IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図1
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図2
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図3
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図4
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図5
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図6
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図7
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図8
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図9
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図10
  • 特許-画像処理装置及びプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/46 20060101AFI20220614BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220614BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220614BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20220614BHJP
【FI】
B41J29/46 Z
H04N1/00 127A
H04N1/00 350
B41J29/42 F
B41J29/00 Z
G03G21/00 386
G06F3/0482
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018135866
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2020011466
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀真
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-237820(JP,A)
【文献】特開2012-171170(JP,A)
【文献】特開2009-093224(JP,A)
【文献】特開2013-255149(JP,A)
【文献】特開2009-182908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段に表示され複数のユーザーで共有される操作画面を、1回または複数回にわたってカスタマイズ可能なカスタマイズ手段と、
自装置内または外部に備えられ、前記カスタマイズ手段によるカスタマイズ後の操作画面の情報と操作画面のバージョン情報とを含むカスタマイズ情報の履歴を記憶するカスタマイズ履歴記憶手段と、
自装置内または外部に備えられ、ユーザーが操作画面を操作したときに前記操作画面を操作したユーザーの情報と操作された操作画面のバージョン情報とを含む操作履歴情報を記憶する操作履歴記憶手段と、
現在のバージョンの操作画面の操作を行うユーザーを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定されたユーザーによって操作される現在のバージョンの操作画面における誤操作の起こり易さを、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についての前記ユーザーの操作履歴情報に基づいて判定する判定手段と、
前記判定手段により誤操作が起こり易いと判定された場合、警告を通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面のうち、前記ユーザーが最後に操作したバージョンの操作画面の情報を、前記カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記バージョングループにおける直近のバージョンの操作画面のうち、前記ユーザーによる操作回数が最も多いバージョンの操作画面の情報を、前記カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面のうち、前記ユーザーが最後に操作したバージョンの操作画面に対する操作回数が所定の閾値以上の場合は、最後に操作したバージョンの操作画面の情報を、所定の閾値未満の場合は、前記バージョングループにおける直近のバージョンの操作画面のうち、前記ユーザーによる操作回数が最も多いバージョンの操作画面の情報を、前記カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記閾値を変更設定可能な設定手段を備えている請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面についての前記ユーザーの操作履歴情報が存在しない場合は、誤操作が起こりにくいと判定し、前記通知手段は警告を通知しない請求項1~5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記操作履歴記憶手段はさらに操作画面の操作日時を操作履歴情報として記憶し、
前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面についての前記ユーザーの最後の操作日時が所定のタイミングよりも前である場合は、誤操作が起こりにくいと判定し、前記通知手段は警告を通知しない請求項1~6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記操作履歴記憶手段はさらに操作画面に含まれる項目の画像形成装置毎の表示、非表示についての情報を操作履歴情報として記憶し、
前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面における前記項目の表示、非表示についての情報に基づいて、誤操作の起こり易さを判定する請求項1~7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記表示手段に表示される操作画面の表示サイズを変更する変更手段を備え、
前記操作履歴記憶手段はさらに操作画面の表示サイズを操作履歴情報として記憶し、
前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面の表示サイズと現在の操作画面の表示サイズの差異に基づいて、誤操作が起こり易いかどうかを判定する請求項1~8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記ユーザーの操作速度を計測する計測手段を備え、
前記判定手段は、前記計測手段により計測された操作速度が一定値以下の場合、誤操作は起こりにくいと判定し、前記通知手段は警告を通知しない請求項1~9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記カスタマイズ履歴記憶手段または操作履歴記憶手段の少なくとも一方は、自装置内に備えられるとともに、自装置及び他の画像処理装置でのカスタマイズ情報または操作履歴情報を記憶する請求項1~10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記カスタマイズ履歴記憶手段または操作履歴記憶手段の少なくとも一方は、ネットワークを介して自装置と通信可能なサーバーに備えられるとともに、自装置及び他の画像処理装置でのカスタマイズ情報または操作履歴情報を記憶する請求項1~10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記通知手段は、前記表示手段に表示された現在のバージョンの操作画面をユーザーが操作するときに前記警告を通知する請求項1~12のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記警告の通知は、操作画面上への表示または音声の少なくともいずれかにより行われる請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記警告の通知は操作の仕方を含むヘルプ・アシスト情報の提示により行われる請求項1~13のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記ヘルプ・アシスト情報の提示は、操作画面上への表示または音声の少なくともいずれかにより行われる請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
表示手段と、
前記表示手段に表示され複数のユーザーで共有される操作画面を、1回または複数回にわたってカスタマイズ可能なカスタマイズ手段と、
自装置内または外部に備えられ、前記カスタマイズ手段によるカスタマイズ後の操作画面の情報と操作画面のバージョン情報とを含むカスタマイズ情報を記憶するカスタマイズ履歴記憶手段と、
自装置内または外部に備えられ、ユーザーが操作画面を操作したときに前記操作画面を操作したユーザーの情報と操作された操作画面のバージョン情報とを含む操作履歴情報を記憶する操作履歴記憶手段と、
を備えた画像処理装置のコンピュータに、
現在のバージョンの操作画面の操作を行うユーザーを特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定されたユーザーによって操作される現在のバージョンの操作画面における誤操作の起こり易さを、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についての前記ユーザーの操作履歴情報に基づいて判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより誤操作が起こり易いと判定された場合、警告を通知する通知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示手段に表示される操作画面のカスタマイズが可能な画像形成装置等の画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、MFP(Multi Function Peripheral)と称される多機能デジタル複合機等の画像処理装置として、操作パネルの表示部に表示される操作画面をユーザー等の好みに応じてカスタマイズする機能を有するものが知られている。
【0003】
このような操作画面のカスタマイズが可能な画像処理装置が会社等で使用される場合、ユーザーが属する組織における業務の遂行に最適な操作画面とするため、随時カスタマイズが行われているのが一般的であり、カスタマイズされた操作画面を、カスタマイズを行ったユーザー以外の他のユーザーも使用することで、画像処理装置の効率的な操作による組織全体の円滑な業務の遂行に資するものとなっている。
【0004】
ところで、ユーザーは操作画面を操作する際に、現在表示されている操作画面を良く確認することなく、自身の記憶の中にある操作画面の設定項目のレイアウト等を基に操作を行うことがある。
【0005】
しかし、操作画面がカスタマイズされ設定項目のレイアウトが変更されていることを知らずに、ユーザーが自身の記憶を頼りに操作を行うと、カスタマイズによりレイアウトが変更された設定項目を、変更前の設定項目として誤って選択してしまうといった誤操作が発生する危険がある。
【0006】
そこで、特許文献1には、ユーザによる入力装置のUI(ユーザインターフェイス)の変更に際して、誤操作が発生しやすいと想定される変更についての情報をユーザに提供す画像形成装置が提案されている。具体的には、ユーザーによるUIのカスタマイズにより、操作画面の変更が行われる際に、その変更内容に基づいて計算される危険度(誤操作の起こり易さ)を、例えばカスタマイズ前後の画面の変更箇所の多さ、使用頻度の高いものの位置が変更されたかどうか、設定値の名前が類似している設定項目が同じ箇所に置かれたかどうか、等に基づいて判定し、危険度が高い場合にユーザーに警告を通知して変更を実行するか否かを確認できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-237820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、あくまでカスタマイズ前後の操作画面の差異に基づいて、誤操作の起こり易さを判定しているため、次のような課題があった。
【0009】
即ち、カスタマイズされた操作画面を複数のユーザーが使用する場合、ユーザーによってはカスタマイズされる前の操作画面を使用したことがない場合も考えられるが、この場合であってもユーザーへ警告が通知されるため、ユーザーによっては通知が煩わしいという問題がある。
【0010】
また、カスタマイズによる変更が複数回例えば2回行われている場合、ユーザーによっては警告が通知されることが望ましいにも拘わらず、通知されない場合がある。具体的には、元の操作画面をバージョン1、1回目のカスタマイズ後の操作画面をバージョン2、2回目のカスタマイズ後の現在の操作画面をバージョン3とし、バージョン1とバージョン2の各操作画面の差異が大きく、バージョン2とバージョン3の各操作画面の差異が小さいとする。この状況下で、ユーザーが最後に使用した操作画面がバージョン1の操作画面でありバージョン2の操作画面を使用したことがないユーザーが、現在のバージョン3の操作画面を使用しようとすると、このユーザーにとっては最後に使用したバージョン1の操作画面と現在のバージョン3の操作画面とは差異が大きく誤操作が起こり易いため、警告が通知されることが望ましい。しかし、バージョン2とバージョン3の各操作画面の差異は僅かであるため誤操作が起こりやすいと判定されず、警告は通知されないことになる。
【0011】
このように、従来では、誤操作を防止するための警告を、ユーザーに応じて適切に通知することができない、という課題があった。
【0012】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、カスタマイズされた操作画面をユーザーが使用するときに、誤操作が起こり易いと判定された場合の警告を、ユーザーに応じて適切に行うことができる画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
(1)表示手段と、前記表示手段に表示され複数のユーザーで共有される操作画面を、1回または複数回にわたってカスタマイズ可能なカスタマイズ手段と、自装置内または外部に備えられ、前記カスタマイズ手段によるカスタマイズ後の操作画面の情報と操作画面のバージョン情報とを含むカスタマイズ情報の履歴を記憶するカスタマイズ履歴記憶手段と、自装置内または外部に備えられ、ユーザーが操作画面を操作したときに前記操作画面を操作したユーザーの情報と操作された操作画面のバージョン情報とを含む操作履歴情報を記憶する操作履歴記憶手段と、現在のバージョンの操作画面の操作を行うユーザーを特定する特定手段と、前記特定手段により特定されたユーザーによって操作される現在のバージョンの操作画面における誤操作の起こり易さを、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についての前記ユーザーの操作履歴情報に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段により誤操作が起こり易いと判定された場合、警告を通知する通知手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(2)前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面のうち、前記ユーザーが最後に操作したバージョンの操作画面の情報を、前記カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定する前項1に記載の画像処理装置。
(3)前記判定手段は、前記バージョングループにおける直近のバージョンの操作画面のうち、前記ユーザーによる操作回数が最も多いバージョンの操作画面の情報を、前記カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定する前項1に記載の画像処理装置。
(4)前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面のうち、前記ユーザーが最後に操作したバージョンの操作画面に対する操作回数が所定の閾値以上の場合は、最後に操作したバージョンの操作画面の情報を、所定の閾値未満の場合は、前記バージョングループにおける直近のバージョンの操作画面のうち、前記ユーザーによる操作回数が最も多いバージョンの操作画面の情報を、前記カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定する前項1に記載の画像処理装置。
(5)前記閾値を変更設定可能な設定手段を備えている前項4に記載の画像処理装置。
(6)前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面についての前記ユーザーの操作履歴情報が存在しない場合は、誤操作が起こりにくいと判定し、前記通知手段は警告を通知しない前項1~5のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)前記操作履歴記憶手段はさらに操作画面の操作日時を操作履歴情報として記憶し、前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面についての前記ユーザーの最後の操作日時が所定のタイミングよりも前である場合は、誤操作が起こりにくいと判定し、前記通知手段は警告を通知しない前項1~6のいずれかに記載の画像処理装置。
(8)前記操作履歴記憶手段はさらに操作画面に含まれる項目の画像形成装置毎の表示、非表示についての情報を操作履歴情報として記憶し、前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面における前記項目の表示、非表示についての情報に基づいて、誤操作の起こり易さを判定する前項1~7のいずれかに記載の画像処理装置。
(9)前記表示手段に表示される操作画面の表示サイズを変更する変更手段を備え、前記操作履歴記憶手段はさらに操作画面の表示サイズを操作履歴情報として記憶し、前記判定手段は、前記バージョングループの操作画面の表示サイズと現在の操作画面の表示サイズの差異に基づいて、誤操作が起こり易いかどうかを判定する前項1~8のいずれかに記載の画像処理装置。
(10)前記ユーザーの操作速度を計測する計測手段を備え、前記判定手段は、前記計測手段により計測された操作速度が一定値以下の場合、誤操作は起こりにくいと判定し、前記通知手段は警告を通知しない前項1~9のいずれかに記載の画像処理装置。
(11)前記カスタマイズ履歴記憶手段または操作履歴記憶手段の少なくとも一方は、自装置内に備えられるとともに、自装置及び他の画像処理装置でのカスタマイズ情報または操作履歴情報を記憶する前項1~10のいずれかに記載の画像処理装置。
(12)前記カスタマイズ履歴記憶手段または操作履歴記憶手段の少なくとも一方は、ネットワークを介して自装置と通信可能なサーバーに備えられるとともに、自装置及び他の画像処理装置でのカスタマイズ情報または操作履歴情報を記憶する前項1~10のいずれかに記載の画像処理装置。
(13)前記通知手段は、前記表示手段に表示された現在のバージョンの操作画面をユーザーが操作するときに前記警告を通知する前項1~12のいずれかに記載の画像処理装置。
(14)前記警告の通知は、操作画面上への表示または音声の少なくともいずれかにより行われる前項13に記載の画像処理装置。
(15)前記警告の通知は操作の仕方を含むヘルプ・アシスト情報の提示により行われる前項1~13のいずれかに記載の画像処理装置。
(16)前記ヘルプ・アシスト情報の提示は、操作画面上への表示または音声の少なくともいずれかにより行われる前項15に記載の画像処理装置。
(17)表示手段と、前記表示手段に表示され複数のユーザーで共有される操作画面を、1回または複数回にわたってカスタマイズ可能なカスタマイズ手段と、自装置内または外部に備えられ、前記カスタマイズ手段によるカスタマイズ後の操作画面の情報と操作画面のバージョン情報とを含むカスタマイズ情報を記憶するカスタマイズ履歴記憶手段と、自装置内または外部に備えられ、ユーザーが操作画面を操作したときに前記操作画面を操作したユーザーの情報と操作された操作画面のバージョン情報とを含む操作履歴情報を記憶する操作履歴記憶手段と、を備えた画像処理装置のコンピュータに、現在のバージョンの操作画面の操作を行うユーザーを特定する特定ステップと、前記特定ステップにより特定されたユーザーによって操作される現在のバージョンの操作画面における誤操作の起こり易さを、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についての前記ユーザーの操作履歴情報に基づいて判定する判定ステップと、前記判定ステップにより誤操作が起こり易いと判定された場合、警告を通知する通知ステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)に記載の発明によれば、ユーザーが操作画面を操作したときに、操作画面を操作したユーザーの情報と操作された操作画面のバージョン情報とを含む操作履歴情報が操作履歴記憶手段に記憶される。一方、現在のバージョンの操作画面の操作を行うユーザーが特定され、この特定されたユーザーによって操作される現在のバージョンの操作画面における誤操作の起こり易さが、操作履歴記憶手段に記憶されている、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についてのユーザーの操作履歴情報に基づいて判定される。そして、誤操作が起こり易いと判定された場合、警告が通知される。
【0015】
このように、カスタマイズ前後の操作画面の差異に基づいて、誤操作の起こり易さが判定されるのではなく、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についてのユーザーの操作履歴情報に基づいて判定されるから、ユーザーに適した判定を行うことができ、ひいてはユーザーに適した警告通知を行うことができる。
【0016】
前項(2)に記載の発明によれば、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面のうち、ユーザーが最後に操作したバージョンの操作画面の情報を、カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定するから、誤操作の起こり易さについて判定をユーザー毎に的確に行うことができる。
【0017】
前項(3)に記載の発明によれば、現在のバージョンと同じバージョングループにおける直近のバージョンの操作画面のうち、ユーザーによる操作回数が最も多いバージョンの操作画面の情報を、カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定するから、誤操作の起こり易さについての判定をユーザー毎に的確に行うことができる。
【0018】
前項(4)に記載の発明によれば、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面のうち、ユーザーが最後に操作した操作画面に対する操作回数が所定の閾値以上の場合は、最後に操作したバージョンの操作画面の情報を、所定の閾値未満の場合は、現在のバージョンと同じバージョングループにおける直近のバージョンの操作画面のうち、ユーザーによる操作回数が最も多いバージョンの操作画面の情報を、カスタマイズ履歴記憶手段に記憶されているカスタマイズ情報の中から取得し、取得した操作画面の情報と現在の操作画面との差異に基づいて誤操作が起こり易いかどうかを判定するから、誤操作の起こり易さについての判定をユーザー毎に的確に行うことができる。
【0019】
前項(5)に記載の発明によれば、最後に操作したバージョンの操作画面の情報を取得するか、ユーザーによる操作回数が最も多いバージョンの操作画面の情報を取得するかを決定する閾値を、変更設定することができる。
【0020】
前項(6)に記載の発明によれば、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についてのユーザーの操作履歴が存在しない場合は、誤操作は起こりにくいと判断できるため、警告は通知されない。
【0021】
前項(7)に記載の発明によれば、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についてのユーザーの最後の操作日時が所定のタイミングよりも前である場合は、最後の操作が古すぎてユーザーの記憶に存在していないと考えられることから誤操作が起こりにくいと判定され、警告は通知されない。
【0022】
前項(8)に記載の発明によれば、画像形成装置毎に保有している機能差やオプション構成に差があるため、操作画面に含まれる項目の表示、非表示が異なり、誤操作の起こり易さも異なる。このため、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面における項目の表示、非表示の情報に基づいて誤操作の起こり易さが判定される。
【0023】
前項(9)に記載の発明によれば、操作画面の表示サイズによっても誤操作の起こり易さが異なるから、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面の表示サイズと現在の操作画面の表示サイズの差異に基づいて、誤操作が起こり易いかどうかが判定される。
【0024】
前項(10)に記載の発明によれば、ユーザーの操作速度を計測し、計測された操作速度が一定値以下の場合、誤操作は起こりにくいと判定されることから、警告は通知されない。
【0025】
前項(11)に記載の発明によれば、自装置内に備えられたカスタマイズ履歴記憶手段または操作履歴記憶手段の少なくとも一方に、自装置のみならず他の画像処理装置でのカスタマイズ情報または操作履歴情報を集中的に保存することができる。
【0026】
前項(12)に記載の発明によれば、ネットワークを介して自装置と通信可能なサーバーに備えられたカスタマイズ履歴記憶手段または操作履歴記憶手段の少なくとも一方に、自装置を含む複数の画像処理装置についてのカスタマイズ情報や操作履歴情報を集中的に保存することができる。
【0027】
前項(13)に記載の発明によれば、表示手段に表示された現在のバージョンの操作画面をユーザーが操作するときに警告が通知される。
【0028】
前項(14)に記載の発明によれば、警告の通知は、操作画面上への表示または音声の少なくともいずれかにより行われる。
【0029】
前項(15)に記載の発明によれば、警告の通知は操作の仕方を含むヘルプ・アシスト情報の提示により行われる。
【0030】
前項(16)に記載の発明によれば、ヘルプ・アシスト情報の提示は、操作画面上への表示または音声の少なくともいずれかにより行われる。
【0031】
前項(17)に記載の発明によれば、現在のバージョンの操作画面の操作を行うユーザーを特定し、この特定されたユーザーによって操作される現在のバージョンの操作画面における誤操作の起こり易さを、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面についてのユーザーの操作履歴情報に基づいて判定し、誤操作が起こり易いと判定された場合、警告を通知する処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この発明の一実施形態に係る画像処理装置としての画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図2】ユーザーが操作画面のカスタマイズを行う場合の画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
図3】ユーザーが操作画面を操作する時に画像処理装置によって実行される誤操作の起こり易さの判定処理を示すフローチャートである。
図4】(A)(B)はカスタマイズの前後で誤操作の起こり易い操作画面を説明するための図である。
図5】画像処理装置とネットワークを介して接続されているサーバーの記憶装置に、操作履歴情報及び/またはカスタマイズ情報が記憶されている場合を説明するためのブロック図である。
図6】誤操作の起こり易さの判定の一例を説明するための操作画面を示す図である。
図7】(A)(B)は、表示画面サイズが図6の場合よりも小さいために、図6の操作画面を複数ページに分けて表示する場合の操作画面である。
図8】誤操作の起こり易さの判定の他の例を説明するための操作画面を示す図である。
図9】(A)(B)は、表示画面サイズが図8の場合よりも小さいために、図8の操作画面を複数ページに分けて表示する場合の操作画面である。
図10】画面にメッセージを表示して警告を通知する場合の一例を示す図である。
図11】画面にメッセージを表示して警告を通知する場合の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像処理装置としての画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0035】
画像形成装置1として、この実施形態では、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の機能を有する多機能デジタル複合機である前述のMFPが用いられている。以下の説明では、画像形成装置をMFPともいう。
【0036】
図1に示すように、MFP1は、制御部100、記憶装置110、画像読取装置120、操作パネル130、画像出力装置140、プリンタコントローラ150、ネットワークインターフェイス(ネットワークI/F)160、カスタマイズ部170及び認証部180等を備え、互いにシステムバス175を介して接続されている。
【0037】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、S-RAM(Static Random Access Memory)103、NV-RAM(Non Volatile RAM)104及び時計IC105等を備えている。
【0038】
CPU101は、ROM102等に保存されている動作プログラムを実行することにより、MFP1の全体を統括的に制御する。例えばコピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等を実行可能に制御する。更にこの実施形態では、カスタマイズ部170により操作画面のカスタマイズが行われた際に、カスタマイズ後の操作画面にバージョンを付与して管理したり、ユーザーが操作画面を表示して操作を行う際に誤操作の起こり易さを判定したり、誤操作が起こりやすいと判定された場合に警告を通知する等の処理を行うが、詳細は後述する。
【0039】
ROM102は、CPU101が実行するプログラムやその他のデータを格納する。
【0040】
S-RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に保存する。
【0041】
NV-RAM104は、バッテリでバックアップされた不揮発メモリであり、画像形成に係わる各種の設定等を記憶するものである。
【0042】
時計IC105は、時刻を計時すると共に、内部タイマーとして機能し処理時間の計測等を行う。
【0043】
記憶装置110は、ハードディスク等からなり、プログラムや各種データ等を保存する。特にこの実施形態では、カスタマイズ部170により操作画面のカスタマイズが行われた際に、カスタマイズ後の操作画面の情報と操作画面のバージョン情報とを含むカスタマイズ情報111を記憶したり、ユーザーが操作画面を操作する度に操作画面を操作したユーザーの情報と操作された操作画面のバージョン情報とを含む操作履歴情報112を記憶する。
【0044】
画像読取装置120は、スキャナ等を備え、プラテンガラス上にセットされた原稿を走査することによって読み取り、読み取った原稿を画像データに変換する。
【0045】
操作パネル130は、ユーザーがMFP1へジョブ等の指示や各種設定を行う際に用いられるものであり、リセットキー131、スタートキー132、ストップキー133、表示部134及びタッチパネル135等を備えている。
【0046】
リセットキー131は、設定をリセットする際に使用されるものであり、スタートキー132はスキャン等の開始操作に使用されるものであり、ストップキー133は動作を中断する場合等に押下されるものである。
【0047】
表示部134は、例えば液晶表示装置からなりメッセージや各種の操作画面等を表示するものであり、タッチパネル135は表示部134の画面上に形成され、ユーザーのタッチ操作を検出する。
【0048】
画像出力装置140は、画像読取装置120で読み取られた原稿の画像データや、端末装置3から送信されたプリントデータから生成された複写画像を用紙上に印字し印刷物として出力するものである。
【0049】
プリンタコントローラ150は、ネットワークインターフェース160によって受信されたプリントデータから複写画像を生成するものである。
【0050】
ネットワークI/F160は、サーバーや端末装置等の外部装置との間でネットワーク4を介してデータの送受信を行う通信手段として機能する。
【0051】
カスタマイズ部170は、ユーザーの操作に基づいて操作画面のカスタマイズを行うものであり、CPU101の機能の一部として構成される。
【0052】
認証部180はログインするユーザーの認証用情報を取得し、この認証用情報を予め固定記憶装置110等に保存されている照合用の情報と比較照合して認証を行うものであり、ユーザー特定手段に相当する。なお、ユーザーの認証用情報と照合用の情報との比較照合は、外部の認証サーバーにより行い、認証部180が認証サーバーから認証結果を受信することにより認証が行われても良い。
【0053】
次に、ユーザーが操作画面のカスタマイズを行う場合のMFP1の動作を図2のフローチャートで説明する。図2のフローチャートに示される動作は、MFP1のCPU101がROM等の記録媒体に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0054】
ステップS01では、ユーザーによる操作画面のカスタマイズ要求を受け付けて、カスタマイズ部170が操作画面のカスタマイズを行う。カスタマイズは、ユーザーが例えば操作画面上でドラッグアンドドロップ等の操作により表示パーツの移動、追加、削除等の画面編集を行うことにより実行される。また、ユーザーが使用した機能についてのログ情報を取得し、使用回数の多い機能に関するパーツを画面上部に移動させる等の自動カスタマイズによって行われても良い。
【0055】
カスタマイズ後の新たな操作画面には新たなバージョン情報を付与する。カスタマイズ前の元の操作画面のバージョンを例えばバージョン1とし、新たな操作画面には例えばバージョン2というバージョン情報を付与する。さらに、カスタマイズされた場合は、例えばバージョン3、バージョン4というように、続きのバージョン情報を付与していけば良い。
【0056】
なお、操作画面には、操作画面を特定するための画面識別情報(画面ID)が付与されている。画面IDはカスタマイズによりバージョンが変更されても変更されず、元の操作画面が同じであれば、同じ画面IDとなる。
【0057】
ステップS02では、操作画面のカスタマイズ情報111の履歴を記憶装置110に記憶保持する。操作画面のカスタマイズ情報111には、カスタマイズ後の操作画面の情報とその操作画面のバージョン情報とが含まれる。操作画面の情報としては、例えば操作画面の各パーツの種別と位置、その画面で設定できる設定項目、各設定項目のデフォルト設定値と、画面の外観情報(各オブジェクトの位置、サイズ、表示色、テキスト、形状等の情報)等である。外観情報ついては、操作画面のキャプチャ画像を保持しても良いし、ウェブ画面であればDOM(Document Object Model)ツリーの情報を保持しても良い。
【0058】
また、カスタマイズ情報111の履歴の保持は、バージョン情報から画面情報が特定できるように、バージョン情報と画面情報とを紐付けて行われる。
【0059】
一方、ユーザーが認証部180による認証を受けてMFP1にログインし、操作画面を操作すると、操作終了時等に操作履歴情報112が記憶装置110に記憶保持される。記憶保持される操作履歴情報112には、操作画面の画面ID、操作画面を操作したユーザーの情報、操作画面のバージョン情報等が含まれる。更にこの実施形態では必要に応じて、操作した日時、操作画面に含まれる項目の表示、非表示、操作画面の表示サイズ等も操作履歴情報として記憶されるようになっている。
【0060】
図3は、ユーザーが操作画面を操作する時にMFP1によって実行される誤操作の起こり易さの判定処理を示すフローチャートである。図3のフローチャートに示される処理は、MFP1のCPU101がROM等の記録媒体に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0061】
ユーザーが認証を受けてMFP1にログインし、最新バージョンの操作画面つまり現在の操作画面を開いて表示部134に表示すると、ステップS11で、現在表示されている操作画面のカスタマイズ情報111を記憶装置110から読み出したのち、ステップS12で、現在の操作画面の画面IDを基に操作履歴情報112を記憶装置110から読み出す。読み出される操作履歴情報112は、ログインしているユーザーの操作履歴情報のうち、現在の操作画面の画面IDと同じ画面IDを有する操作画面の操作履歴情報、換言すれば、現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面(現在のバージョンの操作画面及び現在のバージョンに対応する過去のバージョンの操作画面)についての操作履歴情報の全部または一部である。例えばカスタマイズされていない元の操作画面のバージョンが1、その後の複数回のカスタマイズによる操作画面のバージョンがバージョン2~4であり、現在のバージョンがバージョン4である場合、バージョン1~4の各操作画面についてのユーザーの履歴情報の中から呼び出される。
【0062】
次にステップS13で、誤操作の可能性が高いかどうか(誤操作が起こり易いかどうか)を判定する。具体的な判定方法については後述する。誤操作の可能性が高ければ(ステップS14でYES)、ステップS15で、誤操作の可能性が高いことを示す警告をユーザーへ通知した後、ステップS16に進む。誤操作の可能性が高くなければ(ステップS14でNO)、そのままステップS16に進む。
【0063】
ステップS16では、現在の操作画面に対するユーザーの操作を受け付けて、操作に対応する処理を行い、操作が終了するとステップS17で操作画面の表示を終了し、ステップS18で、現在の操作画面に対してユーザーが行った操作の履歴を記憶部110に保持する。ユーザー操作に応じて画面遷移が必要な場合は、画面遷移する毎にステップS11~S18が実行される。
【0064】
次に、図3のフローチャートにおけるステップS13の誤操作の可能性が高いかどうか(誤操作が起こり易いかどうか)の判定方法について説明する。
【0065】
前述したように、ユーザーが現在のバージョンの操作画面を表示部134に表示すると、CPU101は、画面IDを基に、現在のバージョンの操作画面及び現在のバージョンに対応する過去のバージョンの操作画面について操作中のユーザーが行った全てまたは例えば直近n回の操作履歴情報112を呼び出し、現在操作中の画面と操作履歴情報112に応じて誤操作が起こり易いか否かの判定を行う。
【0066】
例えば、操作履歴情報から求められるユーザーが最後に操作した操作画面に対応したバージョンの操作画面の情報を、カスタマイズ情報の中から取得し、この取得した操作画面の情報と、現在操作中の操作画面を比較し、その差異によって誤操作の起こりやすさを判定する。
【0067】
「誤操作が起こりやすい」と判定する基準は、計算量が少なくなるよう、単純に、2つの操作画面間で、配置が変更されたオブジェクトの数が、予め定めた閾値よりも多いか否かを調べ、多い場合は誤操作が起こりやすいと判定しても良い。
【0068】
あるいは、誤操作の起こりやすいパターンだけをより正確に判定しても良い。例えば、2つの操作画面間で、ある設定項目の位置に、外観の類似度が高い別の設定項目が配置されたか否かを調べ、配置されていれば誤操作が起こりやすいと判定しても良い。この場合、外観の類似度は、ボタンやテキストといった画面構成要素の色、形、配置(縦並びか横並びか)等が、予め設定された一定の割合以上で共通しているか否かで判定すれば良い。特に、図4(A)の設定画面D11における「用紙」の設定項目301と「原稿」の設定項目302のように、「設定項目に設定する設定値」が共通している場合に、図4(B)の設定画面D12のように、設定項目301、302の配置が並び替えられた時には、誤操作が起こり易いと判定する。図4(A)の設定画面D11を使用したユーザーは、そのときの記憶に基づいて、現在の設定画面D12の操作を行う可能性が高いと考えられるからである。
【0069】
なお、図4(A)は現在よりも1つ前のバージョンの操作画面D11を示し、「用紙」の設定項目301が左側に配置され、「原稿」の設定項目302が右側に配置され、いずれも設定値が「A4」「A3」という具合に共通している。図4(B)は現在のバージョンの操作画面D12を示し、カスタマイズにより「用紙」の設定項目301が右側に移動し、「原稿」の設定項目302が左側に移動している。
【0070】
さらに、ユーザーに頻繁に使用される機能を含む操作画面や、誤操作されたときに重大な被害を及ぼす機能を含む操作画面では、ユーザーへ警告を通知する必要性が大きいため、誤操作の起こり易さの閾値を低く設定する、つまり、より誤操作が起こり易いと判定されるように設定するのが良い。なお、誤操作されたときに重大な被害を及ぼす機能を含む操作画面としては、設定を誤った際に例えば社外秘情報が不要に外部に送信されてしまうファクシミリ送信の宛先設定画面や、設定を誤った際に例えば社外秘情報のコピーが可能になってしまうコピーガード機能の有無設定画面などを挙げることができる。
【0071】
また、以下のように、操作履歴情報に基づいてユーザーを複数の種別に分け、種別により誤操作の起こり易さの判定方法を変えても良い。
[種別A]:現在のバージョンと同じバージョングループの操作画面について操作履歴が存在しない、つまりこれらの操作画面を使用したことがないユーザー。あるいは操作履歴が存在していても、最後の操作日時が所定のタイミング(例えば1年)よりも前であって操作画面を長期間使用していないユーザー。あるいは、現在のバージョンの操作画面を所定回数(例えば5回)以上使用したことがあるユーザー。
【0072】
種別Aのユーザーについては、ユーザーが過去の記憶に基づいて現在の操作画面の操作を行う可能性がないかあるいは可能性が低いため誤操作が起こりにくいと判定し、警告は通知しないものとする。なお、使用しているか否かの期間や、現在のバージョンの操作画面の使用回数は予め設定されているが、変更が可能となっている。
[種別B]:種別Aに該当せず、最後に操作したバージョンの操作画面の使用回数が少なく、かつ直近のバージョンの操作画面のうち使用回数の多いバージョンの操作画面が存在するユーザー。
【0073】
種別Bのユーザーについては、直近のバージョンの操作画面のうち使用回数の多いバージョンの操作画面と、現在のバージョンの操作画面との差異に基づいて誤操作の起こり易さを判定する。ここで、直近とは例えば現在のバージョンからn個までバージョンを遡っても良いし、例えば1か月以内というような時間的な制限であっても良い。回数や時間的な制限は予め設定されており、変更が可能である。
【0074】
具体例を挙げると、最後に操作したバージョンの操作画面の使用回数がT1回未満で、直近n個のバージョンの操作画面のうちT2(但しT2>T1)回以上の使用回数のバージョンの操作画面がある場合、T2回以上の使用回数のバージョンの操作画面と、現在のバージョンの操作画面との差異に基づいて誤操作の起こり易さを判定する。何回も使用している操作画面については、ユーザーがその画面の操作に慣れており、その操作画面が変更されていると誤操作を起こしやすいからである。回数T1やT2も予め設定されており、変更が可能である。
【0075】
T2回以上の使用回数のバージョンの操作画面が複数存在する場合は、その中の最新のバージョンの操作画面を採用しても良いし、使用回数が最も多いバージョンの操作画面を採用しても良い。例えば、T1=2、n=3、T2=3に設定し、現在の操作画面のバージョンを4とし、ユーザーが操作した過去の操作画面のうち、バージョン1の操作画面の使用回数20回、バージョン2の操作画面の使用回数3回、バージョン3の操作画面の使用回数1回、とすると、T2回以上の使用回数のバージョンの操作画面はバージョン1とバージョン2の各操作画面であり、その中の最新のバージョンの操作画面を採用する場合は、バージョン2の操作画面と現在の操作画面の差異に基づいて判定される。使用回数が最も多い操作画面を採用する場合は、バージョン1の操作画面と現在の操作画面の差異に基づいて判定される。
[種別C]:種別A及びBに該当しないユーザー。このユーザーについては、最後に使用したバージョンの操作画面と、現在のバージョンの操作画面との差異に基づいて誤操作の起こり易さを判定する。
【0076】
次に、誤操作の起こり易さの判定方法の他の例について説明する。この例では、カスタマイズされた操作画面を他のMFPと共有しているとともに、MFP1の記憶装置110には、自装置の操作履歴情報112のみならず、他のMFPでの操作履歴情報112も集約して記憶されている場合の判定方法である。
【0077】
MFP1と他のMFPとは、機能やオプション等の機器構成条件が相違しており、カスタマイズされた操作画面が共有されても、設定できない項目や設定値はそのMFPでは非表示となる。
【0078】
そこで、この実施形態では、各バージョンの操作画面毎に、操作画面に含まれる項目や設定値の表示、非表示についての情報も、操作履歴情報112として記憶装置110に記憶されており、この表示、非表示についての情報に基づいて、誤操作の起こり易さを判定するものである。具体的には操作画面の構成パーツごとに、パーツの識別子とともに、ユーザーが画面を表示した際の表示/非表示の状態を併せて記憶しておく。
【0079】
表示/非表示に基づく誤操作の起こり易さの判定方法の一例を説明すると、カスタマイズにより設定値の類似した設定項目の入れ替えがあっても、その設定項目がユーザーが最後に使用した、あるいは直近で最も多く使用したバージョンの操作画面で非表示であった場合は、誤操作が起こり易いと判定しない。この理由は、非表示の設定項目については、ユーザーが過去の操作画面の記憶に基づいてその項目を操作することは考えづらいためである。
【0080】
なお、ユーザーの操作履歴情報112は、MFP1の記憶装置110に記憶されるのではなく、図5に示すように、MFP1とネットワーク4を介して接続可能なサーバー2の記憶装置21に記憶されていても良い。この場合は、MFP1がネットワーク4を介してサーバー2から操作履歴情報112を取得することになる。また、カスタマイズ情報111の履歴もサーバー2の記憶装置21に記憶されても良い。操作履歴情報112やカスタマイズ情報111をサーバー2の記憶装置2に記憶することで、サーバー2は各MFPの操作履歴情報112やカスタマイズ情報111を集中的に記憶管理することができる。また、サーバー2に記憶させることで、MFP1内の記憶領域やCPUリソースを節約できるという利点もある。サーバー2はクラウドサーバー(外部ネットワークサーバー)であっても良く、この場合は外部のストレージサービスをそのまま利用することができる。一方、MFP1内の記憶装置110に各MFPの操作履歴情報112等を記憶させる場合は、サーバー2を設ける必要がなく構成が簡単になる。
【0081】
次に、誤操作の起こり易さの判定方法のさらに他の例について説明する。この例では、MFP1は操作画面の表示サイズを変更することができるとともに、各バージョンの操作画面毎に、ユーザーが操作した時の操作画面の表示サイズを操作履歴情報112として記憶し、例えばユーザーが最後に使用した、あるいは直近で最も多く使用したバージョンの操作画面の表示サイズと現在の操作画面の表示サイズの差異に基づいて、誤操作が起こり易いかどうかを判定するものである。
【0082】
MFP1は、例えば別のMFPによってカスタマイズされた操作画面の表示サイズを、自装置の表示部134での表示サイズに合わせて変更することができる。変更は、例えば表示ウィンドウの幅、高さの画素数を取得することにより行われる。全画面表示の場合、操作130のドライバから表示部134の画素数を取得して行われる。アプリケーション起動時に画素数の情報を読み込み、各操作画面を描画するとき、読み込んだ画素数の値を基に、画面内に表示する項目数を決めたり、画面のレイアウトを変更したりする。
【0083】
Web画面の場合は、ブラウザの機能によって、表示サイズが小さい場合には一度に画面に表示しきれない項目を、スクロールで表示させる。また所謂レスポンシブWebデザインによってレイアウトを変更する。
【0084】
誤操作の起こり易さの判定の一例を説明すると、例えばユーザーが最後に使用した、あるいは直近で最も多く使用したバージョンの操作画面が、表示画面サイズの大きい機種のMFPにおける、図6に示すような複数の設定項目303が複数の行/列で表示された操作画面D21であるとする。一方、ユーザーが現在操作しているMFP1は表示画面サイズが小さい機種であるために、図6の操作画面ではなく、図7(A)(B)に示すように、一画面に表示する設定項目数や行/列の配置が変更され、前ページから次ページへあるいは逆に次ページから前ページへと、ページを切り替えることにより全ての設定項目303を表示可能な操作画面D31、D32として表示されるものとする。
【0085】
この場合、同じ操作画面であっても設定項目303の配置が大きく異なり、ユーザーが「前回の操作の記憶に基づいて項目の位置を選択する」ことは考えづらいため、たとえ現在のバージョンの操作画面が、図7に示す操作画面D31及びD32における設定項目303の位置が入れ替わっていたとしても、誤操作の可能性が高いとは判定しない。
【0086】
また、表示画面サイズが大きいときは操作画面に最初から領域が表示されているが、小さい表示画面サイズではその領域を表示するためにはユーザーの操作が必要となる場合がある。例えば図8のように、表示画面サイズが大きい操作画面D41では、「用紙」「原稿」等の設定項目304の他に、「プログラム」の領域305と「機能検索」の領域306の領域が、設定項目304と同時に操作画面に表示されているが、図9(A)のように表示画面サイズが小さい操作画面D51では、操作画面D51のツールバーの「プログラム」ボタン307及び「機能検索」ボタン308を押すことで、「プログラム」の領域が表示され、あるいは同図(B)に示すように「機能検索」の領域309が表示される場合である。
【0087】
このような場合において、例えばユーザーが最後に使用した、あるいは直近で最も多く使用したバージョンの操作画面が、図8に示す表示画面サイズの大きな操作画面D41であり、現在操作しているMFP1での操作画面が、図9(A)に示す表示画面サイズの小さな操作画面D51である場合、操作画面D51上のツールバーの「プログラム」ボタン307と「機能検索」ボタン308の位置がカスタマイズ前後で入れ替えられたとしても、ユーザーは記憶に基づく誤操作は起こさない(そもそもこれらのボタンを操作したことがない)ため、誤操作の可能性が高いとは判定しない。
【0088】
以上、誤操作の起こり易さの判定方法について説明したが、これらの方法に加えて、ユーザーの操作速度をMFP1のCPU101が計測するとともに、計測された操作速度が一定値以下の場合は、操作がゆっくりと行われており、記憶に基づいて操作を行っているとは考えにくいことから、ユーザーの操作履歴に基づく判定では誤操作が起こり易いと判定されたとしても、誤操作は起こりにくいと判定してもよい。なお、ユーザーの操作速度の計測は、例えば操作画面が表示されてからボタンが押されるまでの時間や、操作ボタンが押されてから次の操作が行われるまでの時間等を計測することにより行えば良く、これらの時間が予め定められた閾値以上であれば速度が一定値以下と判定すれば良い。
【0089】
MFP1は、誤操作が起こりやすいと判定した場合、誤操作を避けるために誤操作が起こりやすい旨の警告をユーザーに通知する。警告の通知は、図10に示すように、誤操作が起こり易いと判定した理由を、メッセージ310として画面に表示しても良いし、音声により出力しても良い。図10の例では「類似項目の入替有」というメッセージ310が提示されている。
【0090】
また、警告の他の通知方法として、図11に示すように、その操作画面における操作の仕方をヘルプアシスト情報のメッセージ311として提示しても良し、このメッセージ311を音声により出力しても良い。図11の例では、「一番左の項目で用紙を確定後、真ん中の項目で原稿を設定して下さい」というメッセージ311が提示されている。
【符号の説明】
【0091】
1 MFP(画像処理装置)
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
110 記憶装置
130 操作パネル
134 表示部
160 ネットワークインターフェース
170 カスタマイズ部
180 認証部
190 音声端末装置
2 サーバー
21 記憶部
301~304 設定項目
305、306 領域
307 「プログラム」ボタン
308 「機能検索」ボタン
309 領域
310、311 メッセージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11