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特許7087123単価算出装置、単価算出方法および単価算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】単価算出装置、単価算出方法および単価算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220613BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20220613BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
G06Q30/02 490
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021007280
(22)【出願日】2021-01-20
(62)【分割の表示】P 2017018889の分割
【原出願日】2017-02-03
(65)【公開番号】P2021061070
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 英晴
(72)【発明者】
【氏名】中島 和弘
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 邦明
【審査官】田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-262282(JP,A)
【文献】特開2016-219066(JP,A)
【文献】特開2008-293187(JP,A)
【文献】特開平2-282861(JP,A)
【文献】国際公開第2013/027430(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える単価算出装置であって、
前記記憶部には、
商品識別データを含む商品マスタと、
資産管理上の集約単位を特定するためのグループ識別データを含み、前記商品マスタと紐づくグループマスタと、
が格納されており、
前記グループ識別データは、前記商品識別データで特定される商品についての金額または在庫量を、商品の品種単位と品番単位のどちらの集約単位で集約するかを特定するデータであり、
前記制御部は、
商品識別データならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額および在庫量を含む在庫データおよび原価明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記原価明細データに含まれる金額を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する金額集約手段と、
前記在庫データおよび前記原価明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記原価明細データに含まれる在庫量を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する在庫量集約手段と、
所定の単価計算法に従い、前記集約した金額を前記集約した在庫量で除することにより、品種単位または品番単位での商品単価を算出する単価算出手段と、
を備えること、
を特徴とする単価算出装置。
【請求項2】
前記原価明細データは、前記商品識別データで特定される商品の受け入れに関する明細データである受入明細データに基づいて生成されたものであること、
を特徴とする請求項1に記載の単価算出装置。
【請求項3】
前記受入明細データが、仕入明細データであること、
を特徴とする請求項2に記載の単価算出装置。
【請求項4】
前記所定の単価計算法が、総平均法であること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の単価算出装置。
【請求項5】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される単価算出方法であって、
前記記憶部には、
商品識別データを含む商品マスタと、
資産管理上の集約単位を特定するためのグループ識別データを含み、前記商品マスタと紐づくグループマスタと、
が格納されており、
前記グループ識別データは、前記商品識別データで特定される商品についての金額または在庫量を、商品の品種単位と品番単位のどちらの集約単位で集約するかを特定するデータであり、
前記制御部で実行される、
商品識別データならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額および在庫量を含む在庫データおよび原価明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記原価明細データに含まれる金額を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する金額集約ステップと、
前記在庫データおよび前記原価明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記原価明細データに含まれる在庫量を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する在庫量集約ステップと、
所定の単価計算法に従い、前記集約した金額を前記集約した在庫量で除することにより、品種単位または品番単位での商品単価を算出する単価算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする単価算出方法。
【請求項6】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための単価算出プログラムであって、
前記記憶部には、
商品識別データを含む商品マスタと、
資産管理上の集約単位を特定するためのグループ識別データを含み、前記商品マスタと紐づくグループマスタと、
が格納されており、
前記グループ識別データは、前記商品識別データで特定される商品についての金額または在庫量を、商品の品種単位と品番単位のどちらの集約単位で集約するかを特定するデータであり、
前記制御部に実行させるための、
商品識別データならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額および在庫量を含む在庫データおよび原価明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記原価明細データに含まれる金額を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する金額集約ステップと、
前記在庫データおよび前記原価明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記原価明細データに含まれる在庫量を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する在庫量集約ステップと、
所定の単価計算法に従い、前記集約した金額を前記集約した在庫量で除することにより、品種単位または品番単位での商品単価を算出する単価算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする単価算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単価算出装置、単価算出方法および単価算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入庫情報をもとに入庫履歴情報に追加および原価管理情報を更新し、出庫情報をもとに入庫履歴情報を更新、出庫履歴情報に追加および原価管理情報を更新し、平均原価を算出および引き当てた入庫額から原価を算出し、更にこれらの情報をもとに資産額の複数の評価方法による資産額を算出してソートしてそのリストを表示し、より有利な原価算出および資産額の評価方法を提示することを目的とした発明が開示されている(0006段落等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-262282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような資産額の算出の分野においては、物流管理上の集約単位と資産管理上の集約単位とが異なる場合が多い。例えば、Tシャツの場合、物流管理においては、サイズ単位という集約単位を用いて、「Sサイズ15枚で在庫金額16,000円、Mサイズ8枚で在庫金額9,000円、Lサイズ5枚で在庫金額5,000円」という管理を行うことが多い。一方で、資産管理においては、品種単位または品番単位という集約単位を用いて、「全サイズ合わせて28枚で在庫金額30,000円であるため、1枚あたりの単価は1,071円」という様に算出して管理を行うことが多い。
【0005】
このように、物流管理における在庫情報を基にして、資産管理上の単価1,071円を算出するのは、従来、経理担当等が手作業で行っており、大変な時間と労力を要していた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、物流管理における在庫情報を基にして、資産管理上の集約単位である品種単位または品番単位での商品単価を算出できる単価算出装置、単価算出方法および単価算出プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る単価算出装置は、制御部および記憶部を備える単価算出装置であって、前記記憶部には、商品識別データを含む商品マスタと、資産管理上の集約単位を特定するためのグループ識別データを含み、前記商品マスタと紐づくグループマスタと、が格納されており、前記グループ識別データは、前記商品識別データで特定される商品についての金額または在庫量を、商品の品種単位と品番単位のどちらの集約単位で集約するかを特定するデータであり、前記制御部は、商品識別データならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額および在庫量を含む在庫データおよび明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる金額を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する金額集約手段と、前記在庫データおよび前記明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる在庫量を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する在庫量集約手段と、所定の単価計算法に従い、前記集約した金額を前記集約した在庫量で除することにより、品種単位または品番単位での商品単価を算出する単価算出手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る単価算出装置は、前記所定の単価計算法が、総平均法であること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る単価算出方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される単価算出方法であって、前記記憶部には、商品識別データを含む商品マスタと、資産管理上の集約単位を特定するためのグループ識別データを含み、前記商品マスタと紐づくグループマスタと、が格納されており、前記グループ識別データは、前記商品識別データで特定される商品についての金額または在庫量を、商品の品種単位と品番単位のどちらの集約単位で集約するかを特定するデータであり、前記制御部で実行される、商品識別データならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額および在庫量を含む在庫データおよび明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる金額を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する金額集約ステップと、前記在庫データおよび前記明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる在庫量を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する在庫量集約ステップと、所定の単価計算法に従い、前記集約した金額を前記集約した在庫量で除することにより、品種単位または品番単位での商品単価を算出する単価算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る単価算出プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための単価算出プログラムであって、前記記憶部には、商品識別データを含む商品マスタと、資産管理上の集約単位を特定するためのグループ識別データを含み、前記商品マスタと紐づくグループマスタと、が格納されており、前記グループ識別データは、前記商品識別データで特定される商品についての金額または在庫量を、商品の品種単位と品番単位のどちらの集約単位で集約するかを特定するデータであり、前記制御部に実行させるための、商品識別データならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額および在庫量を含む在庫データおよび明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる金額を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する金額集約ステップと、前記在庫データおよび前記明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる在庫量を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する在庫量集約ステップと、所定の単価計算法に従い、前記集約した金額を前記集約した在庫量で除することにより、品種単位または品番単位での商品単価を算出する単価算出ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物流管理における在庫情報を基にして、資産管理上の集約単位である品種単位または品番単位での商品単価を算出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、単価算出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、集約単位の階層の一例を示す図である。
図3図3は、アパレル商品における、集約単位の階層の一例を示す図である。
図4図4は、鋼材における、集約単位の階層の一例を示す図である。
図5図5は、品種マスタ、品番マスタおよび商品マスタの一例を示す図である。
図6図6は、商品単価の算出の仕方の一例を示す図である。
図7図7は、商品単位での商品単価の算出の仕方の一例を示す図である。
図8図8は、品番単位での商品単価の算出の仕方の一例を示す図である。
図9図9は、品番単位での商品単価の算出の仕方の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る単価算出装置、単価算出方法および単価算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.概要]
アパレル小売業界、鋼材卸売業界等においては、物流管理上の集約単位と資産管理上の集約単位とが異なることが多い。例えば、Tシャツの場合、物流管理においては、サイズ単位という集約単位を用いて、図6および図7に示すように、「Sサイズの商品AA-1については、9月1日時点での残数10枚+9月10日の仕入数5枚=15枚で在庫金額16,000円、Mサイズの商品AA-2については、9月1日時点での残数3枚+9月10日の仕入数5枚=8枚で在庫金額9,000円、Lサイズの商品AA-2については、9月1日時点での残数5枚+9月10日の仕入数0枚=5枚で在庫金額5,000円」という管理を行うことが多い。一方で、資産管理においては、品種単位または品番単位という集約単位を用いて、図6の右下の枠内に示すように、「全サイズ合わせて28枚で30,000円であるため、1枚あたりの単価は1,071円」という様に算出して管理を行うことが多い。
【0015】
この場合、経理側に対しては、システムやエクセルにより物流管理上の在庫単価の情報を連携し、資産管理上の在庫単価を経理側で計算し、その結果を経理側から受け取る必要があった。または、物流管理上の単位を資産管理上の単位に合わせていた。しかしながら、前者の場合、経理側との連携のカスタマイズの必要性や経理側の作業負荷の増大が生じてしまう。また、後者の場合、物流管理上の単位を用いないため、摘要欄等を用いて在庫の調達・出荷をせざるを得なくなるため、現場業務とシステム運用とが著しく乖離してしまう。
【0016】
このように、業界・業種によっては、異なる商品を会計上は同一の資産として取り扱うというパターンがある。そこで、本実施形態においては、商品管理階層単位で集約した在庫評価単価計算を行い、これにより、資産上の数量・棚卸資産の有り高を管理できる仕組みを開発した。
【0017】
前記仕組みにより、アパレル小売業のように、同一モデル内のサイズ・色違いのアパレル品を物流管理上は別物として管理しつつ、棚卸資産上は1つのモデルに集約して在庫数や単価を管理するケースに対応可能となった。また、鋼材卸売業のように、物流管理上は厚み・幅・長さ等の寸法別に物流管理を行い、棚卸資産上は寸法違いであっても材質・形状ごとに集約して在庫重量や単価を管理するケースに対応可能となった。
【0018】
また、前記仕組みにより、補助簿側の在庫管理の中で、物流在庫と経理在庫(棚卸資産)をそれぞれ捉えることが可能となり、予めマスタ設定をするのみで、経理在庫をリアルタイムに近い状態で把握することができるようになった。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0019】
[2.構成]
本実施形態に係る単価算出装置100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、単価算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
単価算出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、単価算出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0021】
単価算出装置100は、図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。単価算出装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0022】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、単価算出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、単価算出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0023】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114を、表示部としてのモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0025】
記憶部106は、グループマスタとしての品種マスタ106aと、品番マスタ106bと、商品マスタ106cと、在庫データ106dと、明細データ106eと、を備えている。これらのうち、品番マスタ106bは、任意の構成要素であり、記憶部106に含まれていても含まれていなくてもよい。以下、各マスタおよび各データが含む項目について説明する。
【0026】
なお、以下の説明において、各項目の後ろに示すかっこ内の表記は、各項目の具体例のことである。例えば、商品識別データ(商品名または商品コード)と記載した場合には、商品識別データの具体例として、商品名または商品コードがあげられることを意味し、図では、この具体例を示している。
【0027】
品種マスタ106aは、図5に示すように、資産管理上の集約単位を特定するための在庫評価集計区分を含み、前記商品マスタと直接的または間接的に紐づく。
【0028】
前記集約単位は、商品の品種単位、品番単位および商品単位のいずれか1つの階層であり、図2に示すように、品種単位が上位階層、品番単位が中位階層、商品単位が下位階層である。例えば、商品がアパレル商品である場合には、図3に示すように、品種単位とは、「Tシャツ」「財布」の上位階層を意味し、更に、品種単位が「Tシャツ」の場合、品番単位とは、「メーカーA 2016冬モデル」「メーカーB 2016冬モデル」の中位階層を意味し、更に、品番単位が「メーカーA 2016冬モデル」の場合、商品単位とは、「メーカーA 2016冬モデルBL LL」「メーカーA 2016冬モデルRD S」の下位階層を意味する。また、例えば、商品が鋼材である場合には、図4に示すように、品種単位とは、「H型鋼」「鋼矢板」「定尺異形鋼」の上位階層を意味し、更に、品種単位が「H型鋼」の場合、商品単位は、「H200×200」「H250×250」「H300×300」の下位階層を意味する(なお、商品が鋼材である場合には、品番単位は存在しない)。
【0029】
前記在庫評価集計区分は、商品マスタ106cに含まれる商品識別データで特定される商品についての金額または在庫量を、品種単位、品番単位、商品単位のどの集約単位で集約するかを特定するデータである。品種単位を指定するデータおよび品番単位を指定するデータは、まとめて、グループ識別データということができる。なお、商品についての金額または在庫量の集約をどの集約単位で行うかということは、業界の種類や商品の種類により異なり、具体的には、図3および図4において、「原価・棚卸資産はこの単位で認識したい」に付されているハッチングの集約単位で、商品についての金額または在庫量の集約を行う。例えば、商品がTシャツである場合、図3に示すように、「メーカーA 2016冬モデル」「メーカーB 2016冬モデル」という中位階層(すなわち、品番単位)で集約を行うこととなる。
【0030】
品種マスタ106aは、更に、例えば、品種識別データ(品種コード)、在庫管理単位コード等を含んでいてもよい。前記在庫管理単位コードは、商品マスタ106cに含まれる商品識別データで特定される商品についての在庫量を集約する際の単位を特定するデータである。例えば、前記商品がアパレル商品である場合には、前記単位を、個数を表す「個」「枚」等とできる。また、前記商品が鋼材である場合には、前記単位を、重量を表す「kg(キログラム)」「t(トン)」等として、資産管理上は共通指標である共通重量で統一することにより、同一品種で異なる形状の鋼材を集約した原価管理が可能となる。
【0031】
品番マスタ106bは、例えば、品番識別データ(品番コード)等を含み、図5に示すように、品種マスタ106aと商品マスタ106cとを間接的に紐づける役割を果たす。なお、前述のとおり、品番マスタ106bは任意の構成要素であり、品番マスタ106bが存在しない場合、品種マスタ106aと商品マスタ106cとは直接的に紐づく。
【0032】
商品マスタ106cは、商品識別データ(商品名または商品コード)を含み、図5に示すように、品種マスタ106aと直接的または間接的に紐づく。
【0033】
在庫データ106dは、商品についての在庫情報を管理するためのデータであり、図9に示すように、商品識別データ(図9では商品名)ならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額(図9では前月金額)および在庫量(図9では前月残数)を含む。なお、前記在庫量は、図9の例のように商品がアパレル商品である場合には、在庫数量となるが、これには限定されず、例えば、商品が鋼材である場合には、在庫重量であってもよい。
【0034】
明細データ106eは、商品についての明細情報を管理するためのデータであり、図9に示すように、商品識別データ(図9では商品名)ならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額(図9では金額)および在庫量(図9では数量)を含む。なお、前記在庫量は、前段落の説明と同様、在庫数量に限定されず、例えば、在庫重量であってもよい。
【0035】
制御部102は、単価算出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0036】
制御部102は、機能概念的に、(1)商品識別データならびに前記商品識別データで特定される商品についての金額および在庫量を含む在庫データおよび明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる金額を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する金額集約手段としての金額集約部102aと、(2)前記在庫データおよび前記明細データに基づいて、前記商品マスタに含まれる商品識別データと紐づく、前記在庫データおよび前記明細データに含まれる在庫量を、前記グループ識別データにより特定される集約単位で集約する在庫量集約手段としての在庫量集約部102bと、(3)所定の単価計算法に従い、前記集約した金額を前記集約した在庫量で除することにより、品種単位または品番単位での商品単価を算出する単価算出手段としての単価算出部102cと、を備えている。なお、各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]で説明する。
【0037】
[3.処理の具体例]
以下、本実施形態に係る処理の具体例について、主に図9を用いて説明する。本項目においては、同一の品番AAに属する3つの商品、商品AA-1、商品AA-2、商品AA-3が商品マスタ106cに含まれており、これら3つの商品について、所定の単価計算法に従い、品番単位で商品単価を算出する場面を想定している。なお、前記所定の単価計算法は多数存在し、特に限定されないが、本項目においては、採用社数の多い総平均法を用いる場合について説明する。
【0038】
総平均法の計算式は以下のとおりである。商品単価=(当期繰越在庫金額+当期発生資産取得価額)/(当期繰越資産在庫数+当期発生取得資産数)である。以下、前記計算式の分子についてまず説明し、次に、分母について説明し、最後に分子/分母について説明する。
【0039】
[3-1.分子(当期繰越在庫金額+当期発生資産取得価額)の算出について]
金額集約部102aは、在庫データ106dおよび明細データ106eに基づいて、商品マスタ106cに含まれる商品識別データと紐づく、在庫データ106dおよび明細データ106eに含まれる金額を、グループ識別データにより特定される集約単位(品番単位)で集約する。
【0040】
まず、当期繰越在庫金額の算出について具体的に説明する。当期繰越在庫金額は、図9の在庫データ106dを参照して、算出できる。商品マスタ106cに含まれる商品識別データ商品AA-1、商品AA-2、商品AA-3と紐づく金額は、在庫データ106dを参照すると、それぞれ、前月金額の10,000円、3,000円,5,000円である。金額集約部102aは、これらの金額を集約し、品番AAについての当期繰越在庫金額を、10,000円+3,000円+5,000円=18,000円と算出する。
【0041】
なお、算出した品番AAについての当期繰越在庫金額18,000円は、図8の資産在庫データとして一旦保存してもよい。図8は、資産在庫データ内では物流単位を無視し、資産単位で集計をしている例であり、品番別評価を採用している。物流上の仕入データを原価明細データに品種マスタの在庫評価集計区分を参照し資産情報を付与する。品種別評価であれば資産品種のエリア、商品別評価でれば資産商品のエリアが使用される仕組みである。付与された資産管理上の単位をもって集計し、適切な単位で評価が算出されるようなデータを、物流管理とは別に持つ。
【0042】
次に、当期発生資産取得価額の算出について具体的に説明する。当期発生資産取得価額は、図9の明細データ106eを参照して、算出できる。商品マスタ106cに含まれる商品識別データ商品AA-1、商品AA-2、商品AA-3と紐づく金額は、明細データ106eを参照すると、商品AA-1の金額の6,000円、商品AA-2の金額の6,000円である。金額集約部102aは、これらの金額を集約し、品番AAについての当期発生資産取得価額を、6,000円+6,000円=12,000円と算出する。
【0043】
以上集約した金額を加算することにより、金額集約部102aは、品番AAについての(当期繰越在庫金額+当期発生資産取得価額)=18,000円+12,000円=30,000円と算出する。
【0044】
[3-2.分母(当期繰越資産在庫数+当期発生取得資産数)の算出について]
在庫量集約部102bは、在庫データ106dおよび明細データ106eに基づいて、商品マスタ106cに含まれる商品識別データと紐づく、在庫データ106dおよび明細データ106eに含まれる在庫量を、グループ識別データにより特定される集約単位(品番単位)で集約する。
【0045】
まず、当期繰越資産在庫数の算出について具体的に説明する。当期繰越資産在庫数は、図9の在庫データ106dを参照して、算出できる。商品マスタ106cに含まれる商品識別データ商品AA-1、商品AA-2、商品AA-3と紐づく在庫量は、在庫データ106dを参照すると、それぞれ、前月残数の10枚、3枚、5枚である。在庫量集約部102bは、これらの在庫量を集約し、品番AAについての当期繰越資産在庫数を、10枚+3枚+5枚=18枚と算出する。なお、算出した品番AAについての当期繰越資産在庫数18枚は、図8の資産在庫データとして一旦保存してもよい。
【0046】
次に、当期発生取得資産数の算出について具体的に説明する。当期発生取得資産数は、図9の明細データ106eを参照して、算出できる。商品マスタ106cに含まれる商品識別データ商品AA-1、商品AA-2、商品AA-3と紐づく在庫量は、明細データ106eを参照すると、商品AA-1の数量の5枚、商品AA-2の数量の5枚である。在庫量集約部102bは、これらの在庫量を集約し、品番AAについての当期発生取得資産数を、5枚+5枚=10枚と算出する。
【0047】
以上集約した在庫量を加算することにより、在庫量集約部102bは、品番AAについての(当期繰越資産在庫数+当期発生取得資産数)=18枚+10枚=28枚と算出する。
【0048】
[3-3.分子/分母の算出について]
単価算出部102cは、前記集約した金額(30,000円)を前記集約した在庫量(28枚)で除することにより、品番単位(品番AA)での商品単価を、30,000円÷28枚≒1,071.43円(小数第三位を四捨五入)と算出する。
【0049】
なお、図9の月別在庫データ(当月分)に示すように、当月金額は、当月残数×当月単価により算出できる。このため、当月金額は、商品AA-1は16,071円、商品AA-2は8,571円、商品AA-3は5,357円となるが、これだと、3商品の合計額は29,999円となってしまう。そこで、前記[3-1.]の項目で算出した資産在庫上の30,000円と合わせるために、最大の当月金額である16,071円には1円を足し、16,072円に調整する。このように、資産在庫で求めた評価単価・資産金額をもとに物流データ上の金額を洗替できる。
【0050】
このように、本実施形態に係る単価算出装置100によれば、物流管理における在庫情報を基にして、資産管理上の集約単位である品種単位または品番単位での商品単価を算出できる。このため、例えば、物流管理上の集約単位(サイズ・カラー等)と資産管理上の集約単位(品種単位または品番単位)とが異なる場合、従来は、経理部等が品種単位または品番単位での商品単価を手作業で算出していたが、この必要がなくなり、更に、リアルタイムで迅速に品種単位または品番単位での商品単価を参照できるようになった。
【0051】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0052】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0053】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0054】
また、単価算出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0055】
例えば、単価算出装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて単価算出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0056】
また、このコンピュータプログラムは、単価算出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0057】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明したような処理又は処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0058】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0059】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0060】
また、単価算出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、単価算出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0061】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、アパレル小売業界、鋼材卸売業界(加工卸を含む)等において有用である。
【符号の説明】
【0063】
100 単価算出装置
102 制御部
102a 金額集約部
102b 在庫量集約部
102c 単価算出部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 品種マスタ
106b 品番マスタ
106c 商品マスタ
106d 在庫データ
106e 明細データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
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図9