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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20220613BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20220613BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220613BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J11/00
C09J11/06
C09J11/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021080250
(22)【出願日】2021-05-11
(62)【分割の表示】P 2020146095の分割
【原出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041867
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2021-06-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】西脇 匡崇
(72)【発明者】
【氏名】伊神 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】下岡 圭吾
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-051644(JP,A)
【文献】特開2016-017113(JP,A)
【文献】特開2014-221914(JP,A)
【文献】特開2017-119809(JP,A)
【文献】特開2000-313858(JP,A)
【文献】特開2006-152192(JP,A)
【文献】特開2005-082634(JP,A)
【文献】特開2019-052255(JP,A)
【文献】特開平05-043846(JP,A)
【文献】特開平10-152658(JP,A)
【文献】特表2010-505659(JP,A)
【文献】特表2006-517874(JP,A)
【文献】特開平10-195405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子機器の部材の接合に用いられる粘着剤組成物であって、
前記粘着剤組成物は、溶剤型粘着剤組成物、ホットメルト型粘着剤組成物または活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物であり、
前記粘着剤組成物は、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーと、少なくとも2種類の着色剤と、を含み、
前記着色剤は、第1着色剤として黒色着色剤と、第2着色剤として光反射率向上成分とを含み、
前記黒色着色剤の含有量は、固形分基準で0.6重量%以下であり、
前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.001以上0.50以下であり、
軟化点が80℃以上である粘着付与樹脂を、前記ベースポリマー100重量部に対して1~20重量部含む、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記着色剤の含有量は、固形分基準で1重量%以上10重量%以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記着色剤は、前記第2着色剤としての金属酸化物含む、請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記金属酸化物の含有量は、固形分基準で1重量%以上6重量%以下である、請求項3に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
記重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)は室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する。このような性質を活かして、粘着剤は、例えば携帯電話等の携帯電子機器内における部材の接合や固定、保護等の目的で、各種用途において広く利用されている。例えば、携帯電話等の携帯電子機器における液晶表示装置のバックライトモジュール等の光源や有機EL(electroluminescence)等の自発光素子からの光漏れの防止等を目的として、遮光性粘着剤層を有する粘着シートが用いられている。また、被着体の隠蔽や、粘着シート越しの被着体外観の調整(例えば外観ムラの抑制)、意匠性等を目的として、所定の遮光性や減光性を有する粘着シートが用いられる。この種の技術に関する文献として特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-37657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような光透過性が制限された粘着シートは、粘着シートで光を吸収し、これによって光を制御している。しかし、そのような光透過性の制限された粘着シートにおいても、粘着剤に進入した光は粘着剤内で屈折し、散乱するため、より高精度の光学制御を実現することは難しい場合がある。例えば、上述した携帯電子機器等の各種機器では、機器の操作や近接物の感知、周囲の明るさ(環境光)の検知、データ通信等を目的として、赤外線や可視光、紫外線等の光線を利用した光センサが用いられている。光センサに用いられる光線の屈折や、機器外部からの光線の進入や屈折、散乱は、センサの作動精度に影響したり、センサの応答不良の原因となり得る。光透過性を制限し、かつ粘着剤に入光した光の影響を低減することができれば、遮光性や減光性と、高精度の光学制御とを両立することができ、有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、本明細書に開示される粘着剤層に含まれ得る成分の1種または2種以上を含む粘着剤組成物が提供される。上記粘着剤組成物は、携帯電子機器の部材の接合に用いられる粘着剤組成物であって、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーと、少なくとも2種類の着色剤と、を含み、前記着色剤は、第1着色剤として黒色着色剤を含み、前記黒色着色剤の含有量は、固形分基準で0.6重量%以下であり、軟化点が80℃以上である粘着付与樹脂を、前記ベースポリマー100重量部に対して1~20重量部含む粘着剤組成物である。
【0015】
ここに開示される粘着シートは、携帯電子機器の部材を接合するために好ましく用いられ得る。例えば、携帯電子機器は、光センサを内蔵するものであり得るので、ここに開示される粘着シートを用いて光学制御を行うことにより、光センサの作動への影響を低減することができる。また、上述のように携帯電子機器は、光源を有するものについては光漏れ防止が求められる。また、被着体の隠蔽や意匠性付与が求められる場合がある。そのため、ここに開示される技術を適用して、光透過性を制限しつつ、粘着剤に入光する光を抑制して光学制御を行うことが特に有意義である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】粘着シートの一構成例を模式的に示す断面図である。
図2】積層体の一構成例を模式的に示す断面図である。
図3】表示装置の構成例を模式的に示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される本発明の粘着シートのサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
【0018】
本明細書において「粘着剤」とは、前述のように、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion : Fundamental and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)であり得る。
【0019】
<粘着シートの構成例>
ここに開示される粘着シートは、非剥離性の基材(支持基材)の片面または両面に上記粘着剤層を有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、上記粘着剤層が剥離ライナーに保持された形態等の基材レスの粘着シート(すなわち、非剥離性の基材を有しない粘着シート)であってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。なお、ここに開示される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
【0020】
両面粘着タイプの基材レス粘着シート(基材レス両面粘着シート)の構成例を図1に示す。図1に示す粘着シート1は、基材レスの粘着剤層21の両面21A,21B(それぞれ粘着シート1の粘着面1A,1Bでもある。)が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有する。あるいは、粘着シートは、基材レスの粘着剤層の一方の表面(粘着面、第1粘着面)が、両面が剥離面となっている剥離ライナーにより保護された構成を有し、これを巻回すると、上記粘着剤層の他方の表面(粘着面、第2粘着面)が上記剥離ライナーの背面に当接することにより、上記粘着剤層の第2粘着面もまた剥離ライナーで保護された構成とできるようになっていてもよい。ここに開示される技術は、粘着シートの厚さを小さくする観点から、このような基材レスの形態で好ましく実施され得る。基材レスの粘着シートは、薄層化しやすく、また接着力や耐衝撃性等の粘着剤特性を最大限発揮させ得る点でも有利である。なお、粘着剤層21は、後述するように、少なくとも2種類の着色剤を含んでおり、光透過率が30%以下に制限されている。
【0021】
<粘着剤層の特性>
(光透過率)
ここに開示される粘着シートを構成する粘着剤層は、光透過率が30%以下である。このような粘着剤層を有する粘着シートは、光漏れ防止に適した遮光性を有するものとなり得る。また、被着体の隠蔽や、粘着シート越しの被着体外観の調整(例えば外観ムラの抑制)に好適であり、意匠性を付与することができる。粘着剤層の光透過率は、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下であり、18%以下であってもよく、いくつかの好ましい態様では、粘着剤層の光透過率は12%未満であり、10%未満であってもよく、8.0%未満でもよく、6.0%未満でもよく、4.0%未満でもよく、3.0%未満でもよい。光透過率が低いほど優れた遮光性や隠蔽性を発揮することができる。上記光透過率の下限は特に制限されず、実質的に0%、すなわち検出限界以下であってもよく、後述する光反射率との両立の観点から、0.05%以上であってもよく、0.1%以上でもよく、1.0%以上でもよく、2.0%以上でもよく、5.0%以上でもよい。いくつかの態様では、粘着剤層の光透過率は8.0%以上であり、12%以上(例えば15%以上)でもよい。ある程度の光透過率を有することで、被着体を適度に隠蔽したり、被着体(例えば金属材料)の外観を調整したり、被着体の質感を残した意匠性を付与することができる。適度に光透過性を有する粘着剤層は、粘着特性の維持や、生産性等の観点からも好ましい。
【0022】
粘着剤層の光透過率は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。粘着剤層の光透過率は、粘着剤含有成分(例えば、着色剤(好適には黒色着色剤)の種類や使用量)、粘着剤層厚さ等によって調節することができる。
【0023】
(光反射率)
また、粘着剤層の光反射率は8.0%以上である。上記のように光透過率が制限された粘着剤層は、入光量が制限されているが、そのような粘着剤層においても、粘着剤に進入した光は粘着剤内で屈折し、散乱するため、より高精度の光学制御を実現することは難しい場合がある。粘着剤層の光透過率を制限することに加えて、粘着剤層表面における光反射率を8%以上にして当該粘着面で光を反射し、粘着剤に入光する光を減少させることで、遮光性や減光性と、高精度の光学制御とを両立することができる。粘着剤層の光反射率は、好ましくは9.0%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上であり、14%以上(例えば16%以上)でもよい。上記光反射率の上限は、光透過率との関係で適当な範囲に設定されるので、特定の範囲に限定されず、例えば40%未満であり、30%以下であってもよく、20%以下(例えば15%以下)でもよい。
【0024】
粘着剤層の光反射率は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。粘着剤層の光反射率は、粘着剤含有成分(例えば、着色剤(好適には金属酸化物)の種類や使用量)によって調節することができる。
【0025】
両面に粘着面を有する両面粘着シートの場合、各粘着剤層表面(各粘着面。第1粘着面および第2粘着面)の光反射率は同じであってもよく、異なっていてもよい。両面粘着シートの各粘着剤層表面(各粘着面)の光反射率が異なる態様においては、一方の粘着剤層表面(例えば第1粘着面)が上記光反射率を有すればよく、他方の粘着剤層表面(例えば第2粘着面)の光反射率は8%未満であってもよい。
【0026】
粘着剤層の光透過率と光反射率との相対的関係は特に限定されず、光透過性の低減と粘着剤層への入光量の減少とをよりよく両立する関係となるよう適切に設定され得る。例えば、粘着剤層の光透過率Tに対する光反射率Rの比(R/T)は0.4以上であることが適当であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは2.0以上、特に好ましくは4.0以上(例えば4.5以上)である。また、上記比(R/T)の上限は、凡そ10以下であり、例えば5以下であり得る。粘着剤層にある程度の光透過性が求められる態様においては、上記比(R/T)は3未満であってもよく、2未満でもよく、1未満でもよい。
【0027】
<粘着剤層>
(ベースポリマー)
ここに開示される技術において、粘着剤層を構成する粘着剤の種類は特に限定されない。上記粘着剤は、粘着剤の分野において用いられ得るアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー(天然ゴム、合成ゴム、これらの混合物等)、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー等の各種ゴム状ポリマーの1種または2種以上を粘着性ポリマー(粘着剤を形づくる構造ポリマーという意味で、以下「ベースポリマー」ともいう。)として含むものであり得る。粘着性能やコスト等の観点から、アクリル系ポリマーまたはゴム系ポリマーをベースポリマーとして含む粘着剤を好ましく採用し得る。なかでもアクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤(アクリル系粘着剤)が好ましい。ここに開示される技術は、アクリル系粘着剤を用いる態様で好ましく実施される。
【0028】
以下、アクリル系粘着剤により構成された粘着剤層、すなわちアクリル系粘着剤層を有する粘着シートについて主に説明するが、ここに開示される粘着シートの粘着剤層をアクリル系粘着剤により構成されたものに限定する意図ではない。
【0029】
なお、粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるゴム状ポリマーの主成分をいい、このこと以外、何ら限定的に解釈されるものではない。上記ゴム状ポリマーとは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーをいう。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる成分を指す。
また、「アクリル系ポリマー」とは、該ポリマーを構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合物をいう。以下、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを「アクリル系モノマー」ともいう。したがって、この明細書におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーとして定義される。アクリル系ポリマーの典型例として、該アクリル系ポリマーの合成に用いられる全モノマー成分のうちアクリル系モノマーの割合が50重量%より多いアクリル系ポリマーが挙げられる。
また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
【0030】
(アクリル系ポリマー)
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして含み、該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含み得るモノマー原料の重合物が好ましい。ここで主モノマーとは、上記モノマー原料におけるモノマー組成の50重量%超を占める成分をいう。
【0031】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは水素原子またはメチル基である。また、Rは炭素原子数1~20の鎖状アルキル基である。以下、このような炭素原子数の範囲を「C1-20」と表すことがある。粘着剤の貯蔵弾性率等の観点から、RがC1-14(例えばC1-10、典型的にはC4-8)の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとすることが適当である。粘着特性の観点から、Rが水素原子であってRがC4-8の鎖状アルキル基であるアルキルアクリレート(以下、単にC4-8アルキルアクリレートともいう。)を主モノマーとすることが好ましい。
【0032】
がC1-20の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、特に限定されないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルキル(メタ)アクリレートの好適例として、n-ブチルアクリレート(BA)および2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が挙げられる。
【0033】
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分に占めるアルキル(メタ)アクリレートの割合は、典型的には50重量%超であり、例えば70重量%以上とすることができ、85重量%以上としてもよく、90重量%以上としてもよい。アルキル(メタ)アクリレートの割合の上限は特に限定されないが、99.5重量%以下(例えば99重量%以下)とすることが好ましく、あるいは、カルボキシ基含有モノマー等の副モノマーに基づく特性(例えば凝集力)を好ましく発揮させる観点から、98重量%以下(例えば97重量%未満)としてもよい。あるいは、アクリル系ポリマーは実質的にアルキル(メタ)アクリレートのみを重合したものであってもよい。
【0034】
また、モノマー成分としてC4-8アルキルアクリレートを使用する場合、該モノマー成分中に含まれるアルキル(メタ)アクリレートのうちC4-8アルキルアクリレートの割合は、70重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
【0035】
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーには、副モノマーが共重合されていてもよい。アクリル系ポリマーに架橋基点となり得る官能基を導入し、あるいは接着力の向上に寄与し得る副モノマーとして、カルボキシ基含有モノマー、水酸基(OH基)含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、イミド基含有モノマー類等が挙げられる。上記副モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーの一好適例として、上記副モノマーとしてカルボキシ基含有モノマーが共重合されたアクリル系ポリマーが挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が例示される。なかでも、AA、MAAが好ましい。
他の好適例として、上記副モノマーとして水酸基含有モノマーが共重合されたアクリル系ポリマーが挙げられる。水酸基含有モノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なかでも好ましい水酸基含有モノマーとして、アルキル基が炭素原子数2~4の直鎖状であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0036】
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が上述の官能基含有モノマーを含む場合、該モノマー成分における官能基含有モノマーの含有量は特に限定されない。官能基含有モノマーの使用による効果を適切に発揮する観点から、モノマー成分における官能基含有モノマーの含有量は、例えば0.1重量%以上とすることができ、0.5重量%以上とすることが適当であり、1重量%以上としてもよい。また、主モノマーとの関係で粘着性能のバランスをとりやすくする観点から、モノマー成分における官能基含有モノマーの含有量は、40重量%以下とすることが適当であり、20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下(例えば5重量%以下)としてもよい。
【0037】
いくつかの好ましい態様に係るベースポリマーは、該ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)を構成するモノマー成分がカルボキシ基含有モノマーを含むものであり得る。モノマー成分がカルボキシ基含有モノマーを含むことにより、良好な粘着特性(凝集力等)を示す粘着シートが得られやすくなる。また、粘着剤層と被着体との密着性向上にも有利となり得る。さらに、適当量のカルボキシ基含有モノマーを共重合させることで、例えばカーボンブラック等の黒色着色剤を粘着剤に配合した場合にも、当該着色剤を層内に良好に分散させやすく、粘着特性を好ましく維持することができる。
【0038】
ベースポリマーにカルボキシ基含有モノマーが共重合されている態様において、ベースポリマーを構成するモノマー成分におけるカルボキシ基含有モノマーの含有量は、特に限定されず、例えば、該モノマー成分の0.2重量%以上(典型的には0.5重量%以上)とすることができ、1重量%以上とすることが適当であり、2重量%以上としてもよく、3重量%以上としてもよい。カルボキシ基含有モノマーの含有量を3重量%超とすることにより、より高い効果が発揮される。いくつかの態様において、カルボキシ基含有モノマーの含有量は、モノマー成分の3.2重量%以上とすることができ、3.5重量%以上としてもよく、4重量%以上としてもよく、4.5重量%以上としてもよい。カルボキシ基含有モノマーの含有量の上限は特に制限されず、例えば15重量%以下とすることができ、12重量%以下としてもよく、10重量%以下としてもよい。ここに開示される技術は、カルボキシ基含有モノマーの含有量がモノマー成分の7重量%以下(典型的には7重量%未満、例えば6.8重量%以下、または6.0重量%以下)である態様でも好ましく実施され得る。
【0039】
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、凝集力向上等の目的で、上述した副モノマー以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の、1分子中に2以上(例えば3以上)の重合性官能基(例えば(メタ)アクリロイル基)を有する多官能モノマー;等が挙げられる。
【0040】
かかる他の共重合成分の量は、目的および用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されないが、使用による効果を適切に発揮する観点から、0.05重量%以上とすることが適当であり、0.5重量%以上としてもよい。また、粘着性能のバランスをとりやすくする観点から、モノマー成分における他の共重合成分の含有量は、20重量%以下とすることが適当であり、10重量%以下(例えば5重量%以下)としてもよい。ここに開示される技術は、モノマー成分が他の共重合成分を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。ここで、モノマー成分が他の共重合成分を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には他の共重合成分を用いないことをいい、他の共重合成分が例えば0.01重量%以下程度、非意図的に含まれることは許容され得る。
【0041】
アクリル系ポリマーの共重合組成は、該ポリマーのガラス転移温度(Tg)が凡そ-15℃以下(例えば凡そ-70℃以上-15℃以下)となるように設計されていることが適当である。ここで、アクリル系ポリマーのTgとは、該ポリマーの合成に用いられるモノマー成分の組成に基づいて、Foxの式により求められるTgをいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
なお、上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
【0042】
Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、公知資料、具体的には「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989)に記載の数値を用いるものとする。本文献に複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値を採用する。上記Polymer Handbookにも記載されていない場合には、特開2007-51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いるものとする。
【0043】
特に限定するものではないが、耐衝撃性や、被着体に対する密着性の観点から、アクリル系ポリマーのTgは、凡そ-25℃以下であることが有利であり、好ましくは凡そ-35℃以下、より好ましくは凡そ-40℃以下である。いくつかの態様において、凝集力の観点から、アクリル系ポリマーのTgは、例えば凡そ-70℃以上であり、凡そ-65℃以上でもよく、凡そ-60℃以上でもよく、凡そ-55℃以上でもよい。ここに開示される技術は、アクリル系ポリマーのTgが凡そ-65℃以上-35℃以下(例えば、凡そ-55℃以上-40℃以下)である態様で好ましく実施され得る。アクリル系ポリマーのTgは、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に使用するモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。
【0044】
アクリル系ポリマーを得る方法は特に限定されず、溶液重合法、エマルション重合法、バルク重合法、懸濁重合法、光重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく採用し得る。溶液重合を行う際の重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃~170℃程度(典型的には40℃~140℃程度)とすることができる。
【0045】
溶液重合に用いる溶媒(重合溶媒)は、従来公知の有機溶媒(トルエン、酢酸エチル等)から適宜選択することができる。重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、従来公知の重合開始剤(例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤や、過酸化物系開始剤等)から適宜選択することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100重量部に対して凡そ0.005~1重量部程度(典型的には凡そ0.01~1重量部程度)の範囲から選択することができる。
【0046】
ここに開示される技術におけるベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば凡そ10×10~500×10の範囲であり得る。粘着性能の観点から、ベースポリマーのMwは、凡そ30×10~200×10(より好ましくは凡そ45×10~150×10、典型的には凡そ65×10~130×10)の範囲にあることが好ましい。Mwの高いベースポリマーを使用することで、ポリマー自体の凝集力を利用して、よりよい耐衝撃性が得られやすい傾向がある。ここでMwとは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により得られた標準ポリスチレン換算の値をいう。GPC装置としては、例えば機種名「HLC-8320GPC」(カラム:TSKgelGMH-H(S)、東ソー社製)を用いることができる。
【0047】
(着色剤)
ここに開示される粘着剤層は、少なくとも2種類の着色剤(第1着色剤および第2着色剤)を含む。2種類以上の着色剤を使用することによって、光透過率30%以下、かつ光反射率8%以上を満足する粘着剤層を好ましく実現することができる。上記着色剤としては、粘着剤層内を進行する光を吸収することで減衰させ得る各種の材料や、粘着剤層内への入光量を減少させ得る各種の材料を用いることができる。着色剤は、例えば、黒色、灰色、白色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色、パール色等の着色剤であり得る。上記着色剤は、典型的には粘着剤層の構成材料中に分散した状態(溶解した状態であってもよい。)で該粘着剤層に含まれ得る。着色剤としては、従来公知の顔料や染料を用いることができる。顔料としては、無機顔料や有機顔料が挙げられる。
【0048】
(第1着色剤)
粘着剤層に含まれる第1着色剤は、特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤層内を進行する光を吸収し減衰させ得る成分であり、当該着色剤を粘着剤層に含有させることで、粘着剤層の光透過率を減少する成分(したがって「光透過率低減成分」ともいう。)であり得る。そのような第1着色剤としては、少量の着色剤により遮光性を効率よく調節し得ることから、黒色着色剤を好ましく使用し得る。黒色着色剤の具体例としては、カーボンブラック、グラファイト、アニリンブラック、ペリレンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、無機顔料ヘマタイト、活性炭、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤等が挙げられる。黒色着色剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0049】
いくつかの好ましい態様では、粘着剤層は第1着色剤としてカーボンブラック粒子を含む。用いられるカーボンブラック粒子としては、一般にカーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、松煙等)と称されるものを特に制限なく用いることができる。また、カーボンブラック粒子として、カルボキシル基やアミノ基、スルホン酸基、ケイ素含有基(例えばアルコキシシリル基、アルキルシリル基)等の官能基を有する表面改質カーボンブラック粒子を用いることも可能である。このような表面改質カーボンブラック粒子は、自己分散型カーボンブラックとも称され、分散剤の添加が不要になったり、その添加量を低減することができる。上記カーボンブラック粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
少量の着色剤によって粘着剤層の遮光性を効率よく調節し得ることから、粒子状の着色剤(顔料)を好ましく使用し得る。いくつかの好ましい態様において、平均粒径約10nm以上(例えば凡そ30nm以上)の着色剤(例えば、カーボンブラック等の粒子状黒色着色剤)を用いることができる。上記平均粒径は、例えば凡そ50nm以上であり、凡そ100nm以上であってもよく、凡そ150nm以上であってもよい。上記着色剤の平均粒径の上限は特に限定されず、例えば凡そ3000nm以下であり、凡そ1000nm以下であってもよい。遮光性向上の観点から、上記着色剤の平均粒径は、凡そ500nm以下が適当であり、好ましくは凡そ300nm以下、より好ましくは凡そ250nm以下、さらに好ましくは200nm以下(例えば凡そ120nm以下、さらには凡そ100nm以下)であり得る。
【0051】
なお、本明細書中における着色剤の平均粒径は、体積平均粒子径を指し、具体的には、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;以下、D50と略記する場合もある。)を指す。測定装置としては、例えば、マイクロトラック・ベル社製の製品名「マイクロトラックMT3000II」またはその相当品を用いることができる。
【0052】
ここに開示される技術において、粘着剤組成物への着色剤(好適にはカーボンブラック粒子等の黒色着色剤)の添加形態は特に限定されない。カーボンブラック粒子等の着色剤は、当該粒子が分散媒に分散した状態の分散液の形態で粘着剤組成物に添加され得る。分散液を構成する分散媒は特に限定されず、水(イオン交換水、逆浸透水、蒸留水等)や、各種有機溶媒(エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;トルエン等の芳香族炭化水素類;それらの混合溶媒)、水と上記有機溶媒との水性混合溶媒が挙げられる。上記分散液は、上述の分散剤を含むものであってもよい。上記分散液を粘着剤組成物に混合することによって、上記粘着剤組成物は着色剤(好適にはカーボンブラック粒子等の黒色着色剤)を含有し、さらに分散剤も含有し得る。
【0053】
第1着色剤(好適にはカーボンブラック粒子等の黒色着色剤)の含有量は、達成しようとする遮光性や減光性、要求される粘着特性等を考慮して適切に設定され、特定の範囲に限定されない。また、第1着色剤の含有量は、粘着剤種、第1着色剤の形状や粒径、粘着剤との相溶性等によっても異なり得る。粘着剤層における第1着色剤の含有量は、凡そ0.01重量%以上(例えば0.05重量%以上)であることが適当であり、遮光性の観点から、好ましくは凡そ0.1重量%以上、より好ましくは凡そ0.2重量%以上、さらに好ましくは凡そ0.3重量%以上、特に好ましくは凡そ0.4重量%以上であり、例えば凡そ0.5重量%以上であってもよい。また、上記第1着色剤(好適にはカーボンブラック粒子等の黒色着色剤)の含有量は、凡そ10重量%以下とすることができ、凡そ3重量%以下が適当であり、所定値以下の光透過率と所定値以上の光反射率とを両立する観点から、好ましくは凡そ2重量%以下(典型的には2重量%未満)、より好ましくは凡そ1重量%以下であり、さらに好ましくは凡そ0.6重量%以下であり、凡そ0.5重量%以下(例えば0.4重量%以下)であってもよく、0.3重量%以下でもよく、0.2重量%以下でもよい。第1着色剤の含有量を制限することで、接着力等の粘着特性を維持しやすい傾向がある。
【0054】
(第2着色剤)
粘着剤層に含まれる第2着色剤は、特に限定されるものではないが、例えば、粘着剤層内への入光量を減少させ得る成分であり、当該第2着色剤を粘着剤層に含有させることで、粘着剤層の光反射率を高める成分(したがって「光反射率向上成分」ともいう。)であり得る。そのような第2着色剤は、無機材料(例えば金属、金属化合物)、有機材料、有機-無機複合体のなかから選択される1種または2種以上であり得る。第2着色剤の具体例としては、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン等の二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の炭酸化合物;水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の水酸化物;珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム等の珪酸化合物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等;等の無機材料や、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、尿素-ホルマリン系樹脂、メラミン系樹脂等の有機材料等が挙げられる。これらは、白色着色剤と称されるものであり得る。第2着色剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、第2着色剤は、カーボンブラック粒子を含まず、カーボンブラック粒子とは異なる着色剤として定義され得る。典型的には、第2着色剤には、光吸収性の黒色着色剤は含まれない。
【0055】
いくつかの好ましい態様では、粘着剤層は、第2着色剤として金属酸化物を含む。第1着色剤(好適には黒色着色剤)と金属酸化物とを併用することによって、所定値以下の光透過率と所定値以上の光反射率とを好ましく両立することができる。金属酸化物としては、上述した材料のなかから、所望の光反射率を実現し得るものが選択され得る。好適例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムが挙げられ、なかでも、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムが好ましく、酸化チタンが特に好ましい。金属酸化物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
第2着色剤が粒子形状を有する態様において、当該第2着色剤(好適には金属酸化物粒子)の平均粒径は、特に限定されない。粘着剤層の厚さや粘着剤種等に応じて、所望の光反射率向上を実現し得る適当なサイズの粒子が用いられ得る。第2着色剤の平均粒径は、例えば凡そ1nm以上とすることができ、凡そ5nm以上が適当である。第2着色剤含有の効果(例えば光反射率向上)や、相溶性、取扱い性等の観点から、第2着色剤の平均粒径は、好ましくは凡そ10nm以上、凡そ20nm以上であってもよく、凡そ30nm以上でもよい。上記平均粒径の上限は、粘着特性維持等の観点から、例えば凡そ300nm以下が適当であり、第2着色剤含有の効果(例えば光反射率向上)等の観点から、好ましくは100nm未満(例えば90nm以下)、より好ましくは凡そ70nm以下であり、凡そ50nm以下であってもよく、凡そ35nm以下(例えば凡そ25nm以下)であってもよい。
【0057】
粘着剤層中の第2着色剤(好適には金属酸化物)の含有量は、当該第2着色剤含有の効果(例えば光反射率向上)と、要求される粘着特性等を考慮して適切に設定され、特定の範囲に限定されない。また、第2着色剤の含有量は、粘着剤種、第2着色剤の形状や粒径、粘着剤との相溶性等によっても異なり得る。粘着剤層における第2着色剤の含有量は、第2着色剤含有の効果(例えば光反射率向上)を効果的に得る観点から、凡そ1重量%以上が適当であり、好ましくは凡そ2重量%以上、より好ましくは凡そ3重量%以上、さらに好ましくは凡そ4重量%以上であり、凡そ5重量%以上であってもよい。粘着剤層における第2着色剤の含有量は、粘着剤成分との相溶性や、粘着力や耐衝撃性等の粘着特性維持等の観点から、凡そ20重量%以下(例えば20重量%未満)とすることができ、凡そ10重量%以下が適当であり、好ましくは凡そ6重量%以下であり、凡そ5重量%以下であってもよい。
【0058】
第1着色剤の量C1と第2着色剤の量C2との使用割合は、目的とする光透過率と光反射率とを両立するよう適切に設定され、特定の範囲に限定されない。いくつかの態様において、第1着色剤(好適には黒色着色剤)の量C1と第2着色剤(好適には金属酸化物)の量C2との重量比(C1/C2)は0.001以上であり、0.005以上であってもよく、0.01以上でもよく、0.05以上でもよく、0.08以上でもよく、0.10以上(例えば0.12以上)でもよい。上記重量比(C1/C2)が大きいほど、第1着色剤の添加効果が好ましく発揮される。第1着色剤が黒色着色剤である態様においては、粘着剤層の遮光性が向上する傾向がある。また、いくつかの態様において、上記重量比(C1/C2)は0.50以下であり、0.40以下(例えば0.35以下)であってもよく、好ましくは0.30以下であり、0.20以下であってもよく、0.15以下でもよく、0.12以下でもよく、0.09以下でもよく、0.06以下(例えば0.03以下)でもよい。上記重量比(C1/C2)が小さいほど、第2着色剤の添加効果が好ましく発揮される。第2着色剤が金属酸化物である態様においては、粘着剤層の光反射率が向上する傾向がある。
【0059】
粘着剤層が、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物を含む態様において、黒色着色剤および金属酸化物以外の着色剤の含有量は、特に限定されず、例えば30重量%未満とすることができ、10重量%未満が好ましく、例えば5.0重量%未満であってもよく、3.0重量%未満(例えば2.0重量%未満、さらには1重量%未満)とすることができる。ここに開示される技術は、黒色着色剤および金属酸化物以外の着色剤を実質的に含まない粘着剤層を備える態様で実施することができる。なお、本明細書において「実質的に含まない」とは、意図的に添加しないことを意味し、例えば粘着剤層中における含有量が0.3重量%以下(例えば0.1重量%以下、典型的には0.01重量%以下)であり得る。
【0060】
なお、着色剤としては、粘着剤成分との相溶性の観点から、上述の着色剤として例示した材料(粒子状着色剤)を表面処理剤によって表面処理したものを用いることができる。表面処理としては、コア粒子の種類や分散媒の種類等に応じて適切な処理が選択され得るので、特定の処理に限定されない。
【0061】
ここに開示される粘着剤組成物は、上記着色剤の分散性向上に寄与する成分を含んでいてもよい。かかる分散性向上成分は、例えば、ポリマー、オリゴマー、液状樹脂、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤)等であり得る。分散性向上成分は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記分散性向上成分は、粘着剤組成物中に溶解していることが好ましい。上記オリゴマーは、例えば、上記で例示したようなアクリル系モノマーの1種または2種以上を含むモノマー成分の低分子量重合物(例えば、Mwが凡そ10×10未満、好ましくは5×10未満のアクリル系オリゴマー)であり得る。上記液状樹脂は、例えば、軟化点が凡そ50℃以下、より好ましくは凡そ40℃以下の粘着付与樹脂(典型的にはロジン系、テルペン系、炭化水素系等の粘着付与樹脂、例えば水添ロジンメチルエステル等)であり得る。このような分散性向上成分により、着色剤(例えばカーボンブラック等の粒子状黒色着色剤)の分散ムラを抑制し、ひいては粘着剤層の色ムラを抑制することができる。したがって、より外観品質のよい粘着剤層を形成することができる。
【0062】
分散性向上成分の添加形態は、特に限定されず、粘着剤組成物に配合する前の着色剤(例えばカーボンブラック粒子等の黒色着色剤)含有液中に含ませてもよいし、粘着剤組成物中に着色剤と同じタイミングで、あるいは着色剤の添加の前後で供給してもよい。
【0063】
分散性向上成分の含有量は特に限定されず、粘着特性への影響(例えば凝集性の低下)を抑える観点から、粘着剤層全体の凡そ20重量%以下(好ましくは凡そ10重量%以下、より好ましくは7重量%以下、例えば凡そ5重量%以下)とすることが適当である。いくつかの態様において、分散性向上成分の含有量は、着色剤の重量の凡そ10倍以下(好ましくは凡そ5倍以下、例えば凡そ3倍以下)とすることができる。一方、分散性向上成分の効果を好適に発揮する観点から、その含有量は、粘着剤層全体の凡そ0.2重量%以上(典型的には凡そ0.5重量%以上、好ましくは凡そ1重量%以上)とすることが適当である。いくつかの態様において、分散性向上成分の含有量は、着色剤の重量の凡そ0.2倍以上(好ましくは凡そ0.5倍以上、例えば1倍以上)とすることができる。
【0064】
粘着剤層中に少なくとも2種類含まれる着色剤の含有量(総量、合計含有量)は、目的とする光透過率と光反射率とを両立し、かつ要求される粘着特性等を考慮して適切に設定され、特定の範囲に限定されない。粘着剤層における着色剤の総量は、凡そ1重量%以上が適当であり、好ましくは凡そ2重量%以上、より好ましくは凡そ3重量%以上、さらに好ましくは凡そ4重量%以上であり、凡そ5重量%以上であってもよい。粘着剤層における着色剤の総量は、粘着剤成分との相溶性や、粘着力や耐衝撃性等の粘着特性維持等の観点から、凡そ30重量%以下とすることができ、凡そ10重量%以下が適当であり、好ましくは凡そ6重量%以下であり、凡そ5重量%以下であってもよい。
【0065】
(粘着付与樹脂)
ここに開示される技術における粘着剤層には、粘着付与樹脂を含有させることができる。これにより、粘着シートの剥離強度を高めることができる。粘着付与樹脂としては、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、変性テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂等の、公知の各種粘着付与樹脂から選択される1種または2種以上を用いることができる。なかでも、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、変性テルペン系粘着付与樹脂が好ましく、フェノール系粘着付与樹脂(好適にはテルペンフェノール樹脂)がより好ましい。
【0066】
フェノール系粘着付与樹脂の例には、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂およびロジンフェノール樹脂が含まれる。
テルペンフェノール樹脂とは、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーを指し、テルペン類とフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)と、テルペン類の単独重合体または共重合体をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)との双方を包含する概念である。このようなテルペンフェノール樹脂を構成するテルペン類の好適例としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体およびd/l体(ジペンテン)を包含する。)等のモノテルペン類が挙げられる。水素添加テルペンフェノール樹脂とは、このようなテルペンフェノール樹脂を水素化した構造を有する水素添加テルペンフェノール樹脂をいう。水添テルペンフェノール樹脂と称されることもある。
アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドから得られる樹脂(油性フェノール樹脂)である。アルキルフェノール樹脂の例としては、ノボラックタイプおよびレゾールタイプのものが挙げられる。
ロジンフェノール樹脂は、典型的には、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類および不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類を包含する。)のフェノール変性物である。ロジンフェノール樹脂の例には、ロジン類または上記の各種ロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合する方法等により得られるロジンフェノール樹脂が含まれる。
【0067】
テルペン系粘着付与樹脂の例には、α-ピネン、β-ピネン、d-リモネン、l-リモネン、ジペンテン等のテルペン類(典型的にはモノテルペン類)の重合体が含まれる。1種のテルペン類の単独重合体であってもよく、2種以上のテルペン類の共重合体であってもよい。1種のテルペン類の単独重合体としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等が挙げられる。変性テルペン樹脂の例としては、上記テルペン樹脂を変性したものが挙げられる。具体的には、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が例示される。
【0068】
粘着付与樹脂の軟化点は特に限定されない。凝集力向上の観点から、いくつかの態様において、軟化点(軟化温度)が凡そ80℃以上(好ましくは凡そ100℃以上、例えば105℃超)である粘着付与樹脂を好ましく採用し得る。ここに開示される技術は、粘着剤層に含まれる粘着付与樹脂の総量を100重量%として、そのうち50重量%超(より好ましくは70重量%超、例えば90重量%超)が上記軟化点を有する粘着付与樹脂である態様で好ましく実施され得る。例えば、このような軟化点を有するフェノール系粘着付与樹脂(テルペンフェノール樹脂等)を好ましく用いることができる。粘着付与樹脂は、例えば、軟化点が凡そ135℃以上(さらには凡そ140℃以上)のテルペンフェノール樹脂を含んでいてもよい。粘着付与樹脂の軟化点の上限は特に制限されない。被着体に対する密着性向上の観点から、いくつかの態様において、軟化点が凡そ200℃以下(より好ましくは凡そ150℃以下、例えば130℃未満)の粘着付与樹脂を好ましく使用し得る。なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2207に規定する軟化点試験方法(環球法)に基づいて測定することができる。
【0069】
いくつかの好ましい態様として、上記粘着付与樹脂が1種または2種以上のフェノール系粘着付与樹脂(典型的にはテルペンフェノール樹脂)を含む態様が挙げられる。ここに開示される技術は、例えば、粘着付与樹脂の総量を100重量%として、そのうち凡そ25重量%以上(より好ましくは凡そ30重量%以上)がテルペンフェノール樹脂である態様で好ましく実施され得る。粘着付与樹脂の総量の凡そ50重量%以上がテルペンフェノール樹脂であってもよく、凡そ80重量%以上(例えば凡そ90重量%以上)がテルペンフェノール樹脂であってもよい。粘着付与樹脂の実質的に全部(例えば凡そ95~100重量%、さらには凡そ99~100重量%)がテルペンフェノール樹脂であってもよい。
【0070】
特に限定するものではないが、いくつかの態様において、上記粘着付与樹脂は、水酸基価が20mgKOH/gより高い粘着付与樹脂を含み得る。なかでも水酸基価が30mgKOH/g以上の粘着付与樹脂が好ましい。以下、水酸基価が30mgKOH/g以上の粘着付与樹脂を「高水酸基価樹脂」ということがある。このような高水酸基価樹脂を含む粘着付与樹脂によると、被着体に対する密着性に優れ、かつ凝集力の高い粘着剤層が実現され得る。いくつかの態様において、上記粘着付与樹脂は、水酸基価が50mgKOH/g以上(より好ましくは70mgKOH/g以上)の高水酸基価樹脂を含んでいてもよい。
なお、上記水酸基価の値としては、JIS K0070:1992に規定する電位差滴定法により測定される値を採用することができる。
【0071】
高水酸基価樹脂としては、上述した各種の粘着付与樹脂のうち所定値以上の水酸基価を有するものを用いることができる。高水酸基価樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、高水酸基価樹脂として、水酸基価が30mgKOH/g以上のフェノール系粘着付与樹脂を好ましく採用し得る。いくつかの好ましい態様では、粘着付与樹脂として、少なくとも水酸基価30mgKOH/g以上のテルペンフェノール樹脂を使用する。テルペンフェノール樹脂は、フェノールの共重合割合によって水酸基価を任意にコントロールすることができるので好都合である。
【0072】
高水酸基価樹脂の水酸基価の上限は特に限定されない。ベースポリマーとの相溶性等の観点から、高水酸基価樹脂の水酸基価は、凡そ200mgKOH/g以下が適当であり、好ましくは凡そ180mgKOH/g以下、より好ましくは凡そ160mgKOH/g以下、さらに好ましくは凡そ140mgKOH/g以下である。ここに開示される技術は、粘着付与樹脂が水酸基価30~160mgKOH/gの高水酸基価樹脂(例えばフェノール系粘着付与樹脂、好ましくはテルペンフェノール樹脂)を含む態様で好ましく実施され得る。いくつかの態様において、水酸基価30~80mgKOH/g(例えば30~65mgKOH/g)の高水酸基価樹脂を好ましく採用し得る。他のいくつかの態様において、水酸基価70~140mgKOH/gの高水酸基価樹脂を好ましく採用し得る。
【0073】
特に限定するものではないが、高水酸基価樹脂を使用する場合、粘着剤層に含まれる粘着付与樹脂全体に占める高水酸基価樹脂(例えばテルペンフェノール樹脂)の割合は、例えば凡そ25重量%以上とすることができ、凡そ30重量%以上が好ましく、凡そ50重量%以上(例えば凡そ80重量%以上、典型的には凡そ90重量%以上)がより好ましい。粘着付与樹脂の実質的に全部(例えば凡そ95~100重量%、さらには凡そ99~100重量%)が高水酸基価樹脂であってもよい。
【0074】
粘着剤層が粘着付与樹脂を含む場合において、該粘着付与樹脂の使用量は特に限定されず、例えばベースポリマー100重量部に対して1~100重量部程度の範囲で適宜設定し得る。剥離強度を向上させる効果を好適に発揮する観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対する粘着付与樹脂の使用量は、5重量部以上とすることが適当であり、10重量部以上とすることが好ましく、15重量部以上としてもよい。また、耐衝撃性、凝集力の観点から、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対する粘着付与樹脂の使用量は、50重量部以下とすることが適当であり、40重量部以下としてもよく、30重量部以下としてもよい。
【0075】
(架橋剤)
ここに開示される技術において、粘着剤層の形成に用いられる粘着剤組成物は、必要に応じて架橋剤を含んでもよい。架橋剤の種類は特に制限されず、従来公知の架橋剤から適宜選択して用いることができる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤、シランカップリング剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤が好ましく、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤がより好ましく、イソシアネート系架橋剤が特に好ましい。イソシアネート系架橋剤の使用により、粘着剤層の凝集力を得つつ、他の架橋系よりも優れた耐衝撃性が得られる傾向がある。また、イソシアネート系架橋剤の使用は、例えば、PET等のポリエステル樹脂製の被着体に対する接着力改善の点で有利である。架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
イソシアネート系架橋剤としては、多官能イソシアネート(1分子当たり平均2個以上のイソシアネート基を有する化合物をいい、イソシアヌレート構造を有するものを包含する。)が好ましく使用され得る。イソシアネート系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0077】
多官能イソシアネートの例として、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート類の具体例としては、1,2-エチレンジイソシアネート;1,2-テトラメチレンジイソシアネート、1,3-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート等のテトラメチレンジイソシアネート;1,2-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5-ヘキサメチレンジイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート;2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0078】
脂環族ポリイソシアネート類の具体例としては、イソホロンジイソシアネート;1,2-シクロヘキシルジイソシアネート、1,3-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート等のシクロヘキシルジイソシアネート;1,2-シクロペンチルジイソシアネート、1,3-シクロペンチルジイソシアネート等のシクロペンチルジイソシアネート;水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0079】
芳香族ポリイソシアネート類の具体例としては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネート等が挙げられる。
【0080】
好ましい多官能イソシアネートとして、1分子当たり平均して3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートが例示される。かかる3官能以上のイソシアネートは、2官能または3官能以上のイソシアネートの多量体(典型的には2量体または3量体)、誘導体(例えば、多価アルコールと2分子以上の多官能イソシアネートとの付加反応生成物)、重合物等であり得る。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの2量体や3量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(イソシアヌレート構造の3量体付加物)、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等の多官能イソシアネートが挙げられる。かかる多官能イソシアネートの市販品としては、旭化成ケミカルズ社製の商品名「デュラネートTPA-100」、東ソー社製の商品名「コロネートL」、同「コロネートHL」、同「コロネートHK」、同「コロネートHX」、同「コロネート2096」等が挙げられる。
【0081】
イソシアネート系架橋剤の使用量は特に限定されない。例えば、ベースポリマー100重量部に対して、凡そ0.5重量部以上とすることができる。凝集力と密着性との両立や耐衝撃性等の観点から、ベースポリマー100重量部に対するイソシアネート系架橋剤の使用量は、例えば1.0重量部以上とすることができ、1.5重量部以上(典型的には2.0重量部以上、例えば2.5重量部以上)としてもよい。一方、被着体に対する密着性向上の観点から、上記イソシアネート系架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して10重量部以下とすることが適当であり、8重量部以下としてもよく、5重量部以下(例えば3重量部以下)としてもよい。
【0082】
いくつかの好ましい態様では、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤と、該イソシアネート系架橋剤とは架橋性官能基の種類が異なる少なくとも一種の架橋剤とが組み合わせて用いられる。ここに開示される技術によると、イソシアネート系架橋剤以外の架橋剤(すなわち、イソシアネート系架橋剤とは架橋性反応基の種類の異なる架橋剤。以下「非イソシアネート系架橋剤」ともいう。)とイソシアネート系架橋剤とを組み合わせて用いることにより、優れた凝集力を発揮することができる。なお、ここに開示される技術における粘着剤層は、上記架橋剤を、架橋反応後の形態、架橋反応前の形態、部分的に架橋反応した形態、これらの中間的または複合的な形態等で含有し得る。上記架橋剤は、典型的には、専ら架橋反応後の形態で粘着剤層に含まれている。
【0083】
イソシアネート系架橋剤と組み合わせて用いられ得る非イソシアネート系架橋剤の種類は特に制限されず、上述の架橋剤から適宜選択して用いることができる。非イソシアネート系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
いくつかの好ましい態様において、非イソシアネート系架橋剤としてエポキシ系架橋剤を採用することができる。例えば、イソシアネート系架橋剤とエポキシ系架橋剤とを併用することにより、凝集性と耐衝撃性とを両立しやすい。エポキシ系架橋剤としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を特に制限なく用いることができる。1分子中に3~5個のエポキシ基を有するエポキシ系架橋剤が好ましい。エポキシ系架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
特に限定するものではないが、エポキシ系架橋剤の具体例として、例えばN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ系架橋剤の市販品としては、三菱瓦斯化学社製の商品名「TETRAD-C」および商品名「TETRAD-X」、DIC社製の商品名「エピクロンCR-5L」、ナガセケムテックス社製の商品名「デナコールEX-512」、日産化学工業社製の商品名「TEPIC-G」等が挙げられる。
【0086】
エポキシ系架橋剤の使用量は特に限定されない。エポキシ系架橋剤の使用量は、例えば、ベースポリマー100重量部に対して、0重量部を超えて凡そ1重量部以下(典型的には凡そ0.001~0.5重量部)とすることができる。凝集力の向上効果を好適に発揮する観点から、エポキシ系架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して凡そ0.002重量部以上とすることが適当であり、凡そ0.005重量部以上が好ましく、凡そ0.008重量部以上がより好ましい。また、被着体に対する密着性向上の観点から、エポキシ系架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して凡そ0.2重量部以下とすることが適当であり、凡そ0.1重量部以下とすることが好ましく、凡そ0.05重量部未満がより好ましく、凡そ0.03重量部未満(例えば凡そ0.025重量部以下)がさらに好ましい。エポキシ系架橋剤の使用量を減らすことにより、耐衝撃性も向上する傾向がある。
【0087】
ここに開示される技術において、イソシアネート系架橋剤の含有量と非イソシアネート系架橋剤(例えばエポキシ系架橋剤)の含有量との関係は特に限定されない。非イソシアネート系架橋剤の含有量は、例えば、イソシアネート系架橋剤の含有量の凡そ1/50以下とすることができる。被着体に対する密着性と凝集力とをより好適に両立する観点から、非イソシアネート系架橋剤の含有量は、重量基準で、イソシアネート系架橋剤の含有量の凡そ1/75以下とすることが適当であり、凡そ1/100以下(例えば1/150以下)とすることが好ましい。また、イソシアネート系架橋剤と非イソシアネート系架橋剤(例えばエポキシ系架橋剤)とを組み合わせて用いることによる効果を好適に発揮する観点から、非イソシアネート系架橋剤の含有量は、イソシアネート系架橋剤の含有量の凡そ1/1000以上、例えば凡そ1/500以上とすることが適当である。
【0088】
架橋剤の総使用量(総量)は特に制限されない。例えば、ベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して凡そ10重量部以下とすることができ、好ましくは凡そ0.005~10重量部、より好ましくは凡そ0.01~5重量部の範囲から選択することができる。
【0089】
(防錆剤)
いくつかの好ましい態様に係る粘着剤層は防錆剤を含み得る。防錆剤としては、特に限定されず、アゾール系防錆剤、アミン化合物、亜硝酸塩類、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアミン安息香酸塩、尿素、ウロトロピン、チオ尿素、カルバミン酸フェニル、シクロヘキシルアンモニウム-N-シクロヘキシルカルバメート(CHC)等が挙げられる。防錆剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
防錆剤としては、アゾール系防錆剤が好ましく用いられ得る。アゾール系防錆剤としては、ヘテロ原子を2個以上含む五員環芳香族化合物であって、それらのヘテロ原子の少なくとも1個が窒素原子であるアゾール系化合物を有効成分とするものが好ましく用いられ得る。アゾール系防錆剤として使用し得る化合物の好適例として、ベンゾトリアゾール系化合物を有効成分とするベンゾトリアゾール系防錆剤が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の好適例として、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0091】
防錆剤の含有量は特に限定されず、例えば、ベースポリマー100重量部に対して0.01重量部以上(典型的には0.05重量部以上)とすることができる。より良好な金属腐食防止効果を得る観点から、上記含有量は、0.1重量部以上であってよく、0.3重量部以上でもよく、0.5重量部以上でもよい。一方、粘着剤の凝集力を高める観点から、防錆剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して8重量部未満とすることが適当であり、5重量部以下としてもよく、2重量部以下としてもよい。
【0092】
(その他の添加剤)
粘着剤組成物には、必要に応じて、レベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の粘着剤の分野において一般的な各種の添加剤が含まれていてもよい。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
【0093】
(粘着剤組成物)
ここに開示される粘着剤層(粘着剤からなる層)は、水系粘着剤組成物、溶剤型粘着剤組成物、ホットメルト型粘着剤組成物、紫外線や電子線等のような活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された粘着剤層であり得る。水系粘着剤組成物とは、水を主成分とする溶媒(水系溶媒)中に粘着剤(粘着剤層形成成分)を含む形態の粘着剤組成物のことをいい、典型的には、水分散型粘着剤組成物(粘着剤の少なくとも一部が水に分散した形態の組成物)等と称されるものが含まれる。また、溶剤型粘着剤組成物とは、有機溶媒中に粘着剤を含む形態の粘着剤組成物のことをいう。溶剤型粘着剤組成物に含まれる有機溶媒としては、上述の溶液重合で用いられ得る有機溶媒(トルエンや酢酸エチル等)として例示した1種または2種以上を特に制限なく用いることができる。ここに開示される技術は、粘着特性等の観点から、溶剤型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える態様で好ましく実施され得る。溶剤型粘着剤組成物から形成された溶剤型粘着剤層を備える態様において、ここに開示される技術による屈折率向上効果は好ましく実現される。
【0094】
上記より、本明細書によると、ここに開示される粘着剤層に含まれ得る成分の1種または2種以上を含む粘着剤組成物が提供される。この粘着剤組成物を用いることにより、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である粘着剤層を形成することができる。上記粘着剤組成物は、少なくとも2種類の着色剤を含む。その他、上述の粘着剤層に含まれ得る成分(典型的にはベースポリマー)を含み得る。粘着剤層に含まれ得る各成分の含有量(重量%)は、粘着剤組成物においては、固形分基準(不揮発分基準ともいう。)の含有量(重量%)と言い換えることができる。その他の粘着剤組成物の詳細については、粘着剤層において説明したとおりであるので、繰り返しの説明は省略する。
【0095】
(粘着剤層の形成)
ここに開示される粘着剤層は、従来公知の方法によって形成することができる。例えば、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法を採用することができる。支持基材を有する構成の粘着シートでは、例えば、該支持基材に粘着剤組成物を直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を採用することができる。また、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を支持基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。上記剥離面としては、例えば、後述する剥離ライナーの表面を好ましく利用し得る。なお、ここに開示される粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、このような形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。
【0096】
粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、ダイコーター、バーコーター等の、従来公知のコーターを用いて行うことができる。あるいは、含浸やカーテンコート法等により粘着剤組成物を塗布してもよい。
架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。乾燥温度は、例えば40~150℃程度とすることができ、60~130℃程度とすることが好ましい。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
【0097】
ここに開示される粘着剤層は、単層構造であってもよく、2層以上の多層構造を有するものであってもよい。生産性等の観点から、粘着剤層は単層構造であることが好ましい。
【0098】
粘着剤層の厚さは特に制限されない。粘着シートが過度に厚くなることを避ける観点から、粘着剤層の厚さは、凡そ100μm以下が適当であり、好ましくは凡そ70μm以下、より好ましくは凡そ50μm以下である。粘着剤層の厚さは凡そ35μm以下とすることができ、例えば凡そ25μm以下であってもよく、さらには凡そ15μm以下であってもよい。厚さの制限された粘着剤層は、薄厚化、軽量化の要請によく対応したものとなり得る。粘着剤層の厚さの下限は特に制限されず、被着体に対する密着性の観点からは、凡そ1μm以上とすることが有利であり、凡そ3μm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ10μm以上、より好ましくは凡そ15μm以上、さらに好ましくは凡そ20μm以上であり、凡そ30μm以上であってもよく、凡そ35μm以上でもよく、凡そ40μm以上でもよい。所定以上の厚さとすることにより、所定値以下の光透過率と所定値以上の反射性とを好ましく実現することができる。また、所望の粘着特性(接着力や耐衝撃性等)が得られやすい。
【0099】
<支持基材>
ここに開示される粘着シートが片面粘着タイプまたは両面粘着タイプの基材付き粘着シートの形態である態様において、粘着剤層を支持(裏打ち)する基材としては、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等を用いることができる。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン製フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;塩化ビニル樹脂フィルム;酢酸ビニル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン等が挙げられる。紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
【0100】
なお、ここでいう不織布は、主として粘着テープその他の粘着シートの分野において使用される粘着シート用不織布を指す概念であって、典型的には一般的な抄紙機を用いて作製されるような不織布(いわゆる「紙」と称されることもある。)をいう。また、ここでいう樹脂フィルムとは、典型的には非多孔質の樹脂シートであって、例えば不織布とは区別される(すなわち、不織布を含まない)概念である。上記樹脂フィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
【0101】
基材付き粘着シートを構成する支持基材としては、ベースフィルムとして樹脂フィルムを含むものを好ましく用いることができる。上記ベースフィルムは、典型的には、独立して形状維持可能な(非依存性の)部材である。ここに開示される技術における支持基材は、このようなベースフィルムから実質的に構成されたものであり得る。あるいは、上記支持基材は、上記ベースフィルムの他に、補助的な層を含むものであってもよい。上記補助的な層の例としては、上記ベースフィルムの表面に設けられた着色層、反射層、下塗り層、帯電防止層等が挙げられる。
【0102】
上記樹脂フィルムは、樹脂材料を主成分(例えば、当該樹脂フィルム中に50重量%を超えて含まれる成分)とするフィルムである。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂フィルム;塩化ビニル系樹脂フィルム;酢酸ビニル系樹脂フィルム;ポリイミド系樹脂フィルム;ポリアミド系樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン;等が挙げられる。樹脂フィルムは、天然ゴムフィルム、ブチルゴムフィルム等のゴム系フィルムであってもよい。なかでも、ハンドリング性、加工性の観点から、ポリエステルフィルムが好ましく、そのなかでもPETフィルムが特に好ましい。なお、本明細書において「樹脂フィルム」とは、典型的には非多孔質のシートであって、いわゆる不織布や織布とは区別される概念(換言すると、不織布や織布を除く概念)である。
【0103】
支持基材は、透明性を有するものであってもよく、遮光性や減光性を有するものであってもよい。いくつかの態様において、支持基材(例えば樹脂フィルム)には着色剤を含有させることができる。これにより支持基材の光透過性(遮光性)を調整することができる。支持基材の光透過性(例えば垂直光透過率)を調整することは、該支持基材の光透過性、さらには該基材を含む粘着シートの光透過性の調整にも役立ち得る。
【0104】
着色剤としては、粘着剤層に含有させ得る着色剤と同様、従来公知の顔料や染料を用いることができる。着色剤は、特に制限されず、例えば、黒色、灰色、白色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色、パール色等の着色剤であり得る。
【0105】
いくつかの態様において、少量の着色剤により遮光性(例えば垂直光透過率)を効率よく調節し得ることから、支持基材用着色剤として、黒色着色剤を好ましく使用し得る。具体的な黒色着色剤としては、粘着剤層に含有させ得る着色剤として例示したものが挙げられる。いくつかの好ましい態様において、平均粒径10nm~500nm、より好ましくは10nm~120nmの顔料(例えば、カーボンブラック等の粒子状黒色着色剤)を用いることができる。
【0106】
支持基材(例えば樹脂フィルム)における着色剤の使用量は特に限定されず、所望の光学特性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。着色剤の使用量は、支持基材の重量の0.1~30重量%程度とすることが適当であり、例えば0.1~25重量%(典型的には0.1~20重量%)とすることができる。
【0107】
上記支持基材(例えば樹脂フィルム)には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、分散剤(界面活性剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。各種添加剤の配合割合は、30重量%未満(例えば20重量%未満、典型的には10重量%未満)程度である。
【0108】
上記支持基材(例えば樹脂フィルム)は、単層構造であってもよく、2層、3層またはそれ以上の多層構造を有するものであってもよい。形状安定性の観点から、支持基材は単層構造であることが好ましい。多層構造の場合、少なくとも一つの層(好ましくは全ての層)は上記樹脂(例えばポリエステル系樹脂)の連続構造を有する層であることが好ましい。支持基材(典型的には樹脂フィルム)の製造方法は、従来公知の方法を適宜採用すればよく、特に限定されない。例えば、押出成形、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の従来公知の一般的なフィルム成形方法を適宜採用することができる。
【0109】
支持基材は、ベースフィルム(好ましくは樹脂フィルム)の表面に配置された着色層により着色されていてもよい。このようにベースフィルムと着色層を含む構成の基材において、上記ベースフィルムは、着色剤を含んでもよく、含まなくてもよい。上記着色層は、ベースフィルムのいずれか一方の表面に配置されてもよく、両方の表面にそれぞれ配置されてもよい。ベースフィルムの両方の表面にそれぞれ着色層を配置した構成において、それらの着色層の構成は、同一であってもよく、異なってもよい。
【0110】
このような着色層は、典型的には、着色剤およびバインダを含有する着色層形成用組成物を、ベースフィルムに塗布して形成することができる。着色剤としては、粘着剤層や樹脂フィルムに含有させ得る着色剤と同様、従来公知の顔料や染料を用いることができる。バインダとしては、塗料または印刷の分野において公知の材料を特に制限なく使用することができる。例えば、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素メラミン樹脂、ポリメタクリル酸メチル等が例示される。着色層形成用組成物は、例えば、溶剤型、紫外線硬化型、熱硬化型等であり得る。着色層の形成は、従来から着色層の形成に採用されている手段を特に制限なく採用して行うことができる。例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の印刷により着色層(印刷層)を形成する方法を好ましく採用し得る。
【0111】
着色層は、全体が1層からなる単層構造であってもよく、2層、3層またはそれ以上のサブ着色層を含む多層構造であってもよい。2層以上のサブ着色層を含む多層構造の着色層は、例えば、着色層形成用組成物の塗布(例えば印刷)を繰り返して行うことにより形成することができる。各サブ着色層に含まれる着色剤の色や配合量は、同一であってもよく、異なってもよい。遮光性を付与するための着色層では、ピンホールの発生を防止して光漏れ防止の信頼性を高める観点から、多層構造とすることが特に有意義である。
【0112】
着色層全体の厚さは、1μm~10μm程度が適当であり、1μm~7μm程度が好ましく、例えば1μm~5μm程度とすることができる。二層以上のサブ着色層を含む着色層において、各サブ着色層の厚さは、1μm~2μm程度が好ましい。
【0113】
支持基材の厚さは特に限定されない。粘着シートが過度に厚くなることを避ける観点から、支持基材の厚さは、例えば凡そ200μm以下(例えば凡そ100μm以下)とすることができる。粘着シートの使用目的や使用態様に応じて、支持基材の厚さは、凡そ70μm以下であってよく、凡そ30μm以下でもよく、凡そ15μm以下(例えば凡そ8μm以下)でもよい。支持基材の厚さの下限は特に制限されない。粘着シートの取扱い性(ハンドリング性)や加工性等の観点から、支持基材の厚さは、凡そ2μm以上が適当であり、好ましくは凡そ5μm以上、例えば凡そ10μm以上である。
【0114】
支持基材の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の、従来公知の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、支持基材と粘着剤層との密着性、言い換えると粘着剤層の支持基材への投錨性を向上させるための処理であり得る。
【0115】
また、ここに開示される技術が、基材付き片面粘着シートの形態で実施される場合、支持基材の背面に、必要に応じて剥離処理が施されていてもよい。剥離処理は、例えば、一般的なシリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離処理剤を、典型的には0.01μm~1μm(例えば0.01μm~0.1μm)程度の薄膜状に付与する処理であり得る。かかる剥離処理を施すことにより、粘着シートをロール状に巻回した巻回体の巻き戻しを容易にする等の効果が得られる。
【0116】
<剥離ライナー>
ここに開示される技術において、粘着剤層の形成、粘着シートの作製、使用前の粘着シートの保存、流通、形状加工等の際に、剥離ライナーを用いることができる。剥離ライナーとしては、特に限定されず、例えば、樹脂フィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
【0117】
<粘着シートの特性等>
(粘着力)
ここに開示される粘着シートの180度剥離強度(粘着力)は、使用目的や適用箇所に応じて異なり得るので、特定の範囲に限定されない。被着体に対して良好な接着性を得る観点から、粘着シートの粘着力は、例えば凡そ1.0N/25mm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ5.0N/25mm以上、より好ましくは凡そ10N/25mm以上であり、凡そ15N/25mm以上であってもよい。ここに開示される技術によると、粘着剤層が少なくとも2種類の着色剤を含み、所定値以下の光透過率および所定値以上の光反射率を有しつつ、上記の粘着力を実現することができる。上記粘着力の上限は特に限定されず、凡そ30N/25mm以下(例えば25N/25mm以下)であってもよい。上記粘着力は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。両面に粘着面を有する両面粘着シートの場合、各面における粘着力は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0118】
(せん断接着力)
特に限定されるものではないが、ここに開示される粘着シートは、例えば1.0MPa以上のせん断接着力を示すことが好ましい。かかるせん断接着力を示す粘着シートは、接着界面をずらそうとする力(すなわち、せん断力)に対して強い抵抗を示すので、被着体の保持性能に優れる。より高い保持性能を発揮する観点から、粘着シートのせん断接着力は、好ましくは1.8MPa以上、より好ましくは2.0MPa以上、さらに好ましくは2.2MPa以上である。上記せん断接着力の上限は特に制限されず、一般的には高いほど好ましい。一方、所定値以下の光透過率と所定値以上の光反射率とを実現しやすくする観点から、いくつかの態様において、上記せん断接着力は、例えば20MPa以下であってよく、10MPa以下でもよく、5MPa以下でもよく、3MPa以下でもよい。上記せん断接着力は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
【0119】
(光透過率)
特に限定されるものではないが、粘着シートは、光透過率が30%以下であることが好ましい。このような粘着シートは、光漏れ防止に適した遮光性を有するものとなり得る。また、被着体の隠蔽や、粘着シート越しの被着体外観の調整(例えば外観ムラの抑制)に好適であり、意匠性を付与することができる。粘着シートの光透過率は、好ましくは28%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下であり、18%以下であってもよく、いくつかの好ましい態様では、粘着シートの光透過率は12%未満であり、10%未満であってもよく、8.0%未満でもよく、6.0%未満でもよく、4.0%未満でもよく、3.0%未満でもよい。光透過率が低いほど優れた遮光性や隠蔽性を発揮することができる。上記光透過率の下限は特に制限されず、実質的に0%、すなわち検出限界以下であってもよく、0.05%以上であってもよく、0.1%以上でもよく、1.0%以上でもよく、2.0%以上でもよく、5.0%以上でもよい。いくつかの態様では、粘着シートの光透過率は8.0%以上であり、12%以上(例えば15%以上)でもよい。ある程度の光透過率を有することで、被着体を適度に隠蔽したり、被着体(例えば金属材料)の外観を調整したり、被着体の質感を残した意匠性を付与することができる。適度に光透過性を有する粘着シートは、粘着特性の維持や、生産性等の観点からも好ましい。
【0120】
粘着シートの光透過率は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。粘着シートの光透過率は、粘着剤含有成分(例えば、着色剤(好適には黒色着色剤)の種類や使用量)、基材含有成分、各層の厚さ等によって調節することができる。
【0121】
(光反射率)
また、粘着シートの光反射率は8.0%以上であることが好ましい。粘着剤層の光透過率を制限することに加えて、粘着シート表面における光反射率を8%以上にして当該粘着面で光を反射し、粘着剤に入光する光を減少させることで、遮光性や減光性と、高精度の光学制御とを両立することができる。粘着シートの光反射率は、好ましくは9.0%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上であり、14%以上(例えば16%以上)でもよい。上記光反射率の上限は、光透過率との関係で適当な範囲に設定されるので、特定の範囲に限定されず、例えば40%未満であり、30%以下であってもよく、20%以下(例えば15%以下)でもよい。
【0122】
粘着シートの光反射率は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。粘着シートの光反射率は、粘着剤含有成分(例えば、着色剤(好適には金属酸化物)の種類や使用量)や基材含有成分等によって調節することができる。
【0123】
両面に粘着面を有する両面粘着シートの場合、各面(各粘着面。第1粘着面および第2粘着面)の光反射率は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0124】
粘着シートの光透過率と光反射率とは、特に限定されず、例えば、粘着シートの光透過率Tに対する光反射率Rの比(R/T)は0.4以上であることが適当であり、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは2.0以上、特に好ましくは4.0以上(例えば4.5以上)である。また、上記比(R/T)の上限は、凡そ10以下であり、例えば5以下であり得る。粘着シートにある程度の光透過性が求められる態様においては、上記比(R/T)は3未満であってもよく、2未満でもよく、1未満でもよい。
【0125】
(総厚さ)
ここに開示される粘着シート(粘着剤層を含み、支持基材を有する構成ではさらに支持基材を含むが、剥離ライナーは含まない。)の総厚さは特に限定されない。粘着シートの総厚さは、例えば凡そ300μm以下とすることができ、薄型化の観点から、凡そ200μm以下が適当であり、凡そ100μm以下(例えば凡そ70μm以下)であってもよい。いくつかの好ましい態様では、粘着シートの厚さは凡そ50μm以下とすることができ、例えば凡そ35μm以下であってもよい。粘着シートの厚さの下限は特に限定されないが、凡そ1μm以上とすることができ、例えば凡そ3μm以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ6μm以上、より好ましくは凡そ10μm以上(例えば凡そ15μm以上)、さらに好ましくは凡そ20μm以上である。所定値以上の厚さを有する粘着シートは、取扱い性がよく、接着性、耐衝撃性にも優れる傾向がある。なお、基材レスの粘着シートでは、粘着剤層の厚さが粘着シートの総厚さとなる。
【0126】
<用途>
ここに開示される粘着シートは、遮光性や減光性が求められる各種用途に好適である。例えば、携帯電子機器等の電子機器のなかには、画像表示等の目的から発光要素を含むものがあるため、粘着シートには、光漏れ等を防止するため、制限された光透過性(例えば遮光性)が求められ得る。また、粘着シートを利用して、部材の隠蔽や外観の調整等が求められ得る。そのような電子機器に対して、ここに開示される粘着シートは好適である。
【0127】
上記携帯電子機器の非限定的な例には、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、各種ウェアラブル機器(例えば、腕時計のように手首に装着するリストウェア型、クリップやストラップ等で体の一部に装着するモジュラー型、メガネ型(単眼型や両眼型。ヘッドマウント型も含む。)を包含するアイウェア型、シャツや靴下、帽子等に例えばアクセサリの形態で取り付ける衣服型、イヤホンのように耳に取り付けるイヤウェア型等)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、音響機器(携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー等)、計算機(電卓等)、携帯ゲーム機器、電子辞書、電子手帳、電子書籍、車載用情報機器、携帯ラジオ、携帯テレビ、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム等が含まれる。なお、この明細書において「携帯」とは、単に携帯することが可能であるだけでは充分ではなく、個人(標準的な成人)が相対的に容易に持ち運び可能なレベルの携帯性を有することを意味するものとする。また、上記電子機器の例としては、パソコン(デスクトップ型、ノート型、タブレット型等)、テレビ等が挙げられる。これらは、液晶や有機EL等の表示装置(ディスプレイデバイス)を内蔵したものであり得る。
【0128】
ここに開示される粘着シートは、例えば、このような携帯電子機器のうち感圧センサを備える携帯電子機器内において、感圧センサと他の部材とを固定する目的で利用され得る。いくつかの態様では、粘着シートは、画面上の位置を指示するための装置(典型的にはペン型、マウス型の装置)と位置を検出するための装置とで、画面に対応する板(典型的にはタッチパネル)の上で絶対位置を指定することを可能とする機能を備える電子機器(典型的には携帯電子機器)内において、感圧センサと他の部材とを固定するために用いられ得る。
【0129】
また、ここに開示される粘着シートは、携帯電子機器におけるタッチパネルディスプレイ等の表示画面(表示部)の裏面に配置される用途に好適である。ここに開示される粘着シートを上記表示画面(表示部)の裏面に配置することで、携帯電子機器の使用態様にかかわらず表示画面の視認性の低下を防止することができる。
【0130】
また、ここに開示される粘着シートは、光センサを内蔵する携帯電子機器に好適である。上述した携帯電子機器等の各種機器は、機器の操作や近接物の感知、周囲の明るさ(環境光)の検知、データ通信等を目的として、赤外線や可視光線、紫外線等の光線を利用した光センサを備え得る。特に限定するものではないが、上記光センサとしては、加速度センサ、近接センサ、輝度センサ(環境光センサ)等が挙げられる。このような光センサは、紫外線、可視光線、赤外線等の光線の受光素子を有しており、また、赤外線等の特定光線の発光素子を有するものであり得る。換言すれば、光センサは、紫外線、可視光線および赤外線を含む波長領域のうち特定の波長領域の光線の発光素子および/または受光素子を含むものであり得る。そのような機器に対して、ここに開示される技術を適用して、粘着剤層内で屈折、散乱し得る光の入光を制限することで、機器内の光を制御し、センサの作動精度低下を防止することができる。
【0131】
ここに開示される粘着シートが貼り付けられる材料(被着体材料)としては、特に限定されるものではないが、例えば、銅、銀、金、鉄、錫、パラジウム、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、亜鉛等、またはこれらの2種以上を含む合金等の金属材料や、例えばポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂(PET系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂(いわゆるアラミド樹脂等)、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、液晶ポリマー等の各種樹脂材料(典型的にはプラスチック材)、アルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス、カーボン等の無機材料等が挙げられる。なかでも、銅やアルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料や、PET等のポリエステル系樹脂や、ポリイミド系樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂等の樹脂材料(典型的にはプラスチック材)が広く用いられている。上記の材料は、電子機器等の製品を構成する部材の材料であり得る。ここに開示される粘着シートは、上記材料から構成された部材に貼り付けられて用いられ得る。また、上記の材料は、上記感圧センサや表示部等の固定対象物(例えば電磁波シールドや補強板等の裏面部材)を構成する材料であり得る。なお、固定対象物とは、粘着シートが貼り付けられる対象物、すなわち被着体のことをいう。また、裏面部材とは、例えば携帯電子機器において、上記感圧センサや表示部のおもて面(視認側)の反対側に配置される部材をいい、例えば、後述の図3に示す表示装置200の裏面に配置される支持部240を構成する部材等であり得る。また、上記固定対象物は、単層構造、多層構造のいずれの形態であってもよく、粘着シートを貼り付ける表面(貼付け面)には、各種の表面処理が施されていてもよい。特に限定されるものではないが、固定対象物の一例として、厚さが1μm以上(典型的には5μm以上、例えば60μm以上、さらには120μm以上)1500μm以下(例えば800μm以下)程度の裏面部材が挙げられる。
【0132】
また、粘着シートの貼り付け対象である部材や材料(両面粘着シートにおいては、少なくとも一方の被着体)は、光透過性を有するものであり得る。このような光透過性被着体は、例えばセンサの光線が被着体を通過して粘着シートに到達するため、ここに開示される技術による効果(光反射性を利用した粘着剤層内での光の屈折、散乱の抑制)の利点が得られやすい。上記被着体の光透過率は、例えば50%よりも大きく、70%以上であり得る。いくつかの好ましい態様では、上記被着体の光透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、95%以上(例えば95~100%)であり得る。そのような材料は、携帯電子機器等の各種機器の画像表示部の裏面に配置される樹脂フィルム(例えば、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム)であり得る。ここに開示される粘着シートは、上記のような光透過率が所定値以上の被着体(例えば部材)に貼り付ける態様で好ましく用いられ得る。上記光透過率は粘着剤層の光透過率と同様の方法で測定され得る。
【0133】
上記より、ここに開示される技術によると、粘着シートと、該粘着シートが貼り付けられた部材とを備える積層体が提供される。いくつかの態様において、粘着シートを含む積層体は、該粘着シートと、金属部材(第1部材)と、を備える積層体である。また、いくつかの態様において、粘着シートが貼り付けられる部材は、上述した被着体材料の光透過率を有するものであり得る。この態様において、粘着シートを含む積層体は、該粘着シートと、光透過性を有する部材(第2部材)と、を備える積層体である。いくつかの好ましい態様では、積層体は、金属部材(第1部材)と、粘着シートと、光透過性を有する部材(第2部材)と、をこの順で備える積層体である。なお、上記粘着シートは、積層体において粘着剤層ともいう。
【0134】
上記積層体の構成例を図2に示す。図2に示す積層体50は、第1部材41と、基材レスの粘着シート1と、第2部材42とを、この順で備える。具体的には、積層体50において、基材レスの粘着シート1の一方の粘着面(第1粘着面)1Aが、第1部材41に接着しており、粘着シート1の他方の粘着面(第2粘着面)1Bが、第2部材42に接着している。この実施形態では、第1部材41および第2部材42はともにシート状または板状の形状を有しており、積層体50は多層構造を有する。積層体を構成する部材の詳細については、上述の部材、材料、被着体として説明したとおりであるので、重複する説明は繰り返さない。
【0135】
いくつかの好ましい態様では、第1部材41は金属部材であり、上述の被着体材料として例示した金属材料が用いられる。第1部材41としての金属部材は、アルミニウム製部材またはステンレス鋼製部材であることが好ましく、ステンレス鋼製部材であることがより好ましい。ここに開示される粘着シート1を第1部材41としての金属部材に貼り付けることで、上記金属部材を良好に隠蔽することができる。このような金属部材は、例えば、後述の図3に示す表示装置200の支持部240を構成する部材等であり得る。また、いくつかの好ましい態様において、第2部材42は光透過性部材であり、上述の光透過性被着体が有する光透過率を有する。第2部材42は、好ましくは樹脂フィルムからなる部材であり、より好ましくはポリエステル系樹脂フィルム(より具体的にはPET系樹脂フィルム)である。第2部材42は、例えば、表示装置において表示部の裏面側に配置される部材であり得る。粘着シート1を第2部材42としての光透過性部材に貼り付ける態様において、上記光透過性部材越しの光の入光を粘着面で反射し、粘着剤層への入光量を減少させることができる。上記のような積層体50は、典型的には、有機EL表示装置や液晶表示装置等の構成要素であり得る。積層体50は、例えば、携帯電子機器等の各種機器の画像表示部(タッチパネルディスプレイ等の表示部であり得る。)の裏面に配置される用途に好適である。
【0136】
ここに開示される粘着シートは、光透過性が制限されており、好ましい態様では遮光性に優れたものであり得るので、LED(light emitting diode)等の各種光源や、自己発光する有機EL等の発光要素を含む電子機器に好ましく用いられる。例えば、所定の光学特性が要求される有機EL表示装置や液晶表示装置を備える電子機器(典型的には携帯電子機器)に好ましく用いることができる。
【0137】
図3は、表示装置の構成例を模式的に示す分解斜視図である。図3に示すように、携帯電子機器100が備える表示装置200は、カバー部材や有機ELユニット等から構成される表示部220と、支持部240と、を備える。表示装置200は、粘着シート230をさらに含んで構成されている。この構成例では、粘着シート230は、表示部220と支持部240を構成する部材を固定する両面接着性のシート(両面粘着シート)の形態である。なお、支持部240は、基板(ステンレス鋼板やアルミニウム板等の金属板)等を含んで構成されている。ここに開示される粘着シートは、上記のような表示装置の構成要素として好ましく用いられる。
【0138】
この明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
〔1〕 カバー部材および有機ELユニットを含む表示部と、支持部と、を含む表示装置であって、
前記支持部には、粘着シートが接合されており、
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、表示装置。
〔2〕 紫外線、可視光線および赤外線を含む波長領域のうち特定の波長領域の光線の発光素子および/または受光素子を含む光センサを内蔵する、上記〔1〕に記載の表示装置。
〔3〕 前記粘着剤層における前記着色剤の含有量は1重量%以上10重量%以下である、上記〔1〕または〔2〕に記載の表示装置。
〔4〕 前記粘着剤層は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の表示装置。
〔5〕 前記粘着剤層における前記金属酸化物の含有量は1重量%以上6重量%以下である、上記〔4〕に記載の表示装置。
〔6〕 前記粘着剤層における前記黒色着色剤の含有量は2重量%未満である、上記〔4〕または〔5〕に記載の表示装置。
〔7〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔4〕~〔6〕のいずれかに記載の表示装置。
〔8〕 前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の表示装置。
〔9〕 前記粘着剤層の厚さは10~50μmの範囲内である、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の表示装置。
〔10〕 前記粘着剤層からなる基材レス両面接着性粘着シートである、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の表示装置。
【0139】
〔11〕 少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、粘着シート。
〔12〕 前記粘着剤層における前記着色剤の含有量は1重量%以上10重量%以下である、上記〔11〕に記載の粘着シート。
〔13〕 前記粘着剤層は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔11〕または〔12〕に記載の粘着シート。
〔14〕 前記粘着剤層における前記金属酸化物の含有量は1重量%以上6重量%以下である、上記〔13〕に記載の粘着シート。
〔15〕 前記粘着剤層における前記黒色着色剤の含有量は2重量%未満である、上記〔13〕または〔14〕に記載の粘着シート。
〔16〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔13〕~〔15〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔17〕 前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、上記〔11〕~〔16〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔18〕 前記粘着剤層の厚さは10~50μmの範囲内である、上記〔11〕~〔17〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔19〕 前記粘着剤層からなる基材レス両面接着性粘着シートである、上記〔11〕~〔18〕のいずれかに記載の粘着シート。
〔20〕 携帯電子機器において部材の接合に用いられる、上記〔11〕~〔19〕のいずれかに記載の粘着シート。
【0140】
〔21〕 金属部材(第1部材)と、粘着シートと、を備える積層体であって、
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、積層体。
〔22〕 光透過性を有する部材(第2部材)と、粘着シートと、を備える積層体であって、
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、積層体。
〔23〕 金属部材(第1部材)と、粘着シートと、光透過性を有する部材(第2部材)とを、この順で備える積層体であって、
前記粘着シートは、少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤層を有しており、
前記粘着剤層は、光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である、積層体。
〔24〕 前記金属部材は、アルミニウム製部材またはステンレス鋼製部材である、上記〔21〕または〔23〕に記載の積層体。
〔25〕 前記光透過性を有する部材の光透過率は50%よりも大きい、上記〔22〕または〔23〕に記載の積層体。
〔26〕 前記光透過性を有する部材は、樹脂フィルムからなる、上記〔22〕、〔23〕または〔25〕に記載の積層体。
〔27〕 前記粘着剤層における前記着色剤の含有量は1重量%以上10重量%以下である、上記〔21〕~〔26〕のいずれかに記載の積層体。
〔28〕 前記粘着剤層は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔21〕~〔27〕のいずれかに記載の積層体。
〔29〕 前記粘着剤層における前記金属酸化物の含有量は1重量%以上6重量%以下である、上記〔28〕に記載の積層体。
〔30〕 前記粘着剤層における前記黒色着色剤の含有量は2重量%未満である、上記〔28〕または〔29〕に記載の積層体。
〔31〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔28〕~〔30〕のいずれかに記載の積層体。
〔32〕 前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、上記〔21〕~〔31〕のいずれかに記載の積層体。
〔33〕 前記粘着剤層の厚さは10~50μmの範囲内である、上記〔21〕~〔32〕のいずれかに記載の積層体。
〔34〕 前記粘着剤層からなる基材レス両面接着性粘着シートである、上記〔21〕~〔33〕のいずれかに記載の積層体。
〔35〕 携帯電子機器に用いられる、上記〔21〕~〔34〕のいずれかに記載の積層体。
【0141】
〔36〕 少なくとも2種類の着色剤を含む粘着剤組成物。
〔37〕 前記粘着剤組成物における前記着色剤の含有量は、固形分基準で1重量%以上10重量%以下である、上記〔36〕に記載の粘着剤組成物。
〔38〕 前記粘着剤組成物は、第1着色剤としての黒色着色剤と、第2着色剤としての金属酸化物とを含む、上記〔36〕または〔37〕に記載の粘着剤組成物。
〔39〕 前記粘着剤組成物における前記金属酸化物の含有量は、固形分基準で1重量%以上6重量%以下である、上記〔38〕に記載の粘着剤組成物。
〔40〕 前記粘着剤組成物における前記黒色着色剤の含有量は、固形分基準で2重量%未満である、上記〔38〕または〔39〕に記載の粘着剤組成物。
〔41〕 前記第1着色剤の量C1と前記第2着色剤の量C2との重量比(C1/C2)は0.01~0.30の範囲である、上記〔38〕~〔40〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔42〕 前記粘着剤組成物は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含む、上記〔36〕~〔41〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔43〕 光透過率が30%以下であり、かつ光反射率が8%以上である粘着剤層を形成するために用いられる、上記〔36〕~〔42〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【実施例
【0142】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明における「部」は、特に断りがない限り重量基準である。
【0143】
<評価方法>
[光透過率]
粘着剤層および粘着シートの光透過率[%]は、それぞれ、剥離ライナーから剥がした粘着剤層および粘着シートの厚さ方向の光透過率(波長550nmの光透過率)であり、JIS K 7136:2000に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、日立製作所製の分光光度計(装置名「U4150型分光光度計」)またはその相当品が用いられる。
【0144】
[光反射率]
粘着剤層表面および粘着シート表面の光反射率(%)は、市販の分光光度計を用いて、波長が550nmの光を、剥離ライナーから剥がした粘着剤層または粘着シートの一方の表面(光反射率測定表面)に照射して、光を照射した面で反射した光の強度を測定することにより求められる。分光光度計としては、例えば日立製作所製の分光光度計(装置名「U4150型分光光度計」)を用いることができる。
【0145】
[180度剥離強度(粘着力)]
23℃、50%RHの測定環境下において、両面粘着シートの一方の粘着面に厚さ50μmのPETフィルムを貼り付けて裏打ちし、幅25mm、長さ100mmのサイズにカットして測定サンプルを作製する。作製した測定サンプルにつき、23℃、50%RHの環境下にて、上記測定サンプルの接着面をステンレス鋼板(SUS304BA板)の表面に、2kgのローラを1往復させて圧着する。これを同環境下に30分間放置した後、万能引張圧縮試験機を使用して、JIS Z 0237:2000に準じて、引張速度300mm/分、剥離角度180度の条件で、剥離強度(粘着力)[N/25mm]を測定する。万能引張圧縮試験機としては、例えばミネベア社製の「引張圧縮試験機、TG-1kN」またはその相当品が用いられる。なお、片面粘着シートの場合、上記PETフィルムの裏打ちは不要である。
【0146】
[せん断接着力]
粘着シート(両面粘着シート)を10mm×10mmのサイズにカットして測定サンプルを作製する。23℃、50%RHの環境下にて、上記測定サンプルの各粘着面を2枚のステンレス鋼板(SUS304BA板)の表面にそれぞれ重ねて2kgのローラを1往復させて圧着する。これを同環境下に2日間放置した後、引張試験機を用いて、引張速度10mm/分、剥離角度0度の条件で、せん断接着力[MPa]を測定する。片面接着性の粘着シート(片面粘着シート)の場合は、該シートの非粘着面を接着剤等でステンレス鋼板に固定し、その他は上記と同様にして測定すればよい。引張試験機としては、万能引張圧縮試験機(製品名「TG-1kN」、ミネベア社製)を使用することができる。
【0147】
<例1>
(アクリル系ポリマーの調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのn-ブチルアクリレート(BA)95部およびアクリル酸(AA)5部と、重合溶媒としての酢酸エチル233部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として0.2部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、60℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマーAの溶液を得た。このアクリル系ポリマーAのMwは約70×10であった。
【0148】
(粘着剤組成物の調製)
上記アクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーA100部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂20部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤3部およびエポキシ系架橋剤0.01部とを加え、さらに第1着色剤(黒色着色剤)としてのカーボンブラック粒子(大日精化工業社製、商品名「ATDN101ブラック」、平均粒径350nm)を粘着剤層中に0.07%、第2着色剤(金属酸化物)としての酸化チタン(TiO)粒子(製品名「WHITE PASTE R-2228」、大日精化工業社製、平均粒径50nm)を粘着剤層中に5.10%となるよう添加し、攪拌混合して粘着剤組成物を調製した。テルペンフェノール樹脂(粘着付与樹脂)としては、商品名「YSポリスターT-115」(ヤスハラケミカル社製、軟化点約115℃、水酸基価30~60mgKOH/g)を用いた。イソシアネート系架橋剤としては、商品名「コロネートL」(東ソー社製、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の75%酢酸エチル溶液)を用いた。エポキシ系架橋剤としては、商品名「TETRAD-C」(三菱瓦斯化学社製、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン)を用いた。
【0149】
(粘着シートの作製)
厚さ38μmのポリエステル製剥離ライナー(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)の剥離面に上記粘着剤組成物を塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚さ35μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層に、厚さ25μmのポリエステル製剥離ライナー(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)の剥離面を貼り合わせた。このようにして、両面が上記2枚のポリエステル製剥離ライナーで保護された厚さ35μmの基材レス両面粘着シートを得た。
【0150】
<例2~4>
粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を0.15%(例2)、0.57%(例3)、0.30%(例4)に変更し、酸化チタン粒子の含有量を4.54%(例2)、4.48%(例3)、2.33%(例4)に変更した他は例1と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
【0151】
<例5>
モノマー組成を2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)95部およびAA5部に変更した他はアクリル系ポリマーAの合成と同様の方法で、アクリル系ポリマーBを合成し、アクリル系ポリマーBの溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマーB100部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂20部と、アクリル系オリゴマー10部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤3部およびエポキシ系架橋剤0.03部とを加え、さらに第1着色剤(黒色着色剤)としてのカーボンブラック粒子を粘着剤層中に0.29%、第2着色剤としての酸化チタン粒子を粘着剤層中に3.65%となるよう添加し、攪拌混合して粘着剤組成物を調製した。テルペンフェノール樹脂、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カーボンブラック粒子、酸化チタン粒子としては、例1で使用したものと同種のものを用いた。
アクリル系オリゴマーとしては、次の方法で調製したものを用いた。具体的には、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)95部およびAA5部と、重合開始剤としてのAIBN10部と、重合溶媒としてのトルエンとを仕込み、窒素気流中で1時間撹拌して重合系内の酸素を除去した後、85℃に昇温し、5時間反応させて固形分濃度50%のアクリル系オリゴマーを得た。得られたアクリル系オリゴマーのMwは3600であった。
得られた粘着剤組成物を用いた他は例1と同様にして、両面が上記2枚のポリエステル製剥離ライナーで保護された厚さ35μmの基材レス両面粘着シートを得た。
【0152】
<例6~7>
粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を0.31%(例6)、0.40%(例7)に変更し、酸化チタン粒子の含有量を5.10%(例6)、4.13%(例7)に変更した他は例5と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
【0153】
<例8~9>
粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を0.43%(例8)、0.88%(例9)に変更し、酸化チタン粒子の含有量を4.65%(例8)、2.29%(例9)に変更した他は例1と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
【0154】
<例10~11>
酸化チタン粒子を使用せず、粘着剤層中のカーボンブラック粒子の含有量を2.00%(例10)、1.34%(例11)に変更した他は例1と同様にして、各例に係る粘着剤組成物をそれぞれ調製し、該粘着剤組成物を用いて各例に係る基材レス両面粘着シートを作製した。
【0155】
各例に係る粘着剤の概要と、光透過率、光反射率、粘着力およびせん断接着力の評価結果を表1に示す。
【0156】
【表1】
【0157】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を
限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々
に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0158】
1 粘着シート
1A 粘着面、第1粘着面
1B 粘着面、第2粘着面
21 粘着剤層
21A 粘着面、第1粘着面
21B 粘着面、第2粘着面
31,32 剥離ライナー
図1
図2
図3