レベルを決定することができる。その後、410において、習熟度レベルに基づいて、車両システムに対するアクセスを提供することができる。
【0049】
方法400は、402において車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定することで開始し得る。運転能力測定基準は、1つ以上の車両システムにおけるオペレータについての運転ケイパビリティの決定である。運転能力測定基準には、車両システムに関係するオペレータの個別のまたは全体的スキルレベルが含まれ得る。一実施形態において、運転能力測定基準は、数値的測定基準である。運転能力測定基準は、図2Aおよび2Bを参照して説明された運転能力測定基準265と実質的に類似するものであり得る。運転能力測定基準は、センサシステム120などの1つ以上のセンサ由来の収集された情報に基づいて決定され得る。前述のように、運転能力測定基準は、車両システム140のうちの特定の車両システムに個別化され得るか、または運転能力測定基準は段階的であり得る。さらなる実施形態において、運転能力測定基準は、別の車両、シミュレータ他のような外部ソースによって収集され得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、運転能力測定基準は、オペレータ習熟度と共に変化し得る。オペレータ習熟度は、経験、実践、年齢、健康および他の因子により変動する。したがって、運転能力測定基準は、経時的に変化するものと予期される。方法400は、オペレータ習熟度の変化に基づいて運転能力測定基準を変更することを含み得る。さらに方法400は、各オペレータについての個別の運転能力測定基準を含むことができる。1つ以上の実施形態において、運転能力測定基準は、図2Aおよび2Bを参照して説明された車両調節システム170などのシステムの一部として決定され得る。一実施形態において、車両調節システム170の測定モジュール220は、運転能力情報を用いて車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定するための命令を含むことができる。運転能力測定基準は、車両100のセンサシステム120などの1つ以上のセンサを用いて情報を収集することを含み得る。運転能力測定基準は、車両100のデータベース210などのデータベースの一部として記憶され得る。
【0051】
車両の車両システムはその後、404において車両システム習熟度について評価され得る。方法400は次に、車両システム140についての車両システム習熟度を決定することができる。車両システム習熟度は、車両システム140に対するアクセスを仲介するために方法400が使用する習熟度である。車両システム習熟度は、図2Aおよび2Bを参照して説明された車両システム習熟度250と実質的に類似したものであり得る。車両システム習熟度は、環境情報、オペレータモデル他との関連で決定され得る。車両システム習熟度は、車両システム全般を制御する技量他を反映するべく段階的にされて、特定の車両システムに個別化され得る。車両システム習熟度は、時刻、前記操作の場所、悪天候他を含めた習熟度のためのさまざまなパラメータを含み得る。さらに、車両システム習熟度は、車両の劣化、環境の変化他に基づいて、経時的に変化し得る。
【0052】
1つ以上の実施形態において、車両システム習熟度は、図2Aおよび2Bを参照して説明された車両調節システム170などのシステムの一部として決定され得る。一実施形態において、車両調節システム170の比較モジュール230は、車両100の車両システム140など、車両の車両システムを車両システム習熟度について評価するための命令を含むことができる。運転能力測定基準は、車両100のセンサシステム120などの1つ以上のセンサを用いて情報を収集することを含み得る。車両システム習熟度は、車両100のデータベース210などのデータベースの一部として記憶され得る。
【0053】
次に、406において、運転能力測定基準と車両システム習熟度とを比較することができる。運転能力測定基準は、オペレータのケイパビリティを反映し、一方車両システム習熟度は、システムに対する1つ以上のアクセスレベルが利用可能となる前の有効な境界を意味する。したがって、方法400は、運転能力測定基準を比較し、車両システム習熟度と比較して、運転能力測定基準がどこに入るかを決定する。方法400からの比較は、運転能力測定基準と車両システム習熟度の間の相対的近接性を決定することを含み得る。1つ以上の実施形態において、比較は、図2Aおよび2Bを参照して説明された車両調節システム170などのシステムの一部として行なわれ得る。一実施形態において、車両調節システム170の比較モジュール230は、運転能力情報を用いて車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定するための命令を含むことができる。運転能力測定基準は、車両100のセンサシステム120などの1つ以上のセンサを用いて情報を収集することを含み得る。運転能力測定基準は、車両100のデータベース210などのデータベースの一部として記憶され得る。
【0054】
408において、比較を用いて、車両システムについてオペレータの習熟度レベルを決定することができる。方法400は、比較、環境情報、運転能力情報他を用いて、オペレータの習熟度レベルを決定することができる。環境情報は、1つ以上の時点の間に車両の周りの環境から収集された情報を含むことができる。運転能力情報は、運転能力測定基準との関連で収集された情報を含み得る。一実施形態において、運転能力測定基準は、運転システムについての適切なまたは不適切な習熟度の数値的標示を提供し、一方環境情報および運転能力情報は、運転能力測定基準の周囲の事情との関係におけるガイダンスを提供する。
【0055】
運転能力情報、運転能力測定基準および環境情報は、図2Aおよび2Bを参照して説明された運転能力情報260、運転能力測定基準265および車両調節システム170の環境情報270と実質的に類似したものであり得る。1つ以上の実施形態において、習熟度レベルは、図2Aおよび2Bを参照して説明された車両調節システム170などのシステムの一部として決定され得る。一実施形態において、車両調節システム170の評価モジュール240は、比較を用いて車両システムについてのオペレータの習熟度レベルを決定するための命令を含むことができる。習熟度レベルは、運転能力情報260、運転能力測定基準265および環境情報270を用いて導出され得る。運転能力情報260、運転能力測定基準265および環境情報270は、車両100のセンサシステム120などの1つ以上のセンサを用いて収集され得る。習熟度レベル255は、車両100のデータベース210などのデータベースの一部として記憶され得る。
【0056】
次に、410において、習熟度レベルに基づいて、車両システムに対するアクセスを提供することができる。習熟度レベルが決定された時点で、方法400は次に習熟度レベルを考慮して車両システムのアクセスを改変することができる。デフォルトによりフルアクセスで開始する車両においては、方法400は、不適切な習熟度レベルを考慮してアクセスを削減するか、そうでなければ前記車両システムのアクセスを維持することができる。制限付きアクセスまたはアクセス無しで開始する車両においては、方法400は、適切な習熟度レベルを考慮して車両システムアクセスを増大させるか、不適切な習熟度レベルを考慮して制限付きアクセスないしはアクセス無し、を維持するか、そうでなければ適切なまたは不適切な習熟度レベルを反映するためにアクセスを改変することができる。
【0057】
さらなる実施形態においては、方法400は、習熟度レベルに関係するガイダンスをオペレータに提供することができる。ガイダンスは、オペレータ習熟度レベル、評定および測定値に関する説明、そして考えられる改善部分を含み得る。ガイダンスは、例えばディスプレイを通して言語で送出され得る。方法400に適応され得るこのような1つのディスプレイは、図3を参照して説明された車両100のディスプレイ324である。1つ以上の実施形態において、車両システムは、図2Aおよび2Bを参照して説明された車両調節システム170などのシステムの一部として提供され得る。一実施形態において、車両調節システム170の評価モジュール240は、習熟度レベルに基づいて車両システムに対するアクセスを提供するための命令を含むことができる。車両100の車両システム140に対するアクセスは、上述の通り、オペレータの習熟度レベル255を反映し得る。
【0058】
本明細書中に記載された方法400は、オペレータの習熟度レベルに基づいて、1つ以上の車両システムに対するアクセスを制御することができる。したがって、方法400は、オペレータおよび周囲環境の両方に対し多くのメリットを提供する。方法400は、オペレータのケイパビリティにより制限された制御を提供することができ、これにより、オペレータおよび他のドライバのための道路の安全性を増大させることができる。さらに、方法400は、オペレータに対する習熟度レベルに関するガイダンスを含むことができ、これはオペレータが運転パフォーマンスを改善させる一助となる。
【0059】
本明細書中で開示されているシステムおよび方法が動作し得る1つの例示的車両環境として、ここで図1について完全に詳述する。いくつかの事例において、車両100は、自律モード、1つ以上の半自律運転モード、および/または手動モードの間で選択的に切換えるように構成されている。手動モードへと遷移するときのハンドオーバとも呼ばれるこのような切換えは、現在公知のまたは将来開発される好適な形で実装され得る。「手動モード」とは、車両のナビゲーションおよび/または操縦の全てまたは大部分がオペレータ(例えば人間のユーザ/ドライバ)から受け取った入力にしたがって行なわれることを意味する。
【0060】
1つ以上の実施形態において、車両100は自律車両である。本明細書中で使用される「自律車両」は、自律モードで動作する車両を意味する。「自律モード」とは、オペレータからの入力が最小限または皆無である状態で、車両100を制御するために1つ以上のコンピュータデバイスを使用して走行ルートに沿って車両100をナビゲートしかつ/または操縦することを意味する。1つ以上の実施形態において、車両100は高度に自動化されているかまたは完全に自動化されている。一実施形態において、車両100は、走行ルートに沿った車両のナビゲーションおよび/または操縦の一部分を1つ以上のコンピュータデバイスが行ない、走行ルートに沿った車両100のナビゲーションおよび/または操縦の一部分を行なうために車両のオペレータが車両に対し入力を提供する1つ以上の半自律運転モードを伴って構成されている。したがって、1つ以上の実施形態において、車両100は、特定の定義された自律性レベルにしたがって自律的に動作する。例えば、車両100は、Society of Automotive Engireers(SAE)の自動車両分類0~5にしたがって動作し得る。一実施形態において、車両100は、SAEレベル2にしたがって動作し、これによりオペレータの入力無しで制動、加速および操舵することによって車両100を制御する自律運転モジュール160が提供されるものの、オペレータは運転を監視し、自律運転モジュール160が適正に応答できないかまたは他の形で車両100を適切に制御できない場合には車両100の制御に介入するため、気を配り直ちに介入できる準備が整った状態になくてはならない。
【0061】
車両100は1つ以上のプロセッサ110を含むことができる。1つ以上の配設において、プロセッサ110は、車両100の主プロセッサであり得る。例えば、プロセッサ110は電子制御ユニット(ECU)であり得る。車両100は、1つ以上のタイプのデータを記憶するための1つ以上のデータストア115を含むことができる。データストア115は、揮発性および/または不揮発性メモリを含むことができる。好適なテータストア115の例としては、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(読取り専用メモリ)、PROM(プログラマブル読取り専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読取り専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブまたは他の任意の好適な記憶媒体、またはそれらの任意の組合せが含まれる。データストア115は、プロセッサ110の一コンポーネントであり得、あるいは、データストア115は、プロセッサ110による使用のためこのプロセッサに動作可能な形で接続され得る。本明細書全体を通して使用される「動作可能な形で接続される」なる用語は、直接的な物理的接触の無い接続を含め、直接的または間接的な接続を含むことができる。
【0062】
1つ以上の配設において、1つ以上のデータストア115は、地図データ116を含み得る。地図データ116は、1つ以上の地理的エリアの地図を含み得る。いくつかの事例において、地図データ116は、1つ以上の地理的エリア内の道路、交通量規制装置、道路マーキング、構造物、特徴物および/またはランドマークに関する情報またはデータを含むことができる。地図データ116は、任意の好適な形態をとることができる。いくつかの事例において、地図データ116は、一つのエリアの空中写真を含むことができる。いくつかの事例において、地図データ116は、360度の地上写真を含めた1つのエリアの地上写真を含むことができる。地図データ116は、地図データ116内に含まれた1つ以上のアイテムについてのおよび/または地図データ116内に含まれた他のアイテムとの関係における測定値、寸法、距離および/または情報を含むことができる。地図データ116は、道路の幾何形状についての情報を伴うデジタル地図を含むことができる。地図データ116は、高品質でかつ/または極めて詳細なものであり得る。
【0063】
1つ以上の配設において、地図データ116は、1つ以上の地形図117を含むことができる。地形図117は、1つ以上の地理的エリアの地表、地形、道路、表面および/または他の特徴についての情報を含むことができる。地形図117は、1つ以上の地理的エリア内の高度データを含むことができる。地図データ116は、高品質でかつ/または極めて詳細なものであり得る。地形図117は、舗装道路、非舗装道路、陸地および地表面を画定する他のものを含み得る1つ以上の地表面を定義することができる。
【0064】
1つ以上の配設において、地図データ116は、1つ以上の固定障害物地図(static obstacle maps)118を含むことができる。固定障害物地図118は、1つ以上の地理的エリアの内部に位置設定された1つ以上の固定障害物についての情報を含むことができる。「固定障害物」とは、一定期間にわたり位置が変わらないまたは実質的に変わらない、および/または、一定期間にわたりサイズが変わらないまたは実質的に変わらない物理的オブジェクトである。固定障害物の例としては、樹木、建物、縁石、フェンス、ガードレール、中央分離帯、電柱、彫像、モニュメント、標識、ベンチ、調度品、郵便箱、大きな岩、丘が含まれる。固定障害物は、地表レベルより上に延在するオブジェクトであり得る。固定障害物地図118の中に含まれる1つ以上の固定障害物は、場所データ、サイズデータ、寸法データ、材料データおよび/またはそれに関連する他のデータを有することができる。固定障害物地図118は、1つ以上の固定障害物についての測定値、寸法、距離および/または情報を含むことができる。固定障害物地図118は、高品質でかつ/または極めて詳細なものであり得る。固定障害物地図118は、マッピングされたエリア内の変化を反映するように更新可能である。
【0065】
1つ以上のデータストア115は、地図データ116および/またはセンサデータ119を含み得る。これに関連して、「地図データ」は、車両100、車両100の1つ以上のシステム、またはオペレータが使用できる、2つのオブジェクト間の相対的近接性を提供するあらゆるデータを意味する。「センサデータ」は、センサについてのケイパビリティおよび他の情報を含めた、車両100に備わったセンサについてのあらゆる情報を意味する。以下で説明するように、車両100はセンサシステム120を含むことができる。センサデータ119は、センサシステム120の1つ以上のセンサに関係し得る。一例として、1つ以上の配設において、センサデータ119は、センサシステム120の1つ以上のLIDARセンサ124についての情報を含むことができる。いくつかの事例において、地図データ116および/またはセンサデータ119の少なくとも一部分は、車両100に搭載された1つ以上のデータストア115中に位置設定され得る。代替的にまたは付加的に、地図データ116および/またはセンサデータ119の少なくとも一部分は、車両100から遠隔に位置する1つ以上のデータストア115中に位置設定され得る。
【0066】
以上で指摘したように、車両100はセンサシステム120を含むことができる。センサシステム120は1つ以上のセンサを含むことができる。「センサ」は、何かを検出および/または検知できるあらゆるデバイス、コンポーネントおよび/またはシステムを意味する。1つ以上のセンサは、実時間で検出および/または検知するように構成され得る。本明細書中で使用されるように、「実時間」なる用語は、特定のプロセスまたは決定が行なわれるのに充分なほど差し迫ったものとしてユーザまたはシステムが検知する、またはプロセッサが何らかの外部プロセスに遅れずについていくことができるようにする、処理応答性のレベルを意味する。
【0067】
センサシステム120が複数のセンサを含む配設において、センサは互いに独立して機能することができる。代替的には、センサのうちの2つ以上が互いに組合わさって機能することができる。このような場合、2つ以上のセンサはセンサネットワークを形成し得る。センサシステム120および/または1つ以上のセンサは、プロセッサ110、データストア115および/または車両100の別の要素(図1に示された要素のいずれかを含む)に対して動作可能な形で接続され得る。センサシステム120は、車両100の外部環境の少なくとも一部分(例えば近隣車両)のデータを取得することができる。
【0068】
センサシステム120は、任意の好適なタイプのセンサを含むことができる。本明細書においては、異なるタイプのセンサのさまざまな例が記載される。しかしながら、実施形態は、記載されている特定のセンサに限定されないということが理解される。センサシステム120は、1つ以上の車両センサ121を含むことができる。車両センサ121は、車両100自体についての情報を検出、決定および/または検知することができる。1つ以上の配設において、車両センサ121は、例えば慣性加速度に基づき、車両100の位置および配向の変化を検出および/または検知するように構成され得る。1つ以上の配設において、車両センサ121は、1つ以上の加速度計、1つ以上のジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)、推測航法システム、全地球的航法衛星システム(GNSS)、全地球測位システム(GPS)、ナビゲーションシステム147、および/または他の好適なセンサを含むことができる。車両センサ121は、車両100の1つ以上の特性を検出および/または検知するように構成され得る。1つ以上の配設において、車両センサ121は、車両100の現在の速度を決定するために速度計を含むことができる。
【0069】
代替的に、または付加的に、センサシステム120は、運転環境データを取得および/または検知するように構成された1つ以上の環境センサ122を含むことができる。「運転環境データ」には、自律車両が位置設定されている外部環境またはその1つ以上の部分についてのデータまたは情報が含まれる。例えば、1つ以上の環境センサ122は、車両100の外部環境の少なくとも一部分の中の障害物および/またはこのような障害物についての情報/データを検出、定量化および/または検知するように構成され得る。このような障害物は、静止オブジェクトおよび/または動的オブジェクトであってよい。1つ以上の環境センサ122は、例えば車線マーカ、標識、信号機、交通標識、車線境界線、横断歩道、車両100に接近した縁石、オフロードオブジェクトなどの車両100の外部環境内の他の物を検出、測定、定量化および/または検知するように構成され得る。
【0070】
本明細書においては、センサシステム120のセンサのさまざまな例について説明する。例示的センサは、1つ以上の環境センサ122および/または1つ以上の車両センサ121の一部であり得る。その上、センサシステム120は、車両100のオペレータに関係する側面を追跡するかまたは他の形で監視するように機能するオペレータセンサを含むことができる。しかしながら、実施形態は、説明されている特定のセンサに限定されるものではないということが理解される。
【0071】
一例として、1つ以上の配設において、センサシステム120は、1つ以上のレーダーセンサ123、1つ以上のLIDARセンサ124、1つ以上のソーナーセンサ125および/または1つ以上のカメラ126を含むことができる。1つ以上の配設において、1つ以上のカメラ126は、ハイダイナミックレンジ(HDR)カメラ、赤外線(IR)カメラなどであり得る。一実施形態において、カメラ126は、オペレータの凝視、オペレータの視線などを決定する目的でオペレータの視線追跡を行うために車両の乗員室内に配置された1つ以上のカメラを含む。
【0072】
車両100は、入力システム130を含むことができる。「入力システム」には、情報/データを機械に入力することを可能にするあらゆるデバイス、コンポーネント、システム、要素または配設またはそれらの群が含まれる。入力システム130は、車両の乗員(例えばドライバまたは同乗者)からまたは図2Aを参照して以上で説明されている車両調節システム170などの外部システムからの入力を受信することができる。車両100は、出力システム135を含むことができる。「出力システム」には、情報/データを車両に対して伝送するかまたは車両の乗員(例えば人、車両乗員など)に対して提示することを可能にするあらゆるデバイス、コンポーネント、または配設またはそれらの群が含まれる。出力システム135は、上述のように、車両調節システム170に対してセンサデータおよび他の情報を通信するように構成され得る。
【0073】
車両100は、1つ以上の車両システム140を含むことができる。1つ以上の車両システム140のさまざまな例が、図1に示されている。しかしながら、車両100は、より多くの、より少ないまたは異なる車両システムを含むことができる。特定の車両システムが別個に定義されているが、これらのシステムまたは一部分の各々またはいずれかを、車両100の内部でハードウェアおよび/またはソフトウェアを介して他の形で組合せるかまたは分離することが可能であるということを認識すべきである。車両100は、推進システム141、制動システム142、操舵システム143、スロットルシステム144、トランスミッションシステム145、信号システム146および/またはナビゲーションシステム147を含むことができる。これらのシステムの各々は、現在公知であるかまたは将来開発される1つ以上のデバイス、コンポーネントおよび/またはそれらの組合せを含むことができる。
【0074】
ナビゲーションシステム147は、車両100の地理的場所を決定しかつ/または車両100のための走行ルートを決定するように構成された、現在公知のまたは将来開発される1つ以上のデバイス、センサ、アプリケーションおよび/またはそれらの組合せを含むことができる。ナビゲーションシステム147は、車両100のための走行ルートを決定するための1つ以上のマッピングアプリケーションを含むことができる。ナビゲーションシステム147は、全地球測位システム、局地測位システムまたは地理位置情報システムを含むことができる。
【0075】
プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、さまざまな車両システム140および/またはそれらの個別のコンポーネントと通信するために動作可能な形で接続され得る。例えば、図1に戻ると、プロセッサ110および/または自律運転モジュール160は、車両100の動き、速度、操縦、進路、方向などを制御する目的でさまざまな車両システム140からの情報を送信および/または受信するように通信状態にあり得る。プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、これらの車両システム140のいくつかまたは全てを制御することができ、したがって、部分的にまたは完全に自律的であり得る。
【0076】
プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、さまざまな車両システム140および/またはそれらの個別のコンポーネントと通信するために動作可能な形で接続され得る。例えば、図1に戻ると、プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、車両100の動き、速度、操縦、進路、方向などを制御する目的でさまざまな車両システム140からの情報を送信および/または受信するように通信状態にあり得る。プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、これらの車両システム140のいくつかまたは全てを制御することができる。
【0077】
プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、車両システム140および/またはそれらのコンポーネントのうちの1つ以上を制御することによって車両100のナビゲーションおよび/または操縦を制御するように動作可能であり得る。例えば、自律モードで動作しているとき、プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、車両100の方向および/または速度を制御することができる。プロセッサ110、車両調節システム170および/または自律運転モジュール160は、車両100に加速させる(例えばエンジンに対して提供される燃料の供給を増大させることによる)、減速させる(例えばエンジンに対する燃料の供給を減少させることおよび/またはブレーキを適用することによる)および/または方向転換させる(例えば2つの前輪を回転させることによる)ことができる。本明細書中で使用される「~させる、~をひき起こす(causeまたはcausing)」なる用語は、事象またはアクションが発生するまたは少なくともこのような事象またはアクションが直接的にまたは間接的に発生し得る状態になるように仕向ける、強制する、余儀なくさせる、指図する、指令する、命令するおよび/または可能にすることを意味する。
【0078】
車両100は、1つ以上のアクチュエータ150を含むことができる。アクチュエータ150は、プロセッサ110および/または自律運転モジュール160からの信号または他の入力の受信に対する応答性を有するように車両システム140またはそれらのコンポーネントの1つ以上を修正、調整および/または改変するために動作可能であるあらゆる要素または要素の組合せであり得る。任意の好適なアクチュエータを使用することができる。例えば、1つ以上のアクチュエータ150は、いくつかの可能性を挙げるだけでも、モータ、空気圧式アクチュエータ、油圧ピストン、継電器、ソレノイドおよび/または圧電アクチュエータを含むことができる。
【0079】
車両100は、1つ以上のモジュールを含むことができ、そのうちのいくつかが本明細書中に記載されている。モジュールは、プロセッサ110によって実行された時点で本明細書中に記載のさまざまなプロセスのうちの1つ以上を実装するコンピュータ可読プログラムコードとして実装され得る。モジュールの1つ以上は、プロセッサ110の一コンポーネントであり得、または、モジュールの1つ以上は、プロセッサ110が動作可能な形で接続されている他の処理システム上で実行されかつ/またはこれらの処理システムの間で分散され得る。モジュールは、1つ以上のプロセッサ110によって実行可能である命令(例えばプログラム論理)を含むことができる。代替的にまたは付加的に、1つ以上のデータストア115がこのような命令を格納していてよい。
【0080】
1つ以上の配設において、本明細書中に記載のモジュールの1つ以上は、人工または計算知能要素、例えばニューラルネットワーク、ファジー論理または他の機械学習アルゴリズムを含むことができる。さらに、1つ以上の配設において、モジュールの1つ以上は、本明細書中に記載の複数のモジュールの間に分散され得る。1つ以上の配設において、本明細書中に記載のモジュールの2つ以上を、単一のモジュールの形に組合せることができる。
【0081】
車両100は、1つ以上の自律運転モジュール160を含むことができる。自律運転モジュール160は、車両100および/または車両100の外部環境に関する情報を捕捉する能力を有するセンサシステム120および/または他のタイプのシステムからデータを受信するように構成され得る。1つ以上の配設において、自律運転モジュール160は、このようなデータを用いて、1つ以上の運転シーンモデルを生成することができる。自律運転モジュール160は車両100の位置および速度を決定することができる。自律運転モジュール160は、障害物、または交通標識、樹木、低木、隣接車両、歩行者などを含めた他の環境特徴物の場所を決定することができる。
【0082】
自律運転モジュール160は、複数の衛星からの信号、または地図を作成するかまたは地図データとの関係における車両100の位置を決定する上で使用するために車両の100の現在の状態を決定するためまたは車両100の環境との関係におけるこの車両の位置を決定するために使用可能であると思われる任意の他のデータおよび/または信号に基づいて、車両100の位置および配向、グローバル座標内の車両の位置を推定する目的で、本明細書中に記載のモジュールの1つ以上および/またはプロセッサ110が使用するための車両100の外部環境内の障害物についての場所情報を受信しかつ/または決定するように構成され得る。
【0083】
自律運転モジュール160は、独立して、または車両調節システム170と組合わせて、センサシステム120が取得したデータ、運転シーンモデルおよび/または他の任意の好適なソースからのデータに基づいて、走行経路、車両100についての現在の自律運転操縦、将来の自律運転操縦および/または現在の自律運転操縦に対する修正を決定するように構成され得る。「運転操縦」とは、車両の移動に影響を及ぼす1つ以上のアクションを意味する。運転操縦の例としては、数例を挙げるだけでも、車両100の加速、減速、制動、方向転換、側方移動、走行車線変更、1つの走行車線への合流、および/または後進、が含まれる。自律運転モジュール160は、決定された運転操縦を実装するように構成され得る。自律運転モジュール160は、直接的または間接的にこのような自律運転操縦を実装させることができる。本明細書中で使用される「~させる、~をひき起こす(causeまたはcausing)」なる用語は、事象またはアクションが発生するまたは少なくともこのような事象またはアクションが直接的にまたは間接的に発生し得る状態になるように仕向ける、指令する、命令するおよび/または可能にすることを意味する。自律運転モジュール160は、さまざまな車両機能を実行しかつ/または車両100またはその1つ以上のシステム(例えば車両システム140の1つ以上)に対してデータを伝送し、これらからデータを受信し、これらと対話しかつ/またはこれらを制御するように構成され得る。
【0084】
ARシステム180は、多くの異なる形態をとることができるが、概して車両を取り囲む現実世界の環境内のオブジェクトのビューイングを拡張するかまたは他の形で補足するために機能する、ということを認識すべきである。すなわち、例えば、ARシステム180は、例えば車両100のフロントガラスなどを通してグラフィクスが現実世界と一体になった見掛けを提供するために、1つ以上のARディスプレイを用いてグラフィクスを重ね合わせることができる。したがって、ARシステム180は、フロントガラス、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、ミラーおよび車両100の他の側面と一体化されたディスプレイを含むことができる。さらなる態様において、ARシステム180は、ゴーグルまたはメガネなどの頭部装着型のディスプレイを含むことができる。いずれの場合でも、ARシステム180は、現実世界のオブジェクトに加えて現実世界のオブジェクトの修正および/またはこれら2つの組合せでもあるグラフィック要素をレンダリングするように機能する。一実施形態において、ARシステム180の少なくとも1つのARディスプレイは、車両100の周囲環境の少なくとも一部のカメラ(例えば外向きカメラ)からの実時間画像を、ARシステム180および/または車両調節システム170からの合成オブジェクト(例えばレンダリングされたグラフィック要素)と融合させる。一例として、モニタ(すなわちARディスプレイ)が車両100のダッシュボードの内部またはその直ぐ上に一体化され、カメラからの現実世界の画像とのARシステム180によってレンダリングされたグラフィック要素の融合ビューを表示するように制御される。このようにして、ARシステム180は、富化され/美化された視覚的知覚経験を提供するために、オペレータ/同乗者のビューを拡張または他の形で修正することができる。指摘された機能および方法は、図についてのさらなる論述によって、さらに明白になるものである。
【0085】
詳細な実施形態が本明細書中に開示されている。しかしながら、開示された実施形態は単に一例として意図されたものにすぎないということを理解すべきである。したがって、本明細書中で開示されている具体的な構造的および機能的詳細は、限定的なものとしてではなく、単にクレームの根拠としておよび事実上あらゆる適切に詳述された構造において本明細書中の態様をさまざまな形で利用するように当業者に教示するための代表的な根拠として解釈されるべきものである。さらに、本明細書中で使用される用語および言い回しは、限定的であるように意図されておらず、むしろ考えられる実装の理解可能な説明を提供するように意図されたものである。さまざまな実施形態が図1~5に示されているが、実施形態は例示された構造または利用分野に限定されない。
【0086】
図中の流れ図およびブロック図は、さまざまな実施形態に係るシステム、方法およびコンピュータプログラムプロダクトの考えられる実施形態のアーキテクチャ、機能性および動作を例示している。この点に関して、流れ図またはブロック図中の各ブロックは、特定の論理機能を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメントまたはコード部分を表わし得る。同様に、いくつかの代替的実装においては、ブロック内で指摘された機能は、図中で指摘された順序から外れて発生し得るということも指摘しておくべきである。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され得、あるいは、時として、関与する機能性に応じてブロックを逆の順序で実行することも可能である。
【0087】
上述のシステム、コンポーネントおよび/または方法は、ハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組合せの形で実現可能であり、1つの処理システム内で集中的にまたは、異なる要素が複数の相互接続された処理システムを横断して展開されている分散式に実現され得る。本明細書中に記載の方法を実施するために適応されたあらゆる種類の処理システムまたは他の装置が好適である。ハードウェアとソフトウェアの典型的組合せは、ロードされ実行された時点で、本明細書中に記載の方法を実施するような形で処理システムを制御するコンピュータ使用可能プログラムを伴う処理システムであり得る。本明細書中に記載の方法および方法を行なうために機械により実行可能な命令プログラムを有形で具体化する、機械により読取り可能なコンピュータプログラムプロダクトまたは他のデータプログラム記憶デバイスなどのコンピュータ可読記憶装置中に、システム、コンポーネントおよび/または方法を埋込むことも同様に可能である。これらの要素は同様に、本明細書中に記載の方法の具体化を可能にする全ての特徴を含み、処理システム内にロードされたときこれらの方法を実施できるアプリケーションプロダクトの中に埋込まれ得る。
【0088】
さらに、本明細書中に記載の配設は、コンピュータ可読プログラムコードを内部に具体化、または埋込み、例えば記憶させている1つ以上のコンピュータ可読媒体中に具体化されたコンピュータプログラムプロダクトの形態をとることができる。1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組合せを利用してよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。「コンピュータ可読記憶媒体」なる言い回しは、非一時的記憶媒体を意味する。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、ただし非限定的に、電子、磁気、光学、赤外線または半導体のシステム、装置またはデバイス、または、以上のものの任意の好適な組合せであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)としては、以下のものが含まれると考えられる:1本以上の電線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または以上のものの任意の好適な組合せ。本明細書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスによってまたはこれらに関連して使用するためのプログラムを格納つまり記憶できる任意の有形媒体であり得る。
【0089】
コンピュータ可読媒体上に具体化されるプログラムコードは、非限定的に無線、有線、光ファイバ、ケーブル、RFなどまたは以上のものの任意の好適な組合せを含めた任意の適切な媒体を用いて伝送され得る。当該配設の態様の動作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語、例えばJava(登録商標)、Smalltalk、C++など、および従来の手続き型プログラミング言語、例えば「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語を含めた1つ以上のプログラミング言語の任意の組合せで書くことができる。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型のソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、および部分的に遠隔のコンピュータ上で、または完全に遠隔のコンピュータまたはサーバ上で、実行可能である。後者のシナリオの場合、遠隔のコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含めた任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続され得、あるいは、外部のコンピュータに対して(例えばインタネットサービスプロバイダを用いてインタネットを通して)接続を行なうことができる。
【0090】
本明細書中で使用される「a」および「an」なる用語は、1または2以上として定義される。本明細書中で使用される「複数」なる用語は、2または3以上として定義される。本明細書中で使用される「別の」なる用語は、少なくとも第2以上として定義される。本明細書中で使用される「~を含む(including)」および/または「~を有する(having)」なる用語は、含む(comprising)(すなわちオープンランゲージ)として定義される。本明細書中で使用される「~および~のうちの少なくとも1つ」なる言い回しは、結び付けられた列挙項目のうちの1つ以上の任意のおよび全ての考えられる組合せを意味し、これを包含する。一例として、「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」なる言い回しは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、またはその任意の組合せ(例えばAB、AC、BCまたはABC)を含む。
【0091】
以上は、開示されたデバイス、システムおよび方法の実施形態に向けられているが、開示されたデバイス、システムおよび方法の他のおよびさらなる実施形態も、その基本的範囲から逸脱することなく、考案され得る。その範囲は、以下のクレームによって決定される。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
オペレータによる車両アクセスを調節するための車両調節システムにおいて、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに対して通信可能な形で結合されたメモリであって、
前記1つ以上のプロセッサにより実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、運転能力情報を用いて車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定させる命令を含む、測定モジュール、
前記1つ以上のプロセッサにより実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、車両システム習熟度について前記車両内の少なくとも1つの車両システムを評価させ、前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較させる命令を含む、比較モジュール、及び、
前記1つ以上のプロセッサにより実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、前記比較を用いて前記少なくとも1つの車両システムについての前記オペレータの習熟度レベルを決定させ、前記習熟度レベルに基づいて前記少なくとも1つの車両システムに対するアクセスを前記オペレータに対して提供させる命令を含む、評価モジュール、
を記憶するメモリと、
を含む、車両調節システム。
〔態様2〕
前記評価モジュールが、前記習熟度レベルに関するガイダンスを前記オペレータに対して送出するための命令をさらに含む、態様1に記載の車両調節システム。
〔態様3〕
前記測定モジュールが、前記車両内の前記オペレータについての運転能力情報および環境情報を収集するための命令をさらに含む、態様1に記載の車両調節システム。
〔態様4〕
前記評価モジュールが、前記オペレータの習熟度レベルを決定する上で前記運転能力情報および前記環境情報を使用するための命令をさらに含む、態様3に記載の車両調節システム。
〔態様5〕
前記車両システム習熟度がオペレータモデルを用いて決定される、態様1に記載の車両調節システム。
〔態様6〕
前記少なくとも1つの車両システムが複数の車両システムを含み、複数の個別化した測定基準のうちの1つが前記複数の車両システムのうちのそれぞれ1つと結び付けられている、態様1に記載の車両調節システム。
〔態様7〕
前記比較モジュールが、前記複数の個別化した測定基準の各々において前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較するための命令をさらに含む、態様6に記載の車両調節システム。
〔態様8〕
前記測定モジュール、前記比較モジュールおよび前記評価モジュールが、複数の習熟度レベルを決定するために1回以上実行され、前記複数の習熟度レベルが経時的なオペレータ習熟度の変化を反映する、態様1に記載の車両調節システム。
〔態様9〕
オペレータによる車両アクセスを調節し、1つ以上のプロセッサにより実行された時点で前記1つ以上のプロセッサに、
運転能力情報を用いて、車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定させ、
車両システム習熟度について前記車両内の少なくとも1つの車両システムを評価させ、
前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較させ、
前記比較を用いて前記少なくとも1つの車両システムについての前記オペレータの習熟度レベルを決定させ、
前記習熟度レベルに基づいて前記少なくとも1つの車両システムに対するアクセスを前記オペレータに対して提供させる、
命令を記憶するための、非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様10〕
前記習熟度レベルに関するガイダンスを前記オペレータに対して送出するための命令をさらに含む、態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様11〕
前記車両内の前記オペレータについての運転能力情報および環境情報を収集するための命令をさらに含み、前記運転能力情報および前記環境情報が、前記オペレータの習熟度レベルを決定する上で使用される、態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様12〕
前記車両システム習熟度がオペレータモデルを用いて決定される、態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様13〕
前記少なくとも1つの車両システムが複数の車両システムを含み、複数の個別化した測定基準のうちの1つが前記複数の車両システムのうちのそれぞれ1つと結び付けられている、態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様14〕
前記複数の個別化した測定基準の各々において前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較するための命令をさらに含む、態様13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様15〕
複数の習熟度レベルを決定するために前記命令が1回以上実行され、前記複数の習熟度レベルが経時的なオペレータ習熟度の変化を反映する、態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
〔態様16〕
オペレータによる車両アクセスを調節するための方法において、
運転能力情報を用いて、車両内のオペレータについての運転能力測定基準を決定することと、
車両システム習熟度について前記車両内の少なくとも1つの車両システムを評価することと、
前記運転能力測定基準と前記車両システム習熟度とを比較することと、
前記比較を用いて前記少なくとも1つの車両システムについての前記オペレータの習熟度レベルを決定することと、
前記習熟度レベルに基づいて前記少なくとも1つの車両システムに対するアクセスを前記オペレータに対して提供することと、
を含む、方法。
〔態様17〕
前記習熟度レベルに関するガイダンスを前記オペレータに対して送出することをさらに含む、態様16に記載の方法。
〔態様18〕
前記車両内の前記オペレータについての運転能力情報および環境情報を収集することをさらに含み、前記運転能力情報および前記環境情報が、前記オペレータの習熟度レベルを決定する上で使用される、態様16に記載の方法。
〔態様19〕
複数の車両システムをさらに含み、前記車両システム習熟度が、前記複数の車両システムの各々と結び付けられた複数の個別化した測定基準を含む、態様16に記載の方法。
〔態様20〕
複数の習熟度レベルを決定することをさらに含み、前記複数の習熟度レベルが経時的なオペレータ習熟度の変化を反映する、態様16に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4