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特許7087118弁体を有する管継手及びそれに用いられるコイルバネ
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  • 特許-弁体を有する管継手及びそれに用いられるコイルバネ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】弁体を有する管継手及びそれに用いられるコイルバネ
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/32 20060101AFI20220613BHJP
   F16F 1/06 20060101ALI20220613BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
F16L37/32
F16F1/06 N
F16F1/12 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020571069
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2020001638
(87)【国際公開番号】W WO2020162143
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2019017615
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】和田 章裕
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/175832(WO,A1)
【文献】特開2016-017620(JP,A)
【文献】特開2009-108979(JP,A)
【文献】特開2001-310729(JP,A)
【文献】実開昭55-055461(JP,U)
【文献】米国特許第4763683(US,A)
【文献】米国特許第4674525(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/32
F16F 1/06
F16F 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路内に配置され、該流体通路内で該流体通路の長手軸線の方向で変位可能とされた弁体を、該流体通路を開放する開放位置から該流体通路を閉止する閉止位置に向かって付勢するためのコイルバネであって、
弁体を支持する弁支持部と、
流体通路の内周面に固定される固定部と、
該固定部から該弁支持部に向かって延在し、該弁体が該閉止位置と該開放位置との間で変位したときに該長手軸線の方向で伸縮するように複数回巻かれた伸縮部と、
該伸縮部のうちの該弁支持部側の端部にある端部巻部と該弁支持部との間に延在する連結部と、
を備え、
該弁支持部が該長手軸線の方向から見て該伸縮部と同心状にされて該伸縮部よりも小径とされた支持巻部を有しており、
該連結部が、該長手軸線の方向から見て、該端部巻部から該端部巻部と少なくとも部分的に重なりながら該端部巻部よりも径方向外側を通るように湾曲して延びる第1部分と、該第1部分に続いて径方向内側に延び、該弁支持部を通過して延在する第2部分と、該第2部分に続いて該端部巻部と該第1部分とのうちの少なくとも一方と重なるように湾曲して延びる第3部分と、該第3部分に続いて径方向内側に向かって該弁支持部の該支持巻部にまで延びる第4部分と、を有するようにされた、コイルバネ。
【請求項2】
該伸縮部が、該固定部から該端部巻部まで該長手軸線に沿って略同一の外径を有するように複数回巻かれた同径部を有し、該端部巻部が、該長手軸線の方向で見て該同径部と少なくとも部分的に重なりながら該同径部よりも小さい外径を有するように巻かれている、請求項1に記載のコイルバネ。
【請求項3】
該連結部の該第1部分が、該長手軸線の方向で見て、該伸縮部の該同径部と径方向で略同じ位置を通るように湾曲している、請求項2に記載のコイルバネ。
【請求項4】
該連結部の該第2部分が、該長手軸線の方向で見て、該弁支持部の該支持巻部の中心を通って該弁支持部を径方向に横断するように延在している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコイルバネ。
【請求項5】
該伸縮部が圧縮されていない状態において、該第1部分が該伸縮部の該端部巻部に当接し、該第2部分が該弁支持部の該支持巻部に当接し、該第3部分が該端部巻部と第1部分とのうちの該少なくとも一方に当接している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイルバネ。
【請求項6】
流体通路を有する筒状本体と、
該流体通路内に配置され、該流体通路を開放する開放位置と該流体通路を閉止する閉止位置との間で該流体通路の長手軸線の方向で変位可能とされた弁体と、
該流体通路内において該筒状本体と該弁体との間に配置された、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコイルバネと、
を備える弁付流路部材。
【請求項7】
互いに連結される雄型継手及び雌型継手を備え、
該雄型継手と該雌型継手とのうちの一方が請求項6に記載の弁付流路部材であり、
該雄型継手と該雌型継手とが互いに連結されたときに、該弁体が該雄型継手と該雌型継手とのうちの他方によって押されて該開放位置となるようにされた、管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体により流体通路を開閉するようにした管継手、及び該管継手において弁体を閉止位置に向かって付勢するためのコイルバネに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、この種の管継手は互いに着脱可能に連結される雄型継手と雌型継手とからなり、それらが互いに連結されると、雄型継手に設けられている弁体が雌型継手によって押されて開放され、当該管継手内を流体が流通するのを可能とするように構成されている。具体的には、雄型継手の流体通路内には、弁体と、弁体を流体通路の周壁に設けた弁座に押圧して流体通路を閉止するように付勢するコイルバネとが設けられている。また、雌型継手は弁体押圧部を有し、連結されたときに弁体押圧部により弁体を開放位置にまで押圧するようになっている。このような管継手において弁体が開放位置にあるときに流体が雌型継手側から雄型継手側に向かって流れると、弁体はコイルバネの側への流体圧を受ける。弁体が受ける流体圧が大きくなると、弁体はコイルバネをさらに圧縮しながら変位する。このときにコイルバネに加わる負荷が大きくなりすぎるとコイルバネが塑性変形するなどして、管継手の連結を解除したときに弁体を閉止位置にまで適切に付勢できなくなることがある。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1においては、コイルバネの弁支持部と伸縮部との間に連結部を設けて弁支持部が連結部を介して伸縮部に支持されるようにしている。具体的には、連結部が、コイルバネの長手軸線の方向から見て、伸縮部から伸縮部と重なるように湾曲し、そこから弁支持部と重なるように直線状に延在し、さらに伸縮部と重なるように湾曲して弁支持部にまで至るようになっている。そのため、コイルバネが圧縮されたときに、弁支持部が連結部の直線状部分に当接し、直線状部分の両側の湾曲した部分が伸縮部に当接して、弁支持部が連結部を介して伸縮部に支持されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/175832号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイルバネは、通常、圧縮されると径方向に僅かに広がって外径が大きくなる。上述の特許文献1に開示のコイルバネにおいても、伸縮部は圧縮されると外径が大きくなり、その状態でコイルバネに過大な負荷が作用すると、連結部が拡径した伸縮部の内側に押し込まれてしまうことがある。一旦、連結部が伸縮部の内側にまで変形すると、連結部が伸縮部に引っ掛かって元の位置にまで戻れなくなり、管継手の連結を解除しても弁体を閉止位置にまで適切に付勢することができなくなる虞がある。
【0006】
そこで本発明は、大きな負荷が加わった場合でも、弁支持部と伸縮部との間の連結部が伸縮部の内側にまで変形することをより確実に防止できるようにしたコイルバネ、並びにそのようなコイルバネにより弁体を付勢するようにした弁付流路部材及び管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、
流体通路内に配置され、該流体通路内で該流体通路の長手軸線の方向で変位可能とされた弁体を、該流体通路を開放する開放位置から該流体通路を閉止する閉止位置に向かって付勢するためのコイルバネであって、
弁体を支持する弁支持部と、
流体通路の内周面に固定される固定部と、
該固定部から該弁支持部に向かって延在し、該弁体が該閉止位置と該開放位置との間で変位したときに該長手軸線の方向で伸縮するように複数回巻かれた伸縮部と、
該伸縮部のうちの該弁支持部側の端部にある端部巻部と該弁支持部との間に延在する連結部と、
を備え、
該弁支持部が該長手軸線の方向から見て該伸縮部と同心状にされて該伸縮部よりも小径とされた支持巻部を有しており、
該連結部が、該長手軸線の方向から見て、該端部巻部から該端部巻部と少なくとも部分的に重なりながら該端部巻部よりも径方向外側を通るように湾曲して延びる第1部分と、該第1部分に続いて径方向内側に延び、該弁支持部を通過して延在する第2部分と、該第2部分に続いて該端部巻部と該第1部分とのうちの少なくとも一方と重なるように湾曲して延びる第3部分と、該第3部分に続いて径方向内側に向かって該弁支持部の該支持巻部にまで延びる第4部分と、を有するようにされた、コイルバネを提供する。
【0008】
当該コイルバネにおいては、弁体が大きく変位して固定部と弁支持部との間で大きく圧縮されたときに、弁支持部が第1乃至第4部分からなる連結部によって伸縮部に対して支持される。具体的には、弁支持部は第2部分によって直接支持され、第2部分がその両側にある第1部分及び第3部分によって伸縮部に対して支持される。また、第1部分は伸縮部の端部巻部よりも径方向外側を通るように湾曲して延びている。そのため、コイルバネが大きく圧縮された場合に連結部が伸縮部の内側に入り込んでしまうことを、上述の従来のものに比べてより確実に防止することが可能となる。これにより、弁支持部や連結部が伸縮部の内側にまで大きく変位するなどして塑性変形したり伸縮部に引っ掛かったりして、コイルバネが弁部材を閉止位置とする元の形状に戻れなくなることを防止することが可能となる。
【0009】
具体的には、該伸縮部が、該固定部から該端部巻部まで該長手軸線に沿って略同一の外径を有するように複数回巻かれた同径部を有し、該端部巻部が、該長手軸線の方向で見て該同径部と少なくとも部分的に重なりながら該同径部よりも小さい外径を有するように巻かれているようにすることができる。
【0010】
また、該連結部の該第1部分が、該長手軸線の方向で見て、該伸縮部の該同径部と径方向で略同じ位置を通るように湾曲しているようにすることができる。
【0011】
さらには、該連結部の該第2部分が、該長手軸線の方向で見て、該弁支持部の該支持巻部の中心を通って該弁支持部を径方向に横断するように延在しているようにすることができる。
【0012】
このような構成により、弁支持部をより安定して支持することが可能となる。
【0013】
また、該伸縮部が圧縮されていない状態において、該第1部分が該伸縮部の該端部巻部に当接し、該第2部分が該弁支持部の該支持巻部に当接し、該第3部分が該端部巻部と第1部分とのうちの該少なくとも一方に当接しているようにすることができる。
【0014】
また本発明は、
流体通路を有する筒状本体と、
該流体通路内に配置され、該流体通路を開放する開放位置と該流体通路を閉止する閉止位置との間で該流体通路の長手軸線の方向で変位可能とされた弁体と、
該流体通路内において該筒状本体と該弁体との間に配置された、上述のコイルバネと、
を備える弁付流路部材を提供する。
【0015】
さらに本発明は、
互いに連結される雄型継手及び雌型継手を備え、
該雄型継手と該雌型継手とのうちの一方が上述の弁付流路部材であり、
該雄型継手と該雌型継手とが互いに連結されたときに、該弁体が該雄型継手と該雌型継手とのうちの他方によって押されて該開放位置となるようにされた、管継手を提供する。
【0016】
以下、本発明に係る管継手の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る管継手の雄型継手の側面断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る管継手の雌型継手の側面断面図である。
図3図1の雄型継手と図2の雌型継手とが連結された状態と示す側面断面図である。
図4図1の雄型継手に用いられるコイルバネの側面図である。
図5図4のコイルバネの前面図である。ただし、固定部は省略してある。
図6図4のコイルバネの斜視図である。ただし、固定部は省略してある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る管継手1は、図1に示す雄型継手10(弁付流路部材)と図2に示す雌型継手30とからなり、これら雄型継手10と雌型継手30は図3に示すように着脱可能に連結される。
【0019】
雄型継手10は、流体通路12を有する筒状本体14と、流体通路12内に配置された弁体16と、流体通路12内において筒状本体14と弁体16との間に配置されたコイルバネ18とを備える。弁体16には、ゴム製のシールリング20が取り付けられている。弁体16は、シールリング20が筒状本体14の弁座部22に密封係合して流体通路12を閉止する閉止位置(図1)と、閉止位置から流体通路12の長手軸線Lの方向で後退して(図で見て右方に変位して)流体通路12を開放する開放位置(図3)との間で変位可能となっている。コイルバネ18は弁体16を閉止位置に向かって付勢している。
【0020】
雌型継手30は、流体通路32を有する筒状本体34と、流体通路32の内周面32a上を摺動するスライド弁体36と、スライド弁体36を付勢するコイルバネ38とを備える。筒状本体34は、流体通路32の中央を長手軸線Mの方向に延びる中央部40を有し、中央部40にはスライド弁体36のシール部材42が密封係合する弁座面44が設けられている。コイルバネ38は、シール部材42が弁座面44に押し付けられるようにスライド弁体36を付勢している。また雌型継手30は、雄型継手10を連結状態に保持するための施錠子46とスリーブ48とを備えている。
【0021】
雄型継手10のコイルバネ18は、図4に示すように、断面円形の細長い線材を螺旋状に複数回巻いて形成されている。コイルバネ18は、弁体16を支持する弁支持部50と、流体通路12の内周面12aに固定される固定部52と、固定部52から弁支持部50に向かって延在する伸縮部54と、伸縮部54と弁支持部50との間に延在する連結部56とを有する。固定部52は、線材をおよそ1回巻いて形成された嵌合部52aと、嵌合部52aに連接して嵌合部52aよりもやや小さい直径で且つ長手軸線Lの方向に隣接するようにおよそ2回巻いて形成された係止部52bとを有する。伸縮部54は、係止部52bに連接して長手軸線Lの方向で間隔をあけながらおよそ6回巻いて形成されており、係止部52bよりも僅かに小さい直径を有している。より詳細には、伸縮部54は、係止部52bから長手軸線Lに沿って略同一の外径を有するようにおよそ5回巻かれた同径部54aと、弁支持部50側の端部において同径部54aよりも小さい外径を有するようにおよそ1回巻かれた端部巻部54bとからなっている。弁支持部50は、伸縮部54と同心状に位置して伸縮部54よりも小径に巻かれた支持巻部50aにより構成されている。連結部56は、図5及び図6に示すように、伸縮部54の端部巻部54bから弁支持部50にまで順に続いて延びる、第1部分56a、第2部分56b、第3部分56c、及び第4部分56dからなる。第1部分56aは、長手軸線Lの方向から見て、端部巻部54bと部分的に重なりながら、同径部54aと径方向で同じ位置を通るように湾曲している。上述の通り端部巻部54bは同径部54aよりも小さい外径を有しているため、第1部分56aは端部巻部54bよりも径方向外側を通るように湾曲して延びている。第2部分56bは、第1部分56aに続いて径方向内側に直線状に延び、弁支持部50の支持巻部50aの中心を通って弁支持部50を径方向に横断するように延びている。第3部分56cは、第2部分56bに続いて第1部分56aと重なるように湾曲して延びている。第4部分56dは、第3部分56cに続いて径方向内側に向かって弁支持部50にまで直線状に延びている。コイルバネ18に負荷が加わっておらず伸縮部54が圧縮されていない状態において、第1部分56aは伸縮部54の端部巻部54bに当接し、第2部分56bは弁支持部50に当接し、第3部分56cは第1部分56aに当接している。このような構成により、弁支持部50は、連結部56を介して伸縮部54に支持されるようになっている。
【0022】
雄型継手10の筒状本体14は、その流体通路12の内周面12aに円環状のバネ嵌合溝24を有する。コイルバネ18は、固定部52の嵌合部52aをバネ嵌合溝24に嵌合することにより筒状本体14に固定される。バネ嵌合溝24の深さは、コイルバネ18を構成する線材の直径よりも小さくなっており、嵌合部52aはバネ嵌合溝24に嵌合されたときにその一部が流体通路12の内周面12aから内側に常に突出した状態となるようになっている。また、固定部52の係止部52bは流体通路12の内周面12aに接触しており、これにより筒状本体14に対するコイルバネ18の姿勢が安定する。弁体16は、長手軸線Lの方向でコイルバネ18の側に突出した円柱状のバネ支持部16aを有する。弁体16は、コイルバネ18の弁支持部50にバネ支持部16aが挿入された状態でコイルバネ18に保持される。コイルバネ18の伸縮部54は、その外径が流体通路12の内径よりも小さくなっていて、流体通路12の内周面12aとの間に隙間が形成されるようになっている。
【0023】
雄型継手10を雌型継手30に挿入すると、図3に示すように、雌型継手30のスライド弁体36が雄型継手10の筒状本体14によって図で見て左方に押されて、雌型継手30の流体通路32が開放される。また、雄型継手10の弁体16が雌型継手30の中央部40の弁体押圧部58によって図で見て右方に押されて開放位置となり、雄型継手10の流体通路12も開放される。このとき雌型継手30の施錠子46は雄型継手10の施錠子係合溝26に係合した状態でスリーブ48によって径方向外側から保持される。これにより、雄型継手10と雌型継手30とが互いに連結された状態が維持される。
【0024】
図3の連結状態とするときに、弁体16が閉止位置から開放位置に変位することによりコイルバネ18の伸縮部54が長手軸線Lの方向で圧縮される。また、弁支持部50は、連結部56の第2部分56bによって支持され、第2部分56bはその両側の第1部分56a及び第3部分56cによって伸縮部54に対して支持される。すなわち、弁支持部50は連結部56を介して伸縮部54に対して支持されている。
【0025】
連結状態において、雌型継手30の側から雄型継手10の側に流体が流れると、弁体16には下流側に向かう流体圧が作用する。この流体圧が大きくなってコイルバネ18の付勢力を超えると、弁体16はコイルバネ18の伸縮部54をさらに圧縮させながら変位する。このときに弁支持部50と伸縮部54との間には大きな負荷が加わるが弁支持部50は上述のような構成を有する連結部56によって強固に支持されているため、伸縮部54の内側にまで変位してしまうことがない。具体的には、弁支持部50は、長手軸線Lの方向で見て、その中心を通過する第2部分56bによって支持されているため、弁支持部50が長手軸線Lに対して傾く方向への力が作用しにくい。また、弁支持部50を直接支持する第2部分56bは、その両端で第1部分56a及び第3部分56cによって伸縮部54に支持されるため、第2部分56bが傾いてしまうことも生じにくい。さらには、伸縮部54は圧縮されたときに僅かにその直径が大きくなるが、連結部56の第1部分56aは伸縮部54の端部巻部54bよりも径方向外側を通るように湾曲しているため、第1部分56aが伸縮部54の内側に入り込んで端部巻部54bを超えた位置にまで変位することも生じにくい。すなわち当該コイルバネ18は、弁体16に過大な力が作用した場合でも、弁支持部50が伸縮部54の内側にまで変位したり、連結部56の特に第1部分56aが伸縮部54の端部巻部54bを超えて変位することによって端部巻部54bに引っ掛かって元の位置にまで戻れなくなってしまったりすることが防止される。そのため、このようなコイルバネ18を用いた管継手1においては、従来のものに比べて、弁体16に過大な力が作用した後に連結を解除した際に弁体16が閉止位置にまで戻らなくなることをより確実に防止することが可能となる。
【0026】
以上に本発明の実施形態について説明をしたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、伸縮部の全体が同一の直径を有するように巻かれ、連結部の第1部分が伸縮部よりも径方向外側を通って湾曲するようになっていても良い。連結部の第3部分は、連結部の第1部分では無く伸縮部の端部巻部と重なるように湾曲して延びるようにしてもよいし、端部巻部と第1部分の両方と重なるようにしてもよい。また、図4乃至図6に示すコイルバネは、雌型継手において用いることもできるし、例えば逆止弁機能を有する配管部材のような、管継手以外の弁付流路部材において用いることもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 管継手
10 雄型継手(弁付流路部材)
12 流体通路
12a 内周面
14 筒状本体
16 弁体
16a バネ支持部
18 コイルバネ
20 シールリング
22 弁座部
24 バネ嵌合溝
26 施錠子係合溝
30 雌型継手
32 流体通路
32a 内周面
34 筒状本体
36 スライド弁体
38 コイルバネ
40 中央部
42 シール部材
44 弁座面
46 施錠子
48 スリーブ
50 弁支持部
50a 支持巻部
52 固定部
52a 嵌合部
52b 係止部
54 伸縮部
54a 同径部
54b 端部巻部
56 連結部
56a 第1部分
56b 第2部分
56c 第3部分
56d 第4部分
58 弁体押圧部
L 長手軸線
M 長手軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6