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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220614BHJP
   G03G 15/02 20060101ALI20220614BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G15/02 102
G03G15/00 659
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018094340
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019200290
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田切 和喜
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-205829(JP,A)
【文献】特開2016-164604(JP,A)
【文献】特開2016-164609(JP,A)
【文献】特開2011-180458(JP,A)
【文献】特開2006-139272(JP,A)
【文献】特開2000-347545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写体と、
像担持体と、
帯電電圧に基づいて、前記像担持体を帯電する帯電部と、
前記像担持体が帯電されるときに出力される帯電電流を検知する帯電電流検知部と、
前記像担持体を露光する露光部と、
転写電圧が印加されることにより、前記転写体にトナー像を転写する転写部と、
前記転写電圧が印加されることにより出力される転写電流を検知する転写電流検知部と、
前記転写電圧を複数段階、変更して、該複数段階それぞれにおける前記転写電流と前記帯電電流とに基づいて、前記転写電流と前記帯電電流との特性を取得する特性取得部と、
前記特性において変化している2つの変化特性である第1変化特性および第2変化特性を、前記帯電電圧を第1帯電電圧としたときと、前記帯電電圧を第2帯電電圧としたときとのそれぞれにおいて取得する変化特性取得部と、
前記第1帯電電圧と、前記第2帯電電圧と、前記帯電電圧を前記第1帯電電圧としたときの前記第1変化特性での前記帯電電流と、前記帯電電圧を前記第1帯電電圧としたときの前記第2変化特性での前記帯電電流と、前記帯電電圧を前記第2帯電電圧としたときの前記第1変化特性での前記帯電電流と、前記帯電電圧を前記第2帯電電圧としたときの前記第2変化特性での前記帯電電流とに基づいて、前記露光部による露光後の露光後電位を算出する算出部と、
前記露光後電位に基づいて前記像担持体の寿命に関する判断を実行する判断部とを有する、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1変化特性は、前記転写電流に対する前記帯電電流の割合の変化量が第1値である特性であり、
前記第2変化特性は、前記転写電流に対する前記帯電電流の割合の変化量が前記第1値よりも小さい第2値である特性である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断部は、
前記露光後電位が閾値電圧以上であるか否かを判断し、
前記露光後電位が閾値電圧以上であると判断したときに、前記露光部の露光強度を変化させる変化処理を実行すると共に、該変化された露光強度で前記算出部は前記露光後電位を再び算出し、
前記再び算出された前記露光後電位が前記閾値電圧未満となるまで、前記変化処理、および前記算出部が前記露光後電位を再び算出する処理が繰り替えされる、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記変化処理により、前記露光強度が最大露光強度となったときにおいて、前記再び算出された前記露光後電位が前記閾値電圧よりも大きいと判断されたときには、前記像担持体の寿命が到来したと判断する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙に画像を形成する画像形成部をさらに備え、
前記露光部は、前記再び算出された前記露光後電位が前記閾値電圧未満であると前記判断部により判断されたときには、該判断されたときの露光強度で、前記画像形成部が用紙に画像を形成するために、前記像担持体を露光する、請求項3または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記算出部により算出された前記露光後電位と、該露光後電位が算出されたときの前記画像形成装置の使用量と、該露光後電位よりも前に算出された以前露光後電位と、該以前露光後電位が算出されたときの前記画像形成装置の使用量とに基づいて、前記像担持体の第1許容稼動量を取得する、請求項1~請求項5いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判断部は、
前記像担持体の膜厚から、前記像担持体の第2許容稼動量を取得し、
前記第1許容稼動量と前記第2許容稼動量とのうち小さい量を前記像担持体の許容稼動量と判断する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電部により前記像担持体が帯電される前に、該像担持体を除電する除電部をさらに有する、請求項1~請求項7いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記除電部は、前記露光部と同一の処理を実行する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記露光部が、前記帯電部により前記像担持体が帯電される前に、前記像担持体を除電する、請求項1~請求項7いずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体を用いた画像形成装置において、該感光体の寿命を予測する技術が提案されている。たとえば、特許文献1記載の画像形成装置では、露光部が感光体に対して露光することなどにより、用紙に対して画像を形成する。該画像形成装置では、電位測定装置が、感光体に対して露光された後の露光後電位を測定する。該画像形成装置は、該露光後電位に基づいて、感光体の寿命を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-139614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1記載の画像形成装置では、電位測定装置を用いる。しかしながら、電位測定装置は高価であるという問題があった。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、低コストで感光体の寿命に関する判断を実行する画像形成装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、転写体と、像担持体と、帯電電圧に基づいて、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体が帯電されるときに出力される帯電電流を検知する帯電電流検知部と、像担持体を露光する露光部と、転写電圧が印加されることにより、転写体にトナー像を転写する転写部と、転写電圧が印加されることにより出力される転写電流を検知する転写電流検知部と、転写電圧を複数段階、変更して、該複数段階それぞれにおける転写電流と帯電電流とに基づいて、転写電流と帯電電流との特性を取得する特性取得部と、特性において変化している2つの変化特性である第1変化特性および第2変化特性を、帯電電圧を第1帯電電圧としたときと、帯電電圧を第2帯電電圧としたときとのそれぞれにおいて取得する変化特性取得部と、第1帯電電圧と、第2帯電電圧と、帯電電圧を第1帯電電圧としたときの第1変化特性での帯電電流と、帯電電圧を第1帯電電圧としたときの第2変化特性での帯電電流と、帯電電圧を第2帯電電圧としたときの第1変化特性での帯電電流と、帯電電圧を第2帯電電圧としたときの第2変化特性での帯電電流とに基づいて、露光部による露光後の露光後電位を算出する算出部と、露光後電位に基づいて像担持体の寿命に関する判断を実行する判断部とを有する、画像形成装置が提供される。
【0007】
好ましくは、第1変化特性は、転写電流に対する帯電電流の割合の変化量が第1値である特性であり、第2変化特性は、転写電流に対する帯電電流の割合の変化量が第1値よりも小さい第2値である特性である。
【0008】
好ましくは、判断部は、露光後電位が閾値電圧以上であるか否かを判断し、露光後電位が閾値電圧以上であると判断したときに、露光部の露光強度を変化させる変化処理を実行すると共に、該変化された露光強度で算出部は露光後電位を再び算出し、再び算出された露光後電位が閾値電圧未満となるまで、変化処理、および算出部が露光後電位を再び算出する処理が繰り替えされる。
【0009】
好ましくは、判断部は、変化処理により、露光強度が最大露光強度となったときにおいて、再び算出された露光後電位が閾値電圧よりも大きいと判断されたときには、像担持体の寿命が到来したと判断する。
【0010】
好ましくは、用紙に画像を形成する画像形成部をさらに備え、露光部は、再び算出された露光後電位が閾値電圧未満であると判断部により判断されたときには、該判断されたときの露光強度で、画像形成部が用紙に画像を形成するために、像担持体を露光する。
【0011】
好ましくは、判断部は、算出部により算出された露光後電位と、該露光後電位が算出されたときの画像形成装置の使用量と、該露光後電位よりも前に算出された以前露光後電位と、該以前露光後電位が算出されたときの画像形成装置の使用量とに基づいて、像担持体の第1許容稼動量を取得する。
【0012】
好ましくは、判断部は、像担持体の膜厚から、像担持体の第2許容稼動量を取得し、第1許容稼動量と第2許容稼動量とのうち小さい量を像担持体の許容稼動量と判断する。
【0013】
好ましくは、帯電部により像担持体が帯電される前に、該像担持体を除電する除電部をさらに有する。
【0014】
好ましくは、除電部は、露光部と同一の処理を実行する。
好ましくは、露光部が、帯電部により像担持体が帯電される前に、像担持体を除電する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、低コストで感光体の寿命に関する判断を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】画像形成装置の全体構成を示す図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】本実施形態の制御部の機能構成例を示す図である。
図4】本実施形態の画像形成ユニットを示す図である。
図5】本実施形態の感光体の表面電位の推移を示す図である。
図6】本実施形態の画像形成ユニットの周辺を示す図である。
図7】本実施形態の露光後電位の3種類の振舞を示す図である。
図8】第1変化点および第2変化点を示す図である。
図9】帯電電流と転写電流との関係を示す図である。
図10】帯電電流と帯電電圧との関係を示す図である。
図11】露光強度と露光後電位との関係を示す図である。
図12】露光後電位と感光体の稼動量との関係を示す図である。
図13】寿命検出モードのフローチャートである。
図14】変形例の画像形成ユニットを示す図である。
図15】変形例の感光体の表面電位の推移を示す図である。
図16】感光体の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に基づいた実施の形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、各実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0018】
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置100の概略構成について説明する。図1は、画像形成装置100の内部構成を示す図である。
【0019】
図1には、カラープリンターとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンターとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンターに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンターであってもよいし、モノクロプリンター、カラープリンターおよびFAXの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0020】
画像形成装置100は、形成部としての画像形成ユニット1A~1Dと、中間転写ベルト11(中間転写体)と、一次転写ローラー12(転写部)と、二次転写ローラー13と、クリーニング部15と、排紙トレー16と、カセット17と、制御部18と、露光制御部19と、定着部としての定着器30と、排紙ローラー36と、反転搬送経路38などを含む。
【0021】
画像形成ユニット1Aは、イエロー(Y)のトナー画像を形成する。画像形成ユニット1Bは、マゼンタ(M)のトナー画像を形成する。画像形成ユニット1Cは、シアン(C)のトナー画像を形成する。画像形成ユニット1Dは、ブラック(BK)のトナー画像を形成する。
【0022】
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、複数の支持ローラーのうち少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、矢印21の方向に周回駆動する。画像形成ユニット1A~1Dは、それぞれ、中間転写ベルト11の駆動方向に沿って順に配置されている。
【0023】
画像形成ユニット1A~1Dは、それぞれ、感光体2と、帯電部3と、現像部4と、感光体クリーニング部5と、露光部9と、除電部80を備える。感光体2は、トナー画像を担持する像担持体である。一例として、感光体2には、その表面に感光層が形成された感光体ドラムが用いられる。感光体2は、中間転写ベルト11の駆動方向に対応する方向に回転する。
【0024】
帯電部3は、感光体2の表面を一様に、負極性(たとえば、-500V)で帯電する。帯電部3は、たとえば、導電性ゴムローラであり、感光体2に接触配置される。また、感光体2の回転駆動に従って、帯電部3は回転する。帯電部3は、電源208により電圧(以下、帯電バイアスまたは帯電電圧ともいう。)が印加される。電源208は所定の電圧に定電圧制御された直流電圧を出力する。たとえば、帯電部3には、直流電源で-1050Vが印加される。感光体2は、帯電部3により-500Vに一様に帯電される。つまり、帯電部3は、帯電電圧に基づいて、感光体2を帯電する。画像形成装置は、該帯電部3に直流電圧に交流を重畳する構成を備えるようにしてもよい。また、帯電部3は、スコロトロン帯電器としてもよい。
【0025】
また、露光部9は、露光制御部19からの制御信号に応じて感光体2にレーザー光を照射し、指定された画像パターンに従って感光体2の表面を露光する。感光体2のうち、露光された部分の表面電位は、たとえば、-100Vに低下される。また、感光体2のうち、露光されない部分の表面電位は帯電電位に維持される。この露光により、感光体上に各色(YMCK)の静電潜像が形成される。
【0026】
現像部4は、感光体2上に形成された静電潜像をトナー画像として現像する。一例として、現像部4は、トナーおよびキャリアからなる二成分系の現像剤を用いて静電潜像を現像する。キャリアは、たとえば、鉄粉である。トナーは各色(Y、M、C、BK)がある。現像部4内で、また、現像部4は現像ローラー4Aを有する。現像ローラー4Aには、たとえば、現像バイアスが印加される。この現像バイアスは、Vb=-400Vに対して、「Vpp=1.4kvで5khzの矩形波」が重畳されたバイアスである。トナーおよびキャリアの摩擦帯電により、トナーおよびキャリアは互いに逆極性の電気(たとえば、静電気)を帯びる。本実施形態では、トナーは-極性であり、キャリアは+極性であるとする。つまり、このかく拌により、トナーは帯電する。なお、変形例として、トナーは+極性であり、キャリアは-極性としてもよい。
【0027】
感光体2において、露光されることにより表面電位が低下した低下部分にはトナーが供給される一方、該低下部分以外の部分(表面電位が低下していない部分)には、トナーが供給されない。これにより、感光体2上に各色のトナー像が形成される。
【0028】
感光体2上に形成されたトナー像は、一次転写ローラー12により押圧された中間転写ベルト11に接触する。一次転写ローラー12は、たとえば、半導電性のゴムローラおよび金属ローラのいずれかである。一次転写ローラー12には、トナーと逆極性(つまり、正極性)の転写バイアスが印加される。該転写バイアスにより転写電界が形成される。この転写電界により、接触されたトナー像は、中間転写ベルト11に転写される。この転写バイアスは正極性である一方、帯電バイアスは負極性であることから、転写バイアスと帯電バイアスとは逆極性である。第1色~第4色それぞれのトナー像(YMCKそれぞれのトナー像)が、重なり合うように中間転写ベルト11上に同期して転写される制御を、画像形成装置は実行する。このように、一次転写ローラー12に転写電圧が印加されることにより、トナー像を中間転写ベルト11に転写する。
【0029】
カセット17は、画像形成装置100の下部に設けられている。カセット17には、紙等の用紙14がセットされる。用紙14は、カセット17から1枚ずつ二次転写ローラー13に送られる。用紙14の送り出しおよび搬送のタイミングと、中間転写ベルト11上のトナー画像(各色が重畳されたトナー画像)の位置とを同期させることで、用紙14の適切な位置にトナー画像が転写される。その後、用紙14は、定着器30に送られる。
【0030】
定着器30は、用紙14に転写されているトナー画像(未定着のトナー画像)を熱で溶融し、用紙14にトナー画像を定着させる。定着器30は、加熱装置としての加熱ヒーター32hによって加熱される加熱部材としての定着ローラー32と、定着ローラー32とともに表面上に未定着画像が形成された用紙14を挟み込み、定着ローラー32との間を通過させながら用紙14上に未定着画像を定着させる加圧部材としての加圧ローラー31と、定着温度検知部33とを備える。定着温度検知部33による検知結果に基づいて制御部18により定着温度制御が行われる。
【0031】
また、画像形成装置100は、操作部50からユーザの入力を受付けることができる。該ジョブは、たとえば、片面印刷ジョブ(片面印刷させるジョブ)、両面印刷ジョブ(両面印刷させるジョブ)、スキャンジョブ(スキャンさせるジョブ)などを含む。
【0032】
ユーザにより、片面印刷ジョブが入力された場合には、定着器30による定着処理の後に、用紙14は、排紙ローラー36により、排紙トレー16に排紙される。ユーザにより、両面印刷ジョブが入力された場合には、用紙14は、定着器30による定着処理の後に、排紙ローラー36の逆回転により、反転搬送経路38に送られる。その後、用紙の裏面(2面目)にトナー画像が転写されるように、該用紙は、二次転写ローラー13に送られる。該二次転写ローラー13は、用紙14の裏面の適切な位置にトナー画像を転写する。その後、定着器30に再び送られて、定着器30は、該用紙の裏面にトナー画像を定着させる。このように、ユーザにより両面印刷ジョブが入力されると、両面に印刷することができる。
【0033】
クリーニング部15は、クリーニングブレードを備える。クリーニングブレードは、中間転写ベルト11に圧接され、トナー画像の転写後に中間転写ベルト11上に残留するトナー粒子を回収する。このトナー粒子は、搬送スクリュー(図示しない)で搬送され、廃トナー容器(図示しない)に回収される。
【0034】
制御部18は、画像形成装置100の画像形成プロセスを制御する。制御部18は、画像形成ユニット1A~1D、二次転写ローラー13、定着器30(加熱ヒーター32hの温度制御、加圧ローラー31の回転速度等)、露光制御部19等を制御する。
【0035】
また、定着器30の下流には、冷却器55が設けられている。冷却器55は、冷却ローラー52(冷却部)と、対向ローラー51(対向部)とを含む。冷却器55は、制御部18により制御される。対向ローラー51は、冷却ローラー52と対向し、かつ対向ローラー51と冷却ローラー52とで用紙を挟持する。
【0036】
このように、かつ対向ローラー51と冷却ローラー52とで用紙を挟持して、該用紙を冷却することから、安定して該用紙を冷却することができる。
【0037】
また、中間転写ベルト11の材料は、ポリカーボネートやPTFE、あるいはポリイミドを主原料としてカーボンを分散させた半導電性である。
【0038】
[ハードウェア構成]
図2は、画像形成装置100のハードウェア構成を示した図である。図2を参照して、画像形成装置100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)101と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)102と、データを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)103と、フラッシュメモリ104と、タッチスクリーン105と、スピーカー106と、通信IF108とを備える。
【0039】
タッチスクリーン105は、表示装置としてのディスプレイ1051と、入力装置としてのタッチパネル1052とにより構成される。具体的には、タッチスクリーン105は、ディスプレイ1051(たとえば液晶ディスプレイ)上にタッチパネル1052を位置決めした上で固定することにより実現される。なお、タッチスクリーンは、タッチパネルディスプレイ、タッチパネル付きディスプレイ、あるいはタッチパネルモニタとも称される。なお、タッチスクリーン105においては、タッチ位置の検出方法として、たとえば抵抗膜方式または静電容量方式を用いることができる。ユーザによるタッチスクリーン105への操作によりジョブが入力される。
【0040】
フラッシュメモリ104は、不揮発性の半導体メモリである。フラッシュメモリ104は、CPU101が実行するオペレーティングシステムおよび各種のプログラム、各種のコンテンツおよびデータを格納している。また、フラッシュメモリ104は、画像形成装置100が生成したデータ、画像形成装置100の外部装置から取得したデータ等の各種データを揮発的に格納する。
【0041】
スピーカー106は、CPU101からの指令に応じて音を発生させる。CPU101は、タッチパネル1052からの出力に基づいて入力位置を特定し、当該特定した入力位置に基づいた画面表示を行なう。
【0042】
また、通信IF108は、他の外部機器(たとえば、PC)とネットワークを通じて接続されている。該他の外部機器からユーザによりジョブが入力されたときには、画像形成装置100は、通信IF108を経由して該ジョブを取得する。
【0043】
画像形成装置100における処理は、各ハードウェアおよびCPU101により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、フラッシュメモリ104に予め記憶されている場合がある。同図に示される画像形成装置100を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本発明の本質的な部分は、フラッシュメモリ104、メモリカードその他の記憶媒体に格納されたソフトウェア、あるいはネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるともいえる。なお、画像形成装置100の各ハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0044】
なお、記憶媒体としては、DVD-ROM、CD-ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic OptiDal Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。また、記録媒体は、当該プログラム等をコンピュータが読取可能な一時的でない媒体である。
【0045】
ここでいうプログラムとは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0046】
[感光体2の寿命の算出について]
近年、電子写真装置の長寿命のニーズが高まっており、感光体も合わせて長寿命化する必要がある。感光体は清掃部材により研磨されるため、感光体の膜厚が感光体の寿命律速になる。感光体の寿命を長くするために、感光体表層にUVや電子線を照射し、高硬度化した感光体が提案されている。
【0047】
しかし、高硬度感光体の清掃部材による研磨の影響が小さい。したがって、寿命律速は膜厚でなくなる。このため、高硬度感光体が採用された画像形成装置では、従来の感光体膜厚減少に伴う帯電電流の変化による寿命予測や故障検知は利用できない。
【0048】
本実施形態の画像形成装置100は、電位測定装置を用いずに、露光後電位を算出する。該画像形成装置100は、該露光後電位に基づいて感光体2の寿命を算出する。また、本実施形態の画像形成装置100では、画像形成モードと、寿命検出モードとを含む複数のモードのいずれかに制御する。画像形成モードとは、ユーザーの操作に応じて、用紙に対して画像を形成するモードである。寿命検出モードとは、「感光体2の寿命が到来したか否か」、および「感光体2の許容稼動量」のいずれかを求めるモードである。感光体2の許容稼動量とは、感光体2の寿命が到達したと判断されるまでの該感光体2の稼動量である。画像形成装置100は、たとえば、操作部50からの操作に応じてモードを切り替える。
【0049】
図3は、本実施形態の制御部18の機能構成例を示す図である。図4は、画像形成ユニットを示したものである。図5は、時間経過に応じた、感光体2の表面電位の推移を示したものである。図6は、感光体2と、画像形成装置100が有する構成部の一部とを示したものである。図5図8を用いて、寿命検出モードでの処理を説明する。
【0050】
また、図5の時間Tについては、除電部80による除電処理が、タイミングT0として開始されるように記載されている。時間t1は、タイミングT0において、除電部80と対向している対向箇所が、除電部80と対向している位置から帯電部3のニップ部に到達するときまでの時間を示す。ニップ部とは、帯電部3と感光体2とは接触している部位である。時間t2は、対向箇所が、帯電部3のニップ部から露光部9に到達するまでの時間を示す。時間t3は、対向箇所が、露光部9から一次転写ローラー12のニップ部に到達するまでの時間を示す。時間t4は、対向箇所が、一次転写ローラー12のニップ部から除電部80に到達するまでの時間を示す。このように、感光体2が1回転するのに要する時間は、t1+t2+t3+t4となる。
【0051】
まず、タイミングT0において、ステップ(1)として、寿命検出モードへの制御に当り、除電部80は、感光体2を除電(リフレッシュ)する。この除電により、直前の印刷による感光体2への影響を除外できる。
【0052】
タイミングT0から時間t1経過したタイミングをタイミングT1とする。タイミングT1において、ステップ(2)として、制御部18の制御の元、電源208は、帯電部3に帯電電圧Vcを印加する。該印加された感光体2の表面電位をVo(図5参照)とする。
【0053】
タイミングT1から時間t2+t3経過したタイミングをタイミングT2とする。タイミングT2において、ステップ(3)として、制御部18の制御の元、電源208は、一次転写ローラー12に対して、転写バイアス(転写電圧)を印加する。本実施形態では、転写バイアスは正のバイアスである。また、一次転写ローラー12から感光体2に対して電流が注入される。このため、感光体2の表面電位がVtまで低下する。また、転写バイアスが印加されたときに、一次転写ローラー12を流れる電流を「転写電流Itr」とする。また、転写電流検知部206は、この転写電流Itrを検知する。制御部18の転写電流取得部182は、該検知された転写電流Itrを取得する。転写電流Itrは、転写電圧が印加された一次転写ローラー12のニップ部を通過したときの電流である。
【0054】
また、転写電流取得部182が転写電流Itrを取得したときには、ステップ(4)として、制御部18は、電源208による帯電電圧の印加および転写電圧の印加を停止させる。帯電電圧の印加を停止させる理由は、転写電流Itrの測定後の感光体2の表面電位を維持したまま露光部9まで移動させる必要があるからである。転写電圧の印加を停止させる理由は、後述するように、露光部9から露光後の感光体2の表面電位を維持したまま帯電部3まで移動させる必要があるからである。
【0055】
タイミングT2から時間t4+t1+t2経過したタイミングをタイミングT3とする。タイミングT3において、ステップ(5)として、露光部9は、作像(通常の画像形成処理)で使用している露光強度で感光体2を露光する。
【0056】
ここで、タイミングT2で一次転写ローラー12から注入された転写電流Itrの値によって、露光後電位の値(振舞)が異なる。後述するように、本実施形態では、500Vから2000Vまで100V刻みで段階的に転写電圧を異ならせることにより、転写電流Itrも異なる。画像形成装置100が、転写電流Itrを異ならせることにより、露光後電位の値も異なる。
【0057】
本実施形態では、露光後電位Veの振舞は、3つ存在するとする。図7(A)は、露光後電位Veが、第1の値(第1の振舞)である場合を示し、図7(B)は、露光後電位Veが、第2の値(第2の振舞)である場合を示し、図7(C)は、露光後電位Veが、第3の値(第3の振舞)である場合を示す。また、電位Viとは、設計上(理論上)の露光後電位であり、定数である。一方、露光後電位Veは、実際の露光後の電位であり、転写電流Itr(転写バイアス)の値に応じて変化する変数である。図7(A)~図7(C)それぞれにおいて、実線が実際の感光体2の表面電位を示す。また、破線は、露光後電位Viを示す。なお、図5は、図7(A)を一例としたものである。また、後述するように、転写バイアスを段階的に変化させる。この転写バイアスの変化に伴って、転写電流Itrも変化する。たとえば、転写バイアスが大きくなると、転写電流Itrも大きくなる。
【0058】
露光後電位Veが第1の値となる場合というのは、転写電流Itrが小さい場合、たとえば図7(A)に示すように、|Vt|>|Vi|であり、かつVt<0となる場合である。この場合には、たとえば、感光体2の表面電位は、露光により、Viまで低下する。つまり、Ve=Viとなる。
【0059】
また、露光後電位Veが第2の値となる場合というのは、転写電流Itrが大きい場合、たとえば図7(B)に示すように、|Vi|>|Vt|であり、かつVt<0となる場合である。この場合には、感光体2が露光されても感光体2の表面電位は露光後電位以下にならず、変化しない。つまり、Ve=Vtとなる。
【0060】
また、露光後電位Veが第3の値となる場合というのは、図7(B)の場合よりも、転写電流Itrがさらに大きい場合、たとえば図7(C)に示すように、Vt>0>Viとなる場合である。この場合には、感光体2が露光されても感光体2の表面電位は露光後電位以下にならず、変化しない。つまり、Ve=Vtとなる。
【0061】
次に、タイミングT4の処理について説明する。タイミングT4は、タイミングT3から時間t3+t4+t1が経過したタイミングである。このタイミングT4では、ステップ(6)として、帯電部3は、転写および露光により低下した感光体2表面電位を初期の電位(Vo)に戻すために再度、帯電を行う。
【0062】
また、前述のように、露光後電位Veは、図7(A)~図7(C)それぞれに示すように、第1の値~第3の値(第1の振舞~第3の振舞)のいずれかとなる。
【0063】
以下では、帯電部3が、感光体2を再帯電する際に、該帯電部3に流れる電流量を帯電電流Icとする。つまり、帯電電流Icは、感光体2に帯電されるときに出力される電流である。露光後電位Veが、図7(A)となる場合には、Ve=Viとなる。感光体2の表面電位を、ViからVoに戻すために必要な電流量が、Icとなる。また、|Vt|>|Vi|を満たす場合、タイミングT2において、電源208が如何なる転写バイアスを印可しても(転写電流が如何なる電流値であっても)、最終的にはVe=Viとなる。したがって、図7(A)となる場合には、タイミングT4において、帯電部3に流れる帯電電流Icは、一定となる。
【0064】
露光後電位Veが、図7(B)となる場合には、Ve=Vtとなる。感光体2の表面電位を、VtからVoに戻すために必要な電流量が、Icとなる。また、|Vi|>|Vt|を満たす場合、転写電流Itrが大きいほど、|Vt|は0に近づくため、Icは大きくなる。つまり、ItrとIcは線形の関係(たとえば、比例の関係)になる。たとえば、ItrをX軸とし、IcをY軸とした一次関数をグラフで示した場合には、傾きαを有することとなる。
【0065】
露光後電位Veが、図7(C)となる場合には、Ve=Vtとなる。感光体2の表面電位を、VtからVoに戻すために必要な電流量が、Icとなる。また、Vt>0>Viを満たす場合、転写電流Itrが大きいほどVtは大きくなる。したがって、ItrとIcは線形の関係(たとえば、比例の関係)になる。また、たとえば、ItrをX軸とし、IcをY軸とした一次関数をグラフで示した場合には、傾きβを有することとなる。
【0066】
ところで、転写電流が多大な場合には、転写電流により注入されたホールは、感光体2のCTL(電荷輸送層)の内部に侵入する。このため、感光体2の表面は転写電流Itrの注入分ほど正に大きく帯電しない。したがって、Vtから0にするために必要な電流量は0から-Vtにする電流量に比べ、少なくなる。よって、図7(C)での特性では、図7(B)での特性と比較して、傾きが小さくなる。つまり、傾きα>傾きβとなる。
【0067】
また、図7(A)~図7(C)のうちいずれとなった場合であっても、帯電電流検知部202は、帯電電流Icを測定する。帯電電流取得部184は、該測定された帯電電流Icを取得する。
【0068】
また、制御部18による電源208への制御に基づいて、制御部18は、転写バイアスを段階的に変更させる。本実施形態では、制御部18は、たとえば、転写バイアスを500Vから2000Vまで100V刻みで段階的に変化させる。つまり、本実施形態では、転写バイアスの段階数は、「16段階」である。また、たとえば、帯電電圧Vc=-800Vとし、露光部9による露光強度1.8mJ/mとする。
【0069】
また、16段階で変化された転写バイアスそれぞれでの転写電流Itr(転写電流取得部182により取得された電流)は、所定領域(たとえば、RAM103)に記憶される。以下では、これらの転写電流を「16個の転写電流Itr」という。
【0070】
また、段階的に変化された転写バイアスそれぞれでの帯電電流Ic(帯電電流取得部184により取得された電流)は、所定領域(たとえば、RAM103)に記憶される。以下では、これらの帯電電流を「16個の帯電電流Ic」という。
【0071】
特性取得部186は、該所定領域に記憶された「16個の帯電電流Ic」と、「16個の帯電電流Ic」とに基づいて、帯電電流と転写電流との特性を取得する。つまり、特性取得部186は、転写電圧が複数段階、変更されて、該複数段階それぞれにおける転写電流と帯電電流とに基づいて、該特性を取得する。
【0072】
図8は、該特性を図示したものである。図8において、X軸(横軸)が、転写電流Itrを示し、Y軸(縦軸)が、帯電電流Icを示す。図8のグラフは、16個の転写電流および16個の帯電電流に基づいたグラフである。図8のグラフは、線状で形成されているが、実際は、16個のプロット(点)が結ばれることにより、該図8のグラフは形成される。
【0073】
また、前述したように、露光後電位Veは、第1の振舞~第3の振舞のうちのいずれかの振舞となる。また、前述したように、第1の振舞の場合には、転写電流Itrの値に関わらず、帯電電流Icは一定となる。また、第2の振舞の場合には、帯電電流Icと転写電流Itrは線形の関係(たとえば、比例の関係)になる。また、第3の振舞の場合には、帯電電流Icと転写電流Itrは線形の関係(たとえば、比例の関係)になり、第2の振舞と比較して、傾きが小さくなる。図8では、第1の振舞~第3の振舞それぞれにおける帯電電流Icと転写電流Itrとの関係が反映されたグラフとなる。
【0074】
変化特性取得部188は、Itr-Ic特性(図8のグラフ)から各測定点(Itr、Ic)における傾きの変化量を求める。算出した各測定点(Itr、Ic)における傾きの変化量が第1範囲に属するときには、該測定点を第1変化点とする。αは、第1範囲に属するとする。また、第1変化点は、転写電流に対する帯電電流の割合の変化量が第1値(たとえば、α)である点としてもよい。また、算出した各測定点(Itr、Ic)における傾きの変化量が第2範囲に属するときには、該測定点を第2変化点とする。α-βは、第2範囲に属するとする。また、第2変化点は、転写電流に対する帯電電流の割合の変化量が第2値(たとえば、α-β)である点であるとしてもよい。また、第2値は、第1値よりも小さい値である。
【0075】
図8の例では、露光後電位Veが第1振舞である場合の傾きは、「0」であり、露光後電位Veが第2振舞である場合の傾きは、「α」となる。αは、第1範囲に属する。したがって、傾きが、「0」から、「α」に変化した点が第1変化点となる。また、露光後電位Veが第2振舞である場合の傾きは、「α」となり、露光後電位Veが第3振舞である場合の傾きは、「α-β」となる。α-βは、第2範囲に属する。したがって、傾きが、「α」から、「α-β」に変化した点が第2変化点となる。
【0076】
また、傾きが、最小値(図8の例では、0)から最大値(図8の例では、α)となった点を第1変化点としてもよい。また、傾きが、最大値(図8の例では、α)から2番目に大きな値(図8の例では、β)となった点を第2変化点としてもよい。
【0077】
また、図8の例では、転写電流と帯電電流との特性を用いるとして説明した。しかし、変形例として、転写バイアスと帯電電流との特性を用いるようにしてもよい。
【0078】
このように、再帯電の帯電電圧Vc=-800である場合に、変化特性取得部188は、第1変化点および第2変化点を取得する。
【0079】
次に、変化特性取得部188は、再帯電の帯電電圧Vcを変化させて、上述の処理を実行することにより、第1変化点および第2変化点を再び取得する。たとえば、帯電電圧Vc=-1000とする。また、Vc1=-800とし、Vc2=-1000とする。つまり、本実施形態では、変化特性取得部188は、再帯電の帯電電圧Vc=-800である場合の第1変化点および第2変化点を取得するとともに、再帯電の帯電電圧Vc=-1000である場合の第1変化点および第2変化点を取得する。このように、本実施形態では、変化させる帯電電圧Vcの数は、2種類(-800Vと、-1000V)である。変形例として、変化させる帯電電圧Vcの数を3種類以上としてもよい。
【0080】
図9は、帯電電圧Vc=-800である場合の第1変化点および第2変化点と、再帯電の帯電電圧Vc=-1000である場合の第1変化点および第2変化点とを示した図である。図9の例では、再帯電の帯電電圧Vcが大きいほど(帯電電圧Vc=-1000の方が帯電電圧Vc=-800よりも)、グラフは上にシフトする。
【0081】
図9では、Vc1における第1変化点および第2変化点に対応するIcをそれぞれIc11、Ic12とする。また、Vc2における第1変化点および第2変化点に対応するIcをそれぞれIc21、Ic22とする。
【0082】
また、Vc1についての「Ic11、Ic12」、およびVc2についての「Ic21、Ic22」は、それぞれ、所定領域(たとえば、RAM103)に記憶される。このように、変化特性取得部188は、帯電電圧を複数段階(本実施形態では、帯電電位がVc1とVc2との2段階)、変更して、複数の第1変化特性と、複数の第2変化特性とを取得する。
【0083】
次に、算出部192は、露光後電位Viを算出する。以下に、露光後電位Viの算出の手法を説明する。算出部192は、所定領域に記憶されたVc1についての「Ic11、Ic12」、およびVc2についての「Ic21、Ic22」に基づいて、露光後電位Viを算出する。まず、算出部192は、これらの値に基づいて、第1変化点および第2変化点におけるIcとVcとの関係を求める。
【0084】
図10は、IcとVcとの関係(Ic-Vc特性)を示した図である。図10は、横軸(X軸)を、帯電電圧Vcとし、縦軸(Y軸)を、帯電電流Icとしたグラフである。また、太実線は、Vcが、Vc1およびVc2であるときの第1変化点を示したグラフである。細実線は、Vcが、Vc1およびVc2であるときの第2変化点を示したグラフである。
【0085】
ここで、図7(A)~図7(C)にも示すように、第1変化点は、露光後電位Viが、第1振舞から第2振舞への変化時、つまり、Vt>Viを満たすVtが、Viに到達したとき(Vt=Viとなったとき)に、現れる変化点である。したがって、第1変化点に対応するIcは、感光体2の表面電位をViからVoにするために必要な電流量であり、第1変化点に対応するVcは、感光体2の表面電位をViからVoにするために必要な帯電電圧であるといえる。
【0086】
また、第2変化点は、露光後電位Viが、第2振舞から第3振舞への変化時、つまり、Vt=Viを満たすVtが、0に到達したとき(Vt=0となったとき)に、現れる変化点である。したがって、第2変化点に対応するIcは、感光体2の表面電位を0からVoにするために必要な電流量であり、第2変化点に対応するVcは、感光体2の表面電位を0からVoにするために必要な帯電電圧であるといえる。
【0087】
また、第1の変化点(図10の太実線)において、Ic=0におけるVcは、放電が開始する電圧Vth1(以下、放電開始電圧Vth1)である。これは、帯電部3に電流が流れて初めて放電が発生することに基づく。よって、Ic-Vc特性において、図10のVc=Vo-Vi+Vth1という式で表現できる。
【0088】
また、第2の変化点(図10の細実線)において、Ic=0におけるVcは、放電開始電圧Vth2である。よって、Ic-Vc特性において、図10のVc=Vo+Vth2という式で表現できる。
【0089】
また、Vcは共通であることから、Vo-Vi+Vth1=Vo+Vth2という関係式が成り立つ。この関係式により、Vi=Vth1-Vth2となる。Vi=Vth1-Vth2を「電圧算出式」という。Ic-Vc特性は線形性を示すため、(Ic、Vc)(IcとVcとの組み合わせ)が2点以上存在すれば式として表現できる。よって、放電開始電圧Vth1、Vth2を求めることができる。したがって、各変化点(第1変化点および第2変化点)に対する放電開始電圧Vth1、および放電開始電圧Vth2が求まるため、露光後電位Viを算出できる。なお、該露光後電位Viを算出した環境が基準環境でない場合(たとえば、極端に湿度が高い場合)、基準環境の値に露光後電位V1を換算するために補正係数を適用してもよい(乗算してもよい)。
【0090】
このように、算出部192は、図10に示すように、第1~第6パラメータの6個のパラメータに基づいて、露光後電位Viを算出する。第1パラメータは、第1帯電電圧Vc1である。第2パラメータは、第2帯電電圧Vc2である。
【0091】
第3パラメータは、帯電電圧を第1帯電電圧Vc1としたときの第1変化特性(第1変化点)での帯電電流Ic11である。第4パラメータは、帯電電圧を第1帯電電圧Vc1としたときの第2変化特性(第2変化点)での帯電電流Ic12である。第5パラメータは、帯電電圧を第2帯電電圧Vc2としたときの第1変化特性(第1変化点)での帯電電流Ic21である。第6パラメータは、帯電電圧を第2帯電電圧Vc2としたときの第2変化特性(第1変化点)での帯電電流Ic22である。
【0092】
つまり、算出部192は、第1帯電電圧と、第2帯電電圧と、帯電電圧を第1帯電電圧としたときの第1変化特性での帯電電流と、帯電電圧を第1帯電電圧としたときの第2変化特性での帯電電流と、帯電電圧を第2帯電電圧としたときの第1変化特性での帯電電流と、帯電電圧を第2帯電電圧としたときの第2変化特性での帯電電流とに基づいて、露光後電位を算出する。
【0093】
このように、本実施形態の画像形成装置は、第1~第6パラメータを用いることにより、電位測定装置を用いることなく、露光後電位を算出することができる。なお、本実施形態では、変化させるVcの数は、「2」である、つまり、Vc=-800とした場合と、Vc=-1000とした場合とで、画像形成装置100は、図9および図10のグラフに基づいて、露光後電位を算出するとして説明した。しかしながら、変化させるVcの数は、「3」以上としてもよい。この場合には、画像形成装置100は、図9および図10のグラフをより正確なものとすることにより、より正確な露光後電位を算出できる。次に、該露光後電位を用いて、感光体2の寿命を算出する手法を説明する。
【0094】
判断部194は、予め定められた閾値Vithと、算出部192により算出された露光後電位Viとを比較する。閾値Vithは、予め定められる値である。閾値Vithは、感光体2において露光後電位Viの上限値である。露光後電位Viが、閾値Vith以上となった場合、用紙に画像が印刷されたときに、画像ノイズ(メモリ)が発生してしまう。閾値Vithは、たとえば、-200Vである。よって、画像形成装置100が、画像ノイズを発生させずに、画像形成するためには、露光後電位Viが、閾値Vith未満であることが必要である。
【0095】
判断部194が、露光後電位Vi≧閾値Vithであると判断した場合には、このままの露光強度で画像形成処理を実行すると、画像ノイズが発生してしまう。したがって、該画像ノイズの発生を防止するために、制御部18は、露光部9の露光強度変更の制御を行う。制御部18は、露光強度変更制御として、たとえば、露光強度を大きくする。該露光強度変更制御を実行することにより、画像ノイズの発生を抑制できる。また、露光後電位Vi≧閾値Vithであると判断された場合には、制御部18は、露光強度が最大露光強度であるか否かを判断する。
【0096】
露光強度が最大露光強度(たとえば、3.3mJ/m)であると判断された場合には、露光強度を高くできないため、判断部194は、感光体2の寿命が到来したと判断する。一方、露光強度が最大露光強度ではないと判断された場合には、判断部194は、画像ノイズが発生しない適切な露光強度を求める。
【0097】
図11は、露光強度と、露光後電位Viとの関係を示した図である。図11の例では、この関係が、感光体2が初期状態であるときと、感光体2が劣化状態であるときとについて示されている。図11に示されるように、同じ露光強度において、劣化状態の感光体2の方が、初期状態の感光体2よりも、露光後電位Viは高くなる傾向がある。本実施形態では、上述したように、露光強度を1.8mJ/mとしている。露光強度が最大露光強度ではないと判断された場合には、露光後電位Viが閾値Vithとなる露光強度に変更させる。
【0098】
たとえば、現時点での露光強度について、最小単位露光強度だけ、高くする。最小単位露光強度は、0.5mJ/mである。該最小単位露光強度高まった露光強度で、Vth1およびVth2を用いて露光後電位Viを算出して、該算出された露光後電位Viと閾値Vithとを比較する。該比較により、露光後電位Vi<閾値Vithとなるまで、露光強度を、最小単位露光強度ずつ高くする。
【0099】
また、露光強度が最大露光強度となった場合であっても、算出された露光後電位Viが、閾値Vith以上と判断される場合には、判断部194は、感光体2の寿命が到来したと判断する。感光体2の寿命が到来したと判断された場合には、制御部18は、寿命処理を実行する。寿命処理とは、たとえば、画像形成装置と通信可能に接続されている管理装置(図示せず)に対して、寿命情報を送信する処理を含む。該寿命情報は、感光体2は寿命である旨を示す情報である。画像形成装置が、管理装置に対して、寿命情報を送信することにより、該画像形成装置のサービスマンなどに、感光体2が寿命であることを認識させることができる。また、画像形成装置が、ディスプレイ1051に、感光体2が寿命であることを表示するようにしてもよい。また、画像形成装置が、スピーカー106から所定の通知音を出力するようにしてもよい。これらの処理により、画像形成装置は、ユーザーに対して、感光体2が寿命であることを認識させることができる。
【0100】
また、露光後電位Vi<閾値Vithであると判断された場合には、感光体2の寿命を算出する。図12は、感光体2の稼動量Pと、露光後電位Viとの関係を示した図である。稼動量は、感光体2の回転数と印刷枚数とのうち少なくとも1つを含む。また、露光後電位Viを算出する処理が実行された場合には、感光体2の稼動量が所定領域(たとえば、RAM103)に記憶される。
【0101】
図12の例では、簡単のため、2点の稼動量Pおよび露光後電位Viを示す。たとえば、現時点の稼動量をP2とし、この稼動量P2であるときに算出された露光後電位をVi2とする。また、露光後電位Vi2の算出以前の稼動量をP1とし、この稼動量P1であるときに算出された露光後電位をVi1とする。
【0102】
この2点である(P1、Vi1)と、(P2、Vi2)とを結ぶ直線Pと、Vi=Vimaxの直線Qとの交点を最大稼動量Pmaxとする。Vimaxは予め定められている数値である。この最大稼動量Pmaxが感光体2の寿命となる稼動量である。図11でも説明したように、劣化後の感光体2(つまり、稼動量が多い感光体2)の方が、初期の感光体2(つまり、稼動量が少ない感光体2)よりも、露光後電位Viは高くなる傾向にある。
【0103】
たとえば、判断部194は、算出された最大稼動量Pmaxを用いて、Pmax-P2という式による算出処理を実行する。この式により、感光体2があとどれ位稼動すれば、該感光体2の寿命が到来するかを判断部194は、認識できる。感光体2の寿命が到来するまで感光体2の稼動量(以下、第1許容稼動量ともいう。)を、判断部194は、管理装置に対して送信することにより、画像形成装置のサービスマンに認識させるようにしてもよい。また、判断部194は、該稼動量をディスプレイ1051に対して表示させることにより、ユーザーに該稼動量を認識させるようにしてもよい。
【0104】
このように、判断部194は、「感光体2の寿命が到来したか否か」、および「感光体2があとどれ位稼動すれば、該感光体2の寿命が到来するか」などを判断する。したがって、判断部194は、露光後電位に基づいて、感光体2の寿命に関する判断を実行するものである。
【0105】
[寿命検出モードの流れ]
図13を用いて、寿命検出モードの処理の流れを説明する。まず、ステップS1(前述のステップ(1)において、除電部80は、感光体2を除電(リフレッシュ)する。次に、ステップS2(前述のステップ(2))において、電源208は、帯電部3に帯電電圧Vcを印加する。また、ステップS3(前述のステップ(3))において、転写電流取得部182は、該検知された転写電流Itrを取得する。
【0106】
次に、ステップS4(前述のステップ(4))において、制御部18は、電源208による帯電電圧の印加および転写電圧の印加を停止させる。次に、ステップS5((前述のステップ(5))において、露光部9は、作像(通常の画像形成処理)で使用している露光強度で感光体2を露光する。次に、ステップS6(前述のステップ(6))において、電源208は、帯電部3に帯電電圧Vcを再度、印加する。帯電電流取得部184は、該印加されたときの帯電電流Icを取得する。
【0107】
次に、ステップS7において、制御部18は、全ての転写電圧について変化させたか否かを判断する。本実施形態では、500Vから2000Vまでにおいて、100V刻みの電圧である。
【0108】
ステップS7において、NOと判断された場合には、100Vの転写電圧を変化させて、再度、画像形成装置100は、ステップS1~ステップS7の処理を繰返す。また、ステップS7において、YESと判断された場合には、ステップS9に進む。
【0109】
ステップS9では、特性取得部186は、第1変化点および第2変化点を取得する(図8参照)。次に、ステップS10において、制御部18は、全ての帯電電圧について変化させたか否かを判断する。本実施形態では、全ての帯電電圧は、-800Vおよび-1000Vの2種類の電圧である。
【0110】
ステップS10において、NOと判断された場合には、ステップS11において、帯電電圧を変化させて、画像形成装置100は、ステップS1~ステップS10の処理を繰返す。変化特性取得部188は、第1変化点および第2変化点を、帯電電圧を-800Vとしたときと、帯電電圧を-1000Vとしたときとのそれぞれにおいて、第1変化点および第2変化点を取得する。
【0111】
次に、ステップS12において、算出部192は、第1変化点および第2変化点に対応するIc-Vc特性(図10参照)を取得する。次に、ステップS13において、算出部192は、取得したIc-Vc特性から(前述の第1~第6パラメータを用いて)、露光後電位Viを算出する。
【0112】
次に、ステップS14において、判断部194は、ステップS13において算出された露光後電位Viが閾値Vith未満であるか否かを判断する。ステップS14において、Noと判断された場合には、ステップS16に進む。
【0113】
ステップS16において、判断部194は、露光後電位Viが算出されたとき(つまり、S13の処理が実行されたとき)において、露光強度が最大であるか否かを判断する。ステップS16において、NOと判断された場合には、ステップS17に進む。
【0114】
ステップS17において、制御部18は、最小単位露光強度(本実施形態では、0.5mJ/m)だけ露光強度を強める。その後、ステップS1~16の処理を繰返す。ステップS16の処理において、YESと判断された場合には、ステップS18に進む。ステップS18では、判断部194は、感光体2の寿命が到来したと判断する。感光体2の寿命が到来したと判断されたときには、制御部18は、寿命処理を実行し、処理モードを終了させる。
【0115】
また、ステップS15では、制御部18は、算出された露光後電位Viに基づいて、寿命を算出する。たとえば、ステップS15では、図12でも説明したように、判断部194は、Pmax-P2の演算を実行することにより、第1許容稼動量を算出する。また、ステップS17の処理が実行された場合において、再び算出された露光後電位Viが閾値電圧Vith未満であると判断された場合には(ステップS14のYES)、該ステップS17の処理で変化された露光強度は所定領域(たとえば、RAM103)に記憶される。その後、画像形成装置100が画像形成処理を実行する場合には、該所定領域に記憶された露光強度で、露光部9は感光体2を露光する。
【0116】
[本実施形態の画像形成装置が奏する効果]
(1) 本実施形態の画像形成装置100は、前述の6つのパラメータを用いて、露光電位Viを算出する(図10および図13のステップS13参照)。さらに、画像形成装置100は、該露光後電位Viに基づいて、感光体2の寿命に関する判断を実行する(図13のステップS15およびステップS18参照)。したがって、露光後の電位を測定する電位測定装置を用いずに、感光体2の寿命に関する判断を実行することができる。よって、本実施形態の画像形成装置100は、低コストで、感光体2の寿命に関する判断を実行することができる。
【0117】
(2) また、図8などで説明したように、第1変化点は、転写電流に対する帯電電圧の割合(傾き)の変化量が第1値(α)である点とされている。また、第2変化点は、転写電流に対する帯電電圧の割合(傾き)の変化量が第2値(α-β)である点とされている。これにより、画像形成装置100は、適切に、露光後電位Viを求めることができる。
【0118】
(3) また、図13のステップS14において、判断部194は、露光後電位Viが閾値電圧Vithよりも大きいか否かを判断する。このステップS14において、露光後電位Viが閾値電圧Vithよりも大きいと判断したときに(ステップS14でYES)、露光部の露光強度を変化させる変化処理を実行する(ステップS17参照)。これとともに、該ステップS17で変化された露光強度で算出部192は露光後電位Viを再び算出する(ステップS17の処理終了後、ステップS13において、露光後電位Viを再び算出する)。さらに、再び算出された露光後電位Viが閾値電圧Vith以下となるまで、変化処理(ステップS17)、および前記算出部が前記露光後電位を再び算出する処理(ステップS13)が繰り替えされる。
【0119】
このような構成により、露光後電位Viが、閾値電圧Vith未満となる露光強度で、画像形成装置を実行することができる。したがって、感光体2の寿命が到来する時期を遅らせることができる。
【0120】
(4) また、判断部194は、ステップS17の変化処理により、露光強度が最大露光強度となったときにおいて(ステップS16でYES)、再び算出された露光後電位Viが閾値電圧Vithよりも大きいと判断されたときには(ステップS14でNo)、ステップS18において、感光体2の寿命が到来したと判断する。これにより、画像形成装置100は、感光体2の寿命が到来したと、適切に判断できる。
【0121】
(5) また、画像形成装置100は、用紙に画像を形成する画像形成部(二次転写ローラ―13)を含む。ステップS17の処理が実行された場合において、再び算出された露光後電位Viが閾値電圧Vith未満であると判断された場合には(ステップS14のYES)、該ステップS17の処理で変化された露光強度は所定領域(たとえば、RAM103)に記憶される。その後、画像形成装置100が画像形成処理を実行する場合には、該所定領域に記憶された露光強度で、露光部9は感光体2を露光する。換言すれば、露光部9は、再び算出された露光後電位Viが閾値電圧Vith未満であると判断部194により判断されたときには、該判断されたときの露光強度で、画像形成部(二次転写ローラー13)が用紙に画像を形成するために、感光体2を露光する。したがって、露光後電位Viが、閾値電圧Vith未満である状態、つまり、画像ノイズを生じさせない状態で、画像形成処理を実行することができる。
【0122】
(6) また、図12に示すように、判断部194は、現時点での露光後電位Vi2と、該現時点での稼動量P2と、以前の露光後電位Vi1(以前露光後電位)と、以前の稼動量P1(以前露光後電位が算出されたときの稼動量)とに基づいて、最大稼動量Pmaxを算出する。さらに、判断部194は、該最大稼動量Pmaxに基づいて、第1許容稼動量を算出する。判断部194は、たとえば、Pmax-P2を演算することにより、第1許容稼動量を算出する。これにより、判断部194は、感光体2があとどれ位稼動すれば、該感光体2の寿命が到来するかを認識できる。
【0123】
(7) また、図4に示すように、画像形成装置100は、除電部80を有する。除電部80は、帯電部3により帯電される前に、感光体2を除電する。したがって、該帯電前において、印刷処理が実行されている場合であっても、該印刷処理による影響(残存している電圧など)を除去できる。したがって、画像形成装置100は、適切に、露光後電位Viを算出できる。
【0124】
[変形例]
次に、本実施形態の画像形成装置の変形例を説明する。
【0125】
(1) 本実施形態の画像形成装置は、除電部80を有するとして説明した。しかしながら、画像形成装置は、除電部を備えずに、他の構成部、たとえば、露光部9が除電するようにしてもよい。たとえば、露光部9が、除電部80の強度の電圧で、感光体2を露光する(除電する)ようにしてもよい。このような構成によれば、露光部が除電部の機能も果たすことから、部品点数を削減できる。
【0126】
(2) また、除電部80を有する構成において、寿命検出モードでは、露光部9の露光処理を、除電部80が行うようにしてもよい。換言すれば、除電部80は、帯電部と同一の処理を実行する。また、本変形例では、寿命検出モードでは、露光部9は露光処理を実行しない。たとえば、除電部80は、本実施形態の露光部9の露光強度と同一の強度で除電する。なお、この変形例では、画像形成モードでは、露光部9を使用することから、画像形成装置100は、該露光部9を備えることが好ましい。
【0127】
図7は、この変形例での画像形成ユニットを示した図である。また、図8は、本変形例での時間経過に応じた、感光体2の表面電位の推移を示したものである。なお、図7において、露光部に×印を付しているが、この×印は、露光部が露光を実行しないことを意味している。
【0128】
この変形例では、図15において、ステップ(4)に×印を付しているように、該ステップ(4)の「帯電電圧の印加および転写電圧の印加を停止させる処理」を実行する必要がない。
【0129】
次に、感光体2が1回転する時間が3秒である構成の場合について説明する。たとえば、感光体2の径が、φ30であり、プロセス速度が290mm/sであるとする。また、本変形例の画像形成装置は、転写バイアスを500Vから2500Vまで500V刻みで、段階的に、転写バイアスを変化させる。また、この転写バイアスの変化は、500Vから開始して、0.6秒毎に、500Vずつ増加させる。これにより、感光体2が1回転する間(3秒間)で、転写バイアスを500Vから2500Vまで、一定の割合で(0、6秒経過毎に)、増加させることができる。
【0130】
本変形例では、図14に示すように、除電部80が露光処理も実行する。したがって、画像形成装置は、転写部による転写→除電部による露光→帯電部による帯電という一連の処理を、感光体2の回転に合わせて実行することができる。よって、転写電流取得部182は、転写バイアスの変化に同期して、連続的に転写電流Itrを取得できる。これとともに、帯電電流取得部184は、転写バイアスの変化に同期して、連続的に帯電電流Icを取得できる。これは、転写バイアスの印加後、除電部や帯電部を通過しないことに基づく。
【0131】
また、0.6秒ごとに転写バイアスを500Vから500Vずつ段階的に変化させるとき、転写バイアスの変化回数と同じ5点の帯電電流を帯電電流取得部184は取得できる。
【0132】
本変形例のように、除電部を露光部として用いる場合、転写バイアスを連続的もしくは段階的に変化させることで、特性取得部186は、感光体2が1回転する間にItr-Ic特性を取得できる。その結果、変化特性取得部188は、感光体2が1回転する間に、第1変化点および第2変化点を取得できる。このような変形例によれば、感光体2の回転数を減少させることができる。したがって、露光後電位Viの算出による感光体2のダメージ低減や、ユーザーのダウンタイム低減を図ることができる。
【0133】
(3) 図12では、稼動量Pおよび露光後電位Viの個数は、「2」であるとして説明した。稼動量Pおよび露光後電位Viの個数は、3以上としてもよい。該個数が多ければ多いほど、正確な最大稼動量Pmaxを算出できる。
【0134】
(4) また、本実施形態では、最大稼動量Pmaxを算出するために用いられる画像形成装置の使用量として、感光体2の稼動量を例示した。しかしながら、画像形成装置の使用量は、他のパラメータを含むようにしてもよい。該他のパラメータとは、画像形成装置の耐久履歴を含むようにしてもよい。画像形成装置の耐久履歴とは、たとえば、帯電部(帯電ローラー)に印加された電圧および転写部(転写ローラー)に印加された電圧のうち少なくとも1つを含む。また、画像形成装置は、該他のパラメータとして複数のパラメータを用いた重回帰分析などの機械学習を用いて、最大稼動量Pmaxを算出するようにしてもよい。
【0135】
(5) 次に、管理装置(図示せず)を利用した感光体2の寿命予測を説明する。管理装置は、CS Remote Care(CSRC)とも呼ばれる。管理装置は、複数の画像形成装置と互いに通信可能に接続されている。
【0136】
画像形成装置は、寿命検出モードにおいて、露光後電位Viを算出した場合には、該露光後電位Viを算出した時点での耐久データと、該算出された露光後電位Viとを管理装置に送信する。耐久データは、たとえば、電圧(帯電電圧、転写電圧)と、感光体2の稼動量(回転数など)と、画像形成装置内の温度と、画像形成装置内の湿度などのうち少なくとも1を含む。管理装置は、複数の画像形成装置それぞれと通信可能に接続されていることから、該複数の画像形成装置それぞれは、露光後電位Viと耐久データとを管理装置に送信することができる。
【0137】
管理装置は、複数の画像形成装置からの耐久データと露光後電位Viとを受信すると、該露光後電位Viと該耐久データとを対応付けて(紐付けて)、対応データとして記憶する。管理装置は、複数の画像形成装置からの対応データに基づいて、機械学習を行うことにより、画像形成装置の耐久データと、該耐久データに対応する露光後電位Viとから感光体2の寿命を予測できる。寿命の予測とは、感光体2の寿命が到来したか否かを判断する処理と、感光体2の寿命が到来していないと判断された場合には、感光体2があとどれ位稼動すれば、該感光体2の寿命が到来するかを判断する処理とを含む。
【0138】
管理装置が、このような機械学習を行い、感光体2の寿命予測結果を画像形成装置(露光後電位Viと耐久データとを送信した画像形成装置)を送信する。このような構成によれば、画像形成装置は、図12のようなグラフを算出せずに、感光体2の寿命を予測できる。したがって、画像形成装置の処理負担を軽減できる。
【0139】
(6) 本実施形態では、露光後電位Viに基づいて、感光体2の寿命を予測する第1処理を実行するとして説明した。本変形例の画像形成装置は、感光体2の膜厚変化に伴う電流の変化により、該感光体2の寿命を予測する第2処理を、第1処理とともに実行する。この第2処理での電流は、帯電電流と転写電流のうちの少なくとも1つの電流を含む。
【0140】
図16は、感光体2の断面図を示したものである。図16に示すように、感光体2は、円柱状の本体部2Bと、この本体部2Bの外周に感光体膜2Aが設けられる。第2処理では、感光体2の感光体膜2Aの変化に感光体2の膜厚変化に伴う電流の変化により、該感光体2の寿命を予測する。この第2処理として、種々の処理が実行される。
【0141】
また、本変形例の画像形成装置の制御部(たとえば、判断部)は、第1処理の実行により第1許容稼動量を算出する。また、画像形成装置の制御部(たとえば、判断部)は、第2処理の実行により、感光体2の寿命が到来するまで感光体2の稼動量(第2許容稼動量という。)を算出する。該制御部は、第1許容稼動量と、第2許容稼動量とを比較し、第1許容稼動量と第2許容稼動量とのうち小さい量を感光体2の許容稼動量と判断する。
【0142】
このような構成によれば、第1処理により算出される第1許容稼動量のみならず、第2処理により算出される第2許容稼動量をも加味して、感光体2の寿命を予測する(感光体2の許容稼動量を予測する)。したがって、正確に、感光体2の寿命を予測することができる。
【0143】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0144】
182 転写電流取得部、184 帯電電流取得部、186 特性取得部、192 算出部、194 判断部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16