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特許7087314無線通信装置、電子時計、無線通信方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】無線通信装置、電子時計、無線通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20220614BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20220614BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20220614BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W84/10 110
H04W76/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017184646
(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2019062346
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】岩見谷 宏
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/195703(WO,A1)
【文献】特表2017-511028(JP,A)
【文献】特開2017-126951(JP,A)
【文献】国際公開第2012/042647(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報を前記他の無線通信装置からの接続要求を受け付けないことを示す形式でブロードキャストする、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記他の無線通信装置と接続後、自装置を特定するデバイス情報と、前記他の無線通信装置との無線通信を暗号化する暗号化情報と、を前記他の無線通信装置と交換する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、自装置の存在を知らせる存在情報を送信し、
当該存在情報に対する前記他の無線通信装置からの接続要求を受信しなかった場合、前記他の無線通信装置との再接続に失敗したと判別する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断し、前記他の無線通信装置と再接続した後に、前記他の無線通信装置から前記暗号化情報の交換を要求する暗号化情報要求を受信した場合、前記他の無線通信装置との再接続後の無線通信に失敗したと判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断し、前記他の無線通信装置と再接続した後に、前記他の無線通信装置との無線通信の暗号化を要求する暗号化要求を受信し、かつ前記他の無線通信装置の前記暗号化情報を保持していない場合、前記他の無線通信装置との再接続後の無線通信に失敗したと判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の無線通信装置と、
現在時刻を計時する計時部と、
前記計時部により計時された現在時刻を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項7】
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部を備える無線通信装置が実行する無線通信方法であって、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報を前記他の無線通信装置からの接続要求を受け付けないことを示す形式でブロードキャストする制御処理を有する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部を備えるコンピュータを、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報を前記他の無線通信装置からの接続要求を受け付けないことを示す形式でブロードキャストする接続情報送信手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信装置、電子時計、無線通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置間において通信接続に障害が発生した場合、擬似的に出力の再設定を行い、再度認証処理を行うことにより、接続障害を回復する技術がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-163092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような接続障害の回復の他、その原因の解明も望まれることが多い。例えば、過去に接続した無線通信装置間においての再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、その失敗原因を解明するためには、その接続に関するログの収集が望まれる。
【0005】
本発明の目的は、過去に接続した無線通信装置間においての再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合に、その接続に関する接続情報を収集可能な無線通信装置、電子時計、無線通信方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
記目的を達成するため、本発明の観点に係る無線通信装置は、
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報を前記他の無線通信装置からの接続要求を受け付けないことを示す形式でブロードキャストする、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、過去に接続した無線通信装置間においての再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合に、その接続に関する接続情報を収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態の無線通信装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態の通信モジュールの構成を示すブロック図である。
図4】無線通信装置が初めて接続を確立する場合の無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図5】無線通信装置が再接続及びその後の無線通信に成功する場合の無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図6】無線通信装置が再接続に失敗する場合の無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図7】無線通信装置が再接続後の無線通信に失敗する場合の無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図8】無線通信装置が再接続後の無線通信に失敗する場合の無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システム1の構成例を示す図である。図1に示す構成例において、無線通信システム1は、無線通信装置100a,100bとから構成される。無線通信装置100a,100b(以下、無線通信装置100と総称)は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、BLEという。)に基づいて、互いに無線通信を行う。BLEとは、Bluetooth(登録商標)と呼ばれる近距離無線通信規格において、低消費電力を目的として策定された規格(モード)である。本実施形態において、BLEに基づいて、無線通信装置100は、後述するアドバタイズパケットを送信するペリフェラル、または、アドバタイズパケットを受信するセントラルとして動作する。無線通信装置100は、無線通信機能を備えるスマートフォン、携帯電話、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、電子時計、スマートウォッチ等の電子機器である。
【0011】
次に、実施形態に係る無線通信装置100の構成について説明する。
【0012】
まず、実施形態に係る無線通信装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。無線通信装置100は、マイクロコンピュータ101と、ROM(Read Only Memory)102と、通信モジュール103と、アンテナ104と、電力供給部105と、表示部106と、表示ドライバ107と、操作受付部108とを備える。
【0013】
マイクロコンピュータ101は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)110、記憶部としてのRAM(Random Access Memory)111、計時部112などを備える。なお、RAM111及び計時部112は、マイクロコンピュータ101の内部に限られず、マイクロコンピュータ101の外部に設けられてもよい。また、ROM102、通信モジュール103、アンテナ104、電力供給部105、及び表示ドライバ107は、マイクロコンピュータ101の外部に限られず、マイクロコンピュータ101の内部に設けられてもよい。
【0014】
CPU110は、各種演算処理を行い、無線通信装置100の全体動作を統括制御するプロセッサである。CPU110は、ROM102から制御プログラムを読み出し、RAM111にロードして各種機能に係る演算制御や表示などの各種動作処理を行う。また、CPU110は、通信モジュール103を制御して他の無線通信装置100とデータ通信を行う。
【0015】
RAM111は、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性のメモリである。RAM111は、一時データを記憶すると共に、各種設定データを記憶する。
【0016】
計時部112は、発振回路、分周回路、計時回路等から構成され、現在時刻を計時する。
【0017】
ROM102は、不揮発性メモリなどであり、制御プログラムや初期設定データを記憶する。制御プログラムには、他の無線通信装置100との無線通信を制御するための各種処理の制御に係るプログラム113が含まれる。
【0018】
通信モジュール103は、アンテナ104を介して、BLEに基づく無線信号の送信及び受信を行うBluetooth(登録商標)コントローラである。本実施形態に係る通信モジュール103の構成を図3に示す。図3に示すように、通信モジュール103は、制御部としてのCPU131と、ROM132と、RAM133と、通信部134とを備える。
【0019】
CPU131は、各種演算処理を行い、通信モジュール103の全体動作を統括制御するプロセッサである。CPU131は、ROM132から制御プログラムを読み出し、RAM133にロードして、BLEに基づく無線信号の送信及び受信に係る各種動作処理を行う。また、CPU131は、CPU110からの指示に従って、各種動作処理を行う。
【0020】
通信部134は、例えば無線周波数(RF:Radio Frequency)回路やベースバンド(BB:Baseband)回路、メモリ回路で構成される。通信部134は、アンテナ104を介して受信した無線信号を、復調、復号等してCPU131へ送る。また、通信部134は、CPU131から送られた信号を、符号化、変調等して、アンテナ104を介して外部へ送信する。
【0021】
電力供給部105は、例えば、バッテリ、及び電圧変換回路を備える。電力供給部105は、無線通信装置100内の各部の動作電圧で電力を供給する。電力供給部105のバッテリとしては、例えば、ボタン型乾電池等の一次電池や、リチウムイオン電池等の二次電池が用いられる。
【0022】
表示部106は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイなどの表示パネルを備える。表示ドライバ107は、表示部106の種別に応じた駆動信号をマイクロコンピュータ101からの制御信号に基づいて表示部106に出力して、表示パネルに各種情報の表示を行う。表示部106は、例えば、計時部112により計時された現在時刻を表示する。
【0023】
操作受付部108は、ユーザからの入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた電気信号をマイクロコンピュータ101に出力する。例えば、操作受付部108としてタッチセンサが表示部106の表示パネルに重ねて設けられ、表示パネルとともにタッチパネルを構成してもよい。この場合、タッチセンサは、当該タッチセンサへのユーザの接触動作に係る接触位置や接触態様を検出し、検出された接触位置や接触態様に応じた操作信号をマイクロコンピュータ101に出力する。
【0024】
次に、実施形態に係る無線通信装置100のCPU110の機能構成について説明する。図2に示すように、CPU110は、接続制御部121として機能する。接続制御部121の機能は、通信モジュール103のCPU131等、マイクロコンピュータ101以外のプロセッサにより実現されても良い。
【0025】
接続制御部121としてのCPU110は、通信モジュール103を制御して、他の無線通信装置100との接続を確立する。例えば、無線通信装置100がセントラルとして動作する場合、CPU110は、通信モジュール103を制御して、ペリフェラルとして動作する他の無線通信装置100からアドバタイズパケットを受信するためのスキャンを実行する。また、CPU110は、通信モジュール103から、他の無線通信装置100からのアドバタイズパケットを受信した旨の通知を受け付けると、受信したアドバタイズパケットの送信元である他の無線通信装置100のリスト(アドバタイザリスト)を更新する。そして、CPU110は、アドバタイザリストをユーザに提示し、ユーザにより選択された他の無線通信装置100への接続要求の送信を通信モジュール103に指示する。そして、CPU110は、接続要求を送信した通信モジュール103から、接続が確立した旨の通知(接続確立通知)を受け付ける。また、例えば、無線通信装置100がペリフェラルとして動作する場合、CPU110は、通信モジュール103を制御して、他の無線通信装置100へのアドバタイズパケットの送信を実行する。また、CPU110は、通信モジュール103から、他の無線通信装置100からの接続要求を受信して、接続確立通知を受け付ける。
【0026】
また、CPU110は、他の無線通信装置100との接続が確立した後、例えば、他の無線通信装置100からのデータの受信が終了したとき、または他の無線通信装置100との通信を終了する指示を操作受付部108を介してユーザから受け付けたとき、他の無線通信装置100との接続切断要求の送信を通信モジュール103に指示する。また、CPU110は、通信モジュール103が他の無線通信装置100からパケットを所定の期間受信しなかったために他の無線通信装置100との接続を切断すると、通信モジュール103から他の無線通信装置100との接続の切断完了通知を受け付ける。そして、CPU110は、他の無線通信装置100との再接続のために、通信モジュール103に接続指示を送信する。
【0027】
次に、本実施形態に係る通信モジュール103のCPU131の機能構成について説明する。
【0028】
図3に示すように、CPU131は、接続制御部141、ペアリング制御部142、及び接続情報送信部143として機能する。これら接続制御部141、ペアリング制御部142、及び接続情報送信部143の機能は、単一のCPUにより実現されても良いし、各々別個のCPUにより実現されてもよい。また、それらの機能は、CPU110等、CPU131以外のプロセッサにより実現されても良い。
【0029】
接続制御部141としてのCPU131は、通信部134を制御して、他の無線通信装置100との接続を制御する。具体的には、CPU131は、ペリフェラルとして動作する場合、CPU110からアドバタイズの開始指示を受け付けると、通信部134を制御して、アドバタイズパケットの送信を開始する。ここで、アドバタイズパケットは、他の無線通信装置100に自装置の存在を知らせる存在情報の一例であって、自装置のアドレスを含む。また、CPU131は、通信部134を制御して、アドバタイズパケットを受信した他の無線通信装置100から、自装置との接続を要求する接続要求を受信する。接続要求は、他の無線通信装置100のアドレスや、無線通信装置100が他の無線通信装置100との接続が確立した後の他の無線通信装置100との通信を管理するためのパラメータを含む。CPU131は、通信部134が接続要求を受信すると、CPU110に接続完了通知を送信する。また、CPU131は、セントラルとして動作する場合、通信部134を制御して、ペリフェラルとして動作する他の無線通信装置100からアドバタイズパケットを受信するためのスキャンを開始する。そして、通信部134がアドバタイズパケットを受信すると、CPU131は、通信部134を制御して、アドバタイズパケットの送信元である他の無線通信装置100に接続要求を送信する。CPU131は、通信部134が接続要求を送信すると、CPU110に接続完了通知を送信する。
【0030】
ペアリング制御部142としてのCPU131は、他の無線通信装置100との接続が確立した後、他の無線通信装置100とのペアリングを制御する。ここで、ペアリングとは、無線通信装置100が、自装置を特定するデバイス情報と、他の無線通信装置100との無線通信を暗号化する暗号化情報と、を他の無線通信装置100と交換することをいう。
【0031】
本実施形態では、CPU131は、リンクレイヤにより他の無線通信装置100とデバイス情報を交換する。詳細には、CPU131は、他の無線通信装置100との接続直後に、デバイス情報(LL_VERSION_IND)を他の無線通信装置100と交換する。デバイス情報(LL_VERSION_IND)は、Bluetooth(登録商標)コントローラのバージョン番号、製造者識別番号、実装番号を含む。CPU131は予めROM132に記録されている自装置のデバイス情報を他の無線通信装置100に送信するとともに、他の無線通信装置100からデバイス情報を受信し、ROM132に記録する。
【0032】
また、本実施形態では、CPU131は、SMP(Security Management Protocol)に従って、他の無線通信装置100との通信で暗号化情報を交換する。詳細には、CPU131は、LTK(Long-Term Key)等の暗号鍵を暗号化情報として他の無線通信装置100と交換する。CPU131は、他の無線通信装置100とのペアリング時に暗号化情報を生成し、他の無線通信装置100に送信するとともに、他の無線通信装置100から暗号化情報を受信し、他の無線通信装置100のデバイス情報とともにROM132に記録する。そして、CPU131は、通信部134を制御して、他の無線通信装置100と暗号化情報を用いた暗号化通信を行う。
【0033】
また、本実施形態では、CPU131は、他の無線通信装置100との接続を切断した後、交換されたデバイス情報及び暗号化情報に基づいて、他の無線通信装置100との再接続の成否を判別する。詳細には、以下第1~第3の条件のうちいずれかを満たすとき、CPU131は、再接続または再接続後の無線通信に失敗したと判別する。
【0034】
第1の条件として、自装置がペリフェラルとして動作し、他の無線通信装置100との接続を切断した後、アドバタイズパケットを送信し、当該アドバタイズパケットに対する他の無線通信装置100からの接続要求を受信しなかった場合、CPU131は、他の無線通信装置100との再接続に失敗したと判別する。例えば、ユーザの誤操作等により、セントラルとして動作する他の無線通信装置100がペリフェラルのデバイス情報及び暗号化情報を失った場合、他の無線通信装置100のCPU110はペリフェラルとの接続指示を通信モジュール103に送信しないため、他の無線通信装置100のCPU131は、ペリフェラルに対して接続要求を送信しない。従って、ペリフェラルとして動作する無線通信装置100は、アドバタイズパケットに対する他の無線通信装置100からの接続要求を受信せず、CPU131は、他の無線通信装置100との再接続に失敗したと判別する。
【0035】
第2の条件として、他の無線通信装置100との接続を切断し、他の無線通信装置100と再接続した後に、他の無線通信装置100から暗号化情報の交換を要求する交換要求を受信した場合、CPU131は、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗したと判別する。例えば、セントラルとして動作する他の無線通信装置100がペリフェラルの暗号化情報を失った場合、ペリフェラルとの再接続後、他の無線通信装置100は、暗号化情報の送信を要求する暗号化情報要求を送信する。一方、ペリフェラルである無線通信装置100のCPU131は、すでに他の無線通信装置100の暗号化情報を保持しているため暗号化要求の受信待ちであり、セントラルが期待する暗号化情報応答を送信しない。そのため、CPU131は、時間切れ(SMP_TimeOUT)により、他の無線通信装置100との接続を切断し、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗したと判別する。
【0036】
第3の条件として、他の無線通信装置100との接続を切断し、他の無線通信装置100と再接続した後に、他の無線通信装置100との無線通信の暗号化を要求する暗号化要求を受信し、かつ他の無線通信装置100の暗号化情報を保持していない場合、CPU131は、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗したと判別する。例えば、ペリフェラルとして動作する無線通信装置100がセントラルとして動作する他の無線通信装置100の暗号化情報を保持していない、すなわち他の無線通信装置100とペアリングをしていない場合、他の無線通信装置100との再接続後、他の無線通信装置100からの暗号化情報要求の受信を待つ。しかし他の無線通信装置100は、すでに保持しているペリフェラルの暗号化情報を用いた暗号化要求を送信するため、CPU131は、時間切れ(LL_TimeOUT)により、他の無線通信装置100との接続を切断し、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗したと判別する。
【0037】
接続情報送信部143としてのCPU131は、他の無線通信装置100との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合に、接続に関する接続情報をブロードキャストする。
【0038】
本実施形態において、接続情報は、他の無線通信装置100との接続に関する情報である。一例として、接続情報は、アドバタイズパケットに含まれるデータのうち、Bluetooth(登録商標) SIG(Special Interest Group)に登録された企業が独自のデータフォーマットで送信可能なデータ(Manufacturer Specific Data)に含まれる。以下に、"Manufacturer Specific Data"に接続情報を含める際のデータ書式の一例を示す。
(a)Timestamp
無線通信装置100との再接続失敗のイベントが発生したタイミングの日時を表すデータ
(b)CheckData
以下のデータが再接続失敗時のログデータをあることを示すデータ
(c)Own_DeviceName
自装置のデバイス名を表すデータ
(d)BondedDev_Name
ペアリング時に取得した相手方の無線通信装置100のデバイス名を表すデータ
(e)ConnectedDevice_Matching
自装置に登録されているペアリング済みの無線通信装置100のデバイス情報と、再接続してきた無線通信装置100のデバイス情報が一致しているか否かを表すデータ
(f)Device_VerInformation
ペアリング済みの無線通信装置100のデバイス情報を表すデータ
(g)Pairing_ENC_ReqReceived
再接続してきた無線通信装置100から、暗号化情報の交換を要求する交換要求(SMP_Pairing_REQ)を受信したのか、または暗号化要求(LL_ENC_REQ)を受信したのかを表すデータ
本実施形態において、ペリフェラルとして動作する無線通信装置100のCPU131は、上記(a)~(g)のログデータを接続情報としてアドバタイズパケットに含めてブロードキャストする。なお、接続情報としてアドバタイズパケットに含まれるデータは上記の(a)~(g)のデータに限られず、(a)~(g)のうち一部のデータ、またはその他のデータが接続情報としてアドバタイズパケットに含まれても良い。
【0039】
また、本実施形態において、ペリフェラルとして動作する無線通信装置100のCPU131は、接続情報をブロードキャストするために、アドバタイズパケットのタイプを、不特定多数の無線通信装置100に対して送信するとともに、接続要求を受け付けないことを表すタイプ(ADV_NONCONN_IND)に設定する。そして、CPU131は、通信部134を制御して、接続情報を含むアドバタイズパケットを送信する。また、セントラルとして動作する無線通信装置100のCPU131は、接続情報を含むアドバタイズパケットを受信する。
【0040】
次に、本実施形態における無線通信システム1の動作について説明する。図4は、本実施形態における無線通信システム1の接続動作の一例を示すシーケンス図である。図4に示す例では、無線通信装置100aがペリフェラル、無線通信装置100bがセントラルとして動作する場合の、各無線通信装置100a,100bのCPU110及び通信モジュール103のCPU131の動作について説明する。なお、図4は、無線通信装置100a,100bが初めて接続を確立する場合の例を表す。無線通信装置100a,100bは、例えば、1日に1回の定期的な時刻にデータ通信を実行するための無線通信動作を開始する。
【0041】
無線通信装置100bのCPU110は、無線通信装置100aからのアドバタイズパケットを受信できるように、スキャンを開始するよう通信モジュール103のCPU131に指示する(ステップS10)。
【0042】
また、無線通信装置100aのCPU110は、通信モジュール103のCPU131にアドバタイズパケットを送信するように指示する(ステップS11)。以後、CPU131は、時間間隔Tiおきに、アドバタイズパケットを送信する(ステップS12)。
【0043】
無線通信装置100bのCPU131は、無線通信装置100aからのアドバタイズパケットを受信すると、その旨の通知をCPU110に通知する(ステップS13)。CPU110は、アドバタイズパケットの受信通知を受けると、アドバタイザリストを更新する(ステップS14)。そして、CPU110は、ユーザからアドバタイザリストの中から接続するデバイスの選択を受け付ける(ステップS15)。そして、CPU110は、選択されたデバイスとして無線通信装置100aに接続要求(CONNECT_REQ)を送信するよう、通信モジュール103のCPU131に指示する(ステップS16)。そして、CPU131は、無線通信装置100aへ接続要求(CONNECT_REQ)を送信する(ステップS17)。また、CPU131は、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS18)。
【0044】
無線通信装置100aのCPU131は、接続要求(CONNECT_REQ)を受信すると、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS19)。これにより、無線通信装置100a,100bは、接続を確立する。
【0045】
そして、無線通信装置100bのCPU131は、自装置のデバイス情報(LL_VERSION_IND)を無線通信装置100aに送信する(ステップS20)。また、無線通信装置100aのCPU131は、自装置のデバイス情報(LL_VERSION_IND)を無線通信装置100bに送信する(ステップS21)。そして、無線通信装置100a及び無線通信装置100bは、デバイス情報を交換する(ステップS22)。
【0046】
そして、無線通信装置100bのCPU131は、暗号化情報要求(SMP_Pairing_REQ)を無線通信装置100aに送信する(ステップS23)。そして、無線通信装置100a及び無線通信装置100bは、SMPによる暗号化情報を交換する(ステップS24)。無線通信装置100a及び無線通信装置100bのCPU131は、交換したデバイス情報及び暗号化情報を格納する(ステップS25,S26)。
【0047】
その後、無線通信装置100bのCPU131は、暗号化要求(LL_ENC_REQ)を無線通信装置100aに送信する(ステップS27)。また、無線通信装置100aのCPU131は、暗号化要求(LL_ENC_REQ)を受信すると、暗号化応答(LL_ENC_RES)を無線通信装置100bに送信する(ステップS28)。そして、無線通信装置100a,100bは、交換した暗号化情報を用いて暗号化通信を行う(ステップS29)。
【0048】
その後、無線通信装置100a,100b間の距離が離れた等の理由により所定期間パケットを受信できない場合、無線通信装置100a,100bのCPU131は、CPU110に切断完了通知を送信する(ステップS30)。これにより、無線通信装置100aは、無線通信装置100bとの通信接続を切断する。
【0049】
図5は、本実施形態における無線通信システム1の再接続動作の一例を示すシーケンス図である。図5は、図4に示すように無線通信装置100a,100bが接続を切断した後に、無線通信装置100a,100bが再接続をし、暗号化通信に成功する場合の例を表す。
【0050】
無線通信装置100aのCPU110は、通信モジュール103のCPU131にアドバタイズパケットを送信するように指示する(ステップS41)。以後、CPU131は、図4に示すステップS12と同様に時間間隔Tiおきに、アドバタイズパケットを送信する(ステップS42)。
【0051】
無線通信装置100bのCPU110は、無線通信装置100aからのアドバタイズパケットを受信したら無線通信装置100aに接続要求を送信するよう、通信モジュール103のCPU131に指示する(ステップS43)。そして、CPU131は、無線通信装置100aからアドバタイズパケットを受信すると、無線通信装置100aへ接続要求(CONNECT_REQ)を送信する(ステップS44)。また、CPU131は、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS45)。
【0052】
また、無線通信装置100aのCPU131は、接続要求(CONNECT_REQ)を受信すると、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS46)。これにより、無線通信装置100a,100bは、再接続する。
【0053】
そして、無線通信装置100bのCPU131は、暗号化要求(LL_ENC_REQ)を無線通信装置100aに送信する(ステップS47)。また、無線通信装置100aのCPU131は、暗号化要求(LL_ENC_REQ)を受信すると、暗号化応答(LL_ENC_RES)を無線通信装置100bに送信する(ステップS48)。そして、無線通信装置100a,100bは、図4のステップS25,S26において格納された暗号化情報を用いて暗号化通信を行う(ステップS49)。その後、暗号化通信が終わると、無線通信装置100a,100bのCPU131は、CPU110に切断完了通知を送信する(ステップS50)。これにより、無線通信装置100aは、無線通信装置100bとの通信接続を切断する。
【0054】
図6は、本実施形態における無線通信システム1の再接続動作の一例を示すシーケンス図である。図6は、図4に示すように無線通信装置100a,100bが接続を切断した後に、無線通信装置100a,100bが上述の第1の条件を満たさずに再接続に失敗する場合の例を表す。
【0055】
無線通信装置100aのCPU110は、通信モジュール103のCPU131にアドバタイズパケットを送信するように指示する(ステップS61)。以後、CPU131は、図4に示すステップS12と同様に時間間隔Tiおきに、アドバタイズパケットを送信する(ステップS62)。
【0056】
無線通信装置100bのCPU131は、無線通信装置100aのデバイス情報及び暗号化情報を失っているため、無線通信装置100bのCPU110は無線通信装置100aとの接続指示を通信モジュール103に送信しないため、無線通信装置100bのCPU131は、無線通信装置100aに対して接続要求を送信しない。従って、無線通信装置100aのCPU131は、アドバタイズパケットに対する無線通信装置100bからの接続要求を所定期間受信しなかったと判別すると、無線通信装置100bとの再接続に失敗したと判別する(ステップS63)。
【0057】
そして、無線通信装置100aのCPU131は、無線通信装置100bとの接続に関する接続情報を含むアドバタイズパケットを一定期間送信する(ステップS64)。また、無線通信装置100bのCPU131は、接続情報を含むアドバタイズパケットを受信する。
【0058】
図7は、本実施形態における無線通信システム1の再接続動作の一例を示すシーケンス図である。図7は、図4に示すように無線通信装置100a,100bが接続を切断した後に、無線通信装置100a,100bが上述の第2の条件を満たさずに再接続後の無線通信に失敗する場合の例を表す。
【0059】
無線通信装置100aのCPU110は、通信モジュール103のCPU131にアドバタイズパケットを送信するように指示する(ステップS71)。以後、CPU131は、図4に示すステップS12と同様に時間間隔Tiおきに、アドバタイズパケットを送信する(ステップS72)。
【0060】
無線通信装置100bのCPU110は、無線通信装置100aからのアドバタイズパケットを受信したら無線通信装置100aに接続要求を送信するよう、通信モジュール103のCPU131に指示する(ステップS73)。そして、CPU131は、無線通信装置100aからアドバタイズパケットを受信すると、無線通信装置100aへ接続要求(CONNECT_REQ)を送信する(ステップS74)。また、CPU131は、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS75)。
【0061】
また、無線通信装置100aのCPU131は、接続要求(CONNECT_REQ)を受信すると、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS76)。これにより、無線通信装置100a,100bは、再接続する。
【0062】
そして、無線通信装置100bのCPU131は、図4のステップS26で格納された無線通信装置100aの暗号化情報を失っているため、無線通信装置100aとの再接続後、暗号化情報の送信を要求する暗号化情報要求(SMP_Pairing_REQ)を送信する(ステップS77)。一方、無線通信装置100aのCPU131は、図4のステップS25において格納された無線通信装置100bの暗号化情報を保持しているため暗号化要求(LL_ENC_REQ)の受信待ちであり、無線通信装置100bが期待する暗号化情報応答(SMP_Pairing_RES)を送信しない。そのため、無線通信装置100bのCPU131は、所定期間内に暗号化情報応答(SMP_Pairing_RES)を受信しなかったことにより、無線通信装置100aとの接続切断指示(LL_TERMINATE_IND)を無線通信装置100aに送信し(ステップS78)、切断完了通知をCPU110に送信する(ステップS79)。無線通信装置100aのCPU131は、接続切断指示(LL_TERMINATE_IND)を受信すると、切断完了通知をCPU110に送信する(ステップS80)。
【0063】
そして、無線通信装置100aのCPU131は、CPU110に無線通信装置100bとの再接続後の無線通信に失敗したと判別する(ステップS81)。そして、CPU131は、無線通信装置100bとの接続に関する接続情報を含むアドバタイズパケットを一定期間送信する(ステップS82)。また、無線通信装置100bのCPU131は、接続情報を含むアドバタイズパケットを受信する。
【0064】
図8は、本実施形態における無線通信システム1の再接続動作の一例を示すシーケンス図である。図8は、図4に示すように無線通信装置100a,100bが接続を切断した後に、無線通信装置100a,100bが上述の第3の条件を満たさずに再接続後の無線通信に失敗する場合の例を表す。
【0065】
無線通信装置100aのCPU110は、通信モジュール103のCPU131にアドバタイズパケットを送信するように指示する(ステップS91)。以後、CPU131は、図4に示すステップS12と同様に時間間隔Tiおきに、アドバタイズパケットを送信する(ステップS92)。
【0066】
無線通信装置100bのCPU110は、無線通信装置100aからのアドバタイズパケットを受信したら無線通信装置100aに接続要求を送信するよう、通信モジュール103のCPU131に指示する(ステップS93)。そして、CPU131は、無線通信装置100aからアドバタイズパケットを受信すると、無線通信装置100aへ接続要求(CONNECT_REQ)を送信する(ステップS94)。また、CPU131は、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS95)。
【0067】
また、無線通信装置100aのCPU131は、接続要求(CONNECT_REQ)を受信すると、CPU110に接続完了通知を送信する(ステップS96)。これにより、無線通信装置100a,100bは、再接続する。
【0068】
そして、無線通信装置100bのCPU131は、図4のステップS26で格納された無線通信装置100aの暗号化情報を保持しているため、無線通信装置100aとの再接続後、暗号化通信を要求する暗号化要求(LL_ENC_REQ)を送信する(ステップS97)。一方、無線通信装置100aのCPU131は、無線通信装置100bとはペアリングされておらず、暗号化情報要求(SMP_Pairing_REQ)の受信待ちであり、無線通信装置100bが期待する暗号化応答(LL_ENC_RES)を送信しない。そのため、無線通信装置100bのCPU131は、所定期間内に暗号化応答(LL_ENC_RES)を受信しなかったことにより、無線通信装置100aとの接続切断指示(LL_TERMINATE_IND)を無線通信装置100aに送信し(ステップS98)、切断完了通知をCPU110に送信する(ステップS99)。無線通信装置100aのCPU131は、接続切断指示(LL_TERMINATE_IND)を受信すると、切断完了通知をCPU110に送信する(ステップS100)。
【0069】
そして、無線通信装置100aのCPU131は、CPU110に無線通信装置100bとの再接続後の無線通信に失敗したと判別する(ステップS101)。そして、CPU131は、無線通信装置100bとの接続に関する接続情報を含むアドバタイズパケットを一定期間送信する(ステップS102)。また、無線通信装置100bのCPU131は、接続情報を含むアドバタイズパケットを受信する。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る無線通信装置100は、過去に接続した他の無線通信装置100との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合に、その接続に関する接続情報をブロードキャストする。そのため、他の無線通信装置100は、ブロードキャストされた接続情報を受信することにより、接続情報を収集することができる。
【0071】
また、本実施形態において、無線通信装置100は、他の無線通信装置100と接続後、自装置を特定するデバイス情報と、他の無線通信装置100との無線通信を暗号化する暗号化情報と、を他の無線通信装置100と交換する。そして、無線通信装置100は、他の無線通信装置100との接続を切断した後、交換されたデバイス情報及び暗号化情報に基づいて、他の無線通信装置100との再接続または再接続後の無線通信の成否を判別する。これにより、他の無線通信装置100との暗号化通信において再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合の接続情報を収集することができる。
【0072】
また、本実施形態において、無線通信装置100は、他の無線通信装置100との接続を切断した後、自装置の存在を知らせるアドバタイズパケットを送信する。そして、無線通信装置100は、アドバタイズパケットに対する他の無線通信装置100からの接続要求を受信しなかった場合、他の無線通信装置との再接続に失敗したと判別する。これにより、他の無線通信装置100との再接続に失敗した場合の接続情報を収集することができる。
【0073】
また、本実施形態において、無線通信装置100は、他の無線通信装置100との接続を切断し、他の無線通信装置100と再接続した後に、他の無線通信装置100から暗号化情報の交換を要求する暗号化情報要求を受信した場合、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗したと判別する。これにより、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗した場合の接続情報を収集することができる。
【0074】
また、本実施形態において、無線通信装置100は、他の無線通信装置100との接続を切断し、他の無線通信装置100と再接続した後に、他の無線通信装置100との無線通信の暗号化を要求する暗号化要求を受信し、かつ他の無線通信装置100の暗号化情報を保持していない場合、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗したと判別する。これにより、他の無線通信装置100との再接続後の無線通信に失敗した場合の接続情報を収集することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
【0076】
例えば、上記の実施形態では、セントラルとして動作する無線通信装置100bが、無線通信装置100aがブロードキャストした接続情報を受信する例を説明した。しかし、ブロードキャストされた接続情報を受信する装置は、セントラルとして動作する無線通信装置100bに限られない。また、無線通信装置100bは、無線通信装置100aから受信した接続情報を例えばクラウドにアップロードし、無線通信装置100aのベンダーに当該接続情報を提供してもよい。
【0077】
例えば、上記の実施形態では、無線通信装置100は、ブルートゥースで通信する例を説明した。しかし、無線通信装置100は、その他の通信方法、例えば、無線LAN(Local Area Network)やWi-Fi(登録商標)で通信してもよい。
【0078】
また、上記の実施形態では、CPU110及びCPU131が制御動作を行う例を説明した。しかし、制御動作は、CPU110及びCPU131によるソフトウェア制御に限られるものではない。制御動作の一部又は全部が専用の論理回路などのハードウェア構成を用いてなされても良い。
【0079】
また、以上の説明では、本発明の無線制御処理に係るプログラム113を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性メモリからなるROM102を例に挙げて説明した。しかし、コンピュータ読み取り可能な媒体は、これらに限定されず、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)などの可搬型記憶媒体を適用してもよい。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0080】
その他、上記実施の形態で示した構成、制御手順や表示例などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記の番号は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0082】
(付記1)
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報をブロードキャストする、
ことを特徴とする無線通信装置。
【0083】
(付記2)
前記制御部は、
前記他の無線通信装置と接続後、自装置を特定するデバイス情報と、前記他の無線通信装置との無線通信を暗号化する暗号化情報と、を前記他の無線通信装置と交換し、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、交換された前記デバイス情報及び前記暗号化情報に基づいて、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信の成否を判別する、
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信装置。
【0084】
(付記3)
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、自装置の存在を知らせる存在情報を送信し、
当該存在情報に対する前記他の無線通信装置からの接続要求を受信しなかった場合、前記他の無線通信装置との再接続に失敗したと判別する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の無線通信装置。
【0085】
(付記4)
前記制御部は、前記他の無線通信装置との接続を切断し、前記他の無線通信装置と再接続した後に、前記他の無線通信装置から前記暗号化情報の交換を要求する暗号化情報要求を受信した場合、前記他の無線通信装置との再接続後の無線通信に失敗したと判別する、
ことを特徴とする付記2に記載の無線通信装置。
【0086】
(付記5)
前記制御部は、
前記他の無線通信装置との接続を切断し、前記他の無線通信装置と再接続した後に、前記他の無線通信装置との無線通信の暗号化を要求する暗号化要求を受信し、かつ前記他の無線通信装置の前記暗号化情報を保持していない場合、前記他の無線通信装置との再接続後の無線通信に失敗したと判別する、
ことを特徴とする付記2に記載の無線通信装置。
【0087】
(付記6)
前記制御部は、
前記再接続に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報を、前記他の無線通信装置からの接続要求を受け付けないことを示す形式でブロードキャストする、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【0088】
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1つに記載の無線通信装置と、
現在時刻を計時する計時部と、
前記計時部により計時された現在時刻を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【0089】
(付記8)
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記無線通信部を制御して、前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合に前記他の無線通信装置から送信された、前記接続に関する接続情報を受信する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【0090】
(付記9)
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部を備える無線通信装置が実行する無線通信方法であって、
前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報をブロードキャストする、
ことを特徴とする無線通信方法。
【0091】
(付記10)
他の無線通信装置と無線通信する無線通信部を備える無線通信装置が実行する無線通信方法であって、
前記無線通信部を制御して、前記他の無線通信装置との接続を切断した後、前記他の無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合に前記他の無線通信装置から送信された、前記接続に関する接続情報を受信する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【0092】
(付記11)
無線通信装置と無線通信する無線通信部を備えるコンピュータを、
前記無線通信装置との接続を切断した後、前記無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合、前記無線通信部を制御して、前記接続に関する接続情報をブロードキャストする接続情報送信手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【0093】
(付記12)
無線通信装置と無線通信する無線通信部を備えるコンピュータを、
前記無線通信部を制御して、前記無線通信装置との接続を切断した後、前記無線通信装置との再接続または再接続後の無線通信に失敗した場合に前記無線通信装置から送信された、前記接続に関する接続情報を受信する接続情報受信手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0094】
1…無線通信システム、100(100a,100b)…無線通信装置、101…マイクロコンピュータ、102…ROM、103…通信モジュール、104…アンテナ、105…電力供給部、106…表示部、107…表示ドライバ、108…操作受付部、110…CPU、111…RAM、112…計時部、113…プログラム、121…接続制御部、131…CPU、132…ROM、133…RAM、134…通信部、141…接続制御部、142…ペアリング制御部、143…接続情報送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8