(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】演算処理システムおよび補助装置
(51)【国際特許分類】
G06G 7/60 20060101AFI20220614BHJP
G06N 3/06 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G06G7/60
G06N3/06
(21)【出願番号】P 2018184756
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504119583
【氏名又は名称】光吉 俊二
(73)【特許権者】
【識別番号】510135843
【氏名又は名称】株式会社日本数理研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】光吉 俊二
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-013625(JP,A)
【文献】特開2005-011024(JP,A)
【文献】特開2018-018350(JP,A)
【文献】特開2005-127762(JP,A)
【文献】特開2001-041769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0328642(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06G 7/60
G06N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置が実行する演算処理のうち補助する処理に応じて回転する複数のジャイロと、前記複数のジャイロが初期状態において平衡して配置されるフレームと、前記フレームに配置され前記複数のジャイロの各々の角度を調整する調整部と、前記フレームの動きを検出する検出部とを有する補助装置とを備え、
前記検出部は、検出した前記フレームの動きを、前記補助する処理に対する結果として前記コンピュータ装置に出力する
ことを特徴とする演算処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の演算処理システムにおいて、
前記検出部は、検出した前記フレームの動きに応じたデジタル値とゆらぎ成分を含むアナログ値とを、前記結果として前記コンピュータ装置に出力することを特徴とする演算処理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の演算処理システムにおいて、
前記補助する処理は、前記複数のジャイロの各々が対応する複数の対象間の状態を算出することを特徴とする演算処理システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の演算処理システムにおいて、
複数の前記補助装置を備えることを特徴とする演算処理システム。
【請求項5】
コンピュータ装置が実行する演算処理を補助する補助装置であって、
補助する処理に応じて回転する複数のジャイロと、
前記複数のジャイロが初期状態において平衡して配置されるフレームと、
前記フレームに配置され前記複数のジャイロの各々の角度を調整する調整部と、
前記フレームの動きを検出する検出部とを備え、
前記検出部は、検出した前記フレームの動きを、前記補助する処理に対する結果として前記コンピュータ装置に出力する
ことを特徴とする補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算処理システムおよび補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノイマン型計算機であるコンピュータ装置に、ニューラルネットワーク、ディープラーニング等を実行して、人間の脳判断過程で起きるダブルループやトリプルループといった反応を再現しようとする試みが行われている。
【0003】
一方、コンピュータ装置等のノイマン型計算機のように、膨大な数のスイッチを用いた計算手法(すなわち、二進法)を用いることなく、人間の情動や生理等の状態を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、特許文献1では、被験者の生理の状態を示す情報と、被験者の情動や脳等の器官の活動を示す情報とを用い、被験者における恒常性のずれ量を求め、求めたずれ量から被験者の情動や器官等の活動に作用するエネルギーを算出する。そして、特許文献1では、算出したエネルギーを用いて、被験者の情動や器官等の各々の活動を示す複数の歯車を仮想空間で回転させることで、各歯車の回転の状態から被験者の病態を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンピュータ装置等のノイマン型計算機では、二進法での計算手段における確率と微分とでしか対応することができず、無限に計算を繰り返してしまう。このため、ノイマン型計算機では、人間の脳の判断過程のように、繰り返し実行される計算(ダブルループ等の反応)を発散させることなく、計算量をメモリ等の記憶容量の範囲内に維持することが難しい。すなわち、ノイマン型計算機では、人間の脳の判断過程におけるダブルループ等の反応を再現し、かつ意思や判断等を決定するタイミング(ダブルループ等の反応(繰り返し実行される計算)を収束させるタイミング)を決定することが難しい。また、ノイマン型計算機では、自己の気分に応じた、あるいは状況や場面等に応じた多様な意思や判断等を決定することが難しい。これらは、人工知能のフレーム問題として知られている。
【0006】
本発明は、神経回路における情報の伝達を従来と比べて精度良く再現できる演算処理システムおよび補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの観点による演算処理システムは、コンピュータ装置と、コンピュータ装置が実行する演算処理のうち補助する処理に応じて回転する複数のジャイロと、複数のジャイロが初期状態において平衡して配置されるフレームと、フレームに配置され複数のジャイロの各々の角度を調整する調整部と、フレームの動きを検出する検出部とを有する補助装置とを備え、検出部は、検出したフレームの動きを、補助する処理に対する結果としてコンピュータ装置に出力する。
【0008】
別の観点による補助装置は、コンピュータ装置が実行する演算処理を補助する補助装置であって、補助する処理に応じて回転する複数のジャイロと、複数のジャイロが初期状態において平衡して配置されるフレームと、フレームに配置され複数のジャイロの各々の角度を調整する調整部と、フレームの動きを検出する検出部とを備え、検出部は、検出したフレームの動きを、補助する処理に対する結果としてコンピュータ装置に出力する。
【0009】
なお、これらの概念を利用した天秤型の計算手法、および、トランジスタや量子コンピュータチップなどに応用し、電流など連続量信号入力からデジタルとアナログとの同時計算、関数出力を可能にする装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、神経回路における情報の伝達を、従来と比べて精度良く再現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の演算処理システムの一例を示す図である。
【
図2】
図1に示した補助装置の一例を示す図である。
【
図3】ニューラルネットワークの一例を示す図である。
【
図4】神経細胞における膜電位の変化の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示したコンピュータ装置における補助装置から受信した信号の処理の一例を示す図である。
【
図6】
図1に示した演算処理システムにおける演算処理の一例を示す図である。
【
図7】第2実施形態の演算処理システムの一例を示す図である。
【
図8】
図7に示したコンピュータ装置の一例を示す図である。
【
図9】
図1に示した補助装置に相当するスライダ装置の一例を示す図である。
【
図10】(a)補助装置をコンピュータ装置の記憶部に記憶したプログラムにより仮想的に実現する場合の一例、(b)補助装置を他のコンピュータ装置に記憶したプログラムにより仮想的に実現する場合の一例、(c)補助装置をサーバ装置に記憶したプログラムにより仮想的に実現する場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて実施形態について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における演算処理システムの一例を示す。
【0014】
図1に示した演算処理システムSYSは、コンピュータ装置100と補助装置200とを有する。
【0015】
コンピュータ装置100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶装置とを有するノイマン型計算機である。コンピュータ装置100の演算処理装置は、例えば、コンピュータ装置100に含まれるキーボード等の入力装置を介して、ユーザによる演算処理の指示を受けることで、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。コンピュータ装置100の動作については、
図5および
図6で説明する。
【0016】
補助装置200は、コンピュータ装置100が実行する演算処理を補助する装置である。
【0017】
図2は、
図1に示した補助装置200の一例を示す。
図2(a)は、Y軸方向(横方向)から見た補助装置200を示す。
図2(b)は、Z軸方向(上方向)から見た補助装置200を示す。
【0018】
補助装置200は、フレームFR、支柱ST(ST(1)、ST(2))、軸受AX、モータM1(M1(1)、M1(2))、円盤E(E(1)、E(2))およびヒンジHG(HG(1)、HG(2))を有する。また、補助装置200は、モータM2(M2(1)、M2(2))、クランプCL(CL(1)、CL(2))、レーザポインタPTおよび光センサLSを有する。
【0019】
フレームFRは、支柱STに配置されたY軸方向の軸受AXに、XZ平面内で回転可能に配置される。フレームFRには、蝶番等のヒンジHGを介してモータM1が両端に配置される。また、フレームFRには、モータM1の向きを変えるためのモータM2とクランプCLとが配置される。また、フレームFRには、レーザ光を射出するレーザポインタPTが配置される。なお、
図2に示すように、補助装置200の初期状態として、フレームFRの均衡が保たれるように、モータM1、M2、円盤E、ヒンジHG、クランプCLおよびレーザポインタPTは、フレームFR上に配置される。
【0020】
モータM1は、金属等の円盤Eが配置され、コンピュータ装置100からの制御指示に基づいてジャイロとして動作する。また、モータM1は、金属等のクランプCLを介して、モータM2に接続される。
【0021】
モータM2は、コンピュータ装置100からの制御指示に応じて動作し、クランプCLを介して、モータM1(ジャイロ)それぞれの向きを変える。各モータM1の向きが変えられることで、各モータM1のモーメントが変化し、フレームFRは、均衡状態が崩れXZ平面内で動く。モータM2とクランプCLとは、調整部の一例である。
【0022】
レーザポインタPTは、レーザ光源であり、レーザ光を光センサLSに向けて射出する。これにより、レーザポインタPTは、モータM1、M2の動作に応じたフレームFRの動きを光センサLSに出力する。
【0023】
光センサLSは、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のイメージセンサ、あるいはPSD(Position Sensitive Device)等であり、レーザポインタPTにより射出されたレーザ光の位置を検出する。光センサLSは、検出したレーザ光の位置、すなわちフレームFRの動きをコンピュータ装置100に出力する。光センサLSとレーザポインタPTとは、検出部の一例である。
【0024】
なお、
図2に示した補助装置200は、フレームFRがモータM1と円盤Eとのジャイロがそれぞれ配置される2つの腕を有するシーソー(又は天秤)として動作するシーソー型又は天秤型の補助装置としている。しかしながら、補助装置200は、2以上の複数の腕を有するフレームを有し、複数の腕の各々にモータM1と円盤Eとのジャイロが配置されるシーソー型又は天秤型の補助装置としてもよい。この場合、軸受AXは、球面軸受であることが好ましい。この場合、フレームFRはXYZ空間の3次元で動作し、補助装置200は、レーザポインタPTのレーザ光の位置をXY平面の2次元平面で検出する。また、光センサLSは、2次元平面でレーザポインタPTのレーザ光の位置を検出するために、CCDやCMOSのイメージセンサが好ましい。
【0025】
また、レーザポインタPTの代わりに、加速度センサや電子ジャイロ等がフレームFRに配置され、フレームFRの傾き角を直接測定してもよい。これにより、光センサLSを省略することができ、補助装置200の小型化ができる。
【0026】
図3は、ニューラルネットワークの一例を示す。
図3に示したニューラルネットワークは、入力層、中間層および出力層を有する多層パーセプトロンである。入力層は3つのノード、中間層は4つのノード、および出力層は1つのノードをそれぞれ有する。なお、入力層、中間層および出力層におけるノードの数は、ニューラルネットワークを適用する分野や、求められる精度等に応じて適宜決定されることが好ましい。また、ニューラルネットワークは、複数の中間層を有してもよい。
【0027】
図3に示したニューラルネットワークでは、入力層の3つのノードに入力された情報は、中間層の4つのノードおよび出力層の1つのノードを介して出力される。この場合、入力層の3つのノードの各々に入力された情報は、中間層の4つのノードの各々との間の関係性に応じた重み付けされ、中間層の4つのノードの各々において加算される。そして、中間層の4つのノードの各々で加算された情報は、出力層の1つのノードとの間の関係性に応じて重み付けされ、出力層の1つのノードで加算される。出力層のノードは、加算した情報を出力する。なお、従来では、各ノード間の重み付けは、ニューラルネットワークに入力される情報と、ニューラルネットワークから出力される情報との関係が予め明らかな教師データ等を用いて機械学習等により所定の値に決定される。あるいは、各ノード間の重み付けは、シグモイド関数等の微分可能な関数を用いて決定される。しかしながら、神経細胞におけるシナプス間の結合は、所定の値のように一定の状態でもなく、シグモイド関数等のように決まった所定の変動を示す状態でもない。
【0028】
図4は、神経細胞における膜電位の変化の一例を示す。
図4の縦軸は膜電位を示し、
図4の横軸は時間を示す。
図4に示すように、神経細胞は、-70mV程度の膜電位の場合、他の神経細胞から情報を受けない状態の静止電位にある。そして、神経細胞は、興奮性の刺激電流が入力された場合、膜電位を上昇させ脱分極を開始する。神経細胞は、脱分極が進むことにより、膜電位が閾値(例えば、静止電位より15mV以上大きな電位)を超えた場合、活動電位の状態になり、活動電位は、負から正の電位に急激に変化し、30mV程度のピークに達する。その後、活動電位は、再分極により正から負の電位に変化し、静止電位よりもさらに低い電位まで揺り戻した過分極状態となる。そして、神経細胞は、静止電位に戻る。そして、
図4に示した膜電位は、神経細胞の場合を示したが、シナプスや筋肉等を流れる電流についても同様の波形を示す。このことから、
図4に示した膜電位の波形は、人体における情報伝達の基本的な形状であり、シグモイド関数等と異なる。
【0029】
すなわち、脳の本質は外界からインプットされる情報を処理し、それに応じて神経機能を可塑的に調整することにある。そして、脳の多くの部位においてシナプスの伝達効率は一定でなく、刺激に応じて変化する。この現象は、シナプス可塑性と称される。シナプス可塑性の1つには、シナプス前細胞とシナプス後細胞との発火時間差によって変化が見られるスパイク時刻依存シナプス可塑性(STDP:Spike-Timing Dependence Plasticity)がある。そして、STPDには、神経伝達効率が長期間に亘って増加する可塑的変化を示す長期増強(LTP:Long-term Potentiation)と、神経伝達効率が長期間に亘って減少する可塑的変化を示す長期抑圧(LTD:Long-term Depression)がある。シナプスの結合は、LTPとLTDとの関係に応じて変化し、脳における記憶や学習に影響を与える。
【0030】
発明者は、
図4に示した膜電位の波形における揺り戻しが、回転が止まる時のコマの動きと似ていることに気がついた。そこで、補助装置200は、フレームFRの両端に、モータM1(1)および円盤E(1)のジャイロと、モータM1(2)および円盤E(2)のジャイロとを有することで、
図4に示した膜電位の波形の揺り戻しを再現する。例えば、
図3に示したニューラルネットワークの場合、モータM1(1)および円盤E(1)のジャイロは、入力層のノードまたは中間層のノードが対応し、モータM1(2)および円盤E(2)のジャイロは、中間層のノードまたは出力層のノードが対応する。また、神経回路の場合、モータM1(1)および円盤E(1)のジャイロは、シナプス前細胞が対応し、モータM1(2)および円盤E(2)のジャイロは、シナプス後細胞が対応する。
【0031】
補助装置200は、例えば、コンピュータ装置100からの制御指示に基づいて、各モータM1の回転速度を変化させることで、フレームFRの均衡状態からずれる。しかしながら、フレームFRには、均衡状態を保持しようとする作用により、補助装置200は、
図4に示した膜電位の波形と同様の揺り戻しを再現する。補助装置200は、レーザポインタPTがレーザ光を光センサLSに射出することにより、フレームFRの動きをレーザポインタPTのレーザ光の位置として光センサLSに検出させる。そして、補助装置200は、検出された位置の情報を含む信号をコンピュータ装置100に出力する。コンピュータ装置100は、補助装置200から受信した信号を用いて、
図3に示したニューラルネットワークの各ノード間における重み付けを決定する。コンピュータ装置100の動作については、
図5および
図6で説明する。
【0032】
なお、フレームFRにモータM1が設けられることにより、モータM1の動作に伴うフレームFRの動作は、フレームFRの長さに応じた所定の範囲内に限定される。このため、均衡状態を保持しようとする作用は、人の恒常性(ホメオスタシス)に相当する。
【0033】
また、コマは、歳差運動を示すことから、補助装置200は、フレームFRに配置された2つのジャイロの歳差運動によって、
図4に示した波形に“ゆらぎ成分”(または“カオス”)が重畳した波形を出力する。そして、歳差運動は、ジャイロの回転速度に応じて制御可能であることから、ゆらぎ成分は、制御可能なカオスである。これにより、補助装置200は、シグモイド関数の場合と異なり、同一の波形を再現することが困難となる。このため、演算処理システムSYSは、ニューラルネットワーク等の神経回路における情報の伝達を、従来と比べて精度良く再現できる。
【0034】
また、人の健康状態に応じてホメオスタシスが変化することから、
図4に示した膜電位の波形も変化すると考えられる。そこで、補助装置200は、ヒンジHGおよびクランプCLを用いて各モータM1がフレームFRの両端に設けられ、コンピュータ装置100からの制御指示に基づいて、各モータM1の回転速度とともに角度を変化させることにより、様々な人の状態における波形を再現できる。
【0035】
また、演算処理システムSYSは、1つの補助装置200が出力する波形を用いて、
図3に示したニューラルネットワークの全てのノード間における重み付けを決定してもよい。あるいは、演算処理システムSYSは、
図3に示したニューラルネットワークのノード間の各々に対応して複数の補助装置200を有し、各補助装置200が出力する波形を用いて、対応するノード間の重み付けを決定してよい。
【0036】
図5は、
図1に示したコンピュータ装置100における補助装置200から受信した信号の処理の一例を示す。
図5は、
図2に示した補助装置200のうち一部の要素を示し、他の要素を省略する。また、
図5は、均衡状態にある時のフレームFRを破線で示す。なお、
図5では、
図3に示したニューラルネットワークの場合について説明するが、神経回路等の場合についても同様である。
【0037】
コンピュータ装置100は、補助装置200から受信した信号に含まれるレーザポインタPTのレーザ光の位置の情報から、
図4に示した波形のアナログ値とN進数のデジタル値とに変換する。例えば、コンピュータ装置100は、破線で示した均衡状態のフレームFRの位置を予め取得し、補助装置200から受信した信号のレーザポインタPTのレーザ光の位置と、均衡状態の位置との差からフレームFRの傾きの角度θを算出する。なお、角度θは、正のX軸方向を基準(0度)にした場合、正のZ軸方向にプラスの角度とし、負のZ軸方向にマイナスの角度とする。
【0038】
例えば、
図5に示すように、フレームFRが正のX軸側に傾き、角度θがマイナスの角度の場合で、デジタル値が2進数(N=2)とする場合、コンピュータ装置100は、“0”のデジタル値を得る。一方、フレームFRが負のX軸側に傾き、角度θがプラスの角度の場合、コンピュータ装置100は、“1”のデジタル値を得る。コンピュータ装置100は、デジタル値が“0”の場合、補助装置200が対応するニューラルネットワークのノード間は静止電位にあり、情報が伝達されない状態(OFF状態)と判定する。一方、デジタル値が“1”の場合、コンピュータ装置100は、ノード間は静止電位から活動電位に変化し、情報が伝達される状態(ON状態)と判定する。すなわち、補助装置200は、従来のノイマン型計算機と同様に、ノード間におけるスイッチとして動作する。
【0039】
また、コンピュータ装置100は、
図5に示すように、フレームFRの可動範囲、すなわちレーザポインタPTのレーザ光による光センサLS上の照射範囲RAと、レーザポインタPTのレーザ光の位置とに基づいて、比率x:yを示す連続量のアナログ値を得る。そして、得られたアナログ値x、yの時間変化は、フレームFRの動きの軌道を示し、
図4に示した波形である。コンピュータ装置100は、取得したデジタル値およびアナログ値x、yを、コンピュータ装置100の記憶装置に記憶する。なお、比率x:yは、モータM1(1)と円盤E(1)とのジャイロと、モータM1(2)と円盤E(2)とのジャイロとの間の状態、例えば、ニューラルネットワークのノード間や、シナプス前細胞とシナプス後細胞との間における情報の伝達の状態を示す。すなわち、x>yの場合、シナプス前細胞からの情報がシナプス後細胞に強く出力され、x<yの場合、シナプス前細胞からの情報がシナプス後細胞に弱く出力されることを示す。
【0040】
コンピュータ装置100は、得られたデジタル値とアナログ値x、yとを用いて、補助装置200が対応するノード間における情報伝達の状態および重み付けを決定する。例えば、コンピュータ装置100は、デジタル値が“0”の場合、ノード間で情報が伝達されないOFF状態であることから、補助装置200に対応するノード間の重み付けをしない、あるいは任意の値に決定する。
【0041】
一方、コンピュータ装置100は、デジタル値が“1”の場合、ノード間で情報が伝達されるON状態であることから、アナログ値x、y(すなわち
図4に示した膜電位の波形)が示すノード間の状態に応じた重み付けを決定する。例えば、コンピュータ装置100は、ノード間が脱分極の状態の場合、活動電位が負から正の電位に振れてピークに近づくに従いノード間の重み付けを増大させる。また、コンピュータ装置100は、活動電位がピークを過ぎて再分極の状態の場合、活動電位が正から負の電位に振れて静止電位に近づくに従いノード間の重み付けを減少させる。
【0042】
そして、コンピュータ装置100は、ノード間が過分極の状態で、活動電位が静止電位よりも負の電位に揺れ戻される場合、ノード間の重み付けを“0”や負の値等に決定する。この場合、ニューラルネットワークのノード間は情報が伝達される状態であるにも拘わらず、重み付けが“0”や負の値等であることから、ノード間において情報が伝達されないことを示す。これは、例えば、神経細胞におけるシナプス前細胞とシナプス後細胞とは、化学的な反応に応じて伝達の状態を変化させるため、シナプス前細胞に入力された情報が、必ずしもシナプス後細胞に伝達されない場合があることに相当する。
【0043】
また、シナプス前細胞とシナプス後細胞との間の状態は、化学的な反応に伴うゆらぎが発生する。このゆらぎは、アナログ値x、yに含まれるゆらぎ成分に相当する。このため、コンピュータ装置100は、アナログ値x、yに含まれるゆらぎ成分を用いることにより、ノード間における情報の伝達の状態(すなわち重み付け)のゆらぎを再現できる。そして、
図1に示した演算処理システムSYSは、従来と比べてニューラルネットワークにおけるノード間の状態を実際の神経回路と同様に再現できる。
【0044】
なお、
図5では、2進数のデジタル値“0”と“1”との境界は、破線で示したフレームFRが均衡状態の時にレーザポインタPTがレーザ光を照射する位置としたが、任意の位置に設定されてもよい。これにより、コンピュータ装置100は、ニューラルネットワークにおけるノード間の状態を様々な状態に設定でき、ニューラルネットワークに個性を持たせることができる。
【0045】
また、デジタル値は、2進数に限定されず、N進数でもよい。N進数の場合、フレームFRの可動範囲に応じた角度の範囲をN個に分割し、分割したN個の角度の範囲の各々に“0”から“N-1”の値を設定する。
【0046】
図6は、
図1に示した演算処理システムSYSにおける演算処理の一例を示す。
図6に示した処理は、コンピュータ装置100の演算処理装置が、コンピュータ装置100の入力装置を介して、ユーザによる演算処理の実行指示を受け付け、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0047】
なお、
図6に示した処理では、コンピュータ装置100は、
図3に示したニューラルネットワークの場合について説明するが、神経回路等の場合についても同様である。
【0048】
ステップS100では、コンピュータ装置100は、補助装置200におけるモータM1毎の回転速度、回転方向および傾き角の動作条件を決定する。なお、コンピュータ装置100は、ユーザによるコンピュータ装置100の入力装置の操作により、補助装置200の動作条件を受け付けてもよい。そして、コンピュータ装置100は、決定した動作条件を補助装置200に出力する。
【0049】
ステップS110では、コンピュータ装置100は、ステップS100で決定された動作条件で動作した補助装置200において、レーザポインタPTが射出したレーザ光の位置の情報を含む信号を、補助装置200から受信する。
【0050】
ステップS120では、コンピュータ装置100は、ステップS110で受信した位置を用いて、
図5に示すようにデジタル値およびアナログ値x、yを取得する。そして、コンピュータ装置100は、取得したデジタル値およびアナログ値x、yを用いて、ニューラルネットワークにおける各ノード間がON状態かOFF状態かを決定するとともに、各ノード間の重み付けを決定する。コンピュータ装置100は、決定した各ノード間における状態および重み付けを用いて、ニューラルネットワークの演算処理を実行する。
【0051】
ステップS130では、コンピュータ装置100は、ユーザによるコンピュータ装置100の入力装置の操作により、終了指示を受け付けたか否かを判定する。終了指示を受けた場合、コンピュータ装置100の処理は、ステップS140に移る。一方、終了指示を受け付けていない場合、コンピュータ装置100の処理は、ステップS100に移る。この場合、ステップS100において、コンピュータ装置100は、ステップS120で取得したアナログ値x、y、すなわち補助装置200の動作状態と、恒常性の維持とに基づいて、補助装置200におけるモータM1の回転速度、回転方向および傾き角の動作条件を変更してもよい。あるいは、コンピュータ装置100は、ユーザによるコンピュータ装置100の入力装置の操作により、補助装置200の動作条件の変更を受け付けてもよい。
【0052】
ステップS140では、コンピュータ装置100は、ステップS130で受け付けた終了指示を含む信号を、補助装置200に出力する。そして、コンピュータ装置100は、演算処理を終了する。
【0053】
ステップS200では、補助装置200は、ステップS100で決定された動作条件を含む信号をコンピュータ装置100から受信する。そして、補助装置200は、受信した動作条件でモータM1、M2を駆動させる。
【0054】
ステップS210では、補助装置200は、ステップS200で受信した動作条件によるフレームFRの動きに伴うレーザポインタPTのレーザ光の位置を、光センサLSに検出させる。補助装置200は、光センサLSにより検出された位置の情報を含む信号を、コンピュータ装置100に出力する。
【0055】
ステップS220では、補助装置200は、終了指示を含む信号をコンピュータ装置100から受信したか否かを判定する。終了指示を受けた場合、補助装置200は、モータM1を停止させ終了する。一方、終了指示を受け付けていない場合、補助装置200の処理は、ステップS200に移る。
【0056】
図1から
図6に示した実施形態では、補助装置200は、フレームFRの端の各々に、モータM1と円盤Eとのジャイロを配置し、コンピュータ装置100からの制御指示に基づいて、ジャイロの各々を指示された回転速度、回転方向および傾き角で回転させる。そして、補助装置200は、フレームFRにおいて均衡状態が崩れるが、均衡状態を保持しようとする作用により、
図4に示した膜電位の波形と同様の揺り戻しを再現できる。これにより、演算処理システムSYSは、ニューラルネットワーク等の神経回路における情報の伝達を、従来と比べて精度良く再現できる。
【0057】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の演算処理システムの一例を示す。
【0058】
図7に示した演算処理システムSYS1は、コンピュータ装置100Aと補助装置200とを有する。
図1で説明した要素と同一または同様の機能を有する要素については、同一または同様の符号を付し、これらについては、詳細な説明を省略する。
【0059】
コンピュータ装置100Aは、
図1に示したコンピュータ装置100と同様に、CPU等の演算処理装置と、ハードディスク装置等の記憶装置とを有するノイマン型計算機である。コンピュータ装置100Aの演算処理装置は、例えば、コンピュータ装置100Aに含まれるキーボード等の入力装置を介して、ユーザによる演算処理の指示を受けることで、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。
【0060】
図8は、
図7に示したコンピュータ装置100Aの一例を示す。すなわち、コンピュータ装置100Aは、プログラムを実行することにより、メモリ110a、110b、第1FFT部120、第2FFT部130、第3FFT部140、第4FFT部150、第1演算部160、第2演算部170および状態決定部180として機能する。なお、第1FFT部120、第2FFT部130、第3FFT部140、第4FFT部150、第1演算部160、第2演算部170および状態決定部180は、専用の回路により実現されてもよい。
【0061】
メモリ110a、110bは、コンピュータ装置100Aの記憶装置に含まれる不揮発性メモリ等である。メモリ110a、110bの各々は、補助装置200から出力されるアナログ値x、yの各々を記憶する。
【0062】
第1FFT部120は、補助装置200から受信したアナログ値xのうち、所定の時間間隔における最新のアナログ値xのデータをメモリ110aから読み込み、読み込んだ最新のアナログ値xのデータに対して高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理を実行する。第1FFT部120は、変換した最新のアナログ値xのスペクトルを、補助装置200のモータM1(1)と円盤E(1)とのジャイロにおける現在の状態として第1演算部160に出力する。なお、所定の時間間隔は、
図3に示したニューラルネットワークや、神経細胞、シナプス等の演算対象に応じて適宜決定されることが好ましい。
【0063】
第2FFT部130は、最新のアナログ値xのデータより前の過去のアナログ値xのデータをメモリ110aから読み込み、読み込んだ過去のアナログ値xのデータに対してFFT処理を実行する。第2FFT部130は、変換した過去のアナログ値xのスペクトルを第1演算部160に出力する。なお、第2FFT部130が処理する過去のアナログ値xのデータの時間間隔は、第1FFT部120が処理する最新のアナログ値xの所定の時間間隔より長い方が好ましい。これにより、補助装置200のモータM1(1)と円盤E(1)とのジャイロにおける過去のアナログ値xにおける平均的な状態、すなわち恒常性(ホメオスタシス)の基準が得られる。
【0064】
第3FFT部140は、第1FFT部120と同様に、補助装置200から受信したアナログ値yのうち、所定の時間間隔の最新のアナログ値yのデータをメモリ110bから読み込み、読み込んだアナログ値yのデータに対してFFT処理を実行する。第3FFT部140は、変換した最新のアナログ値yのスペクトルを、補助装置200のモータM1(2)と円盤E(2)とのジャイロにおける現在の状態として第2演算部170に出力する。
【0065】
第4FFT部150は、第2FFT部130と同様に、最新のアナログ値yのデータより前の過去のアナログ値yのデータをメモリ110bから読み込み、読み込んだ過去のアナログ値yのデータに対してFFT処理を実行する。第4FFT部150は、変換した過去のアナログ値yのスペクトルを、補助装置200のモータM1(2)と円盤E(2)とのジャイロにおける恒常性(ホメオスタシス)の基準として第2演算部170に出力する。
【0066】
第1演算部160は、第1FFT部120から受信した最新のアナログ値xのスペクトルと、第2FFT部130から受信した過去のアナログ値xのスペクトルとの差分を、共通する周波数範囲内で求める。そして、第1演算部160は、補助装置200のモータM1(1)と円盤E(1)とのジャイロに対して設定した回転速度等と、補助装置200から受信したデジタル値とに応じて、アナログ値xのスペクトルの差分を補正する。第1演算部160は、補正したアナログ値xのスペクトルの差分を状態決定部180に出力する。なお、アナログ値xのスペクトルの差分は、補助装置200のモータM1(1)と円盤E(1)とのジャイロにおける恒常性の基準からのずれ量に相当する。
【0067】
第2演算部170は、第3FFT部140から受信した最新のアナログ値yのスペクトルと、第4FFT部150から受信した過去のアナログ値yのスペクトルとの差分を、共通する周波数範囲内で求める。そして、第2演算部170は、補助装置200のモータM1(2)と円盤E(2)とのジャイロに対して設定した回転速度等と、補助装置200から受信したデジタル値とに応じて、アナログ値yのスペクトルの差分を補正する。第2演算部170は、補正したアナログ値yのスペクトルの差分を状態決定部180に出力する。なお、アナログ値yのスペクトルの差分は、補助装置200のモータM1(2)と円盤E(2)とのジャイロにおける恒常性の基準からのずれ量に相当する。
【0068】
状態決定部180は、第1演算部160により補正されたアナログ値xのスペクトルの差分と、第2演算部170により補正されたアナログ値yのスペクトルの差分とに応じて、補助装置200に対応するノード間における状態の重み付けを決定する。そして、コンピュータ装置100Aは、状態決定部180により決定された各ノード間の重み付けを用いて、ニューラルネットワークの演算処理を実行する。
【0069】
なお、
図7に示した演算処理システムSYS1における演算処理は、
図6に示した処理と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0070】
図7および
図8に示した実施形態では、補助装置200は、フレームFRの端の各々に、モータM1と円盤Eとのジャイロを配置し、コンピュータ装置100Aからの制御指示に基づいて、ジャイロの各々を指示された回転速度、回転方向および傾き角で回転させる。そして、補助装置200は、フレームFRにおいて均衡状態が崩れるが、均衡状態を保持しようとする作用により、
図4に示した膜電位の波形と同様の揺り戻しを再現できる。これにより、演算処理システムSYS1は、ニューラルネットワーク等の神経回路における情報の伝達を、従来と比べて精度良く再現できる。
【0071】
ここで、第2実施形態においては、コンピュータ装置100Aは、各演算処理を行うことで、補助装置200に相当する装置をプログラム上で仮想的に実現している。なお、仮想的に実現する装置の構成は、補助装置200と同一の構成、言い換えればモータM1と円盤EとのジャイロがフレームFRの両端部に各々配置される2つの腕を有するシーソー型又は天秤型の構成を有する補助装置であってもよいし、例えば
図9に示すスライダ装置240であってもよい。
図9に示すように、スライダ装置240は、例えば直線上のレール軌道250と、レール軌道250に沿って(
図9中左右方向に)移動するスライダ260とを有する。
図9におけるスライダ装置240においては、一端部からスライダまでの距離が上述したアナログ値xに相当し、他端部からスライダまでの距離が、上述したアナログ値yに相当する。
【0072】
第1実施形態及び第2実施形態においては、コンピュータ装置100(又は100A)と補助装置200とを有するシステムSYS(又はSYS1)を例に挙げているが、補助装置200をプログラムにより仮想的に実現できるのであれば、補助装置200とコンピュータ装置100(又は100A)とを有するシステムを構築しなくとも、コンピュータ装置単体で実現することができる。この場合、
図10(a)に示すように、コンピュータ装置100(又は100A)の記憶部(メモリやハードディスク等)310に、補助装置200を仮想的に実現するプログラム320を記憶させておけばよい。
【0073】
また、
図10(b)及び
図10(c)に示すように、コンピュータ装置100Aに接続される他のコンピュータ装置(スーパーコンピュータなど)330の記憶部340や、サーバ装置350の記憶部360に上記プログラム320を記憶させることも可能である。これら場合には、他のコンピュータ装置330やサーバ装置350において、該プログラムを実行することで、これら装置において
図1の補助装置を仮想的に実現することができる。
【0074】
なお、
図1および
図7に示した演算処理システムSYS、SYS1は、ニューラルネットワーク等の神経回路に適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、演算処理システムSYS、SYS1は、ロボットや自動車へ適用、コールセンター、エンターテイメントやインターネットや携帯通信端末アプリケーションやサービス、検索システムへの応用、金融与信管理システムや行動予測、企業、学校、行政機関、警察や軍事、情報収集活動等での情報分析、虚偽発見に繋がる心理分析、組織グループ管理への応用、組織の構成員、研究者や従業員、管理者等の心の健康や行動予測を管理するシステムへの応用、住居やオフィス、飛行機や宇宙船といった環境を制御するシステムへの応用、家族や友人の心の状態や行動予測を知るための手段や、音楽や映画配信への応用、一般的な情報検索、情報分析管理、情報処理への応用、顧客感性嗜好マーケット分析等への応用、これらをネットワークやスタンドアローンで管理するシステムの応用、量子コンピュータにおける量子の振る舞いの解明等へ適用することも可能である。さらに、トランジスタや量子コンピュータチップなどに応用することも可能で、例えば電流など連続量信号入力からデジタルとアナログとの同時計算、関数出力を可能にする装置に応用することも可能である。
【0075】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0076】
100、100A…コンピュータ装置;110a、110b…メモリ;120…第1FFT部;130…第2FFT部;140…第3FFT部;150…第4FFT部;160…第1演算部;170…第2演算部;180…状態決定部;200…補助装置;AX…軸受;CL(1)、CL(2)…クランプ;E(1)、E(2)…円盤E;FR…フレーム;HG(1)、HG(2)…ヒンジ;LS…光センサ;M1(1)、M1(2)、M2(1)、M2(2)…モータ;ST(1)、ST(2)…支柱;PT…レーザポインタ;SYS、SYS1…演算処理システム