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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/10 20060101AFI20220614BHJP
   F01P 3/18 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F01P11/10 E
F01P3/18 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018152196
(22)【出願日】2018-08-13
(65)【公開番号】P2020026771
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】不動寺 洋介
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-054239(JP,A)
【文献】特開2009-113775(JP,A)
【文献】特開2008-290520(JP,A)
【文献】特開2009-061840(JP,A)
【文献】特開2003-127903(JP,A)
【文献】国際公開第2011/045542(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 1/00-11/20,
B60K11/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の放熱器と、前記第1の放熱器に対して冷却風の流れ方向の下流側に設置された第2の放熱器と、前記第2の放熱器に対して冷却風の流れ方向の下流側に設置された冷却ファンと、前記第1の放熱器に連結され、前記第2の放熱器と前記冷却ファンとを覆うファンシュラウドとを有し、
前記第1の放熱器は、その横幅が前記第2の放熱器の横幅よりも大きく形成されており、
前記ファンシュラウドの内側に、前記第1の放熱器を通過した冷却風が前記第2の放熱器を通過して前記冷却ファンに至るメイン通路と、前記第1の放熱器を通過した冷却風が前記第2の放熱器を通過せずに前記冷却ファンに至るバイパス通路とが設けられた冷却装置であって、
前記バイパス通路を構成する前記ファンシュラウドの壁部から前記第2の放熱器に向かって突出する仕切壁を有し、
前記仕切壁と前記第2の放熱器との間に、前記バイパス通路と前記第2の放熱器の下流側の空間と連通する隙間が形成されており、
前記冷却ファンの駆動時に前記隙間により発生する通気抵抗が、前記第2の放熱器を前記第1の放熱器と同じ横幅になるよう拡大した場合に増加する通気抵抗の増加量と同等になるように、前記隙間の大きさが設定されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記第1の放熱器は、その幅方向の一端部および他端部が前記第2の放熱器の幅方向の一端部および他端部よりも外側に延びており、
前記バイパス通路は、前記第2の放熱器の幅方向の一端部側に配置される第1のバイパス通路と、前記第2の放熱器の幅方向の他端部側に配置される第2のバイパス通路とを有し、
前記仕切壁は、前記第1のバイパス通路に対応して設置された第1の仕切壁と、前記第2のバイパス通路に対応して設置された第2の仕切壁とを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記仕切壁は、その長さ方向の中央部がその長さ方向の一端部と他端部とに比べて前記冷却ファンの半径方向の中心部に近い位置に配置されており、
前記隙間は、前記仕切壁の長さ方向の中央部よりも長さ方向の一端部側および他端部側が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される冷却装置としては、特許文献1に記載されるものが知られている。
【0003】
この冷却装置は、エアコン用のコンデンサと、エンジン冷却水用のラジエータと、駆動時にコンデンサとラジエータに冷却風が与えられる冷却ファンとが、車両前部側から後方に向けて順に配置され、これらのコンデンサ、ラジエータ、冷却ファンがファンシュラウドで前後が開放されて包括されている。
【0004】
冷却装置には、ラジエータの外周部の一部とファンシュラウドとの間のコンデンサの表面温度の高い部位の後方に、コンデンサを通過した空気がラジエータを通過することなく冷却ファンに至るバイパス通路が設けられている。
【0005】
バイパス通路には、開状態でコンデンサを通過した空気がラジエータを通過することなく冷却ファンまで至り、閉状態でコンデンサを通過した空気がラジエータを通過して冷却ファンに至る開閉手段が設けられている。
【0006】
この冷却装置は、バイパス通路と開閉手段とにより、ラジエータに流入する冷却用の風の温度を調節して、エアコン用コンデンサの後方側に配置されるラジエータを効果的に冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-54239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の冷却装置にあっては、バイパス通路の通気抵抗がラジエータの通気抵抗より小さい場合、コンデンサを通過した空気がバイパス通路に流れ易くなる。このため、ラジエータを通過する空気が減少してラジエータの冷却性能が低下する問題があった。
【0009】
また、開閉手段を制御する制御手段が必要となるため、冷却装置の構造が複雑化する問題があった。
【0010】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、横幅が異なる2つの放熱器を前後方向に並べて配置し、これら放熱器を覆うファンシュラウドに取付けられた冷却ファンで放熱器を冷却する際、簡素な構造で放熱器の冷却性能を向上できる冷却装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の放熱器と、前記第1の放熱器に対して冷却風の流れ方向の下流側に設置された第2の放熱器と、前記第2の放熱器に対して冷却風の流れ方向の下流側に設置された冷却ファンと、前記第1の放熱器に連結され、前記第2の放熱器と前記冷却ファンとを覆うファンシュラウドとを有し、前記第1の放熱器は、その横幅が前記第2の放熱器の横幅よりも大きく形成されており、前記ファンシュラウドの内側に、前記第1の放熱器を通過した冷却風が前記第2の放熱器を通過して前記冷却ファンに至るメイン通路と、前記第1の放熱器を通過した冷却風が前記第2の放熱器を通過せずに前記冷却ファンに至るバイパス通路とが設けられた冷却装置であって、前記バイパス通路を構成する前記ファンシュラウドの壁部から前記第2の放熱器に向かって突出する仕切壁を有し、前記仕切壁と前記第2の放熱器との間に、前記バイパス通路と前記第2の放熱器の下流側の空間と連通する隙間が形成されており、前記冷却ファンの駆動時に前記隙間により発生する通気抵抗が、前記第2の放熱器を前記第1の放熱器と同じ横幅になるよう拡大した場合に増加する通気抵抗の増加量と同等になるように、前記隙間の大きさが設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように上記の本発明によれば、横幅が異なる2つの放熱器を前後方向に並べて配置し、これら放熱器を覆うファンシュラウドに取付けられた冷却ファンで放熱器を冷却する際、簡素な構造で放熱器の冷却性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施例に係る冷却装置の平面図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係る冷却装置の左側面図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係る冷却装置の後面図である。
図4図4は、図3のIV-IV方向矢視断面図である。
図5図5は、図1のV-V方向矢視断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI方向の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態に係る冷却装置は、第1の放熱器と、第1の放熱器に対して冷却風の流れ方向の下流側に設置された第2の放熱器と、第2の放熱器に対して冷却風の流れ方向の下流側に設置された冷却ファンと、第1の放熱器に連結され、第2の放熱器と冷却ファンとを覆うファンシュラウドとを有し、第1の放熱器は、その横幅が第2の放熱器の横幅よりも大きく形成されており、ファンシュラウドの内側に、第1の放熱器を通過した冷却風が第2の放熱器を通過して冷却ファンに至るメイン通路と、第1の放熱器を通過した冷却風が第2の放熱器を通過せずに冷却ファンに至るバイパス通路とが設けられた冷却装置であって、バイパス通路を構成するファンシュラウドの壁部から第2の放熱器に向かって突出する仕切壁を有し、仕切壁と第2の放熱器との間に、バイパス通路と第2の放熱器の下流側の空間と連通する隙間が形成されており、冷却ファンの駆動時に隙間により発生する通気抵抗が、第2の放熱器を第1の放熱器と同じ横幅になるよう拡大した場合に増加する通気抵抗の増加量と同等になるように、隙間の大きさが設定されている。
これにより、横幅が異なる2つの放熱器を前後方向に並べて配置し、これら放熱器を覆うファンシュラウドに取付けられた冷却ファンで放熱器を冷却する際、簡素な構造で放熱器の冷却性能を向上できる。
【実施例
【0015】
以下、本発明の実施例に係る冷却装置について、図面を用いて説明する。
図1から図6は、本発明の一実施例に係る冷却装置を示す図である。図1から図6において、上下前後左右方向は、車両に搭載された冷却装置を基準とし、前後方向に対して直交する方向が左右方向、冷却装置の高さ方向が上下方向である。
【0016】
まず、構成を説明する。
図1において、車両1は、車体1Aを備えており、車体1Aの前部には冷却装置2が設置されている。冷却装置2の後方には図示しない内燃機関としてのエンジンが設置されている。
【0017】
冷却装置2は、コンデンサ3と、ラジエータ4と、ファンシュラウド5と、冷却ファン6(図3参照)とを備えている。
【0018】
図4に示すように、ラジエータ4は、コンデンサ3に対して冷却風Wの流れ方向の下流側に設置されており、冷却ファン6は、ラジエータ4に対して冷却風Wの流れ方向の下流側に設置されている。ファンシュラウド5は、コンデンサ3に連結されており、後方からラジエータ4と冷却ファン6とを覆っている。
【0019】
本実施例のコンデンサ3は、本発明の第1の放熱器を構成し、ラジエータ4は、本発明の第2の放熱器を構成する。
【0020】
コンデンサ3の内部には図示しないエアコンを冷却するための冷却媒体である冷媒が流通しており、コンデンサ3は、図示しない外気取り入れ口から取り入れられた外気と冷媒との間で熱交換することにより、冷媒を冷却する。
【0021】
図5において、ラジエータ4は、アッパタンク7と、アッパタンク7の下部に取付けられたラジエータコア8と、ラジエータコア8の下部に取付けられたロアタンク9とを有する。
【0022】
アッパタンク7には図示しない冷却水管を通してエンジンから排出された高温の冷却水が導入され、アッパタンク7に導入された冷却水は、ラジエータコア8に導入される。ラジエータコア8は、冷却水と外気と熱交換することにより、冷却水を冷却する。
【0023】
ロアタンク9にはラジエータコア8によって冷却された冷却水が導入され、ロアタンク9は、低温の冷却水を図示しない冷却水管を通してエンジンに導入する。エンジンは、低温の冷却水と熱交換されることにより、冷却され、冷却後の高温の冷却水がアッパタンク7に導入される。
【0024】
図4において、コンデンサ3の横幅L1は、ラジエータコア8の横幅L2よりも大きく形成されている。なお、本発明のラジエータの横幅とは、ラジエータコア8の横幅である。
【0025】
コンデンサ3の前側にはシール部材10が設けられている。シール部材10は、コンデンサ3の前側の外周部に沿った四角い枠状に形成されており、コンデンサ3に取付けられている。シール部材10は、前方から流れる冷却風をコンデンサ3に案内する。
【0026】
コンデンサ3とファンシュラウド5の間にはシール部材11が設けられている。シール部材11は、コンデンサ3の後側の外周部とファンシュラウド5の前側の外周部に沿った四角い枠状に形成されている。シール部材11は、コンデンサ3の外周部とファンシュラウド5の外周部の間の隙間を無くすようにコンデンサ3とファンシュラウド5とに密着している。
【0027】
これにより、冷却ファン6の作動時に、コンデンサ3の外周部とファンシュラウド5の間からコンデンサ3の下流側に冷却風が流入することを防止して、コンデンサ3を通過する冷却風の風量を増加させることができる。
【0028】
図3および図4において、ファンシュラウド5は、上壁5U、下壁5B、左側壁5L、右側壁5Rと、左側壁5Lと右側壁5Rとを連結する後壁5Fとを有する。上壁5U、下壁5B、左側壁5Lおよび右側壁5Rは、コンデンサ3に取付けられており、後壁5Fは、後方からコンデンサ3、ラジエータ4および冷却ファン6を覆っている。
【0029】
図3において、後壁5Fには円筒部5Gが配置され、円筒部5Gの後端には開口部5fが形成されており、開口部5fの中央部にはモータ12が設けられている。モータ12には複数のブラケット5Aが設けられている。ブラケット5Aは、モータ12から外方に放射状に延び、延びる方向の外周端が円筒部5Gにおける開口部5fの縁部に連結されている。
【0030】
冷却ファン6は、開口部5fの内方に設置されており(図6参照)、モータ12に回転自在に連結されている。すなわち、冷却ファン6は、モータ12を介してブラケット5Aに支持されており、モータ12によって回転駆動される。
【0031】
図4において、ファンシュラウド5の内側にはメイン通路13と、左バイパス通路14Lと、右バイパス通路14Rとが設けられている。本実施例の左バイパス通路14Lは、本発明の第1のバイパス通路を構成し、右バイパス通路14Rは、本発明の第2のバイパス通路を構成する。
【0032】
メイン通路13は、コンデンサ3を通過した冷却風がラジエータ4を通過して冷却ファン6に至る通路を構成している。左バイパス通路14Lおよび右バイパス通路14Rは、コンデンサ3を通過した冷却風がラジエータ4を通過せずに冷却ファン6に至る通路を構成している。
【0033】
図4に示すように、コンデンサ3は、幅方向の左端部3Lと右端部3Rがそれぞれラジエータコア8の幅方向の左端部8Lおよび右端部8Rよりも外側に延びている。
【0034】
左バイパス通路14Lは、ラジエータコア8の左端部8Lとファンシュラウド5の左側壁5Lと後壁5Fとに囲まれた領域に設置されており、右バイパス通路14Rは、ラジエータコア8の右端部8Rとファンシュラウド5の右側壁5Rと後壁5Fとに囲まれた領域に設置されている。
【0035】
本実施例のコンデンサ3の左端部3Lは、本発明の第1の放熱器の幅方向の一端部を構成し、コンデンサ3の右端部3Rは、本発明の第1の放熱器の幅方向の他端部を構成する。ラジエータコア8の左端部8Lは、本発明の第2の放熱器の幅方向の一端部を構成し、ラジエータコア8の右端部8Rは、本発明の第2の放熱器の幅方向の他端部を構成する。
【0036】
図4図5において、ファンシュラウド5には左仕切壁15Lおよび右仕切壁15Rが設けられている。左仕切壁15Lは、左バイパス通路14Lを構成するファンシュラウド5の後壁5Fからラジエータ4に向かって突出している。右仕切壁15Rは、右バイパス通路14Rを構成するファンシュラウド5の後壁5Fからラジエータ4に向かって突出している。左仕切壁15Lは、本発明の第1の仕切壁を構成し、右仕切壁15Rは、本発明の第2の仕切壁を構成する。後壁5Fは、本発明の壁部を構成する。
【0037】
図4に示すように、左仕切壁15Lとラジエータコア8との間には隙間16Lが形成されており、隙間16Lは、左バイパス通路14Lとラジエータコア8の下流側の空間17とを連通している。
【0038】
右仕切壁15Rとラジエータコア8との間には隙間16Rが形成されており、隙間16Rは、右バイパス通路14Rとラジエータコア8の下流側の空間17とを連通している。
【0039】
本実施例の冷却装置2において、冷却ファン6の駆動時に隙間16L、16Rにより発生する通気抵抗が、ラジエータ4をコンデンサ3と同じ横幅になるよう拡大した場合に増加する通気抵抗の増加量と同等になるように、隙間16L、16Rの大きさが設定されている。
【0040】
図6において、左仕切壁15Lは、長さ方向の中央部、すなわち、上下方向の中央部15mが左仕切壁15Lの長さ方向の一端部である上端部15tおよび長さ方向の他端部である下端部15uと比べて、冷却ファン6の半径方向の中心部Oに近い位置に配置されている。
【0041】
図6において、図示しないが、右仕切壁15Rは、長さ方向の一端部である上端部15tおよび長さ方向の他端部である下端部15uと比べて、冷却ファン6の半径方向の中心部Oに近い位置に配置されている。
【0042】
隙間16Lは、左仕切壁15Lの上下方向の中央部15mよりも長さ方向の上端部15t側および下端部15u側が大きくなるように形成されている。図6において、図示しないが、隙間16Rは、右仕切壁15Rの上下方向の中央部15mよりも長さ方向の上端部15t側および下端部16u側が大きくなるように形成されている。
【0043】
次に、作用を説明する。
図4において、冷却装置2を流れる冷却風W、W1、W2を示す。
本実施例の冷却装置2は、ファンシュラウド5の内側に、コンデンサ3を通過した冷却風W1がラジエータ4を通過して冷却ファン6に至るメイン通路13と、コンデンサ3を通過した冷却風W2がラジエータ4を通過せずに冷却ファン6に至る左バイパス通路14Lおよび右バイパス通路14Rとが設けられている。
【0044】
車両1の走行時には前方から冷却装置2に冷却風Wが入るので、冷却風Wの風量が多くなる。このため、コンデンサ3も十分に冷却され、コンデンサ3を通過する冷却風W1、W2の温度も比較的低温となる。
【0045】
また、ラジエータ4の前方に設置されたコンデンサ3を通過した冷却風W1は、ラジエータ4の全面を通過して冷却ファン6に至るメイン通路13を流れる。さらに、コンデンサ3の左端部3Lと右端部3Rを通過した冷却風W2は、バイパス通路14L、14Rを流れる。
【0046】
このため、ラジエータ4の全面に比較的低温で風量の大きい冷却風W1を通過させることができ、ラジエータコア8の内部を流れる冷却水が効率よく冷却され、ラジエータ4の冷却性能を向上できる。
【0047】
また、コンデンサ3の全面に低温の冷却風W1、W2を通過させることができ、コンデンサ3の内部を流れる冷媒が効率よく冷却され、コンデンサ3の冷却性能を向上できる。
【0048】
次に、車両1の停止時におけるエンジンのアイドリング時、あるいは低速走行時のように走行風の風量が少なく、冷却水や冷媒の温度が高くなる場合には、冷却ファン6を駆動させる。
【0049】
本実施例の冷却装置2によれば、左仕切壁15Lとラジエータコア8との間には隙間16Lが形成されており、隙間16Lは、左バイパス通路14Lとラジエータコア8の下流側の空間17とを連通している。
【0050】
さらに、右仕切壁15Rとラジエータコア8との間には隙間16Rが形成されており、隙間16Rは、右バイパス通路14Rとラジエータコア8の下流側の空間17とを連通している。
【0051】
これに加えて、冷却ファン6の駆動時に隙間16L、16Rにより発生する通気抵抗が、ラジエータ4をコンデンサ3と同じ横幅になるよう拡大した場合に増加する通気抵抗の増加量と同等になるように、隙間16L、16Rの大きさが設定されている。
【0052】
これにより、冷却ファン6の駆動時にラジエータ4と隙間16L、16Rとに冷却風W1、W2を均等に流すことができる。すなわち、隙間16L、16Rを通過する冷却風W2の風量が過度に増加することを防止し、その分ラジエータ4を流れる冷却風W1を増加させることができる。
【0053】
このため、ラジエータ4を通過する冷却風W1の量を減少させずに、左バイパス通路14L、14Rにも冷却風W2を流すことができ、コンデンサ3とラジエータ4の冷却性能を向上できる。
【0054】
また、本実施例では、ファンシュラウド5に左仕切壁15Lおよび右仕切壁15Rを配置するだけの構成によって、コンデンサ3とラジエータ4の冷却性能を向上でき、冷却装置2の簡素化を図ることができる。
【0055】
この結果、横幅が異なるコンデンサ3とラジエータ4とを車両1の前後方向に並べて配置し、コンデンサ3とラジエータ4とを覆うファンシュラウド5と冷却ファン6とによってコンデンサ3とラジエータ4とを冷却する際に、簡素な構造でコンデンサ3とラジエータ4の冷却性能を向上させることができる。
【0056】
また、本実施例の冷却装置2によれば、バイパス通路は、ラジエータコア8の左端部8L側に配置される左バイパス通路14Lと、ラジエータコア8の右端部8R側に配置される右バイパス通路14Rとを有する。
【0057】
さらに、仕切壁は、左バイパス通路14Lに対応して設置された左仕切壁15Lと、右バイパス通路14Rに対応して設置された右仕切壁15Rとを含んで構成されている。
【0058】
これにより、1つのバイパス通路をラジエータコア8の幅方向で片側に配置する場合と比べ、左バイパス通路14Lと右バイパス通路14Rとを冷却ファン6に対して左右対称に配置できる。
【0059】
このため、冷却ファン6の駆動時に冷却風をコンデンサ3の左端部3Lと右端部3Rとに均等に通過させることができ、コンデンサ3の冷却性能をより効果的に向上できる。
【0060】
また、バイパス通路を左バイパス通路14Lと右バイパス通路14Rとに分割することにより、1つ当たりのバイパス通路14L、14Rの断面積を減少させることができる。このため、バイパス通路14L、14Rの断面積が隙間16L、16Rにて急激に減少して冷却風W2が流れ難くなることを防止できる。
【0061】
また、本実施例の冷却装置2によれば、左仕切壁15Lおよび右仕切壁15Rは、上下方向の中央部15mが左仕切壁15Lの上端部15tおよび下端部15uと比べて、冷却ファン6の半径方向の中心部Oに近い位置に配置されている。
【0062】
これに加えて、隙間16L、16Rは、仕切壁15L、15Rの中央部15mよりも長さ方向の上端部15t側および下端部15u側が大きくなるように形成されている。
【0063】
これにより、図6に示すように、仕切壁15L、15Rの上下方向で冷却ファン6に近い部位の隙間S1と比べ、冷却ファン6から離れた部位の隙間S2を大きくでき、バイパス通路14L、14Rの冷却ファン6から離れた部位における通気抵抗を減少できる。
【0064】
このため、コンデンサ3の周辺部により多く冷却風を流すことができ、コンデンサ3の冷却性能を向上できる。
【0065】
本発明の本実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0066】
2...冷却装置、3...コンデンサ(第1の放熱器)、3L...左端部(第1の放熱器の幅方向の一端部)、3R...右端部(第1の放熱器の幅方向の他端部)、4...ラジエータ(第2の放熱器)、5...ファンシュラウド、5F...後壁(ファンシュラウドの壁部)、6...冷却ファン、8L...左端部(第2の放熱器の幅方向の一端部)、8R...右端部(第2の放熱器の幅方向の他端部)、13...メイン通路、14R...右バイパス通路(第2のバイパス通路)、14L...左バイパス通路(第1のバイパス通路)、15L...左仕切壁(第1の仕切壁)、15R...仕切壁(第2の仕切壁)、15m...中央部(仕切壁の長さ方向の中央部)、15t...上端部(仕切壁の長さ方向の一端部)、15u...下端部(仕切壁の長さ方向の他端部)、16L,16R...隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6