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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220614BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220614BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220614BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220614BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20220614BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/34 D
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
B60L53/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018058177
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019170124
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 賢二
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-139362(JP,A)
【文献】特開2012-039864(JP,A)
【文献】特開2012-114971(JP,A)
【文献】特表2014-521301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159650(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0249065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/34
H01M 10/48
H01M 10/44
B60L 50/40
B60L 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている車両駆動用の蓄電装置を充電する充電装置であって、
外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する変換器と、
直流電力を供給する内部電源と、
前記蓄電装置の充電電力に関する情報を取得する取得部と、
制御部と、
を備え、
前記変換器と前記内部電源とが接続形態を切り替え可能に接続されており、
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記情報に応じて前記変換器と前記内部電源との接続形態を切り替えることにより、当該充電装置の出力電力を前記外部電源から供給される電力以下の出力電力又は前記外部電源から供給される電力より高い出力電力に切り替え
当該充電装置は前記変換器として第1の変換器と第2の変換器とを備えており、
前記変換器と前記内部電源との接続形態には、
前記第2の変換器と前記内部電源とが並列に接続され、それらに対して前記第1の変換器が充電電流の流れ方向の上流側に直列に接続される第1の接続形態と、
前記第1の変換器と前記第2の変換器とが並列に接続され、それらに対して前記内部電源が充電電流の流れ方向の下流側に直列に接続される第2の接続形態とがあり、
前記制御部は、前記車両が要求する充電電力が前記外部電源から供給される電力以下の場合は前記第1の接続形態に切り替える、充電装置。
【請求項2】
車両に搭載されている車両駆動用の蓄電装置を充電する充電装置であって、
外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する変換器と、
直流電力を供給する内部電源と、
前記蓄電装置の充電電力に関する情報を取得する取得部と、
制御部と、
を備え、
前記変換器と前記内部電源とが接続形態を切り替え可能に接続されており、
前記制御部は、前記取得部によって取得された前記情報に応じて前記変換器と前記内部電源との接続形態を切り替えることにより、当該充電装置の出力電力を前記外部電源から供給される電力以下の出力電力又は前記外部電源から供給される電力より高い出力電力に切り替え、
当該充電装置は前記変換器として第1の変換器と第2の変換器とを備えており、
前記変換器と前記内部電源との接続形態には、
前記第2の変換器と前記内部電源とが並列に接続され、それらに対して前記第1の変換器が充電電流の流れ方向の上流側に直列に接続される第1の接続形態と、
前記第1の変換器と前記第2の変換器とが並列に接続され、それらに対して前記内部電源が充電電流の流れ方向の下流側に直列に接続される第2の接続形態とがあり、
前記制御部は、前記車両が要求する充電電力が前記外部電源から供給される電力より高い場合は前記第2の接続形態に切り替える、充電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の充電装置であって、
前記変換器は出力電圧及び出力電流が可変であり、
前記制御部は前記情報に応じて前記変換器の出力電圧及び出力電流を制御する、充電装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の充電装置であって、
前記内部電源は蓄電装置である、充電装置。
【請求項5】
請求項4に記載の充電装置であって、
前記制御部は、前記第1の接続形態では、前記第2の変換器の出力電圧及び出力電流を一定に制御し、当該充電装置の出力電圧及び出力電流が前記情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、前記第2の変換器から前記内部電源に流れる電流の変化に応じて前記第1の変換器を制御する、充電装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の充電装置であって、
前記制御部は、前記第2の接続形態では、当該充電装置の出力電圧及び出力電流が前記情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、前記内部電源の電圧の変化に応じて前記第1の変換器及び前記第2の変換器を制御する、充電装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の充電装置であって、
前記変換器と前記内部電源との接続形態には、更に、前記第1の変換器と前記第2の変換器とが並列に接続され、前記内部電源が切り離される第3の接続形態があり、
前記制御部は、前記車両が要求する充電電力が前記外部電源から供給される電力以下である場合に、前記車両が要求する充電電圧が前記内部電源の電圧より高い場合は前記第1の接続形態に切り替え、前記内部電源の電圧より低い場合は前記第3の接続形態に切り替える、充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、車両に搭載されている車両駆動用の蓄電装置を充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの車両に搭載されている車両駆動用の電気モータに電力を供給する蓄電装置(以下、車両駆動用の蓄電装置という)は長距離走行を可能にするために大容量化が求められている。このため、車両駆動用の蓄電装置を充電する充電装置も大容量化した蓄電装置を急速充電するために高い出力電力が求められている。
【0003】
充電装置の出力電力を高くする方法としては、充電装置に電力を供給する商用電源(外部電源)の契約形態を変更してより大きな電力を受電(高圧受電)する方法が考えられる。しかしながら、そのようにすると契約料金が上昇する上、大きな電力を受電するための設備(インフラ)が必要であり、コストの面で難しい。
【0004】
このため、従来、内部に蓄電装置(以下、内部電源という)を備え、充電器と内部電源とを直列に接続することによってコストの上昇を抑制しつつ急速充電する充電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1に記載の急速充電装置は、第1直流電源器、第2直流電源器、及び、設備用蓄電装置を備えている(同文献の実施の形態3)。当該急速充電装置は電気自動車に搭載されている動力用蓄電装置を充電しないときに第1直流電源器によって設備用蓄電装置を充電し、動力用蓄電装置を充電するときは第2直流電源器と設備用蓄電池とを直列に接続することによって急速充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-39864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
将来的には多くの車両が高い充電電力(商用電源から供給される電力より高い充電電力)を要求すると予想されるが、今後しばらくの間は高い充電電力を要求する車両と高い充電電力を要求しない車両とが混在することが考えられる。しかしながら、従来はこれらの車両が混在することについて十分に検討されていなかった。
【0007】
本明細書では、外部電源から供給される電力より高い充電電力を要求する車両と外部電源から供給される電力以下の充電電力を要求する車両とが混在しても一の充電装置によってそれらの車両の蓄電装置を急速充電できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車両に搭載されている車両駆動用の蓄電装置を充電する充電装置は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する変換器と、直流電力を供給する内部電源と、前記蓄電装置の充電電力に関する情報を取得する取得部と、制御部と、を備え、前記変換器と前記内部電源とが接続形態を切り替え可能に接続されており、前記制御部は、前記取得部によって取得された前記情報に応じて前記変換器と前記内部電源との接続形態を切り替えることにより、当該充電装置の出力電力を前記外部電源から供給される電力以下の出力電力又は前記外部電源から供給される電力より高い出力電力に切り替える。
【発明の効果】
【0009】
外部電源から供給される電力より高い充電電力を要求する車両と外部電源から供給される電力以下の充電電力を要求する車両とが混在しても、一つの充電装置によってそれらの車両の蓄電装置を急速充電できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る充電装置の電気的構成を示すブロック図(第1の接続形態)
図2】第1の充電器の電気的構成を示すブロック図
図3】蓄電装置の電気的構成を示すブロック図
図4】(A)は第1の変換器及び第2の変換器の電流と電圧との関係を示すグラフ、(B)は蓄電装置の容量と電圧との関係を示すグラフ
図5】第1の接続形態の模式図
図6】充電装置の電気的構成を示すブロック図(第2の接続形態)
図7】第2の接続形態の模式図
図8】充電装置の電気的構成を示すブロック図(第3の接続形態)
図9】第3の接続形態の模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本実施形態の概要)
車両に搭載されている車両駆動用の蓄電装置を充電する充電装置は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換する変換器と、直流電力を供給する内部電源と、前記蓄電装置の充電電力に関する情報を取得する取得部と、制御部と、を備え、前記変換器と前記内部電源とが接続形態を切り替え可能に接続されており、前記制御部は、前記取得部によって取得された前記情報に応じて前記変換器と前記内部電源との接続形態を切り替えることにより、当該充電装置の出力電力を前記外部電源から供給される電力以下の出力電力又は前記外部電源から供給される電力より高い出力電力に切り替える。
【0012】
上記の充電装置によると、外部電源から供給される電力より高い充電電力を要求する車両と外部電源から供給される電力以下の充電電力を要求する車両とが混在しても一の充電装置によってそれらの車両の蓄電装置を急速充電できる。このため、車両が要求する充電電力毎に充電装置を用意する場合に比べて充電装置のコストや設置スペースを低減できる。
商用電源などの外部電源から大きな電力を受電することはコストの面で将来的にも難しいと考えられるが、車両が要求する充電電力は車種、時代、あるいは世の中の流れの変化によって高くなっていくことが予想される。すなわち、充電装置への入力電力は変化せず、充電装置の出力電力だけが変化していくことが考えられる。上記の充電装置によると、蓄電装置の数を変更することによって出力電力を変更することが可能であるので、充電装置への入力電力はそのままで出力電力の変化に対応できる。
家庭では事業所などに比べて受電電力が小さい契約形態が一般である。上記の充電装置によると、入力された電力以上の電力を出力できるので、家庭においても従来に比べて容量の大きい蓄電装置を急速充電できる。このため家庭で車両を充電する場合の利便性が向上する。
【0013】
前記変換器は出力電圧及び出力電流が可変であり、前記制御部は前記情報に応じて前記変換器の出力電圧及び出力電流を制御してもよい。
【0014】
充電電力が同じであっても車両によって充電電圧や充電電流が異なることがある。上記の充電装置によると、蓄電装置の充電電力に関する情報に応じて変換器の出力電圧及び出力電流を制御するので、車両ごとに適切な電圧値及び電流値の充電電力を供給できる。
【0015】
当該充電装置は前記変換器として第1の変換器と第2の変換器とを備えており、前記変換器と前記内部電源との接続形態には、前記第2の変換器と前記内部電源とが並列に接続され、それらに対して前記第1の変換器が充電電流の流れ方向の上流側に直列に接続される第1の接続形態と、前記第1の変換器と前記第2の変換器とが並列に接続され、それらに対して前記内部電源が充電電流の流れ方向の下流側に直列に接続される第2の接続形態とがあり、前記制御部は、前記車両が要求する充電電力が前記外部電源から供給される電力以下の場合は前記第1の接続形態に切り替え、前記外部電源から供給される電力より高い場合は前記第2の接続形態に切り替えてもよい。
【0016】
上記の充電装置によると、車両が要求する充電電力が外部電源から供給される電力以下の場合は第1の接続形態に切り替えることによって車両が要求する充電電力を供給できる。一方、車両が要求する充電電力が外部電源から供給される電力より高い場合は第2の接続形態に切り替えることによって車両が要求する充電電力を供給できる。
【0017】
前記内部電源は蓄電装置であってもよい。
【0018】
上記の充電装置によると、内部電源が蓄電装置であるので、第1の接続形態に切り替えられているときに第2の変換器によって内部電源が充電される。このため、第2の接続形態に切り替えたときに内部電源の電圧が低いことによって車両の蓄電装置を急速充電できない可能性を低減できる。
【0019】
前記制御部は、前記第1の接続形態では、前記第2の変換器の出力電圧及び出力電流を一定に制御し、当該充電装置の出力電圧及び出力電流が前記情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、前記第2の変換器から前記内部電源に流れる電流の変化に応じて前記第1の変換器を制御してもよい。
【0020】
内部電源の充電が進行すると第2の変換器から内部電源に流れる電流が徐々に減少する。すなわち、第2の変換器の出力電圧及び出力電流を一定にしても、第2の変換器から内部電源に流れる電流は充電の進行に伴って変化する。上記の充電装置によると、第2の変換器から内部電源に流れる電流が変化しても第1の変換器を制御することにより車両に一定の出力電圧及び出力電流を供給できる。
【0021】
前記制御部は、前記第2の接続形態では、当該充電装置の出力電圧及び出力電流が前記情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、前記内部電源の電圧の変化に応じて前記第1の変換器及び前記第2の変換器を制御してもよい。
【0022】
第2の接続形態では内部電源が車両の蓄電装置の充電に用いられるので、内部電源の電圧が放電に伴って徐々に降下する。上記の充電装置によると、内部電源の電圧が変化しても車両に一定の出力電圧及び出力電流を供給できる。
【0023】
前記変換器と前記内部電源との接続形態には、更に、前記第1の変換器と前記第2の変換器とが並列に接続され、前記内部電源が切り離される第3の接続形態があり、前記制御部は、前記車両が要求する充電電力が前記外部電源から供給される電力以下である場合に、前記車両が要求する充電電圧が前記内部電源の電圧より高い場合は前記第1の接続形態に切り替え、前記内部電源の電圧より低い場合は前記第3の接続形態に切り替えてもよい。
【0024】
上記の充電装置によると、車両が要求する充電電力が外部電源から供給される電力以下であり、且つ、車両が要求する充電電圧が内部電源の電圧より低い場合は第3の接続形態に切り替えることによって内部電源を切り離すので、内部電源から車両の蓄電装置に放電されることを防止できる。このため、その後に第2の接続形態に切り替えたときに内部電源の電圧が低いことによって車両の蓄電装置を急速充電できない可能性を低減できる。
【0025】
本明細書によって開示される技術は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0026】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
【0027】
(1)充電装置の構成
図1を参照して、実施形態に係る充電装置1の構成について説明する。充電装置1は例えば充電スタンドや事業所などに備えられ、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの車両3に搭載されている図示しない車両駆動用の蓄電装置(以下、車両側バッテリという)を急速充電する。
【0028】
充電装置1は車両3のECUから車両側バッテリの充電電力に関する情報(以下、充電情報という)を受信(取得の一例)し、商用電源2(外部電源の一例)から供給される交流電力を充電情報に応じた直流の出力電圧及び出力電流に変換して車両3に出力する。充電情報は、具体的には例えば車両3が要求する充電電圧値及び充電電流値である。充電情報には車両3が要求する充電電力を表す情報が含まれてもよい。
【0029】
本実施形態では商用電源2の契約形態は3相、200V、50Hz、50kW未満であるとする。車両側バッテリを充電する規格として現在広く普及している規格は充電電力が50kW未満であるが、将来的には車両3が50kW以上の充電電力を要求することが予想される。このため充電装置1は蓄電装置12(内部電源の一例)を備えており、商用電源2の契約形態が50kW未満であっても蓄電装置12を用いることによって50kW以上の電力を出力できる。上述した契約形態は一例である。契約形態は上述した形態に限定されるものではない。
【0030】
ただし、今後しばらくの間は50kW未満の充電電力を要求する車両3と50kW以上の充電電力を要求する車両3とが混在することが考えられる。このため、充電装置1は充電電力が50kW未満の車両3と50kW以上の車両3との両方を充電可能に構成されている。
【0031】
図1に示すように、充電装置1は第1の充電器10、第2の充電器11、蓄電装置12、充電コネクタ13、第1の切替スイッチ14、第2の切替スイッチ15、スイッチ16、及び、ダイオード17を備えており、これらが電力線20a~20fによって接続されている。
【0032】
第1の充電器10の正極は電力線20aを介して蓄電装置12の負極に接続されており、負極は電力線20bを介して充電コネクタ13に接続されている。詳しくは後述するが、第1の充電器10は制御部23(図2参照)を備えている。第1の充電器10の制御部23は通信線21a~21cを介して充電コネクタ13、蓄電装置12及び第2の充電器11の制御部23と通信可能に接続されている。
【0033】
第1の充電器10の出力電圧、出力電流及び最大出力は以下の通りである。
出力電圧(直流電圧):48~300V
出力電流(直流電流):0~125A
最大出力:25kW
上述した出力電圧、出力電流及び最大出力は一例である。第1の充電器10の出力電圧、出力電流及び最大出力は適宜に決定できる。
【0034】
第2の充電器11は第1の充電器10と同一構成である。第2の充電器11の負極には第1の切替スイッチ14が接続されており、正極には第2の切替スイッチ15が接続されている。
【0035】
第1の切替スイッチ14の接点Aは第1の充電器10の負極と充電コネクタ13とを接続している電力線20bから分岐する電力線20cに接続されている。第1の切替スイッチ14の接点B及び第2の切替スイッチ15の接点Cは電力線20dと電力線20eとを介して電力線20aに接続されている。第2の切替スイッチ15の接点Dは電力線20fを介して充電コネクタ13に接続されている。
【0036】
ダイオード17は電力線20dと電力線20fとを接続している電力線20gに設けられている。ダイオード17は後述する第1の接続形態において電流が逆流することを防止するために設けられている。
蓄電装置12は50kW以上100kW未満の充電電力を要求する車両3が接続された場合に不足する電圧を補うためのものである。蓄電装置12の負極は電力線20aを介して第1の充電器10の正極に接続されており、正極はスイッチ16を介して電力線20fに接続されている。
【0037】
蓄電装置12の最大電圧、容量及び放電電力は以下の通りである。
最大電圧:250V
容量:200Ah
放電電力:50kW
上述した最大電圧、容量及び放電電力は一例である。蓄電装置12の最大電圧、容量及び放電電力は適宜に決定できる。
【0038】
充電コネクタ13は車両3に設けられている図示しない充電インレットに接続されるものである。充電コネクタ13が充電インレットに接続されることによって充電装置1が車両側バッテリに電気的に接続されるとともに、第1の充電器10の制御部23が車両3のECUと通信可能に接続される。
【0039】
(1-1)第1の充電器及び第2の充電器の電気的構成
図2を参照して、第1の充電器10及び第2の充電器11の電気的構成について説明する。第1の充電器10と第2の充電器11とは同一構成であるのでここでは第1の充電器10を例に説明する。第1の充電器10は商用電源2から供給される交流電力を直流電力に変換する変換器22、及び、変換器22を制御する制御部23を備えている。
【0040】
変換器22は出力電圧及び出力電流が可変であり、商用電源2から供給される交流電力を制御部23から指示された電圧値及び電流値の直流電力に変換する。変換器22は交流電力を指示された電圧値及び電流値の直流電力に変換可能な構成であれば任意の構成であってよい。第1の充電器10の変換器22は第1の変換器の一例であり、第2の充電器11の変換器22は第2の変換器の一例である。
【0041】
制御部23はCPU、ROM、RAM、通信部などを備えている。前述した充電コネクタ13と通信部とは充電情報を取得する取得部の一例である。制御部23はCPUに替えて、あるいはCPUに加えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備えていてもよい。
【0042】
本実施形態では第1の充電器10の制御部23が主、第2の充電器11の制御部23が従の関係にあり、第1の充電器10の制御部23が充電装置1全体を制御する。第2の充電器11の制御部23が主、第1の充電器10の制御部23が従であってもよい。
【0043】
(1-2)蓄電装置の電気的構成
図3に示すように、蓄電装置12は組電池30及び電池管理装置31(BMS:Battery Management System)を備えている。組電池30は複数の電池セル32が直列接続されたものである。各電池セル32は繰り返し充電可能な二次電池であり、具体的には例えばリチウムイオン電池である。複数の電池セル32は並列接続されてもよいし、直列と並列とを組み合わせて接続されてもよい。
【0044】
BMS31は電流センサ33、電圧センサ34及び管理部35を備えている。電流センサ33は組電池30と直列に接続されており、組電池30に流れる電流の電流値I[A]を計測して管理部35に出力する。電圧センサ34は各電池セル32に並列に接続されており、各電池セル32の端子電圧である電圧値V[V]を計測して管理部35に出力する。
【0045】
管理部35は組電池30から供給される電力によって動作するものであり、CPU、ROM、RAM、通信部などを備えている。CPUは通信部を介して第1の充電器10の制御部23に組電池30の電流値Iや電圧値Vを出力する。管理部35はCPUに替えて、あるいはCPUに加えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備えていてもよい。
【0046】
(2)充電器の電流と電圧との関係、及び、蓄電装置の容量と電圧との関係
図4(A)を参照して、第1の充電器10及び第2の充電器11の電流と電圧との関係について説明する。ここでは第1の充電器10を例に説明する。図4(A)において実線40は出力電圧が25kWとなる出力電圧及び出力電流を示している。第1の充電器10の出力電圧及び出力電流の組み合わせが取り得る範囲は実線40の内側となる。
【0047】
図4(B)を参照して、蓄電装置12の容量と電圧との関係について説明する。蓄電装置12の電圧は充電に伴って上昇し、放電に伴って下降する。詳しくは後述するが、第1の充電器10の制御部23は、充電装置1の出力電力が、車両3が要求する充電電力となるように制御する。より具体的には、第1の充電器10の制御部23は、蓄電装置12に流れる電流の変化や蓄電装置12の電圧の変化に応じて図4(A)の実線40の内側となる範囲で第1の充電器10及び第2の充電器11の出力電圧及び出力電流を制御する。
【0048】
(3)複数の充電器と蓄電装置との接続形態
第1の充電器10、第2の充電器11及び蓄電装置12の接続形態には、図1に示す第1の接続形態(高圧、小電流に対応する接続形態)、図6に示す第2の接続形態(高圧、大電流に対応する接続形態)、及び、図8に示す第3の接続形態(低圧、大電流に対応する接続形態)の3つがある。これらの接続形態の切り替えは第1の充電器10の制御部23が第1の切替スイッチ14、第2の切替スイッチ15及びスイッチ16を切り替えることによって行われる。
【0049】
(3-1)第1の接続形態
図1に示すように、第1の接続形態では第1の切替スイッチ14が接点Bに接続され、第2の切替スイッチ15が接点Dに接続され、スイッチ16がオンにされる。すなわち、図5に模式的に示すように、第1の接続形態では第2の充電器11と蓄電装置12とが並列に接続され、それらに対して充電電流の流れ方向(図中において矢印41で示す方向)の上流側に第1の充電器10が直列に接続される。第1の充電器10は第2の充電器11と蓄電装置12とに対して充電電流の流れ方向の下流側に直列に接続されてもよい。
【0050】
図1に示すように、充電装置1は以下のような充電電圧、充電電流及び充電電力を要求する車両3が接続された場合に第1の接続形態に切り替えられる。
充電電圧:500V未満
充電電流:125A未満
充電電力:50kW未満
500V未満の具体的な充電電圧値や125A未満の具体的な充電電流値は車種によって異なる。具体的な充電電圧値や充電電流値は前述した充電情報として車両3から充電装置1に送信される。車両が要求する具体的な充電電力は充電電圧値と充電電流値との積として特定できる。
【0051】
この場合、充電装置1の最大出力電圧、最大出力電流及び最大出力電力は以下のように制御される。
最大出力電圧:500V未満
最大出力電流:125A未満
最大出力電力:50kW未満
【0052】
図1に示す例では車両3が要求する充電電圧が500V未満である。第1の充電器10及び第2の充電器11の最大出力電圧は300Vであるので、仮にこれらを並列に接続したとすると電圧が300Vのままとなり、車両3が要求する充電電圧を供給できない。これに対し、これらを直列に接続すると最大出力電圧が600Vになるので、車両3が要求する充電電圧を供給できる。
【0053】
前述したように第1の充電器10及び第2の充電器11の最大出力電流は125Aである。第1の充電器10と第2の充電器11とを直列に接続しても出力電流は125Aのままであるが、車両3が要求する充電電流が125A未満であるので、車両3が要求する充電電圧を供給するためにこれらを直列に接続しても車両3が要求する充電電流を供給できる。
【0054】
図1に示す例では蓄電装置12を用いなくても充電装置1の出力電圧が500V以上になる。このため蓄電装置12は車両側バッテリの充電には用いられず、車両側バッテリの充電中に第2の充電器11によって充電される。
具体的には、第1の接続形態では第2の充電器11の出力電圧及び出力電流が例えば295.2V、125Aに固定される。蓄電装置12の最大電圧は250Vであるので、第2の充電器11の出力電圧を295.2Vに固定すると第2の充電器11の電圧の方が蓄電装置12の電圧より高くなる。このため第2の充電器11によって蓄電装置12が充電される。第2の充電器11が蓄電装置12を充電する充電電流は125Aから車両3が要求する充電電流を減じた電流となる。例えば車両3が要求する充電電流が100Aであるとすると、蓄電装置12には25A(=125A-100A)の電流が供給される。
【0055】
第2の充電器11による蓄電装置12の充電が進行すると、第2の充電器11から蓄電装置12に流れる電流が徐々に減少する。このため、第1の充電器10の制御部23は蓄電装置12に流れる電流の減少を考慮して充電装置1の出力電圧及び出力電流を制御する。
具体的には、第1の充電器10の制御部23は蓄電装置12に流れる電流の電流値を蓄電装置12のBMS31から所定の時間間隔で受信し、第1の充電器10と第2の充電器11とを合わせた出力電圧及び出力電流が、車両3が要求する充電電圧及び充電電流となるように第1の充電器10の変換器22を動的に制御する。
【0056】
すなわち、第1の充電器10の制御部23は、充電装置1の出力電圧及び出力電流が充電情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、第2の充電器11から蓄電装置12に流れる電流の変化に応じて第1の充電器10の変換器22を制御する。このため、第2の充電器11から蓄電装置12に流れる電流が変化しても車両3に一定の出力電圧及び出力電流を供給できる。
【0057】
(3-2)第2の接続形態
図6に示すように、第2の接続形態では第1の切替スイッチ14が接点Aに接続され、第2の切替スイッチ15が接点Cに接続され、スイッチ16がオンにされる。すなわち、図7に模式的に示すように、第2の接続形態では第1の充電器10と第2の充電器11とが並列に接続され、それらの充電器に対して充電電流の流れ方向(図中において矢印42で示す方向)の下流側に蓄電装置12が直列に接続される。蓄電装置12はそれらの充電器に対して充電電流の流れ方向の上流側に直列に接続されてもよい。
【0058】
図6に示すように、充電装置1は以下のような充電電圧、充電電流及び充電電力を要求する車両3が接続された場合に第2の接続形態に切り替えられる。
充電電圧:500V未満
充電電流:200A未満
充電電力:50kW以上100kW未満
【0059】
この場合、充電装置1の最大出力電圧、最大出力電流及び最大出力電力は以下のように制御される。
最大出力電圧:500V未満
最大出力電流:200A未満
最大出力電力:100kW未満
【0060】
図6に示す例では車両3が要求する充電電流が200A未満である。第1の充電器10及び第2の充電器11の最大出力電流は125Aであるので、仮にこれらを直列に接続したとすると最大出力電流が125Aのままとなり、車両3が要求する充電電流を供給できない。これに対し、これらを並列に接続すると最大出力電流は250Aになるので、車両3が要求する充電電流を供給できる。
【0061】
図6に示す例では車両3が要求する充電電圧が500V未満である。第1の充電器10及び第2の充電器11の最大出力電圧は300Vであるので、車両3が要求する充電電流を供給するために第1の充電器10と第2の充電器11とを並列に接続すると出力電圧は300Vのままとなり、電圧が不足する。このため、この場合はこれらの充電器に蓄電装置12が直列に接続されることによって不足する電圧が補われる。前述したように蓄電装置12の最大電圧は250Vであるので、蓄電装置12を直列に接続すると最大出力電圧は550Vになり、車両3が要求する充電電圧を供給できる。
【0062】
第2の接続形態では蓄電装置12が放電動作となるので、蓄電装置12の電圧が徐々に低下する。このため、第1の充電器10の制御部23は蓄電装置12の電圧の低下を考慮して充電装置1の出力電圧及び出力電流を制御する。
具体的には、第1の充電器10の制御部23は蓄電装置12のBMS31から蓄電装置12の電圧値を所定の時間間隔で受信する。そして、第1の充電器10の制御部23は、第1の充電器10と第2の充電器11とが同じ出力電圧及び同じ出力電流の電力を出力するという条件の下で、第1の充電器10、第2の充電器11及び蓄電装置12を合わせた出力電圧及び出力電流が、車両3から要求された充電電圧及び充電電流となるよう第1の充電器10及び第2の充電器11の出力電圧及び出力電流を動的に決定する。
そして、第1の充電器10の制御部23は決定した出力電圧及び出力電流となるよう第1の充電器10の変換器22を動的に制御し、第2の充電器11の制御部23も第1の充電器10の制御部23に同調して第2の充電器11の変換器22を動的に制御する。
【0063】
すなわち、第1の充電器10の制御部23は、充電装置1の出力電圧及び出力電流が充電情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、蓄電装置12の電圧の変化に応じて第1の充電器10の変換器22及び第2の充電器11の変換器22を制御する。このため、蓄電装置12の電圧が変化しても車両3に一定の出力電圧及び出力電流を供給できる。
【0064】
(3-3)第3の接続形態
図8に示すように、第3の接続形態では第1の切替スイッチ14が接点Aに接続され、第2の切替スイッチ15が接点Cに接続され、スイッチ16がオフにされる。すなわち、図9に模式的に示すように、第3の接続形態では第1の充電器10と第2の充電器11とが並列に接続され、蓄電装置12は切り離される。
【0065】
図8に示すように、充電装置1は以下のような充電電圧、充電電流及び充電電力を要求する車両3が接続された場合に第3の接続形態に切り替えられる。
充電電圧:250V未満
充電電流:200A未満
充電電力:50kW未満
【0066】
この場合、充電装置1の最大出力電圧、最大出力電流及び最大出力電力は以下のように制御される。
最大出力電圧:250V未満
最大出力電流:200A未満
最大出力電力:50kW未満
【0067】
図8に示す例では車両3が要求する充電電流が200A未満である。第1の充電器10及び第2の充電器11の最大出力電流は125Aであるので、仮にこれらを直列に接続したとすると最大出力電流が125Aのままとなり、車両3が要求する充電電圧を供給できない。これに対し、これらを並列に接続すると最大電流は250Aとなるので、車両3が要求する充電電流を供給できる。
【0068】
図8に示す例では車両3が要求する充電電圧が250V未満である。第1の充電器10及び第2の充電器11の最大出力電圧は300Vであるので、車両3が要求する充電電流を供給するためにこれらを並列に接続しても車両3が要求する充電電圧を供給できる。
【0069】
第3の接続形態では車両の充電電圧が250V未満であり、蓄電装置12の最大電圧が250Vであるので、蓄電装置12の充電状態によっては蓄電装置12の電圧の方が充電電圧より高くなる。このため、スイッチ16が閉じていると蓄電装置12から車両側バッテリに電流が流れる可能性がある。すなわち蓄電装置12が放電される可能性がある。蓄電装置12が放電されると、その直後に50kW以上の充電電力を要求する車両3が接続された場合に、第2の接続形態に切り替えても蓄電装置12の電圧が足りずに車両3の蓄電装置を急速充電できない可能性がある。このため、第3の接続形態ではスイッチ16が開かれて蓄電装置12が切り離される。これにより蓄電装置12の放電が防止される。
【0070】
(4)接続形態の切り換え
第1の充電器10の制御部23は、充電コネクタ13が車両3に接続されると、車両3のECUから充電情報(充電電圧値及び充電電流値)を受信する。第1の充電器10の制御部23は受信した充電情報から車両3が要求する充電電力を特定し、車両3が要求する充電電力が50kW以上の場合は充電装置1を第2の接続形態に切り替える。
【0071】
車両3が要求する充電電力が50kW未満の場合は、第1の充電器10の制御部23は車両3が要求する充電電圧が蓄電装置12の電圧(250V)より高いか低いかを判断し、高い場合は第2の充電器11によって蓄電装置12を充電するために第1の接続形態に切り替える。一方、車両3が要求する充電電圧が蓄電装置12の電圧より低い場合は、第1の充電器10の制御部23は蓄電装置12を切り離すために第3の接続形態に切り替える。車両3が要求する充電電圧と蓄電装置12の電圧とが同じである場合は第1の接続形態に切り替えてもよいし、第2の接続形態に切り替えてもよい。
【0072】
(5)実施形態の効果
充電装置1によると、車両3のECUから充電情報を受信し、受信した充電情報に応じて充電装置1の出力電力を50kW未満(外部電源から供給される電力以下の出力電力)又は50kW以上(外部電源から供給される電力より高い出力電力)に切り替えるので、50kW未満の充電電力を要求する車両3と50kW以上の充電電力を要求する車両3とが混在しても一の充電装置1によってそれらの車両3の車両側バッテリを急速充電できる。このため、車両3が要求する充電電力毎に充電装置1を用意する場合に比べて充電装置1のコストや設置スペースを低減できる。
充電装置1によると、蓄電装置12の数を変更することによって出力電力を変更することが可能であるので、充電装置1への入力電力はそのままで、求められる出力電力の変化に対応できる。
充電装置1によると、入力された電力以上の電力を出力できるので、家庭においても従来に比べて容量の大きい蓄電装置を急速充電できる。このため家庭で車両3を充電する場合の利便性も向上する。
【0073】
充電装置1によると、充電情報に応じて第1の充電器10及び第2の充電器11の出力電圧及び出力電流を制御するので、車両3ごとに適切な電圧値及び電流値の充電電力を供給できる。
【0074】
充電装置1によると、車両3が要求する充電電力が50kW未満の場合は第1の接続形態に切り替えることによって車両3が要求する充電電力を供給できる。一方、車両3が要求する充電電力が50kW以上の場合は第2の接続形態に切り替えることによって車両3が要求する充電電力を供給できる。
【0075】
充電装置1によると、内部電源は蓄電装置12であり、第1の接続形態に切り替えられているときに第2の充電器11によって蓄電装置12が充電される。このため、第2の接続形態に切り替えたときに蓄電装置12の電圧が低いことによって車両側バッテリを急速充電できない可能性を低減できる。
【0076】
充電装置1によると、第1の接続形態では、第2の充電器11の出力電圧及び出力電流を一定に制御し、充電装置1の出力電圧及び出力電流が充電情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、第2の充電器11から蓄電装置12に流れる電流の変化に応じて第1の充電器10を制御するので、第2の充電器11から蓄電装置12に流れる電流が変化しても車両3に一定の出力電圧及び出力電流を供給できる。
【0077】
充電装置1によると、第2の接続形態では、充電装置1の出力電圧及び出力電流が充電情報に応じた出力電圧及び出力電流となるよう、蓄電装置12の電圧の変化に応じて第1の充電器10及び第2の充電器11を制御するので、蓄電装置12の電圧が変化しても車両3に一定の出力電圧及び出力電流を供給できる。
【0078】
充電装置1によると、車両3が要求する充電電力が50kW未満であり、且つ、車両3が要求する充電電圧が蓄電装置12の電圧より低い場合は第3の接続形態に切り替えることによって蓄電装置12を切り離すので、蓄電装置12から車両側バッテリに放電されることを防止できる。このため、その後に第2の接続形態に切り替えたときに蓄電装置12の電圧が低いことによって車両側バッテリを急速充電できない可能性を低減できる。
【0079】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0080】
(1)上記実施形態では充電器として第1の充電器10と第2の充電器11との2つを備えている場合を例に説明したが、充電器の数はこれに限られない。例えば充電器は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。充電器が1つの場合あるいは3つ以上の場合に充電器と蓄電装置12とをどのような接続形態に切り替え可能にするかは適宜に決定できる。例えば充電器が1つの場合、充電器と蓄電装置12とが直列に接続される接続形態、充電器と蓄電装置12とが並列に接続される接続形態、蓄電装置12が切り離される接続形態などに切り替えてもよい。
【0081】
(2)上記実施形態では第1の充電器10及び第2の充電器11がそれぞれ制御部23を備えているが、制御部23を一つだけ備え、その制御部23が第1の充電器10及び第2の充電器11を制御してもよい。
【0082】
(3)上記実施形態では蓄電装置12としてリチウムイオン電池を例に説明したが、蓄電装置12は鉛蓄電池であってもよい。
【0083】
(4)上記実施形態では内部電源として蓄電装置12を例に説明したが、内部電源はキャパシタであってもよいし、太陽電池でもよい。
【0084】
(5)上記実施形態では充電装置1が蓄電装置12を一つだけ備えている場合を例に説明したが、複数の蓄電装置12を備えていてもよい。例えば、充電装置1はリチウムイオン電池と鉛蓄電池とを並列に備えていてもよい。そして、急速充電が必要な車両3の場合はリチウムイオン電池を用いて充電し、急速充電が不要な車両3の場合は鉛蓄電池を用いて充電してもよい。
【0085】
(6)上記実施形態では充電装置1が車両3のECUから充電コネクタ13を介して有線で充電情報を受信する場合を例に説明したが、無線で受信してもよい。
上記実施形態では充電情報として充電電圧値及び充電電流値を受信する場合を例に説明したが、充電情報は車両3が要求する充電電圧値及び充電電流値を特定可能な情報であればこれに限られない。例えば車種によって充電電圧値及び充電電流値が決まっている場合は、車種を表す情報を充電情報として受信してもよい。
上記実施形態では充電装置1が通信によって充電情報を取得する場合を例に説明したが、充電情報の取得は通信に限定されない。例えば充電装置1に操作部を備え、オペレータが操作部を操作して充電情報を入力することによって充電情報を取得してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…充電装置、2…商用電源(外部電源の一例)、3…車両、12…蓄電装置(内部電源の一例)、13…充電コネクタ(取得部の一例)、22…変換器、23…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9