(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】空気の通過を可能にするハンガー異形材およびそのような異形材を含む天井アセンブリ
(51)【国際特許分類】
E04B 9/02 20060101AFI20220614BHJP
F24F 3/044 20060101ALI20220614BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20220614BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20220614BHJP
F24F 13/068 20060101ALI20220614BHJP
E04B 9/22 20060101ALI20220614BHJP
E04B 9/30 20060101ALI20220614BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E04B9/02
F24F3/044
F24F5/00 K
F24F13/02 F
F24F13/068
E04B9/22 A
E04B9/30 Z
F24F13/08 A
(21)【出願番号】P 2019511586
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 FR2017052238
(87)【国際公開番号】W WO2018037184
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-06-12
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505235417
【氏名又は名称】シェレル ジャン-マルク
【氏名又は名称原語表記】SCHERRER Jean-Marc
(73)【特許権者】
【識別番号】519060531
【氏名又は名称】ラング, ダミアン
【氏名又は名称原語表記】LANG, Damien
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シェレル, ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】ラング, ダミアン
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02619531(FR,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02699613(FR,A1)
【文献】特開2005-350950(JP,A)
【文献】特開2008-303697(JP,A)
【文献】実開昭59-080627(JP,U)
【文献】特開2002-327511(JP,A)
【文献】特開2004-027497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/02
F24F 3/044
F24F 5/00
F24F 13/02
F24F 13/068
E04B 9/22
E04B 9/30
F24F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節対象の部屋(1)内に膜天井を作製するためのキャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)であって、連結ライニング(62)によって一緒に連結された少なくとも2つのウィング(60、61、63)を備え、前記少なくとも2つのウィングのうちの第1のウィングが、調節対象の前記部屋の壁上に前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)を締結することを可能にするように配置され、キャンバスハンガーウィングを構成する前記少なくとも2つのウィングのうちの第2のウィングのみには、キャンバスフックを受容するように構成された係止端部が設けられる、キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)において、前記連結ライニングおよび前記キャンバスハンガーウィングが、一緒になって、前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)を通る閉じられていない空気通路スロットを画定するように配置され、このスロットが、前記キャンバスハンガーウィングの前記係止端部によって範囲を定められ、前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)が、空気が前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)を通って前記空気通路スロットからまたは前記空気通路スロットに向かって通過することを可能にするように配置された少なくとも1つの
貫通開口部(19)を有し、前記空気通路スロットが、空気の通過をいかなる形でも妨害せずまたは妨げることなく前記空気が前記空気通路スロットを通って流れることができるように、前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)の全長にわたって延びることを特徴とする、キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)。
【請求項2】
前記キャンバスハンガーウィングが、前記少なくとも2つのウィングのうちの第3のウィングの方向に収束して、前記キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)が締結された壁への前記キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)の締結を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの貫通開口部(19)が前記キャンバスハンガーウィングに設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの貫通開口部(19)が前記連結ライニング(62)に設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項5】
前記キャンバスハンガーウィングが、前記第3のウィングに対して90度未満の傾斜角を有するように配置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項6】
前記第2のウィング及び前記第3のウィングが、前記少なくとも1つの貫通開口部(19)と連通する前記空気通路スロット(22)を画定するように配置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項7】
前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)が、前記空気が前記空気通路スロットまたは前記少なくとも1つの貫通開口部のどちらを通って入るかに応じて、前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)を通る前記空気流を前記少なくとも1つの貫通開口部またはスロットに向かって偏向させるように配置されたデフレクタ(23)を前記空気通路スロット内に含むことを特徴とする、請求項6に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項8】
前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)が、分離仕切りを支持することを可能にするプレート(25)を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項9】
互いに固定された2つの別個の部分である第1の異形材部分及び第2の異形材部分の連携によって形成され、前記第1の異形材部分が、2つのブランチを備え、当該2つのブランチの一方が前記第1のウィングを形成し、前記第2の異形材部分が、前記第1の異形材部分に取り付けるための手段と、キャンバスを吊り下げるための少なくとも1つの手段とを備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項10】
前記取り付けるための手段が、前記第1の異形材部分のブランチの末端部を受け入れるための内部溝の形態であり、前記溝が、前記第2の異形材部分の厚さ内に作製されることを特徴とする、請求項9に記載の
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)。
【請求項11】
空気の通過のための前記少なくとも1つの貫通開口部のうちの少なくとも1つを閉じるための少なくとも1つのカバーを備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載の
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24、32、34)。
【請求項12】
前記第3のウィングに対して30から50度の間の傾斜角を有するように配置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)。
【請求項13】
調節対象の部屋内で空気を循環させることを可能にする天井アセンブリであって、下方にプレナム(14、16)が取り付けられる、調節対象の前記部屋(1)の上側スラブ(8)と共に画定する、少なくとも1つの膜天井を備え、前記膜天井が、調節対象の前記部屋(1)の壁(4a、4b)間を延び、複数の
キャンバスハンガー異形材によって前記壁に固定された少なくとも1つの伸張されたキャンバス(3、3a、3b)を備え、前記複数の
キャンバスハンガー異形材の少なくとも1つが、空気が前記プレナム(14、16)と調節対象の前記部屋(1)との間を通過することを可能にするために請求項1~12のいずれか一項に記載の
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24、32、34)である、天井アセンブリ。
【請求項14】
前記
キャンバスハンガー異形材(6a、6b、24)の前記第1のウィング及び前記第3のウィングが、前記貫通開口部(19)と連通し、前記プレナムから出た空気が前記
キャンバスハンガー異形材
(6a、6b、24)が締結された壁に沿って循環するように配向された、スロット(22)を画定するように配置されることを特徴とする、
請求項2及び5~12のいずれか一項に従属する場合の請求項13に記載の天井アセンブリ。
【請求項15】
前記プレナムが、分離ライニングによって分離された第1の空間および第2の空間を有し、前記空間の一方が、前記部屋内に空気が入るためのプレナム空間を画定し、他方の空間が、前記部屋から空気が出るためのプレナム空間を画定することを特徴とする、請求項13又は14に記載の天井アセンブリ。
【請求項16】
調節対象の部屋(1)に隣接する部屋(2)内に取り付けられた膜天井と、前記隣接する部屋の上側スラブによって範囲を定められたプレナム(15)であって、調節対象の前記部屋のプレナム(14、16)から、前記2つのプレナム間の流体連通を可能にする少なくとも1つの導管によって横切られる仕切りによって分離される、プレナム(15)を備えることを特徴とする、請求項13又は14に記載の天井アセンブリ。
【請求項17】
調節対象の前記部屋の前記プレナムに、少なくとも入口において、流体的に連結された換気システムおよび/または空調システムを備えることを特徴とする、請求項13又は14に記載の天井アセンブリ。
【請求項18】
前記天井アセンブリが、調節対象の部屋(1)に隣接する部屋(2)内に取り付けられた膜天井と、前記隣接する部屋の上側スラブによって範囲を定められたプレナム(15)であって、調節対象の前記部屋の前記プレナム(14、16)から、前記2つのプレナム間の流体連通を可能にする少なくとも1つの導管によって横切られる仕切りによって分離される、プレナム(15)を備え、
前記空調システムが、調節対象の前記部屋に隣接する前記部屋の前記プレナム内に収容されることを特徴とする、請求項17に記載の天井アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、つり天井の分野に関し、特に膜天井の分野に関する。
【0002】
[0002]本発明は、より詳細には、天井内で空気を循環させることを可能にする、室内に膜天井を実装するためのキャンバスを吊るすための異形材に関する。
【0003】
[0003]循環された空気は、換気および/または空調システム(暖房、冷房、除湿、加湿)からやって来ることができる。
【背景技術】
【0004】
[0004]空気が部屋を通過して調節されることを可能にするつり天井の例が知られている。特に、つり天井のハンガー異形材を、一定の間隔で固定されたブラケットまたはスペーサによって離間させ、それによって周辺空間を生成することを可能にする、つり天井固定システムが存在する。例えば、特許出願の仏国特許第2815112号明細書を引用することができる。
【0005】
[0005]しかし、従来技術のシステムまたは異形材は、部屋の周辺における空気の拡散を正確に制御することを可能にしない。さらに、これらは、一般的に使用され、部屋の美観に有害である空気入口グリルを避けることはできない。
【0006】
[0006]他方で、仏国特許第2619531号明細書は、キャンバスを吊り下げるための変形不可能なフックを係止する貫通式の可撓性ブレードによって中央コアが閉じられる、キャンバスハンガー異形材を説明しており、可撓性ブレードは、壁に固定するための固定ウィングの反対側にいくつかの穿孔も有している。これらの穿孔は、異形材を壁に固定するためのねじの幅よりも小さい幅および比較的限られた長さを有するセグメントの形態であり、それと同時に互いに離間しており、プレナムと部屋との間の空気の容易な循環を可能にしない。特にその理由は、異形材の中央のコアは、キャンバスのフックを保持している柔軟なブレードによってほぼ完全にブロックされているためである。
【0007】
[0007]国際出願の国際公開第02/06604号パンフレットも、キャンバスのハンガー異形材を説明しており、壁およびキャンバスの両側の固定ウィングは、キャンバスの上方を空気が循環することを可能にする穿孔を有するが、その中央コアは、変形不可能なフックの通過およびブロックのために可撓性ブレードによって閉じられており、これはまた、壁と固定側との間の空間も閉じて、キャンバスによって互いから分離されたプレナムと部屋との間のいかなる空気の循環も防止する。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明は、室内での新鮮なおよび/または空調された空気の循環を可能にする天井アセンブリの簡単かつ迅速な取り付けのためのハンガー異形材を提案することによってこれらの問題を解決することを目的とする。
【0009】
[0009]本発明はまた、部屋の周辺における空気の拡散を正確に制御するための天井アセンブリを提案することを目的とする。
【0010】
[0010]本発明はまた、対象となる部屋内の空気の循環を確保しながら、あらゆる装置、特にグリルが見えることを回避する天井アセンブリであって、空気の循環は、対象となる部屋の空調または換気に関連付けられる、天井アセンブリを提案することを目的とする。
【0011】
[0011]この目的のために、そして第1の態様によれば、本発明は、調節対象の部屋に膜天井を実装するためのキャンバス用のハンガー異形材であって、連結側によって一緒に連結された少なくとも2つのウィングを備え、ウィングの一方が、調節対象の部屋の壁上にハンガー異形材を固定することを可能にするように配置される、ハンガー異形材において、前記異形材が、前記異形材を通る空気の通過を可能にする少なくとも1つの開口部を備えることを特徴とする、ハンガー異形材を提案する。
【0012】
[0012]別の態様によれば、異形材の第2のウィングには、キャンバスに対するフックの係止端部が設けられ、連結側部およびハンガーウィングは一緒になって、異形材を通り、一方ではハンガーウィングのフックの係止端部によって境界付けられた妨げられない空気流スロットを画定するように配置され、異形材は、少なくとも1つの開口部を含み、空気が前記異形材を通ってスロットからまたはスロットの方向に通過することを可能にする。
【0013】
[0013]好適には、他方では、空気通過スロットは、壁または異形材固定ウィングによって範囲を定められる。
【0014】
[0014]したがって、本発明による異形材の構成は、壁の全長に沿って、プレナムと部屋との間に開放空気通路スロットを画定することを可能にし、上記で述べた従来技術とは異なり、空気の通過をいかなる形でも妨害せずまたは妨げない。互いから1cm未満の間隔で数平方センチメートル(例えば4cm2)の開放表面積をそれぞれ表すことができる、本発明による異形材のハンガーウィングおよび/または連結側に予定される開口部は、本発明による異形材1メートルに対して、数百平方センチメートルの累積開口面積を形成することができ、それにより最大の空気循環をもたらす。
【0015】
[0015]加えて、本発明による異形材上には、傾斜したハンガーウィング上、および部屋とプレナムとの間を水平方向に延びる連結側に開口部が設けられており、それによって部屋とプレナムとの間の空気循環を容易にする。
【0016】
[0016]好適には、キャンバス用のハンガーウィングであるウィングの一方は、ハンガー異形材の固定ウィングまたはハンガー異形材が固定された壁に向かって収束する。特定の構成によれば、キャンバス用のハンガーウィングは、他方のウィングに対して90度未満、好ましくは30度から50度の間の角度を有するように配置される。
【0017】
[0017]好適には、通路開口部は、キャンバス用のハンガーウィング上または連結側に設けられる。代替の設計によれば、キャンバス固定ウィングおよび連結側の両方が、少なくとも1つの貫通開口部を有することも可能であり得る。
【0018】
[0018]ハンガー異形材のそのような配置(キャンバスハンガーウィング上および/またはハンガー異形材に向かって収束する連結側の貫通開口部の位置決め)の利点は、膜天井が所定の場所にあるときに、スラブに向かって開口する貫通開口部が部屋から見えないことである。
【0019】
[0019]好適には、キャンバスフックウィングには、分離壁を支持することを可能にするプレートが設けられる。
【0020】
[0020]好適には、ウィングは、貫通開口部と連通するスロットを画定するように配置され、前記スロットは、壁上の異形材の固定ウィングによって、またはハンガー異形材が前記壁上およびキャンバスフックウィング上に固定されるときは壁自体によって範囲が定められる。
【0021】
[0021]好適には、ハンガー異形材は、空気がスロットを通ってまたは開口部を通って入るときに異形材を通る空気流を貫通開口部またはスロットに向かって偏向させるように配置された、スロット内に設けられたデフレクタを有する。
【0022】
[0022]理想的には、本発明による異形材は、互いに接合された2つの別個の部分の連携によって形成され、第1の部分は、一方のブランチが締結ウィングを形成する異形材を形成し、第2の部分は、第1の部分を接合するための手段と、キャンバスを締結するための少なくとも1つの手段とを備えた異形材を形成する。
【0023】
[0023]この場合、締結手段は、異形材の第2の部分の厚さに設けられた、異形材の第1の部分のブランチの端部を受けるための内部溝の形態である。
【0024】
[0024]好適には、本発明による異形材構造の変形形態の一方または他方は、空気が通過することができる開口部を閉じるための少なくとも1つのカバーを備えることができる。これらのカバーは、例えば壁のその位置に配置された美術品のような装飾的要素を保護するために、この位置での空気の循環を制限するために異形材の特定の開口部上に配置できるインサートである。
【0025】
[0025]実施形態の非限定的な例の詳細な説明を読むと容易に理解されるように、本発明によるハンガー異形材は、以下の利点を有する。
空気の吹き込みと引き出しを同時に可能にする。
従来技術のシステムのエアグリルから解放される。
室内の空気の拡散を制御する。
周辺スロットの上に配置されるものが見えない。
膜天井の簡単な取り付けを可能にする。
換気と空調(暖房、冷房、除湿、加湿)のための任意の機器の関連付けを可能にする。
【0026】
[0026]本発明はまた、調節対象の部屋内で空気を循環させることを可能にする天井アセンブリであって、下方にプレナムが取り付けられる、調節対象の部屋の上側タイルと共に画定される少なくとも膜天井を含み、膜天井は、調節対象の部屋1の壁間を延び、複数のハンガー異形材によってこれらに固定された少なくとも1つの伸張されたキャンバスを備え、複数のハンガー異形材の少なくとも1つは、空気がプレナムと部屋との間を通過することを可能にするための、上記で説明したようなハンガー異形材である、天井アセンブに関する。
【0027】
[0027]好適には、ハンガー異形材のウィングは、貫通開口部と連通し、かつ前記異形材が締結される壁に沿ってプレナムから空気が流出するように配向された、スロットを画定するように配置される。空気の通過を可能にするハンガー異形材を備えた垂直壁に沿って吹き込まれる空気は、壁を温めることを可能にし、したがってこれらの壁と周囲空気との間の温度差を低減する。
【0028】
[0028]好適には、プレナムは、仕切りライニングによって分離された第1および第2の空間を有し、一方の空間は、室内に入る空気のためのプレナム空間を画定し、他方の空間は、室内から出る空気のためのプレナム空間を画定する。
【0029】
[0029]好適には、天井アセンブリは、調節対象の部屋に隣接する部屋に取り付けられた張り天井および隣接する部屋の上側スラブによって範囲が定められたプレナムであって、調節対象の部屋のプレナムから、2つのプレナムの間の流体連通を可能にする少なくとも1つのダクトによって横切られる仕切りによって分離される、プレナムを含む。
【0030】
[0030]好適には、天井アセンブリは、少なくとも入口側において、調節対象の部屋のプレナムに流体的に連結された、換気システムおよび/または空調システムが備えられる。
【0031】
[0031]好適には、空調システムは、隣接する部屋のプレナム内に収容される。
【0032】
[0032]本発明による天井アセンブリおよびハンガー異形材は、第1の構成によって、同じ部屋内の、したがって同じ容積内の空気の吹き込みおよび吸引、ならびに第2の構成によって、調節対象の部屋内の空気の吹き込み(換気および/または空調)および隣接する部屋内の空気の吸引を実施する可能性を提供する。
【0033】
[0033]空気の吹き込みおよび吸引が同じ部屋で実施される場合、上側スラブと膜天井との間のプレナムは、好適には、2つの別々の容積部に分離され、互いから密封される。この分離は、2つの方法で達成することができる:垂直隔壁上に支持された「従来の」分離異形材によるもの。膜天井にはこのとき分離異形材のレベルに「セパレータ」が備えられることになる。またはハンガー異形材の特別な異形材(垂直分離壁を固定するためのプレート付き異形材)によるもの。後者の場合、膜天井にセパレータを設置する必要はない。
【0034】
[0034]したがって、本発明による天井アセンブリおよびハンガー異形材は、以下の3つの場合に対処することを可能にする:
隣接する部屋に空気取り入口がある、空調されたおよび/または換気された部屋、
同じ部屋内に空気の吹き込みおよび吸引があり、膜天井のレベルにセパレータを実装する空調されたおよび/または換気された部屋、
同じ部屋内に空気の吹き込みおよび吸引があり、特別な吸引異形材を使用する空調されたおよび/または換気された部屋。
【0035】
[0035]本発明によるハンガー異形材を用いてこのようにして作られた天井アセンブリは、空気の吹き込みまたは吸引グリルなしで行うことを可能にし、それによって部屋の美観が改善される。
【0036】
[0036]さらに、暖房または空調のシステムの使用中に、パワーの一部は天井からの放射(高温または低温)によって伝達され、残りは異形材を通って吹き込む空気の流れによって(部屋の周辺で)伝達され、このようにして居住者にとって優れた熱的快適性を生じさせる。
【0037】
[0037]本発明の他の目的および利点は、添付の図面を参照して以下の説明で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態による天井アセンブリの概略図である。
【
図2】
図1の締結アセンブリに実装された本発明の第1の実施形態による締結異形材の斜視図である。
【
図3】
図2からのハンガー異形材を使用する天井アセンブリの実施形態を表す図である。
【
図4】
図2からのハンガー異形材を使用する天井アセンブリの別の実施形態を表す図である。
【
図5】
図2からのハンガー異形材を使用する天井アセンブリの別の実施形態を表す図である。
【
図6】
図2からのハンガー異形材を使用する天井アセンブリの別の実施形態を表す図である。
【
図7】
図2からのハンガー異形材を使用する天井アセンブリの別の実施形態を表す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態によるハンガー異形材の斜視図である。
【
図9】本発明の別の実施形態によるハンガー異形材の斜視図である。
【
図10】
図9のハンガー異形材を使用する天井アセンブリの実施形態を表す図である。
【
図11】
図9のハンガー異形材を使用する天井アセンブリの別の実施形態を表す図である。
【
図12】
図9のハンガー異形材を使用する天井アセンブリの別の実施形態を表す図である。
【
図13】保護メッシュが設けられた
図9からのハンガー異形材を示す図である。
【
図14】フィルタが設けられたハンガー異形材の斜視図である。
【
図15】別の実施形態によるハンガー異形材の斜視図である。
【
図16】本発明による別のハンガー異形材を使用する天井アセンブリの概略図である。
【
図17】
図16の天井アセンブリに実装されたハンガー異形材の斜視図である。
【
図18】壁に取り付けられ、2つのキャンバスを支持する、第1の実施形態による2つの部分から構成されたハンガー異形材の概略断面図である。
【
図19】壁に取り付けられ、キャンバスを支持し、機能要素を固定するための内部ブラケットを備えた、第2の実施形態による2部分構成のハンガー異形材の概略断面図である。
【
図20a】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第1の実施形態を表す上面図である。
【
図20b】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第1の実施形態を表す底面図である。
【
図20c】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第1の実施形態を表す前面の4分の3の斜視図である。
【
図20d】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第1の実施形態を表す側面図である。
【
図21a】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第2の実施形態を表す上面図である。
【
図21b】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第2の実施形態を表す底面図である。
【
図21c】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第2の実施形態を表す前面の4分の3の斜視図である。
【
図21d】本発明によるハンガー異形材の開口部用のカバーの第2の実施形態を表す側面図である。
【
図22】
図19のハンガー異形材の代替実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[0038]より明確にするために、異なる実施形態の同一または類似の要素は、全ての図において同一の参照符号によって示されている。
【0040】
[0039]
図1は、調節対象の部屋1内に空気が流れることを可能にする天井アセンブリの概略図を示す。「調節対象の部屋」とは、新鮮空気を受け取ることを意図しているか、または使用されるシステムに従って調節されることを意図した部屋を意味する(
図1に示す換気システムまたは空調システム)。
【0041】
[0040]図示する実施形態では、天井アセンブリは、調整される部屋1の内部に膜天井(またはつり天井)を使用し、膜天井は、調節対象の部屋1の壁4a、4bの間を延びる伸張されたキャンバス3によって形成され、複数のハンガー異形材を介してこれらの壁に固定され、上側スラブ8と共に、分離異形材27を有するライニング11によって密封式に分離されたプレナム14およびプレナム16の範囲を定める。
【0042】
[0041]空気が部屋の中を循環することを可能にするために、部屋の壁のうちの2つには、空気がプレナム14および16と、調節対象の部屋1との間を通ることを可能にするように配置されたハンガー異形材が設けられる。それらが新鮮空気の通過または空気の吸引のどちらを可能にするかに応じて、本発明者は、吹き込み異形材6aおよび吸引異形材6bについて述べる。ただし、これらの異形材は同一のものである。吹き込み/吸引異形材の例を以下に説明する。
【0043】
[0042]
図1に示すように、吸引異形材6bは、吹き込み異形材6aが設けられた壁の反対側の壁に取り付けられる。これは、調節対象の部屋1の最適な空気掃引を得るという利点を有する。
【0044】
[0043]天井アセンブリはまた、2つの空間を画定するためにプレナム14内に配置された垂直分離ライニング11を備え、空間の一方は、部屋に空気が入るためのプレナム空間を画定し、他方は、部屋から空気が出るためのプレナム空間を画定する。以下では、吹き込みプレナム14は新鮮空気を受け取るものであり、吸引プレナム16は、調節対象の部屋(1)から吸い込まれた空気を受け取るものである。
【0045】
[0044]2つの空間の間の分離を確実にするために、分離ライニング11は、分離ライニング11の下部分によって、
図1に示すように膜天井を接合する分離異形材27に取り付けられている。そのような分離異形材はそれ自体公知である。
【0046】
[0045]吹き込みプレナム14は、新鮮空気を吹き込むための空気ダクト17を備え、前記ダクトは、吹き込みプレナムの範囲を定める上側スラブ8の部分を通過する。同様に、吸引プレナム16は、空気の吸気のための空気ダクト18を備え、前記ダクトは、吸引プレナムの範囲を定める上側スラブの部分を通過する。
【0047】
[0046]
図2は、調節対象の部屋1と関連するプレナム14および16との間の空気の通過を可能にし、
図1の天井アセンブリ内に実装される吹き込み異形材および吸引異形材6a、6bの実施形態の例を示す。
【0048】
[0047]吹き込み異形材および吸引異形材6a、6bは、水平連結ライニング62によって互いに連結された第1の垂直ウィング60および第2の垂直ウィング61を有する。
【0049】
[0048]第1のウィングは、異形材を壁に締結することを可能にする締結ウィング60を画定する。これを行うために、締結ウィングは、ねじ、リベット、または同様のものなどの締結手段を通すための穴21を有する。図示する実施形態では、締結ウィング60は、連結ライニングから(すなわち上方に)延びる。締結ウィング60は、締結ウィング60の下側部分において第3の垂直ウィング63によって延長される。
【0050】
[0049]第2のウィングは、キャンバスを引っ掛けることを可能にするハンガーウィング61を画定する。ハンガーウィングは、第3のウィングに向かって収束する。好適には、ハンガーウィングは、第3のウィングに対して、30から50度、好ましくは45度の角度を有する。
図2によれば、このハンガーウィング61は、壁に向けられた内壁に、キャンバスフック50のためのハンガー手段30を有し、このハンガー手段は、これがそれに沿って通る壁から距離をあけてキャンバスフックを置いて空気が通過するためのスロットを画定するように構成される。このように、ハンガー手段30は、キャンバスフックをハンガー壁61の下縁に沿って置き、フックと壁(または第3の垂直ウィング63)との間に空隙を残す。例えば、フックをハンガー手段30から分離する距離は、0.5から5cmの間、好ましくは1.5から3cmの間、さらに好ましくは約2cmとすることができる。理想的には、図示する例に関して、キャンバスフックは、弾性的に変形可能とすることができ、ハンガー手段30は、C字形フックの形状を有することができ、ハンガーライニング61の内側に向かって湾曲されてこの内側と共に、弾性的に変形されたフックのための溝付き通路を形成してひずみのない構成のフック受け入れ溝および溝内のフック係止縁をもたらし、さらに、ハンガーライニング61によって壁4aから距離を保って空気が通り抜けることを可能にする。
【0051】
[0050]したがって、図示するように、ハンガーウィングは、第3のウィングと共に、壁に締結されたウィングと略平行な開口部軸線を有する貫通開口部22aを有するスロット22を画定する。これにより、吹き込み異形材が固定されている壁に沿った部屋の入口および部屋の出口(したがってプレナムの入口)での空気の供給と、吸引異形材を支持する壁に対して略接線方向の軌道を伴った空気の吸引とを確実にすることが可能である。スロットは、締結ウィングの開口部によって、プレナムと部屋との間の空気の通過を可能にする。
【0052】
[0051]吹き込み異形材6aおよび吸引異形材6bは、空気がプレナムと部屋との間を通過するための貫通開口部19を有する。図示する実施形態では、開口部は、ハンガーウィングに沿って整列した矩形窓である。これは、当然ながら、実施形態の一例であり、開口部は、他の形態を呈することができ、および/または異なる方法で配置することができる。さらに、開口部の数は可変であり、単一の開口部または複数の開口部を設けることができる。開口部がなくてもよく、そのように構成された異形材は、膜天井を吊るすための「従来の」異形材7となる。
【0053】
[0052]好適には、ハンガー異形材6a、6bは、異なる口径で利用可能であり、これらの口径は、異形材の下側部分内に位置するスロット22の異なる幅、したがって開口部22aの異なるセクションを提供する。したがって、異なる口径の吹き込み異形材を使用することにより、これらの異形材を備えた壁の周囲に吹き込まれる空気の完全な速度制御が可能になる。空気の速度は、吹き込まれる空気の流量の関数として計算され、部屋の居住者によって知覚されるように非常に弱い空気の速度を尊重しながら垂直壁の底部に到達するように吹き込まれる空気の十分な範囲を得て、それによって最適な快適感を確実にするために決定される。同様に、異なる口径の吸引異形材の使用は、最適な空気掃引を確実にするために吸引速度を制御することも可能にする。
【0054】
[0053]好適には、吹き込み異形材6aおよび吸引異形材6bは、空気がスロットまたは貫通開口部のどちらを通って入るかに応じて、貫通開口部またはスロットの方向に空気流を偏向させるためのデフレクタ23(
図8)を有する。デフレクタが存在することは、空気流抵抗、したがって異形材の空気圧損失を最小にすることによって空気流を改善するという利点を有する。
図8に示す実施形態では、デフレクタは、連結ライニングを第3のウィングに連結する。デフレクタは、任意の形状(直線、曲線など)のものとすることができるが、
図8に示すように、最適形状は円弧である。
【0055】
[0054]新鮮空気は、吹き込みダクトを介して上側スラブを通って吹き込みプレナム内に吹き込まれ、次いで吹き込み異形材を通過する。吹き込み異形材の出口では、スロット22の向きにより、新鮮空気は異形材を備えた壁に沿って流れる。
【0056】
[0055]空気は、膜天井に向かって、吸引異形材を備えた壁に対して略接線方向の経路に沿って引き出されてこれを通過する。次いで、吸引された空気は、抽出ダクトを介して吹き込みプレナムから抽出される。
【0057】
[0056]隣接する部屋2は、膜天井を備えて表される。当然ながら、
図3から
図7、
図11および
図12に示される天井アセンブリとは異なって、これが天井を備えず、隣接する部屋が調節対象の部屋内の空気の流れに寄与しない可能性があることも明らかである。
【0058】
[0057]
図3は、新鮮空気が調節対象の部屋1に吹き込まれ、空気吸引が隣接する部屋2において行われる特定の実施形態を表す。
【0059】
[0058]調節対象の部屋1は、上側スラブと共にプレナムの範囲を定める膜天井3を備えている。膜天井は、部屋の壁4a、4bからハンガー異形材を介して吊り下がる。図示する実施形態では、壁のうちの1つだけ、例では最も遠い壁(壁4a)のみに空気が通過することを可能にする異形材が備えられ、残りの壁には、従来の(すなわち空気を通過させるように配置されない)吊り下げ異形材7が備えられ、これらの異形材7を、ウィング61上の空気の通過のための開口部19を備えない異形材6a / 6bを使用して作製することもできる。図示する例では、異形材は吹き込み異形材6aである。
【0060】
[0059]同様に、隣接する部屋2には、上側スラブと共にプレナム15の範囲を定める膜天井5が備えられる。膜天井は、ハンガー異形材を介して隣接する部屋の壁に吊り下げられており、ハンガー異形材のうちの少なくとも1つは、吸引異形材6bである。全ての壁に6bの吸引異形材が備えられていない場合、残りの壁は、膜天井を吊るすための従来の異形材7を備えることができる。図示する例では、1つの壁、ここでは調節対象の部屋から最も遠い壁(壁4c)のみに吸引異形材が備えられている。
【0061】
[0060]調節対象の部屋1のプレナム14は、吹き込みプレナムを形成し、隣接する部屋2のプレナム15は吸引プレナムを形成する。
【0062】
[0061]図示する実施形態では、吸引された空気は、2つの部屋の間の既存のまたは作りだされた間隙、例えば2つの部屋を分離するドア4の下の空隙を介して空調された部屋1の容積と隣接部屋2の容積との間を通過する。次に、吸い込まれた空気は、吸引異形材6bを設置することによって生成された周辺吸引スロット22を通ってプレナム15に合流する。
【0063】
[0062]吸い込まれた空気は、次いで、隣接する部屋のプレナムから上側スラブを通って空気ダクト18を介して隣接する部屋のプレナムから抽出される。
【0064】
[0063]
図4は、循環空気が、調節対象の部屋1に隣接する部屋に配置された空調設備12からの調節された空気である別の実施形態を表す。
【0065】
[0064]天井アセンブリは、
図3の天井アセンブリの配置に従っており、そこでは、新鮮空気の入口ダクトおよび排気ダクトは、それぞれ、空調設備の出口に連結された吹き込み空気ダクト9および空調設備の入口に連結された吸引空気ダクト10によって置き換えられており、ダクトは、調節対象の部屋のプレナムを隣接する部屋のプレナムから分離する壁を貫通している。前述のように、調節対象の部屋のプレナムは吹き込みプレナムを形成し、隣接する部屋のプレナムは吸引プレナムを形成する。
【0066】
[0065]調節された空気は、調節対象の部屋のプレナムに、空調設備によって吹き込みダクトを介して吹き込まれ、吹き込み異形材を通過して、異形材を備えた壁に沿って通る。吸引された空気は、空調された部屋1の容積と隣接する部屋2の容積との間を、2つの部屋の間の間隙を介して通過する。次いで、吸引された空気は、吸引異形材6によって生成された周辺吸引スロット22を通って隣接する部屋のプレナム15に到達し、そこで吸引空気ダクト10を介して空調機器に到達する。
【0067】
[0066]しかし、一部の場合、吸い込まれた空気の流れを伝達するために、調節対象の部屋1と隣接する部屋2との間に十分な間隙を形成することは不可能である。これは、例えば防音を提供しなければならない施設において当てはまり得る。
図5に示す天井アセンブリは、この制約を克服するのに役立つ。実装された天井アセンブリは、
図1の天井アセンブリと同様の構成を有する。これもまた、調節対象の部屋の吸引プレナムと、空調設備が中に設置される隣接する部屋のプレナムとを分離する仕切りを通過する吸引空気ダクト15と、2つの部屋を分離する仕切りおよび調節対象の部屋の吸引プレナムと吹き込みプレナムを分離する分離ライニング11を通る吹き込み空気ダクト9とを含む。この場合、隣接する部屋には、従来のハンガー異形材7(すなわち、空気を通すようには配置されていない)を介して隣接する部屋の壁に締結された膜天井5が備えられる。
【0068】
[0067]
図1の天井アセンブリのように、吸い込まれた空気は、関連する吸引異形材6を設置することによって生成された周辺吸引スロット22を通って吸引プレナム16に到達する。吸い込まれた空気は、次いで、吸引空気ダクト10によって任意の空調設備に到達する。その後、調節された空気は、吹き込みダクト9を介して再循環される。
【0069】
[0068]吸引空気ダクト10および吹き込み空気ダクト9を、隣接する部屋および関連するプレナム(
図6)と連通する抽出/排気ダクト18および新鮮空気入口ダクト17それぞれに連結して、調節対象の部屋1の空調および換気の両方を実行することも可能になり得る。
【0070】
[0069]このようにして作られた天井アセンブリは、隣接する部屋2に対して非常に密室(例えば音響的な理由で)を調節することを可能にする。
【0071】
[0070]
図9は、本発明によるハンガー異形材の代替の実施形態を示す。この代替実施形態では、ハンガー異形材24は、貫通開口部の下を第3のウィングとは反対方向に延びる水平プレート25を有することを除いて、
図2の異形材と同じ形状を有する。プレートの機能は、
図10から
図12に示すように、膜天井に目に見えるセパレータを設置する必要なしに垂直仕切りライニングを支えることである。これにより、室内の空気の循環を確保しながら、膜天井の美的外観を向上させる。
【0072】
[0071]
図10から
図12に示すように、吸引異形材24は、吹き込み異形材を支承する壁とは反対側の壁に締結される。これは、調節対象の部屋1の最適な空気掃引を得るという利点を有する。
【0073】
[0072]プレート25には、プレート25の末端に、垂直分離ライニングの締結を可能にする上向き要素、または任意の要素を設けることができることが有効である。
【0074】
[0073]好適には、吹き込み異形材および吸引異形材6a、6b、24は、それらを覆うために開口部19の上に配置されたメッシュを備えることができる。したがって、メッシュの存在は、不純物または昆虫が上側スラブと膜天井との間に位置するプレナム14、15、16に接近するのを妨げる。例えば、吸引異形材および吹き込み異形材24は、そのようなフィルタ26と共に示されている(
図13)。
【0075】
[0074]特定の代替実施形態によれば、吸引を意図した異形材6b、24にフィルタを設けることができる。このフィルタは、次いで、システムに連結されている換気および/または空調機器内に存在するフィルタと置き換わることができる。好適には、フィルタは、フィルタの交換または清掃を可能にするために取り外すことができる。
図14は、そのようなフィルタを異形材24のタイプの吸引異形材に組み込む可能性を示す。図示する実施形態では、フィルタ28は、ハンガーウィング61の内面に対して保持され、キャンバスハンガー溝20の範囲を定める止め具20b上に設置され、連結ライニング62の内面によって支持された長手方向ストリップ28によって保持される。「内面」とは、スロット22の方を向く面を意味する。
【0076】
[0075]ハンガー異形材が上述のものに限定されず、他の構成が本発明から逸脱することなく提供され得ることは当然ながら明らかである。特に、第3のウィングのない異形材が設けられてもよい。この場合、スロットは、キャンバスハンガーウィングと、異形材が締結されている壁によって範囲が定められる。同様に、第3のウィングは、締結ウィングであり得る。
【0077】
[0076]同様に、これまで説明した実施形態では、貫通開口部19は、キャンバス締結ウィング61によって支持される。別の実施形態によれば、貫通開口部19は、締結ウィング内ではなく、連結ライニング62内に設けられてもよい。例えば、
図9内の異形材は、貫通開口部19(
図15)のそのような位置決めと共に示されている。
【0078】
[0077]天井アセンブリは、あらゆる空調技術および/または換気技術と互換性がある。空調および/または換気設備は、調節対象の部屋1の上方に位置するプレナム14内、調節対象の部屋1に隣接する任意の部屋のプレナム15内、さらに建物の任意の他の場所にも置くことができる。一般的な方法では、特に機械の操作による音響上の不都合を回避するために、調節対象の部屋1の容積の外側に機器を設置することが好ましい。
【0079】
[0078]部屋の空調および/または換気の可能性にかかわらず、本発明は、任意のタイプの膜天井(従来の、防音など)の実装を可能にし、膜天井に適合する任意のプロセス、例えばバックライトシステム、サウンドシステムなどの使用を可能にする。加えて、LEDストリップライトシステムをウィング61と連結ライニング62との間のコーナに設置することができ、それによりLEDストリップを見せることなく部屋の周辺照明をもたらすことができる。
【0080】
[0079]通常、調節対象の部屋内で、少なくとも1つの壁には、吹き込み異形材が備えられている。吹き込み異形材6を備えた壁を選択すること、したがって調節された空気および/または新鮮空気がそれに沿って吹き込まれる壁を選択することが可能である。他の壁は、膜天井を吊るすための従来の異形材7を備えることができる。この選択は、部屋の熱的快適性を最適化することを可能にする。特に、例えば、冬の間は周囲の空気よりも一般的に冷たく、夏の間は周囲の空気よりも暖かい空気を部屋の外壁に沿って吹き込むことが選択される。
【0081】
[0080]
図16は、天井アセンブリの別の実施形態を示し、後者は、上側スラブ8上に固定された照明手段40を備える。
【0082】
[0081]ここに示す天井アセンブリは、調節対象の部屋の壁4a、4bの間に延びる2つの伸張されたキャンバス3a、3bによって形成された膜天井である。互いに平行に配置された前記キャンバス3a、3bは、一方が吹き込み異形材32を構成し、他方が吸引異形材34を構成する2つのハンガー異形材32、34によって壁に締結される。吹き込み異形材32の拡大図を
図17に示す。
【0083】
[0082]これまで説明したハンガー異形材の実施形態のように、吹き込み異形材32は、連結ライニング62によってキャンバス締結ウィング61に連結された締結ウィング60を含む。
図17に示すように、前記ウィング60、61は、吹き込み異形材32が壁4aに締結されたときに、締結ウィング61が、連結ライニングが壁4aに向かって収束する角度を形成するように配置される。締結ウィング61は、前記キャンバス3a、3b用の2つのハンガー溝20a、20bを含む。溝の一方は、異形材の内側に開口部を有する締結ウィング61の上部に設けられ、他方の溝は締結ウィング61の底部に設けられる。上側の伸張されたキャンバス3bの上方に配置されたプレナム14間の空気の通過のための貫通開口部19は、連結ライニング62によって支持される。
【0084】
[0083]吹き込み異形材32はまた、締結ウィング60と平行に、締結ウィング61とは反対方向に連結ライニング62から延びる垂直ウィング64を有する。図示する実施形態では、垂直ウィング64は、連結ライニング62の末端に設けられる。この垂直ウィング64の機能は、貫通開口部19および貫通スロット22を介した照明手段40からの光の拡散を防ぐことである。以下では、これをブロッキングウィング64(またはシールド形成ウィング)と呼ぶ。
【0085】
[0084]キャンバス上のいかなる影も避けるために、天井アセンブリは、
図16に示すように、ハンガー異形材32の近傍の、部屋の上側スラブ8に締結された実質的にV字形の異形材36を有する。特に、異形材36は、空気が新鮮空気供給ダクト17から通過することを可能にするのに十分な空間をブロッキングウィング64と異形材36との間に残すようにハンガー異形材32に対して配置されている。
【0086】
[0085]図示する実施形態では、ハンガー異形材32および異形材36は、2つの別々の独立した部材である。しかし、これら2つの異形材は、代替実施形態によれば、単一の部材を形成することができる。この場合、ブロッキングウィング64もまた、連結ライニング62のように、空気循環を可能にするための貫通開口部を含む。
【0087】
[0086]吸引異形材34は、これがブロッキングウィングを有さないことを除いて、吹き込み異形材32の全ての特徴を有する。
図16に示す天井アセンブリでは、部屋の吹き込みプレナム14と吸引プレナム16の分離ライニング11によって、光の拡散が阻止されている。明らかに、本発明の範囲から逸脱することなく、吹き込み異形材42と同一の吸引異形材34を設けることもできる。
【0088】
[0087]天井アセンブリのプレナム14内に設けられた照明手段40を補完するものとして、またはそれに代えて、照明手段を、本発明によるハンガー異形材の上部に、好ましくは壁4a、4bを向くブロッキングウィング64の側に固定して、部屋またはフレームの周辺に照明を提供することができる。この場合、ブロッキングウィング64を有する吸引異形材34が設けられることが好ましい。
【0089】
[0088]図示しない特定の実施形態によれば、効率的な音声伝送を確実にするために拡声器または他の音声放送機器を貫通開口部19の近傍に配置することも可能であり得る。
【0090】
[0089]
図18および
図19に示す別の有利な実施形態によれば、吹き込み異形材および吸引異形材6a、6bは、互いに固定される2つの独立した部分70、71とすることができる。
【0091】
[0090]図示する例では、第1の異形材部分70は、締結ウィング60および部分的な水平連結ライニング62であり、第2の異形材部分71は、水平連結ライニング62の残りおよび傾斜ハンガーウィング61である。
【0092】
[0091]異形材70の第1の部分は、特に単純な形、すなわち、垂直ブランチが締結ウィング60を構成し、水平方向ブランチ73が水平方向の連結ライニング62の一部を構成するL字形断面を有する長手方向異形材で画定される。
【0093】
[0092]空気循環の目的のために、L字形異形材の水平ブランチには空気を通過させるための開口部19が設けられる。
【0094】
[0093]異形材71の第2の部分は、さらに少し複雑であり、長いベース74、短いベース77、およびこれらの間に介在して傾斜した締結ウィング61を形成する側面75、水平連結ライニング62の残りの水平部分である反対側の76を含む、台形断面を有する長手方向異形材の一般的な形態を示す。
【0095】
[0094]より正確には、
図18に見られるように、第2の異形材は、第1の異形材部70のLの水平ブランチ73の端部を受けるための長手方向溝78を含む。第2の異形材の上側の横方向側の厚さを通過する、ねじのような取り付けられたブロッキング手段が設けられて、L字の水平ブランチの端部の上面に形成されたオリフィス79と係合してこれをブロックすることができる。マーク80を第2の異形材部分の上側の横方向側76の外面に設けて、ねじまたは他のブロッキング手段をオリフィス79に挿入する前にオリフィス79の向かい側に正しく配置することができる。
【0096】
[0095]異形材71のこの第2の部分は、垂直である形材71のこの第2の部分の横方向側75の外面上に、前述のフック30を備え、このフックは、弾性的に変形可能なフック50の変形構成で通過を、次いで弾性的に変形可能なフック50の静止構成でブロッキングを可能にして伸張された主キャンバス3aを締結することを可能にする。
【0097】
[0096]好適には、異形材71のこの第2の部分は、
図18に示すように、二次の伸張されたキャンバス3bの弾性的に変形可能なフックを締結する第2の手段を含むことができる。この第2の締結手段81は、長手方向溝の形態で設けられ、この長手方向溝は、例えば、第2のキャンバスの少なくとも1つのフック保持縁(図では2つ)によって部分的に閉じられ、この第2の異形材部分の長いベース74の外面から、例えば第1の異形材部分の端部の受け入れ溝78のすぐ下方に形成される。
【0098】
[0097]この第2のキャンバス3bは、ほこりおよび/または昆虫によって引き起こされた堆積物を集めて保持する機能を果たすことができ、それによってほこりおよび/または昆虫が下にある主キャンバスから距離をおいたままにし、例えばキャンバスが半透明で設けられたときにこれを通して部屋から見えないままにする。
【0099】
[0098]異形材の第2の部分は、この第2異形材部分の厚さ内に配置された異なる凹部82(
図19に特定される)に加えて、2つのフック係止溝を間に備えて、プレナム内に配置された機能要素のためのブラケットまたは固定スリーブ83を収容することができ、または単に異形材70のこの第2の部分の構造を軽くしてコストを最適化することができる。ラグ86が、これらの凹部を形成するライニングから突出して設けられて、それらの空間を仕切って、いくつかのブラケットを収容するか、またはそれらをそれぞれの凹部内でブロックすることができる。
【0100】
[0099]水平な上側側部と傾斜した長いベースとの間の接合部を形成する第2の異形材71の末端において、上記で提示したようなブロッキングウィングまたは<<シールドウィング>>を保持し、締結するために、傾斜溝をこの第2の異形材部分の厚さ内に外面と平行に設けることができる。
【0101】
[0100]空気循環の目的のために、空気の通過のための貫通開口部19を、互いに連通する短いベースおよび長いベースを構成する壁上のこの第2の異形材部分内に設けることができる。
【0102】
[0101]これらの開口部は、異形材の第1の部分の開口部と同様に、この目的のために提供され
図20、
図21に示すカバーによって必要に応じて閉じることができる。
【0103】
[0102]これらのカバー90は、平行六面体ブロックの形態であってもよく、カバー90の一方の上面には、考慮されるカバーが閉じる開口部19の輪郭に対して当てられるよう意図された横方向縁91が設けられ、カバー90の下面には弾性的に変形可能なブレード92が設けられ、このブレードは、開口部が進むにつれて消え、開口部を画定する輪郭の後ろで係止する。図示する例では、弾性ブレードは、ブロックのコーナを除いて、平行六面体ブロックの横方向側の長さに沿って延びる。
【0104】
[0103]必要に応じて2つの異形材部分を端部同士を容易かつ正確に連結するために、各異形材部分70、71の外側領域に、余分な厚さまたは長手方向のビードの形態をとる視覚マーク88を設けることができる。
【0105】
[0104]このように画定された2つの部分における吸引異形材または吹き込み異形材の形成は特に賢いものであり、その理由は、第2のより複雑な部分71を単一の寸法で大量に製造することができ、その一方で極めて単純な第1の部分70を、特に、必要に応じて調整するために第2の異形材部分に固定されるL字ブランチの長さに関して異なる寸法を用いて、利用可能なL字異形材、壁とキャンバスの縁との間の所望の間隔、したがってスリットおよび空気循環のサイズを簡単に選択することによって達成することができるためである。
【0106】
[0105]結果として、
図19のL字形異形材はより長い水平ブランチを有し、これによって、主キャンバス3の縁を、L字形異形材の水平ブランチが短い
図18の代替の実施形態における主キャンバス3の縁より、壁4aからより遠い距離に置く。
【0107】
[0106]
図22は、
図19の吹き込み異形材および吸引異形材6a、6bに対する代替実施形態を示す。この代替実施形態では、異形材71の第2の部分は、
図18および
図19に示すものと同じ特性を有する。一方、異形材70の第1の部分は、もはやL字形の断面を有さず、直角Z字形の断面を有する。より正確には、異形材70の第1の部分は、垂直ブランチによって互いに連結された2つの水平ブランチからなり、前記水平ブランチは、2つの対向する方向に延びる。60で示されている上側の水平方向ブランチは、締結ウィングである。これは、ブラケット60bを介して壁4aに固定される。73で示される下側水平ブランチは、水平連結ライニング62の一部を構成する。空気の循環を可能にするために、60aの番号が付けられた垂直連結ブランチには、空気を通過させるための貫通開口部19が設けられる。前と同様に、異形材70の第1の部分に設けられた開口部は、異形材71の第2の部分のものと同様に、上記で述べたように、必要に応じてカバーで閉じることができる。
【0108】
[0107]本発明は例として上記で説明されてきた。当業者が、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の異なる実施形態を実行することができることが理解される。