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特許7087209電気療法および/または電気生理学のための装置、キットおよび組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】電気療法および/または電気生理学のための装置、キットおよび組立体
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20220613BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20220613BHJP
   A61B 5/293 20210101ALI20220613BHJP
   A61B 5/294 20210101ALI20220613BHJP
   A61B 5/296 20210101ALI20220613BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/36
A61B5/293
A61B5/294
A61B5/296
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021559149
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2020059047
(87)【国際公開番号】W WO2020201252
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】102019000005268
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321006040
【氏名又は名称】ワイズ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】WISE S. r. l.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】アントニーニ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】サイーニ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】スプレアフィーコ,ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】フェッラーリ,サンドロ
(72)【発明者】
【氏名】マロールニ,セルジョ
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,トーマス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】コフラー,ジョージーナ ローズ
(72)【発明者】
【氏名】サロモン,キャレブ ルーク
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0257714(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0207419(US,A1)
【文献】特表2007-528774(JP,A)
【文献】特表2014-530644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61N 1/36 - A61N 1/378
A61B 5/291 - A61B 5/297
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(X-X)に沿って延在し、近位端(3)および遠位端(4)を含む長尺リード本体を有する少なくとも1つのリード(2);ならびに
パドルの厚み(33)を間で規定する2つの対向する主面(6,7)を含むパドル本体を有する少なくとも1つのパドル(5);
を備え、
前記パドル(5)は、患者の身体(11)内の生体構造(10)と電気的に接触するように設計された露出面(9)を有する少なくとも1つのパドル電極(8)を含み、
前記パドル(5)は、その横方向の伸張(12)を変更するのに適しており、それによって、少なくとも1つの搬送構成および少なくとも1つの作動構成をとり、この場合、前記少なくとも1つの搬送構成にあるときのパドル(5)の横方向の伸張(12)は、前記少なくとも1つの作動構成にあるときの同じパドル(5)の横方向の伸張(12)よりも小さく;
前記リード(2)は、その遠位端(4)の近傍に接続部(13)を含む、電気療法および/または電気生理学のための装置(1)であって、
前記リード(2)の前記接続部(13)は、少なくとも1つのアーチ状の導電面(14)を含み;
前記パドル(5)は、リード(2)の接続部(13)の少なくとも1つの前記導電面(14)と直接接触する、少なくとも1つのアーチ状の導電性対向面(16)を含む、少なくとも1つの対向接続部(15)を含み、それによって、パドル(5)の前記少なくとも1つの対向接続部(15)は、リード(2)の前記接続部(13)に面した第1凹部(R1)を規定する横方向にアーチ状の形状を有し;
リード(2)の前記近位端(3)が少なくとも1つのパドル電極(8)の前記露出面(9)と電気的に連通するように、パドル(5)の前記少なくとも1つの導電性対向面(16)は、パドル(5)の本体内に延在する少なくとも1つの導電性トラック(17)を通じて、前記パドル電極(8)と電気的に連通することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記パドル(5)が、少なくとも1つのパドル折り部(19)を含むパドル(5)の少なくとも1つの横方向に折り返された部分(20)を規定する少なくとも1つのパドル折り部(19)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
パドル(5)の前記少なくとも1つの横方向に折り返された部分(20)が、前記第1凹部(R1)とは反対側の第2凹部(R2)を規定する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記パドル(5)は、前記主面(6,7)の幅を画定する少なくとも1つのパドル横縁(22)を含み、前記少なくとも1つのパドル折り部(19)が、パドル(5)の前記対向接続部(15)と前記横縁(22)との間に位置し、自由端(23)を含むパドル翼(21)と前記少なくとも1つのパドル電極(8)の少なくとも一部とを規定する、請求項1~3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
パドル(5)の少なくとも1つの横方向に折り返された部分(20)を規定する前記少なくとも1つのパドル折り部(19)が、パドル(5)が搬送構成にある場合と、パドル(5)が作動構成にある場合の両方の場合に設けられている、請求項1~4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記パドル(5)が、それぞれが自由端を有する少なくとも2つの対向するパドル翼(21)を規定する、パドル(5)の前記対向接続部(15)に関して対向する2つの対向するパドル折り部(19)を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記パドル(5)を前記作動構成に向けて付勢する少なくとも1つの付勢デバイス(24)を備え;および/または
前記少なくとも1つの付勢デバイス(24)は、弾性材料および/または超弾性材料で作られた少なくとも1つの弾性部材を含み;および/または
前記少なくとも1つの付勢デバイス(24)は、形状記憶材料で作られた少なくとも1つの形状記憶部材を含み;および/または
前記少なくとも1つの付勢デバイス(24)は、パドル(5)内に組み込まれている、請求項1~6の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記パドル(5)は、重層構造を有し;および/または
前記パドル(5)は、前記少なくとも1つの導電性トラック(17)および/または前記パドル電極(8)を形成する金属材料の埋め込まれたおよび/または蒸着された薄膜を有するポリマー基板(25)で作られており;および/または
埋め込まれた前記金属材料が、リード(2)の前記導電面(14)と電気的接続を形成するように配置された複数のナノ粒子の形態であり;および/または
埋め込まれた前記金属材料は、金属板の形態である、請求項1~7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記パドル(5)と接触しない遠位の自由端部(58)を備え、前記自由端部(58)は、案内スタイレットを収容するための長手方向の空洞(18)の遠位部分を画定する、請求項1~8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の少なくとも1つの装置(1)と、少なくとも1つの中空体(28)を含む経皮的送達システム(27)とを、備えるキット(30)であって、前記中空体(28)は、搬送構成の場合に前記少なくとも1つの装置(1)を収容する、キット。
【請求項11】
パドルの横方向に折り返されたセグメントを規定する前記少なくとも1つの折り部が、経皮的送達システム(27)の中空体(28)の横方向の大きさ(29)の内側に含まれている、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記中空体(28)は、パドル(5)を搬送構成で拘束する、パドル(5)の拘束体として機能する、請求項10または11に記載のキット。
【請求項13】
請求項1~9の何れか1項に記載の少なくとも1つの装置(1)と、少なくとも1つの制御ユニット(36)と、を備える組立体(51)であって、前記組立体(51)は、電気療法のための刺激装置および/または電気生理学のための記録装置である、組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、電気療法および/または電気生理学のための装置である。
【0002】
また、本発明は、このような装置を含む電気療法用の刺激装置に関する。
【0003】
さらに、本発明は、このような装置を備えた電気生理用記録装置に関する。
【0004】
また、本発明は、前記装置を含むキットに関する。
【背景技術】
【0005】
人体に埋め込み可能な装置を送達するための低侵襲手術は、当技術分野では一般的に知られている。例えば、静脈ポートを通じて対象となる生体構造にアクセスするための介入カテーテルを使用することが知られている。
【0006】
また、埋め込み可能な装置を送達することも知られており、この装置は、搬送構成のときに半径方向のサイズを減少させることができて、介入カテーテルの内腔に適合し、移植部位に到達したときに、最終的に半径方向のサイズを大きくさせることができる。
【0007】
これらの既知の埋め込み可能な装置は、一般的に、カテーテルの長手方向の内腔を通って全方向に延在する制御ワイヤによって制御され、外科医などのオペレータが、患者の体外にある制御ステーション、例えばカテーテルハンドルから埋め込み可能な装置の配置を制御できるようになっている。
【0008】
形状記憶材料、例えばニチノールなどの形状記憶合金および/または例えば形状記憶架橋ポリマーなども、一般的に生体インプラントに使用されており、適切な熱応力を受けると元の形状に戻るというユニークな機能を有している。例えば、自己拡張型ステントグラフトおよびその他の半径方向に拡張可能な埋め込み可能な構造体は、典型的にはニチノールで作られており、これは、生体構造に埋め込まれたときに患者の体内で温度が上昇して自己拡張する特性を有するためである。形状記憶架橋ポリマーは、実質的にガラス材料のように硬質相から軟質相へと融解することで形状記憶効果を典型的に発揮する。
【0009】
超弾性材料は、一般的に擬似弾性材料と呼ばれ、元の形状を得るために熱的な活性化を必要とせずに、非常に大きな弾性可逆変形を起こすユニークな機能を発揮する材料として、当技術分野では知られている。電気生理学の技術分野では、生体構造の電気的活性を検出するための埋め込み可能電極を提供することが知られている。例えば、脳の電気的活性は、患者の頭皮に挿入された針電極によって検出することができる。記録装置を含む制御ユニットは、検出された信号、例えば、皮質電気信号を記録し、フィルタリングするために、通常、埋め込み可能電極に関連付けられている。
【0010】
電気療法のための埋め込み可能電極も当技術分野では知られている。例えば、人工的な心臓ペーシングは、心拍数を制御するために心臓の収縮組織に刺激パターンを伝達することができる能動的な装置を埋め込むことによって一般的に達成される。
【0011】
神経変調療法の技術分野では、埋め込み可能電極を用いて、特定の電気的および/または磁気的な刺激パターンを適用することにより、神経組織の機能の制御された変化を引き起こす。神経変調療法には、投薬抵抗性てんかん、慢性頭部痛、膀胱・腸や呼吸器の制御から聴覚(人工内耳、聴性脳幹インプラント)や視覚(網膜インプラント)などの感覚障害の改善に至るまでの機能療法への応用も含まれる。例えば、後頭神経への末梢神経刺激は、慢性的な片頭痛の痛みの緩和を目的とする。
【0012】
さらに、脳コンピュータインターフェースの技術分野では、損傷した動作、視覚および/または聴覚を回復させるために、脳と装置の間で双方向の直接通信を行うための埋め込み可能電極が、主に神経機能代替のために使用されている。双方向通信では、電気刺激を送信するための刺激電極として機能するいくつかの埋め込み可能電極と、標的生体構造の電気的活性を感知するための記録電極として機能する他のいくつかの電極が必要である。そのため、複数のそのような電極は、通常、アレイの形態で配置される。
【0013】
また、心臓再同期療法の分野では、埋め込み可能電極が使用されている。これらの電極は、心臓に電気刺激を与えるための刺激電極と、心臓の電気的状態および活性に関する情報を検出するための記録電極とを含むのが一般的である。
【0014】
標的生体構造の組織との電気的相互作用を目的として、標的生体構造内に埋め込み可能電極を導入したいというニーズがあるため、電極の最大サイズを必然的に制限する経皮的アクセスを通して電極が埋め込まれることが好ましい。
【0015】
例えば、慢性的な痛みの緩和を目的とした脊髄刺激(SCS)用の電極を埋め込むことが一般的に知られている。これらの刺激電極は、脊柱の椎孔に沿って、患者の身体の矢状面の脊髄の後ろに延在する溝である硬膜外腔に挿入される。
【0016】
生体組織を刺激するための展開可能な電極を提供することは、当技術分野では広く知られている。この電極は、標的生体組織への経皮的送達のために、カテーテルシャフトの遠位端に取り付けられている。
【0017】
展開可能な電極は、通常、その展開可能な構造体の本体を展開時に付勢するためのバネを備えている。
【0018】
展開可能な電極は、一般的に、送達カテーテルまたはその一部に制約されていない場合、その横方向のサイズを大きくすることができる。
【0019】
例えば、US-2008-140152には、柔軟な電気回路の薄膜で作られたインプラント構造の本体を有する横方向に折り畳めるパドル電極が示されている。この技術では、標的組織に到達した後にパドルを展開することができる。しかし、この技術では、パドル電極の高い柔軟性のために、パドル電極が送達カテーテルまたはその一部に制約されていない場合、操作性が悪くなる。
【0020】
展開可能な電極の他の既知の例は、US-2011-257714、US-2018-200505、US-2016-166828、US2018-353753、US-2005-0203602、US-2009-0270957、EP-1818074、US-6319241、US-6522932、US-2014-01421674、US-8934956、US-2014-0343564、PCT-US02-24397、US-8676346およびUS-2007-0027514に示されている。
【0021】
同じ出願人のWO-20111-121017およびEP-2553135には、弾性フレキシブル基板の自由表面の下および基板のコア内にナノメートル単位の中性粒子を埋設することによって、電気的に機能化された伸縮性物品を製造する技術が開示されている。
【0022】
さらに、同じ出願人のWO-2017-203441には、本質的に伸縮可能な機能化された導電性ポリマーを剛性のある電気導体に接続する技術が開示されている。
【0023】
US-6714822には、横方向に延びる複数のフレキシブルパドル電極を有する剛性の高いリードチップが示されている。送達カテーテル内を移動する際には、前記フレキシブルパドル電極は、剛性の高い先端部の周りに折り畳まれる。この技術は、リード全体をその長手方向軸を中心とした旋回動作によってパドル電極を展開することができる。
【0024】
しかし、この展開方法では、展開時にリードに沿ってトルクストレスが発生する。さらに、送達カテーテル内で搬送構成にあり、シースを制約しているとき、金属製の導電線を含むパドル電極は、金属の構造的完全性を損なうことなく一定の曲率半径を超えて曲げることができないため、シース内に空洞を作らざるを得ない。そのため、パドル幅に対する送達シースの直径の比率が高い。
【0025】
そのため、従来の技術と比較して、搬送構成時および作動構成時(または、使用構成時)の両方で操縦性が向上し、同時に、パドル幅に対する送達システムのサイズの比率が小さい展開可能な電極を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0026】
解決手段
【0027】
本発明の範囲は、先行技術を参照して引用した欠点を解消し、上述のニーズを満たすことができる解決手段を提供することである。
【0028】
この範囲およびその他の範囲は、請求項1に記載の装置、ならびに請求項10に記載のキット、ならびに請求項13に記載の組立体によって実現される。
【0029】
有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0030】
提案した解決手段は、送達用の中空体の内部空洞のサイズに適合し、同時に、生体構造内において少なくとも1つの電極の位置決めの微調整をすることができる装置を提供する。
【0031】
提案した解決手段は、方向性のある刺激と局所的な刺激の特徴を併せ持ち、生体構造に経皮的に埋め込むことができる装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のさらなる特徴と利点は、例として与えられ、限定することを意図せずに、添付の図を参照する、好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるだろう;
【0033】
図1図1および図2は、それぞれ、搬送構成の場合および作動構成の場合の、実施形態に係る装置の不等角投影図である;
図2図1および図2は、それぞれ、搬送構成の場合および作動構成の場合の、実施形態に係る装置の不等角投影図である;
図3図3は、実施形態に係るパドルの透視図である;
図4図4は、実施形態に係るリードの透視図である;
図5図5は、図3のパドルと図4のリードを含む装置の透視図である;
図6図6は、実施形態に係る装置、および送達システムの一部を含むキットの断面を示す;
図7図7は、実施形態に係る装置、および送達システムの一部を含むキットの不等角投影図である;
図8図8および図9は、いくつかの実施形態に係る付勢デバイスの透視図を示す;
図9図8および図9は、いくつかの実施形態に係る付勢デバイスの透視図を示す;
図10図10は、実施形態に係る装置の透視図を示す;
図11図11は、実施形態に係る装置の透視図を示す;
図12図12は、実施形態に係る埋め込み可能な電極組立体のリードの正面図を示す;
図13図13および14は、リードの一部および制御装置を含む、いくつかの実施形態に係る組立体の正面図を示す;
図14図13および14は、リードの一部および制御装置を含む、いくつかの実施形態に係る組立体の正面図を示す;
図15図15は、標的生体構造を概略的に示す;
図16図16は、図15の標的生体構造における埋め込み中の、実施形態に係る装置を示す;
図17図17は、標的生体構造に埋め込まれたときの、実施形態に係る装置を含む組立体を概略的に示す。
図18図18は、実施形態に係る装置の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
一実施形態によれば、装置1は、少なくとも1つのリード2と少なくとも1つのパドル5を含む。
【0035】
前記装置1は、電気療法に応用するのに適している。
【0036】
前記装置1は、電気生理学に応用するのに適している。
【0037】
好ましくは、前記装置1は、埋め込み可能な装置1である。好ましくは、「埋め込み可能な」という用語は、装置1が、患者の身体11内の生体構造10内に長期的に、好ましくは永久的に埋め込まれるように設計されていることを意味する。好ましくは、「埋め込み可能な」という用語は、装置1が、患者の身体11内の生体構造10内に、例えば手術中に一時的に埋め込まれるように設計されていることも意味する。
【0038】
本発明に係る装置1は、以下のような電気療法の用途に適している:痛みの軽減、埋め込み式筋肉刺激、神経筋機能不全の治療、組織修復、尿失禁および便失禁の治療、男性勃起不全の治療、浮腫の治療、リンパドレナージュ、末梢神経刺激。本発明に係る埋め込み可能な電極組立体1は、一義的に意図されているわけではないが、特に脊髄刺激に適している。
【0039】
本発明に係る装置1は、以下のような電気生理学的用途に適している:末梢神経記録、心臓壁記録、皮質電気学、脳波学、筋電図。
【0040】
また、本発明に係る装置1は、手術を支援するための術中処置にも適している。
【0041】
前記少なくとも1つのリード2は、長手方向X-Xに沿って延びる長尺リード本体を有し、近位端3と遠位端4を含む。
【0042】
一実施形態では、前記長手方向X-Xは、リード2の長尺本体の長手方向の展開軸と一致している。
【0043】
一実施形態では、前記長手方向X-Xに直交する横方向Y-Yが定義される。
【0044】
一実施形態では、前記長手方向X-Xと、前記長手方向に直交し、前記長手方向X-Xに入射する半径方向Y-Yと、前記長手方向X-Xと前記半径方向Y-Yの両方に直交する周方向と、を含む円筒形の座標セットが定義される。
【0045】
一実施形態では、リード2の少なくとも遠位端4は、実質的に円筒形の本体を含み、好ましくは、前記長手方向X-Xの周りに丸みを帯びた断面を有する。
【0046】
一実施形態では、リード2の少なくとも遠位端4は先細りになっており、装置1の横方向または半径方向のエンカンバ(または妨害、または阻害、または邪魔;encumber)または伸張を低減している。
【0047】
一実施形態では、リード2の近位端3は、制御装置36と電気的に接続するための電気接点35を含む。例えば、前記制御装置36は、パルス発生器を含む。
【0048】
前記少なくとも1つのパドル5は、パドル厚さ33を規定する2つの対向する主面6,7を含むパドル本体を有する。好ましくは、パドル5の前記2つの対向する主面6,7は、互いに対向している。好ましくは、パドル5の前記2つの対向する主面6,7のそれぞれは、前記長手方向X-Xに沿って延びる主面長手方向サイズ31と、前記主面長手方向サイズ31に対して直交する主面幅32とを含む。好ましくは、パドルの厚さ33は、主面長手方向サイズ31および/または幅32のそれぞれの僅かな比率である。例えば、パドル5は、フィルム等の形態である。
【0049】
前記パドル5は、患者の身体11内にある生体構造10と電気的に接触するように設計された露出面9を有する少なくとも1つのパドル電極8を含む。例えば、前記生体構造は、生体組織および/または臓器および/または体液を含んでもよい。
【0050】
前記少なくとも1つの電極8が設けられているため、前記装置1は、前記生体構造10に電気刺激を与えることができる。
【0051】
前記少なくとも1つの電極8が設けられているため、前記装置1は、生体構造10の電気的活性を記録することができる。
【0052】
少なくとも1つの電極8の前記露出面9は、装置1の電気的終端として機能する。
【0053】
一実施形態では、前記少なくとも1つのパドル電極8は、パドル5の前記第1主面6から機能的に現れる露出面9を含む。言い換えれば、前記少なくとも1つの電極8の前記露出面9は、パドル本体5の前記第1主面6とともに、パドル5の外面、すなわちパドル5のボリューム(または、塊)の境界を形成する。
【0054】
用語「前記第1主面6から機能的に現れる露出面9」は、パドル5がパドル電極8の前記露出面9をあらわにすることを意味し、露出面9は必ずしも第1主面6から突出していないが、一実施形態では、露出面9は前記第1主面6から突出している。
【0055】
一実施形態では、用語「前記第1主面6から機能的に現れる露出面9」は、前記少なくとも1つの電極8が、露出面9を形成するパドル5の第1主面6全体を覆っている場合だけでなく、前記少なくとも1つの電極8が、パドルの半体、例えばパドル翼21の第1主面6全体を覆っている場合も意味する。
【0056】
前記パドル5は、少なくとも1つの搬送構成と少なくとも1つの作動構成(または、使用構成)をとるように、その横方向のエンカンバ12を変更するのに適しており、前記少なくとも1つの搬送構成にある場合のパドル5の横方向のエンカンバ12は、前記少なくとも1つの作動構成にある場合の同じパドル5の横方向のエンカンバ12よりも小さい。言い換えれば、前記少なくとも1つの搬送構成にある場合のパドル5の半径方向のエンカンバ12は、前記少なくとも1つの作動構成にある場合の同じパドル5の半径方向のエンカンバ12よりも小さい。
【0057】
用語「横方向のエンカンバ12」は、好ましくは「横方向の伸張12」を指すとともに、用語「半径方向のエンカンバ」は「半径方向の伸張」を指す。それにより、パドル5は、その横方向の伸張を変更するのに適しており、前記少なくとも1つの搬送構成および前記少なくとも1つの作動構成をとる。一実施形態ではそうであってもよいが、パドル5の横方向の伸張12は、パドル翼21の横方向の伸張によって変化する必要はない。例えば、横方向の伸張12は、パドル翼21の折り返し/非折り返しの効果として変化する。
【0058】
このようなパドルの伸張(または、伸展)は、パドルの1つまたは複数の部分が折り返されたり、広げられたりすることによって変化してもよい。言い換えれば、パドルの横方向または半径方向の伸張は、パドルの一部を折り畳んだり広げたりすることに起因して変化してもよい。
【0059】
一実施形態では、前記パドル5は、展開可能である。
【0060】
一実施形態では、前記パドルは、自己拡張可能である。
【0061】
一実施形態では、前記パドルは、自己拡張している。
【0062】
前記リード2は、その遠位端4の近傍に接続部13を含む。
【0063】
好ましくは、リード2の前記接続部13は、その横方向のエンカンバを変更するのに適さない。このようにして、リード2の前記接続部13は、半径方向に実質的に硬く、外部からの負荷作用下でその半径方向の寸法を減少させるのに適さない。
【0064】
一実施形態では、リード2の前記接続部13は、案内スタイレットを収容するための長手方向の空洞18を半径方向に画定している。このようにして、リード2の少なくとも遠位端4の近傍部分の長尺本体は、長手方向に中空になっている。好ましくは、リード2の遠位端4は、前記長手方向の空洞18を長手方向に閉じている。操作可能なスタイレットを受け入れるための前記長手方向の空洞18は、患者の身体11の内部における装置1の操作性を向上させる。
【0065】
有利なことに、リード2の前記接続部13は、少なくとも1つのアーチ状の導電面14を含む。好ましい実施形態では、リード2の前記接続部13は、リード2の接続部13の2つの後続のアーチ状導電面14の間に、各々少なくとも1つの電気絶縁性表面を含む電気絶縁部57を含む。
【0066】
さらに有利なことに、前記パドル5は、リード2の接続部13の前記少なくとも1つの導電面14と直接接触する少なくとも1つのアーチ状の導電性対向面16を含む少なくとも1つの対向接続部15を備えており、これにより、パドル5の前記少なくとも1つの対向接続部15は、リード2の前記接続部13の方を向く第1凹部R1を規定する横方向にアーチ状の形状を有している。
【0067】
パドル5の前記少なくとも1つの導電性対向面16は、リード2の前記近位端3が少なくとも1つのパドル電極8の前記露出面9と電気的に接触するように、パドル5の本体内に延在する少なくとも1つの導電性トラック17を介して前記パドル電極8と電気的に接触している。
【0068】
リード2のこのような接続部13とパドル5の前記対向接続部15とを設けることにより、既知の解決手段に対して、パドル5とリード2の間のより大きな導電性接触表面積を有することができる。
【0069】
このような装置1により、生体構造10に局所的かつ方向性のある刺激を与えることができ、同時に、低侵襲手術によって患者の身体11内に経皮的に装置1を送達することができる。
【0070】
さらに、このような装置1により、生体構造10の電気的活性を局所的かつ方向性を持って記録することができ、同時に、低侵襲手術によって患者の身体11内に経皮的に装置1を送達することができる。
【0071】
好ましくは、リードの前記接続部がパドルの前記対向接続部と協働することにより、パドルとリードの間に溶接箇所が必要なく、そのために接着力が弱くならず、搬送構成時に装置1の半径方向または横方向のエンカンバを低減する。
【0072】
好ましい実施形態では、リード2の前記接続部13は、パドル5の前記対向接続部15と機械的な接続も形成する。このようにして、リード2の前記接続部13は、パドル5の前記対向接続部15との電気的および機械的な接続も形成する。
【0073】
一実施形態では、リード2の前記接続部13とパドル5の前記対向接続部15とを機械的に接続する固定手段37,38が設けられている。
【0074】
一実施形態では、リード2の前記接続部13とパドル5の前記対向接続部15とを機械的に接続する接着剤37が設けられている。好ましくは、前記接着剤37は、電気絶縁性である。好ましくは、前記接着剤37は、電気絶縁性の表面の間に配置される。
【0075】
一実施形態では、リード2の前記接続部13とパドル5の前記対向接続部15とを機械的に接続する複数のクリップ38が設けられている。
【0076】
好ましい実施形態では、前記複数のクリップ38は、導電性の表面に圧縮力を加えて電気的接触を作り出す。
【0077】
好ましい実施形態では、リード2の前記接続部13は、円筒形の形状を有し、パドル5の前記対向接続部15は、リード2の前記円筒形の接続部13の少なくとも一部を抱え込む。このようにして、前記長手方向X-Xに直交する平面で取った装置1の断面は、パドル5の前記対向接続部15によって、所定の第1角度部で抱え込まれた、リード2の丸みを帯びた接続部13を含む。好ましくは、リード2の接続部13の前記断面の第2角度部は、前記パドル5と接触しないようになっている。一実施形態では、リード2の接続部13の前記第2角度部の周囲に接着剤37が設けられている。
【0078】
好ましい実施形態では、前記パドル5は、前記少なくとも1つのパドル折り部19を含むパドル5の少なくとも1つの横方向に折り返された部分20を規定する、少なくとも1つのパドル折り部19を含む。好ましくは、パドル5の前記少なくとも1つの横方向に折り返された部分20は、同じパドル5の前記アーチ状の対向接続部15とは分離されている。このようにして、パドル5は、少なくとも2つの異なるアーチ状部分を含む。
【0079】
好ましい実施形態では、パドル5の前記少なくとも1つの横方向に折り返された部分20は、前記第1凹部R1とは反対の第2凹部R2を規定する。このようにして、パドル5の本体に沿って、凹部の変化が規定される。このようにして、パドル5は、パドル5の前記少なくとも1つのパドル折り部19と前記少なくとも1つのアーチ状接続部15との間に、少なくとも1つの屈曲39を含む。
【0080】
好ましい実施形態では、前記パドル5は、前記主面6,7の幅を区切る少なくとも1つのパドル横縁22を含み、前記少なくとも1つのパドル折り部19は、パドル5の前記対向接続部15と前記横縁22との間に位置し、自由端23と前記少なくとも1つのパドル電極8の少なくとも一部とを含むパドル翼21を規定している。好ましくは、前記パドル翼21は、パドル5の前記対向接続部15よりも広い。
【0081】
好ましい実施形態では、パドル5の少なくとも1つの横方向に折り返された部分20を規定する前記少なくとも1つのパドル折り部19は、パドル5が搬送構成にある場合と、パドル5が作動構成にある場合の両方の場合で設けられている。
【0082】
好ましい実施形態では、前記パドル5は、それぞれが自由端23を有する少なくとも2つの対向するパドル翼21を規定するパドル5の前記対向接続部15の反対側に2つの対向するパドル折り部19を含む。
【0083】
一実施形態では、前記少なくとも1つのパドル電極8の前記露出面9を前記リード2から様々な距離に配置させるために、前記少なくとも1つのパドル翼21は、前記リード2についてのその方向(または、配置)を変えることができる。さらに、前記少なくとも1つのパドル翼21が前記リード2についてのその方向(または、配置)を変えることができると、少なくとも1つのパドル電極8の露出面9を標的解剖学的部位に寄り掛かるように調整することができる。
【0084】
好ましくは、前記少なくとも1つのパドル翼21は、少なくとも横方向に柔軟性があり、湾曲した対象の解剖学的部位に接着できるようになっている。
【0085】
好ましくは、搬送構成の場合、前記少なくとも2つの対向するパドル翼21は、パドル5の前記主面6または7の一方の第1部分41が、パドル5の同じ主面6または7の第2部分42と横方向または半径方向に向き合うように折り畳まれている(または、折り返されている)。
【0086】
パドル5の翼21が、パドル5の前記対向接続部15に対してちょうど2つの数で対向している場合、装置1の断面は、「オメガ」のような形状、言い換えれば「Ω」のような形状をとり、翼21がオメガの平坦な部分であり、パドル5の対向接続部15がオメガのアーチ部である。
【0087】
一実施形態では、前記少なくとも1つのパドル翼21は、パドル電極8のアレイを含む。パドル電極8の前記アレイは、ユニポーラまたはバイポーラであってもよい。パドル電極8の前記アレイのパドル電極8は、長手方向X-Xに沿って実質的に一直線に配置されていてもよく、および/または、互いにオフセットして配置されていてもよい。
【0088】
好ましい実施形態では、前記装置1は、前記作動構成に向けて前記パドル5を付勢する少なくとも1つの付勢デバイス24を備える。このようにして、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、前記作動構成に向けて前記パドル5に付勢作用を及ぼす。
【0089】
前記付勢作用は、必ずしも弾性付勢作用である必要はないが、好ましい実施形態では、弾性付勢作用である。
【0090】
好ましくは、前記付勢デバイス24は、閉路を形成する少なくとも1つの長尺部材43を備え、前記長尺部材43は、パドル5の横方向の縁の近くに配置されている。好ましくは、前記長尺部材43は、パドル翼21の自由端23に沿って延びている。一実施形態では、前記長尺部材43は、少なくとも1つの貫通孔44を画定している。一実施形態では、前記付勢デバイス24は、前記少なくとも1つの長尺部材43に接続された1つまたは複数の補強部材45を備える。好ましくは、前記1つまたは複数の補強部材45は、横方向に延びる梁である。
【0091】
一実施形態では、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、少なくとも1つの弾性部材および/または超弾性材料を含む。
【0092】
好ましくは、用語「擬似弾性」および「超弾性」は、順に、オーステナイト相とマルテンサイト相との間の相変態によって引き起こされる弾性的な可逆反応を指す。好ましくは、「擬似弾性」および「超弾性」は実質的に等温過程である。
【0093】
ここでいう「弾性デバイス」という用語には、擬似弾性または超弾性の挙動を持つ部材も含まれる。
【0094】
弾性デバイスの剛性は、患者の体内にある生体組織の抵抗を克服するために選択されてもよい。
【0095】
一実施形態では、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、少なくとも1つの線ばねを含む。
【0096】
一実施形態では、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、少なくとも1つの板ばねを含む。
【0097】
一実施形態では、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、少なくとも1つのコイルばねを含む。
【0098】
一実施形態では、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、形状記憶材料で作られた少なくとも1つの形状記憶部材を含む。例えば、前記形状記憶材料は、ニチノールを含む。
【0099】
用語「形状記憶材料」とは、変形前の形状を記憶し、変形しても例えば加熱などの熱ストレスを受けると変形前の形状に戻るような材料、例えば合金を指し、それは等温過程ではない。
【0100】
一実施形態では、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、弾性装置と形状記憶材料を含む。
【0101】
好ましくは、前記少なくとも1つの付勢デバイス24は、パドル5の本体内に組み込まれている。このようにして、付勢デバイス24は、パドルの主面6,7の間にある。
【0102】
一実施形態では、パドル5の少なくとも一部を包むエンベロープ(または、包装部材)40が設けられている。好ましくは、前記エンベロープ40は、リード2の接続部13の一部も包み込む。一実施形態では、前記エンベロープ40は、搬送構成の場合に少なくとも1つのパドル電極8のための保護当接部46を形成し、それにより、少なくとも1つのパドル電極8がエンベロープ40の前記保護当接部46に対して凹んでいるようにする。
【0103】
好ましい実施形態では、前記パドル5は、複数層を含む重層構造(または、多層構造)を有する。例えば、前記複数層は、前記導電性トラック17および前記少なくとも1つのパドル電極8と、ポリマー基板25またはキャリア25と、好ましくは前記エンベロープ40とを含む。
【0104】
好ましい実施形態では、前記パドル5は、重層薄膜(または、多層薄膜)の形態である。
【0105】
好ましい実施形態では、前記パドル5は、前記少なくとも1つの導電性トラック17および/または前記パドル電極8を形成する埋め込まれた金属材料を備えた柔軟なポリマー基板25で作られている。一実施形態では、前記埋め込まれた金属材料は、リード2の前記導電面14と電気的接続を形成するように配置された複数のナノ粒子の形態である。このようにして、前記パドル折り部19を設けることで、前記導電性トラック17の導電性を局所的に高めることができる。
【0106】
一実施形態では、前記埋め込まれた金属材料は、金属板の形態である。
【0107】
一般的な実施形態では、上述した実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの装置1と、少なくとも1つの制御装置36とを備える組立体51が提供される。
【0108】
好ましくは、前記制御装置36は、前記リード2の前記近位端3に関連付けられ、前記リード2、リードの前記アーチ型接続面14、パドル5の前記導電性対向面16および前記導電性トラック17を介して、少なくとも1つのパドル電極8の露出面9と電気的に接続するようになっている。
【0109】
一実施形態では、前記制御装置36は、少なくとも1つのパルス発生器36を備える。このようにして、電気療法のための刺激組立体51が提供される。なお、パルス発生器は埋め込み可能であってもよい。
【0110】
一実施形態では、前記制御装置36は、生体組織10の電気的活性に関する情報を記憶するための、少なくともメモリ36を備える。このようにして、電気生理用のレコーダー組立体51が提供される。メモリは、埋め込み可能であってもよい。
【0111】
好ましくは、前記制御ユニット36は、ケース55と、リード2の近位端3を受け入れる少なくとも1つのポート56とを備える。前記リード2と前記制御ユニット36とを接続するために、リード2の近位端3のサイズとポート56のサイズとを適合させるためのアダプター52と、制御ユニット36との有線接続とが設けられていてもよい。
【0112】
一般的な実施形態では、上述した実施形態のいずれか1つに係る少なくとも1つの装置1と、少なくとも1つの中空体28を含む経皮的送達システム27とを含むキット30が提供される。
【0113】
有利なことに、前記中空体28は、搬送構成の場合に前記少なくとも1つの装置1を収容する。
【0114】
一実施形態では、前記中空体28は、長手方向の空洞を規定する長手方向中空体28であり、近位口48と遠位口47とを含む。
【0115】
一実施形態では、前記経皮的送達システム27は、シース49を備え、前記シース49は、前記中空体28を規定する。
【0116】
一実施形態では、前記経皮的送達システム27は、経皮的ニードル50を備え、前記経皮的ニードル50は、前記中空体28を規定する。
【0117】
一実施形態では、前記経皮的送達システム27は、リード2の長手方向の空洞18内に受容された案内用の操縦可能なスタイレットも備える。好ましくは、装置1は、前記パドル5と接触しない遠位の自由端部58を含み、前記自由端部58は、前記長手方向の空洞18の遠位部分を画定する。このようにして、装置1の操作性が向上する。
【0118】
一実施形態では、前記経皮的送達システム27は、近位端および遠位端を有する送達カテーテルも備えており、装置1は、カテーテルの遠位端の近くにある。好ましくは、カテーテルの近位端は、外科医が手で持つように設計されたカテーテルハンドルに関連付けられている。
【0119】
好ましい実施形態では、パドル5の横方向に折り返された部分20を規定する前記少なくとも1つのパドル折り部19は、経皮的送達システム27の中空体28の横方向のサイズ29の内部に収められている。このようにして、パドル5を折り畳む(または、折り返す)と、経皮的送達システム27の中空体28のサイズ29にフィットする。例えば、経皮的送達システム27の中空体28のサイズ29は、約14Gである。
【0120】
好ましい実施形態では、前記中空体28は、搬送構成においてパドル5を拘束するパドル5用の拘束体として機能する。このようにして、パドル5は、中空体に当接する。
【0121】
例えばシース49の後退によってパドル5が送達システム27から取り出されると、パドル翼21は、前記リード2に対する角度位置を変更し、その結果、横方向または半径方向のエンカンバ12を増加させる。パドル5が搬送構成にある場合、送達システムの内部に空隙部59が設けられてもよい。
【0122】
例えば図15、16および17に示すような好ましい実施形態では、特に脊髄刺激用途に関連して、上述したようなパドル5を含む前記装置1は、パドル5の最大横方向サイズを制限することなく、標的生体構造10、好ましくは人間の標的生体構造10の硬膜外腔53内に経皮的に埋め込むことを可能にする。そのため、電極8の適切に設計された配置およびパドル翼21の向きにより、脊髄54に局所的かつ方向性のある電気刺激を適用することが可能であり、同時に、埋め込みは低侵襲手術によって達成される。
【0123】
以下、装置1を経皮的に埋め込む方法について説明する。
【0124】
経皮的埋め込み(または、経皮的インプラント)の方法は、以下のステップを含む:
【0125】
上述の実施形態のいずれか1つに係る装置1を準備すること;
【0126】
対象生体構造48の近くに装置1を搬送すること;
【0127】
患者の身体11内の標的生体構造10に装置1を送達すること。
【0128】
経皮的埋め込みの方法は、装置1を取り外すステップを含む。
【0129】
好ましくは、このステップは、パドル5の第1部分が既に埋め込み構成(または、インプラント構成)になっている一方で、パドル5の第2部分が送達システム27の中空体28内でまだ搬送構成になっているように、経皮的送達システム27から装置1を徐々に長手方向に退出させる手段によって実施される。
【0130】
そして、経皮的埋め込みの方法は、前記装置1の横方向または半径方向のエンカンバ12を増加させる、好ましくは徐々に増加させる、さらなるステップを含む。
【0131】
上述した特徴により、上記の欠点に対応し、上記の利点を提供することが可能であり、特に、特定の実施形態において個別にまたは合同で提供される:
【0132】
電気療法および電気生理用の埋め込み可能なパドルリードであって、埋め込みおよび/または取り外しを低侵襲で行うことができるものが提供される;
【0133】
導電性の伸縮性金属線が埋め込まれた薄い伸縮性ポリマーと、円筒状のリードを有する電極の相互接続により、円筒状のリードが与える多方向の刺激を、パドル電極の方向性のある刺激に変換することができる;
【0134】
アーチ状の部分は、パドルとリードの間の相互接続の領域で、引き伸ばされた側と反対側の圧縮された側を提供する;
【0135】
パドルが搬送構成にある場合に「オメガ」のような形状を提供することで、他の構成と比較して、溶接点および/またはケーブルを設ける必要がないため、搬送時のスペースを節約することができる;
【0136】
円筒状のリードと金属線の電気的接続は、既知の解決手段に比べて接触面積が大きく、抵抗が減少し、組み立て時の製造上の課題を減少させる;
【0137】
そのため、既知の解決手段と比較して、パドル幅に対する送達シースの直径を小さくすることができる。
【0138】
さらに、パドルの搬送構成の「オメガ」のような形状は、円筒形のリードの周りでパドルの折り畳み(または、折り返し)を可能にし、その結果、パドルを標的位置に持ってくるカテーテルシースへの挿入が可能となる;
【0139】
パドルは、4つずつ2列に分けられた8つの電極を有しているか、若しくは、より多くの電極、例えば8つずつ2列に分けられた電極を有していてもよく、経皮的に導入されることができる;
【0140】
適所にあるとき、シースの抜き取りによってパドルが開かれる;
【0141】
パドルを開くのに必要な動作は、パドル本体内の埋め込まれたばねによって行われてもよい;
【0142】
円筒状のリードは、スタイレット専用の内腔を有し、脊髄刺激および/または記録を行うためにカテーテルおよび装置を硬膜外腔内に誘導するための直線または屈曲したスタイレットを挿入することができる;
【0143】
近位のリード端がより小さい場合、スペースを節約してニードルの寸法をより小さくするために、2つの端の寸法が異なるアダプターまたは特別なケーブルを設けてもよい;
【0144】
遠位口に丸いエッジを有するニードルを設けることで、リードとパドルの損傷を防ぐ;
【0145】
円筒状の多方向リード電極を広域指向性リードに変換することが可能であり、リードをパドル電極に相互接続するために必要なスペースの体積を最小限に抑えるコンパクト設計を有している;
【0146】
カテーテル、シースおよび/またはカニューレ装置などの低侵襲性ツールを介して挿入するためのスペースを節約するために、円筒状のリードの周りに折り畳む(または、折り返す)ことができる平らな部分を有するパドルが提供される;
【0147】
パドルの折り畳みと展開は、装置の横方向の伸張に影響を与える;
【0148】
パドル電極と装置のリードを電気的・機械的に結合するために、接続手段が設けられている。
【0149】
当業者は、上記の実施形態に多くの変更および適合を行うことができるか、または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく偶発的なニーズを満たすために機能的に同等である他の要素に置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 装置
2 リード
3 リードの近位端
4 リードの遠位端
5 パドル
6 パドルの第1主面
7 パドルの第2主面
8 パドル電極
9 パドル電極の露出面
10 生体構造
11 患者の身体
12 横方向または半径方向のエンカンバ、または伸張
13 リードの接続部
14 リードの接続部のアーチ状の導電面
15 パドルの対向接続部
16 パドルの導電性対向面
17 導電性トラック
18 長手方向の空洞
19 パドル折り部
20 パドルの折り返された部分
21 パドル翼またはウィング
22 パドルの横方向の端
23 ウィングの自由端
24 付勢デバイス
25 ポリマー基板
27 経皮的送達システム
28 中空体
29 キャビティサイズ
30 キット
31 パドルの長手方向のサイズ
32 パドルの幅
33 パドルの厚さ
35 リードの近位端の電気接点
36 制御ユニット
37 接着剤
38 クリップ
39 屈曲
40 エンベロープ
41 主面の第1部分
42 主面の第2部分
43 付勢デバイスの長尺部材
44 付勢デバイスの穴または窓
45 付勢デバイスの補強部材
46 保護当接部
47 送達システムの遠位口
48 送達システムの近位口
49 シース
50 ニードル
51 組立体
52 アダプター
53 硬膜外腔
54 脊髄
55 制御ユニットのケース
56 制御ユニットのポート
57 リードの接続部の電気絶縁部
58 装置の遠位自由端
59 空隙部
R1 第1凹部
R2 第2凹部
X-X 長手方向
Y-Y 横方向または半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18