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特許7087467印刷データの管理装置、印刷システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】印刷データの管理装置、印刷システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20220614BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G06F3/12 374
G06F3/12 303
H04N1/00 127A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018041379
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019159436
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鞠山 大樹
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-051820(JP,A)
【文献】特開2012-096453(JP,A)
【文献】特開2013-022762(JP,A)
【文献】特開2004-206466(JP,A)
【文献】特開2010-224602(JP,A)
【文献】特開2003-122603(JP,A)
【文献】特開2004-334768(JP,A)
【文献】特開2008-046985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データの有効期限を管理する管理手段と、
印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、
印刷データを登録する登録利用者から当該印刷データに関する有効期限の自動延長の設定を受け付ける受付手段と、
前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データに対して有効期限の自動延長が設定されている場合に当該印刷データの有効期限を延長する延長手段と、
を有することを特徴とする印刷データの管理装置。
【請求項2】
印刷データの有効期限を管理する管理手段と、
印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、
印刷データを登録する登録利用者の識別情報と、当該登録利用者とは異なる印刷利用者の識別情報と、に基づいて、登録利用者と印刷利用者を識別する識別手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記識別手段により識別される印刷利用者による印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する、
ことを特徴とする印刷データの管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の管理装置において、
前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データの有効期限の延長を当該印刷データの利用者が利用する印刷装置に通知する手段をさらに有する、
ことを特徴とする印刷データの管理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の管理装置において、
前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データの有効期限の延長をウェブのアカウントに対して通知する手段をさらに有する、
ことを特徴とする印刷データの管理装置。
【請求項5】
印刷データの管理装置と画像形成装置を備える印刷システムであって、
前記印刷データの管理装置は、
印刷データの有効期限を管理する管理手段と、
印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、
印刷データを登録する登録利用者から当該印刷データに関する有効期限の自動延長の設定を受け付ける受付手段と、
前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データに対して有効期限の自動延長が設定されている場合に当該印刷データの有効期限を延長する延長手段と、
を有し、
前記画像形成装置は、
ユーザから出力要求された印刷データを前記印刷データの管理装置から取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した印刷データの画像を印刷媒体に印刷して出力する印刷手段と、
を有する、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
印刷データの管理装置と画像形成装置を備える印刷システムであって、
前記印刷データの管理装置は、
印刷データの有効期限を管理する管理手段と、
印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、
印刷データを登録する登録利用者の識別情報と、当該登録利用者とは異なる印刷利用者の識別情報と、に基づいて、登録利用者と印刷利用者を識別する識別手段と、
を有し、
前記画像形成装置は、
ユーザから出力要求された印刷データを前記印刷データの管理装置から取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した印刷データの画像を印刷媒体に印刷して出力する印刷手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記識別手段により識別される印刷利用者による印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
コンピュータに、
印刷データの有効期限を管理する機能と、
印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する機能と、
印刷データを登録する登録利用者から当該印刷データに関する有効期限の自動延長の設定を受け付ける機能と、
前記判定する機能により有効期限を延長すると判定された印刷データに対して有効期限の自動延長が設定されている場合に当該印刷データの有効期限を延長する機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
印刷データの有効期限を管理する機能と、
印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する機能と、
印刷データを登録する登録利用者の識別情報と、当該登録利用者とは異なる印刷利用者の識別情報と、に基づいて、登録利用者と印刷利用者を識別する機能と、
を実現させ、
前記判定する機能は、前記識別する機能により識別される印刷利用者による印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データの管理装置、印刷システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば文書ファイル(文書データ)や画像ファイル(画像データ)などの印刷データを管理する装置やシステムが知られている。
【0003】
特許文献1には、ファイルの有効期限が到来したときに機器側において確認のメッセージを表示し、機器側の使用者によるそのファイルの削除に同意する指示入力に応じてそのファイルを削除し、機器側の使用者によるそのファイルの保持を継続する指示入力に応じてそのファイルの保持を継続するファイル管理装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、蓄積期限に達した画像データに関し、その画像データの使用頻度などの情報を基に、その画像データの蓄積者に対し蓄積期限延長の問い合わせを行い、その画像データの蓄積者が蓄積期限の延長を希望する場合、蓄積期限の期限延長処理を行う画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平07-225704号公報
【文献】特開2001-051820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば印刷データの登録者や利用者などの印刷データを利用する側には、必要に応じて印刷データの有効期限を延長したい要望がある。その一方で、印刷データを管理する側には、例えば印刷データを記憶する記憶手段の記憶容量には限りがあるため、有効期限の延長を制限したい場合がある。
【0007】
本発明の目的は、印刷データを利用する側の要望とその印刷データを管理する側の負担とを勘案しつつ、その印刷データの有効期限を延長するか否かを判定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、印刷データの有効期限を管理する管理手段と、印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、印刷データを登録する登録利用者から当該印刷データに関する有効期限の自動延長の設定を受け付ける受付手段と、前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データに対して有効期限の自動延長が設定されている場合に当該印刷データの有効期限を延長する延長手段と、を有することを特徴とする印刷データの管理装置である。
請求項2に係る発明は、印刷データの有効期限を管理する管理手段と、印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、印刷データを登録する登録利用者の識別情報と、当該登録利用者とは異なる印刷利用者の識別情報と、に基づいて、登録利用者と印刷利用者を識別する識別手段と、を有し、前記判定手段は、前記識別手段により識別される印刷利用者による印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する、ことを特徴とする印刷データの管理装置である。
【0009】
請求項に係る発明は、請求項1または2に記載の管理装置において、前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データの有効期限の延長を当該印刷データの利用者が利用する印刷装置に通知する手段をさらに有することを特徴とする印刷データの管理装置である。
【0010】
請求項に係る発明は、請求項1または2に記載の管理装置において、前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データの有効期限の延長をウェブのアカウントに対して通知する手段をさらに有することを特徴とする印刷データの管理装置である。
【0013】
請求項に係る発明は、印刷データの管理装置と画像形成装置を備える印刷システムであって、前記印刷データの管理装置は、印刷データの有効期限を管理する管理手段と、印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、印刷データを登録する登録利用者から当該印刷データに関する有効期限の自動延長の設定を受け付ける受付手段と、前記判定手段により有効期限を延長すると判定された印刷データに対して有効期限の自動延長が設定されている場合に当該印刷データの有効期限を延長する延長手段と、を有し、前記画像形成装置は、ユーザから出力要求された印刷データを前記印刷データの管理装置から取得する取得手段と、前記取得手段が取得した印刷データの画像を印刷媒体に印刷して出力する印刷手段と、を有することを特徴とする印刷システムである。
請求項6に係る発明は、印刷データの管理装置と画像形成装置を備える印刷システムであって、前記印刷データの管理装置は、印刷データの有効期限を管理する管理手段と、印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する判定手段と、印刷データを登録する登録利用者の識別情報と、当該登録利用者とは異なる印刷利用者の識別情報と、に基づいて、登録利用者と印刷利用者を識別する識別手段と、を有し、前記画像形成装置は、ユーザから出力要求された印刷データを前記印刷データの管理装置から取得する取得手段と、前記取得手段が取得した印刷データの画像を印刷媒体に印刷して出力する印刷手段と、を有し、前記判定手段は、前記識別手段により識別される印刷利用者による印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する、ことを特徴とする印刷システムである。
【0014】
請求項7に係る発明は、コンピュータに、印刷データの有効期限を管理する機能と、印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する機能と、印刷データを登録する登録利用者から当該印刷データに関する有効期限の自動延長の設定を受け付ける機能と、前記判定する機能により有効期限を延長すると判定された印刷データに対して有効期限の自動延長が設定されている場合に当該印刷データの有効期限を延長する機能と、を実現させるプログラムである。
請求項8に係る発明は、コンピュータに、印刷データの有効期限を管理する機能と、印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する機能と、印刷データを登録する登録利用者の識別情報と、当該登録利用者とは異なる印刷利用者の識別情報と、に基づいて、登録利用者と印刷利用者を識別する機能と、を実現させ、前記判定する機能は、前記識別する機能により識別される印刷利用者による印刷データの利用実績を示す実績データと当該印刷データが記憶された記憶手段の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、当該印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項に係る発明により、印刷データの利用者にその印刷データの有効期限の延長を知らせることができるようになる。
【0017】
請求項に係る発明により、ウェブを介して利用者に印刷データの有効期限の延長を知らせることができるようになる。
【0018】
請求項1,5,7に係る発明により、印刷データの登録利用者がその印刷データの有効期限を自動延長するかどうかを選択できるようになる。
【0019】
請求項2,6,8に係る発明により、登録利用者とは異なる印刷利用者による印刷データの利用実績に基づいて、その印刷データの有効期限を延長するか否かを判定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】印刷データ管理装置を備えた印刷システムの具体例を示す図である。
図2】印刷データ管理装置の具体例を示す図である。
図3】有効期限の延長判定処理の具体例を示す図である。
図4】印刷データの利用実績と利用実績の判定条件の具体例を示す図である。
図5】印刷装置に表示される表示画像の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の具体的な実施態様の一例を示す図である。図1には、印刷データ管理装置100を備えた印刷システムの具体例が図示されている。
【0024】
図1に示す具体例の印刷システムは、印刷データ管理装置100と1台以上の印刷装置200と1台以上のユーザ機器300を備えている。印刷データ管理装置100と印刷装置200とユーザ機器300は、例えばインターネットなどの通信回線(通信ネットワーク)400を介して互いに接続されてデータ(情報)を遣り取りする。
【0025】
印刷データ管理装置100は、ユーザ(登録利用者)からユーザ機器300を介して登録される印刷データを管理する。また、印刷データ管理装置100は、ユーザ(登録利用者または登録利用者とは異なる印刷利用者)からの出力要求に応じて印刷装置200に印刷データを出力する。
【0026】
印刷装置200は、ユーザから出力要求された印刷データを印刷データ管理装置100から取得し、その印刷データの画像(文字や記号のみの画像を含む)を用紙などの印刷媒体に印刷して出力する。印刷装置200の具体例の一つが印刷機能を備えたプリンタである。なお、印刷装置200、例えば印刷機能とスキャナ機能とコピー機能などの複数の画像出力機能を備えた複合型の装置であってもよい。また、印刷装置200は、例えばコンビニエンスストアなどの店舗に設置されて不特定多数の顧客に利用されてもよい。
【0027】
ユーザ機器300は、図1に示す印刷システムのユーザ(登録利用者と印刷利用者)が利用する装置である。図1には、ユーザ機器300の具体例として、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置310と、スマートホンやタブレットなどの携帯端末装置320が図示されている。
【0028】
図2は、印刷データ管理装置100(図1)の具体例を示す図である。図2に示す具体例において、印刷データ管理装置100は、登録受付部10とデータ記憶部20と有効期限管理部30と延長判定部40と利用実績管理部50と利用者識別部60と延長処理部70と延長通知部80を備えている。
【0029】
登録受付部10は、ユーザ(登録利用者)からユーザ機器300(図1)を介して印刷データの登録を受け付ける。なお、「印刷データの登録」とは、印刷データの実体の登録に限定されず、図示されない他のストレージ装置のような記憶装置から通信回線を介して印刷データを取得するための、例えば印刷データに係るファイル名と当該印刷データを記憶するストレージ装置のURLのような所在情報などを含む印刷データの取得先を指定する情報の登録であってもよい。また、登録受付部10は、印刷データを登録する登録利用者から、その印刷データに関する有効期限の自動延長の設定を受け付ける。有効期限とは印刷データをアクセスすることができる期限をいう。印刷データの実体は記憶装置に残すが当該印刷データへのアクセスを禁止する場合や、印刷データの実体を記憶装置から削除(消去)することでアクセスする対象を無くす場合などがある。
【0030】
データ記憶部20には、印刷データ管理装置100によって管理される印刷データなどが記憶される。データ記憶部20は、例えば、ハードディスクドライブや半導体メモリなどの記憶デバイスを利用して実現される。
【0031】
有効期限管理部30は、印刷データ管理装置100によって管理される印刷データの有効期限を管理する。印刷データの有効期限は、その印刷データに対応付けられてその印刷データと共にデータ記憶部20に記憶されて管理される。なお、印刷データに対応付けられているのであれば、印刷データの有効期限は、データ記憶部20とは異なる記憶装置に記憶させてもよい。
【0032】
延長判定部40は、印刷データの利用実績を示す実績データとその印刷データが記憶されたデータ記憶部20の負荷状態を示す負荷データとに基づいて、その印刷データの有効期限を延長するか否かを判定する。データ記憶部20の負荷状態とは、例えばデータ記憶部20がデータ記憶のために負担している又は負担を予定している負荷の程度である。例えば、データ記憶部20の負荷状態を示す負荷データの具体例には、データ記憶部20に既に記憶されているデータ容量や、データ記憶部20の空き容量などが含まれる。なお、データ記憶部20に記憶されている現在のデータ容量や現在の空き容量に加え、データ記憶部20に今後記憶されることが予想されるデータの予測容量やデータ記憶部20に対して増設が予定されている増設予定容量などに基づいて、データ記憶部20の負荷状態を示す負荷データが生成されてもよい。
【0033】
利用実績管理部50は、印刷データの利用実績を示す実績データを生成して管理する。また、利用者識別部60は、印刷データを利用するユーザが、その印刷データの登録利用者であるのか又はその登録利用者とは異なる印刷利用者であるのかを識別する。
【0034】
延長処理部70は、延長判定部40により有効期限を延長すると判定された印刷データの有効期限の延長処理を実行する。そして、延長通知部80は、延長判定部40により有効期限を延長すると判定された印刷データの有効期限の延長を通知する。
【0035】
図2に示す具体例の印刷データ管理装置100は、例えばコンピュータを利用して実現することができる。そのコンピュータは、CPU等の演算デバイス、メモリやハードディスク等の記憶デバイス、インターネット等の通信回線を利用する通信デバイス、光ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体からデータを読み取りデータを書き込むデバイス、ディスプレイ等の表示デバイス、ユーザから操作を受け付ける操作デバイス等のハードウェア資源を備えている。
【0036】
そして、例えば、図2に例示する印刷データ管理装置100が備える符号を付した複数部分のうちの少なくとも一部の機能に対応したプログラム(ソフトウェア)がコンピュータに読み込まれ、そのコンピュータが備えるハードウェア資源と読み込まれたソフトウェアとの協働により、印刷データ管理装置100の少なくとも一部の機能がコンピュータにより実現される。そのプログラムは、例えば、インターネット等の通信回線を介してコンピュータ(印刷データ管理装置100)に提供されてもよいし、光ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されてコンピュータ(印刷データ管理装置100)に提供されてもよい。
【0037】
図1に例示する印刷システムと図2に例示する印刷データ管理装置100の全体構成は以上のとおりである。次に、図1の印刷システムと図2の印刷データ管理装置100により実現される機能等について、(1)印刷データの登録、(2)印刷データの印刷、(3)有効期限の延長判定、(4)有効期限の延長処理、(5)有効期限延長の通知処理の順に詳述する。なお、図1図2に示した構成(部分)については、以下の説明において図1図2の符号を利用する。
【0038】
(1)印刷データの登録
登録利用者は、例えばユーザ機器300を利用して、印刷データ管理装置100に印刷データの登録を要求する。印刷データ管理装置100の登録受付部10は、登録利用者のユーザ機器300から印刷データの登録要求を受け付けると、その印刷データをデータ記憶部20に記憶(登録)して管理する。
【0039】
そして、印刷データ管理装置100は、登録した印刷データを特定するための特定キーを生成し、生成した特定キーをその印刷データの登録利用者に知らせる。例えば、登録利用者が利用するユーザ機器300に特定キーの情報が送信される。
【0040】
また、印刷データの登録時に、その印刷データの有効期限が設定される。有効期限管理部30は、例えば、印刷データの登録時に登録利用者が有効期限を指定した場合に、登録利用者が指定する有効期限をその印刷データに付与する。なお、登録利用者が有効期限を指定しない場合には、既定の有効期限(例えば許容される最大の有効期限)が印刷データに付与される。印刷データに付与された有効期限の情報は、印刷データと共にデータ記憶部20に記憶されて有効期限管理部30によって管理される。
【0041】
さらに、登録受付部10は、例えば印刷データの登録時に、その印刷データの登録利用者から、その印刷データの有効期限を自動延長するか否かの設定を受け付ける。有効期限を自動延長するか否かの設定に係る情報も、例えば印刷データと共にデータ記憶部20に記憶されて管理される。
【0042】
(2)印刷データの印刷
印刷データ管理装置100によって管理される印刷データの印刷を望む利用者は、例えばコンビニエンスストアなどの店舗に設置される印刷装置200を利用して、印刷データの画像(文字や記号のみの画像を含む)を用紙などの印刷媒体に印刷して出力する。
【0043】
利用者は、印刷装置200に特定キーを入力して、印刷データ管理装置100によって管理される複数の印刷データの中から、その特定キーに対応した印刷データを検索する。そして、例えば検索結果の画面内に表示される印刷開始のボタンを利用者が操作することにより、特定キーに対応した印刷データの画像が印刷装置200により出力(印刷)される。
【0044】
なお、印刷データを印刷する利用者は、その印刷データを登録した登録利用者でもよいし、登録利用者とは異なる印刷利用者でもよい。例えば、登録利用者がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などで特定キーを公開することにより、登録利用者とは異なる印刷利用者に特定キーが通知される。印刷データの特定キーを知ることができた印刷利用者は、印刷装置200に当該特定キーを入力することで、当該印刷データの登録者でなくても当該印刷データを印刷することができる。
【0045】
(3)有効期限の延長判定
印刷データ管理装置100は、例えば、複数の登録利用者から登録された複数の印刷データを管理する。延長判定部40は、データ記憶部20に記憶されて管理される複数の印刷データについて有効期限の延長判定処理を実行する。
【0046】
図3は、有効期限の延長判定処理の具体例を示す図である。延長判定部40は、例えばバッチ処理などにより、定期的に(例えば1日に1回など)データ記憶部20に記憶された複数の印刷データに対して、例えば図3に示すフローチャートに従って各印刷データごとに有効期限の延長判定処理を実行する。
【0047】
まず、印刷データの有効期限が近いか否かが判定される(S1)。例えば、有効期限の残り日数が判定基準値(例えば3日間など)以下であれば有効期限が近いと判定され、有効期限の残り日数が判定基準値よりも多ければ有効期限が近くないと判定される。
【0048】
有効期限が近くない印刷データについては、有効期限の延長処理が行われない。一方、有効期限が近いと判定された印刷データについては、その印刷データの利用実績が条件を満たすか否かが判定される(S2)。
【0049】
図4は、印刷データの利用実績と利用実績に関する判定条件の具体例を示す図である。利用実績データは、印刷データの利用実績を示すデータであり、利用実績管理部50によって管理される。利用実績管理部50は、データ記憶部20に記憶された複数の印刷データについて、各印刷データごとに利用実績データを管理する。
【0050】
図4に示す具体例において、利用実績データには、印刷データのファイル名と検索回数と印刷回数が含まれている。印刷データのファイル名は、利用実績データに対応した印刷データのファイル名である。検索回数は、ファイル名に対応した印刷データが検索された回数であり、印刷回数は、ファイル名に対応した印刷データが印刷された回数である。
【0051】
なお、利用実績管理部50は、検索回数と印刷回数について、図4に示す具体例のように、登録利用者による回数と登録利用者とは異なる印刷利用者による回数を別々にカウントするようにしてもよい。登録利用者による利用と印刷利用者による利用は、利用者識別部60により識別される。
【0052】
利用者識別部60は、例えば、印刷データの登録時にその印刷データの登録利用者から得られた個人情報(例えば利用者名やメールアドレスなど)と、印刷データの利用(検索または印刷)時にその印刷データの利用者から得られる個人情報(例えば利用者名やメールアドレスなど)とを比較する。なお、印刷データの利用者の個人情報は、例えば、利用料金の決済に利用された電子マネーやカードなどから取得するようにしてもよい。
【0053】
そして、利用者識別部60は、印刷データの利用者と登録利用者の個人情報が一致している場合に、印刷データの利用者が登録利用者であると判定し、印刷データの利用者と登録利用者の個人情報が一致しない場合に、印刷データの利用者が登録利用者とは異なる印刷利用者であると判定する。
【0054】
図4には、利用実績に関する判定条件の具体例が図示されている。具体例1では「検索回数が15回以上」が判定条件とされている。したがって、具体例1の判定条件が設定されている場合には、判定対象となる印刷データの利用実績データにおける検索回数が15回以上であれば、その印刷データが判定条件を満たすと判定され、検索回数が15回よりも少なければ、その印刷データが判定条件を満たさないと判定される。
【0055】
具体例2では「印刷回数が10回以上」が判定条件とされている。具体例2のように、印刷回数により利用実績を判定するようにしてもよい。なお、検索回数と印刷回数を組み合わせた判定条件が設定されてもよい。
【0056】
具体例3では「印刷利用者の印刷回数が10回以上」が判定条件とされている。したがって、具体例3の判定条件が設定されている場合には、判定対象となる印刷データの利用実績データにおける印刷回数のうち、印刷利用者による印刷回数が10回以上であれば、その印刷データが判定条件を満たすと判定され、印刷利用者による印刷回数が10回よりも少なければ、その印刷データが判定条件を満たさないと判定される。例えば、具体例3に例示するように、登録利用者とは異なる印刷利用者による印刷データの利用実績を判定条件としてもよい。
【0057】
また、利用実績データとして、検索や印刷が行われた回数に加えて検索や印刷が行われた日時を管理しておき、利用実績に関する判定条件として、直近(例えば最近1週間など)の利用実績を判定対象とする判定条件が設定されてもよい。
【0058】
図3に戻り、印刷データの利用実績が条件を満たすか否かの判定(S2)により、利用実績が判定条件を満たさない印刷データについては、有効期限の延長処理が行われない。一方、利用実績が判定条件を満たすと判定された印刷データについては、その印刷データが記憶されたデータ記憶部20に関する負荷データに基づいて、データ記憶部20の負荷状態が判定される。例えば、データ記憶部20の空き容量が負荷データとして利用され、その空き容量が判定基準となる閾値以上か否かが判定される(S3)。
【0059】
そして、データ記憶部20の空き容量が閾値以上でなければ、判定対象となる印刷データの有効期限の延長処理が行われない。一方、データ記憶部20の空き容量が閾値以上であれば、S1からS3の条件を満たした印刷データが延長処理の対象であると判定され、その印刷データの有効期限の延長処理が実行される(S4)。
【0060】
(4)有効期限の延長処理
延長処理部70は、延長判定部40により有効期限の延長処理の対象であると判定された印刷データの有効期限の延長処理を実行する。
【0061】
例えば、印刷データの登録利用者により、その印刷データの有効期限の自動延長が設定されていれば、延長処理部70は、有効期限の延長処理(図3のS4)において、その印刷データの有効期限を自動的に延長する。例えば、延長期間として設定された設定日数(例えば1週間など)だけ有効期限が自動的に延長される。一方、印刷データの登録利用者により、その印刷データの有効期限の自動延長が設定されていない場合、延長処理部70は、その印刷データの有効期限を延長しない。
【0062】
また、印刷データの登録利用者により、その印刷データの有効期限の自動延長が設定されていない場合、延長処理部70は、有効期限の延長処理(図3のS4)において、その印刷データの登録利用者に有効期限を延長するか否かを問い合わせてもよい。例えば、登録利用者が利用するユーザ機器300に問い合わせのメッセージなどが送信される。そして、延長処理部70は、登録利用者から有効期限の延長が指示された場合に有効期限を延長し、登録利用者から有効期限の延長が指示されない場合には有効期限を延長しない。
【0063】
なお、印刷データの登録時に有効期限の自動延長を設定する機能が無い場合にも、有効期限の延長処理(図3のS4)において、その印刷データの登録利用者に有効期限を延長するか否かを問い合わせるようにしてもよい。
【0064】
また、有効期限の延長処理(図3のS4)において、印刷データ管理装置100は、図3のS1からS3の処理により延長処理の対象であると判定された印刷データについて、その印刷データの特定キーが例えばソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上に公開されているか否かを検索し、特定キーが公開されていれば、利用者の関心が高いと判断して、その印刷データの有効期限を自動延長するようにしてもよい。
【0065】
(5)有効期限延長の通知処理
延長通知部80は、延長判定部40により有効期限の延長処理の対象であると判定された印刷データの有効期限の延長を通知する。延長通知部80は、例えば、図3のS1からS3の条件を満たし、延長判定部40により延長処理の対象であると判定された印刷データの有効期限の延長を通知する。その通知の内容には、例えば延長後の有効期限が含まれる。
【0066】
延長通知部80は、例えば、延長処理の対象と判定された印刷データの有効期限の延長をその印刷データの利用者が利用する印刷装置200に通知する。これにより、例えば、印刷装置200の操作パネルなどに、有効期限の延長についてのメッセージなどが表示される。例えば、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で特定キーが公開され、登録利用者とは異なる印刷利用者の利用実績がある印刷データについて、有効期限が延長された旨を、現に印刷装置200で当該印刷データを印刷する印刷利用者に通知することができれば、当該印刷利用者によって有効期限が延長された旨をSNSを通じて広める(拡散させる)効果が期待される。その結果、登録利用者にとっては自身が登録した印刷データをより多くの印刷利用者に利用してもらえるという効果が期待されることになる。
【0067】
図5は、印刷装置200に表示される表示画像の具体例を示す図である。図5に例示する表示画像は、印刷装置200の操作パネルに表示される。例えば、利用者が印刷装置200に印刷データの特定キーを入力し、印刷データ管理装置100によって管理される複数の印刷データの中からその特定キーに対応した印刷データが検索されると、検索結果を示す画像として図5の表示画像が表示される。
【0068】
そして、検索された印刷データが延長処理の対象である場合、例えば図5に示す具体例のように「検索されたファイルの有効期限は2017/12/27に延長されました」と有効期限の延長についてのメッセージが表示される。
【0069】
ちなみに、図5に例示する検索結果の表示画像には、検索された印刷データに関するファイル名やファイルサイズやカラーモードなどのファイル情報が表示され、さらに、印刷データの画像内容を示す印刷画像や、印刷に必要なプリント料金も表示される。そして、利用者がプリント料金を支払い、検索結果の表示画面内にある印刷開始のボタンを操作することにより、印刷データの印刷が開始される。
【0070】
また、延長通知部80は、例えば、延長処理の対象と判定された印刷データの有効期限の延長をウェブのアカウントに対して通知するようにしてもよい。例えば、延長処理の対象と判定された印刷データの登録利用者の投稿がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上にあれば、その投稿に対する返信として、その印刷データの有効期限の延長が通知される。これにより、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を介して、印刷データの印刷を望む利用者に対して、その印刷データの有効期限が延長されることを知らせることができる。
【0071】
例えば、印刷データの作成者(クリエータ)が登録利用者として印刷データを登録し、作成者がその印刷データの特定キーをソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に投稿する。その投稿を見た作成者のファンが印刷利用者となり印刷データを印刷する。このような印刷データの利用形態において、例えばソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を介して、印刷利用者であるファンに対して印刷データの有効期限が延長されることを知らせることができるようになる。
【0072】
もちろん、印刷データ管理装置100が独自に持つアカウントから印刷データの有効期限の延長が通知されてもよいし、印刷データに係る情報を含む投稿に対する返信として、印刷データの有効期限の延長が通知されてもよい。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0074】
10 登録受付部、20 データ記憶部、30 有効期限管理部、40 延長判定部、50 利用実績管理部、60 利用者識別部、70 延長処理部、80 延長通知部、100 印刷データ管理装置、200 印刷装置、300 ユーザ機器、310 情報処理装置、320 携帯端末装置。
図1
図2
図3
図4
図5