(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】センサモジュール及び血圧測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
A61B5/022 300F
(21)【出願番号】P 2018099731
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】難波 岩徳
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆伸
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0247218(US,A1)
【文献】国際公開第2018/083503(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0084869(US,A1)
【文献】国際公開第2008/026809(WO,A1)
【文献】特開2002-136515(JP,A)
【文献】特開2000-060844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部と、
前記センサ部に対向する位置に開口を有するセンサヘッドカバーと、
前記センサ部を覆うとともに前記センサヘッドカバーの前記開口に配され、前記センサヘッドカバーとの境界部が、生体に装着された際に前記生体の周方向に沿う第1方向または前記生体の長手方向に沿う第2方向に対して、傾斜または湾曲する縁部を有する外縁を有する、軟質部と、を備えるセンサモジュール。
【請求項2】
センサ部と、
前記センサ部を支持するセンサベースと、
前記センサベースに対向配置されるとともに、前記センサ部に対向する位置に開口を有するセンサヘッドカバーと、
前記センサ部を覆うとともに前記センサヘッドカバーの前記開口に配され、前記センサヘッドカバーとの境界部が、生体に装着された際に前記生体の周方向に沿う第1方向または前記生体の長手方向に沿う第2方向に対して、傾斜または湾曲する縁部を有する外縁を有する、軟質部と、を備えるセンサモジュール。
【請求項3】
前記軟質部の前記外縁は長円形である請求項1または請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記縁部は前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜する請求項1または請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記縁部は波形である請求項1または請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記境界部は、コーナー部から外方に向かって拡幅する係合部を有する角形状である、請求項1または請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
センサ部と、
前記センサ部を支持するセンサベースと、
前記センサベースに対向配置されるとともに、前記センサ部に対向する位置に開口を有するセンサヘッドカバーと、
前記センサヘッドカバーの前記開口に配され、前記センサ部を覆うとともに、コーナー部から外方に向かって拡幅する係合突起を有する角形状の軟質部と、を備えるセンサモジュール。
【請求項8】
前記センサヘッドカバーは、一方側の端面における前記開口の周縁部に他方側に退避する段差部が形成され、前記段差部の一方側の面が前記軟質部によって覆われる、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のセンサモジュール。
【請求項9】
前記センサヘッドカバーは、前記開口の周縁部に、前記軟質部の一方側を覆う壁部を有する、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のセンサモジュール。
【請求項10】
前記センサ部は、複数の感圧素子が第1方向に配された感圧素子列を備え、
前記第1方向と交差する第2方向において、前記境界部の外縁の前記第2方向における端部と、前記感圧素子列との間が離間している、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のセンサモジュール。
【請求項11】
前記センサベースは、一方の主面側に感圧素子を複数有する感圧素子列が配されるとともに、前記感圧素子列が配される領域の外周において前記一方の主面側から他方の主面側に至って貫通する流通孔が配された支持壁部を有し、
前記センサヘッドカバーは、前記センサベースの前記支持壁部の一方の主面側に、前記流通孔及び前記開口に連通する間隙を介して配され、
前記開口に前記軟質部が形成される、請求項2または請求項7に記載のセンサモジュール。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の前記センサモジュールと、
前記センサモジュールを収容するケースを含むセンシング本体と、
手首の一方の動脈が存する領域と対向する位置に設けられ、前記手首を触診可能な形状の開口部を有し、前記手首の周方向の一部の形状に倣って湾曲する端面を有するアタッチ部と、
前記アタッチ部に設けられ、第1方向に沿って延びるとともに、前記手首の周方向に巻き付けられる、固定具と、
を備える血圧測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧を測定するセンサモジュール及び血圧測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧の測定に用いる血圧測定装置は、医療設備においてのみならず、家庭内においても、健康状態を確認する手段として利用されている。このような血圧測定装置は、例えば、オシロメトリック法を用いた技術や、トノメトリ法を用いた技術等が知られている(例えば、特許文献1参照。)。オシロメトリック法を用いた血圧測定装置は、生体の上腕又は手首等に巻き付けたカフの圧力を圧力センサにより検出することで、動脈壁の振動を検出して血圧を測定する。また、トノメトリ法を用いた血圧測定装置は、手首の動脈が存する領域に、複数の圧力センサを含むセンサモジュールを手首に接触させることで血圧を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
皮膚に接触させるセンサモジュールに圧力センサを配する場合、生体適合性や圧力センサの保護等の観点から、圧力センサを樹脂等で覆う構成が採用されている。センサモジュールは、例えば、圧力センサが搭載されるセンサベースと、センサベースを覆うとともに圧力センサに対向する位置に開口を有するセンサヘッドカバーと、センサヘッドカバーの開口に配され圧力センサの表面を覆う軟質樹脂で構成される軟質部と、を備える。軟質部は、例えばセンサヘッドカバーに形成された開口に軟質樹脂が充填されて構成され、センサヘッドカバーの開口縁と同形状の外縁を有している。一般的にセンサヘッドカバーの開口は、長方形状に構成され、センサヘッドカバーと軟質部との境界は、所定の第1方向と、これに直交する第2方向にそれぞれ沿う2組の平行なラインで構成される。
【0005】
このような血圧測定装置において、例えば手首などの生体に装着されるセンサモジュールが、生体に対して移動すると、センサヘッドカバー及び軟質部の表面が生体に触れて摺動することがある。このとき、摺動方向に対して、センサヘッドカバーと軟質部との境界線が直交していると、この境界線から、軟質部とセンサヘッドカバーとの接合部分が剥がれるおそれがある。軟質部とセンサヘッドカバーとの接合部分が剥離すると、防水性の低下や、隙間にゴミが溜まる原因となり、また、センシング精度に影響を及ぼすことがある。
【0006】
そこで本発明は、軟質部がセンサヘッドカバーから剥がれるのを抑制できるセンサモジュール、及び血圧測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、センサ部と、前記センサ部に対向する位置に開口を有するセンサヘッドカバーと、前記センサ部を覆うとともに前記センサヘッドカバーの前記開口に配され、前記センサヘッドカバーとの境界部が、生体に装着された際に前記生体の周方向に沿う第1方向または前記生体の長手方向に沿う第2方向に対して、傾斜または湾曲する縁部を有する外縁を有する、軟質部と、を備えるセンサモジュールが提供される。
【0008】
この態様によれば、境界部を第1方向または第2方向に対して傾斜または湾曲する縁部を有する外縁を備える曲線状としたことで、生体に対して相対移動した時に、生体との摩擦により縁部が受ける力を低減させることができ、剥離を抑制することができる。したがって、軟質部と開口との間に隙間ができるのを防止することで軟質部と開口との接着性を保持し、防水性が確保でき、また、隙間にごみが溜まることを防止できる。また、軟質部の剥離を防止することで、センシング精度への影響も抑制できる。
【0009】
一態様によれば、センサ部と、前記センサ部を支持するセンサベースと、前記センサベースに対向配置されるとともに、前記センサ部に対向する位置に開口を有するセンサヘッドカバーと、前記センサ部を覆うとともに前記センサヘッドカバーの前記開口に配され、前記センサヘッドカバーとの境界部が、生体に装着された際に前記生体の周方向に沿う第1方向または前記生体の長手方向に沿う第2方向に対して、傾斜または湾曲する縁部を有する外縁を有する、軟質部と、を備えるセンサモジュールが提供される。
【0010】
この態様によれば、境界部を第1方向または第2方向に対して傾斜または湾曲する縁部を有する外縁を備える曲線状としたことで、生体に対して相対移動した時に、生体との摩擦により縁部が受けるセンサベースから剥がれる方向の力を低減させることができ、剥離を抑制することができる。したがって、軟質部と開口との間に隙間ができるのを防止することで軟質部と開口との接着性を保持し、防水性が確保でき、また、隙間にごみが溜まることを防止できる。また、軟質部の剥離を防止することで、センシング精度への影響も抑制できる。
【0011】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記境界部の前記外縁は長円形であるセンサモジュールが提供される。
【0012】
この態様によれば、境界部の外縁を長円形とすることで、単純な構成で移動時の抵抗を分散させることができ、剥離を抑制することができる。
【0013】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、縁部は前記第1方向及び前記第2方向に対して傾斜するセンサモジュールが提供される。
【0014】
この態様によれば、境界部が傾斜辺を有することにより、単純な構成で移動時の抵抗を分散させることができ、剥離を抑制することができる。
【0015】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記縁部は波形であるセンサモジュールが提供される。
【0016】
この態様によれば、境界部の長さを確保して接着面積を確保することで、接着強度を向上し、軟質部とセンサヘッドカバーとの剥離を抑制することができる。
【0017】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記境界部は、コーナー部から外方に向かって拡幅する係合部を有する角形状であるセンサモジュールが提供される。
【0018】
この態様によれば、コーナー部から外方に向かって拡幅する係合部を有する角形状に構成することで、係合部の基端部にセンサヘッドカバーが入り込む構造により、軟質部の抜けを防止し、軟質部とセンサヘッドカバーとの剥離を抑制することができる。
【0019】
一態様によれば、センサ部と、前記センサ部を支持するセンサベースと、前記センサベースに対向配置されるとともに、前記センサ部に対向する位置に開口を有するセンサヘッドカバーと、前記センサヘッドカバーの前記開口に配され、前記センサ部を覆うとともに、コーナー部から外側に向かって拡幅する係合突起を有する角形状の軟質部と、を備えるセンサモジュールが提供される。
【0020】
この態様によれば、コーナー部に円形の係合部を有する構成とし、係合部の基端部にセンサヘッドカバーの開口縁の一部が入り込む構造により、軟質部の抜けを防止し、軟質部とセンサヘッドカバーとの剥離を抑制することができる。
【0021】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記センサヘッドカバーは、一方側の端面における前記開口の周縁部に他方側に退避する段差部が形成され、前記段差部の一方側の面が前記軟質部によって覆われる、センサモジュールが提供される。
【0022】
この態様によれば、単純な構成で、軟質部とセンサヘッドカバーとの剥離を抑制することができる。
【0023】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記センサヘッドカバーは、前記開口の周縁部に、前記軟質部の一方側を覆う壁部を有するセンサモジュールが提供される。
【0024】
この態様によれば、係合部の端面が壁部で塞がれる構造により、係合部における軟質部の抜けを防止し、軟質部とセンサヘッドカバーとの剥離を抑制することができる。
【0025】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記センサ部は、複数の感圧素子が第1方向に配された感圧素子列を備え、前記第2方向において、前記境界の外縁の前記第2方向における端部と、前記感圧素子列との間が離間しているセンサモジュールが提供される。
【0026】
この態様によれば、生体の長手方向にセンサモジュールが相対移動した際に、軟質部が剥離することがあったとしても、感圧素子列までの距離があいていることにより、センシング部に剥離の影響が及ぶのを防止できる。
【0027】
上記一態様のセンサモジュールにおいて、前記センサベースは、一方の主面側に感圧素子を複数有する感圧素子列が配されるとともに、前記感圧素子列が配される領域の外周において前記一方の主面側から他方の主面側に至って貫通する流通孔が配された支持壁部を有し、前記センサヘッドカバーは、前記センサベースの前記支持壁部の一方の主面側に、前記流通孔及び前記開口に連通する間隙を介して配され、前記開口に前記軟質部が形成されるセンサモジュールが提供される。
【0028】
この態様によれば、軟質部を容易に形成できるとともに、軟質部とセンサヘッドカバーとの剥離を抑制することができる。
【0029】
一態様によれば、いずれかに記載の前記センサモジュールと、前記センサモジュールを収容するケースを含むセンシング本体と、手首の一方の動脈が存する領域と対向する位置に設けられ、前記手首を触診可能な形状の開口部を有し、前記手首の周方向の一部の形状に倣って湾曲する端面を有するアタッチ部と、前記アタッチ部に設けられ、前記第1方向に沿って延びるとともに、前記手首の周方向に巻き付けられる、固定具と、を備える血圧測定装置が提供される。
【0030】
この態様によれば、手首の周方向及びこれに直交する長さ方向にセンサモジュールが移動する際に、移動により軟質部がセンサかカバーから剥離するのを防止できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、軟質部がセンサヘッドカバーから剥がれるのを抑制できる、センサモジュール、及び血圧測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【
図3】同血圧測定装置のセンサ装置の構成を示す斜視図。
【
図4】同血圧測定装置のセンサ装置の一部の構成を示す斜視図。
【
図5】同血圧測定装置のセンサユニットの構成を示す斜視図。
【
図7】同センサユニットのセンサモジュール及び空気袋の構成を示す断面図。
【
図8】同センサユニットのセンサモジュール及び空気袋の構成を示す断面図。
【
図9】同センサユニットのセンサモジュール及び空気袋の構成を示す断面図。
【
図10】同血圧測定装置の構成を、手首に装着した状態で示す断面図。
【
図11】同血圧測定装置の構成を、手首に装着した状態で示す断面図。
【
図12】同血圧測定装置の構成を、手首に装着した状態で示す断面図。
【
図13】同センサユニットのセンサモジュールの構成を示す断面図。
【
図15】同センサモジュールの一部の構成を示す説明図。
【
図16】同センサユニットのセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図17】同センサモジュールの一部の構成を示す斜視図。
【
図19】同センサモジュールの製造方法の一例を示す説明図。
【
図20】同センサユニットの製造方法の充填工程を示す説明図。
【
図21】同血圧測定装置のセンサモジュールの一部の構成を示す斜視図。
【
図22】同血圧測定装置のセンサユニットの位置調整を示す説明図。
【
図23】同血圧測定装置を使用した血圧測定の一例を示す流れ図。
【
図24】同血圧測定装置を使用した血圧測定の一例を示す説明図。
【
図25】同血圧測定装置を使用した血圧測定の一例を示す説明図。
【
図26】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図27】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図28】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図29】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図30】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図31】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図32】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図33】同の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す斜視図。
【
図34】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置のセンサモジュールの構成を示す平面図。
【
図35】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【
図37】本発明の他の実施形態に係る血圧測定装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る血圧測定装置1の構成を、本体固定具16を閉じた状態で示す斜視図である。
図2は、血圧測定装置1の構成を示すブロック図である。
図3は、血圧測定装置1のセンサ装置5の構成をセンシング本体42を開いた状態で示す斜視図である。
図4は、血圧測定装置1のセンサ装置5からセンサユニット52を除いた構成を示す斜視図である。
図5は、血圧測定装置1のセンサユニット52の構成を示す斜視図である。
図6は、センサユニット52の構成を示す平面図である。
図7は、
図6中VII-VII線断面でセンサユニット52のセンサモジュール63及び空気袋62の構成を示す断面図である。
図8は、
図6中VIII-VIII線断面でセンサモジュール63及び空気袋62の構成を示す断面図である。
図9は、
図6中IX-IX線断面でセンサモジュール63及び空気袋62の構成を示す断面図である。
図10乃至
図12は、血圧測定装置1の構成を手首100に装着した状態示す断面図である。
図13及び
図14は、センサユニット52のセンサモジュール63の構成を示す断面図である。
図15は、センサモジュール63の一部の構成を示す説明図であり、
図16は、同センサユニットのセンサモジュールの構成を示す平面図である。
【0034】
なお、各図面において、手首100の橈骨動脈を110、橈骨を111、尺骨動脈を112、尺骨を113、腱を114で示す。
【0035】
血圧測定装置1は、生体の手首100に装着し、橈骨動脈110の圧力から血圧値を算出する電子血圧測定装置である。
図1乃至
図15に示すように、血圧測定装置1は、装置本体4と、センサ装置5と、を備えている。例えば、血圧測定装置1は、手首100の橈骨動脈110が存する領域にセンサ装置5が装着され、そして、センサ装置5の肘側に隣接して装置本体4が手首100に装着される。
【0036】
このような血圧測定装置1は、センサ装置5で橈骨動脈110を圧扁することにより、橈骨動脈110の心拍に連動して変化する一心拍ごとの圧脈波の圧力を測定し、測定した圧力を装置本体4によってトノメトリ法に基づいて処理を行い、血圧を求める。
【0037】
図1及び
図2に示すように、装置本体4は、本体ケース11と、操作部12と、表示部13と、ポンプ14と、制御基板15と、本体固定具16と、を備えている。また、例えば、装置本体4は、本体固定具16にカフを備え、血圧測定時に手首100を圧迫する構成であってもよい。
【0038】
本体ケース11は、操作部12の一部、表示部13の一部、制御基板15を収容するとともに、操作部12の一部及び表示部13の一部を外面から露出させる。また、本体ケース11は、本体固定具16が取り付けられる。
【0039】
操作部12は、使用者からの指令を入力可能に構成される。例えば、操作部12は、本体ケース11に設けられた複数の釦21と、釦21の操作を検出するセンサと、を備えている。なお、操作部12は、タッチパネルとし、表示部13に設けてもよい。操作部12は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換する。釦21の操作を検出するセンサは、電気的に制御基板15に接続され、電気信号を制御基板15へ出力する。
【0040】
表示部13は、本体ケース11に、本体ケース11の外面から露出して配置される。表示部13は、電気的に制御基板15に接続される。表示部13は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部13は、日時や最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示する。
【0041】
ポンプ14は、例えば圧電ポンプである。ポンプ14は、センサ装置5に接続されるチューブ14aを有し、空気を圧縮し、チューブ14aを介して圧縮空気をセンサ装置5に供給する。ポンプ14は、電気的に制御基板15に接続される。
【0042】
図2に示すように、制御基板15は、例えば、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備えている。制御基板15は、通信部31、記憶部32及び制御部33が基板に実装されることで構成される。また、制御基板15は、センサ装置5とケーブル15aを介して接続される。ケーブル15aは、本体ケース11内から本体ケース11の外面の一部を介して外部に配される。例えば、ケーブル15aは、本体ケース11内から本体ケース11の側面に設けられた開口を介してセンサ装置5に配される。
【0043】
通信部31は、外部の装置と無線又は有線によって情報を送受信可能に構成される。通信部31は、例えば、制御部33によって制御された情報や測定された血圧値及び脈拍等の情報を、ネットワークを介して外部の装置へ送信し、また、外部の装置からネットワークを介してソフトウェア更新用のプログラム等を受信して制御部に送る。
【0044】
本実施形態において、ネットワークは、例えばインターネットであるが、これに限定されず、病院内に設けられたLAN(Local Area Network)等のネットワークであってもよく、また、USB等の所定の規格の端子を有するケーブル等を用いた外部の装置と直接的な有線通信であってもよい。このため、通信部31は、無線アンテナ及びマイクロUSBコネクタ等の複数を含む構成であってもよい。
【0045】
記憶部32は、血圧測定装置1全体を制御するためのプログラムデータ、血圧測定装置1の各種機能を設定するための設定データ、感圧素子71cで測定された圧力から血圧値や脈拍を算出するための算出データ等を予め記憶する。また、記憶部32は、算出された血圧値、脈拍及びこれら算出されたデータと時間とを関連付けた時系列データ等の情報を記憶する。
【0046】
制御部33は、例えば、単数又は複数のCPU(Central Processing Unit)により構成され、血圧測定装置1全体の動作を制御するとともに、プログラムデータに基づいて各処理を行う。制御部33は、操作部12、表示部13、ポンプ14及びセンサ装置5に電気的に接続されるとともに、各構成の動作の制御、信号の送受信又は電力の供給を行う。
【0047】
本体固定具16は、例えば、一つ又は複数の帯状のバンドと、バンドを手首100に巻き付けて固定する面ファスナー等の固定部材と、を含み、本体ケース11を手首100に固定する。
【0048】
このような装置本体4は、記憶部32に記憶されたプログラムデータを用いて制御部33が処理を行うことで、センサ装置5で検出した橈骨動脈110の脈波から血圧データを連続的に生成する。血圧データは、測定した脈波の波形に対応する血圧波形のデータを含む。血圧データは、血圧特徴量(血圧値)の時系列データをさらに含んでもよい。血圧特徴量は、例えば、収縮期血圧(SBP;Systolic Blood Pressure)および拡張期血圧(DBP;Diastolic Blood Pressure)を含むが、これに限定されない。一心拍分の脈波波形における最大値は収縮期血圧に対応し、一心拍分の脈波波形における最小値は拡張期血圧に対応する。
【0049】
本実施形態では、装置本体4は、トノメトリ法により脈波としての圧脈波を測定する。ここで、トノメトリ法とは、皮膚の上から橈骨動脈110を適切な圧力で押圧して動脈に扁平部を形成し、橈骨動脈110の内部及び外部のバランスがとれた状態でセンサ装置5により圧脈波を計測する方法をいう。トノメトリ法によれば、一心拍ごとの血圧値を得ることができる。
【0050】
図1、
図3及び
図4に示すように、センサ装置5は、アタッチ部41と、センシング本体42と、固定具43と、を備えている。
【0051】
アタッチ部41は、一方の主面が左手の手首100の橈骨動脈110が存する領域の手首100の周方向に倣った形状を有する。具体例として、アタッチ部41は、手首100と接する領域の周方向の形状に倣って湾曲する基部41aと、基部41aに形成された開口部41bと、基部41aに設けられ、センシング本体42を取り付ける取付部41cと、基部41aの手首100と当接する主面に設けられたクッション41dと、を含む。
【0052】
基部41aは、一方向に長く構成される。基部41aは、手首100の手の平側、及び、手首100の橈骨111側の側部側に配置され、手首100の手の平側、及び、手首100の橈骨111側の側部側の周方向の形状に倣って手首100側に配置される主面が湾曲する。また、基部41aは、少なくとも外周縁側の主面がセンシング本体42と当接する。
【0053】
開口部41bは、基部41aの中央側に設けられ、指を単数又は複数本配置できる大きさに形成される。即ち、開口部41bは、センサ装置5が手首100に装着されたときに、指により開口部41bから露出する手首100の橈骨動脈110が存する領域を触診可能、且つ、センシング本体42の一部が手首100に接触できる大きさに形成される。
【0054】
取付部41cは、基部41aの手首100と対向する面と反対の主面であって、且つ、基部41aの長手方向で一端側に設けられる。取付部41cは、センシング本体42を保持するとともに、基部41aから離間する方向及び基部41aへ近接する方向に、センシング本体42を移動可能に構成される。具体例として、取付部41cは、センシング本体42を一軸周りで回転可能に軸支する軸支部である。例えば、取付部41cは、基部41aに一体に形成される。
【0055】
クッション41dは、例えば、基部41aの手首100と当接する主面に設けられた発泡性樹脂材料によりシート状に構成された弾性体である。クッション41dは、例えば、血圧測定装置1を手首100に装着したときに、弾性変形することで、手首100を保護する。
【0056】
図2乃至
図12に示すように、センシング本体42は、ケース51と、センサユニット52と、センサユニット52の位置を調整する調整手段53と、を備えている。
【0057】
ケース51は、例えば、アタッチ部41に対向する面が開口する矩形箱状に構成される。ケース51は、センサユニット52及び調整手段53を保持する。また、ケース51は、基部41aから離間する方向に往復動可能に、取付部41cに取り付けられる。具体例として、ケース51は、取付部41cに回転可能に設けられる回転軸51aを有する。また、ケース51は、基部41aに当接したときに、ケース51を基部41aに固定する係合部51bを有する。係合部51bは、例えば、基部41aに設けられた開口と係合する突起であり、操作されることで、基部41aの開口と係合が解除可能に構成される。
【0058】
さらに、ケース51は、チューブ14aを配置する第1孔部51cと、ケーブル15aを配置する第2孔部51dと、調整手段53の一部を移動可能に支持する第3孔部51eと、センサユニット52の移動を案内する案内溝51fと、を備えている。
【0059】
第1孔部51c及び第2孔部51dは、手首100に装着したときに装置本体4と隣接するケース51の同じ側壁に設けられる。
【0060】
第3孔部51eは、第1孔部51c及び第2孔部51dが設けられるケース51の側壁と対向する側壁に設けられる。第3孔部51eは、ケース51の長手方向、換言すると、手首100にセンサ装置5が装着されたときに手首100の周方向に直線状に延びる矩形状の開口である。
【0061】
案内溝51fは、第3孔部51eが設けられるケース51の側壁の内面側に設けられる。案内溝51fは、ケース51の開口する端部から当該開口と対向する天壁に向かって中途部まで延設された第1溝51f1と、第1溝51f1と直交する方向に延設された第2溝51f2と、を含む。第2溝51f2は、一端が第1溝51f1と連続し、この一端から他端までがケース51の長手方向一方側へ向かって延びる。
【0062】
センサユニット52は、可動ケース61と、空気袋62と、センサモジュール63と、センサモジュール63を可動ケース61に対して一方向に沿って移動可能に保持する可動ベース64と、を備えている。センサユニット52は、調整手段53によってケース51の長手方向に沿って所定の範囲で移動可能にケース51に保持される。
【0063】
可動ケース61は、センサモジュール63及び可動ベース64を収容し、且つ、センサモジュール63が保持された可動ベース64をアタッチ部41の開口部41bに向かって移動可能に保持する。可動ケース61は、ケース51内に、ケース51の長手方向に沿って移動可能に保持される。
【0064】
具体例として、可動ケース61は、空気袋62、及びセンサモジュール63を収容するアタッチ部41に対向する面が開口する矩形箱状に構成される。可動ケース61は、空気袋62及びセンサモジュール63及び可動ベース64を収容する。可動ケース61は、天壁及びセンサモジュール63及び可動ベース64の間に空気袋62を配置する。可動ケース61は、センサモジュール63が可動ケース61の開口から出没可能に、可動ベース64を一方向に移動可能に保持する。
【0065】
可動ケース61は、ケース51の案内溝51fが設けられる側壁と対向する側壁の外面に、案内溝51fを移動可能に配置される案内突起61aと、調整手段53の一部が固定される固定部61bと、を含む。案内突起61aが第2溝51f2に沿って移動することで、可動ケース61がケース51の長手方向に沿って移動する。
【0066】
空気袋62は、蛇腹構造を有する。空気袋62は、チューブ14aを介してポンプ14に流体的に接続される。空気袋62は、
図7乃至
図12に示すように、可動ケース61の天壁から開口へ向かう方向へ膨張する。空気袋62は、膨張することで、センサモジュール63が可動ケース61内に収容された位置から、センサモジュール63が可動ケース61の開口から突出してアタッチ部41の開口部41bから手首100に触れる位置まで、センサモジュール63を移動させる。空気袋62は、例えば、ポリウレタンにより成形される。このような空気袋62は、ポンプ14とともに、センサモジュール63を手首に向かって押圧する押圧機構を構成する。
【0067】
図13乃至
図18に示すように、センサモジュール63は、圧力センサ部71と、圧力センサ部71を保持するセンサベース72と、センサベース72を覆うとともに圧力センサ部71と対向する領域に開口73aを有するセンサヘッドカバー73と、センサヘッドカバー73の開口73aに設けられる軟質部74と、を備える。
図17は、センサモジュール63の一部の構成を示す斜視図であり、
図18は、センサモジュール63を他方側から見た平面図である。
【0068】
センサモジュール63は、可動ケース61内に配置され、可動ケース61の天壁及び開口の対向方向に沿って所定の移動範囲内で移動可能に可動ケース61に保持される。即ち、センサモジュール63は、可動ケース61内で移動可能に保持されるとともに、可動ケース61の開口から一定以上突出する位置まで移動したときにストッパー等の規制手段によってその移動が規制される。
【0069】
圧力センサ部71は、フレキシブル基板71aと、フレキシブル基板71aに搭載された基板71bと、基板71bに搭載された複数の感圧素子71cと、を備える。圧力センサ部71は、センサベース72の一方の主面上に搭載され、複数の感圧素子71cで測定した圧力値を、ケーブル15aを介して制御基板15に送信する。
【0070】
フレキシブル基板71aは、矩形の板状に構成され、接着シート71eを介してセンサベース72上に接着される。フレキシブル基板71a及び接着シート71eは、センサベース72の後述する流通孔72d、72e,72f,72gに重なる位置に開口71fや切欠部71gが形成され、流通孔72d、72e,72f,72gを塞がない形状に構成されている。
【0071】
フレキシブル基板71aの一方の主面上には、所定の回路パターンが形成されるとともに、基板71bが搭載されている。フレキシブル基板71aは、ケーブル15aに接続され、ケーブル15aを介して制御基板15に電気的に接続される。
【0072】
基板71bは矩形の板状に構成され、複数の感圧素子71cを保持する。基板71bと複数の感圧素子71cはセンサチップを構成する。
【0073】
複数の感圧素子71c(圧力センサ)は、一方向に配置されることで感圧素子列71dを構成する。複数の感圧素子71cは、例えば装着時に手首100の幅方向に沿う一方向に並べられる。感圧素子列71dは、単数又は複数設けられる。感圧素子列71dが複数設けられる場合には、複数の感圧素子列71dは、複数の感圧素子71cの並び方向に直交する方向に所定の間隔を開けて配置される。本実施形態においては2列の感圧素子列71dが配列されている。感圧素子71cはフレキシブル基板71a上の回路に電気的に接続される。
【0074】
センサベース72は、例えば合成樹脂で構成され、圧力センサ部71を保持する支持壁部72aと、支持壁部72aの外周縁から生体とは反対側の裏面側に立設される周壁部72bと、を一体に有するとともに、支持壁部72aの裏側に凹部72cが形成されている。センサベース72は圧力センサ部71及び圧力センサ部71に接続されるケーブル15aを保持する。
【0075】
支持壁部72aは所定の厚さを有する矩形の板状に構成される。支持壁部72aは、生体側である表面側であってセンサヘッドカバー73の開口73aと対向する領域に圧力センサ部71を保持する。支持壁部72aの外周縁部には、中央が凸となる段差部72jが形成されている。センサヘッドカバー73とセンサベース72とが組付けられる際にフレーム部73cがこの段差部72jに係合し、位置決めされる。
【0076】
支持壁部72aは、厚さ方向に貫通する貫通孔を複数備える。具体的には、圧力センサ部71を挟んで一方側の側部に流入口となる第1孔72d及び第2孔72eが配され、他方側の側部に流出口となる第3孔72f及び第4孔72gが形成されている。すなわち、感圧素子列71dを挟んで両側部に流通孔72d、72e,72f,72gが配される。
【0077】
支持壁部72aの、圧力センサ部71の一方側の側部において、圧力センサ部71の長手方向における一端に第1孔72dが、他端に第2孔72eが、それぞれ配されている。また、支持壁部72aの、圧力センサ部71の他方側の側部において、圧力センサ部71の長手方向における一端に第3孔72fが、他端に第4孔72gが、それぞれ形成されている。
【0078】
第5孔72hは、支持壁部72aの圧力センサ部71が配される中央部に配され、厚さ方向に貫通する円形の孔である。
【0079】
周壁部72bは、支持壁部72aの外周から、生体とは反対側に立設され、支持壁部72aと周壁部72bにより、センサベース72の裏面側に開口する凹部72cが形成されている。支持壁部72aの裏面には第1方向に沿う凹凸が形成されている。具体的には、支持壁部72aの圧力センサ部71が形成される領域を挟んだ両側部の領域の裏面に、圧力センサ部71の長手方向に沿う第1方向に延びる突条部72iがそれぞれ形成されている。
【0080】
センサヘッドカバー73は、例えば合成樹脂で構成され、中央部が生体側に凸となる矩形状に構成されている。センサヘッドカバー73は、開口73aを有する凸部73bと、凸部73bの周縁に設けられるフレーム部73cと、を一体に備える。
【0081】
凸部73bは、矩形の開口73aを有する板状に構成されている。凸部73bの一方側の生体に接触する主面は、少なくとも中央部が平坦に構成されている。凸部73bの他方側の主面は中央の開口73aに向けて一方側に傾斜する傾斜面73gを有するテーパ状に構成されている。また、凸部73bとフレーム部73cとの境界となるコーナー部73hの内壁は表面加工によりRが形成され、湾曲面状に構成されている。センサヘッドカバー73は外周に配されるフレーム部73cの内壁から、曲面状のコーナー部73hを通って、開口73aに至るまで、角がない構成であり、センサベース72との間の間隙部79の流体抵抗が小さく構成されている。
【0082】
フレーム部73cは、凸部73bの周縁からセンサベース72側に立設され、センサベース72の支持壁部72aの外周縁の段差部72jに係合する。
【0083】
センサヘッドカバー73とセンサベース72の対向面同士の少なくとも一部は離間し、センサヘッドカバー73の内面とセンサベース72の外面との間には、圧力センサ部71及び軟質部74が配される間隙部79が形成される。
【0084】
本実施形態においては、圧力センサ部71が搭載された支持壁部72aの一方側の面と凸部73bの他方側の面との間、及び支持壁部72aの外周面とフレーム部の内周面との間に、それぞれ形成される隙間により、間隙部79が形成されている。
【0085】
間隙部79は、フレキシブル基板71aの切欠部71gや接着シート71eの開口71fを通ってセンサベース72の複数の流通孔72d~72gに連通している。すなわち、間隙部79により、複数の流通孔72d~72gから、開口73aに至る流路が形成されている。この間隙部79の、少なくとも感圧素子71cを覆う高さ位置まで軟質樹脂材料が充填されることにより、軟質部74が構成される。
【0086】
開口73aは長円形状であり、開口73aの内縁73dは、装着時に手首100の周方向(幅方向)に対応する第1方向に対して湾曲する縁部を有している。開口73aは例えば凸部73bを厚さ方向に貫通している。開口73aは、例えば圧力センサ部71の感圧素子71cが全て配される大きさ及び形状に構成されている。言い換えると、凸部73bは圧力センサ部71の各感圧素子71cを覆わない構成である。また、第2方向において、開口73aの内縁73dの第2方向における端部と、感圧素子列71dとの間は、離間している。すなわち、開口73aの第1方向における中央部の最も幅広になっている部位は第2方向において感圧素子列71dから離れて配置され、距離が空いている。
【0087】
軟質部74は、シリコーン樹脂等の比較的軟質な樹脂材料で構成されている。軟質部74は、センサヘッドカバー73の開口73aに設けられ、圧力センサ部71を覆うことで感圧素子71cを保護する。軟質部74は、例えば、開口73a内に軟質樹脂材料が注入されることで成形される。軟質部74の端面74aは、センサヘッドカバー73の端面と面一に構成される。なお、軟質部74は、手首100と接触し、感圧素子71cで橈骨動脈110の圧力を検出可能な材料で形成されていればよく、軟質部74の厚さや手首100に接触する形状や材料は適宜設定可能である。
【0088】
軟質部74の露出面である端面74aは、開口73aの内縁73dと同形状に構成され、感圧素子71cが並ぶ第1方向に長い長円形状に構成されている。軟質部74は、第1方向に対して湾曲する曲線状の外縁部74bを有している。すなわち、センサヘッドカバー73と軟質部74との境界部LBは、第1方向に対して湾曲する曲線状に構成されている。また、軟質部74の第1方向における中央部において、軟質部74の第2方向の長さは、2列の感圧素子列71dが配される領域の第2方向の長さよりも大きく構成されている。すなわち、軟質部74の外縁部74bの第2方向における両端部は、感圧素子列71dから離間している。すなわち、軟質部74の端面74aの第1方向における中央部の最も幅広になっている部位は第2方向において感圧素子列71dから離れて配置され、距離が空いている。軟質部74は、開口73aに連通する間隙部79内において、軟質樹脂材材料が開口73aから、センサベース72の支持壁部72aの裏側の周壁部72bの周りに至る所定の深さまで形成されている。この軟質部74によって、圧力センサ部71と、センサベース72と,センサヘッドカバー73とが、互いに接着されて固定されるとともに、開口73aが密閉される。
【0089】
次に、血圧測定装置及びセンサモジュールの製造方法について
図13乃至
図21を参照して説明する。血圧測定装置及びセンサモジュールの製造方法は、圧力センサ部71をセンサベース72上にセットするセンサセット工程(ステップST1)と、センサベース72にセンサヘッドカバー73を組付けるカバ
ー組付工程(ステップST2)と、開口73aを対向部材で塞いだ状態で軟質樹脂を供給する充填工程(ステップST3)と、を備える。
【0090】
まずセンサセット工程(ステップST1)として、圧力センサ部71を、接着シート71eを介してセンサベース72上にセットする。具体的には、まず、複数の感圧素子71cを、基板71bに搭載する。次に、複数の感圧素子71cが搭載された基板71bをフレキシブル基板71aに実装する。これにより、圧力センサ部71が完成する。次に、圧力センサ部71を、接着シート71eを介してセンサベース72上に固定する。
【0091】
続いて、カバー組付工程(ステップST2)として、センサベース72上にセンサヘッドカバー73を被せる。このとき、センサヘッドカバー73の開口73aに対応するエリアに、圧力センサ部71が配される。また、センサベース72とセンサヘッドカバー73との間に間隙部79が形成される。間隙部79は、開口73aから、フレキシブル基板71aや接着シート71eの開口71fや切欠部71g、及びセンサベース72の流通孔72d~72gを通ってセンサベース72の裏側の凹部72cに至る流路を構成する。
【0092】
充填工程(ステップST3)として、まずセンサベース72とセンサヘッドカバー73とが組付けられた状態で、センサヘッドカバー73側が下になる向きに配置するとともに、平滑面81aを有する対向板81(対向部材)を対向配置させて開口73aを塞ぐ。この状態で、軟質樹脂材料を吐出するノズル82を、第1孔72d及び第2孔72eに挿入し、軟質樹脂材料を第1孔72d及び第2孔72eからそれぞれ供給する。例えば軟質樹脂材料の自重により、第1孔72dから軟質樹脂材料が間隙部79に流れ込み、圧力センサ部71を覆う所定高さ位置まで充填されることで、軟質樹脂材料が開口73aに配される。このとき、他の孔72f,72gは空気や余剰の樹脂材量が排出される流出口となる。
【0093】
開口73aを含む間隙部79に充填された軟質樹脂材料を、例えば軟質樹脂材料の種類に応じて冷却処理や加熱処理行うことで、固化させることにより、軟質部74が形成される。軟質部74により、センサベース72、支持プレート77、回路基板78、及びセンサヘッドカバー73が互いに接着され、固定される。軟質部74が形成された後、所定のタイミングで、対向板81を外す。軟質部74の形成後、対向板81を取り除いた後に、さらに軟質部74に表面処理を施してもよい。以上によりセンサモジュール63が完成する。
【0094】
可動ベース64は、可動ケース61内に、血圧測定装置1が手首100に装着された状態で、手首100に対して近接及び離間する一方向に沿って移動可能に保持される。例えば、可動ベース64は、可動ケース61内に設けられた複数の円柱状の部材に沿って移動可能に構成される。可動ベース64は、手首100側の端部がセンサベース72と固定されることで、可動ケース61に対してセンサベース72を一方向に沿って移動可能に、センサベース72を保持する。
【0095】
調整手段53は、
図22に示すように、ケース51に対してセンサユニット52の位置を、手首100の周方向で調整可能に構成される。調整手段53は、ケース51の外面に位置するとともに、一部が第3孔部51eを介して可動ケース61の固定部61bに固定される調整用摘まみ53aを有する。また、調整手段53は、ケース51の第3孔部51eに隣接して設けられた目盛53bと、調整用摘まみ53aに設けられ、目盛53bを指し示す指示部53cと、を有する。
【0096】
調整用摘まみ53aは、可動ケース61に固定されることで、センサユニット52に接続される。調整用摘まみ53aは、センサユニット52を移動可能に構成される。即ち、調整手段53は、調整用摘まみ53aを第3孔部51eの長手方向に移動させることで、センサユニット52を、第2溝51f2に沿って移動させて、ケース51に対する位置を調整する調整機構である。
【0097】
目盛53b及び指示部53cは、調整用摘まみ53aの位置、即ち、調整用摘まみ53aに接続されたセンサユニット52の位置を視認可能に表示する表示部である。
【0098】
固定具43は、例えば、一つ又は複数の帯状のバンドと、バンドを手首100に巻き付けて固定する面ファスナー等の固定部材と、を含み、アタッチ部41及びセンシング本体42を手首100に固定する。なお、固定具43は、尾錠を有する親と呼ばれる第1ベルト、及び、尾錠に固定される剣先と呼ばれる第2ベルトにより構成されていてもよい。また、固定具43は、ケース51に巻き付けられることで、ケース51をアタッチ部41に固定する構成をさらに有していても良い。
【0099】
即ち、固定具43は、空気袋62の膨張によってセンサモジュール63が手首100を押圧したときの反発力が可動ケース61に加わり、可動ケース61により直接的に又は可動ケース61から調整用摘まみ53aを介して間接的にケース51が押圧されて、ケース51がアタッチ部41から離間する方向に移動することを防止可能であってもよい。
【0100】
次に、血圧測定装置1を使用した血圧値の測定の一例について、
図22乃至
図25を用いて説明する。
図22は、
血圧測定装置のセンサユニットの位置調整を示す説明図である。図23は、血圧測定装置1を用いた血圧測定の一例を示す流れ図であり、ユーザの動作及び制御部33の動作の双方を示す。
図24及び図25は、血圧測定装置1を使用した血圧測定の一例を示す説明図である。
【0101】
先ず、ユーザは、手首100に橈骨動脈110の位置を触診で探す(ステップST11)。例えば、このとき、橈骨動脈110上の皮膚にペンで線を引くことで目印を付けてもよい。
【0102】
次に、ユーザは、センサ装置5のセンシング本体42をアタッチ部41から離間させる。本実施形態においては、ユーザは、係合部51bを操作してケース51及び基部41aの固定を解除し、回転軸51aを中心に、アタッチ部41から離間する方向にセンシング本体42を回転させる。
【0103】
次にユーザは、
図23に示すように、装置本体4及びセンサ装置5を装着する(ステップST12)。具体例として、先ず、ユーザは、装置本体4の本体固定具16及びセンサ装置5の固定具43に手首100を通し、装置本体4及びセンサ装置5を手首100の所定の位置に配置する。次いで、装置本体4の本体固定具16を締め付けて、手首100に装置本体4を固定する。このとき、装置本体4の本体固定具16にカフを設ける構成である場合には、手首100の皮膚が本体固定具16(カフ)に挟まっていないか、及び、本体固定具16(カフ)が緩まっていないかを確認する。次いで、センサ装置5のアタッチ部41の開口部41bが手首100の橈骨動脈110に位置するように、センサ装置5の位置を調整する。さらに、ユーザは、開口部41bに橈骨動脈110が位置した状態を維持しながら、センサ装置5の固定具43を締め付けて、手首100にセンサ装置5を固定する。
【0104】
次いで、ユーザは、
図24に示すように、アタッチ部41の開口部41bから手首100の触診を行い(ステップST13)、橈骨動脈110が開口部41bに位置することを再度確認する。次いで、ユーザは、
図25に示すように、センシング本体42をアタッチ部41に近接する方向に回転させて、係合部51bによりセンシング本体42をアタッチ部41に固定する。なお、センシング本体42の位置が橈骨動脈110からずれている場合には、調整用摘まみ53aを操作して、センシング本体42の位置を調整する。
【0105】
次いで、ユーザは、操作部12を操作して、血圧測定の指令を行う。制御部33は、血圧測定の指令に基づいて、血圧を測定する(ステップST14)。このとき、制御部33は、ポンプ14を駆動制御し、空気袋62を膨張させることで、
図7乃至
図12に示すように、センサモジュール63が可動ケース61内に収容された状態から漸次手首100に向かって移動し、
図9及び
図12に示すようにセンサモジュール63のセンサヘッドカバー73及び軟質部74が手首100の橈骨動脈110が存する領域を押圧する。センサヘッドカバー73及び軟質部74が手首100の当該領域を押圧することで、
図12に示すように橈骨動脈110が適切な圧力で押圧されることから橈骨動脈110に扁平部が形成される。この状態で、圧力センサ部71の各感圧素子71cが圧脈波を測定する。
【0106】
なお、制御部33は、圧力センサ部71で検出された橈骨動脈110の圧脈波からトノメトリ法によって血圧を求める。なお、血圧測定前に、制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムデータに基づいて、校正用の血圧測定を行ってもよく、また、装置本体4やセンサ装置5の装着状態及び圧力センサ部71の位置が正しいか否かの判定を行ってもよい。
【0107】
上述したように本発明の一実施形態に係る血圧測定装置1によれば、軟質部74の露出面である端面74aは、開口73aの内縁73dと同形状に構成され、複数の感圧素子71cが並ぶ第1方向に長い長円形状に構成されている。すなわち、軟質部74は、第1方向に対して湾曲する曲線状の縁部を有する外縁部74bを有している。このため、生体の表面と摺動する場合に剥離を抑制できる。すなわち、血圧測定装置1が手首に装着された際に、手首の長さ方向にずれる際、センサモジュール63が第1方向と直交する第2方向に移動しやすい。この場合、例えば軟質部とセンサヘッドカバーとの境界がこれに直交する方向に直線状に延びていると、生体の移動による摩擦で軟質部がセンサヘッドカバーから剥がれる方向の力を受ける。これに対し、上記血圧測定装置1では境界のラインを曲線状としたことで、移動による摩擦で軟質部74の縁部が受ける力を低減でき、センサヘッドカバー73からの剥離を抑制することができる。したがって、軟質部74と開口73aとの間に隙間ができるのを防止することで軟質部74と開口73aとの接着性を保持し、防水性が確保でき、また、隙間にごみが溜まることを防止できる。また、軟質部74の剥離を防止することで、センシング精度への影響も抑制できる。
【0108】
また、第2方向において、境界の外縁の第2方向における端部と、感圧素子列71dとの間が離間している構成としたため、生体の長手方向にセンサモジュール63が相対移動した際に、軟質部74が外縁から剥離することがあったとしても、感圧素子列71dまでの距離があいていることにより、センシング部位に剥離の影響が及ぶのを防止できる。
【0109】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば上述した例では、境界部LBの外形が長円形状に構成された例を説明したがこれに限定されない。例えば境界部LBの外形が円形であってもよいし、傾斜辺を有する構成であってもよい。
【0110】
他の実施形態として
図26に示すセンサモジュール63Aは、境界部LBの外形、開口73aの内縁73d、及び軟質部74の端面74aの外形が、いずれも菱形に構成されている。すなわち、境界部LBは第1方向及び第2方向に対して傾斜する4つの傾斜辺で構成される縁部を有している。内縁73d及び軟質部74の端面74aの外形の4つの角部は、Rが形成されて、湾曲状に形成されている。なお、センサモジュール63Aのこの他の構成はセンサモジュール63と同様である。
【0111】
この態様においても、センサモジュール63と同様の効果が得られる。すなわち、境界部LBのラインを傾斜させたことで、移動時の抵抗を分散させることができ、剥離を抑制することができ、防水性が確保できるとともに、隙間にごみが溜まることを防止できる。
【0112】
他の実施形態として
図27に示すセンサモジュール63Bは、境界部LBの外形、開口73aの内縁73d、及び軟質部74の端面74aの外形が、六角形状に構成されている。すなわち、境界部LBは、長手方向である第1方向の両端において、幅寸法が縮小し、第1方向及び第2方向に対して傾斜する4つの傾斜辺で構成される縁部を有している。また、内縁73d及び軟質部74の端面74aの外形において、第1方向の両端の角部は、Rが形成されて湾曲している。なお、センサモジュール63Bのこの他の構成はセンサモジュール63と同様である。
【0113】
この態様においても、センサモジュール63と同様の効果が得られる。すなわち、境界部LBのラインを傾斜させたことで、移動時の抵抗を分散させることができ、剥離を抑制することができ、防水性が確保できるとともに、隙間にごみが溜まることを防止できる。
【0114】
また、例えば他の実施形態として
図28に示すセンサモジュール63Cのように境界部LBの外形が傾斜辺を有する構成であってもよい。センサモジュール63Cは、開口73aの内縁73dの外形、及び軟質部74の端面74aは、第1方向の両端において幅寸法が拡大し、テーパ状に構成されている。すなわち、境界部LBの外形は、長手方向である第1方向の両端において、第1方向及び第2方向に対して傾斜する4つの傾斜辺で構成される縁部を有している。センサモジュール63Cのこの他の構成はセンサモジュール63と同様である。
【0115】
この態様においても、センサモジュール63と同様の効果が得られる。すなわち、境界部LBのラインを傾斜させたことで、移動時の抵抗を分散させることができ、剥離を抑制することができ、防水性が確保できるとともに、隙間にごみが溜まることを防止できる。
【0116】
また、例えば他の実施形態として
図29及び
図30に示すセンサモジュール63D、
63Eのように境界部LBの外形が波形の縁部を有する構成としてもよい。センサモジュール63D,63Eは、開口73aの内縁73d、及び軟質部74の端面74aの外縁部74bの一部が波状に構成されている。すなわち、境界部LBの外形は、長手方向である第1方向の両端において、第1方向及び第2方向に対して湾曲する縁部を有している。センサモジュール63D、63Eのこの他の構成はセンサモジュール63と同様である。
【0117】
この態様においても、センサモジュール63と同様の効果が得られる。すなわち、境界部LBのラインを湾曲させたことで、移動時の抵抗を分散させることができ、剥離を抑制することができ、防水性が確保できるとともに、隙間にごみが溜まることを防止できる。さらに、波状とすることで、縁部の距離を増やして接着領域を大きくすることで、センサヘッドカバー73と軟質部74との食いつきがよくなり、より剥がれにくい構成とすることができる。
【0118】
また、例えば他の実施形態として
図31に示すセンサモジュール63Fのように境界部LBにおいて、コーナー部に外周側に突出する円形状の係合部LB1を有する構成としてもよい。センサモジュール63Fにおいて、センサヘッドカバー73の開口73aの内縁73dは、矩形状であって、その四隅に円形状に膨らむ係合穴73eが形成されている。軟質部74は開口73aに倣って形成されており、四つのコーナー部において外方に膨らむ円形状の係合突起74eがそれぞれ形成されている。係合穴73e、係合突起74eはコーナー
部が円形状に膨らむ鍵穴形状であり、係合穴73eの基端部が係合突起74eの基端部に入り込む構造により、係合穴73eから係合突起74eが抜け難い構成である。センサモジュール63Fのこの他の構成はセンサモジュール63と同様である。
【0119】
この態様においても、センサモジュール63と同様の効果が得られる。すなわち、境界部LBはコーナー部に円形状の係合部LB1を有することにより、係合穴73eから係合突起74eが抜けるのを防止でき、軟質部74とセンサヘッドカバー73との剥離を防止できる。
【0120】
また、上記各実施形態においては、開口73a及び軟質部74の形状が貫通方向に一様である例を示したが、これに限られるものではない。
図32及び
図33は他の実施形態にかかるセンサモジュール63Gの構成を示す平面図及び斜視図である。
図33においては軟質部74が形成される前のセンサヘッドカバー73の形状を示している。
図32及び
図33に示すように、センサモジュール63Gは、センサヘッドカバー73の一方側の端面が、コーナー部において生体から離れる他方側に退避する段差部73fを有している。この段差部73fの一方側の面が軟質部74の係合突起74eによって覆われる。言い換えると、開口73aは深さ方向において形状が異なり、表面側である一端側においてはコーナー部において外方に膨らむ係合穴73eを有する形状であり、他端側は係合穴73eのない矩形状に構成されている。軟質部74の外縁の形状も、一端側と他端側とで異なっている。すなわち、軟質部74は、表面側に開口73aの段差部73fに対応する所定の厚みを有する係合突起74eが形成され、所定深さから他端側は係合突起74eの無い矩形状に構成されている。
センサモジュール63Gのこの他の構成はセンサモジュール63Fと同様である。
【0121】
この態様においても、センサモジュール63Fと同様の効果が得られる。すなわち、境界部LBはコーナー部から外方に向かって拡幅して膨らむ円形状の係合部LB1を有することにより、係合穴73eから係合突起74eが抜けるのを防止でき、軟質部74とセンサヘッドカバー73との剥離を防止できる。
【0122】
また、センサヘッドカバー73の開口73aに段差部73fがあることにより、生体側からの係合突起74eにかかる負荷を段差部73fで受けることで、軟質部74全体の変形を抑制し、センシング部に影響することを抑制できるとともに、軟質樹脂材料の量を低減できる。
【0123】
図34は他の実施形態にかかるセンサモジュール63Hの構成を示す平面図である。
図34に示すように、センサモジュール63Hは、軟質部74の一方側の端面74aの一部がコーナー部において生体から離れる他方側に退避する段差部74fを有している。この段差部74fの一方側の面がセンサヘッドカバー73の一部によって覆われる。すなわち、センサモジュール63Hにおいて、センサヘッドカバー73は、開口73aの周縁部に、軟質部74の一部を覆う壁部73iを有している。
【0124】
すなわち、軟質部74の形状は一端側と他端側とで異なり、表面側から所定深さまでは係合突起74eの無い矩形状に構成され、一定深さから他方側は、コーナー部において外方に幅が拡大する様に膨らむ係合突起74eを有する角形状である。また、センサヘッドカバー73の開口73aも深さ方向において形状が異なり、表面側には軟質部74の段差部74fに対応する所定の厚みを有する壁部73iが形成され、一定深さから他方側はコーナー部に外方に膨らむ係合穴73eを有する角形状に構成されている。
【0125】
センサモジュール63Hのこの他の構成はセンサモジュール63Fと同様である。
【0126】
この態様においても、センサモジュール63Fと同様の効果が得られる。すなわち、境界部LBはコーナー部に円形状の係合部LB1を有し、さらに壁部73iによって軟質部74の表面が覆われることにより、係合穴73eから係合突起74eが抜けるのを防止でき、軟質部74とセンサヘッドカバー73とがより剥がれにくい。
【0127】
上述した例では、血圧測定装置1は、装置本体4及びセンサ装置5を別体に備える構成を説明したがこれに限定されない。例えば、
図35及び
図36に示すように、血圧測定装置1は、装置本体4及びセンサ装置5が一体に構成されていてもよい。例えば、このような構成の血圧測定装置1は、センシング本体42のケース51に、装置本体4に用いられる操作部12、表示部13、ポンプ14及び制御基板15を設ける構成とすればよい。
【0128】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、アタッチ部41に対してセンシング本体42が離間する方向及び近接する方向に移動する構成として、一軸周りにセンシング本体42がアタッチ部41に対して回転する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、
図37に示すように、血圧測定装置1は、アタッチ部41に対してセンシング本体42が離間する方向及び近接する方向に移動する構成として、アタッチ部41及びセンシング本体42が分離する構成としてもよい。このような構成の血圧測定装置1とする場合には、例えば、センシング本体42のケース51の複数箇所に係合部51bを設け、複数位置でセンシング本体42をアタッチ部41に係合させる構成とすればよい。
【0129】
また、例えば、一軸周りにセンシング本体42がアタッチ部41に対して回転する構成についても、上述の例に限定されない。即ち、上述した例では、センシング本体42は、アタッチ部41に対して、手首100の周方向に対して直交する方向に延びる一軸回りに回転する構成を説明したがこれに限定されない。即ち、センシング本体42は、アタッチ部41に対して、手首100の周方向の接線方向に延びる一軸回りに回転する構成であってもよい。
【0130】
また、上述した例では、血圧測定装置1は、橈骨動脈110の圧力を測定し、トノメトリ法によって血圧を求める構成を説明したがこれに限定されず、例えば、尺骨動脈の圧力を測定する構成であってもよい。また、血圧測定装置1は、トノメトリ法以外の方法により血圧を求める構成であってもよい。
さらに、上述した例では、アタッチ部41の開口部41bは手首100を触診可能な形状である構成を説明したがこれに限定されない。即ち、例えば、アタッチ部41の開口部41bは、調整手段53によって位置が調整される範囲においてセンサユニット52が開口部41bを超えて手首100に接触することができる形状であってもよい。
【0131】
また、上述した例では、フレキシブル基板71a上に感圧素子列71dを保持する同様に、血圧を測定する装置に限らず、脈波を測定する装置等の他の測定法を用いる装置に用いることもできる。
【0132】
また、上述した例では、センサユニット52は、センサモジュール63のセンサベース72が可動ケース61内を移動可能な可動ベース64により保持される構成を説明したがこれに限定されない。例えば、可動ベース64は、センサモジュール63のセンサベース72と一体に構成されていてもよい。
上述した例では、圧力センサ部71がセンサベース72上に搭載された構成を示したが、これに限られるものではない。例えば、回路基板に圧力センサ部71が直接固定される構成であってもよい。この場合、例えば圧力センサ部71を覆うようにセンサヘッドカバー73を取り付け、回路基板に形成された流通孔を通じて回路基板の裏面から軟質樹脂材料を注入することで、センサヘッドカバー73の開口73aに軟質部が形成される。
【0133】
また、軟質部74の形成方法も上記に限られるものではない。例えば予め所定形状に構成された軟質部74を開口73aに装着してもよい。すなわち、圧力センサ部71を覆うようにセンサヘッドカバー73を取り付け、センサヘッドカバー73の開口73aに、予め所定形状に形成された例えば透明シリコンゴム製のセンサ窓などの軟質部74を嵌め込む構成であってもよい。
【0134】
即ち、上述した各実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…血圧測定装置、4…装置本体、5…センサ装置、11…本体ケース、12…操作部、13…表示部、14…ポンプ、14a…チューブ、15…制御基板、15a…ケーブル、16…本体固定具、21…釦、31…通信部、32…記憶部、33…制御部、41…アタッチ部、41a…基部、41b…開口部、41c…取付部、42…センシング本体、43…固定具、51…ケース、51a…回転軸、51b…係合部、51c…孔部、51d…孔部、51e…孔部、51f…案内溝、51f1…溝、51f2…溝、52…センサユニット、53…調整手段、53b…目盛、53c…指示部、61…可動ケース、61a…案内突起、61b…固定部、62…空気袋、63…センサモジュール、71…圧力センサ部、71a…フレキシブル基板、71b…基板、71c…感圧素子、71d…感圧素子列、71e…接着シート、71f…開口、71g…切欠部、72…センサベース、72a…支持壁部、72b…周壁部、72c…凹部、72d~72h…流通孔(第1孔、第2孔、第3孔、第4孔、第5孔)、72i…突条部、72j…段差部、73…センサヘッドカバー、73a…開口、73b…凸部、73d…内縁、73e…係合穴、73f…段差部、73g…傾斜面、73h…コーナー部、73i…壁部、74…軟質部、74a…端面、74b…外縁部、74e…係合突起、81…対向板、81a…平滑面、82…ノズル、100…手首、110…橈骨動脈、111…橈骨、112…尺骨動脈、113…尺骨、114…腱。