(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ラテラルロッドの取付構造
(51)【国際特許分類】
B60G 7/00 20060101AFI20220614BHJP
B60G 9/04 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B60G7/00
B60G9/04
(21)【出願番号】P 2018029956
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】317005608
【氏名又は名称】株式会社エフテーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 員暢
(72)【発明者】
【氏名】中本 博敏
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-028014(JP,A)
【文献】特開昭61-178226(JP,A)
【文献】特開昭64-028012(JP,A)
【文献】実開昭60-034005(JP,U)
【文献】特開昭60-035615(JP,A)
【文献】実開昭57-202306(JP,U)
【文献】特開2000-079814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リジット方式の車軸を構成するリヤアクスルからサスペンションアームが延設されて当該サスペンションアームの先端部が車体を構成する支持フレーム部に揺動可能に支持された車両に取り付けられ、前記リヤアクスルと車体とを連結し
て車体の車幅方向の振れを抑制する棒状部材から成るラテラルロッドの取付構造において、
前記ラテラルロッドは、その一端部が前記リヤアクスルに固定された前記サスペンションアームの所定位置に取り付けられるとともに、他端部が前記サスペンションアームを揺動可能に支持した前記支持フレーム部の所定位置に取り付けられ、車幅方向に対して傾斜した状態で取り付けられ
、且つ、前記一端部又は他端部において接続方向を任意の向きに変更自在なリンクボールが形成され、当該リンクボールを介して前記サスペンションアームの所定位置又は前記支持フレーム部の所定位置に取り付けられて構成され、前記ラテラルロッドの前記他端部に形成された前記リンクボールの中心が前記支持フレーム部に対する前記サスペンションアームの揺動軸線上に位置することを特徴とするラテラルロッドの取付構造。
【請求項2】
前記ラテラルロッドの一端部は、前記サスペンションアームの前記リヤアクスルに対する固定位置であって車軸線上の直下位置又は真上位置に取り付けられたことを特徴とする請求項
1記載のラテラルロッドの取付構造。
【請求項3】
前記ラテラルロッドの一端部は、前記サスペンションアームの前記リヤアクスルに対する固定位置より前記支持フレーム部に近接した位置に取り付けられたことを特徴とする請求項
1記載のラテラルロッドの取付構造。
【請求項4】
前記ラテラルロッドは、その長さを任意に調整可能とされたことを特徴とする請求項1~
3の何れか1つに記載のラテラルロッドの取付構造。
【請求項5】
請求項1~
4のラテラルロッドの取付構造を具備したことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸(リヤアクスル)の左右の動きを制限して車体の左右の振れを抑制し得るラテラルロッドの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リジット方式の車軸(リヤアクスル)を有する自動車等の車両において、車体の左右方向(車幅方向)の振れを抑制するためのラテラルロッドが取り付けられたものがある。かかるラテラルロッド(「パナールロッド」と称される場合もある)は、従来、車両の車軸を構成するリヤアクスルと車体のフレームとを連結する棒状部材から成り、車両の車幅方向に延設して取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば車幅寸法が極めて小さい小型車両においては、ラテラルロッドが短くなることにより、車輪の上下動に伴うラテラルロッドの変位角度が相対的に大きくなってしまい、当該ラテラルロッドの両端の取付位置が大きく左右方向に変位してしまう虞がある。この場合、車両中心軸と車軸の中心のずれ量が大きくなり、車体の横ぶれ(車幅方向の振れ)が生じて走行安定性が悪化してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車輪の上下動に伴うラテラルロッドの両端の取付位置の車幅方向に対する変位を低減することができ、車体の横ぶれを抑制して走行安定性を向上させることができるラテラルロッドの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、リジット方式の車軸を構成するリヤアクスルからサスペンションアームが延設されて当該サスペンションアームの先端部が車体を構成する支持フレーム部に揺動可能に支持された車両に取り付けられ、前記リヤアクスルと車体とを連結して車体の車幅方向の振れを抑制する棒状部材から成るラテラルロッドの取付構造において、前記ラテラルロッドは、その一端部が前記リヤアクスルに固定された前記サスペンションアームの所定位置に取り付けられるとともに、他端部が前記サスペンションアームを揺動可能に支持した前記支持フレーム部の所定位置に取り付けられ、車幅方向に対して傾斜した状態で取り付けられ、且つ、前記一端部又は他端部において接続方向を任意の向きに変更自在なリンクボールが形成され、当該リンクボールを介して前記サスペンションアームの所定位置又は前記支持フレーム部の所定位置に取り付けられて構成され、前記ラテラルロッドの前記他端部に形成された前記リンクボールの中心が前記支持フレーム部に対する前記サスペンションアームの揺動軸線上に位置することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のラテラルロッドの取付構造において、前記ラテラルロッドの一端部は、前記サスペンションアームの前記リヤアクスルに対する固定位置であって車軸線上の直下位置又は真上位置に取り付けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のラテラルロッドの取付構造において、前記ラテラルロッドの一端部は、前記サスペンションアームの前記リヤアクスルに対する固定位置より前記支持フレーム部に近接した位置に取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1~3の何れか1つに記載のラテラルロッドの取付構造において、前記ラテラルロッドは、その長さを任意に調整可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1~4のラテラルロッドの取付構造を具備したことを特徴とする車両である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ラテラルロッドは、その一端部がリヤアクスルに固定されたサスペンションアームの所定位置に取り付けられるとともに、他端部がサスペンションアームを揺動可能に支持した支持フレーム部の所定位置に取り付けられ、車幅方向に対して傾斜した状態で取り付けられたので、車輪の上下動に伴うラテラルロッドの両端の取付位置の車幅方向に対する変位を低減することができ、車体の横ぶれを抑制して走行安定性を向上させることができる。
また、ラテラルロッドの他端部は、支持フレーム部に対するサスペンションアームの揺動軸線上に取り付けられたので、車輪の上下動に伴うラテラルロッドの両端の取付位置の車幅方向に対する変位をより低減することができ、車体の横ぶれをより抑制することができる。
さらに、ラテラルロッドは、その一端部又は他端部において接続方向を任意の向きに変更自在なリンクボールが形成され、当該リンクボールを介してサスペンションアームの所定位置又は支持フレーム部の所定位置に取り付けられたので、ラテラルロッドの車両に対する取付時の作業性を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ラテラルロッドの一端部は、サスペンションアームのリヤアクスルに対する固定位置であって車軸線上の直下位置又は真上位置に取り付けられたので、ラテラルロッドの一端部をより確実に固定することができ、且つ、車輪の上下動に伴うラテラルロッドの両端の取付位置の車幅方向に対する変位を低減することができ、車体の横ぶれを抑制することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、ラテラルロッドの一端部は、サスペンションアームのリヤアクスルに対する固定位置より支持フレーム部に近接した位置に取り付けられたので、車両のレイアウトの都合上、ラテラルロッドの一端部を車軸線上の直下位置又は真上位置に取り付けるのが困難な車両にも適用することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、ラテラルロッドは、その長さを任意に調整可能とされたので、ラテラルロッドの車両に対する取付時の作業性を向上させることができるとともに、車両に応じたラテラルロッドの長さに任意調整することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項1~4の効果を有した車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るラテラルロッドの取付構造が適用される車両の後部を示す斜視図
【
図2】同ラテラルロッドの取付構造が適用される車両の後部を下方から見た斜視図
【
図3】同ラテラルロッドの取付構造が適用される車両の後部を示す側面図
【
図4】同ラテラルロッドの取付構造が適用される車両の後部を示す断面図
【
図5】同ラテラルロッド(一端部及び他端部が基部に接続された後の状態)を示す正面図
【
図6】同ラテラルロッド(一端部及び他端部が基部に接続される前の状態)を示す正面図
【
図7】同ラテラルロッドの一端部及び他端部を示す側面図
【
図9】同ラテラルロッドの取付構造が適用される車両のリヤアクスルに固定された固定部材及びサスペンションアームを示す側面図
【
図10】同ラテラルロッドの一端部の車両に対する取付構造を示す模式図であって、
図9におけるX-X線断面図
【
図11】同ラテラルロッドの他端部の車両に対する取付構造を示す模式図
【
図12】同ラテラルロッドの取付構造が適用される車両について、車輪が上下した際の車体の左右方向に対する挙動を示す模式図
【
図13】従来のラテラルロッドの取付構造が適用される車両について、車輪が上下した際の車体の左右方向に対する挙動を示す模式図
【
図14】本発明の他の実施形態に係るラテラルロッドの取付構造を示す下方から見た模式図
【
図15】本発明のさらに他の実施形態に係るラテラルロッドの取付構造を示す下方から見た模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るラテラルロッド1は、車両の車軸を構成するリヤアクスルと車体のフレームとを連結する棒状部材から成り、車体の左右方向(車幅方向)の振れを抑制するためのものである。本実施形態に適用される車両として、例えば運転者1人が搭乗可能な小型車両から成り、汎用の車両に対して車幅寸法が小さく設定されるとともに、モータの駆動力にて推力を得ることができる電気自動車(EV)とされている。
【0022】
具体的には、本実施形態に適用される車両は、
図1~4に示すように、モータMの駆動力がデファレンシャルギアDを介して車輪(後輪R)に伝達し得るよう構成されるとともに、車軸を構成するリヤアクスルTからサスペンションアームAが延設されて当該サスペンションアームAの先端部A1が車体を構成する支持フレーム部F1に揺動可能に支持されている。なお、本実施形態においては、リジット方式の車軸(リヤアクスルT)を有した車両に適用されている。なお、図中符号Yは、車幅方向を示すとともに、車両の上下方向を符号Z、車両の前後方向を符号Xで示すものとしている。
【0023】
サスペンションアームAは、車両の左右において前後方向に対してそれぞれ延設された棒状部材から成り、
図2、4、9に示すように、固定部材2を介してリヤアクスルTに固定されるとともに、先端部A1が支持フレーム部F1に揺動自在に取り付けられ、且つ、後端部A2には、サスペンションSが取り付けられている。なお、図中符号4は、サスペンションアームAの先端部A1と支持フレーム部F1との揺動部に配設されたブッシュを示しており、かかるブッシュ4の中心がサスペンションアームAの揺動軸線を形成している。
【0024】
より具体的に説明すると、固定部材2は、リヤアクスルTに対して溶接等にて固定されるとともに、サスペンションアームAにおける固定部材2の取付位置には、
図4、9に示すように、ブッシュ3が取り付けられた取付孔Aaが形成されている。また、固定部材2には、取付孔Aaに対応する位置に取付孔Abが形成されており、これら取付孔Aaと取付孔Abを合致させつつボルトEを挿通してナットで締め上げることにより、リヤアクスルTに固定された固定部材2に対してサスペンションアームAを連結可能とされている。
【0025】
一方、サスペンションSは、
図1、3に示すように、その一端がサスペンションアームAの後端部A2に取り付けられるとともに、他端が車体を構成するフレーム部F2に取り付けられている。これにより、車両の走行に伴って後輪Rが車体に対して上下動すると、サスペンションアームAが先端部A1を中心として揺動するとともに、サスペンションSにて振動を吸収し得るようになっている。
【0026】
支持フレーム部F1は、
図2~4に示すように、車体を構成する金属製部材から成り、車両の左右方向(車幅方向)に延設されるとともに、その左右端部において、サスペンションアームAの先端部A1が揺動自在に取り付けられている。なお、支持フレーム部F1は、リヤアクスルTより車両の前方に位置しており、その所定部位には、本実施形態に係るラテラルロッド1の他端部1bを固定するためのステーbが溶接等により取り付けられている。
【0027】
本実施形態に係るラテラルロッド1は、サスペンションアームAを介してリヤアクスルTと車体の支持フレーム部F1とを連結した棒状部材から成り、
図5~8に示すように、両端部に雄ネジ(1L、1R)がそれぞれ形成された棒状の基部1cと、基部1cの雄ネジ1Lと螺合し得る雌ネジm(
図7、8参照)が形成された一端部1aと、基部1cの雄ネジ1Rと螺合し得る雌ネジm(
図7、8参照)が形成された他端部1bとを有して構成されている。
【0028】
また、基部1cに形成された雄ネジ(1L、1R)は、それぞれ逆ネジ(例えば雄ネジ1Lが右ネジ及び雄ネジ1Rが左ネジ、或いは雄ネジ1Lが左ネジ及び雄ネジ1Rが右ネジ)とされており、一端部1a及び他端部1bを固定した状態で基部1cを軸周りに回転させると、ラテラルロッド1の全体の長さを任意に調整可能とされている。なお、ラテラルロッド1が所望長さになった状態において、ナットLを締め上げることにより一端部1a及び他端部1bと基部1cとの相対的移動がロックされるよう構成されている。
【0029】
さらに、本実施形態に係るラテラルロッド1は、その一端部1a及び他端部1bにおいて接続方向を任意の向きに変更自在なリンクボールBが形成され、当該リンクボールBを介してサスペンションアームAの所定位置又は支持フレーム部F1の所定位置に取り付けられるようになっている。具体的には、ラテラルロッド1の一端部1a及び他端部1bが具備するリンクボールBには、ネジ部(n1、n2)が延設されており、当該ネジ部(n1、n2)をステー(a、b)に固定することによりラテラルロッド1が車両に取り付けられるので、ラテラルロッド1を車両に取り付ける際、その接続方向(すなわち、一端部1a又は他端部1bの取付方向に対する基部1cの延設方向)がリンクボールBの回転によって任意向きに変更自在とされているのである。
【0030】
ここで、本実施形態に係るラテラルロッド1は、
図4に示すように、その一端部1aがリヤアクスルTに固定されたサスペンションアームAの所定位置に取り付けられるとともに、他端部1bがサスペンションアームAを揺動可能に支持した支持フレーム部F1の所定位置に取り付けられ、車両の車幅方向Yに対して所定角度αだけ傾斜した状態で取り付けられている。
【0031】
また、本実施形態においては、
図4に示すように、ラテラルロッド1の一端部1aは、サスペンションアームAのリヤアクスルTに対する固定位置であって車軸線Q1(後輪Rの回転軸)上の位置に取り付けられているとともに、ラテラルロッド1の他端部1bは、支持フレーム部F1に対するサスペンションアームAの揺動軸線Q2上又はその近傍に取り付けられている。
【0032】
具体的には、本実施形態に係るラテラルロッド1の一端部1aは、
図10に示すように、固定部材2に溶接等にて固定されたステーaに固定されている。すなわち、一端部1aは、そのネジ部n1がステーaに形成された取付孔に挿通した状態において当該ステーaの表裏からナットNを締め付けることにより固定されており、この状態において、サスペンションアームAのリヤアクスルTに対する固定位置であって車軸線Q1上の直下位置に取り付けられるよう構成されている。なお、サスペンションアームAのリヤアクスルTに対する固定位置であって車軸線Q1上の真上位置にラテラルロッド1の一端部1aを取り付けるようにしてもよい。
【0033】
一方、本実施形態に係るラテラルロッド1の他端部1bは、
図11に示すように、支持フレーム部F1に溶接等にて固定されたステーbに固定されている。すなわち、他端部1bは、そのネジ部n2がステーbに形成された取付孔に挿通した状態において当該ステーbの表裏からナットNを締め付けることにより固定されており、この状態において、支持フレーム部F1に対するサスペンションアームAの揺動軸線Q2上又はその近傍に取り付けられるよう構成されている。
【0034】
このように、本実施形態に係るラテラルロッド1は、その一端部1aがリヤアクスルTに固定されたサスペンションアームAに取り付けられるとともに、他端部1bがサスペンションアームAを揺動可能に支持した支持フレーム部F1に取り付けられ、車幅方向Yに対して傾斜した状態で取り付けられたので、
図12に示すように、後輪Rが上下動して一端部1aが位置X1とX2との間で移動しても、一端部1aの左右方向(車幅方向)の取付位置があまり変化しないので、車輪(後輪R)の上下動に伴うラテラルロッド1の両端の取付位置の車幅方向に対する変位を低減することができる。
【0035】
なお、従来のようにラテラルロッド1を車幅方向に配設した場合、
図13に示すように、後輪Rが上下動して一端部1aが位置X1とX3との間で移動すると、一端部1aが円弧を描いて左右方向(車幅方向)の取付位置が変化するので、車輪(後輪R)の上下動に伴うラテラルロッド1の両端の取付位置の車幅方向に対する変位Wが大きくなってしまう。これにより、車両の横ぶれが生じて走行安定性が損なわれることとなる。
【0036】
上記実施形態によれば、ラテラルロッド1は、その一端部1aがリヤアクスルTに固定されたサスペンションアームAの所定位置に取り付けられるとともに、他端部1bがサスペンションアームAを揺動可能に支持した支持フレーム部F1の所定位置に取り付けられ、車幅方向Yに対して所定角度αだけ傾斜した状態で取り付けられたので、車輪(後輪R)の上下動に伴うラテラルロッド1の両端の取付位置の車幅方向に対する変位を低減することができ、車体の横ぶれを抑制して走行安定性を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係るラテラルロッド1の他端部1bは、支持フレーム部F1に対するサスペンションアームAの揺動軸線Q2上又はその近傍に取り付けられたので、車輪(後輪R)の上下動に伴うラテラルロッド1の両端の取付位置の車幅方向に対する変位をより低減する(特に、本実施形態においては当該変位をなくす)ことができ、車体の横ぶれをより抑制することができる。さらに、本実施形態に係るラテラルロッド1の一端部1aは、サスペンションアームAのリヤアクスルTに対する固定位置であって車軸線Q1上の直下位置又は真上位置に取り付けられたので、ラテラルロッド1の一端部1aをより確実に固定することができ、且つ、車輪(後輪R)の上下動に伴うラテラルロッド1の両端の取付位置の車幅方向に対する変位を低減することができ、車体の横ぶれを抑制することができる。
【0038】
またさらに、本実施形態に係るラテラルロッド1は、その一端部1a又は他端部1bにおいて接続方向を任意の向きに変更自在なリンクボールBが形成され、当該リンクボールを介してサスペンションアームAの所定位置又は支持フレーム部F1の所定位置に取り付けられたので、例えばラテラルロッド1と車両の取付位置との間の寸法誤差を容易に吸収することができ、ラテラルロッド1の車両に対する取付時の作業性を向上させることができる。なお、本実施形態においては、ラテラルロッド1の一端部1a及び他端部1bの両方にリンクボールBが形成されているが、一端部1a又は他端部1bの何れか一方にリンクボールBを形成するようにしてもよく、或いはリンクボールBを有さない接続形態としてもよい。
【0039】
加えて、本実施形態に係るラテラルロッド1は、その長さを任意に調整可能とされたので、例えばラテラルロッド1と車両の取付位置との間の寸法誤差を容易に吸収することができ、ラテラルロッド1の車両に対する取付時の作業性を向上させることができるとともに、車両に応じたラテラルロッド1の長さに任意調整することができる。なお、本実施形態においては、基部1cの両端に右ネジ及び左ネジから成る雄ネジ(1L、1R)が形成されているが、雄ネジ(1L、1R)の両方が右ネジ又は左ネジとしてもよく、或いは他の接続形態のもの、一端部1a、他端部1b及び基部1cが一体のもの等としてもよい。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば
図14に示すように、ラテラルロッド1の一端部1aは、サスペンションアームAのリヤアクスルTに対する固定位置より支持フレーム部F1に近接した位置に取り付けられたものとしてもよい。この場合、車両のレイアウトの都合上、ラテラルロッド1の一端部1aを車軸線上の直下位置又は真上位置に取り付けるのが困難な車両にも適用することができる。なお、
図15に示すように、ラテラルロッド1の一端部1aは、サスペンションアームAのリヤアクスルTに対する固定位置より後端部A2側の位置に取り付けられたものとしてもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、運転者1人が搭乗可能な小型のEV車両に適用されているが、2人以上搭乗可能な車両、或いは電気自動車(EV)とは異なる駆動形態の車両(エンジンを駆動源とする車両又はハイブリッド車両等)に適用してもよい。さらに、本実施形態においては、ラテラルロッド1の両端がそれぞれステー(a、b)を介して車両に固定されているが、他の固定にてラテラルロッド1が取り付けられたものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
一端部がリヤアクスルに固定されたサスペンションアームの所定位置に取り付けられるとともに、他端部がサスペンションアームを揺動可能に支持した支持フレーム部の所定位置に取り付けられ、車幅方向に対して傾斜した状態で取り付けられ、且つ、一端部又は他端部において接続方向を任意の向きに変更自在なリンクボールが形成され、当該リンクボールを介してサスペンションアームの所定位置又は支持フレーム部の所定位置に取り付けられて構成され、ラテラルロッドの他端部に形成されたリンクボールの中心が支持フレーム部に対するサスペンションアームの揺動軸線上に位置するラテラルロッドの取付構造であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ラテラルロッド
1a 一端部
1b 他端部
1c 基部
2 固定部材
3 ブッシュ
4 ブッシュ
R 後輪
S サスペンション
M モータ
A サスペンションアーム
A1 先端部
A2 後端部
T リヤアクスル
B リンクボール
F1 支持フレーム部