(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】非燃焼型加熱喫煙物品用のたばこ充填物
(51)【国際特許分類】
A24B 15/16 20200101AFI20220613BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220613BHJP
A24B 15/36 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A24B15/16
A24F40/20
A24B15/36
(21)【出願番号】P 2021019453
(22)【出願日】2021-02-10
(62)【分割の表示】P 2018518911の分割
【原出願日】2016-05-27
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 信幸
(72)【発明者】
【氏名】辻 将之
(72)【発明者】
【氏名】貞苅 圭
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0345635(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344456(US,A1)
【文献】特開2014-198044(JP,A)
【文献】特表2013-523087(JP,A)
【文献】米国特許第5713376(US,A)
【文献】特表2012-528593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24F 40/20
A24B 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこ刻とエアロゾルを発生させる液体とを含む非燃焼型加熱喫煙物品用のたばこ充填物であって、
アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ヘンエイコサン酸、リグノセリン酸、オクタコサン酸、及びノナデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸を含み、
たばこ充填物中のエアロゾルを発生させる液体の含有量が、30質量%以上であることを特徴とする、たばこ充填物。
【請求項2】
前記酸の含有量が、たばこ充填物全体の0.25質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載のたばこ充填物。
【請求項3】
前記エアロゾルを発生させる液体が、プロピレングリコール(PG)を含む、請求項1又は2に記載のたばこ充填物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼型加熱喫煙物品に充填して使用する非燃焼型加熱喫煙物品用のたばこ充填物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シガレットに代わり、たばこを燃焼させることなく、香喫味を味わう非燃焼型加熱喫煙物品が開発されており、代表的なものとして、ポッド状の容器内部に香喫味成分とエアロゾルを発生させる成分を充填して使用する形態のものや先端に熱源を備えたものなどが知られている。
また、このような非燃焼型加熱喫煙物品において、充填物に酸を添加する技術も報告されている(特許文献1~3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/190079号
【文献】米国特許出願公開第2015/0020820号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0345631号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非燃焼型加熱喫煙物品を使用した喫煙においては、香喫味成分の蒸発量がシガレットと比較して不十分であったり、いわゆる「香喫味阻害感」を感じてしまったりする場合がある。
本発明は、非燃焼型加熱喫煙物品、特にたばこ刻を含んだ充填物を加熱する形態における香喫味成分の蒸発量の低下を抑制するとともに、「香喫味阻害感」を抑制することができる非燃焼型加熱喫煙物品用のたばこ充填物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、たばこ充填物に特定の条件を満たす酸を添加することによって、香喫味成分の蒸発量の低下を抑制できるとともに、「香喫味阻害感」を抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> たばこ刻とエアロゾルを発生させる液体とを含む非燃焼型加熱喫煙物品用のたば
こ充填物であって、
第一酸解離定数が4.0以上6.0以下であり、かつ沸点が366℃以上600℃以下である酸を含むことを特徴とする、たばこ充填物。
<2> 前記酸が、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ヘンエイコサン酸、リグノセ
リン酸、オクタコサン酸、及びノナデカン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、<1>に記載のたばこ充填物。
<3> 前記酸の含有量が、たばこ充填物全体の0.25質量%以上10質量%以下であ
る、<1>又は<2>に記載のたばこ充填物。
<4> 前記エアロゾルを発生させる液体が、プロピレングリコール(PG)を含む、<
1>~<3>の何れかに記載のたばこ充填物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、たばこ刻を含んだ充填物を加熱する形態の非燃焼型加熱喫煙物品において、香喫味成分の蒸発量の低下を抑制できるとともに、「香喫味阻害感」を抑制するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】非燃焼型加熱喫煙物品の例を表した断面図である。
【
図2】酸の第一酸解離定数と香喫味成分の蒸発量の関係を表したグラフである。
【
図3】第一酸解離定数が4.0以上6.0以下である酸の沸点と香喫味阻害感の関係を表したグラフである。
【
図4】第一酸解離定数が4.0以上6.0以下である酸の沸点とケミカル臭の関係を表したグラフである。
【
図5】酸の含有量と香喫味阻害感の関係を表したグラフである。
【
図6】エアロゾルを発生させる液体の種類と香喫味阻害感の関係を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0009】
<非燃焼型加熱喫煙物品用のたばこ充填物>
本発明の一態様である非燃焼型加熱喫煙物品用のたばこ充填物(以下、「本発明のたばこ充填物」と略す場合がある。)は、たばこ刻とエアロゾルを発生させる液体とを含むたばこ充填物であり、第一酸解離定数が4.0以上6.0以下、かつ沸点が366℃以上600℃以下である酸を含むことを特徴とする。
本発明者らは、非燃焼型加熱喫煙物品、特にたばこ刻を含んだ充填物を加熱する形態の喫煙物品について、種々の問題点を明らかとしている。
例えば、たばこ刻を含んだ充填物(通常、エアロゾルを発生させる液体を含む。)に酸を添加すると、香喫味成分の蒸発量が低下してしまう場合がある。これは、添加した酸がエアロゾルを発生させる液体とともにたばこ刻の内部に浸透し、たばこ刻内の香喫味成分と塩を形成してしまうためであると考えられる。加熱温度の高い非燃焼型加熱喫煙物品においては、加熱によって塩が解離したり、温度が高いことによって香喫味成分の蒸発量の低下を抑制できたりすると考えられるが、加熱温度が低い非燃焼型加熱喫煙物品においては、その影響は顕著であると考えられる。
また、非燃焼型加熱喫煙物品を使用した喫煙において、たばことは異なる刺激を受けたり、「むせ」等の生理的な自発動作が生じてしまったりする「香喫味阻害感」を感じる場合がある。これは充填物内に香喫味を阻害する成分が含まれているためであると考えられ、プロピレングリコールのような溶媒とともにこの成分が揮発して、「香喫味阻害感」を感じるものと考えられる。
本発明者らは、酸とたばこ刻中の香喫味成分による塩の形成は、酸の強さを表す第一酸解離定数(pKa1)と相関性があり、第一酸解離定数が特定の範囲である酸を選択することで塩の形成が抑制できること、さらに沸点が特定の温度以上の酸を選択することで、ケミカル臭(薬品臭さ)等を感じにくくなることを明らかとしている。即ち、「第一酸解離定数が4.0以上6.0以下、かつ沸点が366℃以上600℃以下である酸」をたばこ充填物に添加することによって、香喫味成分の蒸発量の低下を抑制できるとともに、「香喫味阻害感」を抑制することができることを見出したのである。
なお、「第一酸解離定数」とは、常温(25℃)における水への酸解離定数を意味するものとする。
また、「沸点」とは、圧力が760mmHgにおける沸点を意味するものとする。
以下、「非燃焼型加熱喫煙物品」、「たばこ刻」、「エアロゾルを発生させる液体」、「第一酸解離定数が4.0以上6.0以下であり、かつ沸点が366℃以上600℃以下である酸」等について詳細に説明する。
【0010】
本発明のたばこ充填物は、たばこ刻とエアロゾルを発生させる液体とを含む非燃焼型加熱喫煙物品用のたばこ充填物であるが、本発明のたばこ充填物を充填する非燃焼型加熱喫煙物品の具体的な構造等は、特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
非燃焼型加熱喫煙物品としては、
図1に示される非燃焼型加熱喫煙物品10のような構造を有するものが挙げられる。
図1は、円筒形の非燃焼型加熱喫煙物品10をその長手方向に切断した場合の断面図であり、バッテリー101と充填物102を入れるポッド103およびヒーター104とマウスピース105を有した構造となっている。本発明のたばこ充填物をポッド103に充填して、加熱によりエアロゾルが発生することとなる。
非燃焼型加熱喫煙物品におけるたばこ充填物の加熱温度は、通常22℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上であり、通常350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下である。たばこ充填物の加熱温度が上記範囲内である非燃焼型加熱喫煙物品であると、「香喫味阻害感」の問題が生じ易く、本発明のたばこ充填物の特性をより有効に活用することができる。
【0011】
たばこ刻の種類としては、黄色種、バーレー種、在来種、再生たばこ等が挙げられ、また使用する部位としては、葉(緩和刻)、茎、葉脈(中骨刻)、根、花等が挙げられる。
【0012】
たばこ刻の寸法は、限定されるものではないが、投影断面積を用いた測定方法(例えば、Camsizer(Retsch社)などを用いた方法)にて、球相当径が通常1.5mm以下、好ましくは0.5mm以下であり、通常0.01mm以上である。
【0013】
本発明のたばこ充填物のたばこ刻の含有量は、通常20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、香喫味成分の蒸発量の低下をより抑制し易くなるとともに、「香喫味阻害感」をより効果的に抑制することができる。
【0014】
エアロゾルを発生させる液体としては、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の多価アルコール;ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチル等のカルボン酸脂肪族エステルが挙げられる。なお、液体は1種類に限られず、2種類以上を組み合せて使用してもよい。
エアロゾルを発生させる液体は、プロピレングリコールを含むことが好ましい。プロピレングリコールは安全性が高い溶液として、食品や医療品に使用されており、沸点が低く気化しやすい性質を持つため可視煙を容易に生成することが可能である。一方、プロピレングリコールは、蒸気圧が高いため、口腔内で容易に揮発しやすい性質がある。そのため、エアロゾル中に含まれていた香喫味を阻害する成分が揮発しやすい雰囲気となり、結果「香喫味阻害感」の問題が生じ易いものと考えられる。従って、本発明のたばこ充填物の特性をより有効に活用することができる。
【0015】
本発明のたばこ充填物のエアロゾルを発生させる液体の含有量は、通常20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、香喫味成分の蒸発量の低下をより抑制し易くなるとともに、「香喫味阻害感」をより効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明のたばこ充填物は、第一酸解離定数が4.0以上6.0以下であり、かつ沸点が366℃以上600℃以下である酸(以下、「酸」と略す場合がある。)を含むことを特徴とするが、条件を満たすものであれば、具体的な酸は特に限定されず、目的に応じて公知のものを適宜採用することができる。以下、具体例を挙げて説明する。
酸の第一酸解離定数は、好ましくは4.5以上であり、好ましくは5.5以下である。
酸の沸点は、好ましくは400℃以上であり、好ましくは560℃以下である。
上記範囲内であると、「香喫味阻害感」をより効果的に抑制することができる。
【0017】
酸としては、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ヘンエイコサン酸、リグノセリン酸、オクタコサン酸、ノナデカン酸等が挙げられる。
この中でも、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸等が特に好ましい。
上記のようなものであると、香喫味成分の蒸発量の低下をより抑制し易くなるとともに、「香喫味阻害感」をより効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明のたばこ充填物の酸の含有量は、通常0.25質量%以上、好ましくは1質量%以上であり、通常10質量%以下である。上記範囲内であると、香喫味成分の蒸発量の低下をより抑制し易くなるとともに、「香喫味阻害感」をより効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明のたばこ充填物は、たばこ刻とエアロゾルを発生させる液体とを含むものであるが、通常たばこ刻に含まれる水等の成分がエアロゾルを発生させる液体に溶け出すため、本発明のたばこ充填物も水を含んでいるものと言える。
本発明のたばこ充填物の水の含有量は、たばこ充填物全体の通常5質量%以上、好ましくは7.5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、香喫味成分の蒸発量の低下より抑制し易くなるとともに、「香喫味阻害感」をより効果的に抑制することができる。
【実施例】
【0020】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
【0021】
<実施例1~6、比較例1~21:酸の第一酸解離定数及び沸点の影響>
黄色刻(日本産)100mgに対して、プロピレングリコールとグリセリンを1:1(重量比)で混合した液体を100mg添加し、表1に示す酸を組成物全体の質量換算で5質量%添加して、サンプルを作製した。なお、たばこ刻は、予め家庭用ミキサーにて粉砕した後、ふるい(AS200,Retch社製)にて条件:amplitude-1.5mm/“g”において2分間振動させて、ふるい目径0.5mm以下のものを使用した。
作製したサンプルは、日本たばこ産業株式会社から発売されている商品名「Ploom(登録商標)」専用のpodに張り付けるように設置し、2日以上22℃、湿度60%の条件で蔵置した。なお、Ploomを用いた際におけるたばこ刻の加熱温度(安定稼働時)は熱電対を用いた事前の計測により、160℃~170℃程度であることを確認している。
喫煙試験では、喫煙機(Borgwaldt,RM-26)を用いてPloomに作製したpodを装着し、規程の喫煙条件(55ml/2S、喫煙間隔30s)の下、初期10puffにおける香喫味成分の蒸発量を測定した。なお、本実験では香喫味成分として測定が容易なニコチンを成分指標として選択した。煙捕集はケンブリッジフィルターパッドを使用し、フィルターに捕集された煙をメタノール溶媒で40分間振とう抽出し、GC-FIDにてニコチンを定量した。
喫煙試験の官能評価は、4名にて実施し、「香喫味阻害感」と酸の味として「ケミカル臭」を1~7の7段階評価にて実施した。「ケミカル臭」とは、薬品臭さを指し、人が喫煙する上で好ましくない臭いである。数値が大きい程、ケミカル臭が強いことを示す。本実施例の結果において、香喫味阻害感とケミカル臭の評価値が2以下の場合、評価者にとって十分に違いを識別できる値であり、効果が優れている領域とした。評価は喫煙中に感
じた感覚にて値を記載した。
酸の物性値、香喫味成分の蒸発量、官能評価の結果をそれぞれ表1に示す。
【0022】
【0023】
酸の第一酸解離定数と香喫味成分の蒸発量の関係を表したグラフを
図2に示す。
図2より、第一酸解離定数が小さい酸は香喫味成分量が低く、酸解離定数が4.0以上となる場合、概ねほとんどの酸において、添加していない香喫味成分量と同等程度となる結果が得られた。本結果より、第一酸解離定数が4.0以上の酸を使用することで、香喫味成分の蒸発量の低下は起きないことが分かった。酸の持つpHを考慮すると第一酸解離定数は6
.0以下がほとんどであるため、理想的な範囲は第一酸解離定数が4.0以上6.0以下である。
また、第一酸解離定数が4.0以上6.0以下である酸の沸点と香喫味阻害感の関係を表したグラフを
図3に示す。沸点が366℃以上を超えるとほぼ全ての酸において、香喫味阻害感を低減できることが分かり、沸点が香喫味阻害感の低減に重要であることが分かった。
また、第一酸解離定数が4.0以上6.0以下である酸の沸点とケミカル臭の関係を表したグラフを
図4に示す。沸点が366℃以上の酸は、ケミカル臭も低くなることが分かる。なお、酸の沸点が高温すぎる場合は、加熱に伴うリリース量が少量となるため、600℃以下が好ましいと考えらえる。
以上より、酸の第一酸解離定数が4.0以上6.0以下で、沸点が366℃以上600℃以下の酸を使用することにより、香喫味成分量を維持した条件において、味や香りへの影響が少なく且つ香喫味阻害感を低減できることが分かった。
【0024】
<実施例7~12:酸の含有量の影響>
先の実施例のイソアスコルビン酸、リグノセリン酸、ノナデカン酸における酸の含有量を、5質量%から3質量%、1質量%に変更した以外は、先の実施例と同様の方法にて実施した。なお、本評価では香喫味成分の蒸発量は同等のため、香喫味阻害感に対する効果のみ着目した。
【0025】
【0026】
酸の含有量と香喫味阻害感の関係を表したグラフを
図5に示す。
図5より、含有量を1質量%まで低減させた場合も、酸の効果は高いことが確認できる。これは単純に効果の高い酸は少ない量においても効果が発揮されるためである。イソアスコルビン酸、リグノセリン酸、ノナデカン酸などの酸は沸点が高いため、加熱により蒸発し、凝縮によりエアロゾル生成した後、粒子内にとどまる性質が強く、喫煙時における口腔内での希釈においても、エアロゾル中に留まるため高い効果が得られると予想される。酸の含有量が過剰な場合、酸の持つ特徴が立ちやすくなるため、好適な含有量は10質量%以下と考えられる。
【0027】
<実施例13~16、比較例22~25:エアロゾルを発生させる液体の影響>
エアロゾルを発生させる液体を変更した以外は、先の実施例と比較例と同様の方法にて試験を実施した。本試験では、エアロゾルを発生させる液体の溶媒として、プロピレングリコールのほか、グリセリン、ジアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)を用い、酸は
ノナデカン酸を用いた。結果を
図6に示す。プロピレングリコールを用いた場合、香喫味阻害感は最も高く、他の液体では低いことが分かる。このことから、最も効果が発現しやすいエアロゾルを発生させる液体がプロピレングリコールであり、プロピレングリコールを全量または少量でも含む場合に本技術が効果的と言える。
【0028】
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のたばこ充填物は、非燃焼型加熱喫煙物品に充填して喫煙に利用することができる。