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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
A01C11/02 350E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017084520
(22)【出願日】2017-04-21
(65)【公開番号】P2018174895
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】名本 学
(72)【発明者】
【氏名】山口 信
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-182927(JP,A)
【文献】特開平11-046532(JP,A)
【文献】実開昭56-039917(JP,U)
【文献】特開2001-086823(JP,A)
【文献】特開2003-284416(JP,A)
【文献】実開平05-002616(JP,U)
【文献】特開2014-042491(JP,A)
【文献】特開平01-225410(JP,A)
【文献】特開2003-304703(JP,A)
【文献】特開平07-327422(JP,A)
【文献】特開2012-143180(JP,A)
【文献】特開2016-049036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 51/00-61/04
A01B 63/14-67/00
A01B 71/00-79/02
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非作業姿勢をとるようにコンパクト化可能である、車体(10)へ取付けられた作業ユニット(100)と、
前記作業ユニット(100)へ伝達される動力をオンオフする作業ユニット動力クラッチ機構(200)と、を備え、
前記作業ユニット(100)は、圃場へ植付けられるべき苗を載せる苗載台(130)を左右方向に移動させる苗載台移動装置(140)を有し、伝達される前記動力を利用して動作し、
前記苗載台移動装置(140)は、中央部と、左右スライドマージンに対応する前板機構(2000)と、で構成された苗載台スライド支持部材(141)を有し、
前記中央部は、前記車体(10)の前方へ延びて案内フック最前位置(P)から後方へ戻る案内フック(2700)を前側側面に有し、
前記前板機構(2000)は、
矩形形状の本体(2100)と、
前記本体(2100)の左右方向にスライド可能に遊嵌されて内側端部が前記中央部に設けられた貫通ボルト篏合凹部(2410)へ篏合可能な貫通ボルト(2400)と、
前記貫通ボルト(2400)の外側端部へ取付けられたロックハンドル(2200)と、
前記本体(2100)の内側端部寄りの前側側面において、内側へ突出して取付けられた繋留プレート(2600)と、
前記本体(2100)の外側端部寄りの前側側面へ取付けられた収納フック(2500)と、
を有し、
内側へ向かって突出している、前記繋留プレート(2600)の先端には、長孔が形成され、前記本体(2100)が前記車体(10)の前後方向にスライド可能であって上下方向に回動可能であるように、前記案内フック(2700)が前記長孔へ遊嵌されており、
ユーザーが、前記ロックハンドル(2200)の把持部材(2220)を把持して前記貫通ボルト(2400)の貫通ボルト篏合凹部(2410)への篏合を解除し、前記作業姿勢をとっていた前記前板機構(2000)を前記案内フック(2700)に沿って前記案内フック最前位置(P)までスライドさせながら上方へ向かって回動させ、前記収納フック(2500)を前記作業ユニット(100)の所定箇所へ係止させることにより、前記前板機構(2000)を前記非作業姿勢とし、
前記作業ユニット(100)の動作制限が、前記非作業姿勢に基づいて行われ、
前記動作制限は、前記苗載台(130)を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せの禁止であり、
前記動作制限は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとったときには、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)に前記動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)は前記動力をオフするように行われることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記動作制限は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっているときには、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)に前記動力をオンさせるためのユーザー操作が行われても、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)は前記動力をオンしないように行われることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっているか否かを検出する作業ユニット姿勢検出装置(300)を備え、
前記動作制限は、前記作業ユニット姿勢検出装置(300)が所定基準を超える時間にわたって前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっていることを検出した場合に行われることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機などのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
非作業姿勢をとるようにコンパクト化可能である、車体へ取付けられた作業ユニットを備えた田植機が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の田植機は10条植えの乗用型マット苗用田植機であるが、10条植えの田植機の構成は、エンジンのサイズが大きい点を除けば、5条植えまたは8条植えの田植機の構成と基本的に同じである。
【0004】
とはいえ、作業ユニットのサイズは作業効率の向上にともなって大きくなり、特に、作業ユニットの左右方向の幅はかなり大きくなるので、圃場から圃場への路上走行時、運搬トラック積載時、または倉庫への収納時の利便性および安全性などを考慮して、7条植えクラス以上の田植機においては作業ユニットが非作業姿勢をとるようにコンパクト化可能である構成がしばしば採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-030432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者は、従来の田植機においては、非作業姿勢をとっている作業ユニットが誤って動作させられると、作業ユニットの破損が発生し得ることに気付いた。
【0007】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、作業ユニット破損の発生を抑制することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、非作業姿勢をとるようにコンパクト化可能である、車体(10)へ取付けられた作業ユニット(100)と、
前記作業ユニット(100)へ伝達される動力をオンオフする作業ユニット動力クラッチ機構(200)と、を備え、
前記作業ユニット(100)は、圃場へ植付けられるべき苗を載せる苗載台(130)を左右方向に移動させる苗載台移動装置(140)を有し、伝達される前記動力を利用して動作し、
前記苗載台移動装置(140)は、中央部と、左右スライドマージンに対応する前板機構(2000)と、で構成された苗載台スライド支持部材(141)を有し、
前記中央部は、前記車体(10)の前方へ延びて案内フック最前位置(P)から後方へ戻る案内フック(2700)を前側側面に有し、
前記前板機構(2000)は、
矩形形状の本体(2100)と、
前記本体(2100)の左右方向にスライド可能に遊嵌されて内側端部が前記中央部に設けられた貫通ボルト篏合凹部(2410)へ篏合可能な貫通ボルト(2400)と、
前記貫通ボルト(2400)の外側端部へ取付けられたロックハンドル(2200)と、
前記本体(2100)の内側端部寄りの前側側面において、内側へ突出して取付けられた繋留プレート(2600)と、
前記本体(2100)の外側端部寄りの前側側面へ取付けられた収納フック(2500)と、
を有し、
内側へ向かって突出している、前記繋留プレート(2600)の先端には、長孔が形成され、前記本体(2100)が前記車体(10)の前後方向にスライド可能であって上下方向に回動可能であるように、前記案内フック(2700)が前記長孔へ遊嵌されており、
ユーザーが、前記ロックハンドル(2200)の把持部材(2220)を把持して前記貫通ボルト(2400)の貫通ボルト篏合凹部(2410)への篏合を解除し、前記作業姿勢をとっていた前記前板機構(2000)を前記案内フック(2700)に沿って前記案内フック最前位置(P)までスライドさせながら上方へ向かって回動させ、前記収納フック(2500)を前記作業ユニット(100)の所定箇所へ係止させることにより、前記前板機構(2000)を前記非作業姿勢とし、
前記作業ユニット(100)の動作制限が、前記非作業姿勢に基づいて行われ、
前記動作制限は、前記苗載台(130)を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せの禁止であり、
前記動作制限は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとったときには、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)に前記動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)は前記動力をオフするように行われることを特徴とする作業車両である。
第2の本発明は、前記動作制限は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっているときには、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)に前記動力をオンさせるためのユーザー操作が行われても、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)は前記動力をオンしないように行われることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
第3の本発明は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっているか否かを検出する作業ユニット姿勢検出装置(300)を備え、
前記動作制限は、前記作業ユニット姿勢検出装置(300)が所定基準を超える時間にわたって前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっていることを検出した場合に行われることを特徴とする第1または第2の本発明の作業車両である。
本発明に関連する第1の発明は、非作業姿勢をとるようにコンパクト化可能である、車体(10)へ取付けられた作業ユニット(100)を備え、
前記作業ユニット(100)の動作制限が、前記非作業姿勢に基づいて行われることを特徴とする作業車両である。
【0009】
本発明に関連する第2の明は、前記作業ユニット(100)へ伝達される動力をオンオフする作業ユニット動力クラッチ機構(200)を備え、
前記作業ユニット(100)は、伝達される前記動力を利用して動作し、
前記動作制限は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっているときには、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)に前記動力をオンさせるためのユーザー操作が行われても、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)は前記動力をオンしないように行われることを特徴とする本発明に関連する第1の明の作業車両である。
【0010】
本発明に関連する第3の明は、前記作業ユニット(100)へ伝達される動力をオンオフする作業ユニット動力クラッチ機構(200)を備え、
前記作業ユニット(100)は、伝達される前記動力を利用して動作し、
前記動作制限は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとったときには、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)に前記動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、前記作業ユニット動力クラッチ機構(200)は前記動力をオフするように行われることを特徴とする本発明に関連する第1の明の作業車両である。
【0011】
本発明に関連する第4の明は、前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっているか否かを検出する作業ユニット姿勢検出装置(300)を備え、
前記動作制限は、前記作業ユニット姿勢検出装置(300)が所定基準を超える時間にわたって前記作業ユニット(100)が前記非作業姿勢をとっていることを検出した場合に行われることを特徴とする本発明に関連する第1から第3の何れかの明の作業車両である。
【0012】
本発明に関連する第5の明は、前記作業ユニット(100)は、圃場へ植付けられるべき苗を載せる苗載台(130)を左右方向に移動させる苗載台移動装置(140)を有し、
前記動作制限は、前記苗載台(130)を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せの禁止であることを特徴とする本発明に関連する第1から第4の何れかの明の作業車両である。
【0013】
本発明に関連する第6の明は、前記作業ユニット(100)は、苗を圃場へ植付ける植付装置(120)を有し、
前記動作制限は、走行せずにその場で前記苗を植付けるその場植えの禁止であることを特徴とする本発明に関連する第1から第4の何れかの明の作業車両である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、作業ユニット(100)の動作制限が、非作業姿勢に基づいて行われるので、作業ユニット破損の発生を抑制することが可能である。なお、本発明により、動作制限は、苗載台(130)を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せの禁止であるので、端寄せにともなう作業ユニット破損の発生を抑制することが可能である。
本発明に関連する第1の明により、作業ユニット(100)の動作制限が、非作業姿勢に基づいて行われるので、作業ユニット破損の発生を抑制することが可能である。
【0015】
本発明に関連する第2の明により、本発明に関連する第1の明の効果に加えて、動作制限は、作業ユニット(100)が非作業姿勢をとっているときには、作業ユニット動力クラッチ機構(200)に動力をオンさせるためのユーザー操作が行われても、作業ユニット動力クラッチ機構(200)は動力をオンしないように行われるので、作業ユニット破損の発生をより確実に抑制することが可能である。
【0016】
本発明に関連する第3の明により、本発明に関連する第1の明の効果に加えて、動作制限は、作業ユニット(100)が非作業姿勢をとったときには、作業ユニット動力クラッチ機構(200)に動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、作業ユニット動力クラッチ機構(200)は動力をオフするように行われるので、作業ユニット破損の発生をより確実に抑制することが可能である。
【0017】
本発明に関連する第4の明により、本発明に関連する第1から第3の何れかの明の効果に加えて、動作制限は、作業ユニット姿勢検出装置(300)が所定基準を超える時間にわたって作業ユニット(100)が非作業姿勢をとっていることを検出した場合に行われるので、欠株などの発生を抑制することが可能である。
【0018】
本発明に関連する第5の明により、本発明に関連する第1から第4の何れかの明の効果に加えて、動作制限は、苗載台(130)を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せの禁止であるので、端寄せにともなう作業ユニット破損の発生を抑制することが可能である。
【0019】
本発明に関連する第6の明により、本発明に関連する第1から第4の何れかの明の効果に加えて、動作制限は、走行せずにその場で苗を植付けるその場植えの禁止であるので、その場植えにともなう作業ユニット破損の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明における実施の形態の田植機の左側面図
図2】本発明における実施の形態の田植機の上面図
図3】本発明における実施の形態の田植機の動力伝達系および制御系のブロック図
図4】本発明における実施の形態の田植機の苗載台近傍の部分左側面図
図5】本発明における実施の形態の田植機の植付装置近傍の部分上面図
図6】本発明における第1の別の実施の形態の田植機の苗載台近傍の模式的な部分左側面図
図7】(a)本発明における第2の別の実施の形態の田植機の前板機構近傍の部分正面図、(b)本発明における第2の別の実施の形態の田植機の前板機構近傍の部分上面図
図8】本発明における第2の別の実施の形態の田植機の前板機構近傍の部分右側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
はじめに、図1~3を主として参照しながら、本実施の形態の田植機の構成および動作について具体的に説明する。
【0023】
ここに、図1は本発明における実施の形態の田植機の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の田植機の上面図であり、図3は本発明における実施の形態の田植機の動力伝達系および制御系のブロック図である。
【0024】
以下同様であるが、理解がより容易になるように、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし省略的に示されていることもある。たとえば、図1においては、ロータリ植付杆122は示されていない。
【0025】
図1および2においては、10条植えの乗用型マット苗用田植機が示されており、植付装置120は5個の植付部121を有し、それぞれの植付部121は植付伝動ケース123および左右一対の2個のロータリ植付杆122を有する。
【0026】
本実施の形態の田植機は、本発明における作業車両の一例である。
【0027】
最初に説明されるのは、本実施の形態の田植機の基本的な構成および動作である。したがって、さまざまな構成要素の統括的な制御を行うコントローラー400に関する構成および動作については、後に詳細に説明する。
【0028】
運転ユニット50は、エンジンカバー21の上方に設けられた座席52を有する。
【0029】
座席52の前方には、前輪31を操作するための操舵ハンドル51が設けられている。エンジンカバー21の左右両側には、水平なステップフロア53が設けられている。操舵ハンドル51の左右両側には、予備苗載台110が設けられている。
【0030】
走行装置30は、車体10を走行させるための前輪31および後輪32を有する装置である。
【0031】
整地ローター装置150は、第1整地ローターおよび第2整地ローターのような圃場を整地するためのローター151を有する装置である。整地フロート装置160は、センターフロートおよびサイドフロートのような圃場を整地するためのフロート161を有する装置である。
【0032】
マーカー180は、次工程の植付作業の目安となるマークを圃場へ形成する、車体10へ収納可能に取付けられたマーカーである。
【0033】
植付装置120は、昇降機構190を介して車体10の後側へ取付けられている。施肥装置170の本体は、車体10の上側へ取付けられている。
【0034】
メインフレーム11へ取付けられたエンジン20の回転動力は、HST(Hydro Static Transmission)機構42などを介してトランスミッション機構42の副変速装置などへ伝達される。トランスミッション機構42において変速された回転動力は、走行装置30の前輪31および後輪32などにおいて利用される走行動力と、植付装置120の植付部121などにおいて利用される外部取出動力と、に分離される。
【0035】
走行動力の一部は左右の前輪ファイナルケースへ伝達されて左右一対の2個の前輪31を駆動し、走行動力の残りが左右の後輪ギヤケースへ伝達されて左右一対の2個の後輪32を駆動する。左の後輪ギヤケースへ伝達された走行動力の一部は、整地ローター駆動軸へ伝達されてローター151を駆動する。
【0036】
作業ユニット100は、伝達される動力を利用して動作し、非作業姿勢をとるようにコンパクト化可能である、車体10へ取付けられたユニットである。作業ユニット動力クラッチ機構200は、作業ユニット100へ伝達される動力をオンオフする機構である。作業ユニット姿勢検出装置300は、作業ユニット100が非作業姿勢をとっているか否かを検出する装置である。
【0037】
後に詳細に説明されるように、作業ユニット100の動作制限が、非作業姿勢に基づいて行われる。
【0038】
作業ユニット100は、圃場へ植付けられるべき苗を載せる苗載台130を左右方向に移動させる苗載台移動装置140、および苗を圃場へ植付ける植付装置120を有する。
【0039】
本実施の形態の田植機は上述されたように10条植えの乗用型マット苗用田植機であるが、10条植えの田植機の構成は、エンジン20のサイズが大きい点を除けば、5条植えまたは8条植えの田植機の構成と基本的に同じである。
【0040】
とはいえ、作業ユニット100のサイズは作業効率の向上にともなって大きくなり、特に、作業ユニット100の左右方向の幅はかなり大きくなるので、圃場から圃場への路上走行時、運搬トラック積載時、または倉庫への収納時の利便性および安全性などを考慮して、7条植えクラス以上の田植機においては作業ユニット100が非作業姿勢をとるようにコンパクト化可能である構成がしばしば採用されている。
【0041】
図4および5に示されているように、このような非作業姿勢は、部材折畳みおよび部材取外しを利用してつぎの三つの作業ユニットコンパクト化ステップで実現される。
【0042】
ここに、図4は本発明における実施の形態の田植機の苗載台130近傍の部分左側面図であり、図5は本発明における実施の形態の田植機の植付装置120近傍の部分上面図である。
【0043】
図4においては、作業ユニット100が作業姿勢をとっている状態が示されている。図5においては、作業ユニット100が作業姿勢をとっている状態も作業ユニット100が非作業姿勢をとっている状態も同時に示されている。
【0044】
第一の作業ユニットコンパクト化ステップにおいては、苗載台130が折畳まれる。すなわち、苗載台130の左の2条に対応する部分がほぼ上下方向の左の苗載台回動軸130Aの周りに右へ回動されて右隣の2条に対応する部分の上に折重ねられ、苗載台130の右の2条に対応する部分がほぼ上下方向の右の苗載台回動軸130Aの周りに左へ回動されて左隣の2条に対応する部分の上に折重ねられる。図4に示されているように、苗載台130の左の2条に対応する部分は矢印αの向きに回動される。
【0045】
第二の作業ユニットコンパクト化ステップにおいては、苗載台130が左右方向に移動するための苗載台スライド支持部材141が部分的に取外される。すなわち、苗載台スライド支持部材141の左の2条に対応する部分が取外されて右隣の3条に対応する部分と平行なマグネットステーに係止され、苗載台スライド支持部材141の右の2条に対応する部分が取外されて左隣の3条に対応する部分と平行なマグネットステーに係止される。苗載台スライド支持部材141の左の2条に対応する部分の長さは、ほぼ0.5条に対応する苗載台スライドマージンが左に設けられているが、右隣の3条に対応する部分の長さより短い。同様に、苗載台スライド支持部材141の右の2条に対応する部分の長さは、左隣の3条に対応する部分の長さより短い。
【0046】
第三の作業ユニットコンパクト化ステップにおいては、植付部121が折畳まれる。すなわち、左の2条に対応する植付部121がほぼ上下方向の左の植付部回動軸121Aの周りに前方へ回動され、右の2条に対応する植付部121がほぼ上下方向の右の植付部回動軸121Aの周りに前方へ回動される。図5に示されているように、右の2条に対応する植付部121は矢印βの向きに回動される。変形例の実施の形態においては、左の2条に対応する植付部121がほぼ前後方向の回動軸の周りに右へ回動されて起立させられ、右の2条に対応する植付部121がほぼ前後方向の回動軸の周りに左へ回動されて起立させられる構成が、採用されてもよい。
【0047】
たとえば、第四の作業ユニットコンパクト化ステップが、施肥装置170の部材折畳みおよび部材取外しを利用してさらに設けられていてもよい。
【0048】
非作業姿勢はこのように実現されるが、本発明者は、従来の田植機においては、非作業姿勢をとっている作業ユニット100が誤って動作させられると、作業ユニット100の破損が発生し得ることに気付いた。
【0049】
たとえば、動作確認をともなうメンテナンス時、または植付作業時の誤ったユーザー操作は、作業ユニット100が非作業姿勢をとっているにもかかわらず、作業ユニット動力クラッチ機構200に伝達部材を介して伝達される動力をオンさせ、無理に左右方向に移動させられた苗載台130の樹脂部材の破損、および無理に回動させられたロータリ植付杆122の破損などを招来しやすい。
【0050】
本発明者は、作業ユニット動力クラッチ機構200は、作業姿勢をとっている作業ユニット100へ伝達される動力を自由にオンオフすることができても、非作業姿勢をとっている作業ユニット100へ伝達される動力を自由にオンオフすることができない構成が望ましいことに想到した。
【0051】
そこで、図3を主として参照しながら、作業ユニット100の動作制限が非作業姿勢に基づいて行われる点について詳細に説明する。
【0052】
作業ユニット動力クラッチ機構200は、植付クラッチモーターを利用して作業ユニット100へ伝達される動力をオンオフする油圧式の植付クラッチを有する。
【0053】
作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオンさせるためのユーザー操作は、上昇ポジション、中立ポジション、下降ポジションおよび植付ポジションの四つのポジションが切替えられるように、HST機構41のユーザー操作レバーのヘッドに設けられている、フィンガーレバー413または植付入切スイッチ414を利用して行われる。
【0054】
本実施の形態においては、コントローラー400が、作業ユニット100の動作制限などのようなさまざまな構成要素の統括的な制御を行う。
【0055】
変形例の実施の形態においては、コントローラー400が統括的な制御を行う電子式の構成の代わりに、たとえば、5個の植付部121へ伝達される動力を個別的にオンオフする部分条クラッチのローターピンに結ばれたワイヤーを牽引する部分条クラッチモーターのユーザー操作レバーまたはユーザー操作スイッチがストッパーなどでロックされる機械的な構成が、採用されてもよい。
【0056】
報知装置420は、動作制限が行われていることをユーザーに報知する。ユーザーへの報知は、通常の動作時のブザー鳴動とは異なる、150ミリ秒のオンタイムおよび300ミリ秒の周期で三回繰り返される間欠的なブザー鳴動を利用して行われてもよいし、いわゆるセンターマスコットなどのランプ明滅を利用して行われてもよい。
【0057】
動作制限は、作業ユニット100が非作業姿勢をとっているときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオンさせるためのユーザー操作が行われても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力をオンしないように行われる。
【0058】
作業ユニット姿勢検出装置300は、苗載台130が左の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオン状態である左検出スイッチ、および苗載台130が右の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオン状態である右検出スイッチを有し、左検出スイッチおよび右検出スイッチの内の少なくとも一方がオン状態をとっているときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオンさせるためのユーザー操作が行われても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力をオンしない。
【0059】
変形例の実施の形態においては、作業ユニット姿勢検出装置300は、苗載台130が左の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオフ状態である左検出スイッチ、および苗載台130が右の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオフ状態である右検出スイッチを有し、左検出スイッチおよび右検出スイッチの内の少なくとも一方がオフ状態をとっているときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオンさせるためのユーザー操作が行われても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力をオンしない構成が、採用されてもよい。
【0060】
いうまでもなく、作業ユニット姿勢検出装置300は、たとえば、車体10へ取付けられた赤外線センサーを利用して構成されてもよいし、植付部回動軸121Aまたは苗載台回動軸130Aへ取付けられたポテンショメーターを利用して構成されてもよい。
【0061】
動作制限は、作業ユニット100が非作業姿勢をとったときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力をオフするように行われる。
【0062】
たとえば、作業中の異物挟込みが作業ユニット100において発生した場合には、作業ユニット100が非作業姿勢をとらされる異物取除きに先立って、作業ユニット動力クラッチ機構200が動力をオンしているまま、HST機構41がユーザー操作により動力をオフさせられるかもしれないし、部分条クラッチがユーザー操作により動力をオフさせられるかもしれない。
【0063】
すると、作業ユニット100は非作業姿勢をとらされたままであるにもかかわらず、HST機構41はユーザー操作により動力を再びオンさせられるかもしれないし、部分条クラッチはユーザー操作により動力を再びオンさせられるかもしれないので、作業ユニット100の破損が発生し得る。
【0064】
そこで、作業ユニット100が非作業姿勢をとったときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力を強制的にオフさせられる。
【0065】
作業ユニット姿勢検出装置300は、上述されたように、苗載台130が左の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオン状態である左検出スイッチ、および苗載台130が右の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオン状態である右検出スイッチを有し、左検出スイッチおよび右検出スイッチの内の少なくとも一方がオン状態をとったときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力をオフする。
【0066】
変形例の実施の形態においては、作業ユニット姿勢検出装置300は、上述されたように、苗載台130が左の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオフ状態である左検出スイッチ、および苗載台130が右の2条に対応する部分について折畳まれているときのオンオフ状態がオフ状態である右検出スイッチを有し、左検出スイッチおよび右検出スイッチの内の少なくとも一方がオフ状態をとったときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオフさせるためのユーザー操作が行われなくても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力をオフする構成が、採用されてもよい。
【0067】
そして、動作制限解除は、作業ユニット100が作業姿勢をとったときには、作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオンさせるためのユーザー操作が行われなくても、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力を復帰的にオンするように行われる。
【0068】
作業ユニット動力クラッチ機構200に動力をオンさせるためのユーザー操作は不要であるので、利便性が向上する。
【0069】
動作制限は、作業ユニット姿勢検出装置300が所定基準を超える時間にわたって作業ユニット100が非作業姿勢をとっていることを検出した場合に行われる。
【0070】
たとえば、作業ユニット姿勢検出装置300の感度が過度に敏感であると、植付作業時の振動などに起因して、作業ユニット100が非作業姿勢をとったと判断されるべきではないにもかかわらず、作業ユニット100が非作業姿勢をとったと判断されることがある。
【0071】
すると、作業ユニット動力クラッチ機構200は動力を誤ってオフさせられたり動力をたびたび瞬間的にオンオフさせられたりするので、欠株などが発生することがある。
【0072】
そこで、動作制限は、作業ユニット姿勢検出装置300が、たとえば、1秒以上にわたって作業ユニット100が非作業姿勢をとっていることを検出した場合に行われる。
【0073】
なお、動作制限は、苗載台130を左側または右側の端に寄せて停止させる端寄せの禁止であってもよい。
【0074】
たとえば、端寄せボタン411を押下げるユーザー操作が行われると、苗載台移動装置140により左右方向に移動させられる苗載台130は、苗載台130の端部に設けられた端寄せ検出スイッチが苗載台130が左側または右側の端に寄せられたことを検出すると、停止させられるので、端寄せは苗載台130への苗補給に利用する目的に有用である。しかしながら、苗載台130などの破損が発生しにくいように、端寄せは非作業姿勢に基づいて禁止されることが望ましい。
【0075】
また、動作制限は、走行せずにその場で苗を植付けるその場植えの禁止であってもよい。
【0076】
たとえば、その場植えボタン412を押下げるユーザー操作が行われると、植付部121のロータリ植付杆122は、一工程のみの植付が車体10の前進なく行われるように、半回転させられるので、その場植えは畦際における植付に利用する目的に有用である。しかしながら、植付装置120などの破損が発生しにくいように、その場植えは非作業姿勢に基づいて禁止されることが望ましい。
【0077】
変形例の実施の形態においては、つぎに説明されるように、圃場から圃場への路上走行時、運搬トラック積載時、または倉庫への収納時の利便性および安全性などを考慮して、昇降機構190または後輪サイドクラッチ機構43などの動作制限が、非作業姿勢に基づいて行われてもよい。
【0078】
作業ユニット100が非作業姿勢をとっているときの昇降機構190の動作制限は、たとえば、植付作業時の畦際ターンにおける自動植付装置上昇を実現するためのいわゆるZターンの制御が禁止されるように、行われる。作業ユニット動力クラッチ機構200および後輪サイドクラッチ機構43、ならびに後輪油圧ブレーキ機構が自動植付装置上昇に連動して動作する仕様においても、自動植付装置上昇は行われないので、このような連動は行われない。したがって、植付装置120などの破損が発生しにくいばかりではなく、操舵ハンドル51のユーザー操作にともなうターン内側の後輪32の自動後輪クラッチオフおよび自動後輪ブレーキも行われないので、ユーザーが意図しない急ターンおよび横転が走行速度が比較的に大きい路上走行時に発生してしまう恐れは低減される。
【0079】
作業ユニット100が非作業姿勢をとっているときの後輪サイドクラッチ機構43の動作制限は、たとえば、植付作業時の畦際ターンにおける間欠的な自動後輪クラッチオフを実現するためのいわゆるY型ポンピングターンの制御が禁止されるように、行われる。後輪油圧ブレーキ機構が自動後輪クラッチオフに連動して動作する仕様においても、自動後輪クラッチオフは行われないので、このような連動は行われない。したがって、操舵ハンドル51のユーザー操作にともなうターン内側の後輪32の自動後輪クラッチオフが行われないばかりではなく、自動後輪ブレーキも行われないので、ユーザーが意図しない急ターンおよび横転が走行速度が比較的に大きい路上走行時に発生してしまう恐れは低減される。
【0080】
(A)つぎに、図6を主として参照しながら、本発明における第1の別の実施の形態においては、苗載台130が回動可能である点について詳細に説明する。
【0081】
ここに、図6は、本発明における第1の別の実施の形態の田植機の苗載台130近傍の模式的な部分左側面図である。
【0082】
図6においては、苗載台130が回動していない状態が実線で示されており、苗載台130が回動した状態が二点鎖線で示されている。
【0083】
苗載台回動モーター1300は、苗載台130の上端部に設けられた左右方向の苗載台回動軸1200の周りに苗載台130を回動させる。苗載台130の下端部が矢印Aの向きに持上げられていると、圃場面F1より低い畦面F2に立つ作業補助者は、予備苗載台110への苗補給ではなく、苗載台130への苗補給を後方から一人で直接的に行うことができる。
【0084】
苗載台回動ウェイト1400は、苗載台130の上端部に設けられた苗載台延長部材1100の先端部裏側に設けられている。したがって、苗載台回動軸1200はかなり重い苗載台130の上端部に設けられているが、バランス性が悪化してしまう恐れは低減され、苗載台回動モーター1300の負担増大も抑制される。
【0085】
苗載台回動軸1200は、苗載台130の中央部または下端部にではなく、苗載台延長部材1100の付根部の近傍である、苗載台130の上端部に設けられている。したがって、回動した苗載台130の上端部が前方の後輪32と干渉してしまう恐れは低減される。
【0086】
苗載台130はいわゆる苗レール方式の予備苗載台110の構成と類似した構成を有し、前側が尖った楔形状の苗マット斜めストッパー角材1500は苗載台延長部材1100の先端部表側に設けられている。したがって、回動した苗載台130が前下がりであっても、後方からの苗補給において矢印Xの向きに押込まれる苗マットMは苗マット斜めストッパー角材1500に引掛かり運転ユニット50へ落ちないが、前方からの苗補給において矢印Yの向きにスムーズに押込まれる苗マットMは苗マット斜めストッパー角材1500に引掛からない。
【0087】
(B)つぎに、図7および8を主として参照しながら、本発明における第2の別の実施の形態においては、左右一対の2個の前板機構2000が回動可能である点について詳細に説明する。
【0088】
ここに、図7(a)は本発明における第2の別の実施の形態の田植機の前板機構2000近傍の部分正面図であり、図7(b)は本発明における第2の別の実施の形態の田植機の前板機構2000近傍の部分上面図であり、図8は本発明における第2の別の実施の形態の田植機の前板機構2000近傍の部分右側面図である。
【0089】
図7においては、作業ユニット100が作業姿勢をとっている状態が示されている。図7(b)においては、ロックハンドル2200がロック位置をとっている状態が実線で示されており、ロックハンドル2200がフリー位置をとっている状態が二点鎖線で示されている。図8においては、作業ユニット100が非作業姿勢をとっている状態が示されている。
【0090】
左の前板機構2000の本体2100は苗載台スライド支持部材141の左の苗載台スライドマージンに対応する部分を有し、右の前板機構2000の本体2100は苗載台スライド支持部材141の右の苗載台スライドマージンに対応する部分を有する。
【0091】
苗載台130が左右方向のセンター位置で静止している非作業時には不要である前板機構2000は、作業時には外側へ突出する苗載台スライドマージンに対応する部分の破損が発生しにくいように、取外されるのではなく、折畳まれて作業ユニット100へ収納可能であるので、作業ユニット100から分離して紛失されにくい。
【0092】
いわゆる植付フレームの一部であって苗載台スライドレールのマージンとして機能する、このような前板機構2000の折畳みの発想は、上述された苗載台130の折畳みの発想などとは独立的な発想である。
【0093】
把持部材2210および2220を有するロックハンドル2200が左右方向の外端部へ取付けられた貫通ボルト2400の左右方向の内端部は、作業ユニット100の苗載台スライド支持部材141の中央部に設けられた貫通ボルト篏合凹部2410と篏合可能である。貫通ボルト2400は本体2100へスライド可能に遊嵌されており、ロックハンドル2200と本体2100との間には付勢スプリング2300が挿入されている。収納フック2500が取付けられた本体2100が一方の端部へ取付けられた繋留プレート2600の他方の端部は、前下がりであるように作業ユニット100の苗載台スライド支持部材141の中央部へ取付けられた案内フック2700へスライド可能に遊嵌されている。
【0094】
ロックハンドル2200は、作業ユニット100が作業姿勢をとっている状態においてはロック位置をとっている。すなわち、ロックハンドル2200は付勢スプリング2300に抗し内側へ押込まれて本体2100へ係止されており、貫通ボルト2400の左右方向の内端部は作業ユニット100の苗載台スライド支持部材141の中央部に設けられた貫通ボルト篏合凹部2410と篏合している。
【0095】
このような構成のおかげで、L字形状のロックハンドル2200を有する前板機構2000の左右方向の幅は大きくならない。
【0096】
そして、ユーザーが、たとえば、把持部材2210を把持して本体2100に対する回動を与えながら、ロックハンドル2200を内側へ押込み上述されたロックハンドル2200の本体2100への係止を解除すると、ロックハンドル2200はフリー位置をとる。すなわち、ロックハンドル2200は付勢スプリング2300により外側へ押出され、貫通ボルト2400の左右方向の内端部は作業ユニット100の苗載台スライド支持部材141の中央部に設けられた貫通ボルト篏合凹部2410から外れる。
【0097】
このような構成のおかげで、たとえば、左側または右側の端に寄せられた苗載台130が前板機構2000と干渉しても、ロックハンドル2200の本体2100への係止が解除されてしまう恐れは低減される。
【0098】
さらに、ユーザーが、たとえば、把持部材2220を把持して案内フック2700に対するスライドおよび回動を与えながら、前板機構2000を案内フック最前位置Pまでスライドさせ収納フック2500を、苗載台130を支持して植付部121を構成する、作業ユニット100のフレームの一部へ係止させると、作業ユニット100は非作業姿勢をとる。
【0099】
このような構成のおかげで、首振り動作をともなう案内フック2700に対するスライドを利用して、前板機構2000の収納位置の自由度を増大させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明における作業車両は、作業ユニット破損の発生を抑制することができ、田植機などのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0101】
10 車体
11 メインフレーム
20 エンジン
21 エンジンカバー
30 走行装置
31 前輪
32 後輪
41 HST機構
42 トランスミッション機構
43 後輪サイドクラッチ機構
50 運転ユニット
51 操舵ハンドル
52 座席
53 ステップフロア
100 作業ユニット
110 予備苗載台
120 植付装置
121 植付部
122 ロータリ植付杆
123 植付伝動ケース
130 苗載台
140 苗載台移動装置
141 苗載台スライド支持部材
150 整地ローター装置
151 ローター
160 整地フロート装置
161 フロート
170 施肥装置
180 マーカー
190 昇降機構
200 作業ユニット動力クラッチ機構
300 作業ユニット姿勢検出装置
400 コントローラー
411 端寄せボタン
412 その場植えボタン
413 フィンガーレバー
414 植付入切スイッチ
420 報知装置
1100 苗載台延長部材
1200 苗載台回動軸
1300 苗載台回動モーター
1400 苗載台回動ウェイト
1500 苗マット斜めストッパー角材
2000 前板機構
2100 本体
2200 ロックハンドル
2210、2220 把持部材
2300 付勢スプリング
2400 貫通ボルト
2410 貫通ボルト篏合凹部
2500 収納フック
2600 繋留プレート
2700 案内フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8