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特許7087434画像処理装置、印刷システム、印刷装置、画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】画像処理装置、印刷システム、印刷装置、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20220614BHJP
   B41J 3/28 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G06F3/12 350
G06F3/12 304
B41J3/28
B41J3/36 Z
B41J21/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018025989
(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公開番号】P2019144648
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】中澤 昌哉
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-277837(JP,A)
【文献】特開2003-109020(JP,A)
【文献】特開2003-136786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09-3/12
H04N 1/00
B41J 3/00-3/54;3/62
B41J 2/01;2/165-2/20;2/21/2/215
B41J 5/00-5/52;21/00-21/18
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34;15/00;15/36;21/00;21/02;21/14;21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置であって、
前記第1印刷または前記第2印刷での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段と、
前記補正手段によって生成された補正画像を前記第1印刷または前記第2印刷での印刷対象として設定する設定手段と、
を備え、
前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、前記補正画像における前記所定の方向の長さが前記閾値となるように前記特定サブ画像領域の一部を前記候補画像から削除する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置であって、
前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段と、
前記補正手段によって生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定手段と、
を備え、
前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置と、
前記印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置と、
を備えた印刷システムであって、
前記画像処理装置は、
前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段と、
前記補正手段によって生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定手段と、
を備え、
前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正処理と、
前記補正処理で生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定処理と、
を含み、
前記補正処理は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置のコンピュータを、
前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段、
前記補正手段によって生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定手段、
として機能させ、
前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、印刷システム、印刷装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体上における装置の移動に応じて、印刷媒体に印刷対象の画像を印刷する印刷装置が知られている。例えば、特許文献1は、記録媒体上を手動走査されることにより記録媒体上に印刷を行う手動型の印刷装置を開示している。具体的に説明すると、特許文献1に開示された印刷装置は、ユーザによって装置が手動で記録媒体上を走査されると、装置の移動量に応じて印刷ヘッドから記録媒体にインクを噴射することによって印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-35034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような手動型の印刷装置において、一度の印刷で印刷可能な画像の長さには上限がある。そのため、印刷画像の長さが上限値を超える場合において、その印刷画像を一度に印刷することをユーザが望む場合には、印刷画像を適切に補正して印刷画像の長さを上限値以内に収める必要がある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、印刷画像の長さが上限値を超える場合において印刷画像を適切に補正することが可能な画像処理装置、印刷システム、印刷装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置は、所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置であって、前記第1印刷または前記第2印刷での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段と、前記補正手段によって生成された補正画像を前記第1印刷または前記第2印刷での印刷対象として設定する設定手段と、を備え、前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、ことを特徴とする。
また、本発明に係る画像処理装置は、所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置であって、前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段と、前記補正手段によって生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定手段と、を備え、前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、ことを特徴とする。
また、本発明に係る印刷システムは、所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置と、前記印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置と、を備えた印刷システムであって、前記画像処理装置は、前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段と、前記補正手段によって生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定手段と、を備え、前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、ことを特徴とする。
また、本発明に係る画像処理方法は、所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置が実行する画像処理方法であって、前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正処理と、前記補正処理で生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定処理と、を含み、前記補正処理は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、ことを特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、所定の方向における一方の側から他方の側に向かう移動に伴わせた第1印刷と、前記他方の側から前記一方の側に向かう移動に伴わせた第2印刷と、が可能な印刷装置で印刷される画像を設定する画像処理装置のコンピュータを、前記印刷装置での印刷対象として選択された候補画像における前記所定の方向の長さが予め定められた閾値を超えている場合であって、複数のサブ画像領域が前記所定の方向に沿って並ぶように前記候補画像が分割された前記複数のサブ画像領域のうち印刷優先度が低く設定された特定サブ画像領域における前記所定の方向の長さを前記候補画像における前記所定の方向の長さから差し引いた長さが前記閾値未満となる場合に、前記特定サブ画像領域の一部が前記候補画像から削除された補正画像を生成する補正手段、前記補正手段によって生成された補正画像を前記印刷装置での印刷対象として設定する設定手段、として機能させ、前記補正手段は、前記特定サブ画像領域の一部を削除する際は、印刷される際の末尾側が優先的に削除されるように、前記第1印刷と前記第2印刷との間で削除する領域を異ならせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷画像の長さが上限値を超える場合において印刷画像を適切に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る印刷システムの全体構成を示す図である。
図2】実施形態1に係る画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る印刷装置が印刷媒体に印刷を実行する例を示す図である。
図4】実施形態1に係る印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】実施形態1に係る印刷システムの機能的な構成を示すブロック図である。
図6】実施形態1における印刷画像の例を示す図である。
図7】実施形態1において印刷画像が補正される第1の例を示す図である。
図8】実施形態1において印刷画像が補正される第2の例を示す図である。
図9】実施形態1において印刷画像が補正される第3の例を示す図である。
図10】実施形態1において印刷画像が補正される第4の例を示す図である。
図11】実施形態1におけるプレビュー画面の例を示す図である。
図12】実施形態1に係る印刷システムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。
図13】実施形態1に係る画像処理装置によって実行される補正処理の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の実施形態2に係る印刷装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図15】本発明の変形例において印刷画像が補正される第1の例を示す図である。
図16】本発明の変形例において印刷画像が補正される第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態1に係る印刷システム1の全体構成を示す。図1に示すように、印刷システム1は、画像処理装置2と、印刷装置3と、を備える。画像処理装置2と印刷装置3とは、無線又は有線による通信を介して通信可能に接続されている。
【0011】
画像処理装置2は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等であって、ユーザによって操作される端末機器である。図2に示すように、画像処理装置2は、制御部21と、記憶部22と、入力部23と、表示部24と、通信部25と、を備える。
【0012】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、例えばマイクロプロセッサ等であって、様々な処理や演算を実行する中央演算処理部である。制御部21において、CPUは、システムバスを介して印刷装置3の各部に接続されており、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、画像処理装置2全体の動作を制御する。
【0013】
記憶部22は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部22は、OS(Operating System)及びアプリケーションプログラムを含む、制御部21が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部22は、制御部21が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0014】
入力部23は、入力キー、ボタン、スイッチ、タッチパッド、タッチパネル等の入力デバイスを備える。入力部23は、ユーザから入力された操作指示を受け付ける入力手段として機能する。入力部23は、ユーザから操作指示を受け付けると、受け付けた操作指示を制御部21に送信する。
【0015】
表示部24は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備える。表示部24は、図示しない表示駆動回路によって駆動されて、状況に応じた様々な画像を表示する表示手段として機能する。なお、表示部24は、入力部23と重ねて配置され、表示部24と入力部23とでいわゆるタッチパネル(タッチスクリーン)を構成してもよい。
【0016】
通信部25は、制御部21の制御のもと、図示しないアンテナを介して外部の機器と通信するためのインタフェースを備える。通信部25は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)等の無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等を介して印刷装置3と通信する。また、通信部25は、有線又は無線による通信を介してインターネット等の広域ネットワークに接続することができる。
【0017】
図1に戻って、印刷装置3は、一例として、ユーザが手で持って印刷媒体上を滑らすように移動させることで、印刷媒体に印刷対象の画像を印刷することが可能なプリンタである。このような手動走査方式のプリンタは、ハンディプリンタ、ダイレクトプリンタ等と呼ばれている。
【0018】
図3に、印刷装置3を用いて印刷媒体10に、印刷対象の画像として「ABC 1234」との文字列を印刷する例を示す。なお、図3において、X方向は、印刷装置3の幅方向に相当し、Y方向は、印刷装置3の移動方向(走査方向)に相当し、Z方向は、印刷媒体10の印刷面に垂直な方向、すなわち鉛直方向に相当する。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する。以降の図でも同様である。
【0019】
図3に示すように、印刷の際、ユーザは、印刷装置3の筐体を把持して、印刷装置3の底面を印刷媒体10に接触させながら、印刷装置3をY方向に走査させる。印刷装置3は、このような印刷媒体10上における自装置の移動を検出し、検出した移動に合わせて印刷媒体10の表面にインクを塗布する。その結果、印刷対象の画像が印刷媒体10に印刷される。
【0020】
ここで、印刷媒体10は、例えば印刷用紙、ラベル、段ボール等である。印刷媒体10の材質は、紙であることに限らず、例えばフィルム、化学繊維、樹脂、金属等であっても良いし、インクを付着させることができるものであればどのようなものであっても良い。印刷対象の画像は、印刷時に印刷媒体10に描画される画像であって、例えば文字、図形、記号、模様、絵柄等である。印刷対象の画像は、印刷画像、印刷パターン等ともいう。
【0021】
図4に示すように、印刷装置3は、制御部31と、記憶部32と、ユーザインタフェース33と、電源部34と、通信部35と、移動検出部36と、印刷制御部37と、印刷ヘッド(印刷部)38と、を備える。
【0022】
制御部31は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、例えばマイクロプロセッサ等であって、様々な処理や演算を実行する中央演算処理部である。制御部31において、CPUは、システムバスを介して印刷装置3の各部に接続されており、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、印刷装置3全体の動作を制御する。
【0023】
記憶部32は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部32は、制御部31が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部32は、文字、記号及び絵文字等のような表示用及び印刷用のデータ、及び、印刷における各種の設定を定めたテーブルを格納している。また、記憶部32は、制御部31が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0024】
ユーザインタフェース33は、例えば入力キー、ボタン、スイッチ、タッチパッド、タッチパネル等のような入力受付部と、液晶パネル、LED(Light Emitting Diode)等の表示部と、を備える。ユーザインタフェース33は、入力部を介してユーザから各種の操作指示を受け付け、受け付けた操作指示を制御部31に送信する。また、ユーザインタフェース33は、各種の情報を制御部31から取得して、取得した情報を示す画像を表示部に表示する。
【0025】
電源部34は、バッテリ及び電圧検出器を備え、印刷装置3の動作に必要な電源を作り出して各部に供給する。
【0026】
通信部35は、印刷装置3が外部の機器と通信するためのインタフェースを備える。通信部35は、例えば、USB、Wi-Fi等の無線LAN、Bluetooth(登録商標)等を介して画像処理装置2と通信する。通信部35は、制御部31の制御の下、このような有線又は無線による通信を介して、画像処理装置2から印刷データを含む各種データを取得する。
【0027】
移動検出部36は、印刷装置3の下部に設けられており、印刷装置3が印刷媒体10上を移動した際における印刷装置3の移動を検出する。具体的に説明すると、移動検出部36は、印刷媒体10の表面に向けて光を発するLED等の発光部と、発光部から発せられて印刷媒体10の表面で反射した光を読み取る光学センサと、を備える。移動検出部36は、発光部から発せられた光を光学センサによって読み取り、読み取った光の変化に基づいて印刷装置3の移動量と移動の向きとを検出する。移動検出部36は、移動検出手段として機能する。
【0028】
印刷制御部37は、印刷時における印刷ヘッド38からのインクの吐出を制御する。具体的に説明すると、印刷制御部37は、移動検出部36によって印刷装置3の移動が検出されると、検出された移動に合わせて、RAMに格納されている印刷データの内容を印刷ヘッド38に出力する。そして、印刷制御部37は、印刷ヘッド38の通電ドットを制御し、印刷ヘッド38からインクを吐出させる。
【0029】
印刷部(印刷ヘッド)38は、印刷媒体10の表面にインクを塗布することにより印刷を実行する印刷機構である。印刷部38は、インクタンクに充填されたインクを微滴化し、印刷媒体10に対してインクを直接に吹き付けるインクジェット方式で印刷媒体10の表面に印刷を実行する。印刷部38は、印刷手段として機能する。
【0030】
一例として、印刷部38は、サーマル方式によってインクを吐出する。具体的に説明すると、印刷部38には、複数のノズルが主走査方向(X方向)及び副走査方向(Y方向)に沿って配列されている。複数のノズル内のインクは、ヒータによって加熱されることで気泡を生じ、生じた気泡によって、複数のノズルのそれぞれから印刷媒体10へ向けて(鉛直下向きに)インクが吐出される。このような原理によって、印刷部38は、印刷媒体10の表面に印刷を実行する。
【0031】
次に、図5を参照して、印刷システム1の機能的な構成について説明する。図5に示すように、画像処理装置2は、機能的に、印刷画像生成部210と、印刷方向設定部220と、判定部230と、優先度設定部240と、補正部250と、プレビュー部260と、送信部270と、を備える。制御部21において、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、これら各部として機能する。
【0032】
印刷画像生成部210は、印刷画像を生成する。印刷画像は、ユーザが印刷装置3によって印刷媒体10の表面に印刷するための画像である。ユーザは、画像処理装置2に事前にインストールされた画像生成用のアプリケーションプログラムを介して、所望の印刷画像を生成することができる。
【0033】
図6に、印刷画像生成部210により生成される印刷画像100の例を示す。図6に示すように、印刷画像100は、左側の領域に位置する左側画像110と、右側の領域に位置する右側画像120と、という2つの種類の画像とが組み合わされた画像である。具体的には、左側画像110は、「ABC 1234」とのテキストを表す画像(テキスト画像)であり、右側画像120は、長手方向に周期的に繰り返される絵柄を表す画像(絵柄画像)である。
【0034】
印刷画像生成部210は、入力部23を介してユーザからテキストの入力を受け付けることにより、例えば左側画像110のようなテキストを表す画像を生成する。また、印刷画像生成部210は、入力部23を介してユーザから絵柄の指定を受け付けることにより、例えば右側画像120のような絵柄を表す画像を生成する。そして、印刷画像生成部210は、生成された左側画像110と右側画像120とを、ユーザから入力された指示に従って組み合わせることにより、印刷画像100を生成する。
【0035】
なお、印刷画像生成部210は、図6に示したようなテキスト又は絵柄に限らず、任意のテキスト、絵柄、写真、図形、模様等を自由に組み合わせて印刷画像100を生成することができる。印刷画像100は、必要に応じて表示部24にプレビュー表示される。ユーザは、表示部24を見ながら、所望の印刷画像100を生成及び編集することができる。印刷画像生成部210は、制御部21が入力部23及び表示部24と協働することによって実現される。印刷画像生成部210は、印刷画像生成手段として機能する。
【0036】
図5に戻って、印刷方向設定部220は、印刷画像100の印刷方向を設定する。印刷方向とは、印刷画像100が印刷装置3によって印刷される際の方向である。図6に示した例では、印刷画像100は、印刷装置3によって印刷される際に、長手方向における左側から右側に向けて、或いは右側から左側に向けて、印刷される。そのため、印刷方向設定部220は、印刷画像100が左側から右側に向けて印刷されるのか、それとも右側から左側に向けて印刷されるのかに応じて、印刷画像100の印刷方向を、左側から右側への方向と右側から左側への方向とのうちのどちらかに設定する。
【0037】
印刷方向は、印刷装置3が印刷画像100を印刷する際における印刷装置3の移動方向(走査方向)に応じて変わる。具体的に説明すると、ユーザが印刷装置3を印刷媒体10上において左から右に走査しながら印刷画像100を印刷する場合には、印刷方向は、印刷画像100の長手方向における左側から右側への方向に相当する。これに対して、ユーザが印刷装置3を印刷媒体10上において右から左に走査しながら印刷画像100を印刷する場合には、印刷方向は、印刷画像100の長手方向における右側から左側への方向に相当する。
【0038】
印刷方向は、ユーザが入力部23を操作することによって、印刷画像100毎に個別で、或いは複数の印刷画像100で一括して設定することができる。或いは、印刷方向は、印刷装置3において設定された移動方向に応じて設定されても良い。具体的に説明すると、印刷装置3において、例えばユーザインタフェース33として設けられたボタンを押圧することで、印刷時に印刷装置3を左から右に走査するか右から左に走査するかを切り替えることができる。そして、印刷方向設定部220は、印刷装置3において設定された移動方向を、通信部25を介して取得し、取得した移動方向に応じて印刷方向を設定する。印刷方向設定部220は、制御部21が入力部23又は通信部25と協働することによって実現される。印刷方向設定部220は、印刷方向設定手段として機能する。
【0039】
判定部230は、印刷方向における印刷画像100の長さが印刷可能な上限値を超えているか否かを判定する。上限値は、具体的には印刷装置3において印刷可能な画像の長さの最大値(最大印刷長)に相当する。印刷装置3において印刷データが保持されるRAMの容量に制限があり、また印刷データを生成する処理時間の関係上、一回の走査に印刷可能な画像の長さには限りがある。
【0040】
そのため、印刷画像100の長さが上限値以内であれば、印刷画像100の全てを一回の走査で印刷することができるが、印刷画像100の長さが上限値を超えていれば、印刷画像100の全てを一回の走査で印刷することができない。また、表示部24の表示枠の幅にも上限値があるため、印刷画像100の長さが長すぎると、印刷画像100をプレビュー表示する際に、表示部24の表示枠に収めることが難しくなる。このように、上限値を超える長さの印刷画像100を印刷する場合、長さを上限値以内に収めるように印刷画像100を補正する必要が生じる。
【0041】
判定部230は、印刷画像100の長さを予め設定された上限値と比較することにより、印刷画像生成部210により生成された印刷画像100が、その長さを補正する必要がある画像であるか否かを判定する。判定部230は、制御部21によって実現される。判定部230は、判定手段として機能する。
【0042】
優先度設定部240は、印刷画像100内の複数の領域の画像のそれぞれに優先度を設定する。優先度とは、印刷画像100の長さが上限値を超えている場合に、印刷画像100内の複数の領域の画像のうちのどの領域の画像を補正せずに印刷するかの優先順位を示す指標である。印刷画像100内の第1の領域の画像に第2の領域の画像よりも印刷の優先度が高い場合、第1の領域の画像の方が第2の領域の画像よりも優先して印刷される。そのため、この場合、後述する補正部250によって、第1の領域の画像よりも第2の領域の画像が優先して補正される。すなわち、印刷の優先度が高いことは、補正の優先度が低いことに相当する。
【0043】
例えば図6に示した印刷画像100において、左側画像110と右側画像120とのそれぞれに異なる優先度を設定することができる。具体的に説明すると、テキストを表す左側画像110を優先して印刷することを望む場合には、ユーザは、入力部23を介して左側画像110の優先度を右側画像120の優先度よりも高く設定する。これに対して、絵柄を表す右側画像120を優先して印刷することを望む場合には、ユーザは、入力部23を介して右側画像120の優先度を左側画像110の優先度よりも高く設定する。
【0044】
優先度設定部240は、このようにユーザから入力された指示に従って、印刷画像100内の各領域の画像に優先度を設定する。優先度設定部240は、制御部21が入力部23と協働することによって実現される。優先度設定部240は、優先度設定手段として機能する。
【0045】
補正部250は、判定部230によって印刷画像100の長さが上限値を超えていると判定された場合に、印刷画像100内において印刷方向に配置され、印刷の優先度が設定されている複数の画像のうち、印刷の優先度が低い画像を補正することにより、長さが上限値以内に収まるように印刷画像100を補正する。上述したように、印刷画像100の長さが上限値を超えている場合、一回の走査では印刷できない領域が発生する。そのため、補正部250は、印刷画像100内のどの部分を残して印刷するかを、優先度設定部240により設定された印刷の優先度を参照して決定する。補正部250は、制御部21によって実現される。補正部250は、補正手段として機能する。
【0046】
具体的に説明すると、補正部250は、印刷画像100内において印刷方向における第1の側に配置された第1の画像と、印刷画像100内において印刷方向における第1の側とは反対の第2の側に配置された第2の画像と、の中で、優先度設定部240により設定された印刷の優先度が低い方の画像を補正する。印刷方向における第1の側と第2の側とは、図6に示した印刷画像100の例では、印刷画像100の左側又は右側に相当する。すなわち、第1の画像と第2の画像とは、それぞれ左側画像110と右側画像120とのうちの一方と他方である。補正部250は、印刷画像100内における左側画像110と右側画像120とのうちの、優先度設定部240により設定された印刷の優先度が低い方の画像、すなわち補正の優先度が高い方の画像を補正する。
【0047】
補正部250は、印刷方向が第1の側から第2の側への方向である場合において、第1の画像の方が第2の画像よりも印刷の優先度が高ければ、第2の画像を補正し、第2の画像の方が第1の画像よりも印刷の優先度が高ければ、第1の画像を補正する。そして、補正部250は、印刷方向が第1の側から第2の側への方向である場合、印刷の優先度が低い方の画像の第2の側の一部を削除することにより、印刷画像100を補正する。第1の側と第2の側とを逆転させた場合についても同様である。以下、図7から図10を参照して、補正部250が印刷画像100を補正する処理について説明する。
【0048】
第1に、図7に、印刷方向が左側から右側への方向である場合であって、且つ、左側画像110の方が右側画像120よりも印刷の優先度が高い場合における印刷画像100の補正例を示す。この場合、補正部250は、印刷の優先度が相対的に低い右側画像120の一部を削除することにより、印刷画像100を補正する。
【0049】
具体的に説明すると、補正部250は、印刷画像100を長さが上限値以内に収まる画像に補正するために、まず印刷の優先度が相対的に高い左側画像110を選択する。次に、左側画像110だけでは上限値まで余裕がある場合、すなわち左側画像110の長さが上限値よりも短い場合、補正部250は、右側画像120のうちの左側の部分から順に、左側画像110との長さの合計が上限値に達するまで選択する。
【0050】
このようにして右側画像120のうちの一部を選択すると、補正部250は、右側画像120のうちの選択されなかった部分、具体的には図7において斜線を付した部分の画像を、長さが上限値を超えるため印刷不可能な部分として削除する。そして、補正部250は、印刷画像100のうちの削除されずに残った部分、すなわち左側画像110の全体と右側画像120のうちの左側の一部とを繋ぎ合わせる。これにより、図7の下側に示す補正画像130が生成される。
【0051】
第2に、図8に、印刷方向が左側から右側への方向である場合であって、且つ、右側画像120の方が左側画像110よりも印刷の優先度が高い場合における印刷画像100の補正例を示す。この場合、補正部250は、印刷の優先度が相対的に低い左側画像110の一部を削除することにより、印刷画像100を補正する。
【0052】
具体的に説明すると、補正部250は、印刷画像100を長さが上限値以内に収まる画像に補正するために、まず印刷の優先度が相対的に高い右側画像120を選択する。次に、右側画像120だけでは上限値まで余裕がある場合、すなわち右側画像120の長さが上限値よりも短い場合、補正部250は、左側画像110のうちの左側の部分から順に、右側画像120との長さの合計が上限値に達するまで選択する。
【0053】
このようにして左側画像110のうちの一部を選択すると、補正部250は、左側画像110のうちの選択されなかった部分、具体的には図8において斜線を付した部分の画像を、長さが上限値を超えるため印刷不可能な部分として削除する。そして、補正部250は、印刷画像100のうちの削除されずに残った部分、すなわち右側画像120の全体と左側画像110のうちの左側の一部とを繋ぎ合わせる。これにより、図8の下側に示す補正画像140が生成される。
【0054】
第3に、図9に、印刷方向が右側から左側への方向である場合であって、且つ、右側画像120の方が左側画像110よりも印刷の優先度が高い場合における印刷画像100の補正例を示す。この場合、補正部250は、印刷の優先度が相対的に低い左側画像110の一部を削除することにより、印刷画像100を補正する。
【0055】
具体的に説明すると、補正部250は、印刷画像100を長さが上限値以内に収まる画像に補正するために、まず印刷の優先度が相対的に高い右側画像120を選択する。次に、右側画像120だけでは上限値まで余裕がある場合、すなわち右側画像120の長さが上限値よりも短い場合、補正部250は、左側画像110のうちの右側の部分から順に、右側画像120との長さの合計が上限値に達するまで選択する。
【0056】
このようにして左側画像110のうちの一部を選択すると、補正部250は、左側画像110のうちの選択されなかった部分、具体的には図9において斜線を付した部分の画像を、長さが上限値を超えるため印刷不可能な部分として削除する。そして、補正部250は、印刷画像100のうちの削除されずに残った部分、すなわち右側画像120の全体と左側画像110のうちの右側の一部とを繋ぎ合わせる。これにより、図9の下側に示す補正画像150が生成される。
【0057】
第4に、図10に、印刷方向が右側から左側への方向である場合であって、且つ、左側画像110の方が右側画像120よりも印刷の優先度が高い場合における印刷画像100の補正例を示す。この場合、補正部250は、印刷の優先度が相対的に低い右側画像120の一部を削除することにより、印刷画像100を補正する。
【0058】
具体的に説明すると、補正部250は、印刷画像100を長さが上限値以内に収まる画像に補正するために、まず印刷の優先度が相対的に高い左側画像110を選択する。次に、左側画像110だけでは上限値まで余裕がある場合、すなわち左側画像110の長さが上限値よりも短い場合、補正部250は、右側画像120のうちの右側の部分から順に、左側画像110との長さの合計が上限値に達するまで選択する。
【0059】
このようにして右側画像120のうちの一部を選択すると、補正部250は、右側画像120のうちの選択されなかった部分、具体的には図10において斜線を付した部分の画像を、長さが上限値を超えるため印刷不可能な部分として削除する。そして、補正部250は、印刷画像100のうちの削除されずに残った部分、すなわち左側画像110の全体と右側画像120のうちの右側の一部とを繋ぎ合わせる。これにより、図10の下側に示す補正画像160が生成される。
【0060】
以上のように、補正部250は、印刷の優先度が低い方の画像の一部を削除し、削除されずに残った部分を印刷の優先度が高い方の画像と組み合わせることで、印刷画像100を補正する。その際、補正部250は、印刷方向がどちらであるかにかかわらず、印刷画像100内における左側画像110と右側画像120とのうちの印刷の優先度が低い方の画像を補正する。その一方で、補正部250は、印刷の優先度が低い方の画像を補正する際、後から印刷される部分を削除して、先に印刷される部分を優先して残す。すなわち、補正部250は、印刷方向に応じて削除する部分を変える。このように、補正部250は、画像に設定された優先度と印刷方向とをどちらも考慮して、印刷画像100をその長さが上限値以内に収まるように補正する。
【0061】
更に、補正部250は、印刷方向が第1の側から第2の側への方向である場合において、第1の画像と第2の画像とで印刷の優先度が同じであれば、第2の画像を補正する。印刷の優先度が同じである場合とは、具体的には、印刷画像100内の各画像に同じ優先度が設定されている場合、すなわちユーザが印刷の優先度に差を設けない場合である。また、これに限らず、印刷の優先度が同じである場合には、そもそも印刷画像100内の各画像に印刷の優先度が設定されていない場合も含まれる。このように印刷画像100内の各画像の優先度に違いがない場合、補正部250は、印刷方向のみに基づいて印刷画像100を補正する。
【0062】
具体的に説明すると、印刷画像100を左側から右側に印刷する場合において、左側画像110と右側画像120との間で優先度が同じであれば、補正部250は、図7と同様に、右側画像120の右側の一部を削除することにより、印刷画像100から補正画像130を生成する。これに対して、印刷画像100を右側から左側に印刷する場合において、左側画像110と右側画像120との間で優先度が同じであれば、補正部250は、図9と同様に、左側画像110の左側の一部を削除することにより、印刷画像100から補正画像150を生成する。このように印刷方向に基づいて印刷画像100を補正することで、印刷開始位置から上限値に達するまでは、印刷画像100をその途中が抜けることなく順序通りに印刷することが可能になる。
【0063】
図5に戻って、プレビュー部260は、補正部250により補正された印刷画像100を、印刷画像100が印刷装置3によって印刷されることに先立って、表示部24に表示する。具体的に説明すると、補正部250が印刷画像100を補正することによって例えば図7から図10に示した補正画像130~160のいずれかが生成された場合、プレビュー部260は、生成された補正画像130~160を表示部24にプレビュー表示する。
【0064】
図11に、補正部250が印刷画像100を補正して図7に示した補正画像130を生成した場合において表示部24に表示されたプレビュー画面の一例を示す。ユーザは、図11に示すようなプレビュー画面に表示された補正画像130を見ることにより、印刷画像100がどのように補正されて印刷されるのかを印刷前に確認することができる。プレビュー部260は、制御部21が表示部24と協働することによって実現される。プレビュー部260は、プレビュー手段として機能する。
【0065】
プレビュー部260は、補正画像130を表示部24に表示した際に、例えば図11に示すように「印刷画像は上記のように補正されます。印刷してもよろしいですか?」とのメッセージを表示する。これにより、プレビュー部260は、表示された補正画像130を印刷装置3によって印刷するか否かについてのユーザの指示を促す。ユーザは、このようなプレビュー画面で補正画像130を確認した結果、表示された補正画像を印刷装置3によって印刷することを望む場合、入力部23を介して印刷指示を入力することができる。或いは、ユーザは、表示された補正画像130の印刷を望まない場合には、印刷画像100を編集する画面に戻って印刷画像100を修正することができる。プレビュー部260は、このようにしてユーザから入力された補正画像130を印刷するか否かの指示を受け付ける。
【0066】
図5に戻って、送信部270は、補正部250により補正された印刷画像100を印刷装置3に送信する。具体的に説明すると、表示部24にプレビュー表示された補正画像を確認したユーザから印刷指示の入力を受け付けると、送信部270は、通信部25を介して印刷装置3と通信し、印刷指示を受け付けた補正画像を示す画像データを印刷装置3に送信する。このとき、送信部270は、画像データと共に印刷指令を印刷装置3に送信し、印刷装置3に補正画像を印刷させる。送信部270は、制御部21が通信部25と協働することによって実現される。送信部270は、送信手段として機能する。
【0067】
印刷装置3は、図5に示すように、機能的に、受信部310と、印刷実行部320と、を備える。制御部31において、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、これら各部として機能する。
【0068】
受信部310は、画像処理装置2から送信された画像データを受信する。具体的に説明すると、受信部310は、通信部35を介して画像処理装置2と通信する。そして、受信部310は、画像処理装置2から画像データ及び印刷指令が送信されると、送信された画像データ及び印刷指令を受信する。受信部310は、制御部31が通信部35と協働することによって実現される。受信部310は、受信手段として機能する。
【0069】
印刷実行部320は、受信部310によって受信された画像データに従って印刷を実行する。具体的に説明すると、印刷実行部320は、ユーザが印刷装置3を印刷媒体10上で移動させることによって移動検出部36が移動を検出すると、検出された印刷装置3の移動に合わせて印刷ヘッド38からインクを吐出させ、受信された画像データによって示される補正画像を印刷媒体10に印刷する。
【0070】
このようにして、ユーザは、印刷方向における長さが上限値以内に収まるように画像処理装置2において補正された印刷画像100を、印刷媒体10に印刷することができる。印刷実行部320は、制御部31が移動検出部36、印刷制御部37及び印刷ヘッド(印刷部)38と協働することによって実現される。印刷実行部320は、印刷実行手段として機能する。
【0071】
以上のように構成される印刷システム1において実行される処理の流れについて、図12及び図13を参照して、説明する。
【0072】
図12は、画像処理装置2と印刷装置3との間で実行される印刷処理の流れを示している。図12に示す印刷処理は、ユーザが画像処理装置2の入力部23を操作して、印刷対象として所望の画像を印刷する指示を入力すると、開始する。
【0073】
図12に示す印刷処理を開始すると、画像処理装置2において、制御部21は、印刷画像生成部210として機能し、印刷画像100を生成する(ステップS1)。具体的に説明すると、制御部21は、ユーザから入力部23を介して入力された指示に従って、例えば図6に示したような、テキストを表す左側画像110と絵柄を表す右側画像120とを組み合わせた印刷画像100を生成する。
【0074】
印刷画像100を生成すると、制御部21は、優先度設定部240及び印刷方向設定部220として機能し、生成された印刷画像100に対して印刷の優先度及び印刷方向を設定する(ステップS2)。具体的に説明すると、制御部21は、印刷画像100の長さが上限値を超えている場合に、印刷画像100内の複数の画像のうちのどの画像を優先して印刷するかを示す優先度を、ユーザから入力部23を介して入力された指示に従って設定する。また、制御部21は、印刷方向として、印刷画像100が印刷装置3によって左から右に向けて印刷されるのか、それとも右から左に向けて印刷されるのかを、ユーザから入力部23を介して入力された指示に従って設定する。
【0075】
なお、図12に示す印刷処理を開始する前に予め印刷画像100が生成されており、且つその印刷画像100に対して優先度及び印刷方向が設定されている場合には、ステップS1,S2の処理を省略することができる。
【0076】
優先度及び印刷方向を設定すると、制御部21は、判定部230として機能し、印刷画像100の長さが上限値を超えているか否かを判定する(ステップS3)。具体的に説明すると、制御部21は、ステップS1において生成された印刷画像100の印刷方向における長さが、印刷装置3において印刷可能な画像の長さの上限値と比較する。そして、制御部21は、印刷画像100の長さが上限値を超えているか否か、言い換えると、印刷画像100の全体を一回の走査で印刷することが可能か否かを判定する。
【0077】
印刷画像100の長さが上限値を超えていると判定した場合(ステップS3;YES)、制御部21は、補正部250として機能し、印刷画像100を補正する(ステップS4)。ステップS4における印刷画像100の補正処理の詳細については、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0078】
図13に示す補正処理を開始すると、制御部21は、まず、印刷方向を判定する(ステップS41)。具体的に説明すると、制御部21は、ステップS2において設定された印刷画像100の印刷方向が左から右への方向であるのか、それとも右から左への方向であるのかを判定する。
【0079】
判定の結果、印刷方向が左から右への方向である場合(ステップS41;左から右)、制御部21は、印刷画像100のうちの左側画像110を優先するか否かを判定する(ステップS42)。具体的に説明すると、制御部21は、ステップS2において設定された優先度を参照して、左側画像110に右側画像120よりも印刷の優先度が高く設定されているか否かを判定する。
【0080】
左側画像110を優先する場合(ステップS42;YES)、制御部21は、印刷画像100のうちの右側画像120の右側の一部を削除する(ステップS43)。具体的に説明すると、制御部21は、印刷画像100のうちの長さが上限値に収まる部分として、左側画像110の全体と右側画像120のうちの左側の一部とを選択する。そして、補正部250は、右側画像120のうちの選択されなかった右側の一部を印刷画像100から削除することにより、例えば図7に示した補正画像130を生成する。
【0081】
これに対して、左側画像110を優先しない場合(ステップS42;NO)、制御部21は、印刷画像100のうちの右側画像120を優先するか否かを判定する(ステップS44)。具体的に説明すると、制御部21は、ステップS2において設定された優先度を参照して、右側画像120に左側画像110よりも印刷の優先度が高く設定されているか否かを判定する。
【0082】
右側画像120を優先する場合(ステップS44;YES)、制御部21は、印刷画像100のうちの左側画像110の右側の一部を削除する(ステップS45)。具体的に説明すると、制御部21は、印刷画像100のうちの長さが上限値に収まる部分として、右側画像120の全体と左側画像110のうちの左側の一部とを選択する。そして、補正部250は、左側画像110のうちの選択されなかった部分を印刷画像100から削除することにより、例えば図8に示した補正画像140を生成する。
【0083】
一方で、右側画像120を優先しない場合(ステップS44;NO)、制御部21は、ステップS43に処理を移行する。すなわち、印刷方向が左から右への方向である場合において、左側画像110と右側画像120とに異なる優先度が設定されていなければ、制御部21は、左側画像110を優先する場合と同様に、右側画像120の右側の一部を削除することによって印刷画像100を補正する。
【0084】
ステップS41での判定の結果、印刷方向が右から左への方向である場合(ステップS41;右から左)、制御部21は、印刷画像100のうちの右側画像120を優先するか否かを判定する(ステップS46)。具体的に説明すると、制御部21は、ステップS2において設定された優先度を参照して、右側画像120に左側画像110よりも印刷の優先度が高く設定されているか否かを判定する。
【0085】
右側画像120を優先する場合(ステップS46;YES)、制御部21は、印刷画像100のうちの左側画像110の左側の一部を削除する(ステップS47)。具体的に説明すると、制御部21は、印刷画像100のうちの長さが上限値に収まる部分として、右側画像120の全体と左側画像110のうちの右側の一部とを選択する。そして、補正部250は、左側画像110のうちの選択されなかった部分を印刷画像100から削除することにより、例えば図9に示した補正画像150を生成する。
【0086】
これに対して、右側画像120を優先しない場合(ステップS46;NO)、制御部21は、印刷画像100のうちの左側画像110を優先するか否かを判定する(ステップS48)。具体的に説明すると、制御部21は、ステップS2において設定された優先度を参照して、左側画像110に右側画像120よりも印刷の優先度が高く設定されているか否かを判定する。
【0087】
左側画像110を優先する場合(ステップS48;YES)、制御部21は、印刷画像100のうちの右側画像120の左側の一部を削除する(ステップS49)。具体的に説明すると、制御部21は、印刷画像100のうちの長さが上限値に収まる部分として、左側画像110の全体と右側画像120のうちの右側の一部とを選択する。そして、補正部250は、右側画像120のうちの選択されなかった部分を印刷画像100から削除することにより、例えば図10に示した補正画像160を生成する。
【0088】
一方で、左側画像110を優先しない場合(ステップS48;NO)、制御部21は、ステップS47に処理を移行する。すなわち、印刷方向が右から左への方向である場合において、左側画像110と右側画像120とに異なる優先度が設定されていなければ、制御部21は、右側画像120を優先する場合と同様に、左側画像110の左側の一部を削除することによって印刷画像100を補正する。このようにして印刷画像100を補正すると、制御部21は、図13に示した印刷画像100の補正処理を終了する。
【0089】
図12に戻って、ステップS4において印刷画像100を補正すると、制御部21は、プレビュー部260として機能し、補正された印刷画像100をプレビュー表示する(ステップS5)。具体的に説明すると、制御部21は、印刷画像100を補正することによって例えば図7に示した補正画像130が得られた場合、図11に示したプレビュー画面を表示部24に表示させる。これにより、ステップS4における補正処理によって得られた補正画像130を印刷装置3で印刷する前に、補正画像130をユーザに確認させる。
【0090】
なお、ステップS3において印刷画像100の長さが上限値を超えていないと判定した場合(ステップS3;NO)、印刷画像100を補正する必要が無い。そのため、制御部21は、ステップS4における印刷画像100の補正処理をスキップする。この場合、制御部21は、ステップS5において、補正されていない印刷画像100をプレビュー表示する。
【0091】
印刷画像100をプレビュー表示すると、制御部21は、ユーザから印刷指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS6)。具体的に説明すると、制御部21は、プレビュー画面を確認したユーザから、表示部24にプレビュー表示された印刷画像100又は補正画像130~160を実際に印刷装置3で印刷するか否かの指示を待ち受ける。
【0092】
印刷指示を受け付けた場合(ステップS6;YES)、制御部21は、送信部270として機能し、プレビュー表示された印刷画像100又は補正画像130~160を示す画像データを印刷装置3に送信する(ステップS7)。画像処理装置2から画像データが送信されると、印刷装置3において、制御部31は、受信部310として機能し、送信された画像データを受信する。
【0093】
これに対して、印刷指示を受け付けなかった場合(ステップS6;NO)、制御部21は、ステップS6における画像データの送信処理をスキップする。この場合、印刷装置3での印刷を実行せずに、図12に示した印刷処理は終了する。
【0094】
印刷装置3において、画像データを受信すると、制御部31は、印刷実行部320として機能し、印刷を実行する(ステップS8)。具体的に説明すると、制御部31は、移動検出部36によって検出された印刷装置3の移動に合わせて印刷ヘッド38からインクを吐出させることで、受信した画像データによって示される印刷画像100又は補正画像130~160を印刷媒体10に印刷する。印刷画像100又は補正画像130~160を印刷すると、図12に示した印刷システム1の処理は終了する。
【0095】
以上説明したように、実施形態1に係る画像処理装置2は、印刷画像100の印刷方向における長さが上限値を超えているか否かを判定し、長さが上限値を超えている場合に、長さが上限値以内に収まるように印刷画像100を補正する。その際に、画像処理装置2は、予め設定された優先度と印刷方向とに基づいて印刷画像100を補正することにより、印刷画像100内において相対的に重要度が低い部分を補正しつつ、相対的に重要度が高い部分については補正せずに残すことができる。その結果、上限値を超える長さの印刷画像100をユーザの要望や状況等に応じて適切に補正して、一回の走査で印刷可能な長さの画像を得ることができる。
【0096】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。上記実施形態1では、画像処理装置2と印刷装置3とが別々の装置であって、画像処理装置2において補正された印刷画像100を印刷装置3が受信して、印刷を実行した。これに対して、実施形態2では、実施形態1に係る画像処理装置2に備えられていた機能を印刷装置3aが備える。
【0097】
図14に、実施形態2に係る印刷装置3aの機能的な構成を示す。実施形態2に係る印刷装置3aは、実施形態1と同様に、ユーザが手で持って印刷媒体10上を滑らすように移動させることで印刷媒体10に印刷対象の画像を印刷することが可能な手動走査方式のプリンタである。印刷装置3aは、図4に示した印刷装置3と同様のハードウェア構成を備える。以下、実施形態1と同様の構成及び機能については適宜説明を省略する。
【0098】
図14に示すように、印刷装置3aは、画像処理装置2aと、印刷実行部320と、を備える。ここで、画像処理装置2aは、機能的に、印刷画像生成部210と、印刷方向設定部220と、判定部230と、優先度設定部240と、補正部250と、プレビュー部260と、を備える。画像処理装置2aにおけるこれら各部の機能は、実施形態1に係る画像処理装置2に備えられていた各部の機能と同様である。また、印刷実行部320の機能は、実施形態1に係る印刷装置3に備えられていた機能と同様である。
【0099】
具体的に説明すると、実施形態2に係る印刷装置3aは、実施形態1では画像処理装置2の機能を備えており、印刷画像100の印刷方向における長さが上限値を超えている場合に、優先度及び印刷方向に基づいて印刷画像100を補正する。そして、印刷装置3aは、補正された印刷画像100をプレビュー部260によってプレビュー表示した後、印刷実行部320によって印刷媒体10に印刷する。
【0100】
このように、実施形態2に係る印刷装置3aは、実施形態1では画像処理装置2と印刷装置3とに別々に備えられていた機能を1つの装置内に備えている。そのため、システム全体として構成を簡略化することができる。
【0101】
なお、実施形態2において、印刷方向設定部220は、印刷媒体10上における印刷装置3aの移動が検出されたことに応答して、印刷方向を当該移動の方向に設定しても良い。言い換えると、印刷方向設定部220は、ユーザから受け付けられた入力に従って印刷方向を設定せずに、印刷装置3aが印刷媒体10上で走査された場合における実際に走査された方向に応じて、印刷方向を、左側から右側への方向と右側から左側への方向とのどちらかに設定しても良い。
【0102】
この場合、印刷装置3aが印刷媒体10上での走査が開始された後で、印刷方向設定部220は印刷方向を設定する。そして、補正部250は、判定部230により長さが上限値を超えていると判定された場合、印刷方向設定部220により設定された印刷方向に応じて印刷画像100を補正する。具体的に説明すると、補正部250は、図13に示したステップS41において、印刷方向設定部220により設定された印刷方向に基づいて、印刷方向が左から右への方向か右から左への方向かを判定する。そして、補正部250は、印刷方向の判定結果に応じてステップS42~S45又はステップS46~S49の処理を実行する。このように、印刷装置3aが実際に走査された方向を検出して用いることで、より状況に応じて印刷画像100を補正することができる。
【0103】
(変形例)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0104】
例えば、上記実施形態では、補正部250は、印刷画像100内において印刷の優先度が低い方の画像の一部を削除することにより、印刷画像100を補正した。しかしながら、本発明において、補正部250は、画像が半端に印刷及び表示されることを防ぐため、印刷の優先度が低い方の画像を完全に削除しても良い。具体的に説明すると、補正部250は、図6に示した印刷画像100を補正する場合、左側画像110と右側画像120とのうちの印刷の優先度が低い方の画像を完全に削除し、左側画像110又は右側画像120のみを残しても良い。
【0105】
或いは、補正部250は、印刷画像100内において印刷の優先度が低い方の画像を縮小することにより、印刷画像100を長さが上限値以内に収まるように補正しても良い。具体的には図15に示すように、左側画像110の方が右側画像120よりも印刷の優先度が高い場合、補正部250は、右側画像120を縮小することによって印刷画像100から補正画像170を生成しても良い。或いは、図16に示すように、右側画像120の方が左側画像110よりも印刷の優先度が高い場合、補正部250は、左側画像110を縮小することによって印刷画像100から補正画像180を生成しても良い。その際、補正部250は、左側画像110又は右側画像120を、図15及び図16に示すように、その縦横比を保ったまま縮小しても良い。或いは、補正部250は、左側画像110又は右側画像120を、例えば印刷方向にのみ縮小する等、縦横比を保たずに縮小しても良い。このように補正態様の画像の一部を削除せずに縮小することで、印刷画像100に表されている情報を損なわずに印刷画像100を補正することができる。
【0106】
上記実施形態では、印刷画像100に左側画像110と右側画像120という2つの画像が含まれている場合を例にとって説明した。しかしながら、本発明において、印刷画像100には、3つ以上の画像が含まれており、補正部250は、3つ以上の画像のそれぞれに設定された優先度を比較して、3つ以上の画像のうちの印刷の優先度が最も低い1つ以上の画像を補正しても良い。
【0107】
上記実施形態では、優先度設定部240は、ユーザから入力された指示に従って、印刷画像100内の各画像に優先度を設定した。しかしながら、本発明において、優先度設定部240は、優先度を、ユーザから入力された指示に依らずに、画像の種類に応じて自動的に設定しても良い。例えば、優先度設定部240は、印刷画像100内の複数の画像に少なくとも1つのテキスト画像が含まれている場合において、当該少なくとも1つのテキスト画像の印刷の優先度を、当該複数の画像のうちの他の画像よりも高く設定しても良い。或いは、その逆に、優先度設定部240は、例えば絵柄画像のようなテキスト画像以外の画像の印刷の優先度を、テキスト画像よりも高く設定しても良い。
【0108】
或いは、優先度設定部240は、印刷方向に周期的に繰り返される画像に対して低い優先度を設定しても良い。例えば右側画像120のような同じ絵柄が印刷方向に周期的に繰り返される画像や同じテキストが印刷方向に周期的に繰り返される画像、及び一様な模様を表す画像は、その一部が削除されてもユーザに違和感を与えることが少ない。そのため、優先度設定部240は、印刷方向に周期的に繰り返される画像に対して、印刷方向に周期的に繰り返されない画像よりも印刷の優先度を低く設定することにより、印刷方向に周期的に繰り返される画像が優先的に補正されるようにしても良い。
【0109】
上記実施形態では、画像処理装置2,2aは、印刷画像生成部210を備えていた。しかしながら、本発明において、例えば印刷画像100が画像処理装置2,2aの外部の装置において生成される場合、画像処理装置2,2aが印刷画像生成部210の機能を備えていなくても良い。この場合、画像処理装置2,2aは、外部の装置によって生成された印刷画像100を、通信部25等を介して取得し、取得した印刷画像100に対して上述した判定部230、補正部250等の処理を実行する。
【0110】
上記実施形態では、印刷部38は、サーマル方式によって印刷部38からインクを吐出した。しかしながら、本発明において、印刷部38は、サーマル方式に限らず、他の方式によりインクを吐出しても良い。例えば、印刷部38は、ピエゾ素子を用いたピエゾ方式によりインクを吐出して、印刷媒体10に印刷対象の画像を印刷しても良い。また、印刷部38は、インクジェット方式に限らず、熱転写方式等、他の方式により印刷媒体10にインクを塗布しても良い。また、印刷装置3,3aの形状は、図1に示したような四角柱状に限らず、どのような形状をしていても良い。
【0111】
上記実施形態では、制御部21,31において、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することによって、図5に示した各部として機能した。しかしながら、本発明において、制御部21,31は、CPUの代わりに、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、各種制御回路等の専用のハードウェアを備え、専用のハードウェアが、図5に示した各部として機能しても良い。この場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現しても良いし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現しても良い。また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現しても良い。
【0112】
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた画像処理装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の情報処理装置等を、本発明に係る画像処理装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した画像処理装置2,2aによる各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報処理装置等を制御するCPU等が実行できるように適用することで、本発明に係る画像処理装置として機能させることができる。また、本発明に係る画像処理方法は、画像処理装置を用いて実施できる。
【0113】
また、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0115】
(付記1)
印刷媒体上における印刷装置の移動に応じて前記印刷装置が前記印刷媒体に印刷するための印刷画像の、印刷方向における長さが印刷可能な上限値を超えているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記長さが前記上限値を超えていると判定された場合、前記印刷画像内において前記印刷方向に配置され、印刷の優先度が設定されている複数の画像のうち、前記優先度が低い画像を補正することにより、前記印刷画像を前記長さが前記上限値以内に収まるように補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
(付記2)
前記補正手段は、前記優先度が低い画像の少なくとも一部を削除する、又は、前記優先度が低い画像を縮小することにより、前記印刷画像を補正する、
ことを特徴とする付記1に記載の画像処理装置。
(付記3)
前記補正手段は、前記印刷方向が第1の側から第2の側への方向である場合、前記優先度が低い画像の前記第2の側の一部を削除することにより、前記印刷画像を補正する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の画像処理装置。
(付記4)
前記複数の画像は、少なくとも1つのテキスト画像を含み、前記テキスト画像は他の画像よりも前記優先度が高いことを特徴とする付記1または2に記載の画像処理装置。
(付記5)
前記補正手段は、前記印刷方向が第1の側から第2の側への方向である場合において、前記複数の画像の前記優先度が同じであれば、前記第2の側に配置された画像を補正する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の画像処理装置。
(付記6)
前記補正手段により補正された前記印刷画像を、当該印刷画像が前記印刷装置によって印刷されることに先立って、表示手段に表示するプレビュー手段、を更に備える、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
(付記7)
前記複数の画像とのそれぞれにユーザが前記優先度を設定する優先度設定手段、を更に備え、
前記補正手段は、前記判定手段により前記長さが前記上限値を超えていると判定された場合、前記複数の画像のうち前記優先度設定手段により設定された前記優先度が低い画像を補正する、
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の画像処理装置。
(付記8)
前記複数の画像は、第1の画像及び第2の画像を含み、
前記優先度設定手段は、前記第1の画像が前記印刷方向に周期的に繰り返され、且つ、前記第2の画像が前記印刷方向に周期的に繰り返されない画像である場合、前記第1の画像に対して前記第2の画像よりも前記優先度を低く設定する、
ことを特徴とする付記7に記載の画像処理装置。
(付記9)
付記1から8のいずれか1つに記載の画像処理装置と、前記印刷装置と、を備える印刷システムであって、
前記画像処理装置は、
前記補正手段によって補正された前記印刷画像を前記印刷装置に送信する送信手段、
を更に備え、
前記印刷装置は、
前記画像処理装置から送信された前記印刷画像を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記印刷画像を、前記印刷媒体上における前記印刷装置の移動に応じて前記印刷媒体に印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする印刷システム。
(付記10)
付記1から8のいずれか1つに記載の画像処理装置と、
前記補正手段により補正された前記印刷画像を、前記印刷媒体上における前記印刷装置の移動に応じて前記印刷媒体に印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
(付記11)
前記印刷媒体上における前記印刷装置の移動が検出されたことに応答して、前記印刷方向を当該移動の方向に設定する印刷方向設定手段、を更に備え、
前記補正手段は、前記判定手段により前記長さが前記上限値を超えていると判定された場合、前記印刷方向設定手段により設定された前記印刷方向に応じて、前記優先度が低い画像を補正する、
を備えることを特徴とする付記10に記載の印刷装置。
(付記12)
印刷媒体上における印刷装置の移動に応じて前記印刷装置が前記印刷媒体に印刷するための印刷画像の、印刷方向における長さが印刷可能な上限値を超えているか否かを判定し、
前記長さが前記上限値を超えていると判定された場合、前記印刷画像内において前記印刷方向に配置され、印刷の優先度が設定されている複数の画像のうち、前記優先度が低い画像を補正することにより、前記印刷画像を前記長さが前記上限値以内に収まるように補正する、
ことを特徴とする画像処理方法。
(付記13)
コンピュータを、
印刷媒体上における印刷装置の移動に応じて前記印刷装置が前記印刷媒体に印刷するための印刷画像の、印刷方向における長さが印刷可能な上限値を超えているか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により前記長さが前記上限値を超えていると判定された場合、前記印刷画像内において前記印刷方向に配置され、印刷の優先度が設定されている複数の画像のうち、前記優先度が低い画像を補正することにより、前記印刷画像を前記長さが前記上限値以内に収まるように補正する補正手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0116】
1…印刷システム、2,2a…画像処理装置、3,3a…印刷装置、10…印刷媒体、21,31…制御部、22,32…記憶部、23…入力部、24…表示部、25,35…通信部、33…ユーザインタフェース、34…電源部、36…移動検出部、37…印刷制御部、38…印刷ヘッド(印刷部)、100…印刷画像、110…左側画像、120…右側画像、130,140,150,160,170,180…補正画像、210…印刷画像生成部、220…印刷方向設定部、230…判定部、240…優先度設定部、250…補正部、260…プレビュー部、270…送信部、310…受信部、320…印刷実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16