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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】環境発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/10 20060101AFI20220614BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H02M7/10
H02M7/10 B
H02M3/155 W
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018215145
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020088923
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 育平
(72)【発明者】
【氏名】中寺 和哉
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-43526(JP,A)
【文献】特開2004-274972(JP,A)
【文献】特開2017-11964(JP,A)
【文献】特開2009-278782(JP,A)
【文献】特開2017-225350(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/359378(US,A1)
【文献】国際公開第2006/30497(WO,A1)
【文献】特開2015-23406(JP,A)
【文献】特開2012-186102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00-7/40
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ電磁波エネルギーを受ける複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続され、誘起電力を交流直流変換し、出力部が直列接続された複数の整流回路と、
前記複数の整流回路の直列出力部の電圧をそれぞれ昇圧する複数の昇圧回路と、
前記複数の昇圧回路の出力でそれぞれ充電される複数の蓄電池又は蓄電器と、
前記複数の蓄電池又は蓄電器を直列接続して負荷に接続する接続状態切替回路と、
を備える環境発電装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナは、搬送周波数が互いに異なる複数の搬送周波数の電磁波をそれぞれ受波するアンテナを備える、
請求項1に記載の環境発電装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナそれぞれは導体膜又は導体層で構成される共通の面状導体に接続されるループアンテナである、
請求項1又は2に記載の環境発電装置。
【請求項4】
前記複数のアンテナそれぞれは導体膜又は導体層で構成される共通の面状導体で形成されるループアンテナである、
請求項1又は2に記載の環境発電装置。
【請求項5】
前記面状導体は、前記複数の整流回路のグランド導体若しくは前記複数の昇圧回路のグランド導体、又は前記複数の整流回路のグランド導体及び前記複数の昇圧回路のグランド導体である、
請求項3又は4に記載の環境発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境中の電磁波エネルギーを回収して電力として利用する環境発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「環境発電」とは、エナジーハーベスティング(Energy Harvesting)とも呼ばれ、その一つは、環境中に薄く広く存在する電磁波エネルギーから微弱な電力を回収して利用する技術である。このような環境発電を行う環境発電装置は、系統電源から分離された独立した電源でありながら、一次電池のような定期的な電池交換が不要であるので、付加価値の高い電源装置としての応用が期待されている。
【0003】
環境発電装置の例として、特許文献1には、水平偏波の電磁波を受ける第1アンテナ素子と、垂直偏波の電磁波を受ける第2アンテナ素子とを備え、異なる偏波の電磁波を受けて電磁波エネルギーを回収する装置が示されている。また、特許文献1には、水平偏波で送信される電磁波の周波数に応じたアンテナと、垂直偏波で送信される電磁波の周波数に応じたアンテナとを備えて、それぞれの電磁波エネルギーを回収する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-43526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電磁波エネルギー回収装置では、複数の整流部の出力が直列接続又は並列接続されることによって電力合成されるが、限られた面積に構成可能なアンテナの数は多くなく、上記複数の整流部の出力が直列接続されても、得られる直流電圧は高くない。そのため、比較的高電圧を要する負荷を作動させることは困難であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、大型化を抑えつつ、比較的高電圧を要する負荷を作動させることのできる環境発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例としての環境発電装置は、
それぞれ電磁波エネルギーを受ける複数のアンテナと、
前記複数のアンテナにそれぞれ接続され、誘起電力を交流直流変換し、出力部が直列接続された複数の整流回路と、
前記複数の整流回路の直列出力部の電圧をそれぞれ昇圧する複数の昇圧回路と、
前記複数の昇圧回路の出力でそれぞれ充電される複数の蓄電池又は蓄電器と、
前記複数の蓄電池又は蓄電器を直列接続して負荷に接続する接続状態切替回路と、を備える。
【0008】
上記構成により、昇圧回路によって複数の整流回路の直列出力部の電圧がそれぞれ昇圧され、さらに、負荷へ電源電圧を供給する状態で、複数の蓄電池又は蓄電器が直列接続されて負荷に電源電圧が供給される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の環境発電装置によれば、大型化を抑えつつ、比較的高電圧を要する負荷を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は第1の実施形態に係る環境発電装置及びセンサの構成を示すブロック図である。
図2図2は第1の実施形態に係る環境センサ201の正面図である。
図3図3は環境センサ201の断面図である。
図4図4は環境センサ201の回路図である。
図5図5は第2の実施形態に係る整流回路を示す図である。
図6図6は第2の実施形態に係る別の整流回路を示す図である。
図7図7は第3の実施形態に係る環境センサ203Aの正面図である。
図8図8は第3の実施形態に係る別の環境センサ203Bの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明に係る環境発電装置における幾つかの態様について列挙する。
【0012】
本発明に係る第1の態様の環境発電装置は、それぞれ電磁波エネルギーを受ける複数のアンテナと、前記複数のアンテナにそれぞれ接続され、誘起電力を交流直流変換し、出力部が直列接続された複数の整流回路と、前記複数の整流回路の直列出力部の電圧をそれぞれ昇圧する複数の昇圧回路と、前記複数の昇圧回路の出力でそれぞれ充電される複数の蓄電池又は蓄電器と、前記複数の蓄電池又は蓄電器を直列接続して負荷に接続する接続状態切替回路と、を備える。この構成により、複数の昇圧回路によってそれぞれ昇圧された電圧で蓄電池又は蓄電器が充電され、さらに、負荷へ電源電圧を供給する状態で、複数の蓄電池又は蓄電器が直列接続されて負荷に電源電圧が供給されるので、比較的少ない数のアンテナで、比較的高電圧を要する負荷を作動させることができる。
【0013】
本発明に係る第2の態様の環境発電装置では、前記複数のアンテナは、搬送周波数が互いに異なる複数の搬送周波数の電磁波をそれぞれ受波するアンテナを備える。この構造によれば、放送や通信等、目的の異なる複数の電磁波のエネルギーを同時に回収できる。
【0014】
本発明に係る第3の態様の環境発電装置では、前記複数のアンテナそれぞれは導体膜又は導体層で構成される共通の面状導体に接続されるループアンテナである。この構造によれば、複数のアンテナの配置スペースが縮小化される。
【0015】
本発明に係る第4の態様の環境発電装置では、前記複数のアンテナそれぞれは導体膜又は導体層で構成される共通の面状導体で形成されるループアンテナである。この構造によれば、複数のアンテナの配置スペースが縮小化される。また、複数のアンテナが近接しても、それらアンテナ同士の干渉を抑制できる。
【0016】
本発明に係る第5の態様の環境発電装置では、前記面状導体は、前記複数の整流回路のグランド導体若しくは前記複数の昇圧回路のグランド導体、又は前記複数の整流回路のグランド導体及び前記複数の昇圧回路のグランド導体である。この構造によれば、複数の整流回路又は複数の昇圧回路と共に複数のアンテナを集積化でき、複数のアンテナの配置スペースが縮小化される。また、複数のアンテナ同士の干渉を抑制できる。
【0017】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明又は理解の容易性を考慮して、実施形態を説明の便宜上分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせは可能である。第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0018】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係る環境発電装置及び環境センサの構成を示すブロック図である。この環境センサ201は環境発電装置101と負荷50とで構成される。環境発電装置101は、アンテナ11~14と、整流回路21~24と、昇圧回路31,32と、蓄電池41,42とを備える。この環境発電装置101に負荷50が接続されている。
【0019】
アンテナ11~14は、後に例示するように、例えばループアンテナであり、それぞれ電磁波エネルギーを受ける。例えば、アンテナ11は中心周波数550MHzの所定周波数帯の地デジ放送波を受ける。アンテナ12は2.4GHz帯の無線LANの通信波を受ける。アンテナ13は中心周波数920MHzの所定周波数帯の携帯電話基地局の送信波を受ける。さらに、アンテナ14は5GHz帯の無線LANの通信波を受ける。
【0020】
整流回路21~24は、アンテナ11~14にそれぞれ接続され、アンテナ11~14の誘起電力(電圧)をそれぞれ整流(交流直流変換)する。これら整流回路21~24の出力部は直列接続されている。
【0021】
昇圧回路31,32は、整流回路21~24の直列出力部の電圧をそれぞれ昇圧する。蓄電池は例えばリチウムイオン二次電池であり、昇圧回路31,32でそれぞれ充電される。
【0022】
環境発電装置101は、後に示すように、蓄電池41,42の出力を負荷50へ供給する際、蓄電池41,42を直列接続して負荷に接続する接続状態切替回路を更に備える。
【0023】
負荷50は例えば温度・湿度等のセンサを含む回路であり、所定条件で測定データを無線送信する。
【0024】
図2は第1の実施形態に係る環境センサ201の正面図である。図3は環境センサ201の断面図である。
【0025】
環境センサ201は、図1に示した環境発電装置101と負荷50とが一体化された装置である。図2に表れているように、環境センサ201は基板9を備え、この基板9の第1面にアンテナ導体パターン11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14b及び面状導体10が形成されている。これらアンテナ導体パターン11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14b及び面状導体10は例えばCu箔をパターンニングしたものである。また、基板9の第1面には整流回路モジュール21M,22M,23M,24Mが実装されている。図2においては、整流回路モジュール21M,22M,23M,24Mを破線で表している。
【0026】
アンテナ導体パターン11a,11bと面状導体10とで、一つのループアンテナ(図1中のアンテナ11)が構成されている。また、アンテナ導体パターン12a,12bと面状導体10とで一つのループアンテナ(図1中のアンテナ12)が構成されている。同様に、アンテナ導体パターン13a,13bと面状導体10とで一つのループアンテナ(図1中のアンテナ13)が構成されている。さらに、アンテナ導体パターン14a,14bと面状導体10とで一つのループアンテナ(図1中のアンテナ14)が構成されている。
【0027】
図3に表れているように、基板9の第2面には昇圧回路31、蓄電池41等が設けられている。昇圧回路31はDC-DCコンバータモジュールで構成されている。図3の断面では表れていないが、昇圧回路32及び蓄電池42も基板9の第2面に設けられている。基板9の第1面に形成されている面状導体10は、整流回路21~24のグランド導体及び昇圧回路31,32のグランド導体である。
【0028】
基板9の第1面にはレジスト膜またはカバーレイが設けられていてもよい。また、アンテナ導体パターン11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14b及び面状導体10は多層基板の内層の導体層で形成されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、アンテナ11~14それぞれは導体膜又は導体層で構成される共通の面状導体に接続されるループアンテナであるので、複数のアンテナの配置スペースが縮小化される。また、面状導体10が、整流回路21~24のグランド導体及び昇圧回路31,32のグランド導体でもあるので、アンテナ11~14の相互干渉が抑制される。さらに、アンテナ11~14が近接しても、それらアンテナ同士は面状導体10を介して離間しているので、その点でも、アンテナ11~14の相互干渉は抑制される。
【0030】
図4は環境センサ201の回路図である。図4においてはアンテナ11~14をそれぞれ交流電圧源の記号で表している。整流回路21~24それぞれは、整流ダイオードD1,D2及びキャパシタC1,C2で構成される倍電圧整流回路である。これら整流回路21~24の出力は直列接続されている。
【0031】
昇圧回路31,32それぞれは、入力キャパシタCi、出力キャパシタCo、インダクタL1、スイッチ素子Q1、ダイオードD3及び制御回路CNTで構成される昇圧コンバータである。昇圧回路31の出力には蓄電池41が接続されていて、昇圧回路32の出力には蓄電池42が接続されている。制御回路CNTは入力電圧を電源電圧として動作し、スイッチ素子Q1を所定のスイッチング周波数でON/OFF制御する。
【0032】
整流回路21~24の直列出力部に昇圧回路31,32の入力部がそれぞれ接続されている。つまり、昇圧回路31,32の入力部は並列接続されている。但し、この例では、昇圧回路31のグランドG1と昇圧回路32のグランドG2との間に逆流防止用ダイオードD14が挿入されている。
【0033】
蓄電池41,42はスイッチ回路SWを介して直列接続される。スイッチ回路SWは例えばMOS-FETである。このスイッチ回路SWは本発明に係る「接続状態切替回路」に相当する。つまり、スイッチ回路SWの導通状態で、蓄電池41,42が直列接続されて、蓄電池41,42の加算電圧が負荷50に電源電圧として供給される。なお、負荷50の電源電圧印加部にはキャパシタCoutが並列接続されている。
【0034】
負荷50はスイッチ回路SWに対する制御信号を出力する回路を備える。この例では、蓄電池42の電圧が所定の閾値を超えると、スイッチ回路SWを導通させて、温度・湿度等の測定値を無線送信する。この無線送信に要する電力量は蓄電池41,42から供給される。一回の無線送信は極短時間で完了し、その後は、再び蓄電池41,42の充電が開始される。
【0035】
例えば、整流回路21~24の直列出力部の電圧は0.38V~3.3Vであり、蓄電池41,42の定格電圧は2.3V、上限充電電圧は2.7V、下限放電電圧は1.8Vである。負荷50の定格電源電圧は3V、200μAである。また、上記無線送信に要する電力量は、例えば5μWh/回、30μW/日である。
【0036】
なお、昇圧回路31,32の制御回路CNTに、蓄電池41,42の電圧を電源電圧として供給するように回路を構成してもよい。また、負荷50はキャパシタCoutの電圧が所定の閾値を超えたときスイッチ回路SWを導通させるように構成してもよい。
【0037】
また、逆流防止用ダイオードD14に代えて、MOS-FET等によるスイッチ回路を設け、このスイッチ回路を負荷50から出力される制御信号で制御するように構成してもよい。
【0038】
《第2の実施形態》
第2の実施形態では、第1の実施形態で示した整流回路とは構成が異なる整流回路について示す。
【0039】
図5は第2の実施形態に係る整流回路を示す図である。整流回路21,22それぞれは、整流ダイオードD1,D2及びキャパシタC1,C2で構成される倍電圧整流回路である。これら整流回路21,22の出力は直列接続されている。
【0040】
同様にして、3つ以上のダイオード及び3つ以上のキャパシタを備えて、コッククロフト・ウォルトン回路を構成することで、N倍電圧整流回路を構成してもよい。
【0041】
図6は第2の実施形態に係る別の整流回路を示す図である。図6においては、アンテナ11,12をループアンテナとして表している。この整流回路21,22は、キャパシタCa,Cb、ダイオードDa及び線路SLで構成されている。キャパシタCaはローパスフィルタを構成する。線路SLは1/4波長線路であり、この線路SLとキャパシタCbとで出力フィルタ回路が構成されている。整流回路21,22に入力される基本波はキャパシタCbで全反射され、ダイオードDaのカソード端で定在波が腹となる。また、ダイオードDaから出力フィルタ回路を視たインピーダンスは、3f,5f,…の奇高調波に関しては開放、2f,4f,…の偶高調波に関しては短絡に見えるので、これら高調波の合成によって、ダイオードDaに半波倍電流が流れ、回路全体としては倍電圧整流される。
【0042】
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、第1の実施形態で示したアンテナとは構成が異なるアンテナを例示する。
【0043】
図7は第3の実施形態に係る環境センサ203Aの正面図である。環境センサ203Aは、基板9を備え、この基板9の第1面に面状導体10が形成されている。この面状導体10には、それぞれ矩形状の導体開口部H1,H2,H3,H4が形成されている。面状導体10は例えばCu箔をパターンニングしたものである。これら導体開口部H1,H2,H3,H4によって4つのループアンテナが構成されている。つまり、導体開口部H1,H2,H3,H4の内周がそれぞれループアンテナとして作用する。導体開口部H1によって、中心周波数550MHzのアンテナが構成され、導体開口部H2によって、中心周波数920MHzのアンテナが構成され、導体開口部H3によって、中心周波数2.4GHzのアンテナが構成され、導体開口部H4によって、中心周波数5GHzのアンテナが構成される。
【0044】
図7中で“+”,“-”記号を付した箇所は基板9の第2面にビア導体を介して引き出され、基板9の第2面に形成された整流回路にそれぞれ接続されている。
【0045】
基板9の第1面にはレジスト膜またはカバーレイが設けられていてもよい。また、面状導体10は多層基板の内層の導体層で形成されていてもよい。
【0046】
基板9の第2面には、整流回路以外に昇圧回路、蓄電池も設けられている。環境センサ203Aの全体の構成は図1に示したとおりである。
【0047】
例えば、図7に示した導体開口部H1によるアンテナに接続された整流回路の出力電圧が0.1V、導体開口部H2によるアンテナに接続された整流回路の出力電圧が0.2V、導体開口部H3によるアンテナに接続された整流回路の出力電圧が0.1V、導体開口部H4によるアンテナに接続された整流回路の出力電圧が0.1Vであると、それらの加算電圧である0.5Vが昇圧回路に入力されることになる。
【0048】
図8は第3の実施形態に係る別の環境センサ203Bの正面図である。環境センサ203Bは、基板9を備え、この基板9の第1面に面状導体10が形成されている。この面状導体10には、それぞれ矩形状の導体開口部H1~H8が形成されている。これら導体開口部H1~H8によって8つのループアンテナが構成されている。つまり、導体開口部H1~H8の内周がそれぞれループアンテナとして作用する。これらループアンテナはいずれも中心周波数2.4GHzのアンテナとして作用する。
【0049】
図8中で“+”,“-”記号を付した箇所は基板9の第2面にビア導体を介して引き出され、基板9の第2面に形成された整流回路にそれぞれ接続されている。
【0050】
基板9の第2面には、整流回路以外に昇圧回路、蓄電池も設けられている。環境センサ203Bの全体の構成は図1に示したとおりである。
【0051】
図8に示した導体開口部H1~H8によるアンテナに接続された整流回路の出力電圧がそれぞれ例えば0.1Vであると、それらの加算電圧である0.8Vが昇圧回路に入力されることになる。
【0052】
第3の実施形態によれば、複数の整流回路又は複数の昇圧回路と共に複数のアンテナを集積化できるので、複数のアンテナの配置スペースが縮小化される。また、面状導体10が、整流回路及び昇圧回路のグランド導体でもあるので、アンテナの相互干渉が抑制される。さらに、開口H1~H4、H1~H8が近接しても、それらアンテナ同士は面状導体10を介して離間しているので、その点でも、アンテナの相互干渉は抑制される。
【0053】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形及び変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【0054】
例えば、昇圧回路が充電する素子は二次電池に限らず、電気二重層キャパシタ等の大容量キャパシタであってもよい。
【0055】
また、アンテナはループアンテナ以外にダイポールアンテナやスロットアンテナであってもよい。
【0056】
また、昇圧回路と蓄電池の組は2組に限らず、3組以上備え、それらの昇圧回路に複数の整流回路の直列出力部の電圧を印加するように構成してもよい。
【0057】
また、面状導体10は、複数の整流回路又は複数の昇圧回路の一方のグランド導体であってもよい。
【0058】
また、環境発電装置は環境センサ以外に、所定のタイミングで外部からの操作で表示内容が書き換えられる表示器等、定常時には環境の電磁波エネルギーを蓄電し、必要な時点で短時間に消費する装置に同様に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
C1,C2…キャパシタ
Ca,Cb…キャパシタ
Ci…入力キャパシタ
CNT…制御回路
Co…出力キャパシタ
Cout…キャパシタ
D1,D2…整流ダイオード
D3…ダイオード
D14…逆流防止用ダイオード
Da…ダイオード
H1,H2,H3,H4…導体開口部
L1…インダクタ
Q1…スイッチ素子
SL…1/4波長線路
SW…スイッチ回路
9…基板
10…面状導体
11~14…アンテナ
11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14b…アンテナ導体パターン
21~24…整流回路
21M,22M,23M,24M…整流回路モジュール
31,32…昇圧回路
41,42…蓄電池
50…負荷
101…環境発電装置
201,203A,203B…環境センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8