IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-点灯装置、照明器具および照明システム 図1
  • 特許-点灯装置、照明器具および照明システム 図2
  • 特許-点灯装置、照明器具および照明システム 図3
  • 特許-点灯装置、照明器具および照明システム 図4
  • 特許-点灯装置、照明器具および照明システム 図5
  • 特許-点灯装置、照明器具および照明システム 図6
  • 特許-点灯装置、照明器具および照明システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】点灯装置、照明器具および照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/375 20200101AFI20220614BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20220614BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20220614BHJP
【FI】
H05B45/375
H02H9/04 A
H05B45/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018029792
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019145395
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-185166(JP,A)
【文献】特開2013-149465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00,47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から電力の供給を受ける一対の入力端と、
光源を点灯させる電力変換回路と、
前記一対の入力端から前記電力変換回路に電力を伝送する入力回路と、
を備え、
前記入力回路は、
前記一対の入力端と並列に接続され、第1動作電圧を有する第1サージアブソーバと、
前記第1サージアブソーバと前記電力変換回路の間で前記電力変換回路と並列に接続され、前記第1動作電圧よりも低い第2動作電圧を有する第2サージアブソーバと、
前記第1サージアブソーバと前記第2サージアブソーバの間に接続された整流素子と、
前記整流素子と前記第2サージアブソーバとの間に接続されたインダクタンス要素と、
を備えることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記一対の入力端に前記第1動作電圧よりも大きい電圧が印加された場合、前記第1サージアブソーバを流れる電流値は、前記第2サージアブソーバを流れる電流値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の点灯装置
【請求項3】
前記整流素子と前記電力変換回路の間で、前記電力変換回路と並列に接続されたコンデンサを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記第1サージアブソーバと前記第2サージアブソーバは動作電圧以外の仕様が同じバリスタであることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
請求項1からの何れか1項に記載の点灯装置と、
前記光源と、
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項6】
請求項に記載の照明器具を複数備えることを特徴とする照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置、照明器具および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、雷サージに対する保護回路を備えたLED点灯装置が開示されている。このLED点灯装置は、交流電源からの給電が入力される整流素子と、整流素子の入力端子間に接続された第1のサージアブソーバと、整流素子の出力端子間に接続された第2のサージアブソーバとを備える。第2のサージアブソーバの動作電圧は、第1のサージアブソーバの動作電圧の1.05倍以上1.10倍以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5929424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED照明器具の電源として、スイッチング手段を用いた電源装置が用いられることがある。この種の電源装置において、商用電源などの低周波交流を全波整流回路により整流するとともに、平滑コンデンサで平滑化して直流に変換し、この直流出力をスイッチング素子またはLEDに供給する場合がある。この場合、平滑コンデンサは、一般に直流出力に含まれる高次の電流成分、つまり高調波電流が抑制される容量に設定される。
【0005】
このような電源装置では、入力側で外来サージである雷サージが発生し、雷サージによる過電圧であるサージ電圧が全波整流回路を介して装置内に侵入すると、スイッチング素子などの回路要素が破損する可能性がある。このため、一般に平滑コンデンサに過電圧のサージエネルギーを吸収する機能を持たせ、雷サージから回路要素を保護することが考えられている。
【0006】
ところが、高調波電流を抑制させるために、一般に平滑コンデンサとして比較的小さな容量のコンデンサが使用される。しかし、容量の小さなコンデンサは、大きなサージエネルギーを吸収しきれず、回路要素を保護できない場合がある。一方、サージエネルギーの吸収量を大きくするために平滑コンデンサの容量を大きくすると、高調波電流を十分抑制することができない場合がある。
【0007】
これに対し、容量の小さなコンデンサに加えて容量の大きなコンデンサを設ける構成が考えられる。しかし、容量の小さなコンデンサと容量の大きなコンデンサを共に接続することで、部品の増加および電源装置の大型化が生じる可能性がある。これは、世論の小型化思考に反しており、電源の変換効率の悪化にもつながる可能性がある。
【0008】
また、一般に、サージアブソーバでは流れる電流の大きさにより雷サージの印加可能回数が決まる。特許文献1では、第2のサージアブソーバの動作電圧を第1のサージアブソーバの動作電圧より大きく設定し、第2のサージアブソーバに流れる電流を軽減している。この場合、第1のサージアブソーバを流れる電流が増加し、LED点灯装置としての雷サージの印加可能回数が減少する可能性がある。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、サージ電圧の印加可能回数を向上できる点灯装置、照明器具および照明システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示に係る点灯装置は、電源から電力の供給を受ける一対の入力端と、光源を点灯させる電力変換回路と、該一対の入力端から該電力変換回路に電力を伝送する入力回路と、を備え、該入力回路は、該一対の入力端と並列に接続され、第1動作電圧を有する第1サージアブソーバと、該第1サージアブソーバと該電力変換回路の間で該電力変換回路と並列に接続され、該第1動作電圧よりも低い第2動作電圧を有する第2サージアブソーバと、該第1サージアブソーバと該第2サージアブソーバの間に接続された整流素子と、該整流素子と該第2サージアブソーバとの間に接続されたインダクタンス要素と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る点灯装置では、第2サージアブソーバの動作電圧が第1サージアブソーバの動作電圧よりも低い。このため、第1サージアブソーバを流れる電流を低減でき、点灯装置へのサージ電圧の印加可能回数を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路ブロック図である。
図2】コンビネーション波形の短絡回路電流を示す図である。
図3】コンビネーション波形の開放回路電圧を示す図である。
図4】実施の形態1に係る第1サージアブソーバを流れる電流の時間変化を示す図である。
図5】実施の形態1に係る第2サージアブソーバを流れる電流の時間変化を示す図である。
図6】実施の形態1の変形例に係る照明システムを示す図である。
図7】実施の形態2に係る照明器具の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る点灯装置、照明器具および照明システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具100の回路ブロック図である。照明器具100はLEDモジュール2と、電源3からの給電を受ける点灯装置1とを備えている。点灯装置1は電源3から電力の供給を受け、LEDモジュール2が有する光源2aを点灯させるLED点灯装置である。電源3は例えば商用電源等の交流電源である。
【0015】
LEDモジュール2は直列に接続された複数の光源2aを有する。光源2aはLEDである。光源2aはこれに限らず有機EL(Electro-Luminescence)等でも良い。LEDモジュール2は、光源2aを1つ以上有していれば良い。また、複数の光源2aは並列または直並列に接続されても良い。
【0016】
点灯装置1は、一対の入力端11、入力回路30、電力変換回路50および一対の出力端12を備える。一対の入力端11は電源3に接続され、電源3から電力の供給を受ける。入力回路30は、一対の入力端11に接続され、一対の入力端11から電力変換回路50に電力を伝送する。
【0017】
電力変換回路50の入力端子は一対の入力端11および入力回路30を介して電源3に接続される。電力変換回路50の出力端子は、一対の出力端12に接続される。一対の出力端12にはLEDモジュール2が接続される。電力変換回路50は、電源3から電力の供給を受け、光源2aを点灯させる。
【0018】
入力回路30では、一対の入力端11の一方にヒューズ31の一端が接続される。ヒューズ31は一対の入力端11のうち高電位側であるプラス極に接続される。ヒューズ31の他端には、第1サージアブソーバ32の一端、コンデンサ33の正極およびブリッジを構成した整流素子34が接続される。第1サージアブソーバ32は例えばバリスタである。第1サージアブソーバ32は第1動作電圧を有する。第1サージアブソーバ32の他端とコンデンサ33の負極は、一対の入力端11の他方、つまり低電位側であるマイナス極に接続される。整流素子34は一対の入力端11と並列に接続される。整流素子34の入力端子間には、第1サージアブソーバ32とコンデンサ33が並列に接続されている。
【0019】
整流素子34の高電位側の出力端子にはノーマルチョークコイル35の一端が接続される。ノーマルチョークコイル35の他端には、コンデンサ36の正極、第2サージアブソーバ37の一端が接続される。第2サージアブソーバ37は例えばバリスタである。第2サージアブソーバ37は、第1動作電圧よりも低い第2動作電圧を有する。コンデンサ36の負極および第2サージアブソーバ37の他端は整流素子34の低電位側の出力端子に接続される。整流素子34の出力端子間には、第2サージアブソーバ37とコンデンサ36が並列に接続されている。第2サージアブソーバ37には、電力変換回路50が並列に接続される。
【0020】
電力変換回路50には、一例として、図1に示すような降圧チョッパ回路を用いることができる。電力変換回路50は、スイッチング素子51と、ダイオード52と、インダクタ53と、コンデンサ54と、検出抵抗55を備えている。スイッチング素子51は、本実施の形態ではMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子51は、第1端子、第2端子および第1、第2端子間をスイッチングするための制御端子を有する。本実施の形態では、第1端子はドレイン、第2端子はソース、制御端子はゲートである。
【0021】
第1端子はコンデンサ36の正極およびノーマルチョークコイル35と接続される。第2端子には、ダイオード52のカソードと検出抵抗55の一端が接続される。制御端子は制御装置56に接続される。ダイオード52のアノードは、コンデンサ36の負極に接続される。電力変換回路50ではスイッチング素子51とダイオード52からなる直列回路が、コンデンサ36と並列に接続されている。
【0022】
また、検出抵抗55の他端にはインダクタ53の一端が接続される。インダクタ53の他端には、コンデンサ54の正極が接続される。コンデンサ54の負極はダイオード52のアノードと接続される。電力変換回路50では検出抵抗55、インダクタ53及びコンデンサ54がこの順に接続して直列回路を形成している。この直列回路はダイオード52に並列に接続されている。コンデンサ54は一対の出力端12に接続される。LEDモジュール2はコンデンサ54と並列に接続されている。
【0023】
検出抵抗55は、LEDモジュール2に流れるLED電流の検出に用いられる。検出抵抗55の一端は、制御装置56に接続される。検出抵抗55に印加されるLED電流に対応した検出電圧は制御装置56に入力される。制御装置56はこの検出電圧に基づいて、LEDモジュール2に流れる電流が一定電流になるように制御指令値を制御する。制御装置56は制御指令値に基づいてスイッチング素子51をオンオフする。以上から、電力変換回路50は、光源2aに流れる電流を定電流制御する定電流回路である。
【0024】
次に、入力回路30の機能について説明する。第1サージアブソーバ32は第1動作電圧以上の電圧が印加されると低インピーダンスとなる。同様に、第2サージアブソーバ37は第2動作電圧以上の電圧が印加されると低インピーダンスとなる。従って、一対の入力端11にサージ電圧が印加されると、第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37は低インピーダンスとなる。
【0025】
このとき、サージ電流は第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37を流れ、電源3側に戻される。従って、入力回路30に対して一対の入力端11と反対側にある回路に大電流が流れることを防止できる。このように、第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37により、電源ライン間に印加されるノーマルモードのサージ電圧から電力変換回路50およびLEDモジュール2を保護できる。
【0026】
コンデンサ33は例えばフィルタ用のコンデンサである。また、コンデンサ36は平滑コンデンサである。コンデンサ36は、整流素子34と電力変換回路50の間で、電力変換回路50と並列に接続される。コンデンサ36の容量は、例えば高調波電流規格を満足させるように設定される。コンデンサ36により、整流素子34の出力に含まれる高調波電流が電力変換回路50に伝播することを抑制できる。
【0027】
ヒューズ31は、定格電流値を超える電流が流れると溶断する。これにより、点灯装置1に大電流が流れ続けることを防止できる。また、ノーマルチョークコイル35は、ノーマルモードノイズを抑制する。
【0028】
次に、本実施の形態に係る点灯装置1に雷サージが印加された場合の動作について説明する。一般に雷サージのような高エネルギーのサージが印加された場合の動作については、印加させる対象物のインピーダンスが高い場合にはサージ電圧、インピーダンスが低い場合にはサージ電流を印加することで検証できる。しかし、サージ電圧とサージ電流の双方の印加を行う事およびいずれかを対象物に応じて選択することは、一般に困難である。
【0029】
従って、雷サージ波形として、IEC61000-4-5で規定されたコンビネーション波形が照明器具100に印加された場合について説明する。IEC61000-4-5は、落雷時に生じる誘導雷による電子機器の耐性を規定した試験規格である。
【0030】
図2は、コンビネーション波形の短絡回路電流を示す図である。コンビネーション波形において短絡時は、10%の電流から90%の電流に上昇するまでの期間が8μsであり、10%の電流を超えてから50%の電流に低下するまでの期間が20μsである。図3は、コンビネーション波形の開放回路電圧を示す図である。コンビネーション波形において開放時は、30%の電圧から90%の電圧に上昇するまでの期間が1.2μsであり、30%の電圧を超えてから50%の電圧に低下するまでの期間が50μsである。
【0031】
図4は、実施の形態1に係る第1サージアブソーバ32を流れる電流の時間変化を示す図である。図5は、実施の形態1に係る第2サージアブソーバ37を流れる電流の時間変化を示す図である。図4の実線81は、コンビネーション波形が点灯装置1に印加されたときの第1サージアブソーバ32の電流波形である。図5の実線83は、コンビネーション波形が点灯装置1に印加されたときの第2サージアブソーバ37の電流波形である。
【0032】
実線81、83は、一例として第1動作電圧を270V、第2動作電圧を220Vに設定し、2kVのコンビネーション波形を印加した場合の電流波形である。また、第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ27は動作電圧以外の仕様が同じバリスタであるものとする。このとき、図4に示すように、第1サージアブソーバ32には、約400Aの電流が約30μsの間流れる。また、図5に示すように、第2サージアブソーバ37には約9Aの電流が約90μsの間流れる。
【0033】
図4の点線82は比較例の電流波形であり、第1動作電圧が第2動作電圧と同一であるときの第1サージアブソーバ32の電流波形である。図5の点線84は比較例の電流波形であり、第1動作電圧が第2動作電圧と同一であるときの第2サージアブソーバ37の電流波形である。点線82、84は、一例として第1動作電圧と第2動作電圧を共に220Vに設定し、2kVのコンビネーション波形を印加した場合の電流波形である。このとき、図4に示すように、第1サージアブソーバ32には約650Aの電流が約30μsの間流れる。また、図5に示すように、第2サージアブソーバ37には約8Aの電流が約80μsの間流れる。
【0034】
一般に、バリスタ等のサージアブソーバでは印加電流と印加時間からサージ電圧の印加可能回数が決定される。このため、印加電流が小さく、印加時間が短い方が、印加可能回数が増える傾向にある。さらに、サージアブソーバでは一般に、動作電圧が高いほどサージ電圧の印加時に流れる電流値が小さくなる。従って、動作電圧が高いほど印加回数が増える傾向にある。
【0035】
ここで、図4、5に示したように、一対の入力端11に第1動作電圧よりも大きい電圧が印加された場合、第1サージアブソーバ32を流れる電流値は、第2サージアブソーバ37を流れる電流値よりも大きい。従って、点灯装置1への雷サージの印加可能回数は、第1サージアブソーバ32の印加可能回数で決定される。よって、第1サージアブソーバ32を流れる電流値が小さく、第1動作電圧が高い方が、点灯装置1への雷サージの印加可能回数を増やすことができる。
【0036】
図4に示したように、第1動作電圧が第2動作電圧より高いと、第1動作電圧と第2動作電圧が等しい場合と比較して、第1サージアブソーバ32を流れる電流値が小さくなる。従って、第1動作電圧と第2動作電圧が等しい場合と比較して、点灯装置1へのサージ電圧の印加可能回数を向上できる。
【0037】
また、第1動作電圧が第2動作電圧より高いと、第1動作電圧と第2動作電圧が等しい場合と比較して、第2サージアブソーバ37を流れる電流値が大きくなる。しかし、図4図5に示すように、第1動作電圧が第2動作電圧より高い場合においても、第2サージアブソーバ37を流れる電流は、第1サージアブソーバ32を流れる電流よりも十分小さい。このため、点灯装置1への雷サージの印加可能回数が、第2サージアブソーバ37の印加可能回数で決定されることを防止できる。
【0038】
また、雷サージに対する保護を第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37によって実施できるため、コンデンサ36にサージエネルギーを吸収する機能を持たせる必要がない。このため、コンデンサ36の容量を大きくする必要がなく、コンデンサ36の容量を、高調波電流規格を満足させるように設定できる。
【0039】
また、入力回路30にサージエネルギーを吸収する容量の大きなコンデンサを設ける必要がないため、点灯装置1を省部品化および小型化できる。これにより、点灯装置1を低コストで製造でき、さらに省スペース化も可能になる。
【0040】
このように、本実施の形態では、整流素子34の入力端子間に第1サージアブソーバ32とコンデンサ33が並列に接続され、整流素子34の出力端子間に第2サージアブソーバ27とコンデンサ36が並列に接続される。これにより、高調波電流規格を満足しつつ、低コストかつ省スペースで、点灯装置1への雷サージの印加可能回数を増加させることができる。
【0041】
また、入力回路30は第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37との間に接続されたインダクタンス要素であるノーマルチョークコイル35を備える。ノーマルチョークコイル35が有するインダクタンスにより、点灯装置1の力率の向上およびノイズの低減が可能になる。しかしながら、サージ電流が流れた場合、ノーマルチョークコイル35のインダクタンスによりコンデンサ36に印加される電圧が上昇する場合がある。この場合も、第2サージアブソーバ37により電圧の上昇を抑制できる。
【0042】
また、入力回路30は、第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37の間に接続された整流素子34を備える。図4、5に示されるように、サージ電圧による電流は、第1サージアブソーバ32では抑制し切れず、整流素子34側に伝播する。第2サージアブソーバ37により、整流素子34と電力変換回路50の間で、サージ電圧による電流をさらに抑制できる。このため、サージ電圧からの保護を強化できる。
【0043】
本実施の形態は、雷サージに限らず、点灯装置1にあらゆるサージ電圧が印加される場合に適用できる。例えば、サージ電圧には、例えば大型機械の電源投入、遮断時に発生するエネルギーの過渡サージ等が含まれる。
【0044】
また、第1サージアブソーバ32、第2サージアブソーバ37はバリスタに限らず、動作電圧以上の電圧が印加されると抵抗値が低下するものであれば良い。第1サージアブソーバ32、第2サージアブソーバ37は、例えばマイクロギャップ式サージアブソーバ、アレスタ、Si系電圧素子であっても良い。また、第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37は、同一素材から形成されても良い。
【0045】
また、入力回路30の構成は図1に示されるものに限らず、第1サージアブソーバが一対の入力端11と並列に接続され、第2サージアブソーバ37が第1サージアブソーバ32と電力変換回路50の間で電力変換回路50と並列に接続されていれば良い。入力回路30に含まれる第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37以外の部品は、用途に応じて変更、削除または追加されても良い。
【0046】
また、電力変換回路50は図1に示されるものに限らず、電源3から電力の供給を受け、光源2aを点灯させる回路であれば良い。電力変換回路50は例えば、昇圧チョッパ回路等を備えても良い。
【0047】
図6は、実施の形態1の変形例に係る照明システム101を示す図である。照明システム101は、複数の照明器具100と制御部90を備える。各々の照明器具100は例えば、器具本体と、器具本体に取り付けられたLEDモジュール2を備える。器具本体には点灯装置1が設けられている。制御部90は、外部からの信号等に応じて複数の照明器具100を制御する。このような照明システム101に本実施の形態を適用しても良い。
【0048】
これらの変形は以下の実施の形態に係る点灯装置、照明器具および照明システムについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点灯装置、照明器具および照明システムについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0049】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る照明器具200の回路ブロック図である。照明器具200は点灯装置201を備える。点灯装置201は入力回路230の構成が実施の形態1と異なる。また、電源3aは直流電源である。点灯装置201は直流電源から給電を受ける。これ以外は、実施の形態1と同様である。
【0050】
入力回路230は、整流素子34の代わりに整流素子34a、34bを備えることが入力回路30と異なる。これ以外の構成は、入力回路30と同様である。ヒューズ31の他端、第1サージアブソーバ32の一端およびコンデンサ33の正極には整流素子34aのアノードが接続される。整流素子34aのカソードは、整流素子34bのカソードおよびノーマルチョークコイル35の一端に接続される。整流素子34bのアノードはコンデンサ33の負極に接続される。
【0051】
整流素子34aは、一対の入力端11に電源3aが誤って接続された場合に、回路要素を保護する。誤って接続された場合とは、例えば、一対の入力端11に電源3aが逆の極性で接続された場合を示す。整流素子34bは整流素子34aのカソードと一対の入力端11の低電位側であるマイナス極との間に接続される。整流素子34bは、マイナス極側の外来ノイズから電力変換回路50を保護するために設けられる。
【0052】
直流電源からの給電を受ける場合、点灯装置201において高調波電流規格を考慮する必要がない。このため、サージ電圧から点灯装置201を保護するために、容量の大きなコンデンサを接続することが考えられる。しかし、容量の大きなコンデンサを搭載すると、一般に突入電流を抑制する追加回路が必要になる。この場合、基板上に追加回路用のスペースが必要となる。また、容量の大きなコンデンサを搭載すると、回路の応答性が低下する可能性がある。
【0053】
これに対し、本実施の形態では、第1サージアブソーバ32と第2サージアブソーバ37により、サージ電圧から点灯装置201を保護する。このため、容量の大きなコンデンサを設ける必要がなく、突入電流を抑制する追加回路を省くことができる。従って、低コストで点灯装置201を製造できる。また、点灯装置201を小型化および省スペース化できる。さらに、容量の大きなコンデンサを省くことで、回路の応答性を向上できる。また、実施の形態1と同様に点灯装置201への雷サージの印加可能回数を増加させることができる。
【0054】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0055】
101 照明システム、100、200 照明器具、1、201 点灯装置、2 LEDモジュール、2a 光源、3、3a 電源、11 入力端、12 出力端、30、230 入力回路、31 ヒューズ、32 第1サージアブソーバ、33 コンデンサ、34、34a、34b 整流素子、35 ノーマルチョークコイル、36 コンデンサ、37 第2サージアブソーバ、50 電力変換回路、51 スイッチング素子、52 ダイオード、53 インダクタ、54 コンデンサ、55 検出抵抗、56 制御装置、90 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7