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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】直列式軸流ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20220614BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20220614BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20220614BHJP
   F04D 29/54 20060101ALI20220614BHJP
   F04D 29/08 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F04D29/52 C
F04D25/08 307A
F04D25/16
F04D29/54 E
F04D29/08 E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018162256
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2019056369
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】62/561,309
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/635,610
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】箱▲崎▼ 将吾
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 司
(72)【発明者】
【氏名】山縣 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 章基
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-175099(JP,A)
【文献】特開2008-144748(JP,A)
【文献】特開2012-26291(JP,A)
【文献】特開2004-278371(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0164007(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/52
F04D 25/08
F04D 25/16
F04D 29/54
F04D 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸流ファンと、
前記第1軸流ファンと直列に接続される第2軸流ファンと、
格子状の隔壁で仕切られ且つ軸方向に貫通する複数の中空セルが外縁部まで均一に2次元配列する整流板と、
を備え、
前記第1軸流ファンは、
上下方向に延びる中心軸を中心にして回転可能な第1羽根を有する第1インペラと、
前記第1インペラを駆動して前記第1羽根を回転させる第1モータ部と、
軸方向に延びる筒状であり且つ前記第1インペラ及び前記第1モータ部を収容する第1筒部を有する第1ハウジングと、
前記第1モータ部から延びる第1リード線と、
を有し、
前記第2軸流ファンは、
前記中心軸を中心にして回転可能な第2羽根を有する第2インペラと、
前記第2インペラを駆動して前記第2羽根を回転させる第2モータ部と、
軸方向に延びる筒状であり且つ前記第2インペラ及び前記第2モータ部を収容する第2筒部を有する第2ハウジングと、
前記第2モータ部から延びる第2リード線と、
を有し、
前記第1ハウジングの軸方向下端部と、前記第2ハウジングの軸方向上端部とは直接に連結され、
前記整流板は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの連結部に設けられ、
前記第1筒部の軸方向下端部は、前記整流板を介して、前記第2筒部の軸方向上端部と軸方向に対向し、
前記第1筒部の軸方向下端面及び前記第2筒部の軸方向上端面のうちの少なくとも一方の筒部の軸方向端面には、軸方向の前記連結部とは反対側に凹む凹部が設けられ、
前記第1リード線及び前記第2リード線のうちの少なくとも一方のリード線が、前記凹部に収容され、
前記凹部の少なくとも一部は、前記整流板の一部と軸方向に重なる、直列式軸流ファン。
【請求項2】
軸方向から見て、前記整流板の径方向外端は、前記凹部の径方向外端と同じ、又は前記凹部の径方向外端よりも径方向内側である、請求項1に記載の直列式軸流ファン。
【請求項3】
前記第1ハウジングは、前記第1筒部の前記連結部側における軸方向端部から径方向外側に広がる第1フランジ部を有し、
前記第2ハウジングは、前記第2筒部の前記連結部側における軸方向端部から径方向外側に広がる第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部のうちの少なくとも一方のフランジ部の前記連結部側における軸方向端面には、軸方向に突出する脚部が設けられる、請求項1又は請求項2に記載の直列式軸流ファン。
【請求項4】
軸方向から見て、前記脚部は、前記凹部よりも径方向外側に設けられる、請求項3に記載の直列式軸流ファン。
【請求項5】
前記脚部の軸方向長さは、前記整流板の軸方向長さ以下である、請求項3又は請求項4に記載の直列式軸流ファン。
【請求項6】
前記脚部が設けられるフランジ部は、複数であって、それぞれ周方向に設けられ、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうちの少なくとも一方のハウジングの前記連結部側の軸方向端部には、該少なくとも一方のハウジングの径方向外端部から軸方向に突出する壁部が設けられ、
前記壁部は、周方向に隣り合う前記脚部間に設けられる、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の直列式軸流ファン。
【請求項7】
前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部には、前記整流板の軸方向端面に当接する平面部が設けられる、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の直列式軸流ファン。
【請求項8】
前記整流板は、軸方向から見て六角形状の前記中空セルが2次元配列するハニカム構造を有し、
六角形状の前記中空セルの互いに対向し且つ平行に延びる2辺間の幅は、前記第1筒部及び前記第2筒部の前記連結部側における軸方向端部の径方向幅よりも大きい、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の直列式軸流ファン。
【請求項9】
前記ハニカム構造を有する前記整流板の前記中空セルの開口率は、90%以上である、請求項8に記載の直列式軸流ファン。
【請求項10】
前記第1ハウジングは、径方向内端部で前記第1モータ部を支持し且つ径方向外端部が前記第1筒部に接続される第1リブをさらに有し、
前記第2ハウジングは、径方向内端部で前記第2モータ部を支持し且つ径方向外端部が前記第2筒部に接続される第2リブをさらに有し、
前記第1リブ及び前記第2リブのうちの少なくとも一方のリブは前記整流板と間隙を有して軸方向に対向し、
前記間隙の最小の軸方向幅は、前記ハニカム構造を有する前記整流板の六角形状の前記中空セルの前記2辺間の幅よりも狭い、請求項8又は請求項9に記載の直列式軸流ファン。
【請求項11】
前記少なくとも一方のリブの前記整流板と軸方向に対向する部位の幅は、六角形状の前記中空セルの前記2辺間の幅以下である、請求項10に記載の直列式軸流ファン。
【請求項12】
前記少なくとも一方のリブの径方向内端部と前記整流板との間の間隙の軸方向幅は、六角形状の前記中空セルの前記2辺間の幅よりも小さく、
前記少なくとも一方のリブの径方向外端部と前記整流板との間の間隙の軸方向幅は、六角形状の前記中空セルの前記2辺間の幅よりも大きい、請求項10又は請求項11に記載の直列式軸流ファン。
【請求項13】
前記連結部の径方向外側面に設けられる帯状部材をさらに備え、
前記連結部において、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングのうちの少なくとも一方のハウジングには、該少なくとも一方のハウジングを径方向に貫通する開口部が設けられ、
前記帯状部材は、前記開口部を覆う、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の直列式軸流ファン。
【請求項14】
前記開口部は、複数であって、
前記帯状部材は、一部の前記開口部を覆う、請求項13に記載の直列式軸流ファン。
【請求項15】
前記帯状部材は、前記連結部の径方向外側面において周方向の全周に渡って巻き付けられており、前記開口部を全て覆う、請求項13に記載の直列式軸流ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直列式軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの軸流ファンを軸方向に連結して送風量を高めた直列式軸流ファンが知られている。直列式軸流ファンでは、直列式軸流ファンの外部の空気を吸引する前段の軸流ファンから送出される気流が、後段の軸流ファンに吸引される。後段の軸流ファンで流速が高められた気流は、後段の軸流ファンから直列式軸流ファンの外部に送出される。ここで、前段の軸流ファンから送出される気流の流れは、軸方向成分のほか、インペラの回転方向と同じ旋回成分を有する。但し、気流の該旋回成分は、後段の軸流ファンで軸方向に流し難い。
【0003】
そのため、たとえば特開2003-56498号公報のユニット式ファンでは、2個の散熱ファンの間に静的ブレードファンフレーム構造を位置させることにより、2個の散熱ファンの間の干渉を抑えて、散熱ファンの運転時に生じる気流の風量及び風圧を増加させる。
【0004】
また、中国特許出願公開第201246347号公報では、軸流ファンの排気側にファンケーシングが取り付けられる。ファンケーシングでは、ハニカム構造を有する凸部が設けられ、軸流ファンに螺子止めされる板状のフレームが凸部の外側面から軸方向と垂直な方向に広がる。ハニカム構造を有する凸部は、軸流ファンから送出される気流をガイドすることにより、気流をより集中させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-56498号公報
【文献】中国特許出願公開第201246347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、2つの軸流ファンの連結部において、モータ部から延びるリード線を外部に引き出すために、連結部から軸方向に凹む凹部が軸流ファンのハウジングに設けられる場合がある。この場合、前段の軸流ファンから送出される気流の一部が、該凹部を通じて直列式軸流ファンの外部に流れようとする。従って、該凹部付近では乱流が発生し易い。このような乱流の発生は、直列式軸流ファンの送風効率に影響する。
【0007】
本開示は、直列式軸流ファンの送風効率をさらに向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の例示的な直列式軸流ファンは、第1軸流ファンと、前記第1軸流ファンと直列に接続される第2軸流ファンと、格子状の隔壁で仕切られ且つ軸方向に貫通する複数の中空セルが外縁部まで均一に2次元配列する整流板と、を備える。前記第1軸流ファンは、上下方向に延びる中心軸を中心にして回転可能な第1羽根を有する第1インペラと、前記第1インペラを駆動して前記第1羽根を回転させる第1モータ部と、軸方向に延びる筒状であり且つ前記第1インペラ及び前記第1モータ部を収容する第1筒部を有する第1ハウジングと、前記第1モータ部から延びる第1リード線と、を有する。前記第2軸流ファンは、前記中心軸を中心にして回転可能な第2羽根を有する第2インペラと、前記第2インペラを駆動して前記第2羽根を回転させる第2モータ部と、軸方向に延びる筒状であり且つ前記第2インペラ及び前記第2モータ部を収容する第2筒部を有する第2ハウジングと、前記第2モータ部から延びる第2リード線と、を有する。前記第1ハウジングの軸方向下端部と、前記第2ハウジングの軸方向上端部とは直接に連結される。前記整流板は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの連結部に設けられる。前記第1筒部の軸方向下端部は、前記整流板を介して、前記第2筒部の軸方向上端部と軸方向に対向する。前記第1筒部の軸方向下端面及び前記第2筒部の軸方向上端面のうちの少なくとも一方の筒部の軸方向端面には、軸方向の前記連結部とは反対側に凹む凹部が設けられる。前記第1リード線及び前記第2リード線のうちの少なくとも一方のリード線が、前記凹部に収容される。前記凹部の少なくとも一部は、前記整流板の一部と軸方向に重なる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の例示的な直列式軸流ファンによれば、直列式軸流ファンの送風効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る直列式軸流ファンの一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1の一点鎖線A-Aに沿う直列式軸流ファンの断面図である。
図3図3は、図2の一点鎖線B-Bに沿う直列式軸流ファンの断面図である。
図4A図4Aは、第1開口部を覆う帯状部材の第1例を示す斜視図である。
図4B図4Bは、第1開口部を覆う帯状部材の第2例を示す斜視図である。
図4C図4Cは、第1開口部を覆う帯状部材の第3例を示す斜視図である。
図5図5は、第2筒部に設けられる第2凹部の一例を示す断面図である。
図6図6は、第2筒部に設けられる第2脚部の一例を示す断面図である。
図7図7は、整流板の一例を示す斜視図である。
図8図8は、第1変形例に係る直列式軸流ファンの断面図である。
図9図9は、第2変形例に係る直列式軸流ファンの一例を示す斜視図である。
図10図10は、第3変形例に係る直列式軸流ファンの一例を示す斜視図である。
図11図11は、図10の一点鎖線E-Eに沿う直列式軸流ファンの断面図である。
図12図12は、第2壁部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本開示の例示的な実施形態を説明する。
【0012】
なお、本明細書では、直列式軸流ファン100において、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向において、後述する第2軸流ファン2から後述する第1軸流ファン1に向かう方向を「軸方向上側」と呼び、第1軸流ファン1から第2軸流ファン2に向かう方向を「軸方向下側」と呼ぶ。各々の構成要素において、軸方向上側における端部を「軸方向上端部」と呼び、軸方向における軸方向上端部の位置を「軸方向上端」と呼ぶ。さらに、軸方向下側における端部を「軸方向下端部」と呼び、軸方向における軸方向下端部の位置を「軸方向下端」と呼ぶ。また、各々の構成要素の表面において、軸方向上側を向く面を「軸方向上端面」と呼び、軸方向下側を向く面を「軸方向下端面」と呼ぶ。また、「軸方向上端面」及び「軸方向下端面」の総称を「軸方向端面」と呼ぶ。
【0013】
中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼び、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。径方向において、中心軸CAに向かう方向を「径方向内側」と呼び、中心軸CAから離れる方向を「径方向外側」と呼ぶ。各々の構成要素において、径方向内側における端部を「径方向内端部」と呼び、径方向における径方向内端部の位置を「径方向内端」と呼ぶ。さらに、径方向外側における端部を「径方向外端部」と呼び、径方向における径方向外端部の位置を「径方向外端」と呼ぶ。また、各々の構成要素の側面において、径方向内側を向く側面を「径方向内側面」と呼び、径方向外側を向く側面を「径方向外側面」と呼ぶ。
【0014】
なお、以上に説明した方向、端部、位置、及び面などの呼称は、実際の機器に組み込まれた場合での位置関係及び方向などを示すものではない。
【0015】
<1.実施形態>
図1は、実施形態に係る直列式軸流ファン100の一例を示す斜視図である。図2は、図1の一点鎖線A-Aに沿う直列式軸流ファン100の断面図である。図3は、図2の一点鎖線B-Bに沿う直列式軸流ファン100の断面図である。なお、図2は、軸方向と垂直な仮想の平面で直列式軸流ファン100を切断した断面構造を示す。また、図3は、中心軸CAを含む仮想の平面で直列式軸流ファン100を切断した場合の断面構造を示す。
【0016】
<1-1.ファンモータの構成>
直列式軸流ファン100は、図1に示すように、第1軸流ファン1と、第2軸流ファン2と、整流板3と、を備える。直列式軸流ファン100は、前段の第1軸流ファン1と後段の第2軸流ファン2とが整流板3を挟んで直列に連結された送風装置である。
【0017】
直列式軸流ファン100は、前述の如く、第1軸流ファン1を備える。第1軸流ファン1は、第1インペラ11と、第1モータ部12と、第1ハウジング13と、第1リード線14と、を有する。第1ハウジング13は、第1筒部131と、第1フランジ部132と、第1リブ133と、を有する。また、直列式軸流ファン100は、前述の如く、第2軸流ファン2を備える。第2軸流ファン2は、第1軸流ファン1と直列に接続される。第2軸流ファン2は、第2インペラ21と、第2モータ部22と、第2ハウジング23と、第2リード線24と、を有する。第2ハウジング23は、第2筒部231と、第2フランジ部232と、第2リブ233と、を有する。
【0018】
なお、以下では、第1ハウジング13及び第2ハウジング23の総称を「ハウジング13、23」と呼ぶ。また、第1リード線14及び第2リード線24の総称を「リード線14、24」と呼ぶ。また、第1筒部131及び第2筒部231の総称を「筒部131、231」と呼ぶ。また、第1フランジ部132及び第2フランジ部232の総称を「フランジ部132、232」と呼ぶ。また、第1リブ133及び第2リブ233の総称を「リブ133、233」と呼ぶ。第1軸流ファン1及び第2軸流ファン2の各構成要素の説明は、後述する。
【0019】
整流板3は、第1ハウジング13と第2ハウジング23との連結部100aに設けられる。第1ハウジング13と第2ハウジング23との連結部100aに設けられる整流板3は、第1軸流ファン1から軸方向下側に送出される気流を整流する。第2軸流ファン2は、整流板3により整流された気流を吸引する。整流された気流は、旋回成分が少なく、第2軸流ファン2にて軸方向に流れ易い。これにより、第2軸流ファン2から送出される気流の圧力及び風量が、増加する。その結果、直列式軸流ファン100が吸引又は送出する空気の量を増加させることができる。従って、直列式軸流ファン100の送風効率をさらに向上させることができる。整流板3の材料は、本実施形態ではアルミニウムであるが、この例に限定されず、他の金属材料、セラミック材料などであってもよい。整流板3のより詳細な構成は、後に説明する。
【0020】
<1-2.第1軸流ファン>
次に、図1から図3を参照して、第1軸流ファン1の各構成要素を説明する。
【0021】
第1軸流ファン1は、前述の如く、第1インペラ11を有する。第1インペラ11は、第1羽根111を有する。第1羽根111は、上下方向に延びる中心軸CAを中心にして回転可能である。第1モータ部12が第1インペラ11を駆動することにより、第1羽根111は、中心軸CAを中心に回転する。これにより、第1軸流ファン1は、直列式軸流ファン100の軸方向上側から空気を第1軸流ファン1の軸方向上端部にて吸引する。第1軸流ファン1は、軸方向下側へと流れる気流を発生させ、第1軸流ファン1の軸方向下端部から該気流を送出する。
【0022】
第1軸流ファン1は、前述の如く、第1モータ部12を有する。第1モータ部12は、第1インペラ11を駆動して第1羽根111を回転させる。第1モータ部12の軸方向下端部は、整流板3の軸方向上端面に接していてもよい。或いは、第1モータ部12の軸方向下端部は、整流板3の軸方向上端面とは隙間を有して軸方向に対向してもよい。
【0023】
第1軸流ファン1は、前述の如く、第1ハウジング13を有する。第1ハウジング13は、前述の如く、第1筒部131を有する。第1筒部131は、軸方向に延びる筒状であり、第1インペラ11及び第1モータ部12を内部に収容する。第1筒部131の軸方向下端部は、整流板3を介して、第2筒部231の軸方向上端部と軸方向に対向する。また、第1筒部131の軸方向下端部は、本実施形態では整流板3の軸方向上端面に当接する。こうすれば、第1筒部131の軸方向下端部において、気流が径方向に流れ無いようにできる。従って、第1筒部131の軸方向下端部での乱流の発生を防止できる。但し、この例示に限定されず、軸方向において、第1筒部131と整流板3との間には隙間があってもよい。
【0024】
また、本実施形態では、第1筒部131の軸方向下端面には、軸方向の連結部100aとは反対側に凹む第1凹部131aが設けられる。第1凹部131aは、第1筒部131の軸方向下端面において軸方向上側に凹み、第1筒部131を径方向に貫通する。
【0025】
また、第1ハウジング13は、前述の如く、第1フランジ部132をさらに有する。第1フランジ部132は、第1筒部131の連結部100a側における軸方向端部から径方向外側に広がる。言い換えると、第1フランジ部132は、第1筒部131の軸方向下端部から径方向外側に広がる。さらに、第1フランジ部132の軸方向下端面には、第1平面部132aと、第1脚部132bと、が設けられる。第1平面部132aは、整流板3の軸方向上端面に当接する。第1脚部132bは、第1フランジ部132の軸方向下側に突出する。第1脚部132bは、複数であり、それぞれ周方向に設けられる。第1脚部132bの軸方向下端部は、第2フランジ部232に当接する。これにより、軸方向において、第1筒部131と第2筒部231との間に、整流板3が収容される空間が設けられる。第1脚部132bの図3に示す軸方向長さdf1は、整流板3の後述する図7に示す軸方向長さdc以下である。なお、第1脚部132bの軸方向長さdf1は、第1平面部132aと第1脚部132bの軸方向下端部との間の軸方向幅である。そのため、整流板3は、軸方向において、第1筒部131の軸方向下端部と第2筒部231の軸方向上端部とで挟まれて保持される。また、軸方向から見て、第1脚部132bは、第1凹部131aよりも径方向外側に設けられる。
【0026】
また、第1ハウジング13は、前述の如く、第1リブ133をさらに有する。第1リブ133の径方内端部は、第1モータ部12を支持する。第1リブ133の径方向外端部は、第1筒部131に接続される。
【0027】
第1リブ133は、整流板3の軸方向上端面と間隙を有して軸方向に対向する。該間隙の最小の軸方向幅(図3ではWri1)は、整流板3の中空セル3aの軸方向と垂直な方向における幅(たとえば図7に示す幅Wc)よりも狭い。こうすれば、中空セル3aの軸方向に垂直な方向における幅よりも狭い間隙を第1リブ133と整流板3との間に設けることにより、第1リブ133による整流効果を保持しつつ、第1リブ133と軸方向に重なる中空セル3aにおける気流の通過量の減少を防止できる。これは、軸方向において、第1リブ133と整流板3との間に間隙がない場合、第1リブ133と軸方向に重なる中空セル3aにおける気流の通過量は少なくなるためである。一方、第1リブ133と整流板3との間の間隙の軸方向幅が広過ぎる場合、軸方向に流れる気流を第1リブ133によって整流する効果が低下するためである。
【0028】
また、第1リブ133と整流板3の軸方向上端面との径方向内側における間隙の軸方向幅Wri1は、第1リブ133と整流板3の軸方向上端面との径方向外側における間隙の軸方向幅Wro1よりも小さい。本実施形態では図3に示すように、軸方向幅Wri1は、整流板3における六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも小さい。一方、軸方向幅Wro1は、六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも大きい。空気の圧力及び風量を向上させ、且つ、乱流の発生を抑制するための上記間隙の軸方向幅の最適値は、第1リブ133の径方向内側と径方向外側とで異なる。特に、該最適値は、第1リブ133の径方向外端部では、第1筒部131の径方向内側面などの影響を受ける。そのため、間隙の軸方向幅Wro1を中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも大きくすることにより、直列式軸流ファン100の圧力-風量特性を向上できる。
【0029】
また、第1リブ133の整流板3と軸方向に対向する部位の幅dr1は、好ましくは、六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wc以下である。なお、該部位は、たとえば、第1リブ133の軸方向下端部である。該幅dr1は、たとえば、第1リブ133の軸方向に垂直な方向における最小の幅である。こうすれば、整流板3を第1軸流ファン1から第2軸流ファン2に流れる気流の圧力及び風量を向上させ、且つ、乱流の発生を抑制できる。
【0030】
また、本実施形態では、第1ハウジング13には、図3に示すように、4つの第1開口部13aが設けられる。第1開口部13aは、第1ハウジング13の軸方向下端部に設けられ、軸方向上側に凹む。また、第1開口部13aは、第1ハウジング13を径方向に貫通し、特に第1筒部131の一部と第1フランジ部132の一部とを径方向に貫通する。第1開口部13aにおいて、整流板3の径方向外端面が直列式軸流ファン100の外部に露出する。なお、整流板3の径方向外端部は、図2のように第1開口部13aと同じ位置、又は第1開口部13aよりも径方向内側にある。
【0031】
なお、図1の例示に限定されず、整流板3は第1開口部13aで露出しなくてもよい。たとえば、直列式軸流ファン100は、連結部100aの径方向外側面に設けられる帯状部材4をさらに備えてもよい。言い換えると、帯状部材4は、第1開口部13aを覆ってもよい。図4Aから図4Cはそれぞれ、第1開口部13aを覆う帯状部材4の第1例から第3例を示す斜視図である。
【0032】
たとえば図4Aのように、全ての第1開口部13aが帯状部材4で覆われてもよい。こうすれば、第1開口部13a毎に設けられる帯状部材4によって、連結部100aの全ての第1開口部13aでの空気の漏れを抑制又は防止できる。
【0033】
或いは、図4Bのように、一部の第1開口部13aが帯状部材4で覆われてもよい。こうすれば、複数の第1開口部13aのうちの一部のみを帯状部材4で覆うため、帯状部材4を節約できる。
【0034】
なお、帯状部材4は、図4A及び図4Bでは第1開口部13a毎に設けられるが、図4Cのように一繋がりで設けられてもよい。つまり、帯状部材4は、連結部100aの径方向外側面において周方向の全周に渡って巻き付けられてもよい。こうすれば、帯状部材4を設ける作業が容易になる。
【0035】
次に、第1軸流ファン1は、前述の如く、第1リード線14を有する。第1リード線14は、第1モータ部12から延びる。本実施形態では、第1リード線14は、第1凹部131aに収容される。より具体的には、第1リード線14は、第1凹部131aに挿通され、第1凹部131aを通じて第1ハウジング13の外部に引き出される。
【0036】
<1-3.第2軸流ファン>
次に、図1及び図3を参照して、第2軸流ファン2の各構成要素を説明する。
【0037】
第2軸流ファン2は、前述の如く、第2インペラ21を有する。第2インペラ21は、第2羽根211を有する。第2羽根211は、上下方向に延びる中心軸CAを中心にして回転可能である。第2モータ部22が第2インペラ21を駆動することにより、第2羽根211は、中心軸CAを中心に回転する。これにより、第2軸流ファン2は、第1軸流ファン1から送出される気流を整流板3を介して第2軸流ファン2の軸方向上端部にて吸引する。第2軸流ファン2は、軸方向下側に流れる気流の流速を加速させ、第2軸流ファン2の軸方向下端部から直列式軸流ファン100の軸方向下側に該気流を送出する。
【0038】
第2軸流ファン2は、前述の如く、第2モータ部22を有する。第2モータ部22は、第2インペラ21を駆動して第2羽根211を回転させる。
【0039】
第2軸流ファン2は、前述の如く、第2ハウジング23を有する。第2ハウジング23は、前述の如く、第2筒部231を有する。第2筒部231は、軸方向に延びる筒状であり、第2インペラ21及び第2モータ部22を内部に収容する。第2筒部231の軸方向上端部は、本実施形態では整流板3の軸方向下端面に当接する。こうすれば、第2筒部231の軸方向上端部において、気流が径方向に流れ無いようにできる。従って、第2筒部231の軸方向上端部での乱流の発生を防止できる。但し、この例示に限定されず、軸方向において、第2筒部231と整流板3との間には隙間があってもよい。
【0040】
また、第2ハウジング23は、前述の如く、第2フランジ部232をさらに有する。第2フランジ部232は、第2筒部231の連結部100a側における軸方向端部から径方向外側に広がる。言い換えると、第2フランジ部232は、第2筒部231の軸方向上端部から径方向外側に広がる。第2フランジ部232は、第1フランジ部132に連結される。これにより、第1ハウジング13の軸方向下端部と、第2ハウジング23の軸方向上端部とが直接に連結される。こうすれば、第1ハウジング13と第2ハウジング23との連結部100aに整流板3を設けない構成と同等の組立性を確保できる。
【0041】
第2フランジ部232の軸方向上端面には、第2平面部232aが設けられる。第2平面部232aは、整流板3の軸方向下端面に当接する。なお、以下では、第1平面部132a及び第2平面部232aの総称を「平面部132a、232a」と呼ぶ。このように、本開示では、第1フランジ部132及び第2フランジ部232には、整流板3の軸方向端面に当接する平面部132a、232aが設けられる。これにより、第1筒部131と第2筒部231との間に設けられる整流板3を第1平面部132aと第2平面部232aとで挟むことができる。従って、軸方向において整流板3をより確実に保持できる。但し、この例示に限定されず、軸方向において、第1フランジ部132及び第2フランジ部232のうちの少なくとも一方と整流板3との間には隙間があってもよい。このような隙間を設けることにより、整流板3の振動及びこれに伴う騒音の発生を抑制できる。
【0042】
また、第2ハウジング23は、前述の如く、第2リブ233をさらに有する。第2リブ233の径方内端部は、第2モータ部22を支持する。第2リブ233の径方向外端部は、第2筒部231に接続される。
【0043】
第2軸流ファン2は、前述の如く、第2リード線24を有する。第2リード線24は、第2モータ部22から延びる。
【0044】
<1-4.第1軸流ファン及び第2軸流ファンの変形例>
<1-4-1.第1凹部の変形例>
上述の実施形態では、図3に示すように、第1リード線14を第1ハウジング13の外部に引き出すための第1凹部131aが、第1筒部131に設けられる。これと同様に、図5のように、第2リード線24を第2ハウジング23の外部に引き出すための第2凹部231aが、第2筒部231に設けられてもよい。図5は、第2筒部231に設けられる第2凹部231aの一例を示す。なお、図5は、図3の破線で囲まれた部分Cに対応する。図5では、軸方向の連結部100aとは反対側に凹む第2凹部231aが、第2筒部231の軸方向上端面に設けられる。第2凹部231aは、第2筒部231の軸方向上端面において軸方向下側に凹み、第2筒部231を径方向に貫通する。なお、直列式軸流ファン100には、第1凹部131a及び第2凹部231aの両方が設けられていてもよいし、第1凹部131aに代えて第2凹部231aが設けられていてもよい。また、以下では、第1凹部131a及び第2凹部231aの総称を「凹部131a、231a」と呼ぶ。このように、本開示では、第1筒部131の軸方向下端面及び第2筒部231の軸方向上端面のうちの少なくとも一方の筒部131、231の軸方向端面には、軸方向の連結部100aとは反対側に凹む凹部131a、231aが設けられる。
【0045】
さらに、図3では第1リード線14が第1凹部131aを通じて第1ハウジング13の外部に引き出され、図5では第2リード線24が第2凹部231aを通じて第2ハウジング23の外部に引き出される。但し、これらの示に限定されず、第1リード線14及び第2リード線24の両方が、第1凹部131a又は第2凹部231aを通じて、ハウジング13、23の外部に引き出されてもよい。つまり、本開示では、第1リード線14及び第2リード線24のうちの少なくとも一方のリード線14、24は、凹部131a、231aに収容される。
【0046】
また、本開示では、第1筒部131の軸方向下端面及び第2筒部231の軸方向上端面のうちの少なくとも一方に設けられた凹部131a、231aの少なくとも一部は、好ましくは、整流板3の一部と軸方向に重なる。こうすれば、凹部131a、231aに収容したリード線14、24の少なくとも一方が撓んでも、該リード線14、24の軸方向の連結部100a側への動きを整流板3により抑えることができる。さらに、凹部131a、231aによる気流の乱れを整流板3により抑制できる。従って、直列式軸流ファン100の圧力-風量特性を向上して、直列式軸流ファン100の送風効率をさらに向上させることができる。また、直列式軸流ファン100で発生する騒音を低減することもできる。
【0047】
また、本開示では、軸方向から見て、整流板3の径方向外端は、好ましくは、凹部131a、231aの径方向外端と同じ、又は凹部131a、231aの径方向外端よりも径方向内側である。こうすれば、軸方向から見て、整流板3の径方向外端は、凹部131a、231aの径方向外端よりも径方向外側にはない。そのため、たとえば図3のように、第2リード線24が第2筒部231の径方向外側面に沿って第1凹部131aの径方向外端部まで軸方向に延びる場合でも、整流板3の径方向外端部が障害物とならない。従って、第2リード線24の配置をより自由に設計できる。また、この際、整流板3の径方向外端部が第2リード線24により径方向内側に押されないので、整流板3の径方向外端部の変形を防止できる。
【0048】
<1-4-2.第1脚部の変形例>
上述の実施形態では、たとえば図3に示すように、第1脚部132bが第1フランジ部132に設けられる。これと同様に、図6のように、軸方向上側に突出する第2脚部232bが第2フランジ部232に設けられてもよい。図6は、第2筒部231に設けられる第2脚部232bの一例を示す断面図である。また、図6は、図3の破線で囲まれた部分Dに対応する。直列式軸流ファン100には、第1脚部132bに代えて第2脚部232bが設けられてもよい。或いは、図6のように第1脚部132b及び第2脚部232bの両方が設けられてもよい。また、第2脚部232bの軸方向上端部は、第1フランジ部132に当接してもよいし、図6のように第1脚部132bに当接してもよい。なお、以下では、第1脚部132b及び第2脚部232bの総称を「脚部132b、232b」と呼ぶ。
【0049】
このように、本開示では、第1フランジ部132及び第2フランジ部232のうちの少なくとも一方のフランジ部132、232の連結部100a側における軸方向端面には、軸方向に突出する脚部132b、232bが設けられる。一方のフランジ部132、232に設けられる脚部132b、232bは、他方のフランジ部132、232、又は他方のフランジ部132、232に設けられる脚部132b、232bに当接する。こうすれば、軸方向において、第1筒部131と第2筒部231との間に脚部132b、232bと軸方向長さが同じ空間を設けることができる。従って、第1フランジ部132と第2フランジ部232を連結することにより、第1ハウジング13と第2ハウジング23とを直接に連結できるとともに、第1筒部131と第2筒部231との間の軸方向における空間に整流板3を収容することができる。
【0050】
また、第2脚部232bは、図6において、第2凹部231aよりも径方向外側に設けられる。このように、本開示では、軸方向から見て、脚部132b、232bは、凹部131a、231aよりも径方向外側に設けられる。こうすれば、軸方向において脚部132b、232bが、凹部131a、231aと重ならない。そのため、凹部131a、231aにリード線14、24を収容し易く、整流板3と凹部131a、231aを軸方向に重ねることも容易である。また、整流板3の凹部131a、231aと重なる部分において、脚部132b、232bの影響を受けることなく、スムーズに気流を軸方向に流すことができる。また、フランジ部132、232に脚部132b、232bを有するハウジング13、23を金型にてモールド成型する際、金型を上下方向に開くことができる。従って、金型構造を単純にでき、金型を用いたハウジング13、23の成型工程も容易に実施できる。
【0051】
また、第2脚部232bの図6に示す軸方向長さdf2は、整流板3の図7に示す軸方向長さdc以下である。なお、第2脚部232bの軸方向長さdf2は、第2平面部232aと、第2脚部232bの軸方向上端部との間の軸方向幅である。なお、以下では、第1脚部132bの軸方向長さdf1及び第2脚部232bの軸方向長さdf2の総称を「軸方向長さdf」と呼ぶ。このように、本開示では、脚部132b、232bの軸方向長さdfは、整流板3の軸方向長さdc以下である。脚部132b、232bの軸方向長さdfは、該脚部132b、232bが設けられるフランジ部132、232の平面部132a、232aと該脚部132b、232bの連結部100a側における軸方向端部との間の軸方向幅である。こうすれば、軸方向において、第1筒部131の軸方向下端部と第2筒部231の軸方向上端部とで整流板3を挟んで保持することができる。
【0052】
また、第2脚部232bは、複数であり、それぞれ周方向に設けられる。つまり、脚部132b、232bは、複数であり、それぞれ周方向に設けられる。
【0053】
<1-5.整流板>
次に、図7を参照して、整流板3の構成を説明する。図7は、整流板3の一例を示す斜視図である。
【0054】
直列式軸流ファン100は、前述の如く、整流板3を備える。整流板3は、複数の中空セル3aと、格子状の隔壁31と、を含む。整流板3の中空セル3aはそれぞれ、隔壁31で仕切られ、軸方向に貫通する。また、複数の中空セル3aは、整流板3の中央部から外縁部まで均一に2次元配列する。このような構造によれば、整流板3の外縁部にフレームなどが設けられていない。そのため、中空セル3aによる気流の整流効果を外縁部まで得ることができる。また、金型などを用いることなく、整流板3を作成できる。言い換えると、複数の中空セル3aは、格子状の隔壁31で仕切られる構造を有し、整流板3を軸方向に貫通する。そのため、整流板3は、軸方向における空気の流路を最大限に確保できる。
【0055】
整流板3は、本実施形態では、軸方向から見て六角形状の中空セル3aが2次元配列するハニカム構造を有する。こうすれば、整流板3にハニカム構造を採用することにより、第1軸流ファン1から送出される気流を整流する効果を向上させて整流時の空気抵抗を低減できる。従って、直列式軸流ファン100の圧力-風量特性を高めることができる。但し、この例示に限定されず、中空セル3aの軸方向から見た形状は、六角形状以外の多角形状、円形状などであってもよい。
【0056】
ハニカム構造を有する整流板3の中空セル3aの開口率は、90%以上である。なお、ここでの開口率は、全周が隔壁31で仕切られた全ての中空セル3aの開口面積の総和の整流板3の軸方向端面の総面積に対する比率である。樹脂成型などにより形成される整流板では、開口率を90%以上にすることは困難である。ハニカム構造を有する整流板3では、その開口率を90%以上にすることにより、樹脂成型により形成される他の構造の整流板よりも、さらに高い整流効果と、さらに低い空気抵抗とを実現できる。
【0057】
六角形状の中空セル3aの互いに対向し且つ平行に延びる2辺間の幅Wcは、第1筒部131及び第2筒部231の連結部100a側における軸方向端部の径方向幅よりも大きい。つまり、幅Wcは、第1筒部131の軸方向下端部の図2に示す径方向幅dt1、及び、第2筒部231の軸方向上端部の径方向幅よりも大きい。こうすれば、軸方向から見て、第1筒部131及び第2筒部231の連結部100a側における軸方向端部と重なる中空セル3aにおいて、該軸方向端部が中空セル3aを全て覆わないようにできる。そのため、軸方向から見て、第1筒部131及び第2筒部231の連結部100a側における軸方向端部と重なる中空セル3aで第1筒部131及び第2筒部231の内壁付近を流れる気流を整流できる。従って、第1筒部131及び第2筒部231の該軸方向端部における内壁付近での乱流の発生を抑制又は防止できる。
【0058】
<2.実施形態の変形例>
次に、実施形態の変形例について説明する。以下では、上述の実施形態と異なる構成について説明する。また、上述の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0059】
<2-1.第1変形例>
上述の実施形態では、第2リブ233は、第2軸流ファン2の軸方向下部に設けられる(図3参照)。但し、この例示に限定されず、第2リブ233は、第2軸流ファン2の軸方向上部に設けられてもよい。
【0060】
図8は、第1変形例に係る直列式軸流ファン101の第1変形例を示す断面図である。なお、図8は、中心軸CAを含む仮想の平面で直列式軸流ファン101を切断した場合の断面構造を示す。図8では、第1軸流ファン1及び整流板3の各構成要素の配置は、図3と同じである。但し、第2軸流ファン2の各構成要素の配置は、図3とは上下方向に逆である。
【0061】
第1変形例では、第2リブ233は、整流板3の軸方向下端面と間隙を有して軸方向に対向する。該間隙の最小の軸方向幅(図8ではWri2)は、好ましくは、整流板3の中空セル3aの軸方向と垂直な方向における幅(たとえば図7に示す幅Wc)よりも狭い。こうすれば、中空セル3aの軸方向に垂直な方向における幅よりも狭い間隙を第2リブ233と整流板3との間に設けることにより、第2リブ233による整流効果を保持しつつ、第2リブ233と軸方向に重なる中空セル3aにおける気流の通過量の減少を防止できる。
【0062】
このように、上述の実施形態及び第1変形例によれば、第1リブ133及び第2リブ233のうちの少なくとも一方のリブ133、233は整流板3を介して軸方向に対向する。第2リブ233と整流板3との間隙の最小の軸方向幅は、好ましくはハニカム構造を有する整流板3の六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも狭い。こうすれば、少なくとも一方のリブ133、233と整流板3との間の隙間を、中空セル3aの軸方向に垂直な方向における幅Wcよりも狭く設けることにより、少なくとも一方のリブ133、233による整流効果を保持しつつ、少なくとも一方のリブ133、233と軸方向に重なる中空セル3aにおける気流の通過量の減少を防止できる。その理由は、軸方向において、少なくとも一方のリブ133、233と整流板3との間に間隙がない場合、中空セル3aの入口側と出口側の開口の大きさが異なることは、乱流の原因となり、整流板3での効果を低下させる。さらに、少なくとも一方のリブ133、233と整流板3との間の間隙の軸方向幅が広過ぎる場合、軸方向に流れる気流を少なくとも一方のリブ133、233によって整流する効果が低下するからである。
【0063】
また、第2リブ233と整流板3の軸方向下端面との径方向内側における間隙の軸方向幅Wri2は、好ましくは、第2リブ233と整流板3の軸方向下端面との径方向外側における間隙の軸方向幅Wro2よりも小さい。なお、以下では、第1リブ133と整流板3との径方向内側における間隙の軸方向幅Wri1、及び、第2リブ233と整流板3との径方向内側における間隙の軸方向幅Wri2の総称を「軸方向幅Wri」と呼ぶ。また、第1リブ133と整流板3との径方向外側における間隙の軸方向幅Wro1、及び、第2リブ233と整流板3との径方向外側における間隙の軸方向幅Wro2の総称を「軸方向幅Wro」と呼ぶ。
【0064】
さらに、本実施形態では図7に示すように、軸方向幅Wri2は、整流板3における六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも小さい。一方、軸方向幅Wroは、六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも大きい。このように、本開示では、リブ133、233の径方向内端部と整流板3との間の間隙の軸方向幅Wriは、六角形状の中空セルの2辺間の幅Wcよりも小さい。一方、リブ133、233の径方向外端部と整流板3との間の間隙の軸方向幅Wroは、六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも大きい。空気の圧力及び風量を向上させ、且つ、乱流の発生を抑制するための上記間隙の軸方向幅の最適値は、リブ133、233の径方向内端部と径方向外端部とで異なる。リブ133、233の径方向外端部では、筒部131、231の径方向内側面などの影響を受け易い。そのため、間隙の軸方向幅Wroを中空セル3aの2辺間の幅Wcよりも大きくすることにより、直列式軸流ファン101の圧力-風量特性を向上できる。
【0065】
また、第2リブ233の整流板3と軸方向に対向する部位の幅は、好ましくは、六角形状の中空セル3aの2辺間の幅Wc以下である。なお、該部位は、たとえば、第2リブ233の軸方向上端部である。該幅は、たとえば、第2リブ233の軸方向に垂直な方向における最小の幅である。つまり、第1変形例では、少なくとも一方のリブ133、233の整流板3と軸方向に対向する部位の幅は、六角形状の中空セル3aの2辺間の幅(Wc)以下である。こうすれば、少なくとも一方のリブ133、233により六角形状の中空セル3aが塞がれることがないため、整流板3を第1軸流ファン1から第2軸流ファン2に流れる気流の圧力及び風量を向上させ、且つ、乱流の発生を抑制することができる。
【0066】
また、第1変形例において、第1モータ部12の軸方向下端部は、整流板3を介して、第2モータ部22の軸方向上端部と対向する。ここで、第1モータ部12の軸方向下端部及び第2モータ部22の軸方向上端部のうちの少なくとも一方は、整流板3の軸方向端面に接していてもよい。たとえば、第1モータ部12の軸方向下端部及び第2モータ部22の軸方向上端部の両方が整流板3に当接する場合、第1モータ部12及び第2モータ部22で整流板3を挟んで保持できる。或いは、第1モータ部12の軸方向下端部及び第2モータ部22の軸方向上端部はともに、整流板3の軸方向端面とは隙間を有して軸方向に対向してもよい。
【0067】
<2-2.第2変形例>
上述の実施形態及び第1変形例では、第1開口部13aが第1ハウジング13に設けられる。これと同様に、第2開口部23aが第2ハウジング23に設けられてもよい。図9は、第2変形例に係る直列式軸流ファン102の斜視図である。
【0068】
第2開口部23aは、第2ハウジング23の軸方向上端部に設けられ、軸方向下側に凹む。第2開口部23aは、第1開口部13aと同じ周方向位置に設けられる。なお、以下では、第1開口部13a及び第2開口部23aの総称を「開口部13a、23a」と呼ぶ。
【0069】
第2開口部23aは、第2ハウジング23を径方向に貫通し、特に第2筒部231の一部と第2フランジ部232の一部とを径方向に貫通する。第2開口部23aにおいて、整流板3の径方向外端面が直列式軸流ファン102の外部に露出する。また、整流板3の径方向外端部は、第2開口部23aと同じ位置、又は第2開口部23aよりも径方向内側にある。
【0070】
直列式軸流ファン102には、第1開口部13aとともに第2開口部23aが設けられてもよいし、第1開口部13aに代えて第2開口部23aが設けられてもよい。第2開口部23aが第1開口部13aとともに設けられる場合、第2開口部23aは、好ましくは、第1開口部13aと同じ周方向位置に設けられる。このように、本開示では、連結部100aにおいて、第1ハウジング13及び第2ハウジング23のうちの少なくとも一方のハウジング13、23には、該少なくとも一方のハウジング13、23を径方向に貫通する開口部13a、23aが設けられる。
【0071】
ここで、図4Aから図4Cでは、第1開口部13aが帯状部材4で覆われる。これと同様に、第2開口部23aが帯状部材4で覆われてもよい。このように、本開示では、該帯状部材4は、開口部13a、23aを覆う。こうすれば、帯状部材4によって連結部100aの開口部13a、23aでの空気の漏れを抑制又は防止できる。従って、直列式軸流ファン102の圧力-風量特性を向上できる。さらに、空気の漏れに起因する騒音の発生を抑制又は防止できる。
【0072】
より具体的には、開口部13a、23aが複数である場合、図4Aと同様に、帯状部材4は、全ての開口部13a、23aを覆ってもよい。こうすれば、帯状部材4によって連結部100aの全ての開口部13a、23aでの空気の漏れを抑制又は防止できる。
【0073】
或いは、開口部13a、23aが複数である場合、図4Bと同様に、帯状部材4は、一部の開口部13a、23aを覆ってもよい。こうすれば、一部の開口部13a、23aのみを帯状部材4で覆うため、帯状部材4を節約できる。たとえば、複数の直列式軸流ファン102を設置する際に各々の開口部13a、23aを互いに隣接させる場合、これらの開口部13a、23aでは帯状部材4で覆わなくても空気の漏れを抑制又は防止できるので、特に有効である。
【0074】
若しくは、図4Cと同様に、帯状部材4は、連結部100aの径方向外側面において周方向の全周に渡って巻き付けられてもよい。そして、帯状部材4は、開口部13a、23aを全て覆ってもよい。こうすれば、帯状部材4を設ける作業が容易になる。また、帯状部材4は開口部13a、23aを全て覆うため、開口部13a、23aでの空気の漏れをより確実に防止できる。また、テープ貼り作業の工程数が減るため、テープ貼り作業が容易になる。
【0075】
<2-3.第3変形例>
上述の実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、ハウジング13、23に開口部13a、23aが設けられている。但し、これらの例示に限定されず、ハウジング13、23に開口部13a、23aが設けられなくてもよい。
【0076】
図10は、第3変形例に係る直列式軸流ファン103の斜視図である。また、図11は、図10の一点鎖線E-Eに沿う直列式軸流ファン103の断面図である。なお、図10は、中心軸CAを含む仮想の平面で直列式軸流ファン103を切断した場合の断面構造を示す。図11は、軸方向と垂直な仮想の平面で直列式軸流ファン103を切断した断面構造を示す。
【0077】
第3変形例では、ハウジング13、23に開口部13a、23aは設けられない。その一方で、図10及び図11に示すように、第1ハウジング13は、第1壁部134をさらに有する。第1壁部134は、周方向に隣り合う第1脚部132b間に設けられる。つまり、第1壁部134の周方向一方端部は周方向に隣り合う第1脚部132bのうちの一方に接続される。第1壁部134の周方向他方端部は周方向に隣り合う第1脚部132bのうちの他方に接続される。
【0078】
また、第1壁部134は、第1ハウジング13の軸方向下端部に設けられ、第1ハウジング13の軸方向下端面の径方向外端部から軸方向下側に突出する。そして、第1壁部134は、第2ハウジング23の軸方向上端面に当接する。より具体的には、第3変形例では、第1壁部134は、第1筒部131の軸方向下端面及び第1フランジ部132の軸方向下端面に設けられる。つまり、第1壁部134の一部は、第1筒部131の軸方向下端面の径方向外端部から軸方向下側に突出し、第2筒部の軸方向上端部に当接する。また、第1壁部134の残りの一部は、第1フランジ部132の軸方向下端面の径方向外端部から軸方向下側に突出し、第2フランジ部232の軸方向上端部に当接する。これにより、整流板3の径方向外側面を第1ハウジング13の外部に露出させることなく、軸方向における第1筒部131と第2筒部231との間、且つ、第1壁部134よりも径方向内側の空間に整流板3を収容できる。また、たとえば図11のように、少なくとも一部の第1壁部134の径方向内側面に整流板3の径方向外端部が当接することにより、軸方向に垂直な方向における整流板3の位置決めができる。
【0079】
なお、図10及び図11の第1壁部134と同様に、第2ハウジング23は、図12に示すように、第2壁部234を有してもよい。図12は、第2壁部234の一例を示す断面図である。なお、図12は、たとえば、図9の一点鎖線F-Fに沿う断面構造に対応する。
【0080】
第2壁部234は、第2ハウジング23の軸方向上端部に設けられる。そして、第2壁部234は、第2ハウジング23の軸方向上端面の径方向外端部から軸方向上側に突出し、第1ハウジング13の軸方向下端面に当接する。たとえば、第2壁部234は、第1筒部131の軸方向下端面、第1フランジ部132の軸方向下端面に当接する。或いは、第2壁部234は、図12のように第1ハウジング13に設けられた第1壁部134の軸方向下端部に当接する。なお、以下では、第1壁部134及び第2壁部234の総称を「壁部134、234」と呼ぶ。
【0081】
このように、本開示では、第1ハウジング13及び前記第2ハウジング23のうちの少なくとも一方のハウジング13、23の連結部100a側の軸方向端部には、該少なくとも一方のハウジング13、23の径方向外端部から軸方向に突出する壁部134、234が設けられる。壁部134、234は、周方向に隣り合う脚部132b、232b間に設けられる。こうすれば、ハウジング13、23の一方の軸方向端部に設けられる壁部134、234の一方が、ハウジング13、23の他方、又はハウジング13、23の他方の軸方向端部に設けられる壁部134、234の他方に当接する。これにより、整流板3の径方向外側面をハウジング13、23の外部に露出させることなく、軸方向における第1筒部131と第2筒部231との間、且つ、壁部134、234よりも径方向内側の空間に整流板3を収容できる。従って、連結部100aにおける気流の漏れをさらに抑制できる。よって、直列式軸流ファン103の圧力-風量特性を向上できる。さらに、空気の漏れに起因する騒音の発生を抑制又は防止できる。また、たとえば図11のように、少なくとも一部の壁部134、234の径方向内側面に整流板3の径方向外端部が当接することにより、軸方向に垂直な方向における整流板3の位置決めができる。従って、直列式軸流ファン103の組み立て作業がし易くなり、直列式軸流ファン103の組み立て公差を低減することができる。
【0082】
<3.その他>
以上、本開示では、例示的な実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は本開示に限定されない。本開示は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、本開示で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示は、2つの軸流ファン1、2が直列に連結される装置に有用である。
【符号の説明】
【0084】
100、101、102、103・・・直列式軸流ファン、100a・・・連結部、1・・・第1軸流ファン、11・・・第1インペラ、111・・・第1羽根、12・・・第1モータ部、13・・・第1ハウジング、13a・・・第1開口部、131・・・第1筒部、131a・・・第1凹部、132・・・第1フランジ部、132a・・・第1平面部、132a・・・第1脚部、133・・・第1リブ、134・・・第1壁部、14・・・第1リード線、2・・・第2軸流ファン、21・・・第2インペラ、211・・・第2羽根、22・・・第2モータ部、23・・・第2ハウジング、23a・・・第2開口部、231・・・第2筒部、231a・・・第2凹部、232・・・第2フランジ部、232a・・・第2平面部、233・・・第2リブ、234・・・第2壁部、24・・・第2リード線、3・・・整流板、3a・・・中空セル、31・・・隔壁、4・・・帯状部材、CA・・・中心軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12