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特許7087243食品を供与するための供与弁および充填機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】食品を供与するための供与弁および充填機
(51)【国際特許分類】
   B65B 39/00 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
B65B39/00 B
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020194403
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2021088413
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】19213078
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503209940
【氏名又は名称】アルベルト ハントマン マシネンファブリク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マイレ, ベルント
(72)【発明者】
【氏名】キブラー, アルミン
(72)【発明者】
【氏名】キブラー, アンドレアス
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112092(JP,A)
【文献】特開2006-282280(JP,A)
【文献】特開2017-109744(JP,A)
【文献】特表2019-511980(JP,A)
【文献】特開平03-256803(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00077910(EP,A1)
【文献】米国特許第05992687(US,A)
【文献】国際公開第2019/067891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ースト状の塊、特に食品を供与するための供与弁(1)を備えた充填機であって、前記供与弁(1)は、一部分を送出するための弁開口部(3)を開閉する可動な弁要素(2)と、前記弁要素と弁ハウジングとの間の圧迫領域であって、前記弁要素が移動することにより細長い指が圧迫され得る前記圧迫領域と、を備え
前記弁要素(2)が、閉方向(S)に見て先端である前記弁要素(2)の端領域(2b)に弾性材料(6)を備え
前記供与弁は、前記充填機の送出端に配置されており、前記弁開口部は、50mm ~2000mm の範囲内の面積を有することを特徴とする、供与弁(1)を備えた充填機
【請求項2】
前記弾性材料(6)が、前記閉方向(S)に移動する前記弁要素によって指を圧迫し得る前記弁ハウジング(5)の内側に、特に、
前記弁開口部(3)の周りのエッジ領域(9a)に、または
前記弁開口部(3)の側面(12)に、または
供給管路(7)から、前記弁要素(2)が移動して前記弁開口部(3)を閉める円筒管区間(9)への移行の前記領域に
配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項3】
前記弁要素(2)の前記端領域(2b)の前記弁要素(2)の直径(d)が前記閉方向(S)に減少し、特に、
前記弁要素(2)の前記端領域が、前記閉方向の方に傾斜した、または凸状に形成された外周側方接触面(2a)を有する、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項4】
前記圧迫領域(4)が、前記弁要素(2)の前記閉方向(S)に傾斜した前記弁要素(2)の側方接触面(2a)と、前記弁要素(2)の前記閉方向(S)の方に傾斜した前記弁ハウジング(5)の側方接触面(9a)とによって画定され、側方接触面(2a、9a)が、互いに対向して配置されるか、または前記圧迫領域(4)の対向する側に互いから横方向にずれて配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項5】
前記弁ハウジング(5)が、前記弁ハウジング(5)の内側に、前記弁要素(2)の前記閉方向に対して斜めに延在し、指が前記弁要素によって圧迫されたときに圧迫された指が押し付けられる側方接触面(9a)を有し、前記側方接触面(9a)が好ましくは、
前記弁開口部(3)の周りのエッジ領域に配置されており、前記供与弁の閉状態で、前記弁要素の前記端領域(2b)に対向して配置されるか、または
前記弁開口部の側面であるか、または
供給管路(7)と前記弁要素(2)が移動する円筒管区間(9)との間の移行領域(9a)に形成されており、特に、前記管区間(9)に、90°未満の、特に15°~60°の角度で開口する前記供給管路の下部管面の形であるか、または斜めに切り取られた切断エッジ(9a)の形である
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項6】
前記供与弁を、制御装置によって、閉まる力が所定の値に、特に135N未満の値に制限するように作動させることができることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項7】
前記供与弁が、前記弁開口部(3)を開閉する前記弁要素(2)として軸線方向に可動な送出ピストンを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項8】
前記供与弁(1)が、座弁として構成され、円錐状に先細りになるノズルの下端に配置された前記弁開口部(3)を閉める前記弁要素(2)として軸線方向に可動なプランジャを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項9】
前記供与弁(1)が、回転ピストン弁として構成され、前記弁開口部(3)を回転によって開閉する前記可動な弁要素(2)として回転ピストンを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項10】
前記弾性材料(6)が特にエラストマーの群からの材料であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項11】
前記弾性材料が30~80ショアAの硬度を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項12】
圧迫される物体にかかる圧力が60N/cm以下であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【請求項13】
前記弾性材料が前記弁開口部(3)を閉めることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の供与弁(1)を備えた充填機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の、液体またはペースト状の塊、特に食品を供与するための供与弁(dosing valve)、ならびにそのような供与弁を備えた充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
食品産業では、そのような弁が、小さい塊を含み得る液体およびペースト状の塊を供与するための生産システムおよび機械、例えば、真空充填機に取り付けられている。そのような供与弁は、ボウル、深絞りトレイなどといった容器を充填するために使用される。
【0003】
そのような供与弁は、送られるべき製品の送出(discharge)過程の開始時に駆動装置の使用によって開き、送出されるべき部分の終了後に閉まる。製品はそこで画定され、分割され、分離される。原則として、弁は、可能な限り配管の端で、充填装置の出口で直接使用される。
【0004】
製品および用途に応じて様々なタイプの弁が用いられる。
【0005】
例えば、欧州特許第2215912号に開示されているように、送出ピストンを備えた弁がよく使用される。製品はT形部材の側面から弁内に供給される。ピストンは垂直軸線の軸線方向に移動し、それによって入口を開閉する。
【0006】
出口(ノズル)にテーパを備えた弁が座弁としてしばしば構成される。弁を閉めるために、プランジャがノズルのエッジで停止するまで軸線方向に移動され、それによって弁を閉める。
【0007】
別の変形では、ピストンは軸線方向ではなく半径方向に移動される(回転ピストン弁)。ハウジングにおける入口および出口と回転ピストンにおける連結路との配置により、ピストンを回転させることによって弁を開閉することができる。
【0008】
弁の出口開口部の直径は通常、出口開口部に、例えば指を入れられるのに十分な大きさである。弁は、指が危険領域に到達したときに、指を挟んだり、強く圧または切断したりし得るように構成されている。この原因は、閉まる力が強さおよび閉まるエッジの構成にある。したがって、指が危険領域、すなわち、圧迫領域に到達し得るのを、安全限界、機械的バッフル、保護囲い、安全センサなどによって防止しなければならない。
【0009】
しかしながら、これらの安全措置は様々な理由でワークフローにマイナスの影響を及ぼす。特に、そのような措置は、生産速度、取り扱い、アクセス可能性、製品への優しさなどに不都合な影響を及ぼす。機械的に分離する保護装置を設けることは多くの場合構造的に不可能である。
【0010】
図6に、例えば、管9に弁開口部3を閉めるための、下方に移動させることができるピストン2を備えた供与弁を示す。開口部3を通して入口管7まで指を挿入できる間にエッジKが管9内を下方に移動する。したがって、入口管7から管9への移行領域において可動な弁要素2とハウジング5、すなわち切断エッジとの間で指が圧迫されるおそれがあり、入口管7の下面に隣接する切断エッジとエッジKとは圧迫領域の対向する側に配置されているが、互いに横方向にずれているので、指がせん断力を受ける。図7に、プランジャ2が弁開口部3の方向に移動される座弁として構成された弁を示す。指はそこで、弁要素2の先端と、弁開口部3に向かって先細りになるハウジング5との間で圧迫され得るので、同様に重傷のおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこから考えを進めて、本発明は、単純な方法で操作スタッフに十分な安全性を保証する、食品を供与するための供与弁を提供するという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する発明によって達成される。
【0013】
本発明による供与弁は、液体又はペースト状の塊の一部分を送出するための弁開口部を開閉する可動な弁要素を備える。
【0014】
弁要素は、閉方向に見て先端であるその端領域に弾性材料を備える。
【0015】
これが意味するのは、例えば、弁要素が閉方向に移動するときに指が弁開口部を通って弁ハウジングの内部に到達した場合、弾性材料は指と接触すると指の形状に容易に適応し、それによって力の均等な分散を可能にし得ることである。本発明によれば、供与弁はしたがって、危険領域に到達したときに指への重傷の危険が生じないように設計および構成される。弾性材料が先端領域に配置されていることにより、弾性材料は好都合なことに弁開口部を密閉するための密閉材料としても機能することができる。
【0016】
先端領域は好ましくは下端から軸線方向上方に少なくとも5mmから20mm延在する。
【0017】
代替として、または加えて、弾性材料を、弁ハウジングの内側に、すなわち、閉方向に移動する弁要素によって指が圧迫される可能性がある位置に配置することもできる。特に、座弁の場合には、弾性材料は、弁開口部の周りのエッジ領域に、すなわち、ノズル領域に、または弁閉鎖ピストンを有する弁の場合には、入口管路から、弁要素が移動されて弁開口部を閉める円筒管区間への移行の領域に配置される。
【0018】
回転ピストン弁の場合には、弾性材料を、弁開口部の側面、すなわち、閉方向と反対方向を向いている側面の領域に配置することができる。
【0019】
圧迫領域における可能な接触面積は、指にかかる力の分散を最大化し、それによって表面圧力を最小化するために都合よく拡大される。これは、指を切断する可能性のある鋭いエッジがないことを意味する。
【0020】
これは特に、弁要素の端領域の弁要素の直径が閉方向に減少するように実施される。特に、その場合、圧迫が発生した場合、指に平らに当たり、それによって指にかかる圧力を最小化することができる弁要素の閉方向の方に傾斜した側方接触面が生じ得る。あるいは、弁要素の端領域を凸状になるように形成することもできる。弁要素の側方接触面と対向する面、例えば、弁開口部の周りのノズル形状のエッジ領域はその場合、凹状とすることができる。
【0021】
好ましい実施形態によれば、圧迫領域は、弁要素の閉方向に傾斜した弁要素の側方接触面と、弁要素の閉方向の方に傾斜した弁ハウジングの側方接触面とによって画定され、これらの面は互いに対向して配置されるか、または圧迫領域の対向する側に互いから横方向にずれて配置される。これらの側方接触面によって指にかかる圧力を最小化することができる。
【0022】
圧迫された指が2つの面に接することにより、例えば、指にかかる圧力を、鋭いエッジと比べて最小化することができる。
【0023】
圧迫領域とは、弁要素が移動することにより細長い指が圧迫され得る弁要素と弁ハウジングとの間の領域を意味すると理解される。圧迫点は、指が、弁要素の先端領域と対向して配置された領域との間、または弁要素の先端領域と、それに対して横方向にずれた弁ハウジングの領域、例えば、供給管路の下面や斜めに切り取られた切断エッジとの間で圧迫されるように構成され得るので、指はせん断効果にさらされることになる。
【0024】
特に、弁ハウジングは、その内側に、弁要素の閉方向に対して斜めに延在し、指が弁要素によって圧迫されるときに圧迫された指が押し付けられる側方接触面を有することができ、側方接触面は、例えば、以下の領域に配置され得る。
【0025】
弁開口部の周りのエッジ領域、すなわち、側方接触面は、弁開口部の周りにノズルの形で配置され、供与弁の閉状態では、側方接触面は、弁要素の端領域に対向して配置される。
【0026】
弁開口部の側面、すなわち、例えば、回転ピストン弁の場合には、回転方向または閉方向と反対の一方の側に向けられた弁開口部の面。
【0027】
供給管路と弁要素が移動される円筒管区間との間の移行領域、すなわち、例えば、90°未満の、特に15°~60°の角度で管区間に、または斜めに切り取られた切断エッジに開口する供給管路の下部管面。
【0028】
供与弁は好都合には、制御装置によって、閉まる力が所定の値に、特に135N未満の値に制限されるように制御される。これは、特に前述の措置と組み合わさって、実質的に傷害から保護するようにも機能する。
【0029】
好ましい実施形態によれば、供与弁は、座弁として構成され、円錐状に先細りになるノズルの下端に配置された弁開口部を閉める弁要素として軸線方向に可動なプランジャを備える。そのような弁配置では、側方接触面が弁の円錐状に先細りになるノズルによって拡大されることが特に好都合である。その場合、可動なプランジャの先端が弾性材料を備えており、特に、ゴム製の先端として構成されていれば、傷害を防止することができる。その場合、プランジャの先端がさらに下方に先細りになっていれば、接触面はこの箇所でも拡大され、これにより圧力がさらに最小化される。
【0030】
さらなる実施形態では、弁要素は、入口管で弁開口部を開閉する軸線方向に可動な送出ピストンを有するように構築される。指が弁開口部を通ってそこで入口管まで入った場合には、例えば、送出ピストンの先端の弾性材料、すなわち、弾性ピストン先端によって、傷害が発生するのを防止することができる。その場合、送出ピストンの端領域が、特に上記のように、傾斜した側方接触面を有し、入口管から円筒管への移行領域も斜めに切り取られていれば、これにより保護がさらに高まる。
【0031】
供与弁が回転ピストン弁として構成され、開口部を回転によって開閉する可動な弁要素として回転ピストンを備えることも可能である。本発明によれば、この場合もやはり弾性材料の使用により、弁開口部を通して挿入された指が閉鎖中に著しく傷つくのを防止することができる。
【0032】
弾性材料は好都合には、特にエラストマーの群からの材料である。
【0033】
弾性材料は、特にDIN ISO 7619-1による30~80ショアAの硬度を有する。
【0034】
好都合には、圧迫される物体、特に指にかかる圧力は、60N/cmを超えないはずである。
【0035】
弾性材料は、好都合には、弁開口部を閉め、それによって特に良好な密閉をもたらす。これは、弾性材料が密閉材料としても機能し得ることを意味する。
【0036】
本発明は、請求項1~13のいずれか一項に記載の供与弁を備えた充填機にも関し、供与弁は充填機の出口管の端部に配置される。
【0037】
以下の図を参照して以下で本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による第1の実施形態を概略的に示す図である。
図2】FIG.2aはある閉位置における図1に示される実施形態を示す図であり、FIG.2bは別の閉位置における図1に示される実施形態を示す図であり、FIG.2cはさらに別の閉位置における図1に示される実施形態を示す図である。
図3】本発明によるさらなる実施形態を示す図である。
図4】FIG.4aはある閉位置における図3に示される実施形態を示す図であり、FIG.4bは別の閉位置における図3に示される実施形態を示す図であり、FIG.4cはさらに別の閉位置における図3に示される実施形態を示す図である。
図5】FIG.5aはある閉位置における本発明によるさらなる実施形態を示す図であり、FIG.5bは別の閉位置における本発明によるさらなる実施形態を示す図であり、FIG.5cはさらに別の閉位置における本発明によるさらなる実施形態を示す図である。
図6】先行技術による供与弁を示す図である。
図7】先行技術による別の供与弁を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1および図2(FIG.2a、FIG.2b、FIG.2c)には、本発明による供与弁1の実施形態が示されている。
【0040】
供与弁1は、座弁として構成され、例えば、ひとつながりの食品を送る充填機の配管に連結された入口管7を備える。特に供与弁1は、小さい塊も含み得る液体およびペースト状の塊を供与するために使用される。そのような供与弁1は、特に、ボウル、深絞りトレイなどといった容器を充填するために使用される。
【0041】
入口管7は、その下端に、食品を個別部分として送出するための弁開口部3を備える管9に開口している。供与弁1はそこに、管9内を上下に移動させることができ、弁開口部3を閉方向Sに閉めることができる可動な弁要素2を備える。弁要素2は、弁開口部3を開くために駆動装置によって閉方向と反対方向に移動する。送られるべき製品が送出された後、弁要素2は次いで再度下方に移動する。
【0042】
入口または入口管7は管9に90°未満の、特に15°~60°の角度αで開口している。
【0043】
弁開口部3は、好ましくは、50mm~2000mmの範囲内の面積を有し、すなわち、指8が開口部に到達し得るのに十分な大きさである。
【0044】
特に図1から推測できるように、弁要素2は、閉方向Sに見て先端であるその端領域2bに弾性材料6を備える。弾性材料は、例えば、エラストマーの群からの材料である。弾性材料は、特にDIN ISO 7619-1による30~80ショアAの硬度を有する。
【0045】
先端領域2bは、好ましくは、少なくとも5mm~20mmの長さlだけ、下端から軸線方向上方に、すなわち、閉方向と反対方向に延在する。
【0046】
この寸法は、弁要素2とハウジング5との間の圧迫領域4に到達する指8を保護するのに十分である。
【0047】
これが意味するのは、例えば、指8、ここでは試験指8が弁開口部3を通って弁ハウジング5の内部に到達した場合、弾性材料6は指8と接触すると指8の形状に容易に適応し、それによって力の均等な分散を可能にし得ることである。したがって、危険領域に到達したときに指8に対する重傷の危険が生じない。弾性材料が先端領域に配置されていることにより、弾性材料はさらに好都合なことに、弁開口部3を密閉するための密閉材料としても機能することができる。弾性材料6を、弁要素2に接着結合するか、または弁要素2の上部に固定装置13によって取り外し可能な方法で固定して、摩耗したときに交換できるようにすることができる。
【0048】
圧迫領域4における、すなわち、弁要素2と弁ハウジング5との間の可能な接触面は、好都合なことに、指8にかかる力の分散を最大化し、したがって指にかかる圧力を最小化するために都合よく拡大される。
【0049】
図1および図2から分かるように、これは、弁要素2の、すなわち、ここでは特に弾性材料6の直径dが、閉方向Sに減少する、すなわち、外形が下方に先細りになることにおいて達成される。特に、その場合には、圧迫が発生した場合に、指8の上に平らに当たり、それによって指にかかる圧力を最小化することができる、弁要素2の閉方向Sの方に傾斜した拡大された外周側方接触面が生じ得る。
【0050】
直径dはその場合、例えば、20~50mmから0~30mmに減少する。傾斜した外周側方接触面の高さkは、例えば、10~30mmの範囲内である。
【0051】
閉方向または長手方向軸線Lに対して垂直な平面と側方接触面2aとの間の角度βは、好ましくは、15°~60°の範囲内である。弾性材料6は、代替として、弁開口部3の方向に下方に凸状に延在することも可能である。
【0052】
そのように構成された弁要素2の端部は非常に良好な保護を提供する。
【0053】
この場合のように、供与弁1の下部領域が、ハウジング5が弁開口部3の方にノズル形状で通るように構成されている場合、圧迫されたときに指が当たる弁開口部3の周りのエッジ領域に傾斜した側方接触面9aが生じる。この面を、好ましくは、凹状になるように形成することができる。これが意味するのは、圧迫領域4が、弁要素2の閉方向Sの方に傾斜した弁要素2の側方接触面2aと、弁要素2の閉方向Sの方に傾斜した弁ハウジング5の側方接触面9aとによって画定され、2つの側方接触面がここでは、互いに対向して配置されることである。
【0054】
供与弁1は、弁要素2の閉まる力を所定の値に、特に135N未満の値に制限する制御装置(図示されていない)によって制御される。上記の構成により、圧迫された物体、例えば指にかかる圧力が、結果として60N/cm以下になる。
【0055】
図には示されていないが、これに加えて、または代替として、弁ハウジングも、図1および図2の実施形態における圧迫領域に、例えば、弁開口部の周りのノズル形状の先細りエッジ領域に弾性材料を備えることができる。そのような材料を、例えば、弁ハウジング5の内側に接着結合または加硫することができる。
【0056】
図2のFIG.2a、FIG.2b、FIG.2cに、異なる閉位置の供与弁を示す。図2のFIG.2aでは、供与弁1は開いている。指8はその場合、弁開口部3を通って弁の内側に到達することができる。次いで弁が閉まる場合、図2のFIG.2bに示されるように、指8は圧迫され得る。しかしながら、前述の構成により傷害の危険を低減させることができる。図2のFIG.2cでは、供与弁1は閉まっており、弾性材料6は下端領域において弁開口部3内で停止する。弁要素は、弾性材料の上方の領域で幾分広がるように構成されており、弾性材料を越えて横方向に突出し、それによって弁開口部3を密閉するための弁ハウジング5に対する密閉点を形成する。
【0057】
図3および図4の(FIG.4a、FIG.4b、FIG.4c)に、本発明によるさらなる実施形態を示す。この実施形態は第1の実施形態に略対応するので、対応する詳細は繰り返し説明しない。これらの実施形態間の唯一の違いは、供与弁が、弁要素2として軸線方向に可動な送出ピストンが設けられ、弁開口部3を開閉するように構成されることである。
【0058】
第1の実施形態と同様に、弁要素2は、閉方向Sに見て、ここでは弾性ピストン先端の形の先端であるその端領域2bに弾性材料6を備える。
【0059】
図3では、弁要素2の、すなわち、ここでは特に弾性材料6の直径dが、閉方向Sに減少する、すなわち、外形が下方に先細りになることが分かる。その場合、圧迫が発生した場合に、指8の上に平らに当たり、それによって指にかかる圧力を最小化することができる、弁要素2の閉方向Sの方に傾斜した拡大された外周側方接触面2aが生じ得る。
【0060】
直径dはその場合、例えば、20~50mmから0~30mmに減少する。傾斜した外周側方接触面の高さkは、例えば、10~30mmの範囲内である。
【0061】
閉方向または長手方向軸線Lに対して、それぞれ、垂直な平面と側方接触面2aとの間の角度ベータは、15°~60°の範囲内である。弾性材料6は、代替として、弁開口部3の方向に下方に凸状に延在することも可能である。
【0062】
送出ピストンはそこで、供給管路7の下方の管区間9内の領域内に移動することによって弁開口部3を閉める。下方への移動中、送出ピストンは、充填されるべき塊を切断するかまたは切り離すことができる。
【0063】
前述の実施形態と同様に、指は圧迫領域において、例えば、2つの側方接触面9a、2aによって圧迫され、それらの面はこの場合、指の対向する側に配置されているが、横方向に互いにずれている。
【0064】
図3の実施形態では、弁要素2がその中を移動する、供給管路7と円筒管区間9との間の移行領域は、円周方向に平面的である、すなわち、ここでは、好ましくは少なくとも10~30mmの寸法pを有し、弁の長手方向軸線Lに対して15°~60°の角度で通る斜めに切り取られた切断エッジ9aの形であるように構成されている。
【0065】
しかしながら、図4のFIG.4a、FIG.4b、FIG.4cに示されるように、入口管7も、弁の長手方向軸線Lに対して垂直に開くことができず、15°~60°の角度で管区間9に開口する。これにより、入口管7の表面の下部領域において指8が圧迫領域4で停止する側方接触面9aが得られる。
【0066】
図4のFIG.4aに、開位置の供与弁を示す。図4のFIG.4bに、弁要素2が閉方向Sにどのように移動し、指8を圧迫するかを示す。
【0067】
図4のFIG.4cに、閉位置の弁を示す。図4のFIG.4cから分かるように、弁要素2は、弾性材料6の上方に配置された、例えば金属製の弁要素2の領域が供給管路7の下方で管9を密閉できるまで、下方に移動される。
【0068】
この実施形態でも、側方接触面9aは、図示されていなくても、指をさらに保護することができる弾性材料を備えることができる。
【0069】
図5のFIG.5a、FIG.5bおよびFIG.5cに、供与弁が、ここでは、回転ピストン弁として構成されており、前後に回転させることによって弁開口部3を開閉する可動な弁要素2として回転ピストンを備える、前の実施形態に略対応する本発明によるさらなる実施形態を示す。上記の実施形態とまったく同様に、弾性材料6はその場合、弁要素2の先端領域2bに配置される。
【0070】
弾性材料はここでは、例えば、くさび形であり、すなわち、幅lは中心に向かって減少する。幅lは、おおよそ0~20mmの範囲内であり、外縁で5~20mmの最大寸法を有することができ、この幅lは中心に向かって特に0まで減少する。
【0071】
前の実施形態と同様に、開口部3の側方接触面12は、一方の側では閉方向Sと反対方向に面し、指にかかる圧力を最小化するために弾性材料をさらに備えることができる。
【0072】
図5のFIG.5aに、指8が弁開口部3に挿入されている、開位置の供与弁を示す。図5のFIG.5bに、弁がどのように閉まり、指8が圧迫されるかを示す。図5のFIG.5cに、閉位置の弁を示す。
【0073】
本発明はまた、本発明による供与弁を備えた充填機(図示されていない)にも関し、供与弁は、充填機の送出端に配置され、すなわち、配管の始端または終端に配置される。そのような充填機は、充填されるべき塊、例えば食品のためのホッパおよび送りポンプ備えた真空充填機とすることができる。
【0074】
本発明によれば、弾性材料6を使用することにより、傷害の危険を大幅に低減することができる。圧迫された指はまた、好ましくは、鋭いエッジに当たらず、外周面に当たるので、圧力および傷害の危険をさらに低減することができる。閉まる力を制限することにより、傷害の危険がさらに低減される。
【符号の説明】
【0075】
1…供与弁、2…可動な弁要素(プランジャ)、2a…側方接触面、2b…端領域、3…弁開口部、4…圧迫領域、5…ハウジング、6…弾性材料、7…入口管、8…指、9…管、9a…側方接触面、13…固定装置、α…角度、β…角度、d…直径、k…高さ、l…幅、p…寸法、L…長手方向軸線、K…エッジ、S…閉方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7