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特許7087242自動車用アシスト閉鎖装置を備えたロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】自動車用アシスト閉鎖装置を備えたロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/20 20140101AFI20220614BHJP
   E05B 81/04 20140101ALI20220614BHJP
   E05B 79/20 20140101ALI20220614BHJP
   E05B 81/66 20140101ALI20220614BHJP
   E05B 81/64 20140101ALI20220614BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E05B81/20 B
E05B81/04
E05B79/20
E05B81/66
E05B81/64
B60J5/00 H
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019541062
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 DE2018100070
(87)【国際公開番号】W WO2018137738
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】102017101703.8
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017101704.6
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベンデル, ソーステン
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510844(JP,A)
【文献】特開昭57-169184(JP,A)
【文献】特開2011-106138(JP,A)
【文献】特開平09-049356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0151257(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ラッチ(3)及び少なくとも爪部(4,5)から構成されたロック機構(2)と、アシスト閉鎖装置(9)と、電気駆動装置(M)と、トルクコンバータとを備える自動車用ロック(1)において、
前記トルクコンバータによって前記アシスト閉鎖装置(9)で可変トルクが調整可能になり、摩擦接続(K)によって、少なくとも一部の領域において、アシスト閉鎖が達成され、前記回転ラッチ(3)の第1アシスト閉鎖運動において、前記アシスト閉鎖装置(9)は、摩擦接続(K)によって前記回転ラッチ(3)にアシスト閉鎖トルクを伝えることができ、前記回転ラッチ(3)の第2アシスト閉鎖運動において、前記アシスト閉鎖装置(9)は、形状嵌め(FO)によって前記回転ラッチ(3)にアシスト閉鎖トルクを伝えることができることを特徴とする、自動車用ロック(1)。
【請求項2】
前記回転ラッチ(3)はプリラッチ位置(VR)及びメインラッチ位置(HR)を有し、前記アシスト閉鎖中、トルクを前記回転ラッチ(3)に伝える為のハンドル(10)は、前記回転ラッチ(3)と係合できることを特徴とする、請求項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項3】
前記アシスト閉鎖装置(9)は、前記ハンドル(10)を有し、前記ハンドル(10)は、前記回転ラッチ(3)と係合できることを特徴とする、請求項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項4】
前記アシスト閉鎖装置(9)は、ボーデンケーブル(12,13)及び/又は伝達装置を有することを特徴とする、請求項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項5】
前記アシスト閉鎖装置(9)の摩擦接続(K)は、前記ボーデンケーブル(12,13)によって、及び/又は前記伝達装置によって、及び/又は前記ハンドル(10)によって作り出すことができることを特徴とする、請求項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項6】
前記第1アシスト閉鎖運動における前記アシスト閉鎖トルクは、前記第2アシスト閉鎖運動における前記アシスト閉鎖トルクより小さいことを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項7】
前記第1アシスト閉鎖運動における100Nのアシスト閉鎖力と、前記第2アシスト閉鎖運動における500Nのアシスト閉鎖力とが、前記アシスト閉鎖装置(9)によって与えることができることを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項8】
前記回転ラッチ(3)のアシスト閉鎖運動は、前記回転ラッチ(3)の係合を介してストライカ(14)に伝えることができることを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項9】
前記第1アシスト閉鎖運動は、4mmの閉鎖位置まで、前記回転ラッチ(3)がストライカ(14)に係合することから実現できることを特徴とする、請求項2~8のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項10】
前記ロック機構(2)の位置を記録する為のセンサ(20)および前記アシスト閉鎖装置(9)の為の制御ユニット(S)を備えることを特徴とし、前記アシスト閉鎖装置(9)の位置を記録する為の少なくとも一つの記録媒体(20)が設けられ、前記記録媒体(20)が前記制御ユニット(S)と相互作用する、請求項1~9のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項11】
前記記録媒体(20)は、センサおよび/または切替え装置であることを特徴とする、請求項10に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項12】
位置を記録する為の前記記録媒体(20)は、前記アシスト閉鎖を中断することができるように、前記制御ユニット(S)と相互作用することを特徴とする、請求項10または11に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項13】
位置を記録する為の前記記録媒体(20)は、前記アシスト閉鎖装置(9)を閉鎖するとき、隙間を監視する為に使用可能であることを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項14】
前記アシスト閉鎖の中断は、前記制御ユニット(S)によって可能であることを特徴とする、請求項13に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項15】
前記アシスト閉鎖装置(9)が、自動車のドア、フラップ、カバー、及び/又はフードを閉鎖することを特徴とする、請求項10~14のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項16】
前記アシスト閉鎖装置(9)は、前記ロック機構(2)または保持バンドと、直接相互作用することを特徴とする、請求項10~15のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項17】
前記回転ラッチ(3)は、前記アシスト閉鎖装置(9)によって移動可能であることを特徴とする、請求項10~16のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項18】
前記位置を記録する為の前記媒体(20)は、前記回転ラッチ(3)上に置かれることを特徴とする、請求項10~17のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【請求項19】
変更可能なアシスト閉鎖トルクは、前記アシスト閉鎖装置(9)によって与えることができることを特徴とする、請求項10~18のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1)。
【発明の詳細な説明】
【説明】
【0001】
本発明は、回転ラッチ及び少なくとも一つの爪部から構成されたロック機構と、アシスト閉鎖装置と、電気駆動装置と、トルクコンバータとを備える自動車の為のロックであって、トルクコンバータによって可変トルクがアシスト閉鎖装置において調整可能なロックを目的とする。
【0002】
自動車において快適レベルを高めるため、更に、自動車の単純操作を容易にするため、より多くの快適機能が自動車に組み込まれている。そのため、たとえば、アシスト閉鎖装置によって自動車ドア、フラップ、フードを閉鎖することが知られている。この理由は、一方では、これがドアを簡単に閉鎖することを可能にすること、他方では、たとえば、対応した設計を達成する為に、或いは、それ自体によってドアが閉鎖し得るという点で操作を単純化できる為に外部ドアハンドルが最早、必要でないからである。これらのアシスト閉鎖装置は、特に、全自動後尾扉で広く使用されている。これらのフラップは、たとえば、手動でフラップを作動させることなく、遠隔制御で作動させることができる。
【0003】
そのため、DE 101 40 365 A1は、たとえば、自動車ドア用ラッチの為の緊締ストライカに関するが、用語「緊締ストライカ」は、自動アシスト閉鎖が生じるストライカの為に使用されている。このため、自動車ドア用ラッチのロック用ボルトは、調整可能な作動揺動体(swinger)に付けられる。これに加えて、駆動装置が、作動揺動体の為に設けられている。駆動装置は、モータによって、ロックボルトとロックボルトを取り囲む回転ラッチ(したがって、関連ドア)と共に作動用動体をプリラッチ位置からメインラッチ位置まで移動させる。手動でドアをプリラッチ位置からメインラッチ位置まで移動させるとき、追加のロックレバーは、この位置に作動レバーが保持されることを確実にする。
【0004】
アシスト閉鎖装置が装着された、これらのようなストライカは、自動車の考えられる全てのドアに本質的に使用されている。そのため、本願は、側面ドアに対して考えられるだけでなく、トランク用フラップ、後尾扉、フードに対しても考えられ、本発明の枠組みに含まれる。そのようなアシスト閉鎖装置の助けを借りて、ドア又は車両ドアは、たとえば、シールの抵抗に逆らって、前述したプリラッチ位置からメインラッチ位置に配置し直すことができる。
【0005】
アシスト閉鎖装置の更なる構造的設計は、DE 198 28 040 B4の目的である。これは、自動車、特に、旋回可能な停止要素が回転ラッチに付けられる乗用車のドア、フラップ、頂部、ルーフの為の動力アシストロック装置である。これに加えて、回転ラッチと相互作用する爪部も旋回可能な停止要素を有する。両方の停止要素は、開錠又は閉錠処理中、制御ディスクと共に動作する。制御ディスクは、開錠及び閉錠処理の両方をもたらす為に使用される作動駆動装置の一部である。
【0006】
DE 20 2008 015 089 U1における処理は、ロック機構の回転ラッチの軸と同軸に置かれた伝達レバーが設けられる処理である。これに加えて、駆動式爪部が、伝達要素に置かれる。駆動式爪部は、ボーデンケーブル又は異なるコネクタによって駆動装置に連結される。
【0007】
クラス特有の技術状態では、プルハンドル又は駆動式爪部が使用され、別個の外部駆動装置を備えたボーデンケーブルの助けを借りて、回転ラッチは、プリラッチ位置からメインラッチ位置に移動される。このため、アシスト閉鎖装置は、カムディスクを経てトルクコンバータに連結されたボーデンケーブルを有する。そのため、電気駆動装置は、たとえば、ウォームギアによる歯車を捕捉し、これによって、ギアは、カムディスクも有する。このため、ボーデンケーブルは、駆動ルートに依存するトルクが発生できるようにカムディスクに連結される。
【0008】
ここでは、漸進的に増加するトルクが達成されるのが好ましく、それにより、カムディスクの位置に応じて、異なるアシスト閉鎖トルクが回転ラッチで利用可能になる。そのため、トルクコンバータは、駆動ルートに依存する力、アシスト閉鎖に必要なアシスト閉鎖力、言い換えると、プリラッチ位置からメインラッチ位置まで回転ラッチを移動させる力を作り出す。回転ラッチがプリラッチ位置からメインラッチ位置まで移動するとき、回転ラッチは、たとえばドアシールから密封圧力に逆らって移動されなければならないことから、これは、たとえば、有利である。
【発明の概要】
【0009】
自動車ドア用ラッチの為の既知のアシスト閉鎖装置は、本質的に、それ自体が証明されているが、実際には、しばしば限界に達するか、改善が必要である。これが本質的に起因することができる事実は、駆動装置によって与えられる力が十分である可能性があり、クラス固有の技術状態において必要な力に変えられるように適合可能であるが、より大きなアシスト閉鎖ルートについては、快適機能を与えることができるように、更なる対策が必要であることである。言い換えると、自動車のアシスト閉鎖については、解決策が全ての快適機能に利用できるわけではないが、それは、自動的に自動車を閉鎖するとき、全ての安全に関連する特徴を満足する。
【0010】
本発明は、自動車の為の改善されたロックを提供することを目的とする。さらに、本発明は、自動車の操作者の安全を損なうことなく、たとえば、自動車ドアの大きなアシスト閉鎖ルートを得る為に使用可能なロックの為のアシスト閉鎖装置を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、構造的に好ましく、費用が節約できる解決策を提供することである。
【0011】
この目的は、独立形式の請求項1の特徴部によって解決される。本発明の有利な設計は、従属形式の請求項で特定されている。以下に説明される例示的実施形態は限定されるものではなく、説明および従属形式請求項に記載された特徴には変形の可能性があることに留意されたい。
【0012】
請求項1によると、発明の目的は、回転ラッチ及び少なくとも一つの爪部から構成されたロック機構と、アシスト閉鎖装置と、電気駆動装置と、トルクコンバータとを備える自動車用ロックを提供することによって解決されるが、変更可能なトルクは、トルクコンバータによってアシスト閉鎖装置で調整可能であり、アシスト閉鎖は、摩擦接続によって少なくとも一部の領域で達成される。摩擦接続形式でアシスト閉鎖中に少なくとも一部の領域で伝達される力の結果として、より大きなアシスト閉鎖ルートも、操作者に安全上の危険性を負わせることなく、自動車又は自動車に付けられた可動性コンポーネントに対して、自動的に実現できる可能性がある。自動車に付けられた可動性コンポーネントが電気駆動装置によって移動され、それによって、操作者が捕捉される可能性があれば、安全上の危険性が生じる。
【0013】
特に、フラップ又はドアの場合、ドア又はフラップをシール圧力に逆らって閉じるには非常に高いアシスト閉鎖力が必要である。ドア又はフラップ又は他の可動性コンポーネントが1つだけのアシスト閉鎖装置があるように閉じられると、自動車におけるコンポーネントが移動されるが、たとえば、人または物が可動部に捕捉されると、摩擦接続が無効になり、アシスト閉鎖力が中断される可能性がある。このため、摩擦接続からの力は、アシスト閉鎖処理を中断するため、或いは、アシスト閉鎖装置の部品の係合解除するため、捕捉中に単純に発生されなければならない。これによって、摩擦接続は、捕捉という安全上の危険性を排除することができる。
【0014】
自動車用ロックとして様々なロック及び作動要素を使用できる。ロックは、たとえば、側面ドア、スライドドア、フラップ又は蓋又はカバー近くの小型構造ユニットとして使用できる。さらに、たとえばフード用ラッチ、たとえば運搬装置で使用されるような補助ロックを使用することも考えられる。
【0015】
自動車用ロックにおけるロック機構は、回転ラッチおよび少なくとも爪部を有し、それによって、回転ラッチは、爪部を使用してロック位置で保持される。プリラッチ及びメインラッチから成る2段階ロック機構は、一つ又は二つの爪部を用いたシステムとして使用される。
【0016】
解除レバーは、ロック機構に作用し、それによって、解除レバーは、たとえば、旋回運動によって、キャッチ部から一つ又は複数の爪部の係合を解除する。解除レバーは、自動車用ロック内、好ましくは、自動車用ロックのフレームボックス内および/またはハウジング内に旋回できるように収容される。
【0017】
アシスト閉鎖装置は、電動式駆動装置を有し、トルクコンバータと共に動作する。このため、電動式駆動装置及びトルクコンバータは、ロック内に直接置かれ、或いは、たとえば、ボーデンケーブルによって、回転ラッチと共に間接的又は直接的に別個のモジュールとして相互作用が可能である。これは、たとえば、トルクコンバータとして、それぞれの伝達装置を備えた電動式駆動装置が別個のモジュールとして設計されること、更に、たとえば、ボーデンケーブルによって、別個のモジュールがロックのラッチ用ハウジングと連結されることを意味する。その後、ボーデンケーブルコアは、たとえば、プルハンドルに連結可能であり、それによって、プルハンドルは、直接、回転ラッチに影響を与えることができる。プルハンドルは、ロック内で旋回できるように収容され、すなわち、プルハンドルは、アシスト閉鎖ルートを経て回転ラッチと係合できる。
【0018】
しかしながら、アシスト閉鎖装置がロック上に、或いは、ロック内に直接設置されることも考えられる。このため、たとえば、電気駆動装置及びトルクコンバータが、たとえば、伝達装置の形式で、回転ラッチに直結されることも考えられる。その後、電気モータは、たとえば、スピンドル駆動装置と相互作用でき、それによって、スピンドル駆動装置は、プルハンドルを移動させる。この場合、プルハンドルがアシスト閉鎖ルートを経て回転ラッチと係合できるように、プルハンドルをロック内で旋回できるように収容できる。
【0019】
そのため、伝達装置又は機構は、たとえば、トルクコンバータとして作用することができ、これを用いて、少なくとも異なる力又はトルクを回転ラッチに導くことができる。トルクコンバータは、少なくとも一部の領域で可能、言い換えると、アシスト閉鎖ルートを経て可変トルクを得ることができるので、異なる力又はトルクで回転ラッチを作用させることができる。
【0020】
アシスト閉鎖は、摩擦接続によって、少なくとも一部の領域で実現される。これは、少なくともアシスト閉鎖運動の一部を少なくとも経た、好ましくは、第1部分を経た電動式アシスト閉鎖中、取外し可能な連結が、たとえば、プルハンドルおよび回転ラッチの間で確立できるようにアシスト閉鎖機構が設計されることを意味する。言い換えると、プルハンドルおよび回転ラッチの間で防止可能な連結を確立することができる。このため、自動車の操作者が手動でドア又はフラップを握り、それにより、アシスト閉鎖を中断する摩擦接続を無効にする場合、回転ラッチのアシスト閉鎖中の摩擦接続は、たとえば無効にすることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、回転ラッチの第1アシスト閉鎖運動中、アシスト閉鎖装置が摩擦接続によって回転ラッチにアシスト閉鎖トルクを導き、回転ラッチの第2アシスト閉鎖運動中、アシスト閉鎖装置が形状嵌めによって回転ラッチにアシスト閉鎖トルクを導く場合、利点がある。摩擦接続による第1アシスト閉鎖運動および形状嵌めによる第2アシスト閉鎖運動の組合せにより、より長い距離またはアシスト閉鎖運動でも、安全なアシスト閉鎖を達成できる。これにより、アシスト閉鎖は、摩擦接続によってアシスト閉鎖運動の第1領域内で生じ、たとえば、ドア又はフラップの閉鎖を防止する操作者または媒体によって停止させることができる。そのため、コート又は手をたとえばドア又はフラップの近くに置くことができ、この防止媒体は、後続のアシスト閉鎖を防止し、摩擦接続が無効になり、アシスト閉鎖処理を中断できる。アシスト閉鎖運動の第2領域において、回転ラッチ及びアシスト閉鎖装置の間に形状嵌めが生じた場合のみ、アシスト閉鎖運動を中断できなくなる。これにより、簡単に中断可能なアシスト閉鎖は、第1領域では促進されるが、第2領域では、アシスト閉鎖は、たとえばドア又はフラップ用シールの力に逆らう形状嵌めにより促進される。
【0022】
回転ラッチがメインラッチ位置、特にプリラッチ位置及びメインラッチ位置を有し、それによって、プルハンドルがラッチ位置とは無関係に回転ラッチと係合できる場合、これは、本発明の更に有利な実施形態になる。有利なことに、プルハンドルは、回転ラッチのラッチ位置が何も達成されていない場合、既に回転ラッチと係合することもできる。この場合、ドア、フラップ、スライド式ドアは、たとえば、単に半開きであるが、まだ、ロックのロック機構とは係合していない。そのため、広い領域にわたって回転ラッチを移動させる可能性、したがって、アシスト装置によって広いアシスト閉鎖領域にわたってドア又はフラップを閉鎖する可能性がある。
【0023】
アシスト閉鎖装置は、プルハンドルを有し、それによって、プルハンドルを移動させて回転ラッチと係合させることができる。これに加えて、アシスト閉鎖装置は、ボーデンケーブル及び/又は伝達装置を有することができる。両方の場合、本発明の有利な実施形態が存在し、それによって、プルハンドルは、一方では、摩擦接続を確立する為に、他方では、プルハンドル及び回転ラッチの間に形状嵌めを形成する為に、構造的に簡単なオプションを提供する。これに加えて、電動式駆動装置及び伝達装置及びボーデンケーブルの間の連結を通じて摩擦接続を確立できることも考えられる。言い換えると、ボーデンケーブル又はボーデンケーブルコア及び伝達装置の間の連結は、第1アシスト閉鎖領域を経た摩擦接続、換言すると、第1アシスト閉鎖運動が存在するように設計可能であり、第2アシスト閉鎖領域又はアシスト閉鎖運動の第2部分を経て、伝達装置及びボーデンケーブルコアの間に形状嵌めを作り出すことができる。
【0024】
このため、アシスト閉鎖装置における摩擦接続は、ボーデンケーブルによって、更に/又は、伝達装置によって、更に/又は、プルハンドルによって作り出すことができる。そのため、アシスト閉鎖装置における摩擦接続の達成は、媒体の組合せに制限されず、アシスト閉鎖装置又はロック内の既存部品の組合せによって達成できる。伝達装置は、たとえば、摺動クラッチを含み、ボーデンケーブルは、半係合接続を経て駆動することができ、プルハンドルは、たとえば、第1アシスト閉鎖ルートを経て、プルハンドル及び回転ラッチの間に摩擦係合接続のみが存在するように成形することができる。その後、摩擦接続及び形状嵌めの組合せは、アシスト閉鎖装置に、一方では摩擦接続、他方では形状嵌めを作り出されることを可能にする。
【0025】
本発明の一実施形態において、第1アシスト閉鎖運動のアシスト閉鎖トルクは、第2アシスト閉鎖運動のアシスト閉鎖トルクより小さい。このため、アシスト閉鎖運動における力の分布およびアシスト閉鎖装置の異なる運動における伝達力又はトルクの適応により、アシスト閉鎖も僅かな力で防止することが可能になる。特に摩擦接続に関しては、言い換えると、最初のアシスト閉鎖運動では、非常に低いトルクを使用してドアを閉鎖することができ、その結果、非常に小さな力であっても、(子供も含む)自動車の操作者は、たとえば、アシスト閉鎖の第1部分でアシスト閉鎖運動を防止または停止させることができる。アシスト閉鎖運動の第1部分において、アシスト閉鎖運動が中断され、その後、アシスト閉鎖装置の係合が解除され、摩擦接続が無効になり、ドア及び/又はフラップを開けることができる。
【0026】
本発明の一実施形態において、第1アシスト閉鎖運動ではアシスト閉鎖装置によって約100ニュートンのアシスト閉鎖力を発生させることができ、第2アシスト閉鎖運動では約500ニュートンのアシスト閉鎖力を発生されることができ、或いは、それは、アシスト閉鎖装置によって与えられる。アシスト閉鎖装置において、力の力-嵌め伝達中のアシスト閉鎖の為の低い力は、アシスト閉鎖処理が、たとえば子供の手により僅かに中断されることも可能にする。このため、アシスト閉鎖中、特にアシスト閉鎖運動の第1部分での捕捉が確実にされる。このため、80から約120ニュートンの非常に低い力がドア又はフラップが移動されることを可能にし、アシスト閉鎖運動の中断が簡単に可能になる。アシスト閉鎖運動の第2部分においてのみ、引っ張り部は、約500ニュートンの、より高い力を使用し、或いは、トルクが回転ラッチに導かれるので、たとえば、ドア又はフラップ用シールの力については、ドアの安全なアシスト閉鎖及びメインラッチ位置への移動も可能である。
【0027】
有利なことに、回転ラッチのアシスト閉鎖運動は、回転ラッチがストライカに係合するときに導入可能であり、これが、本発明の更なる実施形態になる。アシスト閉鎖装置及び回転ラッチは、関連したラッチ位置に拘わらず、閉鎖処理を作り出すように使用される。このため、ストライカ、ストライカ用ボルト、ラッチ用ブラケットを備えた回転ラッチは、操作上の連結を達成し、回転ラッチは、ドア又はフラップのアシスト閉鎖運動を導入または開始することができる。回転ラッチが既に電気モータによってまたは間接的にアシスト閉鎖装置によって既に駆動される時点において、閉鎖運動は、電気モータによって、言い換えると、ドアの非常に広い閉鎖領域にわたって自動的に駆動可能である。このため、閉鎖運動は、達成されるラッチ位置に依存せず、言い換えると、ロック機構のプリラッチ位置又はメインラッチ位置に依存せず、ストライカが達成されるときに回転ラッチによって既に開始される。
【0028】
第1アシスト閉鎖運動は、ストライカとの回転ラッチの係合達成が4mmの閉鎖位置に達すると、実現可能である。ドア又はフラップが既に4mmまで閉鎖される位置までの、回転ラッチの、ストライカとの係合からのアシスト閉鎖は、最大レベルの安全性を提供する。第1アシスト閉鎖運動中、摩擦接続のみが存在するので、最大4mmの閉鎖領域で閉鎖運動を中断できる。4mmの閉鎖位置でのみ、第2アシスト閉鎖運動で形状嵌めが係合する。4mmは、たとえば、手又は指による係合を防止する、ドア又はフラップにおける隙間を表す。この結果、4mmの閉鎖位置では、インターロックアシスト閉鎖作用を行うことができ、それによって、最大レベルの安全性を自動車の操作者の為に達成できる。しかしながら、ストライカの係合領域に達する回転ラッチ関連の隙間は変更可能であり、自動車の設計によって異なる。しかしながら、回転ラッチの係合が、25mm、好ましくは20mm、より好ましくは15mm、最も好ましくは10mmの隙間で係合することが考えられる。そのため、第1アシスト閉鎖運動は、安全上の危険性を操作者に負わせることなく、力嵌め運動によって、多かれ少なかれ20mmの隙間のアシスト閉鎖を行うことができる。このため、本発明によるアシスト閉鎖装置の形態は、アシスト閉鎖の為に構造的に好ましく、費用節約の解決策も提供する。なぜなら、大半の場合、同一コンポーネントを使用することができ、それによって、部分的に、また実施形態に応じて、構造的変更のみが既存コンポーネントに対して行われる必要がある。
【0029】
請求項11によると、本発明の目的は、回転ラッチ及び少なくとも一つの爪部から構成されたロック機構と、電気駆動装置を備えたアシスト閉鎖装置と、ロック機構の位置を記録する為のセンサと、アシスト閉鎖装置の為の制御ユニットとを備える自動車の為のロックによって解決されるが、アシスト閉鎖装置の可動部の媒体の位置を記録する為の少なくとも一つの媒体が設けられ、その記録媒体が制御ユニットと相互作用する。アシスト閉鎖装置との組合せにおいて移動されるコンポーネントの位置を記録する為の媒体の間の、本発明による相互作用の結果、制御ユニットは、そのコンポーネントの位置を正確に記録することができる。これが特に意味することは、アシスト閉鎖装置によってコンポーネントに導入された運動が、任意の時間で中断が可能である点である。このため、制御ユニットは、アシスト閉鎖装置との係合中、コンポーネントの位置に拘わらず、アシスト閉鎖処理を中断する位置にある。アシスト閉鎖処理は、アシスト閉鎖装置からの電流を中断することによって、たとえば、アシスト閉鎖処理を逆にすることにより係合および/または中断されるプルハンドルの係合を解除することによって、中断することができる。これは、たとえば、操作者の捕捉を防止できる。
【0030】
アシスト閉鎖力は、シールの圧力に逆らってドア又はフラップを閉鎖しなければならないので、特にフラップ又はドアについては、非常に高いアシスト閉鎖力が必要になる。ドア又はフラップ又は異なる可動コンポーネントが、アシスト閉鎖され、アシスト閉鎖中、加えられるアシスト閉鎖トルクが監視される場合、アシスト閉鎖処理を中断することができる。
【0031】
様々なロック及び作動要素が、自動車用ロックとして使用可能である。ロックは、たとえば、側面ドア、スライドドア、フラップ又は蓋又はカバー近傍における小型構造ユニットとして使用できる。さらに、たとえばフード用ラッチ、たとえば運搬装置で使用されるような補助ロックを使用することも考えられる。
【0032】
自動車用ロックにおけるロック機構は、回転ラッチと、少なくとも一つの爪部とを有し、これによって、回転ラッチは、爪部によって、ロック位置で保持可能になる。プリラッチ及びメインラッチから成る二段階ロック機構は、一つ又は二つの爪部を備えたシステムとして使用される。
【0033】
解除レバーは、ロック機構に作用し、それによって、解除レバーは、たとえば、旋回運動によって、キャッチ部から一つ又は二つの爪部の係合を解除する。解除レバーは、自動車用ロック内、好ましくは、自動車用ロックのフレームボックス及び/又はハウジング内で旋回できるように収容される。
【0034】
アシスト閉鎖装置は、電動式駆動装置を有し、トルクコンバータと共に動作する。このため、電気駆動装置およびトルクコンバータは、ロック内に直接置かれ、別個のモジュールとして、たとえば、ボーデンケーブルによって、直接または間接に、回転ラッチと相互作用することができる。これは、たとえば、トルクコンバータとして、それぞれの電動装置を備えた電動式駆動装置が別個のモジュールとして設計されること、別個のモジュールが、たとえば、ボーデンケーブルによってロックのラッチ用ハウジングと連結されることを意味する。その後、ボーデンケーブルは、たとえば、プルハンドルに連結され、それによって、プルハンドルは回転ラッチに直接影響を与えることができる。プルハンドルは、ロック内で旋回できるように収容され、すなわち、プルハンドルは、アシスト閉鎖ルートを経て回転ラッチと係合することができる。
【0035】
しかしながら、アシスト閉鎖装置がロック上、ロック内でさえ、直接設置されることも考えられる。このため、たとえば、電気駆動装置及びトルクコンバータが、たとえば、伝達装置の形式で、回転ラッチに直結されることも考えられる。その後、電気モータは、スピンドル駆動装置と相互作用することができ、それによって、スピンドル駆動装置は、プルハンドルを移動させる。プルハンドルは、この場合、プルハンドルがアシスト閉鎖ルートを経て回転ラッチと係合できるように、ロック内で旋回できるように収容可能である。
【0036】
したがって、伝達装置又は機構は、トルクコンバータとして作用することができ、これを用いて、少なくとも異なる力またはトルクを回転ラッチに導くことができる。トルクコンバータは、少なくとも一部の領域で可能であり、言い換えると、アシスト閉鎖ルートを経て可変トルクを得ることができるので、回転ラッチは異なる力またはトルクで作用可能である。
【0037】
アシスト閉鎖はコンポーネントの運動の一定記録を伴って行われ、それによって、制御ユニットの記録媒体は、信号を送信し、アシスト閉鎖中の任意の時点で、コンポーネントの位置または閉鎖される自動車の部品のコンポーネント媒体の位置を決定できる。前述したように、アシスト閉鎖装置が、自動車の側面ドアのアシスト閉鎖に使用される自動車のロック機構である場合、記録媒体は、ドアの位置、したがって、アシスト閉鎖中の隙間をも決定する為に使用できる。ここで、隙間は、移動するドアおよびシャシの間の距離として決定される。ここでの隙間は、ドアが閉じられているとき、特に、たとえば、可動コンポーネント(好ましくはドア)とシャシとの間の、たとえば操作者の手の為に開いている領域を決定する。
【0038】
本発明の一つの実施形態において、記録媒体がセンサまたはスイッチ装置、特にマイクロスイッチである場合、利点がある。記録媒体は、たとえば、回転式センサであり、これは、移動されるコンポーネント、特に、回転ラッチの回転運動を記録する。これに加えて、別個に、更に/又は、組合せて運動を記録する一つ又は複数のマイクロスイッチを使用することもでき、それによって、そのコンポーネント、したがって、たとえば、そのコンポーネントによって移動されるドア又はフラップの運動の決定が可能になる。これによって、ドア又はフラップの運動は、制御ユニットを用いて、その位置を決定できるように別個に記録できる。マイクロスイッチは、費用対効果が良く、回転式センサは、移動されるコンポーネントおよびその位置の非常に正確な決定を可能にする。
【0039】
そのため、アシスト閉鎖処理の監視が局所的であり、特に、隙間の領域のみを監視できるようにする必要がある場合は有利である。実際、プルハンドルは、10mm未満、好ましくは8mm未満、より好ましくは6mm未満の領域内で、移動されるコンポーネントに実際に係合するにすぎない。この時点で、アシスト閉鎖処理の監視は、結果として最初に行われなければならない。隙間が4mm未満を超えると、操作者は、最早、たとえば、ドアとシャシの間の隙間に指をたとえば置くことはできなくなる。その後、4mm未満の領域は、監視処理から、たとえば排除することができる。10-4mm、好ましくは8-4mm、より好ましくは6-4mmの隙間の監視は、有利な実施形態と考えられる。
【0040】
位置を記録する為の媒体が、電気駆動装置における電流の上昇(rise)を記録することによって制御ユニットと相互作用する場合、アシスト閉鎖処理は中断可能である。電流の上昇は、特に、アシスト閉鎖処理が高負荷がかかっていることを示す。電流の上昇が制御ユニットによって評価されると、制御ユニットは、電流の上昇の変動が、許容範囲外のような電流の上昇であるかを決定することができるので、アシスト閉鎖処理を中断することができる。アシスト閉鎖駆動装置が、たとえば、自動車の側面ドアにおけるロックのロック機構に影響を与える場合、ドアは、たとえば、側面ドア用ロックのロック機構のメインラチェットで終了する。次に、アシスト閉鎖処理が始まり、言い換えると、プルハンドルがたとえば回転ラッチと係合し、回転ラッチがプリラッチ位置からメインラッチ位置まで移動できるように回転ラッチを移動させる。この処理中、アシスト閉鎖装置は、ドアをドア用シールに逆らって移動させなければならないので、閉鎖位置が増加するにつれて、隙間が減少し、より大きな力がアシスト閉鎖に加えられなければならない。しかしながら、力は、許容誤差の範囲内で決定できるので、許容誤差の範囲外又は定義可能な許容範囲外の変動を検出することができ、制御ユニットは、アシスト閉鎖処理を中断し、必要であればプルハンドルを排出し、さらに/またはアシスト閉鎖処理の逆戻り(reversal)を開始する。これによって、アシスト閉鎖中、安全手段として有利な方法で電流の上昇を使用することができる。
【0041】
本発明の更なる実施形態において、可動コンポーネントは、自動車のドア、フラップ、カバー又はフードである。可動コンポーネントは、アシスト閉鎖装置によって移動され、それによって、コンポーネントは、隙間が無い又は非常に小さな隙間だけが存在するように自動車またはシャシに寄り添う。一方で、自動車の最も最適な空気力学を達成するため、他方では、美的な理由から、たとえば、コンバーチブルトップの場合、安全なロックを確実にするため、隙間は最小限に保たれる。ロック、特に自動ロックのとき、操作者又は異物がジャミングされる危険性が常に存在する。本発明の目的の為に自動アシスト閉鎖中に電流の上昇を記録するオプションは、電子制御信号が作り出され、アシスト閉鎖処理を中断するという利点を提供する。
【0042】
アシスト閉鎖装置がロック機構または保持バンドと直接相互作用する場合、これは、本発明の更に有利な実施形態になる。アシスト閉鎖は、アシスト閉鎖装置の適用時点に応じて生じ、フラップ、カバー、ドアのようなコンポーネントは、第1閉鎖位置から第2閉鎖位置に移動される。たとえば、自動車用ロックのロック機構がアシスト閉鎖を実行する場合、ドア又はフラップは、ロック機構のプリラッチ位置からメインラッチ位置に移動可能である。アシスト閉鎖装置が保持バンド上で係合する場合、ドア又はフラップを他の領域に移動または引いて閉じるオプションもある。アシスト閉鎖中、操作者に起こり得る危険性があるかを決定するため、アシスト閉鎖及び特に駆動装置の消費電力が消費電力の許容誤差範囲または許容誤差ウィンドウ内であるかを連続して監視する。
【0043】
回転ラッチがアシスト閉鎖装置によって移動可能である場合、これは、本発明の更に有利な実施形態になる。これによって、回転ラッチの運動は、たとえば、プルハンドルが、力嵌めおよび/または形状嵌めで回転ラッチと係合するような運動でもよい。回転ラッチがアシスト閉鎖装置、たとえば、プルハンドルによって移動される場合、ストライカと係合した回転ラッチは、ストライカの第1係合位置から、メインラッチ位置又はオーバーストローク位置まで、ドア又はフラップ又はベンチを移動させることができる。アシスト閉鎖中、駆動装置において過剰な消費電力が検出される場合、アシスト閉鎖処理を中断することができる。本発明による形態の結果として、最大レベルの安全性を確保できる。これによって、アシスト閉鎖中のジャミング又は怪我を防止できる。
【0044】
一実施形態において、位置を記録する為の媒体は、回転ラッチ上に置かれる。有利なことに、センサ媒体は、回転ラッチと直接係合できるので、自動車の操作者にとって不可欠なアシスト閉鎖範囲は非常に正確に監視される。ここでは、怪我又はジャミングになり得るアシスト閉鎖領域が特に関心事である。回転ラッチの位置をスキャンすることによって、非常に正確に隙間の監視または隙間の決定が可能であるが、これは、ドアの隙間が回転ラッチ及びストライカの間の係合比に正確に関連し得るからである。
【0045】
変更可能なアシスト閉鎖トルクをアシスト閉鎖装置によって与えることができる場合、更なる実施形態が生じる。アシスト偏差運動の監視とは無関係に、変更できるアシスト閉鎖トルクが制御ユニットによって作動可能であり、それによって、制御ユニットが少なくとも警告信号を発することなく、或いは、アシスト閉鎖処理を中断することなく、アシスト閉鎖の結合を解除するか、或いは、アシスト閉鎖処理を逆にすることなく、許容誤差ウィンドウを超えて電流が変動できないように、任意の時点で許容誤差ウィンドウが監視される。いずれにせよ、これによって、操作者のジャミングは防止可能であり、操作者が怪我する危険性はない。
【0046】
以下、例示的実施形態に基づき、添付された図面を参照して本発明を説明する。しかしながら、例示的実施形態は本発明を限定せず、有利な実施形態を構成するにすぎないという原理が適用される。描かれる特徴は、個別に又は説明の更なる特徴と組み合わせて実行でき、請求項は個別に又は説明の更なる特徴と組み合わせて実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、プリラチェット及びメインラチェットを備えたロック機構を有する自動車用ロックにおけるアシスト閉鎖装置の一部を理論的に図示する。
図2図2は、第1アシスト閉鎖運動および第2アシスト閉鎖運動を経た力の過程の図示を伴う力のルート図である。
図3図3は、限定された力のラインと共に、第1アシスト閉鎖運動および第2アシスト閉鎖運動を経た力の過程の図示を伴う力のルート図である。
【詳細な説明】
【0048】
図1は、自動車用ロック1の一部を示す。それは、回転ラッチ3,プリラッチ用爪部4、メインラッチ用爪部5からのロック機構2を示す。回転ラッチ3は、軸6を中心に旋回できるように適応され、爪部4,5は、軸7を中心に旋回できるように適応されている。閉鎖位置を得るため、回転ラッチ3は、たとえば、自動車用ロック1のロックプレートにおいて、矢印Pの方向で軸6を中心に旋回できるように適応可能である。図1は、プリラッチ位置を示し、それによって、プリラチェット用爪部4は、回転ラッチ3上でラチェット用外形部8と係合できる。
【0049】
アシスト閉鎖装置9の一部としてプルハンドル10、凹部11,牽引手段12,ボーデンケーブルコア13も示されているが、これらによって、牽引手段12およびボーデンケーブルコア13は、ボーデンケーブル12,13の一部とすることができる。プルハンドル10は、アシスト閉鎖ルートZを経て自動車用ロック内に、旋回できるように収容されている。アシスト閉鎖ルートZは、図1に、一点鎖線として、円弧として示されている。ストライカ14も示されているが、それによって、ストライカ14は、プリラッチ位置において、回転ラッチ3と既に係合している。
【0050】
プルハンドル10及び回転ラッチ3は、それぞれ、外形部15,16を持つことができ、外形部15,16は、ストライカ14が回転ラッチ3に達するとき、摩擦接続、言い換えると、たとえば、摩擦係合された接続が、プルハンドル10及び回転ラッチ3の間に確立できるように設計されている。一方で、回転ラッチ用外形部15およびプルハンドル用外形部16は、摩擦接続が第1アシスト閉鎖ルートに確立できるように設計可能であるが、第2アシスト閉鎖ルート上には形状嵌めを得ることができる。
【0051】
図2は、アシスト閉鎖ルートZがミリメートル、アシスト閉鎖力がニュートンで呈された図表を示す。プリラッチ位置VRおよびメインラッチ位置HRが表示されている。アシスト閉鎖装置9は回転ラッチをオーバーストローク位置に移動させ、メインラチェット用爪部5がラチェット用外形部8と係合できることから、これに加えて、オーバーストローク位置UHも表示されている。ほとんどの場合、およそ6mmのドア隙間にはプリラッチ位置がある。メインラッチ位置において、ドアは閉鎖されている。オーバーストローク位置は、メインラッチ位置を経て回転ラッチがとる回転ラッチのルートを表示し、爪部5は、回転ラッチ3のラチェット用外形部8と係合することができる。この例示的実施形態または図1の例示的実施形態は、2つの爪部4,5を備えたロック機構2を示す。もちろん、たった一つの爪部4,5が存在することも考えられる。
【0052】
アシスト閉鎖ルートZは、電気モータによって駆動される回転ラッチ3をプルハンドル10が移動させるルートを描く。本発明によると、プルハンドル10は、回転ラッチ3がストライカ14と係合するときには既に係合している。図2に示された図表は、10mmのアシスト閉鎖ルートにオーバーストロークを加えたものを示す。プルハンドル10は、10mmのドア隙間から4mmのドア隙間までのアシスト閉鎖ルートを経て、矢印Pの方向に回転ラッチ3を移動させる。これによって、回転ラッチ3は、100ニュートンの力で、或いは、閉鎖位置に移動される。力の過程は、Kによって図表に示されている。4mmのドア隙間からメインラチェットにおけるドアの閉鎖まで、またはオーバーストロークへのプリ閉鎖を経た力の過程は、図表にFOによって表示されている。
【0053】
図2から明らかであるように、本発明によるアシスト閉鎖運動は、ラッチ位置VR,HRに制限されるものではない。むしろ、本発明によると、ドア又はフラップが既にほとんど閉鎖しているように、ある程度まで摩擦接続をメインラッチ位置の方向に移動させることが考えられる。たとえばドア用シールの圧力に逆らって大きな閉鎖力が必要である場合にのみ、これは、プルハンドル10及び回転ラッチ3の間に形状嵌めFOを作り出し、それによって、安全な閉鎖および回転ラッチの保持が促進される。
【0054】
現状技術から知られたアシスト閉鎖装置の力の過程も図表に記録されている。次第に増加する力または次第に増加するトルクによるアシスト閉鎖運動は、力線プロファイル17で図表に記録され、オーバーストロークの為にプリラチェットと共に間接的に伝えられる力は、力線プロファイル18で図表に記録されている。
【0055】
アシスト閉鎖中、トルクは、プルハンドル10によって矢印Pの方向で回転ラッチ3に伝えられる。これによって、トルクは、消費電力に比例し、図2でy軸に記録される力Fに比例する。アシスト閉鎖中、これは、摩擦接続Kおよび力線プロファイル17または18を経て生み出される力線プロファイル17,18を生み出し、その後、超えてはならない許容誤差ウィンドウ(tolerance window)TOは、制御ユニットによって特定できる。力Fが、図2の破線で示されるような限界力線19に達すると、制御ユニットがアシスト閉鎖処理を中断する可能性がある。
【0056】
摩擦接続KOまたは形状嵌めFOの間の正常なアシスト閉鎖中、過剰な力が加えられ、限界力線19,従って、許容誤差ウィンドウTOも超えられると、アシスト閉鎖中、制御ユニットによって障害および/またはジャミングを検出することができる。本発明による形態の結果として、特に、駆動装置における電流の増加の記録の結果として、故障を決定すること、適した対抗策の導入が可能である。
【0057】
これによって、電流の増加は、アシスト閉鎖処理の適正手順の為の尺度である。これによって、故障またはジャミングは、過剰電流または過剰な力によって検出され、アシスト閉鎖駆動装置の中断、結合解除および/またはアシスト閉鎖駆動装置の反転を開始することができる。
【0058】
位置20を記録する為の手段としてセンサが、たとえば、図1に示されている。センサ20は、たとえば、回転式エンコーダとして、回転ラッチ3の回転運動を記録することができ、或いは、たとえば、アシスト閉鎖運動Zも記録できるようにマイクロスイッチとして設計することも可能である。センサ20は、次に、制御ユニットSに直接的に接続され、それによって、制御ユニットSは、モータMの力の吸収を監視する。これによって、制御ユニットは、センサ20の移動信号で始まり、モータMの消費電力を比例にセットする位置にあり、このように、アシスト閉鎖処理に関連してモータMの過剰な消費電力又は過剰な力を決定する。力が限界力線19を超えると、或いは、制御ユニットSによってモータMで高すぎる消費電力が決定されると、アシスト閉鎖処理を中断することができる。都合の良いことに、図1によると、プルハンドル10は、たとえば、回転ラッチ3からの係合を解除することができる。
【0059】
【符合の説明】
【0060】
1…自動車用ロック、2…ロック機構、3…回転ラッチ、4…プリラチェット用爪部、5…メインラチェット用爪部、6, 7…軸、8…ラチェット用外形部、9…アシスト閉鎖装置、10…プルハンドル、11…凹部、12…牽引手段、13…ボーデンケーブルコア、14…ストライカ、15…回転ラッチ用外形部、16…プルハンドル用外形部、17, 18…力線プロファイル、19…限界力線、20…センサ、P…矢印、Z…アシスト閉鎖ルート、VR…プリラチェット、HR…メインラチェット、UH…オーバーストローク、K…摩擦接続、FO…形状嵌めF…力、TO…許容誤差ウィンドウ、S…制御ユニット、M…駆動用モータ。
図1
図2
図3