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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】三次元口腔スキャナ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/24 20060101AFI20220614BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20220614BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220614BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A61B1/24
A61C19/04 Z
A61B1/00 522
G02B23/24 B
G02B23/24 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021512346
(86)(22)【出願日】2019-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2019005242
(87)【国際公開番号】W WO2019212245
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0051432
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】315015391
【氏名又は名称】メディット コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ソ ポク
(72)【発明者】
【氏名】チャン、カン チン
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1838917(KR,B1)
【文献】特開平07-323004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0051345(US,A1)
【文献】特開2011-087733(JP,A)
【文献】特表2016-522883(JP,A)
【文献】特開平08-029701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/24
A61C 19/04
A61B 1/00
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内への引き込み及び口腔からの引き出しが可能であり、一端部を介して前記口腔内部の様子(以下、「画像」と略称する)が光の形態で内部に流入されるように開口された開口部が形成されているケースと、
前記ケースの内部に配置されており、前記ケースの一端部から入射された光をそれぞれ異なる経路に通過させるように、前記ケースの幅方向に離間して配置された一対のレンズと、
前記一対のレンズを透過した前記光を収容し、それからそれぞれ映像情報を生成するイメージングセンサを含み、前記一対のレンズを介して入射される入射光の光経路を提供する入射光経路部のそれぞれの外側端に密着して配置された一対のイメージングボードと、
前記一対のレンズを透過した前記光の経路を、前記イメージングボードに向かってそれぞれ変更させるように配置された一対の光経路変更部と、を含む、三次元口腔スキャナ。
【請求項2】
前記一対の光経路変更部は、前記一対のレンズを透過した前記光が、前記一対のイメージングボードに備えられたそれぞれの前記イメージングセンサの一面に既決定の角度で入射されるようにする角度のリフレクタ面を有するように配置される、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項3】
前記一対のレンズとそれぞれの前記イメージングボードの間を前記光が透過する入射光経路部が内部に形成されたカメラマウンティング部をさらに含む、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項4】
前記一対の光経路変更部は、それぞれ前記カメラマウンティング部の内部に形成される、請求項3に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項5】
前記一対の光経路変更部は、前記一対のレンズを透過した前記光が、前記一対のイメージングボードに備えられたそれぞれの前記イメージングセンサの一面に既決定の角度で入射されるようにするリフレクタ面を含み、
前記リフレクタ面は、前記ケースの長さ方向に傾斜するように配置される、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項6】
前記ケースの内部に配置されており、前記一対のレンズの間を介して所定の出射光を放射し、且つ前記ケースの一端部に形成された前記開口部を介して前記出射光を照射する光プロジェクタをさらに含む、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項7】
前記一対のレンズは、前記口腔内の画像に対する焦点調節が可能な、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項8】
前記ケースは、
前記一対のレンズ及び前記一対のイメージングボードを駆動させるための各種電装部品が内蔵される本体ケースと、
前記本体ケースの一端部に結合され、前記開口部が形成されており、前記開口部を介して前記本体ケースの内部に入射される光、及び前記開口部を介して前記本体ケースの内部から出射される光をガイドする入射光経路部及び出射光経路部が形成されたチップケースと、を含む、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項9】
前記一対のレンズの一端部は、前記チップケース側で収束される角度を有するように配置され、且つ前記チップケース側に所定距離突出するように配置される、請求項8に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項10】
前記チップケースに形成された前記開口部には、前記本体ケースの内部に入射される光、及び前記開口部を介して前記本体ケースの内部から出射される光を一定経路に反射させる反射ミラーが備えられる、請求項8に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項11】
前記一対の光経路変更部は、全反射ミラーを含む、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【請求項12】
前記一対の光経路変更部は、ビームスプリッタを含む、請求項1に記載の三次元口腔スキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元口腔スキャナ(3-DIMENSIONAL INTRAORAL SCANNER)に関し、より詳細には、ステレオビジョン方式の口腔スキャナにおいて、イメージングセンサの前段部に光経路変更部を配置することで、イメージングボードの配置自由度を高め、内部空間の活用性を極大化することができる三次元口腔スキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、口腔スキャナは、歯科患者の口腔内に挿入されて非接触式で歯をスキャニングすることで、歯列の三次元スキャニングモデルを生成するための光学装置である。
【0003】
単一カメラでは、多重時点(View)で測定した映像を利用して三次元情報を獲得するが、その従来技術としては、互いに異なる時点の映像の座標系を用いて物体とカメラとの間の距離情報を求める方法により、連続して撮影された映像情報を整合し、各映像で互いに一致する物体を探した後、プロジェクション(projection)により物体の距離情報を抽出する方法が用いられている。したがって、従来技術は、三次元情報の処理において困難性が存在し、計算量が多くなるという問題があって、近年、2台以上のカメラにより得られたイメージを用いるステレオビジョン(Stereo vision)方式が口腔スキャナに広く適用されている。
【0004】
しかしながら、ステレオビジョン方式を用いた三次元データ測定の場合、少なくとも2台以上のカメラが必要であり、2台のカメラが、同一の方向に測定対象を眺めなければならないため、2台のカメラを収容するための口腔スキャナの内部空間の活用に制約が生じるという問題がある。また、スキャナケースのサイズが増加することとなり、実際に患者の口腔内に挿入される部位のスリムな設計など、器具の設計及び製作が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、韓国登録特許第10-1838917号(2018.03.09.公告)(以下、先行技術という)では、ステレオビジョンカメラが使用可能な光学系210の可能性が言及されている。しかし、先行技術は、ステレオビジョンに基づく口腔スキャナの内部構造を全く提示しておらず、先行技術の明細書の図11には、1つの集光レンズ212、1つのイメージセンシング部120を備えたスキャナの構造のみが提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、少なくとも2台以上のカメラを用いるステレオビジョン方式の口腔スキャナにおいて、イメージングセンサの前段部に光経路変更部を配置することで、イメージングボードの配置自由度を高め、内部空間の活用性を極大化することができる三次元口腔スキャナを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、互いに離間して配置された2つのレンズにより、患者の口腔内部の映像状態情報を含む三次元口腔データを容易に確保可能な三次元口腔スキャナを提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、ステレオビジョン方式を実現する口腔スキャナにおいて、ユーザが把持する本体ケース、及び実際に患者の口腔に流入されるチップケースをよりスリムに製作することができる三次元口腔スキャナを提供することにある。
【0009】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されることができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る三次元口腔スキャナは、口腔内への引き込み及び口腔からの引き出しが可能であり、一端部を介して前記口腔内部の様子(以下、「画像」と略称する)が光の形態で内部に流入されるように開口された開口部が形成されているケースと、前記ケースの内部に配置されており、前記ケースの一端部から入射された光をそれぞれ異なる経路に通過させるように、前記ケースの幅方向に離間して配置された一対のレンズと、前記一対のレンズを透過した前記光を収容し、それからそれぞれ映像情報を生成するイメージングセンサを含み、前記ケースの幅方向の一側壁及び幅方向の他側壁に密着して配置された一対のイメージングボードと、前記一対のレンズを透過した前記光の経路を、前記イメージングボードに向かってそれぞれ変更させるように配置された一対の光経路変更部と、を含む。
【0011】
ここで、前記一対の光経路変更部は、前記一対のレンズを透過した前記光が、前記一対のイメージングボードに備えられたそれぞれの前記イメージングセンサの一面に既決定の角度で入射されるようにする角度のリフレクタ面を有するように配置されることができる。
【0012】
また、前記一対のレンズとそれぞれの前記イメージングボードの間を前記光が透過する入射光経路部が内部に形成されたカメラマウンティング部をさらに含むことができる。
【0013】
また、前記一対の光経路変更部は、それぞれ前記カメラマウンティング部の内部に形成されることができる。
【0014】
また、前記一対の光経路変更部は、前記一対のレンズを透過した前記光が、前記一対のイメージングボードに備えられたそれぞれの前記イメージングセンサの一面に既決定の角度で入射されるようにするリフレクタ面を含み、前記リフレクタ面は、前記ケースの長さ方向に傾斜するように配置されることができる。
【0015】
また、前記ケースの内部に配置されており、前記一対のレンズの間を介して所定の出射光を放射し、且つ前記ケースの一端部に形成された前記開口部を介して前記出射光を照射する光プロジェクタをさらに含むことができる。
【0016】
また、前記一対のレンズは、前記口腔内の画像に対する焦点調節が可能な少なくとも2つ以上の透過レンズを含むことができる。
【0017】
また、前記ケースは、前記一対のレンズ及び前記一対のイメージングボードを駆動させるための各種電装部品が内蔵される本体ケースと、前記本体ケースの一端部に結合され、前記開口部が形成されており、前記開口部を介して前記本体ケースの内部に入射される光、及び前記開口部を介して前記本体ケースの内部から出射される光をガイドする入射光経路部及び出射光経路部が形成されたチップケースと、を含むことができる。
【0018】
また、前記一対のレンズの一端部は、前記チップケース側で収束される角度を有するように配置され、且つ前記チップケース側に所定距離重なるように配置されることができる。
【0019】
また、前記チップケースに形成された前記開口部には、前記本体ケースの内部に入射される光、及び前記開口部を介して前記本体ケースの内部から出射される光を一定経路に反射させる反射ミラーが備えられることができる。
【0020】
また、前記一対の光経路変更部は、全反射ミラーを含むことができる。
【0021】
また、前記一対の光経路変更部は、ビームスプリッタを含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態に係る三次元口腔スキャナによると、次のような様々な効果を奏することができる。
【0023】
第一に、イメージングセンサの前段部に光経路変更部を配置することで、イメージングボードの配置自由度を高め、ケースの内部空間の活用性を極大化することができる利点がある。
【0024】
第二に、一対のレンズにより確保された口腔内の様子(画像)のイメージを統合し、より正確で且つ信頼性のある三次元口腔データを確保することができる効果がある。
【0025】
第三に、ロウアーケースに対して、アッパーケースが簡単な着脱方式で備えられて分離可能に本体ケースが備えられているため、ケースの内部部品の交替が非常に容易である効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る三次元口腔スキャナの一実施形態を示した斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1のA-A線に沿って取った断面図である。
図4図1のA-A線に沿って取った切開斜視図である。
図5図1の構成のうち、一対のレンズを用いた光経路を示した斜視図である。
図6図5の平面図である。
図7図6のB-B線に沿って取った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ異なる図面上に表示されても、できる限り同一の符号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明の実施形態を説明するにあたり、関連した公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の実施形態の理解を妨害すると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0028】
本発明の実施形態の構成要素を説明するに際し、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用し得る。かかる用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語により、該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、別に定義されない限り、技術的または科学的な用語を始めとするここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。一般に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術が文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0029】
図1は、本発明に係る三次元口腔スキャナの一実施形態を示した斜視図であり、図2は、図1の分解斜視図であり、図3は、図1のA-A線に沿って取った断面図であり、図4は、図1のA-A線に沿って取った切開斜視図である。
【0030】
本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、図1図4に参照されるように、一部が口腔内への引き込み及び口腔からの引き出しが可能なケース10を含む。
【0031】
ケース10の内部には、一対のレンズ20が配置されることができる。一対のレンズ20は、ケース10の一端部から入射された光をそれぞれ異なる経路に通過させるように、ケース10の幅方向に離間して配置されることができる。ここで、光とは、人の目で視ることができる可視光線領域を意味し、測定しようとする患者の口腔内部の様子(以下、「画像」と略称する)のことである。
【0032】
しかし、「光」が必ずしも可視光線領域のみに限定される概念であるわけではなく、一対のレンズ20により獲得しようとする画像が赤外線イメージデータである場合を排除しない。
【0033】
したがって、ケース10には、一端部を介して画像が光の形態で内部に流入されるように開口された開口部16が備えられることができる。開口部16は、ケース10の外部の光がケース10の内部に流入される入口であることができる。開口部16を介して入射された光は、それぞれ異なる光経路に一対のレンズ20を透過することになる。一対のレンズ20を透過した光は、後述のイメージングボード31a、32aに備えられたイメージングセンサ31b、32bにより収容され、イメージングセンサ31b、32bにそれぞれの映像情報を生成することができる。
【0034】
本発明の一実施形態に係る三次元口腔スキャナは、ステレオビジョン方式であって、少なくとも2つのレンズ20により、画像が同時に2つ以上のイメージデータとして確保されることができるため、一対のレンズ20の離隔距離、及び各レンズにより撮影された対象地点の焦点距離が分かれば、画像の三次元映像データを確保することができる。
【0035】
一対のレンズ20は、具体的に示されていないが、口腔内の画像に対する焦点が調節可能に備えられることができる。
【0036】
そのために、本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、一対のレンズ20を透過した光をそれぞれイメージング処理するイメージングセンサ31b、32bを有するイメージングボード31a、32aをさらに含むことができる。尚、本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、一対のレンズ20の作動を制御するための電装部品が実装されたカメラ制御ボード80と、スキャニングされたイメージを処理するための電装部品が実装されたスキャニング制御ボード90と、をさらに含むことができる。
【0037】
ケース10は、図1図3に参照されるように、上述の一対のレンズ20、イメージングボード31a、32a、カメラ制御ボード80、及びスキャニング制御ボード90が内蔵されるように所定空間を提供する役割をする。
【0038】
より詳細に、ケース10は、図2に参照されるように、上記の構成が内蔵される所定空間が形成されたロウアーケース12と、ロウアーケース12の上側に備えられ、ロウアーケース12に着脱可能に結合されて前記構成を覆うアッパーケース13と、からなる本体ケース11を含む。
【0039】
図2を参照すると、ロウアーケース12の縁の上端部位には、多数のフック穴が形成されたフック締結端18が内側壁から上方に所定の長さで突出して形成されており、アッパーケース13の縁の内側面には、フック締結端18の各フック穴に嵌め込み締結される多数のフックリブ19が形成されることができる。
【0040】
ここで、本体ケース11は、アッパーケース13とロウアーケース12が簡便に着脱可能に備えられることはいうまでもなく、後述のカメラマウンティング部50の着脱及び組み立てが容易であるように所定の装着空間を提供することで、使用中に部品の交替または修理が必要な際に、簡便にアッパーケース13及びロウアーケース12を分離することができる便宜性を提供する。
【0041】
一方、アッパーケース13の外周面の一側には、作動ボタン部15が備えられることができる。作動ボタン部15は、図1及び図2に参照されるように、アッパーケース13を貫通するように配置され、後述のカメラマウンティング部50に結合されているカメラ制御ボード80の電源スイッチ(不図示)をスイッチングさせることで、作動電源をオン(ON)またはオフ(OFF)動作させることができる。
【0042】
例えば、ユーザが作動ボタン部15を指で押している状態では、作動電源がオン(ON)状態であり、患者の口腔内部のスキャニングが連続的に行われることができ、反対にユーザが作動ボタン部15から指を離すと、作動電源がオフ(OFF)状態となり、患者の口腔スキャニングが中止されることができる。
【0043】
尚、ケース10は、本体ケース11の一端部に結合され、上述の開口部16が形成されており、開口部16を介して本体ケース11の内部に入射される光、及び開口部16を介して本体ケース11の内部から出射される光をガイドする入出光経路部17が形成されたチップケース14をさらに含むことができる。
【0044】
ここで、開口部16を介して本体ケース11の内部に入射される光(以下、「入射光」という)は、患者の口腔内部の様子である画像を意味し、開口部16を介して本体ケース11の内部から出射される光(以下、「出射光」という)は、後述の光プロジェクタ70から照射される照射光を意味する。
【0045】
チップケース14の内部構造としては、前記入射光と出射光が容易にケース10の内外部に照射されるようにする光ガイド構造で形成されることができる。尚、開口部16は、チップケース14の長さ方向に直交する一側方向に開口されるように形成され、開口部16には、後述の反射ミラー60が配置されることができる。
【0046】
より詳細に、チップケース14が前後の長さ方向に長く形成されていると定義する場合、開口部16は、長さ方向に直交する上下方向のうち何れか1つの方向に開口されるように形成されることができる。そして、反射ミラー60は開口部16に配置され、開口部16の上下方向のうち何れか一方向に入射光を入射させるか、何れか一方向に出射光を出射させることができるように、入射光または出射光を屈折させる役割をする。
【0047】
一対のレンズ20の一端部は、上述のように、チップケース14の側で収束される角度を有するように配置され、且つチップケース14の側で所定距離重なるように配置されることができる。
【0048】
つまり、一対のレンズ20は、反射ミラー60が備えられている場合、入射光は必ず反射ミラー60により屈折されてからチップケース14の内部に入射されるため、それぞれ反射ミラー60に向かうように、先端部が互いに収束される角度を有するように配置されることが好ましい。
【0049】
また、一対のレンズ20が、上述のように一端部が互いに収束される角度を有するように配置される結果、実際に患者の口腔の内部に容易に流入されるようにスリム製作されるチップケース14の内側に、一対のレンズ20の一端部が重なるように位置設計が可能である。
【0050】
一対のレンズ20をチップケース14の側に重なるように配置することは、チップケース14と本体ケース11との隙間を介して外部光が影響を与えることを、位置的に遮断することができる利点を提供することができる。
【0051】
尚、一対のレンズ20の他端部は、本体ケース11の内部に固定されたカメラマウンティング部50に連結されるように備えられることができる。
【0052】
一方、本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、図2図4に参照されるように、ケース10の内部に配置され、一対のレンズ20の間を介して所定の出射光を放射し、且つケース10の一端部に形成された開口部16を介して前記出射光を照射する光プロジェクタ70をさらに含むことができる。
【0053】
本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、上述のような構成をケース10の内部に配置し、患者の口腔への引き込み及び口腔からの引き出しが容易であるように、チップケース14をできる限り長く且つスリムに形成するとともに、本体ケース11も最小の厚さで形成する、最適の配置構造を提案する。
【0054】
ここで、本発明の一実施形態に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、チップケース14が患者の口腔の内部に容易に引き込まれるように長く形成されるため、開口部16と一対のレンズ20とが相対的に離隔されている点、及び一対のレンズ20の一端部が互いに収束される角度を有するように配置されている点が考慮された、ケース10の内部に一対のレンズ20、イメージングセンサ31b、32bが備えられたイメージングボード31a、32aの位置設計とさらに関連されることができる。
【0055】
より詳細に、ケース10の内部には、図2に参照されるように、一対のレンズ20の一端部がチップケース14の側に向かって突出して備えられ、一対のレンズの他端部が挿設されるとともに、一対のレンズ20を透過した入射光、または光プロジェクタ70から照射される出射光の経路である光導波管を形成するカメラマウンティング部50が配置されることができる。カメラマウンティング部50に形成された光導波管は、開口部16から入射される入射光と、光プロジェクタ70から照射される出射光とが互いに区画されて影響を与えないように、暗室の形態で備えられることができる。
【0056】
つまり、光導波管は、光プロジェクタから照射された出射光のチップケース14側までの光経路を提供する出射光経路部53と、一対のレンズ20のうち一側のレンズ21を介して入射される入射光の光経路を提供する一側入射光経路部51と、一対のレンズ20のうち他側のレンズ22を介して入射される入射光の光経路を提供する他側入射光経路部52と、を含むことができる。
【0057】
ここで、出射光経路部53、一側入射光経路部51、及び他側入射光経路部52は、それぞれ互いに区画されるように備えられることで、それぞれの経路の光が互いに全く影響を与えないように備えられることができる。
【0058】
尚、光プロジェクタは、ケース10の幅方向に互いに所定距離離間して配置された一対のレンズ20の他端部の中央部分に位置するため、出射光経路部53は、一側入射光経路部51と他側入射光経路部52との間に形成されることができる。
【0059】
一側入射光経路部51及び他側入射光経路部52は、一対のレンズ20から入射される入射光が透光されるように、それぞれに対応するレンズの長さ方向と一致するように形成され、且つそれぞれカメラマウンティング部50の一側面及び他側面に開口されるように形成されることができる。
【0060】
ここで、イメージングセンサ31b、32bが集積されたイメージングボード31a、32aは、ケース10の幅方向の一側壁及び幅方向の他側壁に密着するように上下垂直して配置されることができる。
【0061】
より詳細に、一側のイメージングボード31aは、カメラマウンティング部50の一側面に開口されるように形成された一側入射光経路部51の外側端に密着して配置され、且つケース10の幅方向の一側壁の間に配置されることができる。尚、他側のイメージングボード32aは、カメラマウンティング部50の他側面に開口されるように形成された他側入射光経路部52の外側端に密着して配置され、且つケース10の幅方向の他側壁の間に配置されることができる。
【0062】
この際、一側のイメージングボード31aは、それに集積されたイメージングセンサ31bが一側入射光経路部51に露出するように備えられ、他側のイメージングボード32aは、それに集積されたイメージングセンサ32bが他側入射光経路部52に露出するように備えられることができる。
【0063】
一方、本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、一対のレンズ20をそれぞれ透過した入射光の経路を、イメージングボード31a、32aに集積されたイメージングセンサ31b、32bに向かってそれぞれ変更させるように配置された一対の光経路変更部41、42をさらに含むことができる。
【0064】
一対の光経路変更部41、42の一方41は、一側入射光経路部51を介して透過された入射光が、一側のイメージングボード31aに集積されたイメージングセンサ31bに照射されるように、入射光の経路を変更させる一側光経路変更ミラー41であり、一対の光経路変更部41、42の他方42は、他側入射光経路部52を介して透過された入射光が、他側のイメージングボード32aに集積されたイメージングセンサ32bに照射されるように、入射光の経路を変更させる他側光経路変更ミラー42であることができる。
【0065】
ここでの一対の光経路変更部41、42は、光の全反射が可能な全反射ミラーを含むことができる。しかし、必ずしも全反射ミラーのみに限定されるものではなく、全反射が可能な如何なる光学要素を含んでもよい。
【0066】
尚、一対の光経路変更部41、42はビームスプリッタで備えられることができる。つまり、一対の光経路変更部41、42はビームスプリッタで備えられ、入射光を指定された割合で2つのビーム(beam)に分離して変更させることができる。
【0067】
本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、一対のレンズ20を用いて患者の口腔内部の様子(すなわち、画像)の三次元映像データを確保することを主要技術的要旨とする。
【0068】
ところが、上述のように、一対のレンズ20の一端部(図面において、チップケース14が備えられた方向を意味する)は、それぞれ1つの開口部16に備えられた反射ミラー60に向かうように、互いに収束される角度を有するように配置されるのに対し、一対のレンズ20の他端部(図面において、光プロジェクタ70が備えられた方向を意味する)は、それぞれを透過した入射光を直線方向に透過させる構造を有しなければならない。
【0069】
したがって、一対のイメージングボード31a、32aを、一対のレンズ20のそれぞれの他端部の一直線方向に直交するようにケース10の幅方向に離間して配置しなければならない。しかし、この場合、一対のイメージングボード31a、32aの長さにより、本体ケース11の幅方向の厚さを増加させる恐れがある。このような本体ケース11の幅方向の厚さの増加は、本発明に係る三次元口腔スキャナの一実施形態のスリム化設計において制限を加える問題に繋がり得る。
【0070】
本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態は、上述のように、入射光経路部51、52がカメラマウンティング部50の一側面及び他側面にそれぞれ開口されるように形成されるとともに、イメージングボード31a、32aの設置位置を、カメラマウンティング部50の一側面と他側面及びケース10の一側壁と他側壁の間に垂直配置し、一対のレンズ20を通過した入射光の光経路を変更させる一対の光経路変更部41、42を備えることで、測定者が親指、人指し指、及び中指のみで容易に本体ケース11を把持して使用できるように、スリムに形成することができる。
【0071】
一対の光経路変更部41、42は、一対のレンズ20を透過した入射光が、一対のイメージングボード31a、32aに備えられたそれぞれのイメージングセンサ31b、32bの一面に既決定の角度で入射されるようにする角度のリフレクタ面を有するように配置されることができる。
【0072】
そのために、一対の光経路変更部41、42は、リフレクタ面がケース10の長さ方向に傾斜するように配置されることができる。つまり、一側光経路変更ミラー41は、一側のレンズ21を透過した入射光が、一側入射光経路部51を介して入射されてから一側光経路変更ミラー41のリフレクタ面により屈折され、一側のイメージングボード31aのイメージングセンサ31bに照射されるように備えられることができる。同様に、他側光経路変更ミラー42は、他側のレンズ22を透過した入射光が、他側入射光経路部52を介して入射されてから他側光経路変更ミラー42のリフレクタ面により屈折され、他側のイメージングボード32aのイメージングセンサ32bに照射されるように備えられることができる。
【0073】
一方、チップケース14に形成された開口部16には、上述のように、反射ミラー60が備えられることができる。反射ミラー60は、本体ケース11の内部に入射される入射光、及び本体ケース11の内部から出射される出射光を一定経路に反射させる役割をする。
【0074】
特に、反射ミラー60は、ケース10の長さ方向に直交する何れか一方向に開口されるように形成された開口部16を介して、一対のレンズ20による撮影を容易にする。
【0075】
尚、反射ミラー60は、図面に示されていないが、チップケース14の内側に、既決定の軸に対して回転可能に備えられることができる。つまり、一対のレンズ20により撮影される患者の口腔内部の画像のスキャン領域が変更されるように、反射ミラー60が既決定の軸に対して回転され、実際に開口部16を介して入射される入射光の角度を変更させることができる。
【0076】
但し、図面に示されていないが、反射ミラー60が上述のように回転可能に備えられる場合、ケース10の外側には、反射ミラー60の回転角度を調整するミラー調整部(不図示)がさらに備えられることができる。ミラー調整部は、ケース10の外側にボタンの形態または操作レバーの形態で備えられることができる。
【0077】
ミラー調整部が単一または多数のボタンの形態で備えられた場合には、何れか1つのボタンを押すと、反射ミラー60が既決定の角度で回転される。また、ミラー調整部が操作レバーの形態で備えられた場合には、操作レバーを一側に回動させると、反射ミラー60が一方向に回転されて角度が調整されるとともに、操作レバーを他側に回動させると、反射ミラー60が他方向に回転されて角度が調整されることができる。
【0078】
このように、ケース10を動くことなく、反射ミラー60の回転操作のみで画像のスキャン領域を変更することで、同じ位置でのスキャン領域を拡大することができる利点を提供することができる。
【0079】
かかる反射ミラー60の回転動作の構成は、本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態を利用して測定しようとする患者の歯が、一般的な位置でのスキャン領域外である場合に非常に有用である。
【0080】
より詳細に、測定者が患者の口腔内部の歯の三次元データを確保するために、本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態を口腔の内部に挿入する。この際、チップケース14が相対的にスリムに製作されているため、チップケース14の部分のみが患者の口腔の内部に挿入されるように位置させることができる。但し、喉側に近接した歯、または歯と唇との間の狭い空間に位置した歯の三次元データを確保しようとする場合には、先ず、チップケース14の先端部が、測定しようとする歯の周辺に位置するように挿入することができる。
【0081】
次に、測定者が患者の口腔内で本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態を用いて測定しようとする歯が、一対のレンズ20による画像のスキャン領域外である場合には、ミラー調整部を用いて反射ミラー60の角度を調整することにより、測定が困難な部位の歯の画像のスキャン領域を容易に設定することができる。
【0082】
上記のように構成される本発明に係る三次元口腔スキャナ1の作動様子を、添付図面(特に、図5図7)を参照してより詳細に説明すると次のとおりである。
【0083】
図5は、図1の構成のうち一対のレンズを利用した光経路を示した斜視図であり、図6図5の平面図であり、図7図6のB-B線に沿って取った断面図である。
【0084】
患者の口腔内で、測定者が本発明に係る三次元口腔スキャナ1の一実施形態を用いて測定を行うために、ケース10の上部に備えられた作動ボタン部15を押す。
【0085】
そうすると、図5及び図7に参照されるように、光プロジェクタ70から出射光が照射される。光プロジェクタ70から照射された出射光は、カメラマウンティング部50に形成された光導波管のうち出射光経路部53、及びチップケース14に形成された入出光経路部17を順に経由して開口部16側に照射され、反射ミラー60により、開口部16を介して患者の口腔内部に照射される。
【0086】
同時に、図5及び図6に参照されるように、測定者が作動ボタン部15を押す動作により一対のレンズ20が作動することで、画像の何れか一地点を同一の焦点とする2つのイメージデータを確保することができる。
【0087】
この際、患者の口腔の画像は、出射光により光の形態で存在するものであって、出射光とは反対に、順に開口部16を介してチップケース14の内部に入射され、且つ反射ミラー60により経路が変更され、実質的に反射ミラー60の反射面を撮影する一対のレンズ20のそれぞれに、上述の入出光経路部17、対応するレンズ、及び光導波管のうち対応する入射光経路部51、52を経由して入射される。そして、それぞれの光経路変更部41、42により、該当するイメージングボード31a、32aのイメージングセンサ31b、32bに照射されることで、所定の2つの画像データを同時に確保することができる。このように確保された2つの画像データに基づいて、患者の口腔画像に関する三次元データが容易に確保されることができる。
【0088】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。
【0089】
したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、かかる実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それらと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきであろう。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、少なくとも2台以上のカメラを用いるステレオビジョン方式の口腔スキャナにおいて、イメージングセンサの前段部に光経路変更部を配置することで、イメージングボードの配置自由度を高め、内部空間の活用性を極大化することができる三次元口腔スキャナを提供する。
【符号の説明】
【0091】
1 三次元口腔スキャナ
10 ケース
11 本体ケース
12 ロウアーケース
13 アッパーケース
14 チップケース
16 開口部
17 入出光経路部
20 一対のレンズ
21 一側のレンズ
22 他側のレンズ
31a、32a イメージングボード
31b、32b イメージングセンサ
41、42 光経路変更部
50 カメラマウンティング部
51、52 入射光経路部
53 出射光経路部
60 反射ミラー
70 光プロジェクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7