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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】ベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20220613BHJP
   B60R 22/28 20060101ALI20220613BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20220613BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20220613BHJP
【FI】
B60R22/46 142
B60R22/46 166
B60R22/28 107
B60N2/42
B60N2/90
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021506301
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019071200
(87)【国際公開番号】W WO2020030685
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】102018213282.8
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ジャブッシュ、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】クルーテ、ギュンター
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-117486(JP,A)
【文献】特表2003-516270(JP,A)
【文献】国際公開第2009/123314(WO,A1)
【文献】実開昭57-023359(JP,U)
【文献】特開2017-218118(JP,A)
【文献】特開2008-273447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトリトラクタ(40)であって、
-ベルトリール(14)と、
巻回することでベルトコイルを形成する安全ベルト(12)と、
-少なくとも第1のサブアセンブリと、を有し、
-前記第1のサブアセンブリが、前記ベルトリール(14)の回転軸と同軸に、かつ前記ベルトリール(14)と直列に配置され
-前記第1のサブアセンブリが、火工式ベルトテンショナ(24)であり、
-内部に提供される火工的に駆動可能な駆動デバイスを備えているテンショナ駆動管(32)と、前記駆動デバイスの駆動移動を前記ベルトリール(14)に伝達する駆動輪(35)と、を有し、
-前記テンショナ駆動管(32)が、直線部分(33)と、前記直線部分(33)の端部に配置されている湾曲部分(34)と、を有し、
-前記直線部分(33)が、前記ベルトリール(14)の前記回転軸に対して平行に走り、かつ前記湾曲部分(34)が、前記駆動輪(35)上で周方向において接線方向に方向付けられているように、前記テンショナ駆動管(32)が配置されており、
-前記直線部分及び前記湾曲部分(34)が、前記ベルトリール(14)の前記回転軸に対して平行に走る平面内に配置されるように、前記テンショナ駆動管(32)が配置されていることを特徴とする、ベルトリトラクタ(40)。
【請求項2】
-前記第1のサブアセンブリが、前記ベルトリール(14)の前記回転軸に対して垂直方向において、前記安全ベルト(12)が前記ベルトリール(14)上に完全に巻回されているとき、前記巻回されたベルトの最大外径よりも小さい又は最大外径と同一の外形寸法を有することを特徴とする、請求項1に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項3】
-前記ベルトリトラクタ(40)が、前記ベルトリール(14)と前記第1のサブアセンブリとの間に配置されている第1の横方向要素(15、16、17、18、19、20)上に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項4】
-少なくとも第2の横方向要素(15、16、17、18、19、20)が、前記ベルトリトラクタを取り付けるために提供されており、前記横方向要素が、前記ベルトリトラクタ(40)の軸方向において前記第1の横方向要素(15、16、17、18、19、20)から離間していることを特徴とする、請求項に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項5】
-前記ベルトリール(14)及び前記第1のサブアセンブリと同軸に、かつ直列に配置されている、第2のサブアセンブリが提供されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項6】
前記第2の横方向要素(15、16、17、18、19、20)が、前記第1のサブアセンブリと前記第2のサブアセンブリとの間に配置されていることを特徴とする、請求項4及び請求項5に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項7】
-前記第1のサブアセンブリ又は前記第2のサブアセンブリが、前記ベルトリール(14)と同軸に配置されている第1のトーションバー(26)を有する力制限デバイス(25)によって形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項8】
-前記力制限デバイス(25)が、前記第1のトーションバー(26)と直列に配置されている少なくとも第2のトーションバー(36)を有することを特徴とする、請求項に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項9】
-前記ベルトリール(14)の前記回転軸と同軸に配置されており、その中へ前記第1のトーションバー及び/又は前記第2のトーションバー(26、36)が突出する、前記ベルトリール(14)の端面上の管状延在部(38)が提供されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項10】
-前記ベルトリトラクタ(40)が、前記第1の横方向要素及び/又は前記第2の横方向要素(15、16、17、18、19、20)上に前記管状延在部(38)と共に取り付けられていることを特徴とする、請求項3、4、6又は9のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(40)。
【請求項11】
-前記第1のサブアセンブリ、又は前記第2のサブアセンブリ、又は第3のサブアセンブリが、電気モータ(22)を有する可逆ベルトテンショナ(23)によって形成されており、
-前記電気モータ(22)が、前記モータの突出駆動シャフトが前記ベルトリール(14)の前記回転軸と同軸で配置されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のプリアンブルの特徴を有する、ベルトリトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトリトラクタは、基本構成要素として、荷重支持フレームと、フレーム内に回転可能に取り付けられ、上部に安全ベルトを巻回することができるベルトリールと、を有する。フレームは、ベルトリールを取り付けるだけでなく、座席構造又は車両構造への締結のためにも役割を果たし、この目的のために、U字形フレームに曲げられる相応に厚い鋼板で作製される。
【0003】
安全ベルトデバイスを有する車両座席は、例えば、少なくとも安全ベルトデバイスのベルトリトラクタが車両座席の背もたれに締結される、コンバーチブル内の前部座席としての使用において既知である。この場合、荷重支持Bピラーの欠如に起因して、及び後部座席へのアクセスに関する理由、又は後部車両構造からの距離に関する理由のために、ベルトリトラクタは、車両座席の背もたれに好ましくは組み込まれ、それゆえ、拘束の場合に作用する張力を吸収するように設計されなければならない。ベルトリトラクタ自体は、標準的なベルトリトラクタの全ての基本構成要素を有し、自己位置合わせ慣性センサなどの、背もたれ内の設置のために特に提供された様々な付加的なサブアセンブリのみを装備する。
【0004】
座席の基本設計では、車両座席は、車両座席を車両構造に締結する役割を果たす、複数の荷重支持構造部品からなる座席構造を有する。座席構造は、座り心地を改善するためにばね及び椅子張り材料を装備し、また、関連付けられた電気モータを含む、様々な座席調節機構などの更なる構成要素、及び加熱デバイス、センサ、ディスプレイ、ヘッドレストなどの更なる構成要素の締結のために使用される。
【0005】
自律駆動システムを有する現代の車両では、車両乗員が、例えば、他の乗員とのより有意義なコミュニケーションのため、延在されたより集中的な休憩状態のため、又は更には作業のために、自律駆動によって得られた自由を使用することができ、かつ車両座席を適宜に配向することができるように、異なる配向及び位置における車両座席のより高度な調節機能に関する要求が増加している。その結果、安全ベルトデバイス、及び特にベルトリトラクタは、従来のように車両構造に締結されなければならないということはなく、例えば、コンバーチブルの前部座席の場合で既にあるように、むしろ車両座席に固定されなければならない。
【0006】
しかしながら、1つの問題は、更なる構成要素を有するベルトリトラクタが、ベルトリトラクタの外形寸法に起因して比較的大きい空間要件を有することであり、その結果、車両座席への設置は、問題になり得る。これは特に、吸収される張力に関して、例えば、46mmの所定の幅を与えられた安全ベルトは、特定の最小の厚さを有さなければならず、かつ乗員の拘束のために、例えば、2500mmの特定の最小の長さを有さなければならず、その結果、安全ベルトが完全に巻回されると、ベルトリール上の巻回されたベルトは、巻回される安全ベルトの体積に起因して、相応に大きい外径を有する。この大きい巻回されたベルトは、ベルトリトラクタの相応に大きいフレーム、及び不可逆ベルトテンショナの駆動デバイス、可逆ベルトテンショナの電気モータ、力制限デバイス、センサデバイスなどの更なる構成要素によって、外側に向かって更に拡大され、それによって設置空間要件をますます増加させる。
【発明の概要】
【0007】
この背景に対して、本発明は、車両座席の制限された設置空間内にも配置され得る、ベルトリトラクタを提供する目的に基づく。
【0008】
この目的を達成するために、請求項1に記載の特徴を有するベルトリトラクタが提案されている。本発明の更なる好ましい改善は、従属請求項、図面、及び対応する説明から取得され得る。
【0009】
請求項1に記載の本発明の基本的思想によれば、ベルトリール、巻回されたベルトを形成するために上部で巻回され得る安全ベルト、及び少なくとも第1のサブアセンブリを有するベルトリトラクタが提案され、更なるサブアセンブリは、ベルトリールと同軸に、かつ直列に配置される。提案された解決策により、ベルトリトラクタは、車両座席上の狭く細長い設置空間において、省空間設計で配置されることを可能にする。サブアセンブリは、ベルトリールと直列に同軸配向で意図的に配置され、その結果、ベルトリトラクタの細長い幾何学形状を実現することができる。更なるサブアセンブリが、ベルトリールと直列、すなわち、ベルトリールの回転軸の長手方向、ベルトリールの後方又は前方に対して配置されるため、サブアセンブリは、サブアセンブリが巻回されたベルトを越えて、仮にあったとしてもわずかに外側に突出するように配置することができる。車両座席は、概して空洞を有するが、しかしながら多くの場合細長く、かつ狭い形状であるため、ベルトリトラクタは、提案された解決策の結果として、これらの既存の設置空間よりもはるかに良好に適合され、かつ配置され得る。サブアセンブリは、例えば、可逆ベルトテンショナ、不可逆ベルトテンショナ、力制限デバイス、センサデバイス、又は更には制御デバイスであり得る。更なるサブアセンブリが提供される場合、これらのサブアセンブリは、ベルトリールの回転軸に対して、直列に、すなわち、他方の背後に好ましくは配置され、それによってベルトリトラクタの細長い設計が更に継続され、かつ延在される。
【0010】
ベルトリールの回転軸に対して垂直な方向において、更なるサブアセンブリは、安全ベルトがベルトリール上に完全に巻回されるとき、巻回されたベルトの最大外径よりも小さい又は最大外径と同一の外形寸法を有することが更に提案される。巻回されたベルトは断面が円形であり、提供される例示的な実施形態では、各場合において、四角形の断面を有する空洞内に配置されているため、ベルトリトラクタを収容するための空洞は、最大に巻回されたベルトの少なくとも直径に対応する辺長を有する四角形の断面を有する。これにより、各場合において、角部内のおよそ三角形の細長い自由空間をもたらし、このコースもまた使用することができる。本発明の意味では、これらの自由空間へのかかる突出はまた、最大直径の巻回されたベルトによって規定された外径寸法内にあるものとして理解されるべきである。
【0011】
このため、ベルトリトラクタの最大外形寸法は、最大外径を有する完全に巻回された、巻回ベルトによって規定され、上記の理由のために、いかなる方法でも低減することができない。このため、ベルトリトラクタは、車両座席又は車両の他の構造内の細長く狭い設置空間内に配置され得るように、可能な限り狭く作製することができる。ベルトリトラクタが車両又は車両座席の荷重支持構造部品の空洞内に締結される場合、ベルトリトラクタのベルトリールが、荷重支持構造部品上に直接保持され、取り付けられるという点で、ベルトリトラクタのこれまで必要とされたフレームに取って代わることができる。更に、この場合、拘束の場合に生じる張力は、構造部品に直接導入することができ、荷重支持構造部品は、空洞に与えられた形状によって拘束力を吸収するように特に設計され得る。荷重支持構造部品が座席構造の構造部品である場合、車両座席上に作用する座席の力及び他の力を吸収するように設計された任意の場合であり、このため、安全ベルトによって及ぼされる拘束力を吸収するために提案された解決策によっても使用され得る、十分に高い強度を既に有する。更に、提供される空洞及びそれによって提供される三次元設計に起因して、荷重支持構造部品は、特に高いねじり剛性及び曲げ剛性を有し、これはまた事故の事象において、荷重吸収及び乗員の拘束のためにも有利である。
【0012】
更に、ベルトリトラクタは、サブアセンブリとベルトリールとの間、又は2つのサブアセンブリの間に配置された1つ以上の横方向要素内に取り付けられることが更に提案される。ベルトリトラクタの取り付けに加えて、横方向要素は、センサ、ガス発生器、制御ユニットなどの更なる機能ユニットを収容するために付加的に使用することができる。更に、横方向要素は、荷重支持構造部品を補強するために使用することができる。横方向要素は、サブアセンブリが直列に配置された状態で、ベルトリトラクタの細長い形状を特に可能にする。
【0013】
第1の横方向要素から離間された、少なくとも第2の横方向要素が提供されることが更に提案される。ベルトリトラクタの取り付けは、第2の横方向要素によって更に改善され得、例えば、ベルトリトラクタの更なるサブアセンブリのための更なるサブアセンブリ及び機能ユニットが、提供され得る。
【0014】
第2のサブアセンブリが提供され、これが、ベルトリールと同軸に、かつ直列に配置され、並びに第1のサブアセンブリに対して配置されることが更に提案される。第2のサブアセンブリによって、ベルトリトラクタは、更なる機能を装備することができ、ベルトリール及び第1のサブアセンブリが、少なくともその基本構造に関して変更されないことが採用されている。結果として、ベルトリトラクタは、モジュール構造を有することができ、そのモジュール構造のおかげで、様々な顧客特有の機能、及び用途特有の機能を装備することができる。
【0015】
この場合、第2の横方向要素は、第1のサブアセンブリと第2のサブアセンブリとの間に好ましくは配置されてもよく、それにより、2つのサブアセンブリのための軸受け点として同時に機能する。
【0016】
更に、第1のサブアセンブリ又は第2のサブアセンブリは、内部に提供される火工的に駆動可能な駆動デバイスを備えるテンショナ駆動管と、駆動デバイスの駆動移動をベルトリール上に伝達する駆動輪と、を有する火工式ベルトテンショナであることが更に提案され、テンショナ駆動管は、直線部分と、直線部分の端部に配置された湾曲部分と、を有し、テンショナ駆動管は、直線部分がベルトリールの回転軸に対して平行に走り、湾曲部分が駆動輪上で周方向において接線方向に方向付けられるように配置される。提案された火工式ベルトテンショナの設計の利点は、テンショナ駆動管の提案された形状及び配置で特にコンパクトになるように設計され得るという事実において見られ、直線部分及び回転軸に対する平行配置に起因して、テンショナ駆動管は、ベルトリトラクタ上の縁部側の線形自由空間内に好ましくは配置され得、その結果、ベルトリトラクタの外形寸法は、仮にあったとしてもわずかに増加されるのみである。
【0017】
第1のサブアセンブリ又は第2のサブアセンブリは、ベルトリールと同軸に配置された第1のトーションバーを有する力制限デバイスによって形成されることが更に提案される。提案された解決策により、ベルトリトラクタは、構造的に特に単純な設計を有する、最も狭い可能な限りコンパクトな形状で実現することができる。
【0018】
力制限デバイスが段付き力制限プロファイルで実現される場合、力制限デバイスは、第1のトーションバーと直列に配置された少なくとも第2のトーションバーを有することができる。第2のトーションバーによって、力制限レベルは、2つのトーションバーの寸法決めに応じて異なる力制限レベルで実現することができ、ベルトリトラクタのコンパクトな細長い構造は、同軸配置によって再び実現することができる。
【0019】
更に、ベルトリールの回転軸と同軸に配置され、第1のトーションバー及び/又は第2のトーションバーが突出される管状延在部が、ベルトリールの一方の端面に提供されることが提案される。この延在部により、ベルトリールは、軸方向に延在し、軸受けラグが、係止部品のために形成され、これは、係止デバイスによって係止され得、第1のトーションバー及び/若しくは第2のトーションバーが接続されるか、又は連結部を介して接続され得る。トーションバーは、次に、ベルトリールに直接、又は延在部を介して回転固定された様式で後者のいずれかに接続され、その結果、係止部品が係止され、画定されたベルト引き抜き力を超過すると、トーションバーは、それ自体の長手方向軸を中心に塑性変形し、このためエネルギーを消散させる。
【0020】
管状延在部を有するベルトリトラクタが、第1の横方向要素及び/又は第2の横方向要素上に取り付けられることが更に提案される。延在部は、このため、ベルトリールを取り付けるために付加的に使用され、これは特にトーションバー(複数可)の塑性変形中に有利であるが、これは、吸収される力が、その原点の場所に可能な限り接近して軸受けによって吸収され得、結果として生じる軸受けにおけるトルクが小さく保たれ得るためである。
【0021】
第1のサブアセンブリ、又は第2のサブアセンブリ、又は第3のサブアセンブリは、電気モータを有する可逆ベルトテンショナによって形成されることが更に提案され、電気モータは、その突出駆動シャフトがベルトリールの回転軸と同軸に配置される。
【0022】
添付の図面を参照しながら、本発明を好ましい実施形態を使用して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】上部に配置された本発明による、荷重支持構造部品及びベルトリトラクタを有する車両座席の2つの長手方向支柱である。
図2】内部に単一部品として配置された本発明による、空洞及びベルトリトラクタを有する荷重支持構造部品である。
図3】内部に配置された本発明による、空洞及びベルトリトラクタを有する荷重支持構造部品の断面図である。
図4】2部ハウジングを有する本発明による、ベルトリトラクタである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、車両座席の背もたれを形成する、自動車用車両座席の座席構造の一部品を示す。座席構造は、車両座席の寸法的に安定した「コア」を形成し、座り心地を改善するためにばね及び/又は椅子張り材料を付加的に装備する。更に、座席調整機構、ヘッドレスト、ディスプレイなどの電子デバイス、若しくは更に加熱デバイスなどの、図示されない更なる機能的構成要素が、座席構造上に提供される。
【0025】
座席構造は、2つが互いに平行に位置合わせされた長手方向支柱1によって形成される、いくつかの荷重支持構造部品2の複合体を備える。長手方向支柱1の上端部は、荷重支持構造部品2によって共に接続されて、背もたれの寸法的に安定した上側を形成する。長手方向支柱1を接続するために、締結開口部を有する直立タブ4が当該支柱上に提供され、締結開口部も同様に構造部品2上に提供され、それによって、部品は、ねじ又はリベットのいずれかによって共に接続される。
【0026】
図2では、荷重支持構造部品2は、拡大された表現における単一の部品として見ることができる。荷重支持構造部品2は、基本構成要素として、断面においてU字形であり、基部面10と、互いに平行に走り、基部面10から上向きに突出する2つの壁形状の両側面8及び9と、を有する、プロファイルレール7を備える。プロファイルレール7は、側面8及び9の縁部側の間に形成される開口部28を有し、これは、図1に見られ得るが、構造部品2のより良好な視認性のために図2では省略されている、挿入部品6によって閉鎖される。挿入部品6は、開口部28の形状に適合された形状を有する板で形成され、スリット13を有し、このスリット13を通して、下記でより詳細に説明される安全ベルト12が、側面8と側面9との間の空洞21から、拘束される車両座席上の車両乗員上に外側に向かって誘導される。挿入部品6は、提供されたスロット13を除いて開口部28を閉鎖又は低減し、その結果、空洞21は、外側に向かって閉鎖され、内部に提供された本発明によるベルトリトラクタ40は、機械的影響に対して保護される。プロファイルレール7の端面は、各々横方向要素15及び20によって閉鎖される。
【0027】
ベルトリール14及び上部に巻回され得、かつ図3の断面図において見られ得る安全ベルト12を有するベルトリトラクタ40は、荷重支持構造部品2の空洞21内に配置される。ベルトリール14に加えて、ベルトリトラクタ40は、更なるサブアセンブリ、又は更には複数のトーションバー26、36、及び37を有する力制限デバイス25の形態の第1のサブアセンブリ、火工式不可逆ベルトテンショナ24の形態の第2のサブアセンブリ、並びにベルトリール14の回転軸と同軸の配置で、可逆的な電動式ベルトテンショナ23の形態の第3のサブアセンブリを有する。更に、サブアセンブリは、ベルトリール14と共に、前後に直列に配置される。安全ベルト12が上部で最大に巻回されたベルトリール14の外部寸法、並びに火工式ベルトテンショナ24及び電動式ベルトテンショナ23の力制限デバイス25の外形寸法は、選択されたベルトリール14の回転軸に対して垂直な断面積内にあり、そのため安全ベルト12が最大限に巻回されたとき、ベルトリール14上の巻回されたベルトの外形寸法を超過しない。更に、外形寸法は、プロファイルレール7の長手方向の延在に対して垂直な空洞21の寸法よりも大きくならず、そのためサブアセンブリを有するベルトリトラクタ40は、プロファイルレール7の空洞21内に配置され得る。
【0028】
プロファイルレール7では、複数の横方向要素15、16、17、18、19、及び20が、プロファイルレール7の長手方向の延在に対して垂直に位置合わせされ、側面8又は側面9のうちの一方から、プロファイルレール7のそれぞれの他方の側面8又は側面9まで延在する壁部分の形態で提供され、そこに接続される。更に、横方向要素15、16、17、18、19、及び20は、プロファイルレール7の基部面10まで延在することができ、このため、プロファイルレール7の断面積全体を埋めることができる。横方向要素15、16、17、18、19、及び20は、各々、ベルトリトラクタ40又はベルトリール14などのその部品が取り付けられ、締結され、及び/又は通過する、1つ以上の開口部又はラグを有する。更に、例えば、横方向要素15、16、17、18、19、及び20のうちの1つはまた、ベルトリール14又はベルトリトラクタの他の部品が係止され得る、歯部若しくは別のタイプの係止設計を有することができる。横方向要素15、16、17、18、19、及び20はまた、火工式ベルトテンショナ24のための火工式推進剤、センサ、電子制御ユニット、又はメモリデバイスなどの電子構成要素などの、ベルトリトラクタの更なる構成要素を収容するための付加的な空洞を有してもよい。横方向要素15、16、17、18、19、及び20が側面8又は側面9のうちの一方からそれぞれの他方の側面8又は側面9まで延在する場合、横方向要素15、16、17、18、19、及び20は、プロファイルレール7を補強するために付加的に使用することができ、これは、再び、乗員の拘束の場合において、プロファイルレール7の荷重吸収及び寸法安定性に関して有利である。ベルトリトラクタ40の構成要素は、同軸に、かつ順に意図的に配置され、そのためサブアセンブリは、外側に向かって径方向にベルトリトラクタの外形寸法を増加させず、ベルトリトラクタ40はまた、プロファイルレール7の狭く細長い空洞21内に配置することができる。その結果、プロファイルレール7及び荷重支持構造部品は、車両座席の座席構造における荷重支持構造部品の使用に特に有利であるように、相応に狭くかつ細長く設計することができる。
【0029】
図3は、プロファイルレール7及びベルトリトラクタを通る断面の荷重支持構造部品を示す。断面がU字形であるプロファイルレール7は、この表現では観察者に面する側面8及び側面9、並びに基部面10を有する。ベルトリトラクタ40が配置される空洞21は、側面8と側面9との間に提供される。空洞21は、プロファイルレール7の長手方向において6つの横方向要素15、16、17、18、19、及び20によって分割され、2つの外側横方向要素15及び20は、プロファイルレール7の2つの端部において外側に対して空洞21を閉鎖する。駆動ばね27を有するばねカセットは、横方向要素15の右側で保持され、順に駆動ばねがベルトリール14に接続され、それによって、上部に巻回された安全ベルト12の巻回方向においてベルトリール14を予圧する。ベルトリール14は、その端部においてプロファイルレール7に突出し、ベルトリール14に同軸に配置されたベルトリール14の管状延在部38によって形成された力制限デバイス25と、直列に配置された3本のトーションバー26、36、及び37と、プロファイルレール7に関して回転固定された様式で係止され得る係止部品41と、が装備される。本実施形態では、3つのトーションバー26、36、及び37が提供され、この各々が接続されるか、又は一方の端部がベルトリール14若しくは管状延在部38に回転固定された様式で接続することができ、並びにそれぞれの他方の端部は、プロファイルレール7に関して回転固定された様式で係止され得るか、又はそれぞれ横方向要素16若しくは17に提供されたスイッチデバイスによって、後者から取り外され得る。このため、トーションバー26、36、及び37は、個々に、又は組み合わせて作動させることができ、その結果、拘束力は、異なる力制限レベルで実現され得るか、又は段付き力制限プロファイルが実現され得る。係止部品41は、車両感知及び/又はベルト感知様式において制御することができる係止デバイスによって、安全ベルト12の引き抜き方向において係止され得、それによって、力制限デバイス25自体によって画定される力制限レベルを超過したとき、自動的にその後作動させるように、力制限デバイス25を係止する。更に、ベルトリール14と同軸に配置された駆動輪35を有する、火工式不可逆ベルトテンショナ24が提供され、これは、作動時に、介在された連結部を介して巻回方向においてベルトリール14を駆動し、安全ベルト12を締める。加えて、電気モータ22を有する可逆ベルトテンショナ23が提供され、これは、作動時に、第2の、又は更には火工式ベルトテンショナ24と同じ連結部を介して巻回方向においてベルトリール14を駆動し、それによって安全ベルト12を締める。電気モータ22は同様に、ベルトリール14、及びこのためまた、力制限デバイス25、並びに及び火工式ベルトテンショナ24と同軸に配置される。更に、電子制御ユニット29が、荷重支持構造部品2のプロファイルレール7内に提供され、ベルトリトラクタ40及び/又は更なる構成要素を制御するための役割を果たすことができる。
【0030】
荷重支持構造部品2は、図1に見られ得る、長手方向支柱1などの座席構造の更なる部品を共に接続するという点で、座席構造の基本構成要素である。構造部品2は、このため、座席構造を形成する作業を有し、加えて、提供された空洞21によって、本発明によるベルトリトラクタ40を収容するための役割を果たす。荷重支持構造部品2は、ベルトリトラクタ40を有するサブアセンブリとして予め組み立てられ得、次いで、座席構造又は車両座席の製造中に構造ユニットとして最終的に組み立てられ得る。
【0031】
プロファイルレール7は、荷重支持構造部品2の基本構成要素を形成し、座席構造における更なる構造部品間で実現される接続に従って、成形及び寸法決めされる。プロファイルレール7は、ベルトリトラクタ40を支持するだけでなく、ベルトリトラクタ40を車両座席に締結し、ベルトリール14を係止するための役割を果たすという点で、ベルトリトラクタ40のこれまで必要とされたフレームに取って代わることができる。
【0032】
本発明によるベルトリトラクタ40は、ベルトリール14及び更なるサブアセンブリ、すなわち、同軸の直列配置における、力制限デバイス25、火工式ベルトテンショナ24、及び可逆ベルトテンショナ23とモジュール式に設計される。サブアセンブリは、ここでは、図3に見られ得るように、安全ベルト12が最大限に巻回されると、サブアセンブリの径方向外側寸法がベルトリール14上の巻回されたベルトの寸法を越えて突出しないように意図的に設計される。
【0033】
それらの支持機能に加えて、横方向要素15、16、17、18、19、及び20はまた、対応するレセプタクル、及びレセプタクル内、又はレセプタクル上における様々な機能ユニットの配置を付加的に又は更に代替的に提供することによって、機能壁として理解することもできる。それらの支持機能を実行することを可能にするために、横方向要素15、16、17、18、19、及び20は、側面8及び側面9とプロファイルレール7の基部面10との間、又は図4に見られ得るハウジング部品30とハウジング部品31との間で回転固定された様式で好ましくは支持される。
【0034】
図4は、本発明によるベルトリトラクタ40が、ここでは、プロファイルレール7ではなく2つのハウジング部品30及びハウジング部品31を有する2部ハウジングを伴って装備される、代替的な例示的な実施形態を示す。ハウジング部品30及びハウジング部品31は、各々U字形であり、図4の上部右側の図に見られ得るように、取り付けられた位置の外側に配置された横方向要素15、16、17、18、19、及び20を含む、ベルトリール14及び更なるサブアセンブリを備える。組み立てられた位置では、ハウジング部品30及びハウジング部品31は、断面が四角形である細長い空洞21を形成する。安全ベルト12が上部に巻回されたベルトリール14及び更なるサブアセンブリは、断面が円形であるため、断面がおよそ三角形である細長い自由空間が、ベルトリール14の巻回されたベルトと、サブアセンブリと、ハウジングとの間の角部に各場合で提供され、ここでテンショナ駆動管32の配置のために使用される。テンショナ駆動管32は、緩く当接する一連の質量体、又は火工式ベルトテンショナの作動時に加速され、それによって駆動輪35と駆動接続される弾性ドライブトレーンなどの駆動デバイスを誘導する役割を果たす。駆動輪35及びベルトリール14は、それによって安全ベルト12の巻回方向において回転するように続いて駆動される。テンショナ駆動管32は、直線部分33及び湾曲部分34を有し、ベルトリール14及び駆動輪35の回転軸に対して平行な直線部分33と位置合わせされ、湾曲部分34が駆動輪35の外周上で周方向において接線方向に方向付けられるように配向及び配置される。この場合、湾曲部分34は、湾曲部分34及び直線部分33が1つの平面内に配置されるように、1つの平面内でのみ湾曲しており、テンショナ駆動管32は、直線部分33及び湾曲部分34によって広がる平面がベルトリール14の回転軸に対して平行に走るように配向される。
【0035】
組み立てられた位置では、内部に配置されたベルトリトラクタ40を有するハウジング部品30及びハウジング部品31は、座席構造において、図1に見られ得る荷重支持構造部品2として使用することができる、寸法的に安定した部品を形成する。
【0036】
プロファイルレール7又はハウジング部品30及びハウジング部品31を有する荷重支持構造部品2は、水平設置幾何学形状で図1の表現により説明されており、これは、乗員への送りにおいて、安全ベルト12の水平配向に関する利点を有する。乗員への送りにおける安全ベルト12の水平配向は、安全ベルト12が、再度方向転換させることなく、乗員の肩上に水平に誘導され得るという点で有利である。しかしながら、代替的に、荷重支持構造部品2はまた、座席構造上に垂直又は斜めの配向で配置することもできる。次いで、安全ベルト12は、斜めの配向で乗員に送られるか、又は別個の偏向デバイスによって、意図された送り方向に方向転換される。更に、構造部品2はまた、背もたれの上縁部の代わりに背もたれの座席構造の下側の点又は一方の側に配置されてもよく、提供された座席構造又は安全ベルト12の送りが、これを必要とし、及び/若しくは可能にする。プロファイルレール7、又はハウジング部品30及びハウジング部品31の代わりに、ベルトリトラクタ40が配置され、特に端面において押圧される、円形又は他の種類の断面を有する管状構造部品2を提供することもまた考えられる。
図1
図2
図3
図4