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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/00 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
B66B23/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019053471
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020152539
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅昭
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/225247(WO,A1)
【文献】特開2018-203504(JP,A)
【文献】特開2015-124075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアであって、
無端状に連結された踏段と、
前記踏段の駆動を制御する制御装置と、
交流電源から供給される交流電力から直流電力を生成し、生成した直流電力を前記制御装置に供給する直流電源装置と、
注意喚起音を出力する音声出力部と、
挿入されたキーを初期位置を挟む第1位置及び第2位置へ回転させる第1回転操作及び第2回転操作を受け付けるキースイッチと、
前記キースイッチに対する操作に応じて前記直流電源装置への交流電力の供給を制御する電源制御リレーと、を備え、
前記第1回転操作は、前記音声出力部に注意喚起音を出力させるための操作であり、
前記第2回転操作は、前記乗客コンベアの運転を停止させるための操作であり、
前記電源制御リレーは、
前記交流電源から前記直流電源装置に交流電力を供給するための第1及び第2電源線上に配置される接点と、前記キースイッチに接続されるセット端子及びリセット端子と、前記第2電源線に接続されるコモン端子とを備え、前記セット端子と前記コモン端子との間に交流電圧が印加されると、前記接点を閉じ、前記リセット端子と前記コモン端子との間に交流電圧が印加されると、前記接点を開き、一方の端子に交流電圧が印加されると、当該端子に交流電圧が印加されなくなっても、他方の端子に交流電圧が印加されるまでの間は、前記一方の端子に交流電圧が印加されたときの接点の状態をキープするキープリレーであり、
前記キースイッチは、ブザースイッチと、停止スイッチとを含み、
前記ブザースイッチは、前記第1回転操作されている間だけ閉じ、前記ブザースイッチの一方の端子は前記第1電源線に接続され、前記ブザースイッチの他方の端子は前記セット端子に接続され、
前記停止スイッチは、前記第2回転操作されている間だけ閉じ、前記停止スイッチの一方の端子は前記第1電源線に接続され、前記停止スイッチの他方の端子は前記リセット端子に接続されている、
乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータの制御を行う制御回路の制御電源を切断可能な乗客コンベアを開示している。具体的に、特許文献1では、初期位置からBZ位置(ブザー位置)、停止位置以外にCUT位置に回転可能とされたキースイッチが設けられており、当該キースイッチがCUT位置に回転されると制御電源が切断され、待機電力が削減されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-124075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗客コンベアにおける一般的なブザー・停止キースイッチは、初期位置を挟むブザー位置と停止位置とにだけ回転可能である。特許文献1の乗客コンベアでは、制御電源を切断するためには乗客コンベアを停止させた後にキースイッチをCUT位置への回転操作を行う必要があり、この操作を忘れると制御電源が切断されず、待機電力が発生し続けることとなる。
【0005】
本発明は、キースイッチに対する操作により運転停止中における待機電力を確実に削減することができる乗客コンベアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗客コンベアは、
無端状に連結された踏段と、
踏段の駆動を制御する制御装置と、
交流電源から供給される交流電力から直流電力を生成し、生成した直流電力を制御装置に供給する電源装置と、
注意喚起音を出力する音声出力部と、
挿入されたキーを初期位置を挟む第1位置及び第2位置へ回転させる第1回転操作及び第2回転操作を受け付けるキースイッチと、
電磁継電器と、を備え、
第1回転操作は、音声出力部に注意喚起音を出力させるための操作であり、
第2回転操作は、当該乗客コンベアの運転を停止させるための操作であり、
電磁継電器は、
交流電源から電源装置に交流電力を供給するための電源線上に配置される接点を備え、
キースイッチに対して第1回転操作がなされると接点を閉じ、
キースイッチに対して第2回転操作がなされると接点を開く。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キースイッチに対する操作により運転停止中における待機電力を確実に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるエスカレータの概略側面図である。
図2】実施の形態1におけるエスカレータの上部側のインレット周辺の拡大側面図である。
図3】実施の形態1におけるエスカレータの制御電源システムの回路図である。
図4】実施の形態1におけるエスカレータのブザーの鳴動回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(実施の形態1)
1.構成
図1は、実施の形態1におけるエスカレータの概略側面図である。エスカレータ1は、乗客コンベアの一例である。
【0011】
エスカレータ1は、エスカレータ本体10、モータ20、インバータ30、制御装置40などを有する。
【0012】
エスカレータ本体10は、建築物の2つの階床F1、F2間に架け渡された状態で設置される。エスカレータ本体10は、無端状に連結された複数の踏段11と、欄干18などにより支持された左右一対の無端状のハンドレール12と、モータ20の動力を踏段11及びハンドレール12に伝達する動力伝達機構(不図示)と、乗り口5及び降り口6の床面をそれぞれ構成するフロアプレート19等を有する。複数の踏段11及びハンドレール12は、インバータ30から供給される電力により駆動されるモータ20の動力により循環駆動される。図1では、階床F1に乗り口5が設けられ、階床F2に降り口6が設けられたエスカレータを例示しているが、本発明では階床F2に乗り口が設けられ、階床F1に降り口6が設けられていてもよい。
【0013】
動力伝達機構は、複数の踏段11を無端状に連結するステップチェーンや、ステップチェーンを循環駆動させるスプロケットや、スプロケットへのモータ20の動力の伝達を遮断するブレーキなどを有する。
【0014】
制御装置40は、インバータ30の動作を制御することで、モータ20の駆動を制御し、もって、踏段11の駆動、つまりエスカレータ1の運転を制御する。
【0015】
制御装置40は、制御部と記憶部と入出力インタフェースとを有する。制御装置40は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を利用して構成される。記憶部は、例えばフラッシュメモリにより構成され、プログラムや種々のデータを格納している。プログラムには、本実施の形態の制御装置40における各種機能を実現するためのプログラムが含まれている。制御部は、例えばCPU、MPUなどにより構成され、記憶部からプログラム及びデータを読み出し、読み出したプログラム及びデータに基づく演算処理を行う。これにより、制御装置における各種の機能が実現される。入出力インタフェースは、制御装置に接続される各種装置との間で信号を入出力するためのインタフェースであり、信号形式の変換などを行う。なお、制御装置40は、汎用的なコンピュータを利用して構成されてもよい。また、制御装置40は、電子回路やリレーシーケンス回路などのハードウェアのみにより構成されてもよい。
【0016】
図2は、実施の形態1におけるエスカレータ1の上部側インレット周辺の拡大側面図である。
【0017】
エスカレータ1の上部側(本例では降り口6側)のインレット16周辺のスカートガード17には、ブザー160、方向表示灯101と、運転方向切替スイッチ102と、ブザー・停止スイッチ103とが設けられている。
【0018】
ブザー160は、エスカレータ1の起動時に利用者への注意喚起を行うためのブザー音を発生する。ブザー160は、音声出力部の一例である。ブザー音は、注意喚起音の一例である。
【0019】
方向表示灯101は、運転方向を示す矢印表示と、進入禁止を示す進入禁止表示とを有し、現在の運転方向に応じて、いずれか一方の表示が点灯状態とされる。
【0020】
ブザー・停止スイッチ103は、挿入されたキーを初期位置を挟む「BUZZER」位置と「STOP」位置との間で回転させることが可能なキースイッチである。キーを挿入して「BUZZER」位置側に回転させると、ブザー160にブザー音を出力させることができる。キーを挿入して「STOP」位置側に回転せると、エスカレータ1の運転を停止させることができる。なお、ブザー・停止スイッチ103は、リターンスプリングを内蔵しており、「STOP」位置または「BUZZER」位置への回転操作が行われた後、キーから手が離されると、初期位置に復帰する。
【0021】
運転方向切替スイッチ102は、挿入されたキーを初期位置を挟む「UP」位置と「DOWN」位置との間で回転させることが可能なキースイッチである。キーを挿入して「UP」位置側に回転させると、エスカレータ1をUP方向に運転させることができる。キーを挿入して「DOWN」位置側に回転させると、エスカレータ1をDOWN方向に運転させることができる。なお、運転方向切替スイッチ102は、リターンスプリングを内蔵しており、「UP」位置または「DOWN」位置への回転操作が行われた後、キーから手が離されると、初期位置に復帰する。
【0022】
図3は、実施の形態1におけるエスカレータの制御電源システムの回路図である。
【0023】
制御電源システムは、交流電源に接続された電源線L1、L2間に接続された電源制御リレー110及び電源装置150を有する。電源装置150は、機器制御用電源装置151及び制御装置用電源装置152を含む。
【0024】
機器制御用電源装置151は、電源線L1、L2間に接続され、交流電力(商用電力)を入力して第1電圧(例えばDC96V)の直流電力を生成し、生成した直流電力を、動力伝達機構を構成するブレーキの電磁ソレノイドや安全装置などに供給する。機器制御用電源装置151は、交流電力から第1電圧の直流電力を生成できる限り、どのような回路構成を有していてもよい。第1電圧は、DC96Vでなく、その他の電圧に設定されてもよい。
【0025】
制御装置用電源装置152は、電源線L1、L2間に接続され、交流電力を入力して第2電圧(例えばDC24V)の直流電力を生成し、生成した直流電力を制御装置40に供給する。制御装置用電源装置152は、交流電力から第2所定電圧の直流電力を生成できる限り、どのような回路構成を有していてもよい。第2電圧は、例えばDC24Vでなく、その他の電圧に設定されてもよい。
【0026】
ブザー・停止スイッチ103は、ブザースイッチ103aと、停止スイッチ103bとを含む。ブザースイッチ103aは、ブザー・停止スイッチ103にキーが挿入されて「BUZZER」位置側に回転操作されている間だけ閉じる。ブザースイッチ103aの一方の端子は電源線L1に接続され、ブザースイッチ103aの他方の端子は電源制御リレー110のセット端子に接続されている。停止スイッチ103bは、ブザー・停止スイッチ103にキーが挿入されて「STOP」位置側に回転操作されている間だけ閉じる。停止スイッチ103bの一方の端子は電源線L1に接続され、停止スイッチ103bの他方の端子は電源制御リレー110のリセット端子に接続されている。
【0027】
電源制御リレー110は、ブザー・停止スイッチ103を介して電源線L1、L2の2線間に接続されている。セット端子及びリセット端子は上述のようにブザー・停止スイッチ103に接続され、コモン端子は電源線L2に接続されている。電源制御リレー110の接点110aが、電源線L1、L2のそれぞれに設けられている。具体的に、接点110aは、電源線L1、L2のそれぞれに、電源制御リレー110及びブザー・停止スイッチ103の接続部と、機器制御用電源装置151及び制御装置用電源装置152の接続部との間において接続されている。電源制御リレー110は、セット端子とコモン端子との間に交流電圧が印加されると、接点110aを閉じ、リセット端子とコモン端子との間に交流電圧が印加されると、接点110aを開く。電源制御リレー110は、一方の端子に交流電圧が印加されると、当該端子に交流電圧が印加されなくなっても、他方の端子に交流電圧が印加されるまでの間は、前記一方の端子に交流電圧が印加されたときの接点110aの状態をキープするキープリレー(ラチェットリレー)である。
【0028】
図4は、実施の形態1におけるエスカレータのブザー160の鳴動回路の回路図である。
【0029】
ブザー160は、機器制御用電源装置151の+端子に接続されたプラス線とG端子に接続されたグランド線との間に、制御装置40が有するブザー接点40aを介して接続されている。制御装置40のブザー接点40aは、ブザー・停止スイッチ103のブザースイッチ103aが閉じている間だけ閉じるように構成されている。
【0030】
2.動作等
エスカレータの管理者が、エスカレータ1の起動操作及び停止操作を行ったときのエスカレータ1の動作について説明する。
【0031】
エスカレータ1の管理者が、エスカレータ1を起動させる際には、まず、ブザー・停止スイッチ103にキーを挿入して「BUZZER」位置側に回転させる。そうすると、ブザースイッチ103aが閉じ、電源制御リレー110のセット端子とコモン端子との間に交流電圧が印加され、接点110aが閉じる。これにより、機器制御用電源装置151の入力端子間に交流電圧が印加され、機器制御用電源装置151により第1電圧の直流電力が生成され、生成された直流電力がブレーキの電磁ソレノイドや安全装置などに供給される。またこのとき、制御装置用電源装置152の入力端子間に交流電圧が印加され、制御装置用電源装置152により第2電圧の直流電力が生成され、生成された直流電力が制御装置40に供給される。制御装置40に直流電力が供給されたときには、ブザー・停止スイッチ103のブザースイッチ103aが閉じているので、制御装置40のブザー接点40aが閉じ、ブザー160に、機器制御用電源装置151で生成された直流電圧が印加される。これにより、ブザー160がブザー音を出力する(鳴動する)。よって、エスカレータ1の周囲にいる人々に対して注意が喚起される。
【0032】
ブザー・停止スイッチ103に挿入されたキーから管理者の手が離れると、リターンスプリングの付勢力によりキーが初期位置に回転する。これにより、ブザースイッチ103aが開いて、制御装置40のブザー接点40aも開き、ブザー150からのブザー音の出力が停止する。エスカレータの運転を開始させるためには、管理者は、ブザー・停止スイッチ103からキーを抜き取って、運転方向切替スイッチ102にキーを挿入し、挿入した状態で「UP」方向と「DOWN」方向のうち所望の側に回転させる。そうすると、制御装置40は、エスカレータ1を、「UP」方向と「DOWN」方向のうち選択された運転方向に運転を開始させる。運転が始まったことを確認した後、挿入された状態のキーから管理者が手を離すと、リターンスプリングの付勢力によりキーが初期位置に回転する。初期位置に戻った後も、エスカレータ1の運転は継続する。管理者は運転状態を確認した後、キーを抜きとる。
【0033】
エスカレータの管理者が、エスカレータ1の運転を停止させる際には、ブザー・停止スイッチ103にキーを挿入して「STOP」位置側に回転させる。そうすると、停止スイッチ103bが閉じ、電源制御リレー110のリセット端子とコモン端子との間に交流電圧が印加され、接点110aが開く。これにより、機器制御用電源装置151の入力端子間、及び制御装置用電源装置152の入力端子間に交流電圧が印加されなくなり、つまり機器制御用電源装置151及び制御装置用電源装置152に交流電力が供給されなくなる。その結果、エスカレータ1の運転が停止する。
【0034】
ここで、従来のエスカレータでは、電源制御リレー110(接点110aを含む)は設けられておらず、エスカレータが運転状態にないときを含めて常時、機器制御用電源装置151及び制御装置用電源装置152に交流電圧が印加されていた。そのため、これらの装置が待機状態にあるときの消費電力量が無視できないほどの量となっていた。例えばデパートなどの店舗では営業時間帯以外はエスカレータが停止されており、その停止時間は1日当たり例えば約14時間である。このような店舗では、階床の数や広さにもよるが、1店舗当たりで数十台のエスカレータが設置される場合がある。1台当たりの待機電力は例えば10W程度であるが、年間の消費電力量に換算して100kWh、電気代で2000円程度となる。さらに、例えば20台のエスカレータが設置されているものとすると、年間の消費電力量で2000kWh、電気代で40000円程度となる。そのため、省エネや電気代の観点から検討が必要であった。
【0035】
上記の課題を解決するため、本実施の形態では、電源制御リレー110を設けた。これにより、ブザー・停止スイッチ103に対する操作に連動して、機器制御用電源装置151及び制御装置用電源装置152へ交流電力を供給し、あるいは供給を停止することができる。ブザー・停止スイッチ103に対する、「BUZZER」位置と「STOP」位置との間での回転操作は、従来行われている操作である。したがって、別途の操作などを行うことなく、エスカレータの消費電力量を低減して上記の電気代を節約し、また省エネを推進することができる。
【0036】
また、電源制御リレー110はキープリレーであるので、「BUZZER」位置と「STOP」位置との間での他方の位置への回転操作がない限り、交流電源(商用電源)の電圧変動や停電があっても、キープされている状態が変化しない。つまり、エスカレータの運転が停止して、電源制御リレー110の接点110aが開いた状態のときに、交流電源の電圧変動や停電があっても、接点110aが開いた状態が維持される。そのため、交流電源の状態によらずに安定して、消費電力及び維持コストの節約を行うことができる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態におけるエスカレータ1によれば、一般的なキースイッチに対する操作により運転停止中における電源装置150や制御装置40などの待機電力を確実に削減することができる。
【0038】
(実施の形態についてのまとめ)
(1)実施の形態1のエスカレータ1(乗客コンベアの一例)は、
無端状に連結された踏段11と、
踏段11の駆動を制御する制御装置40と、
交流電源から供給される交流電力から直流電力を生成し、生成した直流電力を制御装置40に供給する電源装置150と、
ブザー音(注意喚起音の一例)を出力するブザー160(音声出力部の一例)と、
挿入されたキーを初期位置を挟む「BUZZER」位置(第1位置)及び「STOP」位置(第2位置)へ回転させる第1回転操作及び第2回転操作を受け付けるブザー・停止スイッチ103(キースイッチの一例)と、
電源制御リレー110(電磁継電器の一例)と、を備え、
第1回転操作は、ブザー160にブザー音を出力させるための操作であり、
第2回転操作は、エスカレータ1の運転を停止させるための操作であり、
電源制御リレー110は、
交流電源から電源装置150に交流電力を供給するための電源線L1、L2上に配置される接点110aを備え、
ブザー・停止スイッチ103に対して「BUZZER」位置側への回転操作(第1回転操作)がなされると接点110aを閉じ、
ブザー・停止スイッチ103に対して「STOP」位置側への回転操作(第2回転操作)がなされると接点110aを開く。
【0039】
この構成によれば、キースイッチに対する操作により運転停止中における電源装置150や制御装置40の待機電力を確実に削減することができる。
【0040】
(2)実施の形態1のエスカレータ1において、
電源制御リレー110は、
ブザー・停止スイッチ103に対して「BUZZER」位置側への回転操作(第1回転操作)がなされると、ブザー・停止スイッチ103に対して「STOP」位置側への回転操作(第2回転操作)がなされるまで、接点110aを閉じた状態を維持し、かつ
ブザー・停止スイッチ103に対して「STOP」位置側への回転操作(第2回転操作)がなされると、ブザー・停止スイッチ103に対して「BUZZER」位置側への回転操作(第1回転操作)がなされるまで、接点110aを開いた状態を維持するキープリレーである。
【0041】
この構成によれば、「BUZZER」位置側と「STOP」位置側とのうち一方の位置側へ一度回転操作が行われると、他方の位置側への回転操作が行われない限り、接点110aが前記一方の位置に対応する状態で保持されることとなる。
【0042】
(その他の実施の形態)
(A)
前記実施の形態のエスカレータ1は、本発明の乗客コンベアの一例である。本発明において、乗客コンベアは、一の階床において水平あるいは斜めに配置されたいわゆる動く歩道等の乗客コンベアであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 エスカレータ
5 乗り口
6 降り口
10 エスカレータ本体
11 踏段
12 ハンドレール
19 フロアプレート
20 モータ
30 インバータ
40 制御装置
40a ブザー接点
101 方向表示灯
102 運転方向切替スイッチ
103 ブザー・停止スイッチ
103a ブザースイッチ
103b 停止スイッチ
110 電源制御リレー
110a 接点
150 電源装置
151 機器制御用電源装置
152 制御装置用電源装置
160 ブザー
F1 階床
F2 階床
L1 電源線
L2 電源線
図1
図2
図3
図4