(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】配管構造体およびその配管構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 13/14 20060101AFI20220614BHJP
F16L 25/03 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F16L13/14
F16L25/03
(21)【出願番号】P 2018076830
(22)【出願日】2018-04-12
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】501022158
【氏名又は名称】株式会社デンソーエアシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大見 康光
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅之
(72)【発明者】
【氏名】義則 毅
(72)【発明者】
【氏名】三浦 功嗣
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏直
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】実公昭51-1525(JP,Y1)
【文献】特開平11-325360(JP,A)
【文献】特開平10-115388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 13/14-13/16,25/02-25/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第1管部材(12)内から管状の第2管部材(14)内へ流体が流通するように前記第1管部材と前記第2管部材とが互いに絶縁された状態で接続された配管構造体であって、
前記第1管部材の一部を構成し該第1管部材の先端(12a)を含み、一軸心(CL)の軸方向(DRa)へ延びるように形成された第1接続管部(121)と、
前記第2管部材の一部を構成し該第2管部材の先端(14a)を含み、前記軸方向へ延びるように形成され、前記軸方向において前記第1管部材の先端に対し隙間(20)を空けて前記第2管部材の先端を対向させるように前記第1接続管部に対して直列に配置された第2接続管部(141)と、
前記第1接続管部が挿入された管状の第1弾性部(161)と前記第2接続管部が挿入された管状の第2弾性部(162)とを有し、弾力性および絶縁性を備えた弾性部材(16)と、
前記第1弾性部が挿入されており、前記第1弾性部を前記第1接続管部に対して押し付けた状態で保持する管状の第1押圧部(181)と、
前記第2弾性部が挿入されており、前記第2弾性部を前記第2接続管部に対して押し付けた状態で保持する管状の第2押圧部(182)とを備え、
前記第1管部材の先端と前記第2管部材の先端との間には、絶縁性を備えたスペーサ部(16
3)が設けられ、
前記第2弾性部は、前記第1弾性部から連続的につながっており、
前記第1接続管部は、該第1接続管部の外周面(121a)に設けられた第1シール保持部(122)を有し、
前記第1シール保持部は、該第1シール保持部に前記第1弾性部が押し付けられることにより、前記第1弾性部との間で気密性を発揮すると共に、前記第1接続管部が前記第1弾性部から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
前記第2接続管部は、該第2接続管部の外周面(141a)に設けられた第2シール保持部(142)を有し、
前記第2シール保持部は、該第2シール保持部に前記第2弾性部が押し付けられることにより、前記第2弾性部との間で気密性を発揮すると共に、前記第2接続管部が前記第2弾性部から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮
し、
前記弾性部材は、該弾性部材のうち、前記第1押圧部と前記第2押圧部とに押圧されることによって前記第1管部材の先端と前記第2管部材の先端との間の前記隙間に入り込んだ状態になっている部分を、前記スペーサ部として有している、配管構造体。
【請求項2】
前記第1押圧部と前記第2押圧部とのうちの一方または両方は、前記第1接続管部の径方向で前記スペーサ部に対し外側に重なって配置された押込み部(18e、181a、182a)を有し、
前記押込み部は、前記径方向の内側へ前記弾性部材を押圧し、前記スペーサ部を前記隙間に押し込んだ状態に保持している、請求項
1に記載の配管構造体。
【請求項3】
前記第1押圧部と前記第2押圧部は、連続的につながって押圧管部材(18)を構成しており、
前記押圧管部材は、前記第1接続管部の径方向で前記スペーサ部に対し外側に重なって配置された押込み部(18e)を有し、
前記押込み部は、前記径方向の内側へ前記弾性部材を押圧し、前記スペーサ部を前記隙間に押し込んだ状態に保持している、請求項
1に記載の配管構造体。
【請求項4】
前記第1押圧部は、径方向内側へ折り返された形状を成す折返し部(181b)を、前記軸方向における前記第2押圧部側とは反対側の端部に有し、
前記折返し部は、前記第1弾性部に密着している、請求項1ないし
3のいずれか1つに記載の配管構造体。
【請求項5】
管状の第1管部材(12)内から管状の第2管部材(14)内へ流体が流通するように前記第1管部材と前記第2管部材とが互いに絶縁された状態で接続された配管構造体であって、
前記第1管部材の一部を構成し該第1管部材の先端(12a)を含み、一軸心(CL)の軸方向(DRa)へ延びるように形成された第1接続管部(121)と、
前記第2管部材の一部を構成し該第2管部材の先端(14a)を含み、前記軸方向へ延びるように形成され、前記軸方向において前記第1管部材の先端に対し隙間(20)を空けて前記第2管部材の先端を対向させるように前記第1接続管部に対して直列に配置された第2接続管部(141)と、
前記第1接続管部が挿入された管状の第1弾性部(161)と前記第2接続管部が挿入された管状の第2弾性部(162)とを有し、弾力性および絶縁性を備えた弾性部材(16)と、
前記第1弾性部が挿入されており、前記第1弾性部を前記第1接続管部に対して押し付けた状態で保持する管状の第1押圧部(181)と、
前記第2弾性部が挿入されており、前記第2弾性部を前記第2接続管部に対して押し付けた状態で保持する管状の第2押圧部(182)とを備え、
前記第1管部材の先端と前記第2管部材の先端との間には、絶縁性を備えたスペーサ部(163、221)が設けられ、
前記第2弾性部は、前記第1弾性部から連続的につながっており、
前記第1接続管部は、該第1接続管部の外周面(121a)に設けられた第1シール保持部(122)を有し、
前記第1シール保持部は、該第1シール保持部に前記第1弾性部が押し付けられることにより、前記第1弾性部との間で気密性を発揮すると共に、前記第1接続管部が前記第1弾性部から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
前記第2接続管部は、該第2接続管部の外周面(141a)に設けられた第2シール保持部(142)を有し、
前記第2シール保持部は、該第2シール保持部に前記第2弾性部が押し付けられることにより、前記第2弾性部との間で気密性を発揮すると共に、前記第2接続管部が前記第2弾性部から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮
し、
前記第1押圧部は、径方向内側へ折り返された形状を成す折返し部(181b)を、前記軸方向における前記第2押圧部側とは反対側の端部に有し、
前記折返し部は、前記第1弾性部に密着している、配管構造体。
【請求項6】
前記弾性部材は、該弾性部材の成形された成形形状の一部分として前記スペーサ部(163)を有している、請求項
5に記載の配管構造体。
【請求項7】
前記スペーサ部(221)は、前記弾性部材とは別の部品として構成されている、請求項
5に記載の配管構造体。
【請求項8】
前記第1接続管部および前記第2接続管部の内側に、前記スペーサ部から連続的につながった管内配置部(164、222)が設けられ、
前記管内配置部は筒形状を成し、前記第1接続管部の内壁面(121b)に沿って前記軸方向に延び且つ前記第2接続管部の内壁面(141b)に沿って前記軸方向に延びている、請求項
6または
7に記載の配管構造体。
【請求項9】
前記第1管部材と前記第1押圧部は何れも金属製であり、
前記第1押圧部は、前記第1管部材に対し電気的に絶縁されている、請求項1ないし
8のいずれか1つに記載の配管構造体。
【請求項10】
前記第1押圧部は、径方向内側へ窪んだ凹形状が形成されるようにカシメられた状態になっており、前記カシメられた状態になることで前記第1弾性部を前記第1接続管部に対して押し付けている、請求項1ないし
9のいずれか1つに記載の配管構造体。
【請求項11】
前記凹形状は、前記第1押圧部の全周にわたって形成され、または、前記第1押圧部の周方向に並ぶように複数に分かれて形成されている、請求項
10に記載の配管構造体。
【請求項12】
前記第1シール保持部は、前記第1接続管部の全周にわたって延びる溝(122a)が前記軸方向に複数並んだ凹凸形状を成している、請求項1ないし11のいずれか1つに記載の配管構造体。
【請求項13】
前記第1管部材の先端と前記第2管部材の先端はそれぞれ、径方向外側の周縁(12b、14b)が面取りされた形状を成している、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の配管構造体。
【請求項14】
管状の第1管部材(12)内から管状の第2管部材(14)内へ流体が流通するように前記第1管部材と前記第2管部材とが互いに絶縁された状態で接続された配管構造体の製造方法であって、
前記第1管部材、前記第2管部材、弾力性および絶縁性を備えた管状の弾性部材(16)、および、管状の押圧管部材(18)を用意することと、
前記押圧管部材の内側へ前記弾性部材を挿入することと、
前記第1管部材のうち第1シール保持部(122)と該第1管部材の先端(12a)とを含む第1接続管部(121)を前記弾性部材の軸方向(DRa)の一方側から前記弾性部材の内側に挿入し、且つ、前記第2管部材のうち第2シール保持部(142)と該第2管部材の先端(14a)とを含む第2接続管部(141)を前記軸方向の他方側から前記弾性部材の内側に挿入し、前記軸方向において前記第1管部材の先端に対し隙間(20)を空けて前記第2管部材の先端を対向させた状態で位置決めすることと、
前記押圧管部材に対する前記弾性部材の挿入後で前記位置決め後に、前記押圧管部材のうち前記第1接続管部に対し径方向外側に重なる部位において前記押圧管部材を径方向内側へカシメると共に、前記押圧管部材のうち前記第2接続管部に対し径方向外側に重なる部位において前記押圧管部材を径方向内側へカシメるカシメ加工を行うこととを含み、
前記第1シール保持部は前記第1接続管部の外周面(121a)に設けられ、前記カシメ加工で前記第1シール保持部に前記弾性部材が押し付けられることにより、前記弾性部材との間で気密性を発揮すると共に、前記第1接続管部が前記弾性部材から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
前記第2シール保持部は前記第2接続管部の外周面(141a)に設けられ、前記カシメ加工で前記第2シール保持部に前記弾性部材が押し付けられることにより、前記弾性部材との間で気密性を発揮すると共に、前記第2接続管部が前記弾性部材から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
前記カシメ加工では、前記弾性部材の厚みが圧縮されるように該弾性部材が弾性変形することに伴って、該弾性部材の一部分が前記第1管部材の先端と前記第2管部材の先端との間の前記隙間に入り込む、配管構造体の製造方法。
【請求項15】
第1カシメ加工としての前記カシメ加工の後に、前記押圧管部材のうち前記第1接続管部の径方向で前記隙間に対し外側に重なる部位において前記押圧管部材を前記径方向の内側へカシメる第2カシメ加工を行うことを含み、
前記第2カシメ加工では、前記弾性部材を前記隙間へ更に押し込む、請求項14に記載の配管構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1管部材と第2管部材とが互いに接続された配管構造体、および、その配管構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の配管構造体として、例えば特許文献1に記載された絶縁継手が従来から知られている。この特許文献1に記載された絶縁継手では、一方の管状部材と他方の管状部材とが、電気的に絶縁された状態で流体が流通可能となるように接続されている。
【0003】
具体的に、その特許文献1の絶縁継手では、一方の管状部材が有する拡大端部が、他方の管状部材が有する拡大端部の内側へ挿入された状態で、一方および他方の管状部材が互いに接続されている。そして、それらの拡大端部同士の間には、2つの硬質スリーブとOリングとが圧縮された状態で挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の絶縁継手では、それぞれの拡大端部は、径方向へ部分的に膨らんだ特殊な形状を成している。そして、2つの硬質スリーブは何れも、それぞれの拡大端部に倣った特殊な形状に予め成形されている。また、気密性の確保のために、2つの硬質スリーブのほかにOリングが必要とされる。従って、特許文献1の絶縁継手は、2本の管状部材の接続をシンプルな構造で実現しているとは言い難いものであった。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、第1管部材と第2管部材との間の気密性と電気的な絶縁性とを確保した上で、その第1管部材と第2管部材とをシンプルな構造で接続することが可能な配管構造体、および、その配管構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の配管構造体は、
管状の第1管部材(12)内から管状の第2管部材(14)内へ流体が流通するように第1管部材と第2管部材とが互いに絶縁された状態で接続された配管構造体であって、
第1管部材の一部を構成しその第1管部材の先端(12a)を含み、一軸心(CL)の軸方向(DRa)へ延びるように形成された第1接続管部(121)と、
第2管部材の一部を構成しその第2管部材の先端(14a)を含み、軸方向へ延びるように形成され、軸方向において第1管部材の先端に対し隙間(20)を空けて第2管部材の先端を対向させるように第1接続管部に対して直列に配置された第2接続管部(141)と、
第1接続管部が挿入された管状の第1弾性部(161)と第2接続管部が挿入された管状の第2弾性部(162)とを有し、弾力性および絶縁性を備えた弾性部材(16)と、
第1弾性部が挿入されており、第1弾性部を第1接続管部に対して押し付けた状態で保持する管状の第1押圧部(181)と、
第2弾性部が挿入されており、第2弾性部を第2接続管部に対して押し付けた状態で保持する管状の第2押圧部(182)とを備え、
第1管部材の先端と第2管部材の先端との間には、絶縁性を備えたスペーサ部(163、221)が設けられ、
第2弾性部は、第1弾性部から連続的につながっており、
第1接続管部は、その第1接続管部の外周面(121a)に設けられた第1シール保持部(122)を有し、
第1シール保持部は、その第1シール保持部に第1弾性部が押し付けられることにより、第1弾性部との間で気密性を発揮すると共に、第1接続管部が第1弾性部から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
第2接続管部は、その第2接続管部の外周面(141a)に設けられた第2シール保持部(142)を有し、
第2シール保持部は、その第2シール保持部に第2弾性部が押し付けられることにより、第2弾性部との間で気密性を発揮すると共に、第2接続管部が第2弾性部から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
弾性部材は、その弾性部材のうち、第1押圧部と第2押圧部とに押圧されることによって第1管部材の先端と第2管部材の先端との間の隙間に入り込んだ状態になっている部分を、上記スペーサ部として有している。
【0008】
このようにすれば、弾性部材によって第1管部材と第2管部材との間の気密性を確保し、弾性部材とスペーサ部とによって第1管部材と第2管部材との間の電気的な絶縁性を確保できる。そして、第1管部材と第2管部材との何れにも、例えば上述した特許文献1の絶縁継手のような特殊な形状を設ける必要がない。従って、第1管部材と第2管部材との間の気密性と電気的な絶縁性とを確保した上で、その第1管部材と第2管部材とをシンプルな構造で接続することが可能である。
【0009】
また、請求項14に記載の配管構造体の製造方法は、
管状の第1管部材(12)内から管状の第2管部材(14)内へ流体が流通するように第1管部材と第2管部材とが互いに絶縁された状態で接続された配管構造体の製造方法であって、
第1管部材、第2管部材、弾力性および絶縁性を備えた管状の弾性部材(16)、および、管状の押圧管部材(18)を用意することと、
押圧管部材の内側へ弾性部材を挿入することと、
第1管部材のうち第1シール保持部(122)とその第1管部材の先端(12a)とを含む第1接続管部(121)を弾性部材の軸方向(DRa)の一方側から弾性部材の内側に挿入し、且つ、第2管部材のうち第2シール保持部(142)とその第2管部材の先端(14a)とを含む第2接続管部(141)を軸方向の他方側から弾性部材の内側に挿入し、軸方向において第1管部材の先端に対し隙間(20)を空けて第2管部材の先端を対向させた状態で位置決めすることと、
押圧管部材に対する弾性部材の挿入後で位置決め後に、押圧管部材のうち第1接続管部に対し径方向外側に重なる部位において押圧管部材を径方向内側へカシメると共に、押圧管部材のうち第2接続管部に対し径方向外側に重なる部位において押圧管部材を径方向内側へカシメるカシメ加工を行うこととを含み、
第1シール保持部は第1接続管部の外周面(121a)に設けられ、カシメ加工で第1シール保持部に弾性部材が押し付けられることにより、弾性部材との間で気密性を発揮すると共に、第1接続管部が弾性部材から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
第2シール保持部は第2接続管部の外周面(141a)に設けられ、カシメ加工で第2シール保持部に弾性部材が押し付けられることにより、弾性部材との間で気密性を発揮すると共に、第2接続管部が弾性部材から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮し、
カシメ加工では、弾性部材の厚みが圧縮されるようにその弾性部材が弾性変形することに伴って、その弾性部材の一部分が第1管部材の先端と第2管部材の先端との間の隙間に入り込む。
【0010】
このようにすれば、上記請求項1に記載の配管構造体を製造することができる。すなわち、第1管部材と第2管部材との間の気密性と電気的な絶縁性とを確保した上で、その第1管部材と第2管部材とをシンプルな構造で接続することが可能である。
【0011】
更に、カシメ加工では、弾性部材の一部分が第1管部材の先端と第2管部材の先端との間の隙間に入り込むので、第1管部材の先端と第2管部材の先端との間の電気的な絶縁性を、弾性部材によって確保できる。すなわち、第1管部材の先端と第2管部材の先端との間に入り込む形状に弾性部材を予め成形しておく必要がない。そして、カシメ加工における弾性部材の弾性変形を利用して弾性部材の一部分を第1管部材の先端と第2管部材の先端との間に設け、その部分の電気的な絶縁性を十分に確保することが可能である。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、配管構造体の軸心である配管軸心を含む平面で配管構造体を切断した断面図である。
【
図2】第1実施形態において配管構造体の製造方法を示したフローチャートである。
【
図3】
図1と同じ断面で切断した断面図であって、第1実施形態の配管構造体の製造工程において押圧管部材の内側へ弾性部材が挿入された状態を示すと共に、第1管部材と第2管部材とがそれぞれ弾性部材の内側に挿入される様子を示した図である。
【
図4】
図1と同じ断面で切断した断面図であって、第1実施形態の配管構造体の製造工程において第1管部材と第2管部材とがそれぞれ弾性部材の内側に挿入された状態を示した図である。
【
図5】
図1と同じ断面で切断した断面図であって、
図2の製造方法において第1カシメ工程が終了し且つ第2カシメ工程が開始する前の状態を示した図である。
【
図6】
図1と同じ断面で切断した断面図であって、
図2の製造方法において第2カシメ工程が終了した状態を示した図である。
【
図7】第2実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図8】第3実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図9】第4実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図10】第5実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図11】第6実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図12】第7実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図13】第8実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1に相当する断面図である。
【
図14】第9実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図8のXIV部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図15】第10実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図8のXIV部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図16】第11実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のXVI部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図17】第12実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のXVI部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図18】第13実施形態の配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のXVI部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図19】第1実施形態に対する第1の変形例において配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【
図20】第1実施形態に対する第2の変形例において配管構造体の概略構成を示した図であって、
図1のVII部に相当する部分を抜粋して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の配管構造体10は、管状の第1管部材12と管状の第2管部材14との間の電気絶縁性を確保しつつ第1管部材12と第2管部材14とを気密に接続する絶縁継手として構成されている。従って、この配管構造体10は、第1管部材12内から第2管部材14内へ流体が流通するように第1管部材12と第2管部材14とが互いに電気的に絶縁された状態で接続された構成となっている。この第1管部材12内および第2管部材14内に流通する流体は、電気絶縁性を備えた流体である。そして、その流体は気体であっても液体であってもよい。
【0016】
配管構造体10は、
図1に示すように、第1管部材12と第2管部材14と弾性部材16と押圧管部材18とを備えている。これらの第1管部材12と第2管部材14と弾性部材16と押圧管部材18は何れも、一軸心である配管軸心CLに沿って延びる管状(言い換えれば、筒状)を成している。
【0017】
第1管部材12と第2管部材14は、例えばアルミニウム合金など金属製のパイプ材で構成されている。従って、第1管部材12と第2管部材14は何れも導電性を備えている。
【0018】
第1管部材12は、弾性部材16内に挿入されて、弾性部材16に対し相対移動不能なようにカシメ固定されている。そして、第2管部材14は、第1管部材12とは反対側から弾性部材16内に挿入されて、弾性部材16に対し相対移動不能なようにカシメ固定されている。そのため、第1管部材12は、第1管部材12のうち弾性部材16内に位置する部分を第1接続管部121として有し、第2管部材14は、第2管部材14のうち弾性部材16内に位置する部分を第2接続管部141として有している。
【0019】
すなわち、第1接続管部121は、第1管部材12の一部を構成し、その第1管部材12の先端12aである第1管先端12aを含んでいる。これと同様に、第2接続管部141は、第2管部材14の一部を構成し、その第2管部材14の先端14aである第2管先端14aを含んでいる。そして、第1接続管部121と第2接続管部141は、配管軸心CLの軸方向DRaへ延びるように形成されている。
【0020】
なお、第1接続管部121と第2接続管部141はそれぞれ、例えば円形断面の管形状を成している。また、第1接続管部121の管径は第2接続管部141の管径と異なっていてもよいが、本実施形態では、第1接続管部121の管径は第2接続管部141の管径と同じである。すなわち、第1接続管部121の内径は第2接続管部141の内径と同じであり、第1接続管部121の外径は第2接続管部141の外径と同じである。
【0021】
弾性部材16内では、第2接続管部141は、配管軸心CLの軸方向DRaにおいて第1管先端12aに対し隙間20を空けて第2管先端14aを対向させるように、第1接続管部121に対して直列に配置されている。すなわち、配管軸心CLの軸方向DRaにおいて、第1接続管部121は、その隙間20である管相互隙間20に対する一方側に配置され、第2接続管部141は、その管相互隙間20に対する他方側に配置されている。
【0022】
なお、第1接続管部121、第2接続管部141、弾性部材16、および押圧管部材18のそれぞれの中心軸心は何れも配管軸心CLであり共通している。従って、第1接続管部121、第2接続管部141、弾性部材16、および押圧管部材18のそれぞれの軸方向は何れも、配管軸心CLの軸方向DRaであり共通している。これと同様に、第1接続管部121、第2接続管部141、弾性部材16、および押圧管部材18のそれぞれの径方向は何れも、配管軸心CLの径方向DRrであり共通している。更に、第1接続管部121、第2接続管部141、弾性部材16、および押圧管部材18のそれぞれの周方向は何れも、配管軸心CLまわりの周方向であり共通している。
【0023】
また、以下の説明では、配管軸心CLの軸方向DRaを配管軸方向DRaとも称し、配管軸心CLの径方向DRrを配管径方向DRrとも称し、配管軸心CLまわりの周方向を配管周方向とも称する。
【0024】
弾性部材16は、弾力性を有する絶縁材料で構成されている。そのような絶縁材料としてはゴムまたはエラストマーなどを例示できるが、本実施形態の弾性部材16はゴムで構成されている。詳細には、弾性部材16は、配管軸方向DRaへの引張り強度を高めるために、ゴム層と繊維層と更に別のゴム層とが配管径方向DRrに積層された複層体ゴムで構成されている。その繊維層は、弾性部材16の径方向外側および径方向内側の両表面には露出することのないように、弾性部材16に含まれている。このような構成から、弾性部材16は弾力性および電気絶縁性を備えている。なお、管部材12、14内の内圧は、弾性部材16を配管軸方向DRaに引張る引張り力としても作用する。
【0025】
弾性部材16は、第1接続管部121が挿入された管状の第1弾性部161と、第2接続管部141が挿入された管状の第2弾性部162とを有している。別言すれば、弾性部材16のうち第1接続管部121に対し径方向外側に重ねて設けられた部分が第1弾性部161に該当し、弾性部材16のうち第2接続管部141に対し径方向外側に重ねて設けられた部分が第2弾性部162に該当する。
【0026】
そして、第1弾性部161と第2弾性部162はそれぞれ、単一の部品である弾性部材16の一部であるので、第2弾性部162は、第1弾性部161から切れ目無く連続的につながっている。
【0027】
押圧管部材18は、例えばアルミニウム合金など金属製のパイプ材で構成されている。従って、押圧管部材18は導電性を備えている。押圧管部材18は、第1押圧部181と第2押圧部182とを有している。この第1押圧部181と第2押圧部182はそれぞれ、単一の部品である押圧管部材18の一部であるので、第2押圧部182は、第1押圧部181から切れ目無く連続的につながっている。
【0028】
第1押圧部181内には、第1弾性部161が挿入されている。従って、配管径方向DRrにおいてその第1弾性部161は第1押圧部181と第1接続管部121とに挟まれている。
【0029】
また、第2押圧部182内には、第2弾性部162が挿入されている。従って、配管径方向DRrにおいてその第2弾性部162は第2押圧部182と第2接続管部141とに挟まれている。
【0030】
また、押圧管部材18と第1管部材12との間および押圧管部材18と第2管部材14との間には、その押圧管部材18の全長にわたって弾性部材16が挟まれている。従って、押圧管部材18は、第1管部材12と第2管部材14との何れに対しても電気的に絶縁されている。また、第1弾性部161は、押圧管部材18よりも更に配管軸方向DRaの一方側へはみ出るように延びている。これと同様に、第2弾性部162は、押圧管部材18よりも更に配管軸方向DRaの他方側へはみ出るように延びている。
【0031】
第1押圧部181は、配管径方向DRrにカシメられており、そのカシメによって第1弾性部161を第1接続管部121に対して押し付けた状態で保持している。これと同様に、第2押圧部182は、配管径方向DRrにカシメられており、そのカシメによって第2弾性部162を第2接続管部141に対して押し付けた状態で保持している。
【0032】
具体的に
図1では、押圧管部材18には合計5箇所のカシメ箇所が設けられている。すなわち、押圧管部材18は、カシメによって変形させられた第1~第5カシメ部18a、18b、18c、18d、18eを有している。例えば、第1カシメ部18aは押圧管部材18の径方向内側へ窪んだ凹形状を成しており、その凹形状は、押圧管部材18の全周にわたって形成されている。このことは、第2~第5カシメ部18b、18c、18d、18eでも同様である。
【0033】
そして、第1カシメ部18aと第2カシメ部18bは第1押圧部181に形成され、第2カシメ部18bは第1カシメ部18aに対し配管軸方向DRaの一方側に設けられている。すなわち、第1押圧部181は、第1カシメ部18aと第2カシメ部18bとの各々の凹形状が形成されるようにカシメられた状態になっており、そのカシメられた状態になることで第1弾性部161を第1接続管部121に対して押し付けている。
【0034】
また、第1押圧部181が有する複数のカシメ部18a、18bのうちの少なくとも何れかは、第1接続管部121が有する第1シール保持部122に対し配管径方向DRrの外側に重なる部位に設けられている。本実施形態では、第2カシメ部18bが、第1押圧部181のうち、第1シール保持部122に対し配管径方向DRrの外側に重なる部位に設けられている。
【0035】
また、第3カシメ部18cと第4カシメ部18dは第2押圧部182に形成され、第4カシメ部18dは第3カシメ部18cに対し配管軸方向DRaの他方側に設けられている。すなわち、第2押圧部182は、第3カシメ部18cと第4カシメ部18dとの各々の凹形状が形成されるようにカシメられた状態になっており、そのカシメられた状態になることで第2弾性部162を第2接続管部141に対して押し付けている。
【0036】
また、第2押圧部182が有する複数のカシメ部18c、18dのうちの少なくとも何れかは、第2接続管部141が有する第2シール保持部142に対し配管径方向DRrの外側に重なる部位に設けられている。本実施形態では、第4カシメ部18dが、第2押圧部182のうち、第2シール保持部142に対し配管径方向DRrの外側に重なる部位に設けられている。
【0037】
更に、第5カシメ部18eは、配管軸方向DRaにおいて押圧管部材18の略中央部分に設けられ、第1押圧部181と第2押圧部182とに跨るように形成されている。
【0038】
また、第1押圧部181のうち第1カシメ部18aと第2カシメ部18bとからなるカシメ形状と、第2押圧部182のうち第3カシメ部18cと第4カシメ部18dとからなるカシメ形状は、管相互隙間20を中心として配管軸方向DRaに線対称となっている。
【0039】
弾性部材16は、第1管先端12aと第2管先端14aとの間に設けられたスペーサ部163を有している。このスペーサ部163は、弾性部材16の一部分であるので、電気絶縁性を備えている。
【0040】
スペーサ部163は、押圧管部材18がカシメられ弾性部材16が弾性変形することによって形成された部分である。従って、弾性部材16は、その弾性部材16のうち、カシメられた第1および第2押圧部181、182に押圧されることによって管相互隙間20に入り込んだ状態になっている部分を、スペーサ部163として有している。
【0041】
スペーサ部163は、第1管先端12aと第2管先端14aとを配管軸方向DRaに近付けようとする外力が生じた場合にその外力に抗する役割を果たす。従って、スペーサ部163は、第1管先端12aと第2管先端14aとの間において部分的に構成されていてもよいし、配管軸心CLまわりの全周にわたって構成されていてもよい。
【0042】
第5カシメ部18eは、スペーサ部163に対し配管径方向DRrの外側に重なって配置されている。そして、第5カシメ部18eは、カシメによって配管径方向DRrの内側へ変形させられている。この変形により、第5カシメ部18eは、配管径方向DRrの内側へ弾性部材16を押圧し、スペーサ部163を管相互隙間20に押し込んだ状態に保持している。すなわち、第5カシメ部18eは、スペーサ部163を管相互隙間20に押し込む押込み部として機能している。
【0043】
第1管先端12aは、その第1管先端12aのうち配管径方向DRrの外側に外側周縁12bを有し、その外側周縁12bは、面取りされた形状を成している。これと同様に、第2管先端14aは、その第2管先端14aのうち配管径方向DRrの外側に外側周縁14bを有し、その外側周縁14bは、面取りされた形状を成している。これらの面取り形状は何れも、配管構造体10の製造の際に第1および第2管部材12、14を弾性部材16内に挿入し易くし、且つ、弾性部材16の弾性変形によりスペーサ部163が形成されることを促進するためのものである。そのため、その面取り形状は、コーナーRを成すように面取りされた形状であっても、直線的に面取りされた形状であってもよい。
【0044】
第1管部材12の第1接続管部121は、その第1接続管部121の外周面121aに設けられた第1シール保持部122を有している。この第1シール保持部122は、第1接続管部121の全周にわたって環状に延びる溝122aが配管軸方向DRaに複数並んだ凹凸形状を成している。従って、第1シール保持部122は、その第1シール保持部122に第1弾性部161が押し付けられることにより、第1弾性部161との間で気密性を発揮すると共に、第1接続管部121が第1弾性部161から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮する。詳細には、凹凸形状を有する第1シール保持部122は、その凹凸形状の無い平滑面である場合と比較して、第1接続管部121と第1弾性部161との間の気密性と保持力とを共に高く発揮する。
【0045】
これと同様に、第2管部材14の第2接続管部141は、その第2接続管部141の外周面141aに設けられた第2シール保持部142を有している。この第2シール保持部142は、第2接続管部141の全周にわたって環状に延びる溝142aが配管軸方向DRaに複数並んだ凹凸形状を成している。従って、第2シール保持部142は、その第2シール保持部142に第2弾性部162が押し付けられることにより、第2弾性部162との間で気密性を発揮すると共に、第2接続管部141が第2弾性部162から引き抜かれることを妨げる保持力を発揮する。詳細には、凹凸形状を有する第2シール保持部142は、その凹凸形状の無い平滑面である場合と比較して、第2接続管部141と第2弾性部162との間の気密性と保持力とを共に高く発揮する。
【0046】
なお、第1接続管部121を第1弾性部161から引き抜こうとする力は、例えば第1管部材12に作用する外力または管部材12、14内の内圧によって発生する。このことは、第2接続管部141を第2弾性部162から引き抜こうとする力についても同様である。
【0047】
次に、上述した配管構造体10の製造方法について
図2を用いて説明する。
図2に示すように、先ず、準備工程P01において、第1管部材12と第2管部材14と弾性部材16と押圧管部材18とを用意する。この準備工程P01はカシメ前の工程であるので、
図3に示すように、弾性部材16と押圧管部材18はそれぞれ、配管軸方向DRaへ断面変化することなく延びる直管形状を成している。また、押圧管部材18の肉厚は、第1管部材12および第2管部材14の肉厚と比較して格段に薄い。なお、
図3および
図4では、判りやすい図示とするために、各部材は、敢えて各部材の相互間に径方向隙間を設けて図示されている。例えば、
図4では、第1接続管部121と第2接続管部141はそれぞれ弾性部材16に実際には接触するが、敢えてそれらの部材相互間に径方向隙間を設けて図示されている。
【0048】
図2の準備工程P01に続く弾性部材挿入工程P02では、スリーブである押圧管部材18の内側へ弾性部材16を挿入する。このとき、
図3に示すように、弾性部材16は、押圧管部材18に対し配管軸方向DRaの両側それぞれにはみ出した状態で位置決めされる。この弾性部材16と押圧管部材18との相対位置関係は、例えば治具により設定可能であり、その治具によって保持される。
【0049】
図2の弾性部材挿入工程P02に続く管部材挿入工程P03では、
図3の矢印A1iのように、第1管部材12の第1接続管部121を配管軸方向DRaの一方側から弾性部材16の内側に挿入する。それと共に、
図3の矢印A2iのように、第2管部材14の第2接続管部141を配管軸方向DRaの他方側から弾性部材16の内側に挿入する。
【0050】
そして、
図4に示すように、配管軸方向DRaにおいて第1管先端12aに対し管相互隙間20を空けて第2管先端14aを対向させた状態で、第1接続管部121と第2接続管部141とを位置決めする。第1管部材12と第2管部材14と弾性部材16との相対位置関係は、例えば治具により設定可能であり、その治具によって保持される。
【0051】
図2の管部材挿入工程P03に続く第1カシメ工程P04では、第1接続管部121と第2接続管部141とのそれぞれに対し押圧管部材18を同時にカシメる第1カシメ加工を行う。すなわち、第1カシメ加工では、押圧管部材18のうち第1接続管部121に対し径方向外側に重なる部位において、
図4の矢印AP1、AP2で示すように押圧管部材18を径方向内側へカシメる。それと共に、押圧管部材18のうち第2接続管部141に対し径方向外側に重なる部位において、
図4の矢印AP3、AP4で示すように押圧管部材18を径方向内側へカシメる。
【0052】
このとき、管相互隙間20を中心として配管軸方向DRaに対称となる位置で、押圧管部材18は、第1接続管部121と第2接続管部141とのそれぞれに対しカシメられる。なお、
図4の矢印AP1、AP2、AP3、AP4、AP5の基端に示された数字は、カシメが行われる順番を表している。
【0053】
詳細には、矢印AP1で示すように押圧管部材18がカシメられることにより、
図5の第1カシメ部18aが形成される。これと同時に、
図4の矢印AP3で示すように押圧管部材18がカシメられることにより、
図5の第3カシメ部18cが形成される。このとき、カシメによる第1カシメ部18aの形成に伴って、第1カシメ部18aの直下で弾性部材16が圧縮されると共に、弾性部材16の肉が
図5の矢印AL1で示すように配管軸方向DRaに流れる。これと同時に、カシメによる第3カシメ部18cの形成に伴って、第3カシメ部18cの直下で弾性部材16が圧縮されると共に、弾性部材16の肉が
図5の矢印AL3で示すように配管軸方向DRaに流れる。
【0054】
すなわち、この第1カシメ加工では、弾性部材16の厚みが圧縮されるようにその弾性部材16が弾性変形することに伴って、その弾性部材16の一部分が管相互隙間20に入り込む。この管相互隙間20に入り込んだ部分は、スペーサ部163になる。
【0055】
また、
図4の矢印AP1、AP3で示すカシメの後に、
図4の矢印AP2、AP4で示すカシメが行われる。具体的には、矢印AP2で示すように押圧管部材18がカシメられることにより、
図5の第2カシメ部18bが形成される。これと同時に、矢印AP4で示すように押圧管部材18がカシメられることにより、第4カシメ部18dが形成される。このとき、カシメによる第2カシメ部18bの形成に伴って、第2カシメ部18bの直下で弾性部材16の第1弾性部161が圧縮されると共に、その第1弾性部161が第1シール保持部122に押し付けられる。これと同時に、カシメによる第4カシメ部18dの形成に伴って、第4カシメ部18dの直下で弾性部材16の第2弾性部162が圧縮されると共に、その第2弾性部162が第2シール保持部142に押し付けられる。
図2の第1カシメ工程P04の次は第2カシメ工程P05へ進む。
【0056】
なお、第1カシメ工程P04が完了しても、矢印AP1、AP2、AP3、AP4で示す4箇所のカシメを行うためのカシメ加工爪はそれぞれ押圧管部材18に押し当てられた状態で、次の第2カシメ工程P05へ進む。これにより、第1管部材12と第2管部材14との位置ズレを防止し、管相互隙間20を狙い通りの大きさにすることが可能である。
【0057】
第2カシメ工程P05では、押圧管部材18のうち配管径方向DRrで管相互隙間20に対し外側に重なる部位において、
図4の矢印AP5で示すように押圧管部材18を配管径方向DRrの内側へカシメる第2カシメ加工を行う。詳細には、矢印AP5で示すように押圧管部材18がカシメられることにより、
図1の第5カシメ部18eが形成される。すなわち、この第2カシメ加工では、第5カシメ部18eの形成に伴って、
図6の矢印AL5で示すように弾性部材16が管相互隙間20へ更に押し込まれる。弾性部材16のうち、この管相互隙間20へ押し込まれた部分はスペーサ部163である。
【0058】
例えば、第5カシメ部18eを形成するためのカシメ量は、第1接続管部121の内壁面である内周面121bと第2接続管部141の内壁面である内周面141bとに対し径方向内側へスペーサ部163がはみ出さないように調整されている。
【0059】
次に、本実施形態の配管構造体10が奏する作用効果について説明する。上述したように、本実施形態によれば、
図1に示すように、第2弾性部162は、第1弾性部161から連続的につながって構成されている。そして、第1押圧部181内には第1弾性部161が挿入されており、第1押圧部181は、第1弾性部161を第1接続管部121に対して押し付けた状態で保持している。これと同様に、第2押圧部182内には第2弾性部162が挿入されており、第2押圧部182は、第2弾性部162を第2接続管部141に対して押し付けた状態で保持している。更に、第1管先端12aと第2管先端14aとの間には、電気絶縁性を備えたスペーサ部163が設けられている。
【0060】
このようにすることにより、第1弾性部161と第2弾性部162とスペーサ部163とを含む弾性部材16によって第1管部材12と第2管部材14との間の気密性を確保し、第1管部材12と第2管部材14との間の電気的な絶縁性を確保できる。そして、第1管部材12と第2管部材14との何れにも特殊な形状を設ける必要がない。従って、第1管部材12と第2管部材14との間の気密性と電気的な絶縁性とを確保した上で、その第1管部材12と第2管部材14とをシンプルな構造で接続することが可能である。
【0061】
また、スペーサ部163が設けられているので、第1管先端12aと第2管先端14aとの間において、絶縁距離、沿面距離、および外力耐性を十分に確保しやすい。その外力耐性とは、具体的に言えば、第1管先端12aと第2管先端14aとを配管軸方向DRaに近付けようとする外力が生じた場合にその外力に抗して第1管先端12aと第2管先端14aとの接触を防止する性能である。
【0062】
また、本実施形態によれば、弾性部材16は、その弾性部材16のうち、カシメられた第1および第2押圧部181、182に押圧されることによって管相互隙間20に入り込んだ状態になっている部分を、スペーサ部163として有している。従って、スペーサ部163を弾性部材16とは別の部品として設ける必要がない。そして、
図3に示すように、部品単体としての弾性部材16に予めスペーサ部163を成形しておく必要がないので、その弾性部材16を単純な形状にすること可能である。
【0063】
また、
図1に示すように、弾性部材16の弾性変形によりスペーサ部163が管相互隙間20に入り込んだ状態では、第1管先端12aの外側周縁12bと第2管先端14aの外側周縁14bとに弾性部材16が押し当てられる。従って、弾性部材16と第1接続管部121との間の気密性および弾性部材16と第2接続管部141との間の気密性を向上させることが可能である。
【0064】
また、本実施形態によれば、押込み部としての第5カシメ部18eは、配管径方向DRrの内側へ弾性部材16を押圧し、スペーサ部163を管相互隙間20に押し込んだ状態に保持している。従って、第5カシメ部18eが弾性部材16を押圧する押圧量に応じて、スペーサ部163の大きさを容易に調整することが可能である。
【0065】
また、本実施形態によれば、押圧管部材18は、第1管部材12と第2管部材14との両方に対し電気的に絶縁されている。従って、第1管部材12と第2管部材14との間の絶縁が押圧管部材18を介して損なわれることを防止することが可能である。なお、第1管部材12と第2管部材14との間の絶縁を確保するためには、押圧管部材18が、第1管部材12と第2管部材14との少なくとも一方に対し絶縁されていればよい。
【0066】
また、本実施形態によれば、第1押圧部181は、第1カシメ部18aと第2カシメ部18bとの各々の凹形状が形成されるようにカシメられた状態になっており、そのカシメられた状態になることで第1弾性部161を第1接続管部121に対して押し付けている。従って、第1弾性部161を介した第1押圧部181と第1接続管部121との間の電気絶縁性を損なわずに、第1弾性部161と第1接続管部121との間の保持力および気密性を確保することができる。このことは、第2弾性部162と第2接続管部141との間においても同様である。
【0067】
また、本実施形態によれば、第1シール保持部122は、第1接続管部121の全周にわたって環状に延びる溝122aが配管軸方向DRaに複数並んだ凹凸形状を成している。従って、気密性と保持力とを発揮する第1シール保持部122が配管軸方向DRaに或る程度の幅を有するように、その第1シール保持部122を形成することが可能である。このことは、第2シール保持部142についても同様である。
【0068】
また、本実施形態によれば、第1管先端12aの外側周縁12bは面取りされた形状を成しており、第2管先端14aの外側周縁14bも面取りされた形状を成している。従って、配管構造体10の製造工程において、弾性部材16内に第1管部材12と第2管部材14とをそれぞれ挿入しやすくすることが可能である。また、弾性部材16が押圧されることによって管相互隙間20に弾性部材16の一部が入り込んでスペーサ部163が形成される場合には、その管相互隙間20に入り込む弾性部材16の流れを促進することが可能である。
【0069】
また、本実施形態によれば、
図2の第1カシメ工程P04では第1カシメ加工が行われる。そして、その第1カシメ加工では、
図5に示すように、弾性部材16の厚みが圧縮されるようにその弾性部材16が弾性変形することに伴って、その弾性部材16の一部分が管相互隙間20に入り込む。この管相互隙間20に入り込んだ部分は、スペーサ部163になる。
【0070】
従って、第1カシメ加工では、弾性部材16の一部分が管相互隙間20に入り込むので、第1管先端12aと第2管先端14aとの間の電気絶縁性を、弾性部材16によって確保できる。すなわち、第1管先端12aと第2管先端14aとの間に入り込む形状に弾性部材16を予め成形しておく必要がない。そして、第1カシメ加工における弾性部材16の弾性変形を利用して弾性部材16の一部分を第1管先端12aと第2管先端14aとの間にスペーサ部163として設け、その部分の電気絶縁性を十分に確保することが可能である。
【0071】
また、
図2の第1カシメ工程P04にてスペーサ部163が或る程度形成されるので、続く第2カシメ工程P05において、弾性部材16を管相互隙間20に押し込むために第5カシメ部18eを形成するカシメ量を減少させることが可能である。
【0072】
また、
図2の準備工程P01において用意される第1管部材12と第2管部材14と弾性部材16と押圧管部材18は何れも、簡素な直管形状を成している。従って、準備工程P01に続く各挿入工程P02、P03で、引っ掛かりなど無くそれぞれの部品を簡単に嵌合することが可能である。
【0073】
また、本実施形態によれば、
図2の第2カシメ工程P05では、第2カシメ加工が行われる。そして、その第2カシメ加工では、押圧管部材18のうち配管径方向DRrで管相互隙間20に対し外側に重なる部位において、
図6の矢印AP5で示すように押圧管部材18を配管径方向DRrの内側へカシメる。これにより、弾性部材16を管相互隙間20へ更に押し込む。従って、その管相互隙間20に形成されるスペーサ部163の大きさを、その第2カシメ加工において弾性部材16を押し込む押込み量に応じて容易に調整することが可能である。
【0074】
例えば、配管径方向DRrにおいて、スペーサ部163の径方向内側の内周端の位置は、第1接続管部121の内周面121bと第2接続管部141の内周面141bとの一方または両方の位置に揃うように調整されているのが好ましい。そのようにしたとすれば、第1および第2管部材12、14内の流体が流れる通路の通路断面積が、第1管先端12aと第2管先端14aとの間で局所的に変化することを抑えることが可能である。従って、管相互隙間20の位置において第1および第2管部材12、14内の流体流れが乱されることを抑制することができる。そして、その流体流れが乱されることに起因した異音発生も抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、
図1に示すように、第1弾性部161は、押圧管部材18よりも更に配管軸方向DRaの一方側へはみ出るように延びている。これと同様に、第2弾性部162は、押圧管部材18よりも更に配管軸方向DRaの他方側へはみ出るように延びている。従って、押圧管部材18と第1管部材12との間の沿面距離、および、押圧管部材18と第2管部材14との間の沿面距離を十分に長く確保することが可能である。そして、その沿面距離を、押圧管部材18に対する第1弾性部161のはみ出し量と第2弾性部162のはみ出し量とに応じて容易に定めることが可能である。
【0076】
また、本実施形態によれば、
図1に示すように、スペーサ部163は、第1接続管部121の内周面121bと第2接続管部141の内周面141bとの何れに対しても径方向内側へはみ出さしていない。従って、第1管部材12と第2管部材14との間で流れる流体の流れがスペーサ部163によって乱されることを防止しつつ、そのスペーサ部163を設けることが可能である。
【0077】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0078】
図7に示すように、本実施形態では、押圧管部材18に第5カシメ部18e(
図1参照)が形成されていない。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。
【0079】
押圧管部材18に第5カシメ部18eが形成されていないが、
図2の第1カシメ工程P04における第1カシメ加工で弾性部材16の一部分が管相互隙間20に入り込むので、本実施形態でも、
図7に示すようにスペーサ部163は形成される。
【0080】
但し、第5カシメ部18eが形成されないので、
図2の第2カシメ工程P05は実施されない。そのため、本実施形態のスペーサ部163は、第1実施形態のスペーサ部163と比較して小さく形成される。
【0081】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0082】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0083】
図8に示すように、本実施形態では、第1押圧部181と第2押圧部182とが別々の部材として構成されている。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。なお、本実施形態では、第1押圧部181を第1押圧部材181と呼び、第2押圧部182を第2押圧部材182と呼ぶものとする。
【0084】
本実施形態では、第1押圧部材181と第2押圧部材182とが別々の部材であるので、第5カシメ部18e(
図1参照)は設けられていない。
【0085】
但し、第1押圧部材181は、配管径方向DRrでスペーサ部163に対し外側に重なって配置された第1押込み部181aを有している。そして、第2押圧部材182は、配管径方向DRrでスペーサ部163に対し外側に重なって配置された第2押込み部182aを有している。この第1押込み部181aと第2押込み部182aは、第1実施形態の第5カシメ部18eに相当し、本実施形態では、その第5カシメ部18eに替わるものである。
【0086】
従って、第1押込み部181aと第2押込み部182aは、第1実施形態の第5カシメ部18eと同様に、カシメによって配管径方向DRrの内側へ変形させられている。この変形により、第1押込み部181aと第2押込み部182aは、配管径方向DRrの内側へ弾性部材16を押圧し、スペーサ部163を管相互隙間20に押し込んだ状態に保持している。また、
図8の第1押込み部181aと第2押込み部182aは、
図2の第2カシメ工程P05において形成される。
【0087】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、第1および第2押込み部181a、182aは、配管径方向DRrの内側へ弾性部材16を押圧し、スペーサ部163を管相互隙間20に押し込んだ状態に保持している。従って、第1実施形態の第5カシメ部18eと同様に、第1および第2押込み部181a、182aが弾性部材16を押圧する押圧量に応じて、スペーサ部163の大きさを容易に調整することが可能である。
【0089】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0090】
図9に示すように、本実施形態は、弾性部材16がスペーサ部163を有しているという点では、第1実施形態と同様である。しかし、本実施形態のスペーサ部163は、弾性部材16の弾性変形に伴って弾性部材16の一部が管相互隙間20に入り込むことにより形成されるものではない。具体的に、本実施形態の弾性部材16は、スペーサ部163を有するように予め成形されている。すなわち、本実施形態の弾性部材16は、その弾性部材16の成形された成形形状の一部分としてスペーサ部163を有している。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。
【0091】
本実施形態では、
図2の準備工程P01において用意される弾性部材16にスペーサ部163は既に形成されているので、
図2の第2カシメ工程P05は実施されない。従って、
図9に示すように、押圧管部材18に第5カシメ部18e(
図1参照)は形成されていない。
【0092】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、弾性部材16は、その弾性部材16の成形された成形形状の一部分としてスペーサ部163を有している。従って、弾性部材16とスペーサ部163との部品共通化を図り、スペーサ部163を、バラツキの少ない所望の形状とすることが容易である。
【0094】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
【0095】
図10に示すように、本実施形態では、第1押圧部181と第2押圧部182とが別々の部材として構成されている。この点において、本実施形態は第4実施形態と異なっている。そして、この点を除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
【0096】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
【0097】
図11に示すように、弾性部材16は、第1接続管部121および第2接続管部141の内側に設けられた管内配置部164を有している。この点において、本実施形態は第4実施形態と異なっている。
【0098】
具体的に、管内配置部164は、スペーサ部163から連続的につながっている。この管内配置部164は、スペーサ部163に対し配管径方向DRrの内側に配置されている。
【0099】
また、管内配置部164は、環形状(別言すれば、筒形状)を成している。管内配置部164は、スペーサ部163に対し第1接続管部121の内周面121bに沿って配管軸方向DRaの一方側に延びている。それと共に、管内配置部164は、スペーサ部163に対し第2接続管部141の内周面141bに沿って配管軸方向DRaの他方側にも延びている。
【0100】
従って、管内配置部164が配管軸方向DRaの一方側に有する一方端164aは、配管軸方向DRaにおいて第1管先端12aよりも一方側に位置している。そして、管内配置部164が配管軸方向DRaの他方側に有する他方端164bは、配管軸方向DRaにおいて第2管先端14aよりも他方側に位置している。
【0101】
以上説明したことを除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、第1接続管部121および第2接続管部141の内側に、スペーサ部163から連続的につながった管内配置部164が設けられている。そして、その管内配置部164は環形状を成し、第1接続管部121の内周面121bに沿って配管軸方向DRaに延び且つ第2接続管部141の内周面141bに沿っても配管軸方向DRaに延びている。従って、第1接続管部121および第2接続管部141の内側においてその第1接続管部121と第2接続管部141との間の沿面距離を管内配置部164によって長くすることが可能である。これにより、第1接続管部121および第2接続管部141の内側において第1接続管部121と第2接続管部141との間の電気絶縁性を高めることが可能である。
【0103】
なお、本実施形態は第4実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第5実施形態と組み合わせることも可能である。
【0104】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第6実施形態と異なる点を主として説明する。
【0105】
図12に示すように、本実施形態では、管内配置部164の形状が第6実施形態と異なっている。
【0106】
具体的に、本実施形態では、管内配置部164の内径は、管内配置部164がスペーサ部163に連結している連結部分から管内配置部164の一方端164aと他方端164bとの各々に近づくほど大きくなっている。
【0107】
すなわち、その管内配置部164の連結部分において管内配置部164の厚みが最も大きく、管内配置部164の一方端164aおよび他方端164bにおいて最も小さくなっている。そして、その管内配置部164の厚みは、上記連結部分から管内配置部164の一方端164aと他方端164bとの各々に近づくほど小さくなっている。例えば、管内配置部164の形状は、一方端164aと他方端164bとにおいて尖った形状となっている。
【0108】
以上説明したことを除き、本実施形態は第6実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第6実施形態と共通の構成から奏される効果を第6実施形態と同様に得ることができる。
【0109】
また、本実施形態によれば、管内配置部164の内径は、管内配置部164がスペーサ部163に連結している連結部分から管内配置部164の一方端164aと他方端164bとの各々に近づくほど大きくなっている。従って、管内配置部164を、第1管部材12と第2管部材14との間で流れる流体の流れを阻害しにくい形状とすることができる。その結果、例えば、管内配置部164に起因した異音や圧損を抑えることが可能である。
【0110】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
【0111】
図13に示すように、本実施形態のスペーサ部221は第4実施形態のスペーサ部163(
図9参照)に相当する。従って、本実施形態のスペーサ部221は第4実施形態のスペーサ部163と同じ形状または略同じ形状であり、そのスペーサ部221の配置は第4実施形態のスペーサ部163と同じである。すなわち、本実施形態のスペーサ部221も、第4実施形態のスペーサ部163と同様に、第1管先端12aと第2管先端14aとの間に設けられている。
【0112】
しかし、本実施形態のスペーサ部221は、弾性部材16の一部分ではなく、弾性部材16とは別の部品として構成されている。この点において、本実施形態は第4実施形態と異なっている。
【0113】
具体的に、本実施形態の配管構造体10は、弾性部材16等のほかに環状のリング部材22を備えており、そのリング部材22がスペーサ部221となっている。本実施形態では、リング部材22は、スペーサ部221だけで構成されている。
【0114】
例えば、そのスペーサ部221としてのリング部材22は、絶縁材料である樹脂などによって構成されている。従って、本実施形態においてもスペーサ部221は電気絶縁性を備えている。
【0115】
以上説明したことを除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
【0116】
また、本実施形態によれば、スペーサ部221は、弾性部材16とは別の部品として構成されている。従って、例えばリング部材22の構成材料を適宜選択すること等により、弾性部材16とは異なる機械的特性または電気的特性をスペーサ部221に備えさせることが可能である。
【0117】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第8実施形態と異なる点を主として説明する。
【0118】
図14に示すように、リング部材22は、スペーサ部221のほかに、管内配置部222を有している。この点において、本実施形態は第8実施形態と異なっている。
【0119】
具体的に、本実施形態の管内配置部222は第6実施形態の管内配置部164(
図11参照)に相当する。従って、本実施形態の管内配置部222は第6実施形態の管内配置部164と同じ形状または略同じ形状であり、その管内配置部222の配置は第6実施形態の管内配置部164と同じである。
【0120】
すなわち、本実施形態の管内配置部222は、第1接続管部121および第2接続管部141の内側に設けられ、スペーサ部221から連続的につながっている。そして、管内配置部222が配管軸方向DRaの一方側に有する一方端222aは、配管軸方向DRaにおいて第1管先端12aよりも一方側に位置している。そして、管内配置部222が配管軸方向DRaの他方側に有する他方端222bは、配管軸方向DRaにおいて第2管先端14aよりも他方側に位置している。
【0121】
以上説明したことを除き、本実施形態は第8実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第8実施形態と共通の構成から奏される効果を第8実施形態と同様に得ることができる。
【0122】
また、本実施形態のリング部材22が有する管内配置部222は、第6実施形態の管内配置部164に相当するものである。従って、本実施形態の管内配置部222は第6実施形態の管内配置部164と同様に機能し、その第6実施形態の管内配置部164により奏される効果と同様の効果を得ることができる。
【0123】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第9実施形態と異なる点を主として説明する。
【0124】
図15に示すように、本実施形態では、管内配置部222の形状が第9実施形態と異なっている。
【0125】
具体的に、本実施形態の管内配置部222は第7実施形態の管内配置部164(
図12参照)に相当する。従って、本実施形態の管内配置部222は第7実施形態の管内配置部164と同じ形状または略同じ形状であり、その管内配置部222の配置は第7実施形態の管内配置部164と同じである。
【0126】
すなわち、管内配置部222がスペーサ部221に連結している連結部分において管内配置部222の厚みが最も大きく、管内配置部222の一方端222aおよび他方端222bにおいて最も小さくなっている。そして、その管内配置部222の厚みは、上記連結部分から管内配置部222の一方端222aと他方端222bとの各々に近づくほど小さくなっている。例えば、管内配置部222の形状は、一方端222aと他方端222bとにおいて尖った形状となっている。
【0127】
以上説明したことを除き、本実施形態は第9実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第9実施形態と共通の構成から奏される効果を第9実施形態と同様に得ることができる。
【0128】
また、本実施形態のリング部材22が有する管内配置部222は、第7実施形態の管内配置部164に相当するものである。従って、本実施形態の管内配置部222は第7実施形態の管内配置部164と同様に機能し、その第7実施形態の管内配置部164により奏される効果と同様の効果を得ることができる。
【0129】
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0130】
図16に示すように、本実施形態の押圧管部材18の端部の形状が第1実施形態と異なっている。なお、本実施形態の配管構造体10は、第1実施形態と同様に、管相互隙間20(
図1参照)を中心として配管軸方向DRaに対称的に形成されている。そのため、
図16では、配管構造体10のうち配管軸方向DRaの一方側の部分である
図1のXVI部分に相当する部分を抜粋して図示し、配管軸方向DRaの他方側の部分の図示を省略している。このことは、
図1のXVI部分に相当する部分を抜粋して図示する後述の図でも同様である。
【0131】
第1押圧部181は、第1押圧部181の径方向内側へ折り返された形状を成す折返し部181bを、配管軸方向DRaにおける一方側の端部、すなわち第2押圧部182側とは反対側の端部に有している。そして、その折返し部181bは、第1弾性部161を押圧しつつ第1弾性部161に密着している。また、その折返し部181bは、第1シール保持部122に対し配管軸方向DRaの一方側に配置されている。
【0132】
また、押圧管部材18は管相互隙間20を中心として配管軸方向DRaに対称的に形成されているので、第2押圧部182(
図1参照)は、第1押圧部181の折返し部181bと同様の折返し部を、第1押圧部181とは対称的な配置で有している。すなわち、第2押圧部182の折返し部は、第2押圧部182のうち、配管軸方向DRaにおける他方側の端部、すなわち第1押圧部181側とは反対側の端部に設けられている。そして、その第2押圧部182の折返し部は、第2弾性部162(
図1参照)を押圧しつつ第2弾性部162に密着している。また、その第2押圧部182の折返し部は、第2シール保持部142(
図1参照)に対し配管軸方向DRaの他方側に配置されている。
【0133】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0134】
また、本実施形態によれば、第1押圧部181は、第1押圧部181の径方向内側へ折り返された形状を成す折返し部181bを、配管軸方向DRaにおける第2押圧部182側とは反対側の端部に有している。そして、その折返し部181bは、第1弾性部161を押圧しつつ第1弾性部161に密着している。従って、その折返し部181bが設けられている箇所を補強できると共に、第1弾性部161を折返し部181bで係止して第1弾性部161が第1押圧部181から抜けにくいように保持することが可能である。
【0135】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第10実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
【0136】
(第12実施形態)
次に、第12実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第11実施形態と異なる点を主として説明する。
【0137】
図17に示すように、本実施形態の第1接続管部121は、第1接続管部121の外周面121aに設けられた突起123を有している。この点において、本実施形態は第11実施形態と異なっている。
【0138】
具体的に、その突起123は第1接続管部121の外周面121aから配管径方向DRrに突き出ている。また、その突起123は、配管軸方向DRaにおいて、第1シール保持部122と第1押圧部181の折返し部181bとの間に配置されている。例えば、突起123は、配管周方向の全周にわたって環状に形成されている。
【0139】
また、第2接続管部141(
図1参照)は、第1接続管部121に対し、管相互隙間20を中心として配管軸方向DRaに対称的に設けられている。そのため、第2接続管部141は、第1接続管部121の突起123と同様の突起を、第1接続管部121とは対称的な配置で有している。すなわち、第2接続管部141の突起は、配管軸方向DRaにおいて、第2シール保持部142と第2押圧部182の折返し部との間に配置されている。
【0140】
以上説明したことを除き、本実施形態は第11実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第11実施形態と共通の構成から奏される効果を第11実施形態と同様に得ることができる。
【0141】
また、本実施形態によれば、第1接続管部121は、第1接続管部121の外周面121aに設けられた環状の突起123を有している。従って、その突起123が設けられている箇所を補強できると共に、第1弾性部161を突起123で係止して第1接続管部121が第1弾性部161から抜けにくいように保持することが可能である。
【0142】
(第13実施形態)
次に、第13実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0143】
図18に示すように、本実施形態の第1接続管部121は、第1接続管部121の外周面121aに設けられた突起123を有している。また、第1押圧部181は、配管軸方向DRaにおける一方側に一端部181cを有し、その一端部181cは、第1押圧部181の径方向内側へ曲がって形成されている。
【0144】
具体的に、第1押圧部181の一端部181cは、第1シール保持部122に対し配管軸方向DRaの一方側に配置されている。そして、本実施形態の第1接続管部121の突起123は、配管径方向DRrへの突出高さを除き、第12実施形態の突起123と同様である。本実施形態の突起123の突出高さは、第12実施形態の突起123に比して大きくなっている。
【0145】
本実施形態の突起123は、配管軸方向DRaにおいて、第1シール保持部122と第1押圧部181の一端部181cとの間に配置されている。そして、突起123は、第1押圧部181の一端部181cに対し配管軸方向DRaの他方側に部分的に重なるように設けられている。
【0146】
第2接続管部141は、第1接続管部121の突起123と同様の突起を、第1接続管部121とは対称的な配置で有している。そして、第2押圧部182は、第1押圧部181の一端部181cと同様の端部(すなわち、他端部)を、第1押圧部181とは対称的な配置で有している。
【0147】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0148】
また、本実施形態によれば、第1接続管部121の突起123は、第1押圧部181の一端部181cに対し配管軸方向DRaの他方側に部分的に重なるように設けられている。そして、その突起123と一端部181cとの間には、第1弾性部161の一部が介在している。従って、第1接続管部121と第1弾性部161とが第1押圧部181から抜けにくいように第1押圧部181の一端部181cで保持することが可能である。
【0149】
また、本実施形態によれば、第1接続管部121は、第1接続管部121の外周面121aに設けられた環状の突起123を有している。従って、第12実施形態の突起123により奏される効果と同様の効果を得ることができる。
【0150】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第10実施形態のうちの何れかと組み合わせることも可能である。
【0151】
(他の実施形態)
(1)上述の第1実施形態において、第1管部材12、第2管部材14、および押圧管部材18は何れも金属製であるので導電性を備えているが、それらの管部材12、14、18は絶縁材料で構成されていても差し支えない。このことは、第2実施形態以降の実施形態でも同様である。
【0152】
(2)上述の第1実施形態では
図1に示すように、第1押圧部181と第2押圧部182とに2箇所ずつカシメ箇所が設けられているが、各押圧部181、182に設けられるカシメ箇所は、1箇所であっても3箇所以上であっても差し支えない。このことは、第2実施形態以降の実施形態でも同様である。また、第1押圧部181と第2押圧部182とでカシメ箇所の数が等しくされる必要もない。
【0153】
(3)上述の各実施形態において、例えば
図1に示す第1カシメ部18aの凹形状は、押圧管部材18の全周にわたって形成されているが、これは一例である。第1カシメ部18aが押圧管部材18の全周にわたって第1弾性部161の圧縮変形を生じさせていれば、第1カシメ部18aの形状に限定はない。例えば、第1カシメ部18aの凹形状は、押圧管部材18の周方向に並ぶように複数に分かれて形成されていてもよい。このことは、第2~第5カシメ部18b、18c、18d、18eでも同様である。
【0154】
(4)上述の各実施形態では例えば
図1に示すように、第1シール保持部122は、環状に延びる溝122aが配管軸方向DRaに複数並んだ凹凸形状を成しているが、これは一例である。第1接続管部121と第1弾性部161との間の気密性と保持力とを十分に確保できれば、第1シール保持部122の形状に限定はない。例えば、その第1シール保持部122は、環状に延びる1本の溝または1本の突起だけが形成されたものであることも想定される。このことは、第2シール保持部142についても同様である。
【0155】
(5)上述の第1実施形態では
図2に示すように、弾性部材挿入工程P02の次に管部材挿入工程P03が実施されるが、その弾性部材挿入工程P02と管部材挿入工程P03との実施順は何れが先であってもよい。また、その弾性部材挿入工程P02と管部材挿入工程P03とが同時に行われても差し支えない。このことは、第2実施形態以降の実施形態でも同様である。
【0156】
(6)上述の第1実施形態において
図2の製造工程では、第1カシメ工程P04の次に第2カシメ工程P05へ進むが、その際、4箇所のカシメを行うためのカシメ加工爪はそれぞれ押圧管部材18に押し当てられた状態で、次の第2カシメ工程P05へ進む。これは一例であり、4箇所のカシメ加工爪のうちの何れか1つが第1押圧部181に押し当てられ他の1つが第2押圧部182に押し当てられた状態で、第1カシメ工程P04から第2カシメ工程P05へ進んでも差し支えない。或いは、カシメ加工爪が全て押圧管部材18から離れた状態で、第1カシメ工程P04から第2カシメ工程P05へ進むことも想定できる。
【0157】
(7)上述の第各実施形態では、第1接続管部121と第2接続管部141はそれぞれ、例えば円形断面の管形状を成しているが、これは一例であり、その第1および第2接続管部121、141の断面形状に限定はない。
【0158】
(8)上述の第3実施形態では
図8に示すように、第1押圧部材181は第1押込み部181aを有し、第2押圧部材182は第2押込み部182aを有しているが、これは一例である。スペーサ部163の大きさを適切に調整できるのであれば、第1押込み部181aと第2押込み部182aとの一方は設けられていなくてもよい。
【0159】
(9)上述の第1実施形態では、押圧管部材18が有する各カシメ部18a、18b、18c、18d、18eの形状は
図1の通りであるが、このカシメ部の形状は種々考えられる。このことは、第2実施形態以降の実施形態でも同様である。
【0160】
例えば、第1実施形態において押圧管部材18の第5カシメ部18eは、
図19に示すのように、
図1に示す形状よりも配管径方向DRrに深くカシメられた形状であってもよい。或いは、第5カシメ部18eは、
図20に示すのように、
図1に示す形状よりも幅狭の形状であってもよい。
【0161】
(10)上述の第1実施形態では
図6に示すように、第5カシメ部18eを形成するためのカシメ量は、第1接続管部121の内周面121bと第2接続管部141の内周面141bとに対し径方向内側へスペーサ部163がはみ出さないように調整されている。しかしながら、これは一例である。例えば、スペーサ部163は、第1管部材12と第2管部材14との間で流れる流体の流れを乱さない程度であれば、第1接続管部121の内周面121bと第2接続管部141の内周面141bとに対し径方向内側へ多少はみ出ていても差し支えない。すなわち、何れかの内周面121b、141bに対する径方向内側へのスペーサ部163のはみ出し量が第1および第2管部材12、14内の流体流れを乱さない程度の大きさになるように、第5カシメ部18eを形成するためのカシメ量が調整されていればよい。このことは、第2実施形態以降の実施形態のうち、スペーサ部163が第1実施形態と同様に設けられている実施形態でも同様である。
【0162】
(11)上述の第1実施形態では
図2の第1カシメ工程P04において、
図4の矢印AP1、AP3で示すカシメの後に、
図4の矢印AP2、AP4で示すカシメが行われるが、この順番は逆でもよい。すなわち、
図4の矢印AP2、AP4で示すカシメの後に、
図4の矢印AP1、AP3で示すカシメが行われてもよい。このことは、第2実施形態以降の実施形態でも同様である。
【0163】
(12)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0164】
また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0165】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、弾力性および絶縁性を備えた弾性部材は、第1接続管部が挿入された管状の第1弾性部と第2接続管部が挿入された管状の第2弾性部とを有する。そして、第2弾性部は、第1弾性部から連続的につながっている。管状の第1押圧部には第1弾性部が挿入されており、その第1押圧部は、第1弾性部を第1接続管部に対して押し付けた状態で保持する。また、管状の第2押圧部には第2弾性部が挿入されており、その第2押圧部は、第2弾性部を第2接続管部に対して押し付けた状態で保持する。更に、第1管部材の先端と第2管部材の先端との間には、絶縁性を備えたスペーサ部が設けられる。
【0166】
また、第2の観点によれば、弾性部材は、その弾性部材のうち、第1押圧部と第2押圧部とに押圧されることによって第1管部材の先端と第2管部材の先端との間の隙間に入り込んだ状態になっている部分を、スペーサ部として有している。従って、スペーサ部を弾性部材とは別の部品として設ける必要がない。そして、部品単体としての弾性部材に予めスペーサ部を成形しておく必要がないので、その弾性部材を単純な形状にすること可能である。
【0167】
また、第3の観点によれば、第1押圧部と第2押圧部とのうちの一方または両方は、第1接続管部の径方向でスペーサ部に対し外側に重なって配置された押込み部を有する。そして、その押込み部は、径方向の内側へ弾性部材を押圧し、スペーサ部を隙間に押し込んだ状態に保持している。従って、押込み部が弾性部材を押圧する押圧量に応じて、スペーサ部の大きさを容易に調整することが可能である。
【0168】
また、第4の観点によれば、第1押圧部と第2押圧部は、連続的につながって押圧管部材を構成しており、その押圧管部材は、第1接続管部の径方向でスペーサ部に対し外側に重なって配置された押込み部を有する。そして、押込み部は、径方向の内側へ弾性部材を押圧し、スペーサ部を隙間に押し込んだ状態に保持している。従って、押込み部が弾性部材を押圧する押圧量に応じて、スペーサ部の大きさを容易に調整することが可能である。
【0169】
また、第5の観点によれば、弾性部材は、その弾性部材の成形された成形形状の一部分としてスペーサ部を有している。従って、弾性部材とスペーサ部との部品共通化を図り、スペーサ部を、バラツキの少ない所望の形状とすることが容易である。
【0170】
また、第6の観点によれば、スペーサ部は、弾性部材とは別の部品として構成されている。従って、例えばスペーサ部の構成材料を適宜選択すること等により、弾性部材とは異なる機械的特性または電気的特性をスペーサ部に備えさせることが可能である。
【0171】
また、第7の観点によれば、第1接続管部および第2接続管部の内側に、スペーサ部から連続的につながった管内配置部が設けられている。そして、その管内配置部は筒形状を成し、第1接続管部の内壁面に沿って軸方向に延び且つ第2接続管部の内壁面に沿って軸方向に延びている。従って、第1接続管部および第2接続管部の内側においてその第1接続管部と第2接続管部との間の沿面距離を管内配置部によって長くすることが可能である。これにより、第1接続管部および第2接続管部の内側において第1接続管部と第2接続管部との間の絶縁性を高めることが可能である。
【0172】
また、第8の観点によれば、第1管部材と第1押圧部は何れも金属製であり、第1押圧部は、第1管部材に対し電気的に絶縁されている。従って、第1管部材と第2管部材との間の絶縁が第1押圧部を介して損なわれることを防止することが可能である。
【0173】
また、第9の観点によれば、第1押圧部は、径方向内側へ窪んだ凹形状が形成されるようにカシメられた状態になっており、カシメられた状態になることで第1弾性部を第1接続管部に対して押し付けている。従って、第1弾性部を介した第1押圧部と第1接続管部との間の絶縁性を損なわずに、第1弾性部と第1接続管部との間の保持力および気密性を確保することができる。
【0174】
また、第10の観点によれば、凹形状は、第1押圧部の全周にわたって形成され、または、第1押圧部の周方向に並ぶように複数に分かれて形成されている。
【0175】
また、第11の観点によれば、第1押圧部は、径方向内側へ折り返された形状を成す折返し部を、軸方向における第2押圧部側とは反対側の端部に有している。そして、その折返し部は、第1弾性部に密着している。従って、その第1押圧部の折返し部が設けられている箇所を補強できると共に、第1弾性部が第1押圧部から抜けにくいように保持することが可能である。
【0176】
また、第12の観点によれば、第1シール保持部は、第1接続管部の全周にわたって延びる溝が軸方向に複数並んだ凹凸形状を成している。従って、気密性と保持力とを発揮する第1シール保持部が軸方向に或る程度の幅を有するように、その第1シール保持部を形成することが可能である。
【0177】
また、第13の観点によれば、第1管部材の先端と第2管部材の先端はそれぞれ、径方向外側の周縁が面取りされた形状を成している。従って、配管構造体の製造工程において、弾性部材内に第1管部材と第2管部材とをそれぞれ挿入しやすくすることが可能である。また、弾性部材が押圧されることによって第1管部材の先端と第2管部材の先端との間の隙間に弾性部材の一部が入り込んでスペーサ部が形成される場合には、その隙間に入り込む弾性部材の流れを促進することが可能である。
【0178】
また、第14の観点によれば、カシメ加工では、弾性部材の厚みが圧縮されるように弾性部材が弾性変形することに伴って、その弾性部材の一部分が第1管部材の先端と第2管部材の先端との間の隙間に入り込む。
【0179】
また、第15の観点によれば、第1カシメ加工としてのカシメ加工の後に、押圧管部材のうち第1接続管部の径方向で隙間に対し外側に重なる部位において押圧管部材を径方向の内側へカシメる第2カシメ加工が行われる。そして、第2カシメ加工では、弾性部材を隙間へ更に押し込む。従って、その隙間に形成されるスペーサ部の大きさを、その第2カシメ加工において弾性部材を押し込む押込み量に応じて容易に調整することが可能である。
【符号の説明】
【0180】
12 第1管部材
14 第2管部材
16 弾性部材
121 第1接続管部
141 第2接続管部
161 第1弾性部
162 第2弾性部
163、221 スペーサ部
181 第1押圧部
182 第2押圧部