(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2018073761
(22)【出願日】2018-04-06
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142987(JP,A)
【文献】特開2013-156399(JP,A)
【文献】特開2010-038967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体にトナー像を定着させる定着装置であって、
無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周側に配置され、前記定着ベルトの内周面に対向する対向面を含む加圧部材と、
前記定着ベルトを介して前記加圧部材と対向して配置され、前記加圧部材と定着ニップ部を形成する加圧回転体と、
前記定着ベルトを加熱する加熱部と、を備え、
前記対向面は、凹状に湾曲する曲面部と、前記曲面部と連なり前記曲面部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流側に設けられた延長部と、を含み、
前記曲面部は、前記定着ベルトの幅方向に直交する断面において、前記搬送方向の下流側に向かうにつれて前記加圧回転体の中心に近づくように延びる形状を有しており、
前記延長部は、前記断面において、前記搬送方向の下流側に向かうにつれて前記加圧回転体の中心から離れるように延びる形状を有し
、
前記曲面部の曲率半径は、前記加圧回転体の半径よりも大きい、
定着装置。
【請求項2】
前記延長部の一部は、前記定着ニップ部の一部を構成している、請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記延長部は、前記曲面部よりも小さい曲率を有している、請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記延長部は、平坦状の形状を有している、請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記定着装置に対して前記搬送方向の下流側には前記記録媒体を案内するガイド部が設けられており、
前記断面において、前記延長部が延びる方向の仮想延長線は、前記ガイド部と接しない、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記対向面は、前記曲面部に対して前記搬送方向の上流側に設けられた平面部をさらに含み、
前記平面部は、前記曲面部と連なり、
前記平面部は、前記断面において、前記加圧回転体が前記加圧部材を押圧する方向に直交する仮想線に対して傾いており、
前記平面部は、前記断面において、前記搬送方向の下流側に向かうにつれて前記仮想線に近づく方向に傾いている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記断面において、前記延長部と前記平面部との成す角は、0.5[°]以上10[°]以下である、請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記曲面部の曲率円の中心は、前記加圧回転体の前記中心に対して、前記搬送方向の上流側に規定されている、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載された定着装置と、
前記記録媒体を収容する収容部とを備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無端状のベルトの内周側に配置されたパッドと、上記パッドと対向するローラーと、によって形成される定着ニップ部で記録媒体にトナー像を定着させる技術が、たとえば特開2014-134701号公報(特許文献1)、および、特開2016-142987号公報(特許文献2)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-134701号公報
【文献】特開2016-142987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示される定着装置において、良好な定着性を確保するため、記録媒体の搬送方向下流側ほど定着ニップ部の圧力が高くなる構成とすることが望ましい。しかし、上記構成であっても、搬送方向におけるパッドの最下流部でニップ圧がピークとなり、ローラーに対するパッドの食い込み量が大きくなる。ローラーへの食い込み量が大きくなることに起因して、記録媒体が狙いの搬送方向に対して斜めに排出され、ベルトに対して十分な分離性を得られない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、良好な定着性と分離性とを両立できる定着装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る定着装置は、記録媒体にトナー像を定着させる。上記定着装置は、無端状の定着ベルトと、加圧部材と、加圧回転体と、前記定着ベルトを加熱する加熱部と、を備えている。上記加圧部材は、上記定着ベルトの内周側に配置されている。上記加圧部材は、上記定着ベルトの内周面に対向する対向面を含んでいる。上記加圧回転体は、上記定着ベルトを介して上記加圧部材と対向して配置されている。上記加圧回転体は、上記加圧部材と定着ニップ部を形成している。上記対向面は、凹状に湾曲する曲面部と、延長部とを含んでいる。上記曲面部は、上記定着ベルトの幅方向に直交する断面において、上記搬送方向の下流側に向かうにつれて上記加圧回転体の中心に近づくように延びる形状を有している。上記延長部は、上記曲面部と連なっている。上記延長部は、上記曲面部に対して上記記録媒体の搬送方向の下流側に設けられている。上記延長部は、上記断面において、上記搬送方向の下流側に向かうにつれて上記加圧回転体の中心から離れるように延びる形状を有している。
【0007】
上記定着装置によると、ニップ入口から曲面部の下流端に向かうにつれて徐々に圧力が増加する圧力分布を維持しつつ、記録媒体の搬送経路を安定させることができる。これにより、良好な定着性と分離性とを両立することができる。
【0008】
上記定着装置において、上記延長部の一部は、上記定着ニップ部の一部を構成している。これにより、記録媒体の搬送経路をより安定させることができる。
【0009】
上記定着装置において、上記延長部は、上記曲面部よりも小さい曲率を有している。これにより、良好な定着性と分離性とを両立することができる。
【0010】
上記定着装置において、上記延長部は、平坦状の形状を有している。これにより、記録媒体の搬送経路をより安定させることができる。さらに、記録媒体の曲がり量を抑制することができる。
【0011】
上記定着装置において、上記定着装置に対して上記搬送方向の下流側には上記記録媒体を案内するガイド部が設けられている。上記断面において、上記延長部が延びる方向の仮想延長線は、上記ガイド部と接しない。これにより、搬送不良、および、記録媒体上に定着されたトナー画像とガイド部とのこすれに起因する画像ノイズの発生を抑制することができる。
【0012】
上記定着装置において、上記対向面は、上記曲面部に対して上記搬送方向の上流側に設けられた平面部をさらに含んでいる。上記平面部は、上記曲面部と連なっている。上記平面部は、上記断面において、上記加圧回転体が上記加圧部材を押圧する方向に直交する仮想線に対して傾いている。上記平面部は、上記断面において、上記搬送方向の下流側に向かうにつれて上記仮想線に近づく方向に傾いている。これにより、平面部における加圧回転体の弾性変形量が小さくなるため、ニップ入口付近の圧力を下げることができる。
【0013】
上記定着装置において、上記断面における上記延長部と上記平面部との成す角は、0.5[°]以上10[°]以下である。これにより、品質を確保した上で定着性を向上できる。
【0014】
上記定着装置において、上記曲面部の曲率半径は、上記加圧回転体の半径よりも大きい。これにより、ニップ入口から下流端までの間で急激な圧力上昇を抑制することができる。
【0015】
上記定着装置において、上記曲面部の曲率円の中心は、上記加圧回転体の上記中心に対して、上記搬送方向の上流側に規定されている。これにより、ニップ入口からニップ出口へ向かって徐々に圧力を高くすることができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置は、上記のいずれかの局面の定着装置と、記録媒体を収容する収容部とを備える。これにより、良好な定着性と分離性とを両立することができる画像形成装置を実現できる。
【発明の効果】
【0017】
本開示に従えば、良好な定着性と分離性とを両立することができる、定着装置および画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1の画像形成装置の概略図である。
【
図2】実施の形態1の定着装置の概略断面図である。
【
図3】
図2中のIII方向から見た際の定着装置の構成の概略を示す図である。
【
図5】平面部と延長部との関係を示す概略図である。
【
図6】曲面部と加圧回転体との関係を示す図である。
【
図7】定着ニップ部を通過直後の記録媒体の搬送経路を示す図である。
【
図9】実施例1から実施例3、および、比較例1から比較例5の加圧部材に対する評価結果を示す表である。
【
図10】実施例2および比較例4の加圧部材を定着装置に適用した場合における定着ニップ部の圧力分布を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0020】
[実施の形態1]
<画像形成装置100>
図1は、実施の形態1の画像形成装置100の概略図である。実施の形態1の画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられる。画像形成装置100は、ベルト部材として中間転写ベルト3と、画像形成部4Y,M,C,Kと、二次転写部12と、定着装置1とを備えている。
【0021】
中間転写ベルト3は、反時計回り(
図1中A方向)に回転する。中間転写ベルト3の下側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色にそれぞれ対応する4つの画像形成部4Y、4M、4C、4Kが中間転写ベルト3に沿って並んで配置されている。
【0022】
以下、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のうち主にイエロー(Y)に係る構成について説明するが、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の構成についてもイエロー(Y)と同様の構成である。
【0023】
画像形成部4Yは、感光体ドラム5Yと、帯電器6Yと、画像露光装置7Yと、現像器8Yと、1次転写ローラー9Yと、を含んでいる。感光体ドラム5Yは、時計回りに回転する。感光体ドラム5Yの周囲には、感光体ドラム5Yの回転方向に沿って、帯電器6Yと、画像露光装置7Yと、現像器8Yと、1次転写ローラー9Yとが、この順に配置されている。1次転写ローラー9Yは、中間転写ベルト3を介して感光体ドラム5Yと対向している。
【0024】
画像形成装置100の概略動作について説明する。画像形成装置100は、図示しない制御部をさらに備えている。制御部は、図示しない画像信号処理部を含んでいる。画像信号処理部は、外部装置(例えばパーソナルコンピューター)から画像信号が入力されると、上記画像信号をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックに色変換したデジタル画像信号を作成する。制御部は、上記デジタル画像信号に基づいて、画像露光装置7Yを発光させ、感光体ドラム5Yへ露光を行う。これにより、感光体ドラム5Y上に静電潜像が形成される。上記静電潜像は、現像バイアスを印加された現像器8Yにより現像されてトナー像となる。
【0025】
各現像器8Y,M,C,Kにより現像された各色のトナー像は、転写バイアスが印加された各1次転写ローラー9Y,M,C,Kの作用により、矢印A方向に移動する中間転写ベルト3上に順次重ね合わせて1次転写される。中間転写ベルト3に1次転写された各色のトナー像は、搬送経路11に沿って、二次転写部12に搬送される。
【0026】
画像形成装置100は、着脱可能な収容部2と、給紙ローラー2aと、レジストローラー2bとをさらに備えている。収容部2は、記録媒体を収容している。実施の形態において、記録媒体は、普通紙Pである。収容部2内に積載収容された普通紙Pは、給紙ローラー2aの回転によって、1枚ずつレジストローラー2bに向かって搬送され、レジストローラー2bから搬送経路11に沿って、二次転写部12に搬送される。
【0027】
二次転写部12において、中間転写ベルト3上に1次転写されて重ね合わされた各色トナー像は、転写バイアスが印加され、収容部2から搬送される普通紙Pに転写される(2次転写)。各色トナー像が2次転写された普通紙Pは、定着装置1に搬送される。
【0028】
画像形成装置100は、クリーニング部27をさらに備えている。クリーニング部27は、二次転写部12において普通紙Pに各色トナー像が転写された後の、中間転写ベルト3上に残留したトナーを除去する。
【0029】
定着装置1は、二次転写部12に対して搬送経路11の下流側に配置されている。トナー像が転写された普通紙Pは、定着装置1を通過する。定着装置1を通過する際、普通紙Pは、定着装置1に加圧および加熱される。これにより、トナー像が普通紙Pに定着される。トナー像が定着された普通紙Pは、排紙ローラー13を介して排紙トレイ26に排出される。
【0030】
(定着装置1)
図2は、実施の形態1の定着装置1の概略断面図である。
図3は、
図2中のIII方向から見た際の定着装置1の構成の概略を示す図である。
図2および
図3を参照して、定着装置1について説明する。定着装置1は、無端状の定着ベルト10と、加熱部40と、加圧回転体30と、加圧部材20と、固定部材80と、を含んでいる。
【0031】
定着ベルト10は、図示しない基層と、弾性層と、離形層とから成る。無端状に設けられた定着ベルト10の外径は任意であるが、10[mm]以上100[mm]以下が好ましい。基層は、ポリイミド、SUS、およびニッケル電鋳等から成る。基層の厚みは、5[μm]以上100[μm]以下が好ましい。弾性層は、シリコーンゴム、およびフッ素ゴム等の耐熱性の高い材料が好ましい。弾性層の厚みは、10[μm]以上300[μm]以下が好ましい。離型層は、フッ素チューブおよびフッ素系コーティング等の離型性を付与した構成が好ましい。離型層の厚みは、5[μm]以上100[μm]以下が好ましい。
【0032】
図3中に示された両矢印は、幅方向DR1を示している。幅方向DR1は、普通紙Pの搬送方向(
図2中の矢印B方向)に直交する方向であり、定着ベルト10の幅方向である。幅方向DR1は、
図3中の左右方向である。幅方向DR1方向は、後述する加圧回転体30の軸方向とほぼ平行である。
【0033】
実施の形態において、加熱部40は、定着ベルト10の内周側に配置されている。加熱部40は、加熱ローラー41、および加熱源であるハロゲンランプ42を有している。加熱ローラー41の内周側にハロゲンランプ42が設けられている。ハロゲンランプ42は、加熱ローラー41を介して定着ベルト10を加熱する。
【0034】
円筒状の加熱ローラー41は、アルミおよびステンレス鋼(SUS)等の金属から成る。加熱ローラー41の外径は任意であるが、10[mm]以上100[mm]以下が好ましく、加熱ローラー41の外周部41aの厚みは0.1[mm]以上5[mm]以下が好ましい。熱源にハロゲンランプ42を用いる場合、加熱ローラー41の内周面を黒色にすることが好ましい。異物等による外表面への傷を防止するため、加熱ローラー41の外周面にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コートなどを行ってもよい。
【0035】
熱源は、ハロゲンランプ42を用いる場合の他に、加熱ローラー41および定着ベルト10を誘導加熱(IH)する方式、および、加熱ローラー41および定着ベルト10を抵抗発熱体とし発熱させる方式等があげられる。
【0036】
加圧部材20は、定着ベルト10の内周側に配置されている。加圧部材20は、定着ベルト10の内周面に対向して配置されている。実施の形態において、加圧部材20は、パッドである。加圧部材20は、幅方向DR1に延びる形状を有している。加圧部材20は、ポリフェニレンスルファイド、ポリイミド、および液晶ポリマー等の樹脂、アルミ、および鉄等の金属、並びに、セラミック等から成る。加圧部材20は、シリコーンゴム、および、フッ素ゴム等から成る別部材との2部品で構成してもよい。加圧部材20の詳細については後述する。
【0037】
固定部材80は、定着ベルト10の内周側に配置されている。固定部材80は、加圧部材20に対して加圧回転体30の反対側に配置されている。固定部材80は、加圧部材20を固定してる。
【0038】
加圧回転体30は、定着ベルト10を介して加圧部材20と対向して配置されている。実施の形態において、加圧回転体30は、加圧ローラーである。加圧回転体30は、加圧部材20と定着ニップ部Nを形成している。加圧回転体30は、バネなどを用いた不図示の加圧機構によって所定の加圧力で、加圧部材20に向かって圧接される。加圧回転体30は、図示しないモーター等の駆動装置によって所定の回転速度で駆動回転する。加圧回転体30は、中心C1を中心に回転する。加圧回転体30の外径は任意であるが、20[mm]以上100[mm]以下が好ましい。
【0039】
加圧回転体30は、筒状の芯金30aと、芯金30aを覆う弾性層30bと、弾性層30bを覆う離型層30cとを有している。芯金30aは、アルミ、および鉄等の金属が好ましい。芯金30aの厚みは、0.1[mm]以上10[mm]以下が好ましい。芯金30aは、中実となっている場合、および断面形状が三ツ矢形状等の異型となっている場合もある。弾性層30bは、シリコーンゴム、およびフッ素ゴム等の耐熱性の高い材料が好ましい。弾性層30bの厚みは、1[mm]以上20[mm]以下が好ましい。離型層30cは、フッ素チューブおよびフッ素系コーティング等の離型性を付与した構成が好ましい。離型層30cの厚みは、5[μm]以上100[μm]以下が好ましい。加圧回転体30の表面硬度は、40[°]以上60[°](アスカーC硬度)が好ましい。表面硬度が大きすぎると加圧回転体30が弾性変形しにくく、表面硬度が小さすぎると、定着ニップ部Nにおける圧力(以下、ニップ圧)が小さくなる。
【0040】
定着装置1は、シート状の摺動部材70と、支持部材90と、潤滑部材60とをさらに含んでいる。摺動部材70は、定着ベルト10の内周面と加圧部材20との間に配置されている。摺動部材70は、ガラスクロスを基材とし、摺動面をフッ素系樹脂で被覆した構成が一般的である。摺動部材70は、フッ素繊維の織物や、フッ素樹脂シート、ガラスコートなどが用いられる。摺動部材70が用いられることにより、定着ベルト10の内周面と加圧部材20との摺動抵抗が減少し、安定して定着ベルト10が回転する。
【0041】
しかし、定着ベルト10と摺動部材70とが摺動し続けることにより、摺動抵抗が増加し、定着ベルト10の回転不良が発生する場合がある。定着ベルト10の回転不良を抑制するため、定着ベルト10と摺動部材70との間に潤滑剤を塗布する。潤滑剤を塗布することにより、定着ベルト10および摺動部材70の摩耗を抑制することができ、定着ベルト10および摺動部材70の耐久性を向上させることができる。
【0042】
潤滑剤には耐熱性の高いシリコン系、または、フッ素系の潤滑剤を採用することが好ましく、より具体的には、フッ素グリスが好ましい。粘度が高く、固形成分を含むグリスを用いることで定着ニップ部Nに潤滑剤が留まりやすいため、オイルを採用する場合と比較して、定着ベルト10および摺動部材70の摩耗をより効果的に抑制することができる。
【0043】
潤滑剤を定着ニップ部Nに保持するための構成としては、摺動部材70の表面に凹凸を設けることが好ましい。凹凸の大きさは任意であるが、潤滑剤を維持する機能と、凹凸に起因した画像ムラを抑制する観点から、表面粗さRaが1[μm]以上50[μm]が好ましい。
【0044】
支持部材90は、加圧部材20に対して、定着ベルト10の回転方向(
図2中のC方向)の下流側に配置されている。支持部材90は、定着ベルト10の内周面側から定着ベルト10を支持している。支持部材90には、潤滑部材60が設けられている。
【0045】
潤滑部材60は、定着ベルト10の内周面に接触して配置されている。潤滑部材60は、潤滑剤を保持する機能を有している。潤滑部材60は、アラミド繊維およびフッ素繊維など耐熱性の高い繊維状の物、並びに、シリコンスポンジ等の耐熱性の高い多孔質上の物が好ましい。
【0046】
上記で説明した定着ベルト10の内周面に塗布された潤滑剤は、定着ニップ部Nの圧力により、定着ベルト10の幅方向DR1における端部から押し出されるという問題がある。潤滑部材60を定着ベルト10の内周面側に設けることで、一定量の潤滑剤を定着ベルト10の内周面に維持することができる。
【0047】
潤滑部材60を支持部材90に設けることにより、潤滑部材60を定着ベルト10に安定して接触させることができる。さらに、支持部材90から離れる方向に潤滑部材60を突き出すこと、および、支持部材90のほぼ中央に配置することで、定着ベルト10との接触をより安定させることができる。
【0048】
定着ベルト10は、加熱ローラー41、加圧部材20、および支持部材90によって張架されている。定着ベルト10は、定着ニップ部Nでの加圧回転体30との圧接摩擦力によって、加圧回転体30の回転に伴って、従動回転する(
図2中のC方向)。
【0049】
トナー像Tが転写された普通紙Pは、トナー像Tが転写された表面を加熱された定着ベルト10側に向けた状態で定着ニップ部Nに搬送されて、定着ニップ部Nを通過する。定着ニップ部Nを通過する普通紙Pは、定着ベルト10に押圧されて加熱される。これにより、トナー像Tが普通紙Pに定着される。
【0050】
(加圧部材20)
図4は、
図2に示す領域IVの拡大概略図である。
図4では、加圧部材20について説明しやすいように摺動部材70、芯金30a、および弾性層30bの記載を省略している。
図4では、弾性変形後の加圧回転体30を記載しているが、弾性変形前における加圧回転体30の形状がわかるように、弾性変形部の変形前形状を2点鎖線で示している。
【0051】
加圧部材20は、対向面21を有している。対向面21は、定着ベルト10の内周面に対向している。加圧回転体30は、対向面21の表面形状に倣うように弾性変形する。対向面21は、ニップ上流部25と、平面部24と、曲面部22と、延長部23とを有している。
【0052】
ニップ上流部25は、対向面21のうち普通紙Pの搬送方向(
図4中の矢印B。以下、単に搬送方向という)の最上流部に設けられている。ニップ上流部25は、湾曲状の形状を有している。ニップ上流部25には、定着ニップ部Nは形成されていない。ニップ上流部25に対して搬送方向の下流側には、平面部24が設けられている。
【0053】
平面部24は、ニップ上流部25と滑らかに連なっている。平面部24は、ほぼ平滑な形状を有している。平面部24は、幅方向DR1に直交する断面(以下、断面Z)において、ほぼ真っ直ぐに延びる形状を有している。平面部24は、断面Zにおいて、加圧回転体30が加圧部材20を押圧する方向(
図4中の白抜き矢印D方向)に直交する仮想線L1に対して傾いている。平面部24は、断面Zにおいて、搬送方向の下流側に向かうにつれて仮想線L1に近づく方向に傾いている。断面Zにおいて、平面部24が延びる方向の仮想延長線L2と仮想線L1との成す角αは、たとえば4.8[°]である。成す角αは、0.5[°]以上20[°]以下が好ましい。平面部24には、定着ニップ部Nの最上流部が形成されている(以下、ニップ入口Ni)。平面部24に対して搬送方向の下流側には、曲面部22が設けられている。
【0054】
曲面部22は、上流端22aおよび下流端22bを有している。上流端22aは、搬送方向上流側の曲面部22の端部である。下流端22bは、搬送方向下流側の曲面部22の端部である。曲面部22は、上流端22aで平面部24と滑らかに連なっている。曲面部22は、幅方向DR1に延びる形状を有している。曲面部22は、凹状に湾曲する形状を有している。曲面部22は、固定部材80に向かって窪む形状を有している。対向面21が固定部材80に向かって窪むことにより、曲面部22が形成されている。
【0055】
曲面部22は、断面Zにおいて、搬送方向の下流側に向かうにつれて加圧回転体30の中心C1に近づく(加圧回転体30の外周面に食い込む)ように延びる形状を有している。曲面部22と接触する領域における加圧回転体30の弾性変形量は、搬送方向の下流側に向うにつれて大きくなっていく。下流端22bにおける加圧回転体30の弾性変形量(
図4中のX)は、上流端22aにおける加圧回転体30の弾性変形量(
図4中のY)よりも大きい。
【0056】
上記の構成により、曲面部22におけるニップ圧は、搬送方向の下流側に向かうにつれて大きくなっていく。曲面部22は、対向面21の中でニップ圧が高い領域を形成している。下流端22bにおけるニップ圧は、曲面部22におけるニップ圧の中で最も高い。曲面部22に対して搬送方向の下流側には、延長部23が設けられている。
【0057】
延長部23は、下流端22bで曲面部22と連なっている。延長部23は、下流端22bから搬送方向の下流側に向かって延びている。延長部23は、断面Zにおいて、搬送方向の下流側に向かうにつれて加圧回転体30の中心C1から離れるように延びる形状を有している。実施の形態において、延長部23が延びる方向は、仮想線L1が延びる方向とほぼ平行である。
【0058】
実施の形態において、延長部23は、平坦状の形状を有している。ここでいう「平坦」とはおおよそ平坦であることを意味するものであり、微小な曲率を有しわずかに湾曲する面をも「平坦」に含まれるものとする。が延長部23の一部は、定着ニップ部Nの一部を構成している。延長部23には、定着ニップ部Nの一部が形成されている。延長部23は、定着ニップ部Nに係る領域と、定着ニップ部Nに係らない領域(非定着ニップ領域)とが形成されている。延長部23には、定着ニップ部Nの最下流部が形成されている(以下、ニップ出口No)。
【0059】
ニップ入口Niから突入した普通紙Pは、定着ニップ部Nを通過して、ニップ出口Noから排出される(
図4中の矢印E)。普通紙Pが搬送される経路は、対向面21の表面形状に従って規定される。普通紙Pは、延長部23の表面に沿って搬送される。
【0060】
図5は、平面部24と延長部23との関係を示す概略図である。断面Zにおいて、平面部24は、延長部23に対して傾斜している。断面Zにおいて、平面部24が延びる方向(
図5中のF方向)の仮想延長線L2と延長部23が延びる方向(
図5中のG方向)の仮想延長線L3との成す角βは、たとえば2.5[°]である。成す角βは、0.5[°]以上10[°]以下が好ましい。
【0061】
図6は、曲面部22と加圧回転体30との関係を示す概略図である。曲面部22の曲率半径R2は、加圧回転体30の半径R1よりも大きい。曲面部22の曲率円の中心C2は、加圧回転体30の中心C1に対して、普通紙Pの搬送方向(
図6中のB方向)の上流側に規定されている。
【0062】
(ガイド部50)
図7は、定着ニップ部Nを通過直後の記録媒体の搬送経路を示す図である。定着装置1に対して搬送方向の下流側には普通紙Pを案内するガイド部50が設けられている。定着ニップ部Nを通過する普通紙Pは、ガイド部50が延びる方向に沿うように定着装置1よりもさらに下流側へ搬送される。ガイド部50により普通紙Pの搬送経路の一部が構成されている。延長部23が延びる方向の仮想延長線L3は、ガイド部50と接しない。延長部23が延びる方向の延長上にはガイド部50が配置されていない。
【0063】
(作用効果)
図4に示すように、定着ニップ部Nのうち、比較的ニップ入口Niに近い部分で、高いニップ圧が普通紙Pに作用した場合、トナー像Tの表面部しか溶融していない状態で、普通紙Pにトナー像Tが定着させられる(トナー像Tが普通紙Pの表面上の微細な凹凸に押し込まれる)ことになる。トナー像Tの表面部しか溶融していない状態においては、普通紙Pの表面上の微細な凹凸にトナー像が入り込みにくいため、定着不良が発生する。
【0064】
実施の形態において、加圧部材20には凹状に湾曲する曲面部22が設けられている。曲面部22が凹状に湾曲していることにより、ニップ入口Niから曲面部22の下流端22bに向かうにつれて徐々に圧力が増加する圧力分布を定着ニップ部Nに形成することができる。また、ピーク圧の位置(下流端22b付近)が明確な圧力分布を形成することができる。さらに、定着ニップ部Nのうち比較的ニップ入口Niに近い部分において、ニップ圧が低い領域(ニップ低圧領域)を形成し、定着ニップ部Nのうち比較的下流端22bに近い部分において、ニップ圧が高い領域(ニップ高圧領域)を形成することができる。
【0065】
ニップ入口Ni付近でニップ低圧領域を形成する(ニップ高圧領域を形成しない)ことにより、トナー像Tの表面部しか溶融していない状態で、普通紙Pにトナー像Tが定着されることを抑制することができる。
【0066】
ニップ入口Ni付近でニップ高圧領域を形成していない構成であることから、ニップ入口Ni付近でトナー像Tを全体的に溶融させるべく定着ベルト10の温度を余分に上げる必要がなくなる。これにより、定着に必要な熱量を低減することができる。したがって、省エネ性を向上させることができる。
【0067】
ニップ入口Niに近い部分においてニップ低圧領域を形成し、下流端22bに近い部分においてニップ高圧領域を形成することで、ニップ低圧領域において定着ベルト10から熱を与えられたトナー像Tを全体的に溶融させ、全体的に溶融したトナー像をニップ高圧領域において普通紙Pに定着させることができる。これにより、良好な定着性を確保することができる。
【0068】
図8は、従来の定着装置の概略断面図である。従来の定着装置が備えている加圧部材の対向面は、延長部を有していない。そのため、記録媒体の搬送方向における対向面の最下流部付近において、加圧回転体が加圧部材に食い込む形状となり、ニップ出口において、定着ベルトに近づく方向に記録媒体が搬送されやすくなる。定着ベルトに近づく方向に記録媒体が搬送されること、および、記録媒体上のトナー像の粘着性により、ニップ出口以降において、記録媒体が定着ベルトと密着したまま搬送されやすくなる。したがって、記録媒体と定着ベルトとの分離性が確保できなくなる場合がある。
【0069】
図4に示すように、実施の形態において、曲面部22の下流側には延長部23が設けられている。普通紙Pは、延長部23の表面形状に沿うように搬送される。延長部23が下流端22bから搬送方向の下流側に向かってほぼ真っ直ぐに延びる形状を有していることにより、ニップ入口Niから曲面部22の下流端22bに向かうにつれて徐々に圧力が増加する圧力分布を維持しつつ、普通紙Pの搬送経路を安定させることができる。搬送経路を安定させることにより、普通紙Pを確実に定着装置1の下流側へ搬送することができる。これにより、普通紙Pと定着ベルト10との良好な分離性を確保することができる。
【0070】
以上のように、凹状に湾曲する曲面部22の下流側に延長部23を設ける構成とすることにより、良好な定着性と分離性とを両立することができる。
【0071】
延長部23は、定着ニップ部Nと非定着ニップ領域の両方に亘って設けられていることが好ましい。ニップ出口Noに対して搬送方向下流側に延長部23の一部が設けられている構成となるので、ニップ出口Noからほぼ真っ直ぐ延びる搬送経路(
図4中のI方向)が規定されることになる。これにより、普通紙Pの搬送経路をより安定させることができる。
【0072】
延長部23は、平面(曲率≒0)であることが好ましい。普通紙Pは、加圧部材20の表面形状に倣って搬送される。そのため、延長部23が平面であることにより、普通紙Pが平面に沿って真っ直ぐ搬送される。これにより、普通紙Pの搬送経路をより安定させることができる。さらに、普通紙Pの曲がり量を抑制することができる。
【0073】
延長部23は、曲面部22よりも小さい曲率を有する緩やかな曲面であってもよい。緩やかな曲面であっても、良好な定着性と分離性とを両立する効果が得られる。
【0074】
仮想線L1に対して傾斜させた平面部24を設けることにより、平面部24における加圧回転体30の弾性変形量が小さくなるため、ニップ入口Ni付近の圧力を下げることができる。これにより、下流端22b付近の圧力を高くすることができる。
【0075】
図6に示すように、曲面部22の曲率半径R2が、加圧回転体30の半径R1よりも大きいことにより、ニップ入口Niから下流端22bまでの間で急激な圧力上昇を抑制することができる。
【0076】
曲面部22の曲率円の中心C2は、加圧回転体30の中心C1に対して、搬送方向の上流側に規定されている。これにより、ニップ入口Niから下流端22bへ向かって徐々に圧力を高くすることができる。
【0077】
図7に示すように、定着ニップ部Nから排出された普通紙Pが、排出後すぐに、仮想延長線L3に対して定着ベルト10側に配置されているガイド部50に接触しない。これにより、定着装置1を通過した普通紙Pがガイド部50に当接することにより発生する搬送不良(耳折れ)、および、普通紙P上に定着されたトナー画像とガイド部50とのこすれに起因する画像ノイズの発生を抑制することができる。
【0078】
加圧回転体30の表面硬度は、40[°]以上60[°](アスカーC硬度)が好ましい。これにより、ニップ入口Niから下流端22bに向かって圧力が高くなっていく圧力分布を形成することができる。
【0079】
(その他)
なお、延長部23が曲面部22よりも小さい曲率を有する緩やかな曲面である場合、延長部23が延びる方向とは、搬送方向下流側の延長部23の端部における普通紙Pの搬送方向に沿って延びる方向とする。
【0080】
なお、実施の形態における構成及び材料等は、あくまで一例であり、装置に応じて適時変更してかまわない。画像形成装置100としては、モノクロおよびカラーの複写機、プリンタ、ファックス、並びに、これらを備えている複合機等でもよい。
【実施例】
【0081】
以下、実施例について説明する。実施例として、平面部と延長部との成す角βが異なる8種類の加圧部材(実施例1から実施例3、および、比較例1から比較例5)を作成し、
図2に示す定着装置1に適用し、普通紙に印字して、定着ニップ部におけるピーク圧力および普通紙の曲がり具合(カール)を評価する試験を行なった。
【0082】
図9は、実施例1から実施例3、および、比較例1から比較例5の加圧部材に対する評価結果を示す表である。
図9中の「不可」は、ピーク圧力が低いことに起因して定着不良が発生したこと、または、普通紙がカールした結果、品質不良となったことを示している。評価結果が良好な場合には「良」と判定し、許容レベルである場合には「可」と判定した。
【0083】
成す角βがプラスの場合、
図5に示すように、仮想延長線L2は、搬送方向下流側に向かうにつれて仮想延長線L3に近づくように傾斜している場合(仮想延長線L3に対して時計回りの方向に仮想延長線L2が傾斜している場合)とする。成す角βがマイナスの場合、仮想延長線L2は、搬送方向下流側に向かうにつれて仮想延長線L3から離れるように傾斜している場合(仮想延長線L3に対して反時計回りの方向に仮想延長線L2が傾斜している場合)とする。
【0084】
図10は、実施例2および比較例4の加圧部材を定着装置に適用した場合における定着ニップ部の圧力分布を示す概略図である。
図10では、平面部の位置を固定して延長部を傾斜させた場合の圧力分布を示している。
図10中の点線は、定着不良を発生させないピーク圧力の最小値を示している。
【0085】
図9および
図10を参照して、評価結果について考察する。成す角βが0.5[°]未満になると、延長部付近における加圧回転体の弾性変形量が大きくなり、ピーク圧力部分(下流端)よりも下流側の領域のニップ圧が高くなる。これにより、曲面部の下流端よりも下流側に圧力が配分されるため、曲面部の下流端におけるピーク圧力が低くなる。成す角βを0.5°以上とすると、下流端で高いピーク圧力を得ることができる。これにより、定着性を確保することができる。
【0086】
しかし、成す角βが10[°]より大きくなると、ニップ入口における搬送方向に対してニップ出口における搬送方向の向きが大きく変わるため、普通紙が大きく曲がるように搬送される。加熱されたままの状態で曲げられることにより、普通紙がカールした状態のまま排紙され、品質不良となる。
【0087】
以上により、成す角βを0.5[°]以上10[°]以下とすることにより、品質を確保した上で定着性を向上できることが示された。
【0088】
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1 定着装置、2 収容部、2a 給紙ローラー、2b レジストローラー、3 中間転写ベルト、4Y,C,K,M 画像形成部、5 比較例、5Y 感光体ドラム、6Y 帯電器、7Y 画像露光装置、8Y,C,K,M 現像器、9Y,C,K,M 1次転写ローラー、10 定着ベルト、11 搬送経路、12 二次転写部、13 排紙ローラー、20 加圧部材、21 対向面、22 曲面部、22a 上流端、22b 下流端、23 延長部、24 平面部、25 ニップ上流部、26 排紙トレイ、27 クリーニング部、30 加圧回転体、30a 芯金、30b 弾性層、30c 離型層、40 加熱部、41 加熱ローラー、41a 外周部、42 ハロゲンランプ、50 ガイド部、60 潤滑部材、70 摺動部材、80 固定部材、90 支持部材、100 画像形成装置、C1,C2 中心、DR1 幅方向、L1 仮想線、L2,L3 仮想延長線、Ni ニップ入口、No ニップ出口、P 普通紙、T トナー像。