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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】エンジンの吸気通路構造
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20220614BHJP
   F02M 69/00 20060101ALI20220614BHJP
   F02M 69/04 20060101ALI20220614BHJP
   F02M 35/104 20060101ALI20220614BHJP
   F02M 35/16 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F02M35/10 311A
F02M69/00 350P
F02M69/04 B
F02M35/104 A
F02M35/16 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018051962
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019163718
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 正樹
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-166064(JP,A)
【文献】特開平10-274045(JP,A)
【文献】特開2003-254202(JP,A)
【文献】特開2008-286092(JP,A)
【文献】特開昭60-212665(JP,A)
【文献】国際公開第2011/095622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
F02M 69/00
F02M 69/04
F02M 35/104
F02M 35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの燃焼室へ吸気を導く吸気通路を備えるエンジンの吸気通路構造であって、
前記吸気通路は、
前記吸気の流量を調節するスロットルボディと、
前記スロットルボディの下流端に接続されて円弧状に湾曲するインテークマニホールドと、
前記吸気へ燃料を噴射する燃料噴射口を有して前記インテークマニホールドに設けられる燃料噴射装置と、
前記燃料噴射口より上流側に配置される分岐通路入口、および前記燃料噴射口より下流側に配置されて前記燃料噴射口に併設される分岐通路出口を有して前記インテークマニホールドに設けられ、前記インテークマニホールド内の前記吸気の一部を流通させる分岐通路部と、
前記吸気の流通方向に交差する方向へ前記吸気通路の壁面の一部を窪ませる凹没部と、を有し、
前記インテークマニホールドは、前記スロットルボディに接続されて直線状に延びる上流側直線部と、前記エンジンの吸気ポートに接続されて直線状に延びる下流側直線部と、前記上流側直線部と前記下流側直線部との間に設けられ弧状に湾曲する湾曲部と、を有し、
前記下流側直線部は、前記上流側直線部の下流方向への投影の外側にあって、かつ前記上流側直線部は、前記下流側直線部の上流方向への投影の外側にあり、
前記燃料噴射装置は、前記インテークマニホールドの前記湾曲部の外側、または、前記インテークマニホールドの前記湾曲部の外側に近い前記下流側直線部に設けられ、
前記凹没部は、前記燃料噴射口および前記分岐通路出口が配置される底面部と、前記分岐通路出口よりも下流側に配置される部位を含む側面部と、を有し、
前記分岐通路入口および前記分岐通路出口は、前記インテークマニホールドの前記湾曲部の接線方向へ開口し、
前記分岐通路出口は、前記燃料噴射口よりも前記インテークマニホールド内の通路の中心から遠く、かつ前記燃料噴射口と前記凹没部の前記側面部との間に配置され、
前記分岐通路部は、前記分岐通路入口から直線状に延びる上流側直線通路と、前記上流側直線通路に繋がり前記分岐通路出口へ向かって直線状に延びる下流側直線通路と、を有するエンジンの吸気通路構造。
【請求項2】
前記分岐通路入口は、前記燃料噴射口へ向かう前記吸気の流れの上流方向へ向かって開く請求項1に記載のエンジンの吸気通路構造。
【請求項3】
前記分岐通路入口の開口面積は、前記分岐通路の中程の流路断面積よりも大きい請求項1または2に記載のエンジンの吸気通路構造。
【請求項4】
前記分岐通路部は、前記分岐通路入口から下流へ向かって流路断面積が小さくなるテーパー部を有する請求項3に記載のエンジンの吸気通路構造。
【請求項5】
前記分岐通路出口は、前記燃料噴射口から離れる前記吸気の流れの下流方向へ向かって開く請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの吸気通路構造。
【請求項6】
前記吸気通路の中心を通る平面を基準として、
前記燃料噴射装置は、前記平面よりも一方側に配置され、
前記分岐通路部は、前記平面よりも他方側に配置されて前記平面の法線方向から見たとき前記燃料噴射装置に重なり、
前記分岐通路出口は、前記分岐通路入口よりも前記エンジンの前記燃焼室に近い請求項1からのいずれか1項に記載のエンジンの吸気通路構造。
【請求項7】
前記吸気通路の中心を通る平面の法線方向から見たとき、前記分岐通路部の前記エンジンから最も遠い部位は、前記燃料噴射装置の前記エンジンから最も遠い部位よりも前記エンジンに近い請求項1からのいずれか1項に記載のエンジンの吸気通路構造。
【請求項8】
前記吸気通路は、前記燃料噴射口が設けられ、かつ前記分岐通路部を有するインテークマニホールドを有し、
前記吸気通路の中心を通る平面の法線方向から見たとき、前記分岐通路部の前記エンジンから最も遠い部位は、前記インテークマニホールドの前記エンジンから最も遠い部位よりも前記エンジンに近い請求項1からのいずれか1項に記載のエンジンの吸気通路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気通路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
メインポート、およびメインポートの左右両側の一対のサブポートに3分割された吸気ポートと、メインポート内に燃料を噴射するインジェクターと、を備えるエンジンの吸気装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平7-38665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、エンジンの燃焼室に吸い込まれる吸気の流れは、シリンダーヘッドの吸気ポートで湾曲するように方向を変える。
【0005】
従来のエンジンの吸気装置は、サブポートに分岐してメインポートの出口の左右両側に吸気の一部を流出させる。そのため、従来のエンジンの吸気装置は、メインポートの出口の左右両側、かつサブポートより下流側の内壁面への、インジェクターから噴射された燃料の付着を防ぐ。
【0006】
しかしながら、従来のエンジンの吸気装置は、メインポートの出口の上下側の内壁面、特に吸気ポート内を湾曲して流れる吸気の外周側に相当する上側の内壁面への、燃料の付着を防ぎ難い。なお、吸気ポート内を湾曲して流れる吸気の外周側に相当する上側の内壁面は、吸気の流れの方向に倣って、吸気通路に燃料を噴射するインジェクターの出口の真後ろ(直下の下流)にあたる。
【0007】
そして、吸気通路の内壁面に燃料が付着すると、混合気の空燃比は、吸気通路の内壁面に付着した燃料の分だけ薄く(リーン)なる。
【0008】
そこで、本発明は、吸気通路の内壁面への燃料の付着をより確実に抑制して混合気の空燃比を安定させるエンジンの吸気通路構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため本発明に係るエンジンの吸気通路構造は、エンジンの燃焼室へ吸気を導く吸気通路を備えるエンジンの吸気通路構造であって、前記吸気通路は、前記スロットルボディの下流端に接続されて円弧状に湾曲するインテークマニホールドと、前記吸気へ燃料を噴射する燃料噴射口を有して前記インテークマニホールドに設けられる燃料噴射装置と、前記燃料噴射口より上流側に配置される分岐通路入口、および前記燃料噴射口より下流側に配置されて前記燃料噴射口に併設される分岐通路出口を有して前記インテークマニホールドに設けられ、前記インテークマニホールド内の前記吸気の一部を流通させる分岐通路部と、前記吸気の流通方向に交差する方向へ前記吸気通路の壁面の一部を窪ませる凹没部と、を有し、前記インテークマニホールドは、前記スロットルボディに接続されて直線状に延びる上流側直線部と、前記エンジンの吸気ポートに接続されて直線状に延びる下流側直線部と、前記上流側直線部と前記下流側直線部との間に設けられ弧状に湾曲する湾曲部と、を有し、前記下流側直線部は、前記上流側直線部の下流方向への投影の外側にあって、かつ前記上流側直線部は、前記下流側直線部の上流方向への投影の外側にあり、前記燃料噴射装置は、前記インテークマニホールドの前記湾曲部の外側、または、前記インテークマニホールドの前記湾曲部の外側に近い前記下流側直線部に設けられ、前記凹没部は、前記燃料噴射口および前記分岐通路出口が配置される底面部と、前記分岐通路出口よりも下流側に配置される部位を含む側面部と、を有し、前記分岐通路入口および前記分岐通路出口は、前記インテークマニホールドの前記湾曲部の接線方向へ開口し、前記分岐通路出口は、前記燃料噴射口よりも前記インテークマニホールド内の通路の中心から遠く、かつ前記燃料噴射口と前記凹没部の前記側面部との間に配置され、前記分岐通路部は、前記分岐通路入口から直線状に延びる上流側直線通路と、前記上流側直線通路に繋がり前記分岐通路出口へ向かって直線状に延びる下流側直線通路と、を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸気通路の内壁面への燃料の付着をより確実に抑制して混合気の空燃比を安定させるエンジンの吸気通路構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る吸気通路構造が適用される自動二輪車の一例を示す左側面図。
図2】本発明の実施形態に係るエンジンの吸気通路構造の断面図。
図3】本発明の実施形態に係るエンジンの吸気通路構造の断面図。
図4】本発明の実施形態に係るエンジンの吸気通路構造の断面図。
図5】本発明の実施形態に係る吸気通路構造のインテークマニホールドを上流側の開口から見た図。
図6】本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部の下流側直線通路の中心線を通る斜視断面図。
図7】本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部のインテークマニホールドを湾曲部の外側から見た図。
図8】本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部のインテークマニホールドを主流通路を通る仮想的な平面の法線方向から見た図。
図9】本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部の上流側直線通路の中心線を通る断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るエンジンの吸気通路構造の実施形態について図1から図9を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る吸気通路構造が適用される自動二輪車の一例を示す左側面図である。
【0014】
なお、本実施形態において、前後、上下、左右の表現は、自動二輪車1の搭乗者を基準にする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、スクータ型の車両である。
【0016】
自動二輪車1は、自動二輪車1の前後に延びる車体フレーム3と、車体フレーム3に支持されて自動二輪車1の上下方向へ揺動自在なパワーユニット5と、車体フレーム3に支持されて自動二輪車1の左右方向へ操舵自在なステアリング機構6と、ステアリング機構6に支持される回転自在な前輪7と、パワーユニット5に支持される回転自在な後輪8と、車体フレーム3を覆う車体カバー9と、を備えている。
【0017】
ステアリング機構6は、前輪7を挟み込んで回転自在に支持する左右一対のフロントフォーク11と、左右のフロントフォーク11に内装されるサスペンション機構(図示省略)と、前輪7の上方に覆い被さるフロントフェンダ12と、フロントフォーク11の頂部に設けられるハンドルバー13と、を備えている。
【0018】
前輪7は、左右のフロントフォーク11の下端部に架かる前輪軸(図示省略)によって回転自在に支持されている。
【0019】
ハンドルバー13は、左右それぞれの端部にグリップ15を備えている。車両の右側にあるグリップ15は、エンジン17のスロットルの機能を担う。また、左右それぞれのグリップ15の前方には、ブレーキレバー(図示省略)が設けられている。右側のブレーキレバーは、前輪7のブレーキ(図示省略)に繋がっている。左側のブレーキレバーは、後輪8のブレーキ(図示省略)に繋がっている。
【0020】
パワーユニット5は、リンク機構18を介して車体フレーム3の下端部に揺動自在に支持されている。パワーユニット5は、エンジン17および動力伝達装置23を一体に備えている。パワーユニット5は、エンジン17、動力伝達装置23、および後輪8を一体で揺動させるユニットスイング式である。
【0021】
また、パワーユニット5は、リヤクッションユニット27を介して車体フレーム3に弾性的に支持されている。リヤクッションユニット27は、後輪8から車体フレーム3に伝わる力を緩衝する。
【0022】
エンジン17は、後輪8の駆動力を発生させる。エンジン17は、自動二輪車1の各部で消費される電力を発電する。動力伝達装置23は、エンジン17の出力を変速して駆動輪としての後輪8へ伝達する。
【0023】
エンジン17は、シリンダー31を自動二輪車1の前方へ向けて寝かせている。換言すると、エンジン17のシリンダーボア31aの中心線は、自動二輪車1の前後方向を向いている。つまり、エンジン17は、クランクケース32の前側に設けられるシリンダー31と、シリンダー31の前側に設けられるシリンダーヘッド33と、シリンダーヘッド33の前側に設けられるヘッドカバー35と、を備えている。
【0024】
なお、エンジン17は、シリンダー31を自動二輪車1の上方へ向けて起立させていても良い。換言すると、エンジン17のシリンダーボア31aの中心線は、自動二輪車1の上下方向を向いても良い。エンジン17のシリンダー31およびシリンダーヘッド33は、シート37の真下、またはシート37の下に設けられる収納箱38の真下に配置されている。
【0025】
エンジン17とシート37との間、かつ車体カバー9の内側には、エンジン17に吸気を供給する吸気通路構造41が設けられている。吸気通路構造41は、外気を濾過して清浄な吸気にするエアークリーナー42と、エアークリーナー42で浄化された吸気をエンジン17へ導く吸気通路43と、を備えている。
【0026】
吸気通路43は、エアークリーナー42とエンジン17とを繋いでいる。吸気通路43は、エアークリーナー42からエンジン17へ吸気を導く。吸気通路43は、エアークリーナー42に接続されるインレットチューブ45と、インレットチューブ45の下流端に接続されてエンジン17に供給される吸気の流量を調節するスロットルボディ46と、スロットルボディ46の下流端に接続されるインテークマニホールド47と、を備えている。
【0027】
エアークリーナー42は、エンジン17のシリンダーヘッド33よりも後方に配置されている。つまり、エアークリーナー42は、前方へ向かって吸気を流出させる。吸気通路43は、エアークリーナー42が前方へ向かって流出させた吸気をエンジン17のシリンダーヘッド33へ導く。
【0028】
スロットルボディ46は、インレットチューブ45とインテークマニホールド47との間に配置されている。スロットルボディ46は、直線状の吸気通路(図示省略)と、この吸気通路内に配置されるスロットルバルブ(バタフライ弁、図示省略)と、を備えている。
【0029】
車体カバー9は、自動二輪車1の外観を整え、内部機器の保護を図っている。車体カバー9は、相互に連結される複数の合成樹脂の成形品を含んでいる。
【0030】
次に、エンジン17の吸気通路構造41について詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係るエンジンの吸気通路構造の断面図である。
【0032】
なお、図2は、インテークマニホールド47内の主流通路68の中心を通る断面図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態に係る吸気通路構造41の吸気通路43は、エアークリーナー42とエンジン17の燃焼室51とを繋いでいる。吸気通路43は、エアークリーナー42からエンジン17の燃焼室51へ吸気を導く。
【0034】
そして、吸気通路43は、インレットチューブ45、スロットルボディ46、およびインテークマニホールド47に加えて、インテークマニホールド47に設けられて吸気へ燃料を噴射する燃料噴射装置52と、シリンダーヘッド33の吸気ポート53と、吸気へ燃料が噴射される位置の上流側から下流側へ吸気の一部を迂回させる分岐通路部55と、を備えている。
【0035】
なお、本実施形態に係るエンジン17は、シリンダーボア31aの中心線Cを自動二輪車1の前後方向へ向けている。そして、エンジン17の吸気ポート53の入口53aは、シリンダーヘッド33の上面に開口している。吸気ポート53の出口53bは、燃焼室51に繋がっている。吸気ポート53の出口53bは、吸気バルブ56によって開閉される。
【0036】
なお、シリンダーヘッド33には排気ポート57が設けられている。排気ポート57の入口57aは、燃焼室51に繋がっている。排気ポート57の入口57aは、排気バルブ58によって開閉される。排気ポート57の出口57bは、シリンダーヘッド33の下面に開口している。排気ポート57には、排気管(図示省略)、およびマフラー(消音装置)が順次に接続されている。
【0037】
スロットルボディ46とインテークマニホールド47との間には、インシュレータ61が設けられている。
【0038】
インテークマニホールド47は、シリンダーヘッド33の吸気ポート53に接続されている。インテークマニホールド47は、エアークリーナー42で浄化され、かつスロットルボディ46で流量を調節された吸気を、吸気ポート53へ導く。インテークマニホールド47は、円弧状に湾曲または屈曲している管であり、所謂エルボーである。インテークマニホールド47は、エンジン17の吸気ポート53に固定されるフランジ部62を備えている。吸気ポート53とフランジ部62との間には、ガスケット63が挟み込まれている。
【0039】
インテークマニホールド47は、スロットルボディ46に接続されて直線状に延びる上流側直線部65と、シリンダーヘッド33の吸気ポート53に接続されて直線状に延びる下流側直線部66と、上流側直線部65と下流側直線部66との間に設けられ弧状に湾曲する湾曲部67と、を有している。
【0040】
上流側直線部65、湾曲部67、および下流側直線部66は、インテークマニホールド47を通過する吸気の大部分を流通させる。上流側直線部65、湾曲部67、および下流側直線部66内の流路をインテークマニホールド47の主流通路68と呼ぶ。
【0041】
上流側直線部65は、スロットルボディ46の吸気通路に対して実質的に直線状に接続されている。上流側直線部65は、自動二輪車1の前方へ向かって延びている。
【0042】
下流側直線部66は、エンジン17の吸気ポート53に接続されている。上流側直線部65は、自動二輪車1の下方へ向かって延びている。
【0043】
湾曲部67の曲率中心に近い部位を「湾曲部67の内側」と称し、湾曲部67の曲率中心から遠い部位を「湾曲部67の外側」と称する。
【0044】
また、インテークマニホールド47は、吸気の流通方向に交差する方向へ吸気通路43の壁面の一部を窪ませる凹没部69を有している。
【0045】
凹没部69は、湾曲部67と下流側直線部66とに跨がっている。凹没部69は、インテークマニホールド47を湾曲部67の外側へ向かって膨出させている。凹没部69が区画する窪み空間71は、湾曲部67の外側へ向かって窪み、下流側直線部66に達している(渡っている)。窪み空間71は、インテークマニホールド47の主流通路68を湾曲部67の外側へ向かって拡張している。
【0046】
凹没部69は、燃料噴射装置52が固定される底壁部72と、底壁部72と湾曲部67および下流側直線部66との間に介在する側壁部73と、を有している。底壁部72には、燃料噴射装置52の燃料噴射口75をインテークマニホールド47内に挿入するための燃料噴射装置挿入孔76が設けられている。
【0047】
底壁部72の内面、つまり凹没部69の底面部72aは、インテークマニホールド47の下方に配置される吸気ポート53を臨んでいる。つまり、本実施形態に係る底面部72aは、下方を向いている。
【0048】
側壁部73の内面、つまり側面部73aは、底面部72aの縁に実質的に直交して吸気ポート53へ向かって延びている。
【0049】
燃料噴射装置52は、吸気、つまり吸気通路43を流通する空気へ燃料を噴射する。燃料噴射装置52から噴射された燃料と吸気とが、混ざり合って混合気になる。燃料噴射装置52は、インテークマニホールド47に設けられている。燃料噴射装置52は、インテークマニホールド47の湾曲部67の外側、または、インテークマニホールド47の湾曲部67の外側に近い下流側直線部66に設けられている。
【0050】
燃料噴射装置52は、吸気へ燃料を噴射する燃料噴射口75を有している。燃料噴射口75は、主流通路68の中程において、インテークマニホールド47内に露出し、主流通路68を臨んでいる。燃料噴射口75は、インテークマニホールド47の湾曲部67の外側、または、インテークマニホールド47の湾曲部67の外側に近い下流側直線部66に設けられる燃料噴射装置52から、インテークマニホールド47の下方に配置される吸気ポート53へ向いている。つまり、本実施形態に係る燃料噴射口75は、下方を向いている。燃料噴射口75は、吸気バルブ56のバルブフィレット77へ向いている。
【0051】
また、燃料噴射口75は、凹没部69の底壁部72の燃料噴射装置挿入孔76を通じて、インテークマニホールド47内に露出している。
【0052】
ところで、インテークマニホールド47が湾曲部67を有しているため、主流通路68における吸気の流れは、湾曲部67の内側よりも湾曲部67の外側で流速を増す。そして、燃料噴射口75から主流通路68内の吸気に噴射された燃料は、より流速が増す湾曲部67の外側へと押し流されて、主流通路68の内壁面のうち、湾曲部67の外側、および湾曲部67の外側に連続する下流側直線部66の外側へ近づく。そこで、本実施形態に係る吸気通路構造41は、インテークマニホールド47に、主流通路68の内壁面に近づく燃料が主流通路68の内壁面に付着することを阻止する分岐通路部55を備えている。
【0053】
図3は、本発明の実施形態に係るエンジンの吸気通路構造の断面図である。
【0054】
なお、図3は、分岐通路部55の内の通路の中心を通る断面図である。
【0055】
図2に加えて図3に示すように、本実施形態に係る吸気通路構造41の分岐通路部55は、インテークマニホールド47に一体成形されている。分岐通路部55は、インテークマニホールド47を流通する吸気の一部を分岐させる。つまり、分岐通路部55は、主流通路68を流通する吸気の一部を分流させる。分岐通路部55は、主流通路68から吸気の一部を分流させ、かつ燃料噴射口75を迂回させて分流した吸気の一部を燃料噴射口75の下流側へ戻す。
【0056】
分岐通路部55は、燃料噴射口75より上流側に配置される分岐通路入口81と、燃料噴射口75より下流側に配置されて燃料噴射口75に併設される分岐通路出口82と、を有している。換言すると、燃料噴射口75は、主流通路68の吸気の流れ(つまり、分岐通路部55以外を通るインテークマニホールド47の吸気の流れ)の方向において分岐通路入口81と分岐通路出口82との間に配置されている。
【0057】
分岐通路入口81は、インテークマニホールド47の湾曲部67の上流側端部の近傍に設けられている。分岐通路出口82は、インテークマニホールド47の湾曲部67の下流側端部の近傍に設けられている。
【0058】
また、分岐通路入口81は、インテークマニホールド47の湾曲部67の外側に設けられている。分岐通路出口82は、インテークマニホールド47の湾曲部67の外側に設けられている。分岐通路入口81および分岐通路出口82は、実質的にインテークマニホールド47の接線方向へ開口している。分岐通路入口81および分岐通路出口82は、実質的に湾曲部67の外側の接線方向へ開口している。
【0059】
分岐通路入口81は、燃料噴射口75へ向かう吸気の流れの上流方向へ向かって開いている。
【0060】
図4は、図2のIV-IV線における、本発明の実施形態に係るエンジンの吸気通路構造の断面図である。
【0061】
図2、および図3に加えて、図4に示すように、本実施形態に係る吸気通路構造41の分岐通路出口82は、燃料噴射口75から離れる吸気の流れの下流方向へ向かって開いている。分岐通路出口82は、凹没部69の底面部72aに設けられている。つまり、凹没部69は、燃料噴射口75および分岐通路出口82が配置される底面部72aと、分岐通路出口82よりも下流側に配置される部位69aを含む側面部73aと、を有している。
【0062】
分岐通路出口82は、燃料噴射装置52の燃料噴射口75に併設されている。ここで、「燃料噴射口75に併設されている」とは、インテークマニホールド47の燃料噴射装置挿入孔76と、これに併設される壁(凹没部69の壁、および分岐通路部55の壁)に、相応の強度が確保される限り、または加工可能な限りにおいて、近いほど良い。例えば、燃料噴射口75の開口方向、燃料噴射装置挿入孔76の開口方向、または分岐通路出口82の開口方向から見たとき、分岐通路出口82は、燃料噴射口75の中心から、その開口径の二倍の径を有する円領域A、または燃料噴射装置挿入孔76中心から、その開口径の二倍の径を有する円領域Aの内側に侵入していることが好ましい。
【0063】
分岐通路出口82は、燃料噴射口75よりも主流通路68の中心から遠い。換言すると、分岐通路出口82は、燃料噴射口75よりも凹没部69の側壁部73中、主流通路68の中心から最も遠い部位69aに近い。このことは、凹没部69の側壁部73中、燃料噴射口75よりも主流通路68の中心から遠い部位69aへ、分岐通路出口82から流出する吸気の一部を導き、吸気ポート53へ向かう空気の壁を生み出す。この空気の壁は、燃料噴射口75から噴射された燃料が主流通路68を流れる吸気によって湾曲部67の外側方向へ押し遣られたとしても、この燃料をインテークマニホールド47の内面(燃料噴射口75よりも下流側の内面)に到達する前に拡散する。このとき、空気の壁は、凹没部69の窪み空間71内を起点に生じる。この空気の壁は、燃料噴射口75から噴射された燃料が窪み空間71に侵入することを阻害し、燃料噴射口75から噴射された燃料が凹没部69の側壁部73を含むインテークマニホールド47の内面に付着することを阻止する。
【0064】
また、分岐通路部55は、分岐通路入口81から直線状に延びる上流側直線通路83と、上流側直線通路83に繋がり分岐通路出口82へ向かって直線状に延びる下流側直線通路84と、を有している。
【0065】
図5は、本発明の実施形態に係る吸気通路構造のインテークマニホールドを上流側の開口から見た図である。
【0066】
図2、および図3に加えて、図5に示すように、本実施形態に係る吸気通路構造41の上流側直線通路83は、分岐通路入口81におけるインテークマニホールド47の接線方向へ延びている。上流側直線通路83は、分岐通路入口81における湾曲部67の外側の接線方向へ開口している。上流側直線通路83は、インテークマニホールド47の上流側の開口から見通すことができる。そのため、上流側直線通路83は、インテークマニホールド47の上流側の開口からドリルなどの工具を差し込んで容易に加工することができる。
【0067】
図6は、本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部の下流側直線通路の中心線を通る斜視断面図である。
【0068】
図2、および図3に加えて、図6に示すように、本実施形態に係る吸気通路構造41の下流側直線通路84は、分岐通路出口82におけるインテークマニホールド47の接線方向へ延びている。下流側直線通路84は、分岐通路出口82における湾曲部67の外側の接線方向へ開口している。下流側直線通路84は、インテークマニホールド47の下流側の開口、または凹没部69の窪み空間71の下流側の縁(端)から見通すことができる。そのため、下流側直線通路84は、インテークマニホールド47の下流側の開口からドリルなどの工具を差し込んで容易に加工することができる。
【0069】
図7は、本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部のインテークマニホールドを湾曲部の外側から見た図である。
【0070】
図8は、本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部のインテークマニホールドを主流通路を通る仮想的な平面の法線方向から見た図である。
【0071】
図2、および図3に加えて、図7および図8に示すように、吸気通路43の中心を通る仮想的な平面Pを基準として、本実施形態に係る吸気通路構造41の燃料噴射装置52は、平面Pよりも一方側、または平面Pを跨ぎつつ平面Pの一方側、に配置されている。分岐通路部55は、平面Pよりも他方側に配置されている。
【0072】
なお、分岐通路部55の上流側直線通路83は、自動二輪車1の平面視において、吸気通路43の中心を通る仮想的な平面Pの左側に偏倚している。そして、上流側直線通路83は、自動二輪車1の平面視において、燃料噴射装置52の左側方を前方へ向かって通過する。分岐通路部55の下流側直線通路84は、燃料噴射装置52の前方を回り込むようにして右下方へ向かって延びている。
【0073】
そして、吸気通路43の中心線を通る平面Pの法線方向から見たとき(図8)、分岐通路部55は、燃料噴射装置52に重なっている。
【0074】
また、吸気通路43の中心線を通る平面Pの法線方向から見たとき(図8)、インテークマニホールド47の下流側のフランジ部62の結合面62aに直交し、かつフランジ部62から離れる方向(図中の実線矢印)において、分岐通路部55のエンジン17から最も遠い部位55aは、燃料噴射装置52のエンジン17から最も遠い部位52aよりもエンジン17に近い。換言すると、インテークマニホールド47の下流側のフランジ部62の結合面62aに直交し、かつフランジ部62から離れる方向において、分岐通路部55のエンジン17から最も遠い部位55aは、燃料噴射装置52のエンジン17から最も遠い部位52aよりもインテークマニホールド47の下流側のフランジ部62に近い。なお、図8中に、エンジン17の取付面に平行であり、かつ燃料噴射装置52のエンジン17から最も遠い部位52aを通る一点鎖線L1を示した。
【0075】
また、吸気通路43の中心線を通る平面Pの法線方向から見たとき(図8)、分岐通路部55のインテークマニホールド47から最も遠い部位55bは、燃料噴射装置52のインテークマニホールド47から最も遠い部位52bよりもインテークマニホールド47に近い。なお、図8中に、エンジン17の取付面に垂直であり、かつ燃料噴射装置52のインテークマニホールド47から最も遠い部位52bを通る一点鎖線L2を示した。
【0076】
さらに、吸気通路43の中心線を通る平面Pの法線方向から見たとき、インテークマニホールド47の下流側のフランジ部62の結合面62aに直交し、かつフランジ部62から離れる方向において、分岐通路部55のエンジン17から最も遠い部位55aは、インテークマニホールド47のエンジン17から最も遠い部位47aよりもエンジン17に近い。換言すると、インテークマニホールド47の下流側のフランジ部62の結合面62aに直交し、かつフランジ部62から離れる方向において、分岐通路部55のエンジン17から最も遠い部位55aは、インテークマニホールド47のエンジン17から最も遠い部位47aよりもインテークマニホールド47の下流側のフランジ部62に近い。なお、図8に中に、エンジン17の取付面に平行であり、かつインテークマニホールド47のエンジン17から最も遠い部位47aを通る一点鎖線L3を示した。
【0077】
換言すると、分岐通路部55は、吸気通路43に突き立てるように取り付けられる燃料噴射装置52から突出しないような経路を通って、吸気通路43に沿って延びている。
【0078】
図9は、本発明の実施形態に係る吸気通路構造の分岐通路部の上流側直線通路の中心線を通る断面図である。
【0079】
図9に示すように、本実施形態に係る吸気通路構造41の上流側直線通路83は、分岐通路入口81から下流側直線通路84に達するまで、その全長において実質的に一様な流路断面積を有している。
【0080】
また、上流側直線通路83は、図9に二点鎖線で示すように、分岐通路入口81から下流へ向かって流路断面積が小さくなるテーパー部86を有していても良い。また、上流側直線通路83は、分岐通路入口81に連続し、分岐通路入口81と同等の流路断面積を有する大径部(図示省略)から流路断面積が急峻に狭くなる、座繰り状の段差部(図示省略)を有していても良い。これらの場合、分岐通路入口81の開口面積は、分岐通路部55の中程の流路断面積よりも大きい。
【0081】
なお、インテークマニホールド47は、エンジン17のシリンダーヘッド33に一体に成形されていても良い。つまり、インテークマニホールド47とシリンダーヘッド33の吸気ポート53とは、一体に成形されていても良い。この場合、本実施形態に係るインテークマニホールド47とシリンダーヘッド33の吸気ポート53とが、単に吸気ポートと呼称される。この吸気ポートに燃料噴射装置52が設けられ、かつ分岐通路部55が一体で成形される。
【0082】
さらに、インテークマニホールド47は、直線状の管であっても良い。例えば、スーパースポーツタイプの自動二輪車1のように、エアークリーナー42からエンジン17の吸気ポート53へ、吸気を下方へ向けて直線状に供給する自動二輪車1では、直線状のインテークマニホールド47に分岐通路部55を設ければ良い。この場合、分岐通路入口81の開口方向、分岐通路出口82の開口方向、あるいは上流側直線通路83の延び方向、下流側直線通路84の延び方向は、インテークマニホールド47の主流通路68の中心線(実質的に上下方向に延びる直線)との間になす角が、浅い(小さい)方が好ましい。
【0083】
本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、燃料噴射口75より上流側に配置される分岐通路入口81、および燃料噴射口75より下流側に配置されて燃料噴射口75に併設される分岐通路出口82を有して吸気の一部を流通させる分岐通路部55を備えている。そのため、吸気通路構造41は、燃料噴射装置52から噴射された燃料が主流通路68を流れる吸気によって主流通路68の壁面へ押し遣られそうになったとしても、分岐通路部55から主流通路68へ流れ込む吸気によって、燃料が主流通路68の壁面に到達する前に下流方向へ押し流す。つまり、吸気通路構造41は、燃料噴射装置52から噴射された燃料が主流通路68の壁面に付着し難くなる。したがって、吸気通路構造41は、混合気の空燃比を安定させることができる。
【0084】
また、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、燃料噴射口75へ向かう吸気の流れの上流方向へ向かって開く分岐通路入口81を有している。そのため、吸気通路構造41は、吸気通路43の壁面に沿って流れる吸気を分岐通路部55へ円滑に導くことができる。
【0085】
さらに、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、分岐通路部55の中程の流路断面積よりも大きい分岐通路入口81の開口面積を有している。そのため、吸気通路構造41は、流路断面積が一定、または分岐通路入口81の開口面積の方が小さい場合に比べて、より多くの吸気を分岐通路出口82へ供給できる。つまり、吸気通路構造41は、燃料噴射装置52から噴射された燃料が主流通路68の壁面にさらに付着し難くなる。
【0086】
また、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、分岐通路入口81から下流へ向かって流路断面積が小さくなるテーパー部86を有している。そのため、吸気通路構造41は、より多くの吸気を分岐通路出口82へより円滑に供給できる。つまり、吸気通路構造41は、燃料噴射装置52から噴射された燃料が主流通路68の壁面にさらに確実に付着し難くなる。
【0087】
さらに、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、燃料噴射口75から離れる吸気の流れの下流方向へ向かって開く分岐通路出口82を有している。そのため、吸気通路構造41は、分岐通路部55を流れる吸気を吸気通路43の壁面へ向かって円滑に送り出すことができる。そのため、吸気通路構造41は、主流通路68の壁面へ向かう燃料を、主流通路68を流れる吸気の下流方向へより確実に押し流すことができる。
【0088】
また、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、吸気の流通方向に交差する方向へ吸気通路43の壁面の一部を窪ませる凹没部69を有している。そのため、吸気通路構造41は、燃料噴射装置52から噴射された燃料が主流通路68の外側の壁面に到達しにくく、当該壁面への燃料の付着を容易に防ぐことができる。
【0089】
さらに、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、平面Pの法線方向から見たとき燃料噴射装置52に重なる分岐通路部55を備えている。換言すると、分岐通路部55は、燃料噴射装置52の周囲(インテークマニホールド47から離れる方向)へ突出していない。そのため、吸気通路構造41は、周囲の構造物や電動品への設置空間の影響(設置スペースの奪い合い)を生じ難い。
【0090】
また、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、吸気通路43の中心を通る平面Pの法線方向から見たとき、分岐通路部55のエンジン17から最も遠い部位55aが、燃料噴射装置52のエンジン17から最も遠い部位52aよりもエンジン17に近い。そのため、吸気通路構造41は、分岐通路部55が燃料噴射装置52の周囲、特に吸気通路43から離れる方向へ張り出すことを抑えることができる。
【0091】
さらに、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、吸気通路43の中心を通る平面Pの法線方向から見たとき、分岐通路部55のエンジン17から最も遠い部位55aが、インテークマニホールド47のエンジン17から最も遠い部位47aよりもエンジン17に近い。そのため、吸気通路構造41は、分岐通路部55がインテークマニホールド47の周囲、特に吸気通路43の延びている方向へ張り出すことを抑えることができる。
【0092】
また、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、インテークマニホールド47の接線方向へ開口する分岐通路入口81および分岐通路出口82を有している。そのため、吸気通路構造41は、インテークマニホールド47が湾曲している場合には、吸気通路43の壁面に沿って流れる吸気を分岐通路部55へ円滑に導くことができる一方、主流通路68の壁面へ向かう燃料を、主流通路68を流れる吸気の下流方向へより確実に押し流すことができる。
【0093】
さらに、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41は、上流側直線通路83と、上流側直線通路83に繋がる下流側直線通路84と、を有している。そして、分岐通路部55は、これら上流側直線通路83、および下流側直線通路84の他に、分岐のない、一本道である。そのため、吸気通路構造41は、分岐通路部55を流れる吸気の勢いを低下させずに主流通路68を流れる吸気へ合流させることができる。また、吸気通路構造41は、分岐通路部55を容易に形成することができる。
【0094】
したがって、本実施形態に係るエンジン17の吸気通路構造41によれば、吸気通路43の内壁面への燃料の付着をより確実に抑制して混合気の空燃比を安定させる。
【符号の説明】
【0095】
1…自動二輪車、3…車体フレーム、5…パワーユニット、6…ステアリング機構、7…前輪、8…後輪、9…車体カバー、11…フロントフォーク、12…フロントフェンダ、13…ハンドルバー、15…グリップ、17…エンジン、18…リンク機構、23…動力伝達装置、27…リヤクッションユニット、31…シリンダー、31a…シリンダーボア、32…クランクケース、33…シリンダーヘッド、35…ヘッドカバー、37…シート、38…収納箱、41…吸気通路構造、42…エアークリーナー、43…吸気通路、45…インレットチューブ、46…スロットルボディ、47…インテークマニホールド、47a…エンジンから最も遠い部位、51…燃焼室、52…燃料噴射装置、52a…エンジンから最も遠い部位、52b…インテークマニホールドから最も遠い部位、53…吸気ポート、53a…入口、53b…出口、55…分岐通路部、55a…部位、56…吸気バルブ、57…排気ポート、57a…入口、57b…出口、58…排気バルブ、61…インシュレータ、62…フランジ部、62a…結合面、63…ガスケット、65…上流側直線部、66…下流側直線部、67…湾曲部、68…主流通路、69…凹没部、69a…凹没部において、分岐通路出口よりも下流側に配置される部位、71…窪み空間、72…底壁部、72a…底面部、73…側壁部、73a…側面部、75…燃料噴射口、76…燃料噴射装置挿入孔、77…バルブフィレット、81…分岐通路入口、82…分岐通路出口、83…上流側直線通路、84…下流側直線通路、86…テーパー部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9