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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ボールねじ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20220614BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20220614BHJP
   B21K 1/76 20060101ALN20220614BHJP
【FI】
F16H25/24 N
F16H25/22 C
F16H25/24 B
B21K1/76 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018106921
(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公開番号】P2019210995
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 泰明
(72)【発明者】
【氏名】金澤 修二
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-138179(JP,A)
【文献】特開2014-156902(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107002842(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0266702(US,A1)
【文献】特開2016-98905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/24
F16H 25/22
B21K 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する前記両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
コマと、
備え
前記コマは、前記ナットのコマ孔内に取り付けられて、該複数のボールを前記転走路の一端から他端へと循環させるためのボール戻し通路を有
前記ボール戻し通路が形成されるねじ軸側の外周縁は、全周に亘って、前記コマ孔の内周面と嵌合する嵌合面よりも内側にオフセットして形成されており
前記ナットのねじ溝と前記コマのボール戻し通路との各中心軸線を通る断面において、前記ナットのねじ溝と前記コマのボール戻し通路との間には、前記ボール戻し通路の表面が前記ねじ溝の表面よりも深くなるように段差が形成され、
前記ねじ軸側の外周縁と前記嵌合面との間の距離βは、前記段差における前記ボール戻し通路と前記ねじ溝との表面間の高さαより小さい、
ボールねじ
【請求項2】
前記嵌合面と前記ねじ軸側の外周縁との間は、テーパ形状、断面曲面形状、段差形状のいずれかに形成される、請求項1に記載のボールねじ
【請求項3】
前記コマの成形時に出現するバリは、前記ねじ軸側の外周縁に位置する、請求項1又は2に記載のボールねじ
【請求項4】
前記コマの嵌合面と嵌合する前記コマ孔の内周面の入口側開口は、テーパ形状、断面曲面形状のいずれかに形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のボールねじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コマ及びボールねじに関し、より詳細には、電動ブレーキに使用可能なコマ及びボールねじに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじは、ねじ軸と、ねじ軸に外嵌するナットと、ねじ軸とナットによって形成される転走路内を転動する複数のボールと、転走路の一端から他端へとボールを循環させるボール戻し通路を有するコマと、を備えるものが知られている。コマは、ナットのコマ孔内に埋め込まれて使用されるため、コマ式のボールねじは、コンパクトに構成できるという長所を有する。このことから、コマ式のボールねじは、車両搭載性の観点から自動車や二輪車のアクチュエータとしても適用されている。
【0003】
循環部品であるコマには、様々の形状のものが提案されており、強度の確保および寸法安定性を目的としたものや、作動時の異音や振動の抑制を目的としたものがある。特許文献1に記載のボールねじ機構では、コマの循環溝の両端部に、ねじ溝の中心軸線と一致する中心軸線を有する導入部が形成されており、異音や振動を抑制し、円滑な動作を確保することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2では、コマに相当するリターンピースの鍛造成形において、パンチ形状を工夫することで、成形精度の良好な曲線状のリターン溝を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-292085号公報
【文献】特開平08-257669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のようなボールねじでは、図11に示すように、コマ100のボール戻し通路101が形成されるねじ軸側の外周縁102は、ナット110のコマ孔111の内周面と嵌合する嵌合面103に連続している。このため、コマ挿入時にコマ100の中心Oとナット110のコマ孔111の中心Oがずれていると、コマ100の外周縁102と、コマ孔111の内周面とが干渉し、スムーズなコマ100の挿入が妨げられる懸念がある。特に、特許文献2に記載のように、金型で成形されたコマ100には、金型の合わせ面(コマ100の外周縁102)にバリが発生する。そして、そのバリが干渉時に取れて、ナット内部にコンタミとして落ちてしまい、ボールのスムーズな転動を阻害する可能性がある。
【0007】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コマの挿入性を向上すると共に、コマをナットに装着する際に、バリがナット内部にコンタミとして落ちるのを防止できる、コマ及びボールねじを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1) 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する前記両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、を有するボールねじに用いられ、前記ナットのコマ孔内に取り付けられて、該複数のボールを前記転走路の一端から他端へと循環させるためのボール戻し通路を有するコマであって、
前記ボール戻し通路が形成されるねじ軸側の外周縁は、全周に亘って、前記コマ孔の内周面と嵌合する嵌合面よりも内側にオフセットして形成されている、コマ。
(2) 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する前記両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
(1)に記載のコマと、を有するボールねじ。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコマ及びボールねじによれば、前記ボール戻し通路が形成されるねじ軸側の外周縁は、全周に亘って、前記コマ孔の内周面と嵌合する嵌合面よりも内側にオフセットして形成されているので、コマの挿入性を向上すると共に、コマをナットに装着する際に、バリがナット内部にコンタミとして落ちるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る、スリーブが装着される前のボールねじの斜視図である。
図2図1のボールねじの主要部の断面図である。
図3図2のIII部拡大図である。
図4】コマの斜視図である。
図5】(a)は、図4のV部拡大図であり、(b)は、図4のV´-V´線に沿った拡大断面図である。
図6】(a)は、ナットのねじ溝とコマのボール戻し通路との各中心軸線を通る断面図であり、(b)は、(a)のVI部拡大図である。
図7】本発明の第1変形例に係る図3に相当する断面図である。
図8】本発明の第2変形例に係る図3に相当する断面図である。
図9】本発明の第3変形例に係る図3に相当する断面図である。
図10】(a)は、本発明の第4変形例に係る図2に相当する断面図であり、(b)は、(a)のX部拡大図である。
図11】従来のコマをナットのコマ孔に挿入する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るボールねじを図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、ボールねじ1は、内部循環方式であり、ねじ軸10と、ナット20と、複数のボール30と、複数のコマ40と、スリーブ50と、を主に備えて構成されている。ねじ軸10は、中心軸CLを中心とした円柱形状に形成され、その外周面に所定のリードを有する螺旋状の第1ねじ溝11が形成されている。なお、図2に示すボール30は、その一部を仮想線で示している。
【0012】
ナット20は、略円筒状をなし、その内径はねじ軸10の外径よりも大きく形成されており、ねじ軸10に所定の隙間をもって外嵌している。ナット20の内周面には、ねじ軸10の第1ねじ溝11と等しいリードを有し、第1ねじ溝11と対向する螺旋状の第2ねじ溝21が形成されている。そして、ねじ軸10の第1ねじ溝11とナット20の第2ねじ溝21とによって断面略円形状の転走路23が形成されている。この転走路23内に複数のボール30が転動可能に充填配置されている。
【0013】
また、ナット20に形成された複数のコマ孔24には、ボール30を手前の転走路23に戻すための複数のコマ40が周方向に異なる位相でそれぞれ装着されている。各コマ40には、転走路23の一端と一巻き手前の転走路23の他端とを連結するボール戻し通路42が形成されている。このボール戻し通路42により、各コマ40に向かって転走路23を転がってくるボール30をねじ軸10の径方向にすくい上げ、さらに、ねじ軸10のねじ山12を乗り越えさせ、一巻き手前(一リード手前)の転走路23に戻すことでボール30を循環可能にしている。
【0014】
そして、このボール戻し通路42及び転走路23によってねじ軸10の外側に略円環状の無限循環路が形成される。これにより、ナット20のねじ軸10に対する相対的な回転に伴って、複数のボール30が無限循環路内を無限循環することによって、ナット20とねじ軸10が軸方向に相対的に直線運動することが可能となる。
【0015】
ねじ軸10の一端側には、中心軸CLに沿って延び、第1ねじ溝11が形成される部分より小径の軸部13が形成されている。この軸部13には、回り止め部材35がねじ軸10と一体回転可能に取り付けられている。
【0016】
回り止め部材35は、軸部13に固定される円筒部36と、円筒部36の外周面に、互いに180°離れ、半径方向に突出する案内突起37、38と、を有する。案内突起37、38は、図示しないハウジングに形成された、中心軸CLに沿って延在する一対の凹形状の溝に入り込んでおり、ねじ軸10がナット20に対して直線運動する際に、この溝内を摺動する。
また、案内突起37は、案内突起38に比べて軸方向に長く形成されており、ねじ軸10のストロークエンドで、ナット20の軸方向端面に形成されたストッパ部25と当接する。
【0017】
ナット20の外周面には、スリーブ50が外嵌する部分に隣接して、ボールねじ支持軸受60の内輪軌道溝26が一体に形成されており、また、軸方向他端側には、図示しないトルク伝達機構の動力伝達部材(例えば、ベルト部材が架け渡されるプーリ)が係合するキー溝27が形成されている。
したがって、ナット20は、ボールねじ支持軸受60を介して、図示しないハウジングに回転自在に支持されている。
【0018】
スリーブ50は、ナット20の外周面に外嵌され、コマ40の径方向外方への移動を防止している。また、スリーブ50は、軸方向一方側の端面における周方向複数箇所を、ナット20の軸方向端部の外周面に形成された加締め溝28に向けて加締めることで形成された複数の加締め部51を有する。これにより、スリーブ50は、ナット20に対して軸方向に位置決め固定される。
【0019】
ここで、コマ40は、図3図5に示すように、コマ孔24の内周面と嵌合する嵌合面46とボール戻し通路42が形成されるねじ軸側の外周縁45との間が段差形状に形成されている。このため、ねじ軸側の外周縁45は、全周に亘って、コマ孔24の内周面と嵌合する嵌合面46よりも内側(ボール戻し通路42側)にオフセットして形成されている。
【0020】
これにより、コマ40の挿入時に、コマ40の中心とナット20のコマ孔24の中心が多少ずれていても、外周縁45がコマ孔24の内周面と接触せずにコマ40を挿入することができる。
【0021】
特に、コマ40の成形時には、金型の合わせ面の位置にバリが発生するが、本実施形態のコマ40では、バリが出現する位置が、ねじ軸側の外周縁45となる。しかしながら、コマ40をナット20に挿入する際、ねじ軸側の外周縁45はコマ孔24の内周面と接触しないので、ねじ軸側の外周縁45に出現するバリとコマ孔24の内周面との干渉を回避し、バリがコンタミとなることを防止できる。
【0022】
また、図3に示すように、コマ40の嵌合面46と嵌合するコマ孔24の内周面の入口側開口29は、テーパ形状に形成されているので、コマ40を案内しながら、コマ孔24内に容易に挿入することができる。
【0023】
図6は、ナット20のねじ溝21とコマ40のボール戻し通路42との各中心軸線を通る断面における、ねじ溝21とボール戻し通路42の位置関係を示している。コマ40のボール戻し通路42は、非負荷圏となっており、ボール30は転がらない。そのため、コマ40のボール戻し通路42の区間は、負荷圏であるねじ軸10とナット20からなる転走路23より空間が大きくなっており、ナット20のねじ溝21とコマ40のボール戻し通路42との間には、ボール戻し通路42の表面がねじ溝21の表面よりも深くなるように段差47が形成される。
【0024】
また、ねじ軸側の外周縁45と嵌合面46との間の距離βは、段差47におけるボール戻し通路42とねじ溝21との表面間の高さαより大きくすると、ボール30とねじ軸側の外周縁45とが接触してしまい、作動トルクが増大し、また、バリが取れる可能性がある。このため、本実施形態では、ねじ軸側の外周縁45と嵌合面46との間の距離βは、段差47の高さαよりも小さく設定されている。
【0025】
段差47の高さαの大きさは作動トルクを大きくしないためにも、ボール径の25%以下とすることが好ましく、13%以下とすることがより好ましい。よって、βは、「β<α≦ボール径の25%」とすることが好ましく、「β<α≦ボール径の13%」とすることがより好ましい。
【0026】
以上説明したように、本実施形態のコマ40によれば、外周面に螺旋状の第1ねじ溝11が形成されたねじ軸10と、ねじ軸10の周囲に配置され、内周面に螺旋状の第2ねじ溝21が形成されたナット20と、対向する両ねじ溝11,21により形成される転走路23内に収容される複数のボール30と、を有するボールねじに用いられ、ナット20のコマ孔24内に取り付けられて、複数のボール30を転送路23の一端から他端へと循環させるためのボール戻し通路42を有する。そして、ボール戻し通路42が形成されるねじ軸側の外周縁45は、全周に亘って、コマ孔24の内周面と嵌合する嵌合面46よりも内側にオフセットして形成されている。これにより、コマ40の挿入時に、コマ40の中心とナット20のコマ孔24の中心が多少ずれていても、外周縁45がコマ孔24と接触せずにコマ40を挿入することができる。
【0027】
また、コマ40の成形時には、金型の合わせ面の位置にバリが発生するが、本実施形態のコマ40では、バリが出現する位置が、ねじ軸側の外周縁45となるので、バリがナット20のコマ孔24と接触せず、ナット内部にコンタミとして落ちるのを防止できる。
【0028】
また、ナット20のねじ溝21とコマ40のボール戻し通路42との各中心軸線を通る断面において、ナット20のねじ溝21とコマ40のボール戻し通路42との間には、ボール戻し通路42の表面がねじ溝21の表面よりも深くなるように段差47が形成され、ねじ軸側の外周縁45と嵌合面46との間の距離βは、段差47におけるボール戻し通路42とねじ溝21との表面間の高さαより小さいので、ボール30とねじ軸側の外周縁45とが接触するのを防止して、また、バリが取れる可能性を抑えることができる。
【0029】
さらに、コマ40の嵌合面46と嵌合するコマ孔24の内周面の入口側開口29は、テーパ形状に形成されるので、コマ40をコマ孔24内に容易に挿入することができる。
【0030】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0031】
例えば、嵌合面46とねじ軸側の外周縁45との間は、上述した段差形状に限定されず、図7に示すテーパ形状や、図8に示すテーパ形状と段差形状の組合せ、図9に示す断面曲面形状のいずれの形状に形成されてもよい。
【0032】
また、コマ40の嵌合面46と嵌合するコマ孔24の内周面の入口側開口29は、上述したテーパ形状に限定されず、図9に示すように断面曲面状の面取り形状に形成されてもよい。なお、嵌合面46とねじ軸側の外周縁45との間が、図7に示すテーパ形状や、図9に示す断面曲面形状を有するような場合には、コマ孔24の入口側開口29にテーパ形状や断面曲面形状の面取り加工を形成しなくても、嵌合面46とねじ軸側の外周縁45との間のテーパ形状や断面曲面形状によって、コマ40をコマ孔24内に容易に挿入することができる。
【0033】
また、スリーブ50の形状は、上記実施形態の円筒形状に限定されず、ナット20の形状に合わせて、角型形状であってもよい。即ち、スリーブ50は、ナット20の形状に合わせて、ナット20に外嵌できるように成形されればよい。
【0034】
さらに、図10に示すように、コマ40の嵌合面46には微小突起48が設けられてもよく、この微小突起48がコマ孔24の内面に軽圧入されることで、組立時の脱落防止を可能にできる。なお、この場合、コマ孔24の内面には凹部は予め形成されていない。
また、コマ40には、座面44が設けられ、この座面44により、コマ40がナット20の内側へ侵入することが防止してもよい。
【0035】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する前記両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、を有するボールねじに用いられ、前記ナットのコマ孔内に取り付けられて、該複数のボールを前記転走路の一端から他端へと循環させるためのボール戻し通路を有するコマであって、
前記ボール戻し通路が形成されるねじ軸側の外周縁は、全周に亘って、前記コマ孔の内周面と嵌合する嵌合面よりも内側にオフセットして形成されている、コマ。
(2) 前記嵌合面と前記ねじ軸側の外周縁との間は、テーパ形状、断面曲面形状、段差形状のいずれかに形成される、(1)に記載のコマ。
(3) 前記コマの成形時に出現するバリは、前記ねじ軸側の外周縁に位置する、(1)又は(2)に記載のコマ。
(4) 前記ナットのねじ溝と前記コマのボール戻し通路との各中心軸線を通る断面において、前記ナットのねじ溝と前記コマのボール戻し通路との間には、前記ボール戻し通路の表面が前記ねじ溝の表面よりも深くなるように段差が形成され、
前記ねじ軸側の外周縁と前記嵌合面との間の距離βは、前記段差における前記ボール戻し通路と前記ねじ溝との表面間の高さαより小さい、(1)~(3)のいずれかに記載のコマ。
(5) 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する前記両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
(1)~(4)のいずれかに記載のコマと、を有するボールねじ。
(6) 前記コマの嵌合面と嵌合する前記コマ孔の内周面の入口側開口は、テーパ形状、断面曲面形状のいずれかに形成される、(5)に記載のボールねじ。
【符号の説明】
【0036】
1 ボールねじ
10 ねじ軸
11 第1ねじ溝(ねじ溝)
20 ナット
21 第2ねじ溝(ねじ溝)
23 転走路
24 コマ孔
30 ボール
40 コマ
42 ボール戻し通路
45 ねじ軸側の外周縁
46 嵌合面
47 段差
50 スリーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11