(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】混注支援システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20220614BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220614BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20220614BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
G06F3/0481
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2020204093
(22)【出願日】2020-12-09
(62)【分割の表示】P 2017530852の分割
【原出願日】2016-07-25
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】P 2015149479
(32)【優先日】2015-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016006119
(32)【優先日】2016-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】松永 真季
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-162174(JP,A)
【文献】特開2012-250016(JP,A)
【文献】特開2010-279738(JP,A)
【文献】特開2005-334056(JP,A)
【文献】特開2007-014800(JP,A)
【文献】特開2014-057754(JP,A)
【文献】特開2014-106888(JP,A)
【文献】特開2012-185685(JP,A)
【文献】特開2013-255728(JP,A)
【文献】特開2014-106944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
G06F 3/0481
G16H 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示部と、
前記第1表示部よりも画面サイズが大きい第2表示部と、
薬品の混注作業に含まれる作業工程の情報を前記第1表示部に表示させ、前記混注作業で使用される薬品の情報の一覧を含む処方内容を前記第2表示部に表示させる制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
第1表示モードと第2表示モードとを切り替え可能であり、
前記第1表示部に表示させる前記作業工程の情報が前記注射器で溶解液又は薬液を複数回に分けて抜き取る抜取り工程の情報である場合、前記第1表示モードでは、前記抜取り工程における各回の抜取り量を順次表示し、前記第2表示モードでは、前記抜取り工程における抜き取り量の合計を表示する、
混注支援システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1表示モードでは、溶解液又は薬液を注射器で抜き取ることを促す表示画面を、溶解液又は薬液を計量する計量工程の情報を表示する前に表示
し、
前記第2表示モードでは、溶解液又は薬液を注射器で抜き取ることを促す表示画面を、溶解液又は薬液を計量する計量工程の情報を表示する前に表示しない、
請求項
1に記載の混注支援システム。
【請求項3】
薬品の混注作業に含まれる作業工程の情報を第1表示部に表示させる表示ステップと、
前記混注作業で使用される薬品の情報の一覧を含む処方内容を前記第1表示部よりも画面サイズが大きい第2表示部に表示させるステップと、
第1表示モードと第2表示モードとを切り替えるステップと、
をプロセッサーに実行させるためのプログラムであって、
前記表示ステップは、前記前記第1表示部に表示させる前記作業工程の情報が前記注射器で溶解液又は薬液を複数回に分けて抜き取る抜取り工程の情報である場合、前記第1表示モードでは、前記抜取り工程における各回の抜取り量を順次表示し、前記第2表示モードでは、前記抜取り工程における抜き取り量の合計を表示する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗がん剤のような薬品の混注作業を支援する混注支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院又は薬局では、抗がん剤のような薬品を生理食塩液のような溶解液に混合する混注作業が薬剤師によって行われる。このとき、混注作業に必要な情報を表示装置に表示することにより、その混注作業を行う薬剤師を支援する混注支援システムが使用されることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-260390号公報
【文献】特開2006-122816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、混注支援システムにおいて、混注作業に必要な情報として多くの情報が表示装置に表示されると、薬剤師が混注作業における作業工程ごとに、必要な情報と不要な情報とを取捨選択しながら情報を整理する必要があり作業効率が低下する。
【0005】
本発明の目的は、混注作業の作業効率を向上させることのできる混注支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る混注支援システムは、表示部と、薬品の混注作業に含まれる各作業工程の情報を前記表示部に順次表示させる制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記作業工程のうち予め設定された特定の作業工程の情報を表示する際に、前記特定の作業工程の情報として作業工程の内容、作業量、及び作業対象のみを前記表示部に表示させる。
【0007】
また、本発明の他の形態に係る混注支援システムは、表示部と、薬品の混注作業に含まれる各作業工程の情報を前記表示部に順次表示させる制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記作業工程のうち予め設定された特定の作業工程の情報を表示する際に、前記特定の作業工程の情報として作業工程の内容、作業量、及び作業対象のみを前記表示部に表示させると共に、現在の前記特定の作業工程に予め対応付けられた色を示すステータス領域を前記表示部に表示させる。
【0008】
また、本発明の他の形態に係る混注支援システムは、表示部と、薬品の混注作業に含まれる各作業工程の情報を前記表示部に順次表示させる制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記作業工程のうち予め設定された特定の作業工程の情報を表示する際に、前記特定の作業工程の情報として作業工程の内容、作業量、及び作業対象のみを前記表示部に表示させると共に、同一の前記特定の作業工程が繰り返し表示される場合には同一の前記特定の作業工程の実施予定数と実施済数とを示す薬品数表示領域を前記表示部に表示させる。
【0009】
また、本発明の他の形態に係る混注支援システムは、表示部と、薬品の混注作業に含まれる各作業工程の情報を前記表示部に順次表示させる制御部とを備える。そして、前記制御部が、前記作業工程のうち予め設定された特定の作業工程の情報を表示する際に、前記特定の作業工程の情報として作業工程の内容、作業量、及び作業対象のみを前記表示部に表示させると共に、前記特定の作業工程について少なくとも進行又は後退を操作するための操作表示領域を前記表示部に表示させる。
【0010】
例えば、前記作業工程の内容が、前記作業工程の内容に対応して予め設定されたピクトグラムである。
【0011】
また、前記混注支援システムは、前記表示部を第1表示部として、前記第1表示部よりも画面サイズが大きい第2表示部を更に備えてもよい。この場合、前記制御部が、前記作業工程の情報を前記第2表示部にも表示させるものであって、前記第1表示部に表示される前記作業工程の情報の情報量が前記第2表示部に表示される前記作業工程の情報の情報量よりも少ないことが考えられる。
【0012】
また、前記混注支援システムが、前記混注作業の作業者が装着可能なウェアラブル端末を更に備えており、前記第1表示部が、前記ウェアラブル端末に設けられていることが考えられる。さらに、前記混注支援システムは、前記作業工程の情報を音声で読み上げる読上処理部を更に備えてもよい。
【0013】
前記制御部が、前記作業対象が薬品名称である場合、前記薬品名称の規格を除く略称を表示させることが考えられる。特に、前記制御部が、前記作業工程のうち前記薬品を認証する薬品認証工程では前記表示部に前記薬品名称を省略せずに表示させ、前記薬品認証工程の終了後の他の前記作業工程について前記薬品名称を表示する際には前記薬品名称の略称を前記表示部に表示させることが考えられる。
【0014】
また、前記制御部が、前記作業対象が薬品名称である場合、前記作業対象として薬品画像を表示可能であることが考えられる。また、前記制御部が、前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象が表示される状態と前記薬品画像が表示される状態とを交互に切り替えて表示可能であることが考えられる。さらに、前記混注支援システムが、予め設定された薬品データベースに基づいて前記薬品画像を更新する薬品更新処理部を備えることが考えられる。
【0015】
また、前記混注支援システムが、前記混注作業の作業者が装着可能であって前記表示部及び撮影部を備えるウェアラブル端末と、前記撮影部で捉えられるコード情報から情報を読み取る読取処理部と、前記読取処理部によって読み取られる情報に基づいて前記ウェアラブル端末に関する設定項目の内容を設定する設定処理部とを備えることが考えられる。
【0016】
特に、前記設定処理部は、前記ウェアラブル端末の起動に伴って、前記読取処理部を前記情報の読み取りが可能な待機状態に遷移させた後、予め設定された第1上限時間の経過前に前記読取処理部によって情報が読み取られた場合は当該情報に基づいて前記ウェアラブル端末に関する設定項目の内容を設定し、前記第1上限時間の経過前に前記読取処理部によって情報が読み取られなかった場合は前記待機状態を解除することが考えられる。
【0017】
また、本発明に係る他の形態の混注支援システムは、薬品の混注作業の作業者が装着可能であって表示部及び撮影部を備えるウェアラブル端末と、前記混注作業に含まれる各作業工程の情報を前記表示部に表示させる制御部と、前記撮影部で捉えられるコード情報から情報を読み取る読取処理部と、前記ウェアラブル端末の起動に伴って、前記読取処理部を前記情報の読み取りが可能な待機状態に遷移させた後、予め設定された第1上限時間の経過前に前記読取処理部によって情報が読み取られた場合は当該情報に基づいて前記ウェアラブル端末に関する設定項目の内容を設定し、前記第1上限時間の経過前に前記読取処理部によって情報が読み取られなかった場合は前記待機状態を解除する設定処理部とを備える。
【0018】
また、前記設定処理部が、前記第1上限時間内に前記読取処理部によって読み取られた前記情報に基づく前記設定項目の設定後に前記待機状態を維持し、その後、予め設定された第2上限時間以内の間隔で前記読取処理部によって情報が読み取られた場合は当該情報に基づいて前記設定項目の内容を設定して前記待機状態を維持し、前記第2上限時間の経過前に前記読取処理部によって情報が読み取られなかった場合は前記待機状態を解除することが考えられる。
【0019】
また、前記設定項目の一つに、前記表示部による表示モード及び前記ウェアラブル端末の接続先のいずれか一方又は両方が含まれることが考えられる。また、前記表示モードが、前記作業者が右目で前記表示部を見る右目モードと前記作業者が左目で前記表示部を見る左目モードとを含むことが考えられる。
【0020】
また、一つの前記コード情報に、複数の前記設定項目の設定内容についての情報が含まれており、前記設定処理部が、前記読取処理部によって読み取られる情報に基づいて複数の前記設定項目を一挙に設定可能であることが考えられる。
【0021】
また、前記混注支援システムが、前記設定処理部によって設定された前記設定項目の履歴を記憶する記憶部を備え、前記設定処理部が、前記設定項目のうち前記待機状態で前記読取処理部によって読み取られる情報に基づいて設定されなかった未設定項目は、前記記憶部に記憶されている前記履歴に基づいて設定することが考えられる。
【0022】
また、前記混注支援システムが、前記作業者ごとに対応する前記設定項目を記憶する記憶部を備え、前記設定処理部が、前記待機状態で前記読取処理部によって読み取られた情報に前記作業者を識別可能な情報が含まれる場合、当該作業者に対応する前記設定項目を前記記憶部から読み出して設定することが考えられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、混注作業の作業効率を向上させることのできる混注支援システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る混注支援システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る混注支援システムの一例を示す外観模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで用いられる安全キャビネットの使用状態を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る混注支援システムのウェアラブル端末の一例を示す外観模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで実行される混注支援処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図6A】
図6Aは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで実行される表示制御処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図19A】
図19Aは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図19B】
図19Bは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図19C】
図19Cは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図25A】
図25Aは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図25B】
図25Bは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図25C】
図25Cは、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで表示される表示画面の一例を図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで実行される薬品画像更新処理の一例を示すフローチャートである。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態に係る混注支援システムで実行される設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図30A】
図30Aは、本発明の実施形態に係る混注支援システムでウェアラブル端末に表示される表示画面の一例を図である。
【
図30B】
図30Bは、本発明の実施形態に係る混注支援システムでウェアラブル端末に表示される表示画面の一例を図である。
【
図30C】
図30Cは、本発明の実施形態に係る混注支援システムでウェアラブル端末に表示される表示画面の一例を図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0026】
[混注支援システム1]
まず、
図1~
図4を参照しつつ、前記混注支援システム1の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る混注支援システム1は、混注制御部11、操作表示部12、第1読取部13、プリンター14、フットスイッチ部15、ウェアラブル端末16、第2読取部21、及び秤量部22などを備える。そして、前記混注支援システム1は、医師又は薬剤師などの作業者によって実行される薬品の混注作業の効率化を図るために使用される。
【0027】
具体的に、前記混注作業において、作業者は、薬品容器から注射器で薬液を吸引して、生理食塩液のような溶解液が収容されている輸液バッグに注入する作業を実行することがある。また、前記混注作業において、作業者が、輸液バッグから生理食塩液のような溶解液を注射器で吸引して、粉薬が収容されている薬品容器に注入してその粉薬を溶解させ、その溶解後の薬液を注射器で吸引して輸液バッグに注入する作業を実行することもある。
【0028】
図2に示されるように、前記第2読取部21及び前記秤量部22は、作業者が混注作業を行う安全キャビネット100の作業室101内に配置される。一方、前記混注制御部11、前記操作表示部12、前記第1読取部13、前記プリンター14、前記フットスイッチ部15、及び前記ウェアラブル端末16は、前記安全キャビネット100の作業室外に配置される。
【0029】
前記安全キャビネット100は、前面が透明なガラス扉102で仕切られた作業室101を備える。また、前記ガラス扉102は、下方に開放部103が形成される位置で支持されており、作業者は前記開放部103から前記作業室101内にアクセス可能である。なお、前記安全キャビネット100には、前記作業室101内の空気を清浄化して排気するためのHEPAフィルタを有する空気清浄装置104なども設けられている。
【0030】
そして、
図3に示されるように、作業者は、前記開放部103から両手を前記作業室101内に差し込み、前記作業室101内を目視しながら薬品の混注作業を行う。なお、前記混注支援システム1では、高カロリー輸液などの毒性の無い薬品を混注作業する場合、前記安全キャビネット100に代えて、クリーンベンチなどが用いられることも考えられる。
【0031】
前記安全キャビネット100内に設けられる前記第2読取部21は、前記混注作業で使用する薬品の薬品容器に付されている一次元コード又は二次元コードなどのコード情報を読み取り可能なコード読取装置である。前記二次元コードは、例えばQRコード(登録商標)である。前記コード情報には、前記薬品の種類を特定するための識別情報が含まれている。前記第2読取部21で読み取られる前記コード情報は、前記混注制御部11に入力される。
【0032】
同じく前記安全キャビネット100内に設けられる前記秤量部22は、前記混注作業における各種の計量に用いられる電子天秤である。前記秤量部22による計量結果は、リアルタイムで前記混注制御部11に入力される。また、前記秤量部22は、計量結果が安定したか否かを示す安定情報を前記混注制御部11に入力する。これにより、前記混注制御部11では、前記秤量部22による計量結果及び安定有無などの情報を取得することが可能である。なお、前記混注制御部11が、前記秤量部22による計量結果及び安定有無などの情報を能動的に読み出し可能な構成であってもよい。
【0033】
前記混注制御部11は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどの通信網を介して無線又は有線で上位システムと通信可能に接続される。前記上位システムは、電子カルテシステム、オーダーリングシステム、又はレセプトシステムなどであり、前記混注制御部11は、作業者が実行する混注作業の内容を示す調製データ(処方データ)を前記上位システムから取得可能である。
【0034】
例えば、前記調製データには、患者情報(患者ID、患者氏名、身長、体重、体表面積など)、調製日、薬品情報(薬品コード、薬品名など)、用量、レジメン識別情報などが含まれる。前記レジメン識別情報は、例えば療法名(レジメン名)、療法ID、又はレジメンIDなどのレジメン情報を識別可能な情報である。また、前記調製データには、医師情報、薬品容器の種類(薬液入りアンプル、薬液入りバイアル瓶、粉薬入りバイアル瓶、又は輸液バッグなど)、調製内容情報(混注作業に使用する薬品容器、注射器、注射針の種類及び本数等)、及び調製手順情報(作業内容、溶解薬、溶媒、溶解薬量、溶媒量、抜取量)、投薬日、処方箋区分、診療科、病棟などの情報が含まれていてもよい。
【0035】
前記混注制御部11は、CPU111、RAM112、及び記憶部113などを有するコンピューターである。前記CPU111は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記RAM112は揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。前記記憶部113は、前記CPU111に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が記憶されるHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。前記混注制御部11は、前記CPU111及び前記RAM112を用いて、前記記憶部113に予め記憶された各種の制御プログラムに従った各種の処理を実行する。
【0036】
前記記憶部113には、データ領域、プログラム領域、及びマスター領域などの記憶領域が含まれる。なお、前記記憶部113が、HDD及び半導体メモリーなどの複数の記憶媒体を備えており、前記データ領域、前記プログラム領域、及び前記マスター領域が複数の記憶媒体に分散して設けられていてもよい。
【0037】
前記データ領域には、前記上位システムから取得される前記調製データが蓄積して記憶される。なお、前記混注制御部11では、ユーザー操作に応じて前記調製データを新規登録又は編集することも可能である。また、前記データ領域には、前記調製データに従って作業者によって実行された混注作業の内容を示す履歴データが前記調製データに対応付けて記憶される。例えば、前記履歴データには、前記混注作業の作業者、作業開始時間、作業終了時間、及び前記混注作業の途中で撮影される撮影画像などが含まれる。
【0038】
前記プログラム領域には、前記混注制御部11に後述の混注支援処理(
図5参照)などを実行させるための制御プログラムが記憶される。なお、前記プログラム領域には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムも記憶されている。
【0039】
前記マスター領域には、薬品マスター、患者マスター、病棟マスター、医師マスター、及び薬剤師マスターなどの各種のマスター情報が記憶される。例えば、前記薬品マスターには、薬品ID、薬品名、薬品コード、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、抗がん剤、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、薬品容器の種別(アンプル、バイアル瓶)、薬品容器単位の薬品の収容量(既定量)、及び薬品容器の重量などの情報が含まれる。なお、前記薬品IDは、YJコード、JANコード、又はRSSコードなどの識別コードである。
【0040】
前記操作表示部12は、前記混注制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部と、前記混注制御部11に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部とを備える第2表示部の一例である。作業者から見て、前記操作表示部12の前記表示部の表示画面のサイズは、後述の前記ウェアラブル端末16の端末表示部162の表示画面のサイズよりも大きい。
【0041】
具体的に、前記操作表示部12の前記操作部は、前記表示部に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネルである。なお、前記操作表示部12は、タブレット端末などであってもよい。また、前記操作部は、前記表示部に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含むものであってもよい。さらに、前記操作部は、音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0042】
前記第1読取部13は、前記調製データに対応する調製箋などに印刷されている一次元コード又は二次元コードなどのコード情報を読み取り可能なコード読取装置である。前記コード情報には、前記調製データを識別するための識別情報が含まれている。前記第1読取部13で読み取られる前記コード情報は、前記混注制御部11に入力される。そして、前記混注制御部11は、前記第1読取部13を用いて前記調製箋から読み取られる前記コード情報に基づいて、今回の混注作業の対象となる前記調製データを特定する。具体的に、前記混注制御部11は、前記コード情報から前記調製データの識別情報を読み取り、前記識別情報に対応する前記調製データを前記記憶部113のデータ記憶部111から選択する。なお、前記混注制御部11が、前記コード情報から前記調製データを取得するものであってもよい。
【0043】
前記プリンター14は、前記混注制御部11によって各種の情報を印刷するために用いられる。例えば、前記混注制御部11によって実行される前記調製データに対応する前記調製箋の印刷、又は前記調製データに従って実行される前記混注作業の履歴の印刷などに用いられる。
【0044】
前記フットスイッチ部15は、作業者が前記混注作業の実行中に前記混注制御部11への操作入力を行うための操作部である。前記フットスイッチ部15は、第1フットスイッチ151、第2フットスイッチ152、及び第3フットスイッチ153を備える。前記第1フットスイッチ151及び前記第2フットスイッチ152は、操作対象の項目の選択操作などに用いられ、前記第3フットスイッチ153は、操作対象の項目の決定操作などに用いられる。
【0045】
図1及び
図4に示されるように、前記ウェアラブル端末16は、端末制御部161、端末表示部162、撮影部163、操作ボタン164、スピーカー165、及びマイク166などを備えている。例えば、前記ウェアラブル端末16は、ウエストユニティス株式会社製の製品名「InfoLinker(登録商標)」、型番「WUZ-01A-NB01」のウェアラブルグラスである。また、前記ウェアラブル端末16は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN規格、又はBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に従って前記混注制御部11と通信可能である。なお、前記ウェアラブル端末16には、前記ウェアラブル端末16に着脱可能であって充電可能な二次電池が設けられており、前記ウェアラブル端末16は前記二次電池からの供給電力によって稼働する。
【0046】
前記ウェアラブル端末16は、作業者が装着可能な端末である。具体的に、
図4に示されるように、前記ウェアラブル端末16は、不図示の着脱部材によって、作業者が装着するメガネに着脱可能であって、作業者が片眼で視認する片眼タイプのスマートグラスである。なお、前記ウェアラブル端末16は、不図示のアタッチメントを介して直接作業者の頭部に装着可能な構成であってもよい。また、前記ウェアラブル端末16は、メガネと一体構成された所謂ヘッドマウントディスプレイ等であってもよい。さらに、前記ウェアラブル端末16は、スマートウォッチ又はスマートフォン等のように作業者によって容易に持ち運び可能であり、その作業者が必要に応じて表示情報を確認することが可能なデバイスであればよい。
【0047】
前記端末制御部161は、CPU171、RAM172、及び記憶部173などを有する。前記CPU171は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記RAM172は揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。前記記憶部173は、前記CPU171に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が記憶されるEEPROM(登録商標)などの不揮発性の記憶部である。前記端末制御部161は、前記CPU171及び前記RAM172を用いて、前記記憶部173に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。また、前記記憶部173には、後述の表示制御処理(
図7参照)において、前記端末表示部162に表示される各種の表示画面のレイアウト情報及び画像データなどが記憶されている。
【0048】
前記端末表示部162は、前記端末制御部161によって制御されることにより各種の情報を表示可能な小型ディスプレイを備える第1表示部の一例である。作業者は、前記端末表示部162を直接覗き込むことにより、前記端末表示部162による表示情報を視認することが可能である。例えば、前記端末表示部162は、数十cm先に数インチ相当の表示画面が表示されているような感覚を作業者に与えるように情報を表示する。また、前記ウェアラブル端末16が眼鏡と共に用いられる場合には、前記端末表示部162が前記眼鏡のレンズ等に情報を投影させるマイクロディスプレイを有することも他の実施形態として考えられる。
【0049】
前記撮影部163は、前記ウェアラブル端末16を装着した作業者の視点と同様の画角で写真を撮影することが可能なデジタルカメラである。前記撮影部163で撮影される画像又は映像は、前記端末制御部161の記憶部173に一次記憶されると共に、前記混注制御部11に送信される。
【0050】
なお、前記混注支援システム1では、前記第1読取部13及び前記第2読取部21に代えて、前記端末制御部161が、前記撮影部163を用いて薬品容器又は調製箋などのコード情報を読み取る機能を有することも考えられる。これにより、前記第1読取部13及び前記第2読取部21の一方又は両方を省略することが可能である。
【0051】
前記端末操作部164は、作業者が前記ウェアラブル端末16を直接操作するための電源ボタン等の各種の操作ボタンを含む。前記スピーカー165は、予め設定された案内メッセージデータに基づいて音声を再生するために用いられる。前記マイク166は、入力される音声を音声信号に変換して前記端末制御部161に入力する。なお、前記スピーカー165に代えてイヤホン又はスピーカーが装着可能なイヤホン端子が設けられていること、又は前記マイク166に代えてマイクが装着可能なマイク端子が設けられていることも考えられる。
【0052】
ところで、このように構成された前記混注支援システム1において、前記混注作業に必要な情報として多くの情報が前記操作表示部12及び前記端末表示部162などの表示装置に表示されると、作業者が混注作業に含まれる作業工程ごとに、必要な情報と不要な情報とを取捨選択しながら情報を整理する必要があり作業効率が低下することがある。これに対し、本実施形態に係る前記混注支援システム1では、混注作業の作業効率を向上させることができる。
【0053】
なお、前記混注作業では、作業者によって、例えば薬品認証工程、風袋引き工程、溶解液抜取り工程、溶解液計量工程、溶解液撮影工程、溶解工程、薬液抜取り工程、薬液計量工程、薬液撮影工程、及び混注工程などから必要な作業工程が選択されて順次実行される。
【0054】
前記薬品認証工程は、前記混注作業で使用する薬品を認証するための工程であり、例えば前記第2読取部21を用いて薬品の識別情報を読み取る工程である。前記風袋引き工程は、前記混注作業で使用する注射器などの機材のみの重量を予め計量するための工程であり、例えば前記注射器を前記秤量部22に載置する工程である。
【0055】
前記溶解液抜取り工程は、輸液バッグから生理食塩液のような溶解液を注射器で必要量抜き取る工程である。前記溶解液計量工程は、前記溶解液を抜き取った前記注射器の重量を計量するための工程であり、前記注射器を前記秤量部22に載置する工程である。なお、前記溶解液計量工程において、前記混注制御装置11は、前記秤量部22に載置された前記注射器の重量と前記風袋引きで設定された前記注射器の重量との差分を前記溶解液の重量として計量する。前記溶解工程は、薬品が粉薬である場合にその薬品を溶解するための工程であり、前記注射器で抜き取られた溶解液を薬品容器に注入する工程である。
【0056】
前記溶解液撮影工程は、前記溶解液が抜き取られた前記注射器を前記撮影部163で撮影するための工程である。前記薬液抜取り工程は、薬品容器から薬液を注射器で必要量抜き取る工程である。前記薬液計量工程は、前記薬液を抜き取った前記注射器の重量を計量するための工程であり、前記注射器を前記秤量部22に載置する工程である。なお、前記薬液計量工程においても、前記混注制御装置11は、前記秤量部22に載置された前記注射器の重量と前記風袋引きで設定された前記注射器の重量との差分を前記薬液の重量として計量する。前記薬液撮影工程は、前記薬液が抜き取られた前記注射器を前記撮影部163で撮影するための工程である。前記混注工程は、前記注射器内の前記薬液を前記輸液バッグに注入する工程である。
【0057】
[混注支援処理]
以下、
図5を参照しつつ、前記混注支援システム1において前記混注制御部11によって実行される混注支援処理について説明する。なお、前記混注支援処理は、例えば前記操作表示部12を用いて自己のID及びパスワードなどを入力して前記混注支援システム1にログインした後、前記混注作業を開始する旨の操作が行われた場合に実行される。
【0058】
<ステップS11>
ステップS11において、前記混注制御部11は、前記混注作業の対象となる前記調製データが選択されたか否かが判断される。具体的に、前記混注制御部11は、前記第1読取部13により前記調製データの識別情報が読み取られた場合に、前記識別情報に対応する前記調製データが選択されたと判断する。なお、前記操作表示部12に表示される調製データ選択画面において、未調整の前記調製データのいずれか一つが選択された場合に前記調製データが選択されたと判断されてもよい。ここで、前記調製データが選択されたと判断されると(S11:Yes)、処理がステップS12に移行し、前記調製データが選択されていなければ(S11:No)、処理がステップS11で待機する。なお、前記第1読取部13によって読み取られた識別情報に対応する前記調製データが前記記憶部113に記憶されていない場合、又は既に調製済みである場合にはエラーが報知される。
【0059】
<ステップS12>
ステップS12において、前記混注制御部11は、前記ステップS11で選択された前記調製データを前記混注作業の対象として前記操作表示部12に表示させる。ここに、
図6Aは、前記調製データの内容が表示される混注支援画面D1の一例を示す図である。
図6Aに示されるように、前記混注支援画面D1には、前記調製データについて、作業者名(薬剤師名)、鑑査者名、診療科、病棟、服用開始日、医師名、患者名(患者ID)、年齢、性別、処方内容などが表示されている。また、前記混注支援画面D1には、前記秤量部22による計量結果が表示されている。そして、前記混注制御部11は、前記秤量部22による計量結果を前記ウェアラブル端末16にも送信しており、前記計量結果は、前記端末制御部161によって必要に応じて前記端末表示部162に表示される。
【0060】
<ステップS13>
ステップS13において、前記混注制御部11は、前記調製データに基づいて実行されるべき薬品の混注作業に含まれる各作業工程の情報を前記操作表示部12及び前記端末表示部162に順次表示させる。具体的に、前記混注制御部11は、前記作業工程の情報を前記操作表示部12に表示させると共に、前記作業工程の表示要求を前記ウェアラブル端末16に送信する。前記作業工程の表示要求には、前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象などの情報が含まれる。これにより、前記ウェアラブル端末16では、前記端末制御部161によって、前記作業工程の情報が前記端末表示部162に表示される。なお、後述するように、前記端末制御部161によって前記端末表示部162に順次表示される前記作業工程の情報は、前記混注作業に含まれる複数の前記作業工程のうち次に行われるべき作業工程のみに必要な情報であって、前記作業工程の内容、作業量、作業対象が簡素化された情報である。また、前記ステップS13に代えて、ステップS15、S17、S19、S21、及びS23各々において、前記混注作業のうち現在の前記作業工程の情報が前記端末表示部162に表示されてもよい。
【0061】
例えば、前記混注制御部11は、前記ステップS13が実行されるごとに、前記薬品認証工程、前記風袋引き工程、前記溶解液抜取り工程、前記溶解液計量工程、前記溶解液撮影工程、前記溶解工程、前記薬液抜取り工程、前記薬液計量工程、前記薬液撮影工程、及び前記混注工程などの各種の作業工程の情報を順次表示させる。前記作業工程の情報には、例えば前記作業工程の内容(作業工程の種別)、作業量(抜取り量、注入量)、作業対象(薬品、溶解液、注射器の識別情報)が含まれる。但し、前記混注支援システム1では、後述するように、前記端末表示部162に表示される前記作業工程の情報が、前記操作表示部12に表示される前記作業工程の情報に比べて簡素化されている。
【0062】
なお、ここでは前記混注制御部11が、前記ウェアラブル端末16に表示要求を送信することにより、前記端末表示部162に前記作業工程の情報を表示させる場合について説明する。一方、前記混注制御部11が、前記端末表示部162を直接制御して前記作業工程の情報を前記端末表示部162に表示させる構成であってもよい。
【0063】
ここに、
図6Bは、前記ステップS13で操作表示部12に表示される本体側表示画面D11の一例を示す図である。なお、前記本体側表示画面D11は、前記混注支援画面D1の一部として表示され、又は前記混注支援画面D1に重ねてポップアップ表示される。前記本体表示画面D11では、前記混注作業における各作業工程の情報を示す領域として、作業工程領域A1、作業量領域A2、及び作業対象領域A3が表示されている。また、前記本体表示画面D11には、現在操作可能な操作項目が表示される操作表示領域A4と、前記本体表示画面D11に表示されている前記作業工程の内容のタイトルが文字列で表示されるステータス領域A5とが表示されている。
【0064】
前記作業工程領域A1には、前記作業工程の内容が前記作業工程の内容を示す文字列で表示されている。前記作業量領域A2には、前記作業工程における作業量として、薬品数、抜取り量、又は注入量などの数値及び単位が表示されている。前記作業対象領域A3には、前記作業工程で作業の対象となる作業対象を特定するための名称又はコードなどの識別情報が表示される。なお、前記操作表示部12では、前述したように前記混注支援画面D1に患者の情報及び前記調製データの詳細情報などが表示されている。そのため、作業者は、前記操作表示部12の前記混注支援画面D1及び前記本体側表示画面D11などを参照することにより前記混注作業の詳細を確認することも可能である。
【0065】
<ステップS14>
ステップS14において、前記混注制御部11は、現在の作業工程が前記薬品認証工程であるか否かが判断される。ここで、現在の作業工程が前記薬品認証工程であると判断されると(S14:Yes)、処理がステップS15に移行し、現在の作業工程が前記薬品認証工程でないと判断されると(S14:No)、処理がステップS16に移行する。
【0066】
<ステップS15>
ステップS15において、前記混注制御部11は、前記混注作業で使用する薬品の適否を判定する薬品認証処理を実行する。具体的に、前記混注制御部11は、前記第2読取部21による薬品の識別情報の読み取りを待ち受けており、前記薬品の識別情報が読み取られた場合に、前記薬品の識別情報が現在の前記薬品認証工程で読み取られるべき前記調製データ内の薬品の識別情報と一致するか否かを照合する。そして、前記混注制御部11は、前記薬品の識別情報の照合結果が一致である場合、処理をステップS16に移行させる。なお、前記混注制御部11は、前記薬品の識別情報の照合結果が不一致である場合、エラーを報知して当該ステップS15を繰り返し実行する。
【0067】
<ステップS16>
ステップS16において、前記混注制御部11は、現在の作業工程が前記風袋引き工程あるか否かが判断される。ここで、現在の作業工程が前記風袋引き工程であると判断されると(S16:Yes)、処理がステップS17に移行し、現在の作業工程が前記風袋引き工程でないと判断されると(S16:No)、処理がステップS18に移行する。
【0068】
<ステップS17>
ステップS17において、前記混注制御部11は、前記混注作業で使用する注射器の重量を設定する風袋引き処理を実行する。具体的に、前記混注制御部11は、前記秤量部22への注射器の載置、及び前記秤量部22による計量値の安定を待ち受けており、前記計量値が安定した場合に前記計量値を前記注射器の風袋引きの重量として前記記憶部113に記憶し、処理をステップS18に移行させる。
【0069】
<ステップS18>
ステップS18において、前記混注制御部11は、現在の作業工程が前記溶解液計量工程又は前記薬液計量工程などの計量工程であるか否かが判断される。ここで、現在の作業工程が前記計量工程であると判断されると(S18:Yes)、処理がステップS19に移行し、現在の作業工程が前記計量工程でないと判断されると(S18:No)、処理がステップS19に移行する。
【0070】
<ステップS19>
ステップS19において、前記混注制御部11は、前記計量工程を支援するための処理を実行する。具体的に、前記混注制御部11は、前記秤量部22への計量対象物の載置、及び前記秤量部22による計量値(以下、「実測計量値」と称する)の安定を待ち受けており、前記計量値が安定した場合は前記実測計量値と前記計量対象物の計量目標値との差が予め設定された誤差範囲内であるか否かを判定する。そして、前記混注制御部11は、前記実測計量値と前記計量目標値との差が前記誤差範囲内であると判定した場合、前記実測計量値を計量結果として前記記憶部113に記憶し、処理をステップS20に移行させる。なお、前記混注制御部11は、前記実測計量値と前記計量目標値との差が前記誤差範囲内でない場合、エラーを報知して当該ステップS19を繰り返し実行する。
【0071】
<ステップS20>
ステップS20において、前記混注制御部11は、現在の作業工程が前記溶解液撮影工程又は前記薬液撮影工程などの撮影工程であるか否かが判断される。ここで、現在の作業工程が前記撮影工程であると判断されると(S20:Yes)、処理がステップS21に移行し、現在の作業工程が前記撮影工程でないと判断されると(S20:No)、処理がステップS22に移行する。
【0072】
<ステップS21>
ステップS21において、前記混注制御部11は、前記ウェアラブル端末16の前記撮影部163に写真撮影を実行させるための処理を実行する。具体的に、前記混注制御部11は、前記フットスイッチ部15を用いた前記撮影部163による撮影操作を待ち受けており、前記撮影操作が行われた場合に前記ウェアラブル端末16に撮影要求を送信する。これにより、前記ウェアラブル端末16では、前記端末制御部161によって前記撮影部163が制御されて前記撮影部163による撮影が実行され、撮影画像が前記混注制御部11に送信される。そして、前記混注制御部11は、前記撮影画像を前記操作表示部12に表示させた後、作業者による確認操作が行われた場合に、前記撮影画像を前記調製データに対応付けて前記記憶部113に履歴データとして記憶する。なお、前記混注制御部11は、作業者により再撮影操作などが行われた場合には、前記撮影要求を再度前記ウェアラブル端末16に送信することにより、前記撮影部163による撮影を再実行させることも可能である。
【0073】
<ステップS22>
ステップS22において、前記混注制御部11は、現在の作業工程が前記溶解液抜取り工程、前記溶解工程、前記薬液抜取り工程、及び前記混注工程などの他の作業工程であるか否かが判断される。ここで、現在の作業工程が前記他の作業工程であると判断されると(S22:Yes)、処理がステップS23に移行し、現在の作業工程が前記他の作業工程ではないと判断されると(S22:No)、処理が前記ステップS13に移行する。
【0074】
<ステップS23>
ステップS23において、前記混注制御部11は、前記他の作業工程の情報の確認操作を受け付ける確認処理を実行する。具体的に、前記混注制御部11は、前記作業工程の確認操作を待ち受けており、前記確認操作が行われた場合に、処理をステップS24に移行させる。なお、前記確認操作は、前記操作表示部12又は前記フットスイッチ部15を用いて作業者によって行われる。
【0075】
<ステップS24>
ステップS24において、前記混注制御部11は、前記調製データに基づく前記混注作業の全ての作業工程が終了したか否かを判断する。ここで、全ての前記作業工程が終了していないと判断されると(S24:No)、処理が前記ステップS13に移行して次の作業工程について同様の処理が実行される。なお、全ての前記作業工程が終了したと判断された場合には(S24:Yes)、前記調製データについての一連の前記混注支援処理が終了し、処理が前記ステップS11に戻される。
【0076】
このように、前記混注支援処理では、前記調製データに基づいて前記混注作業に必要な作業工程が順次表示されるため、作業者がその表示に従って順に前記作業工程を進めることが可能である。そして、前記混注制御システム1では、以下に説明するように、前記混注支援処理によって作業者による前記混注作業が支援される際に作業者が参照する前記ウェアラブル端末16の前記端末表示部162の表示画面から不要な情報が排除されている。
【0077】
[表示制御処理]
続いて、
図7を参照しつつ、前記ウェアラブル端末16の前記端末制御部161によって実行される表示制御処理について説明する。なお、前記表示制御処理は、例えば前記ウェアラブル端末16の電源が投入されており、前記混注制御部11の電源が投入されている場合に実行される。なお、前記表示制御処理は、前記混注制御部11によって実行されてもよい。
【0078】
<ステップS31>
ステップS31において、前記端末制御部161は、前記混注制御部11からの前記作業工程の表示要求(前記ステップS13)が行われたか否かを判断する。ここで、前記作業工程の表示要求が行われたと判断した場合(S31:Yes)、処理はステップS32に移行し、前記作業工程の表示要求が行われていないと判断した場合(S31:No)、処理はステップS33に移行する。
【0079】
<ステップS32>
ステップS32において、前記端末制御部161は、前記作業工程の表示要求に応じて、前記混注作業に含まれる各作業工程の情報を示す端末表示画面D2を前記端末表示部162に順次表示させる。前記作業工程の表示要求には、前述したように前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象などの情報が含まれる。ここで、前記端末制御部161は、前記作業工程のうち予め設定された特定の作業工程の情報を表示する際には、前記特定の作業工程の情報として前記作業工程の内容(作業工程の種別)、前記作業量、及び前記作業対象のみを前記端末表示部162の前記端末表示画面D2に表示させる。本実施形態において、前記特定の作業工程は、前記薬品認証工程、前記溶解液抜取り工程、前記溶解工程、前記薬液抜取り工程である。
【0080】
また、前記端末制御部161は、前記端末表示画面D2を前記端末表示部162に表示させる際、前記端末表示画面D2に表示される前記作業工程の情報を音声で読み上げる。ここに、前記読み上げ処理を実行するときの前記端末制御部161が読上処理部の一例である。これにより、作業者は、視覚だけでなく聴覚によっても前記作業工程の情報を認識することができ、前記作業工程の人為的ミスが抑制される。なお、前記作業工程の情報の音声による読み上げは、前記作業工程の情報のうち前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象のいずれか一つ又は複数であってよい。例えば、前記端末制御部161の記憶部173に、前記作業工程の内容ごとに対応して、前記作業工程の内容が読み上げられた音声データが予め記憶されており、前記端末制御部161は、前記作業工程の内容に対応する前記音声データを前記スピーカー165によって再生させる。なお、前記音声による前記作業工程の情報の読み上げは省略されてもよい。
【0081】
ここに、
図8は、前記作業工程が前記薬品認証工程である場合における前記端末表示画面D2の一例を示す図である。なお、前記薬品認証工程が本発明における特定の作業工程の一例である。
図8に示されるように、前記端末表示画面D2には、前記混注作業における各作業工程の情報を示す領域として、作業工程領域A11、作業量領域A12、及び作業対象領域A13のみが表示されている。また、前記端末表示画面D2には、前記作業工程の情報とは別に操作表示領域A14及びステータス領域A15が表示されている。そして、
図6A及び
図8に示されるように、前記端末表示部162に表示される前記作業工程の情報の情報量は、前記操作表示部12に表示される前記作業工程の情報の情報量よりも少ない。
【0082】
前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11及び前記作業量領域A12が上段において左右に並べて表示され、それらの下段に前記作業対象領域A13が表示されている。なお、前記作業工程領域A11、前記作業量領域A12、及び前記作業対象領域A13各々の背景色は、相互に異なる予め設定された色で表示されている。また、前記操作表示領域A14は、前記作業対象領域A13の下段に表示されており、前記ステータス領域A15は、前記作業工程領域A11及び前記作業対象領域A13の左側に表示されている。
【0083】
前記作業工程領域A11には、前記作業工程の内容をイラストなどで示すピクトグラムが前記作業工程の内容として表示されている。具体的に、前記ウェアラブル端末16の前記記憶部173には、前記作業工程の内容ごとに対応して予め設定されたピクトグラムの画像データが記憶されている。そして、前記端末制御部161は、前記作業工程の表示要求に応じて前記作業工程の内容に対応する前記ピクトグラムの画像データを前記記憶部173から読み出して前記ピクトグラムを前記作業工程領域A11に表示させる。これにより、作業者は、前記作業工程領域A11を参照することにより、前記作業工程の内容を直感的に認識することが可能である。
【0084】
また、前記作業量領域A12には、前記作業工程における作業量として、薬品数、抜取り量、又は注入量などの数値及び単位が表示される。具体的に、前記作業量は、前記薬品認証工程では認証の必要がある薬品数であり、前記溶解液抜取り工程又は前記薬液抜取り工程では抜き取り量であり、前記溶解工程では注入量である。
【0085】
前記作業対象領域A13には、前記作業工程で作業の対象となる作業対象を特定するための名称又はコードなどの識別情報が表示される。より具体的に、前記作業対象が薬品である場合には、その薬品の名称又は略称が前記識別情報として表示され、前記作業対象が注射器である場合には、その注射器の名称又は略称が前記識別情報として表示され、前記作業対象が溶解液である場合には、その溶解液の名称又は略称が前記識別情報として表示される。特に、前記ウェアラブル端末16では、前記作業対象領域A13に表示される作業対象の識別情報は、予め設定された文字サイズ以上となる範囲で予め設定されている。なお、前記識別情報が、前記作業対象領域A13に前記文字サイズ以上で表示できない場合には、前記作業対象領域A13において前記識別情報がスクロール表示されることも考えられる。
【0086】
このように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程の情報として、前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象のみが表示され、前記作業工程の実施に必要な情報を取捨選択する必要がないため、作業者による前記混注作業の作業効率が向上する。
【0087】
また、前記端末表示画面D2において、前記操作表示領域A14には、現在操作可能な操作項目が表示される。具体的に、前記操作表示領域A14には、前記第3フットスイッチ153が操作された場合に前記混注制御部11で受け付けられる操作項目を示す操作領域A141が表示されている。また、前記操作表示領域A14には、前記第1フットスイッチ151が操作された場合に前記操作領域A141に移動して表示される操作項目を示す操作領域A142と、前記第2フットスイッチ152が操作された場合に前記操作領域A141に表示される操作項目を示す操作領域A143とが表示されている。
【0088】
例えば、
図8に示される例では、前記操作領域A142に「戻る」、前記操作領域A143に「スキップ」、前記操作領域A141に「認証」の操作内容が割り当てられている状態が示されている。そして、前記混注制御部11は、前記第1フットスイッチ151が操作された場合は前記操作領域A141に「戻る」を表示させ、前記第2フットスイッチ152が操作された場合は前記操作領域A141に「スキップ」を表示させる。一方、前記第3フットスイッチ153が操作された場合、前記混注制御部11は、前記操作領域A141に表示されている「認証」の操作内容に対応する処理を実行する。具体的に、前記薬品認証工程である場合、前記薬品認証処理(S15)を開始する。
【0089】
また、前記ステータス領域A15には、前記端末表示画面D2に表示されている前記作業工程の内容に対応して予め設定された色が表示されている。これにより、作業者は、前記ステータス領域A15を参照することにより、前記作業工程の内容を容易に認識することが可能である。なお、前記ステータス領域A15に表示される色は、前記作業工程の内容ごとに個別である場合に限らず、前記作業工程の内容について予め設定されたグループごとに異なる色であってもよい。例えば、前記作業工程の内容が、抜取り又は注入などを伴う作業工程のグループ、計量を伴う作業工程のグループ、撮影を伴う作業工程のグループなどに分類されていることが考えられる。
【0090】
また、前記ステップS32において、前記端末制御部161は、前記端末表示画面D2を前記端末表示部162に表示させると共に、前記端末表示画面D2に表示される前記作業工程の情報を音声で読み上げてもよい。これにより、作業者は、視覚だけでなく聴覚によっても前記作業工程の情報を認識することができ、前記作業工程の人為的ミスが抑制される。なお、前記作業工程の情報の音声による読み上げは、前記作業工程の情報のうち前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象のいずれか一つ又は複数であってよい。例えば、前記端末制御部161の記憶部173に、前記作業工程の内容ごとに対応して、前記作業工程の内容が読み上げられた音声データが予め記憶されており、前記端末制御部161は、前記作業工程の内容に対応する前記音声データを前記スピーカー165によって再生させる。なお、前記音声による前記作業工程の情報の読み上げは省略されてもよい。
【0091】
<ステップS33>
ステップS33において、前記端末制御部161は、前記撮影部163の撮影要求が行われたか否かが判断される。例えば、前記混注制御部11は、前記端末表示画面D2の前記操作領域A141に「撮影」が表示されている状態で前記フットスイッチ部15の前記第3フットスイッチ153が操作された場合に、前記端末制御部161に前記撮影要求を送信する。
【0092】
<ステップS34>
ステップS34において、前記端末制御部161は、前記撮影部163による撮影を実行し、前記撮影部163で撮影された撮影画像を前記混注制御部11に送信する。これにより、前記混注制御部11では、前記混注作業に対応する前記調製データに対応付けて前記撮影画像を履歴データとして前記記憶部113に記憶させることが可能である。
【0093】
以上、説明したように、前記混注支援システム1では、作業者が前記ウェアラブル端末16の端末表示部162に表示される前記端末表示画面D2を参照することで、前記混注作業の各作業工程を実行することが可能である。特に、前記端末表示画面D2では、前記混注作業の作業工程各々の情報として、前記作業工程の内容、前記作業量、前記作業対象のみが抽出して表示されている。従って、作業者が前記混注作業に含まれる作業工程ごとに、必要な情報と不要な情報とを取捨選択しながら情報を整理する必要がないため、前記混注作業の作業効率が向上する。
【0094】
[作業工程各々に対応する表示例]
以下、
図9~
図24を参照しつつ、前記混注作業に含まれる各作業工程が実行される場合の前記端末表示画面D2の表示例について説明する。
図9~
図24では、右側に前記端末表示部162に表示される前記端末表示画面D2が示されている。また、
図9~
図24では、左側には前記端末表示画面D2が表示されているときに前記操作表示部12において前記混注支援画面D1にポップアップ表示される本体表示画面D11が示されている。なお、
図9~
図24における前記本体表示画面D11及び前記端末表示画面D2の大小関係は
図9~
図24に示す比率に限らない。
【0095】
<薬品認証工程>
ここに、
図9及び
図10は、前記薬品認証工程に対応する表示例を示す図である。
【0096】
図9に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「認証を行ってください。」の文字列が表示されている。また、前記作業量領域A2には、前記作業量として「本数:0/1」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「アリムタ(登録商標)」注射用500mg」の文字列が表示されている。
【0097】
一方、
図9に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記薬品認証工程に対応して予め設定され、前記第2読取部21を用いて薬品の識別情報をバーコードから読み取る動作を示唆するピクトグラムが表示されている。また、前記作業量領域A12には、前記作業量として「0/1」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A13には、前記作業対象である薬品「アリムタ注射用500mg」の略称である「500mgアリム」の文字列が表示されている。
【0098】
なお、前記混注作業で他の薬品も使用される場合には、続けて前記他の薬品についても同様に前記本体表示画面D11及び前記端末表示画面D2に前記薬品認証工程に対応する情報が表示される。例えば、
図10では、前記本体表示画面D11及び前記端末表示画面D2において、前記他の薬品についての前記薬品認証工程の情報として、前記作業工程の内容が薬品認証工程であり、前記作業対象がアリムタ注射用100mgであり、前記作業量が3本である旨が表示されている。
【0099】
<風袋引き工程>
ここに、
図11は、前記風袋引き工程に対応する表示例を示す図である。
【0100】
図11に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「空シリンジの風袋引きをしてください。」の文字列が表示されている。また、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「50mLシリンジ-1」の文字列が表示されている。
【0101】
一方、
図11に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記風袋引き工程に対応して予め設定され、前記風袋引き工程に含まれる計量動作を示唆する天秤の針の動きを示すピクトグラムが表示されている。また、前記端末表示画面D2では、前記作業対象領域A13に代えて、前記風袋引き工程の作業対象の識別情報が示される作業対象領域A131と、前記秤量部22による実測の計量値が表示される実測領域A132とを含む計量領域A130が表示されている。さらに、前記計量領域A130には、前記秤量部22による計量状態が安定したか否かが示される安定表示領域A16が表示されている。例えば、前記秤量部22による計量状態が安定していない場合に前記安定表示領域A16が赤色で表示され、安定した場合には前記安定表示領域A16が青色で表示させる。
【0102】
<溶解液抜取り工程>
ここに、
図12は、前記溶解液抜取り工程に対応する表示例を示す図である。
【0103】
図12に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「溶解液を抜き取ってください。」の文字列が表示されている。また、前記作業量領域A2には、前記作業量として「用量:32.6mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「生理食塩液500ml」の文字列が表示されている。
【0104】
一方、
図12に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記溶解液抜取り工程に対応して予め設定され、前記溶解液抜取り工程に含まれる前記注射器のピストンを引いて前記溶解液を抜き取る動作を示唆するピクトグラムが表示されている。また、前記作業量領域A12には、前記作業量として「抜 32.6mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A13には、前記作業対象である薬品「生理食塩液500ml」の略称である「500ml生食」の文字列が表示されている。
【0105】
<溶解液計量工程>
ここに、
図13は、前記溶解液計量工程に対応する表示例を示す図である。
【0106】
図13に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「溶解液を計量してください。」の文字列が表示されている。また、前記作業量領域A2には、前記作業量として「用量:32.6mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「生理食塩液500ml」の文字列が表示されている。
【0107】
一方、
図13に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記溶解液計量工程に対応して予め設定され、前記溶解液計量工程に含まれる前記溶解液が吸入された前記注射器の計量動作を示唆するピクトグラムが表示されている。また、前記端末表示画面D2では、前記作業量領域A12に代えて、前記前記目標計量値と前記実測計量値とが視覚的に認識可能な態様で示される天秤領域A121が表示されている。さらに、前記端末表示画面D2では、前記作業対象領域A13に代えて、前記溶解液計量工程の作業対象の目標計量値が示される目標領域A133と、前記秤量部22による実測計量値が表示される実測領域A132とを含む計量領域A130が表示されている。なお、前記計量領域A130には、前記秤量部22による計量状態が安定したか否かが示される前記安定表示領域A16も表示されている。
【0108】
ここで、
図13に示されるように、前記天秤領域A121には、予め設定された間隔で右肩上がりに形成された複数の目盛りが表示されると共に、複数の前記目盛りの中央には前記目標計量値に対応する目盛りが表示されている。なお、前記目盛り各々の間に割り当てられる重量の範囲は中央に近づくほど小さくなっていてもよい。
【0109】
前記目標計量値に対応する目盛りは、他の目盛りとは異なる色などの態様で他の目盛りとは区別可能に表示されている。また、前記端末制御部161は、前記混注制御部11から前記秤量部22による実測計量値をリアルタイムで取得しており、前記天秤領域A121において、前記実測計量値を識別可能な色などの態様で表示させる。具体的に、前記天秤領域A121では、左側の短い目盛りほど計量値が小さく、右側の長い目盛りほど計量値が大きいことを示している。これにより、作業者は、前記天秤領域A121において直感的に前記目標計量値と前記実測計量値とが一致しているか否かを認識することができると共に、一致していない場合にその誤差量を直感的に把握することが可能である。
【0110】
また、前記端末制御部161は、前記計量領域A131において、前記実測計量値と前記目標計量値との差が予め設定された誤差範囲内であるか否かに応じて前記実測領域A132の背景色などの表示態様を変更することが考えられる。具体的に、前記端末制御部161は、前記差が前記誤差範囲内でない場合は、前記実測領域A132の背景色を赤色などの第1特定色で表示し、前記差が前記誤差範囲内である場合は、前記実測領域A132の背景色を前記第1特定色とは異なる白又は青などの第2特定色で表示させる。
【0111】
<溶解液撮影工程>
ここに、
図14は、前記溶解液撮影工程に対応する表示例を示す図である。
【0112】
図14に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「画像を撮影してください。」の文字列が表示されている。また、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「生理食塩液500ml」の文字列が表示されている。
【0113】
一方、
図14に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記溶解液撮影工程に対応して予め設定され、前記溶解液撮影工程に含まれる前記撮影部163による撮影動作を示唆するカメラ画像を示すピクトグラムが表示されている。また、前記作業対象領域A13には、前記作業対象である薬品「生理食塩液500ml」の略称である「500ml生食」の文字列が表示されている。
【0114】
<溶解工程>
ここに、
図15~
図18は、前記溶解工程に対応する表示例を示す図である。
【0115】
図15に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「溶解してください。」の文字列が表示されている。また、前記作業量領域A2には、前記作業量として「溶解量:20mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「アリムタ注射用500mg」の文字列が表示されている。
【0116】
一方、
図15に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記溶解工程に対応して予め設定され、前記溶解工程に含まれる前記注射器内の溶解液を前記薬品容器に注入する動作を示唆するピクトグラムが表示されている。また、前記作業量領域A12には、前記作業量として「入 20mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A13には、前記作業対象である薬品「アリムタ注射用500mg」の略称である「500mgアリム」の文字列が表示されている。
【0117】
なお、前記混注作業で他の薬品も使用される場合には、続けて前記他の薬品についても同様に前記本体表示画面D11及び前記端末表示画面D2に前記溶解工程に対応する情報が表示される。例えば、
図16~
図18では、前記本体表示画面D11及び前記端末表示画面D2において、前記他の薬品についての前記溶解工程の情報として、前記作業工程の内容が溶解工程であり、前記作業対象がアリムタ注射用100mgであり、前記作業量が4.2mLである旨が表示されている。
【0118】
ところで、
図16~
図18に示されるように、同一の薬品が収容されている複数の薬品容器を対象として前記溶解工程が複数回連続して実行される場合には、同一の前記端末表示画面D2が複数回連続して表示されることになる。具体的に、
図16~
図18に示す例では、「100mgアリム」に対応する3本の薬品容器に、前記注射器内の溶解液を4.2mlずつ注入して溶解する状況が示されている。これに対し、
図16~
図18に示されるように、同一の薬品について前記溶解工程などの同一の作業工程が複数回繰り返し実行される場合、前記端末制御部161は、その作業工程の進捗状況を示すプログレスバーA17を前記端末表示画面D2に表示させる。前記プログレスバーA17では、長手方向を繰り返し実行される前記作業工程の数で分割した部分領域各々の色などの表示態様が、前記作業工程の終了ごとに順次変更される。これにより、作業者は、前記プログレスバーA17を参照することにより、同一の薬品に対応する同一の作業工程について現在の作業工程の進捗状況を容易に認識することが可能である。なお、前記プログレスバーA17の表示は省略されてもよい。
【0119】
さらに、前記端末制御部161は、
図16~
図18に示されるプログレスバーA17に代えて、
図19A~
図19Cに示されるように、前記作業工程の数で分割した部分領域各々を明示することが考えられる。例えば、
図19A~
図19Cに示されている例では、前記部分領域各々の境界に線分が形成されている。これにより、作業者は、前記部分領域の数及び進捗状況をより正確に把握することが可能である。
【0120】
<薬液抜取り工程>
ここに、
図20及び
図21は、前記薬液抜取り工程に対応する表示例を示す図である。
【0121】
図20に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「抜き取ってください。」の文字列が表示されている。また、前記作業量領域A2には、前記作業量として「用量:20mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「アリムタ注射用500mg」の文字列が表示されている。
【0122】
一方、
図20に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記薬液抜取り工程に対応して予め設定され、前記薬液抜取り工程に含まれる前記注射器のピストンを引いて前記薬品容器から薬液を抜き取る動作を示唆するピクトグラムが表示されている。また、前記作業量領域A12には、前記作業量として「抜 20mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A13には、前記作業対象である薬品「アリムタ注射用500mg」の略称である「500mgアリム」の文字列が表示されている。
【0123】
また、前記混注作業で他の薬品も使用される場合には、続けて前記他の薬品についても同様に前記本体表示画面D11及び前記端末表示画面D2に前記薬液抜取り工程に対応する情報が表示される。例えば、
図21では、前記本体表示画面D11及び前記端末表示画面D2において、前記他の薬品についての前記溶解工程の情報として、前記作業工程の内容が溶解工程であり、前記作業対象がアリムタ注射用100mgであり、前記作業量が12mLである旨が表示されている。なお、
図20に示す例では、前記薬液抜取り工程の対象物である「アリムタ注射用100mg」については、3本の前記薬品容器から抜き取られることになるが、
図21に示されるように、前記端末表示画面D2では、3本の前記薬品容器からの薬液抜取り量の合計量が前記作業量領域A12に表示されている。
【0124】
<薬液計量工程>
ここに、
図22は、前記薬液計量工程に対応する表示例を示す図である。
【0125】
図22に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「計量してください。」の文字列が表示されている。また、前記作業量領域A2には、前記作業量として「用量:32mL」の文字列が表示されている。さらに、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「アリムタ注射用」の文字列が表示されている。
【0126】
一方、
図22に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記薬液計量工程に対応して予め設定され、前記薬液計量工程に含まれる前記薬液が吸入された前記注射器の計量動作を示唆するピクトグラムが表示されている。また、前記端末表示画面D2では、前記溶解液計量工程と同様に、前記作業量領域A12に代えて前記天秤領域A121が表示されている。さらに、前記端末表示画面D2では、前記溶解液計量工程と同様に、前記作業対象領域A13に代えて、前記計量領域A130が表示されている。なお、前記計量領域A130には、前記秤量部22による計量状態が安定したか否かが示される前記安定表示領域A16も表示されている。また、前述したように、前記端末制御部161は、前記計量領域A131において、前記実測計量値と前記目標計量値との差が予め設定された誤差範囲内であるか否かに応じて前記実測領域A132の背景色などの表示態様を変更することが考えられる。
【0127】
<薬液撮影工程>
ここに、
図23は、前記薬液撮影工程に対応する表示例を示す図である。
【0128】
図23に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「画像を撮影してください。」の文字列が表示されている。また、前記作業対象領域A3には、前記作業対象として「50mLシリンジ-1」の文字列が表示されている。
【0129】
一方、
図23に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記薬液撮影工程に対応して予め設定され、前記薬液撮影工程に含まれる前記撮影部163による撮影動作を示唆するカメラ画像を示すピクトグラムが表示されている。また、前記作業対象領域A13には、前記作業対象である薬品「50mLシリンジ-1」の文字列が表示されている。
【0130】
<混注工程>
ここに、
図24は、前記混注工程に対応する表示例を示す図である。
【0131】
図24に示されるように、前記本体側表示画面D11では、前記作業工程領域A1に、前記作業工程の内容として「混注してください。」の文字列が表示されている。一方、
図24に示されるように、前記端末表示画面D2では、前記作業工程領域A11に、前記混注工程に対応して予め設定され、前記混注工程に含まれる前記注射器内の薬液を前記輸液バッグに注入する動作を示唆するピクトグラムが表示されている。
【0132】
以上、説明したように、本実施形態に係る前記混注支援システム1では、前記ウェアラブル端末16の端末表示部162の端末表示画面D2に、前記混注作業に必要な情報だけが集約されて表示される。そのため、作業者は、前記端末表示画面D2を参照して前記混注作業を効率的に進めることが可能である。
【0133】
なお、本実施形態では、前記本体側表示画面D11と前記端末表示画面D2とにおいて前記作業工程各々の情報が異なる態様で表示される場合について説明した。一方、前記本体側表示画面D11が前記端末表示画面D2と同一であることも他の実施形態として考えられる。
【0134】
また、本実施形態では、前記端末表示画面D2において、前記混注作業の作業工程の情報として、前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象のみが表示されている。一方、前記端末表示画面D2では、前記操作表示領域A14及び前記ステータス領域A15なども表示されている。
【0135】
これに対し、
図25A~
図25Cに示されるように、前記端末制御部161が、前記操作表示領域A14及び前記ステータス領域A15の一方又は両方が省略された前記端末表示画面D2を表示することも他の実施形態として考えられる。即ち、前記作業工程領域A11、前記作業量領域A12、及び前記作業対象領域A13のみが前記端末表示画面D2に表示されること、前記作業工程領域A11、前記作業量領域A12、前記作業対象領域A13、及び前記操作表示領域A14のみが前記端末表示画面D2に表示されること、前記作業工程領域A11、前記作業量領域A12、前記作業対象領域A13、及び前記ステータス領域A15のみが前記端末表示画面D2に表示されることが考えられる。
【0136】
さらに、前記端末制御部161が、少なくとも前記作業工程領域A11、前記作業量領域A12、及び前記作業対象領域A13を予め設定された一定期間ごとに順次個別に前記端末表示画面D2に表示させることも考えられる。これにより、前記作業工程領域A11、前記作業量領域A12、及び前記作業対象領域A13各々を前記端末表示画面D2で大きく表示させることが可能である。
【0137】
また、前記端末制御部161が、前記端末表示画面D2を表示する際には、前記操作表示領域A14の表示を省略しておき、前記混注制御部11が前記フットスイッチ部15の操作を受け付けた場合に前記混注制御部11からの入力信号に従って前記操作表示領域A14を一時的に表示させることも考えられる。さらに、前記端末制御部161が、前記端末表示画面D2を表示してから予め設定された時間が経過するまでの間だけ前記ステータス領域A15を表示させて、その後に前記ステータス領域A15の表示を省略させることも考えられる。
【0138】
また、前記端末制御部161が、前記作業対象領域A13に薬品名称などの識別情報を前記作業対象として表示する場合には、少なくとも前記識別情報から規格が除かれた略称の文字列を表示させることが考えられる。例えば、前記識別情報が「アリムタ注射用500mg」である場合に、「アリムタ」又は「アリムタ注射用」などの略称の文字列が表示されることが考えられる。特に、前記端末制御部161は、前記作業工程のうち薬品を認証する前記薬品認証工程では前記端末表示部162に前記薬品名称を省略せずに表示させ、前記薬品認証工程の終了後の他の前記作業工程について前記薬品名称を表示する際には前記薬品名称の略称を前記端末表示部162に表示させることが考えられる。前記作業量領域A12に前記作業量が表示される前記端末表示画面D2を表示する際にのみ、前記作業対象領域A13において前記省略文字が表示されることが考えられる。これにより、前記識別情報に規格として含まれる数字と前記作業量とを誤って認識することが防止される。
【0139】
[他の機能]
以下、前記混注支援システム1が備える他の機能について説明する。なお、ここで説明する各種の機能は、前記混注支援システム1において、前記混注制御部11又は前記ウェアラブル端末16の初期設定などにおいて有効及び無効を切り替え可能である。
【0140】
[薬品画像表示機能]
前記実施形態では、前記端末表示画面D2において前記薬品名称などの識別情報の文字列が前記作業対象として表示される場合について説明した。一方、前記ウェアラブル端末16において、前記端末制御部161が、前記作業対象として、前記薬品の外観写真又は外観イラストなどの薬品画像P1を前記端末表示画面D2に表示する薬品画像表示機能を有することが考えられる。なお、前記薬品画像P1には、少なくとも前記薬品の種類を識別可能な識別情報が含まれていることが望ましい。
【0141】
具体的に、前記ウェアラブル端末16では、前記記憶部173に、前記ウェアラブル端末16で表示される薬品各々に対応する前記薬品画像P1を含む薬品画像マスターが記憶される。なお、前記薬品画像マスターでは、前記薬品各々の識別情報(薬品名、薬品コードなど)と前記薬品画像P1とが対応付けて記憶されている。これにより、前記端末制御部161は、前記作業対象となっている薬品の識別情報に基づいて、前記薬品画像マスターから前記薬品に対応する前記薬品画像P1を特定することが可能である。
【0142】
そして、前記薬品画像表示機能が有効に設定されている場合、前記端末制御部161は、前記作業対象領域A13に表示される前記作業対象が薬品名称である場合、前記端末表示画面D2(例えば
図8など参照)に、前記薬品名称と前記薬品画像P1とを予め設定された所定時間間隔で交互に表示させる。なお、前記端末制御部161が、前記端末表示画面D2の全体を、前記作業工程の内容、前記作業量、及び前記作業対象が表示される状態と前記薬品画像が表示される状態と、前記薬品画像P1が表示される状態とを切り替えることも考えられる。即ち、前記薬品画像P1が前記端末表示画面D2全体に表示されることが考えられる。また、前記端末制御部161が、前記作業対象領域A13において、前記薬品名称と前記薬品画像P1とを前記端末表示画面D2に同時に表示させることも考えられる。
【0143】
このように、当該薬品画像表示機能によれば、作業者は、前記作業工程における作業対象の薬品を前記薬品画像P1によって直感的に認識することが可能となり、前記混注作業の作業効率を高めると共に、前記混注作業の人為的ミスを抑制することが可能である。
【0144】
[薬品画像自動更新機能]
ところで、前記混注作業の対象となる薬品として新薬の発売が開始された場合には、その新薬に対応する前記薬品画像P1を前記薬品画像マスターに登録する必要がある。また、薬品が収容される薬品容器のデザインが変更された場合にも、その薬品に対応する前記薬品画像P1を変更する必要がある。
【0145】
これに対し、前記混注制御部11は、予め設定された薬品データベースに基づいて前記薬品画像P1を自動的に更新する薬品画像自動更新機能を有することが考えられる。前記薬品データベースは、前記混注制御部11が前記通信網を介して無線又は有線で通信可能なサーバー装置などに予め記憶されており、前記混注制御部11は、前記サーバー装置から前記薬品データベースを取得可能である。前記サーバー装置は、例えばインターネット上に設けられたクラウドサーバーなどである。なお、前記薬品データベースは、前記混注制御部11が備える不図示の読取装置によってCD又はDVDなどの記録媒体から読み取られることも考えられる。
【0146】
そして、前記混注制御部11は、前記薬品データベースに基づいて下記の薬品画像更新処理(
図28参照)を実行することにより、前記薬品画像自動更新機能を実現する。ここに、前記薬品画像更新処理を実行するときの前記混注制御部11が薬品更新処理部の一例である。なお、前記薬品更新処理は、前記端末制御部161によって実行されてもよい。前記混注制御部11は、例えば前記混注制御部11の電源投入時、省電力モードからの復帰時、任意の更新開始操作時などに前記薬品画像更新処理を実行する。以下、
図28を参照しつつ、前記薬品画像更新処理の手順の一例について説明する。
【0147】
<ステップS41>
ステップS41において、前記混注制御部11は、前記記憶部113に記憶されている前記薬品マスターに含まれる薬品各々の識別情報に基づいて、前記薬品データベースにおける前記薬品各々に対応する前記薬品画像P1の更新日時を取得する。例えば、前記更新日時は、タイムスタンプ情報として前記薬品画像P1のデータに含まれ、又は、前記薬品データベースに記憶されている。
【0148】
<ステップS42>
ステップS42において、前記混注制御部11は、前記ウェアラブル端末16に記憶されている前記薬品画像マスターにおける前記薬品各々に対応する前記薬品画像P1の更新日時を取得する。例えば、前記更新日時は、タイムスタンプ情報として前記薬品画像P1のデータに含まれ、又は、前記薬品画像マスターに記憶されている。なお、前記薬品画像マスターは、前記混注制御部11の記憶部113に記憶されていてもよい。
【0149】
<ステップS43>
ステップS43において、前記混注制御部11は、前記薬品マスターに含まれている前記薬品各々について、前記薬品データベースにおける前記薬品画像P1の更新日時と前記薬品画像マスターにおける前記薬品画像P1の更新日時とを比較して差分を検出する。
【0150】
<ステップS44>
そして、ステップS44において、前記混注制御部11は、前記ステップS43で検出される差分に基づいて、前記ウェアラブル端末16の記憶部173に記憶されている前記薬品画像マスターを更新する。
【0151】
具体的に、前記混注制御部11は、前記薬品画像マスターに存在しない薬品が前記薬品データベースに存在する場合には、その薬品の前記薬品画像P1を前記薬品データベースから取得して前記ウェアラブル端末16に送信する。これにより、前記ウェアラブル端末16では、前記端末制御部161が、前記記憶部173の前記薬品画像マスターに前記薬品の識別情報と前記薬品画像P1とを対応付けて登録する。なお、前記混注制御部11が、前記ウェアラブル端末16の記憶部173に前記薬品画像P1を登録可能な構成であってもよい。これにより、前記混注支援システム1では、新薬などに自動的に対応することが可能である。
【0152】
また、前記混注制御部11は、前記薬品画像マスターに存在する薬品の前記薬品画像P1の更新日時が前記薬品データベースにおける同じ薬品の前記薬品画像P1の更新日時以前である場合にも、その薬品の前記薬品画像P1を前記薬品データベースから取得して前記ウェアラブル端末16に送信する。これにより、前記ウェアラブル端末16では、前記端末制御部161が、前記記憶部173の前記薬品画像マスターにおいて、前記混注制御部11から送信された前記薬品画像P1を前記薬品に対応する前記薬品画像P1として更新する。これにより、前記混注制御部11では、既に登録されている薬品について前記薬品画像P1が変更された場合に自動的に対応することが可能である。
【0153】
さらに、前記混注制御部11は、前記薬品画像マスターに存在する薬品が前記薬品データベースに存在しない場合には、その薬品の前記薬品画像P1を前記ウェアラブル端末16の記憶部173から消去させる。これにより、前記ウェアラブル端末16では、不要な前記薬品画像P1が自動的に削除されて記憶容量の圧迫が抑制される。
【0154】
[設定機能]
前記ウェアラブル端末16では、前記ウェアラブル端末16に関する一又は複数の設定項目について任意に設定可能であることが考えられる。前記設定項目には、例えば前記端末表示部162の表示モード、及び前記ウェアラブル端末16の接続先などが含まれる。このような各種の前記設定項目の設定は、例えば作業者が前記ウェアラブル端末16の前記端末操作部164の操作に応じて行われることが考えられるが、その場合には作業者が手を使って操作を行う必要がある。これに対し、前記ウェアラブル端末16では、作業者が手を使うことなく前記設定項目の設定を行うことができる設定機能を有することが考えられ、以下、前記設定機能について説明する。
【0155】
ここで、前記設定項目の一例である前記表示モードについて説明する。まず、前記ウェアラブル端末16は、予め定められた右目又は左目のいずれか一方のみで前記端末表示部162を視認可能な状態で作業者に装着可能であることも考えられるが、この場合には、作業者が自由に右目又は左目を選択することができない。これに対し、前記ウェアラブル端末16が、作業者が右目で前記端末表示部162を見る右目モードと、作業者が左目で前記端末表示部162を見る左目モードとを備え、前記端末制御部161が前記端末表示部162の表示モードを前記右目モードと前記左目モードとを任意に切替可能であることが考えられる。具体的に、作業者が左目で前記端末表示部162を見る場合には、作業者は
図4に示される状態で前記端末表示部162が装着され、作業者が右目で前記端末表示部162を見る場合には、
図4に示される状態から前記ウェアラブル端末16の上下を反転させた状態で装着されることになる。そのため、前記端末制御部161は、前記右目モードと前記左目モードとにおいて前記端末表示部162の表示画面の上下を反転させる。
【0156】
続いて、前記設定項目の一例である前記接続先について説明する。まず、前記混注支援システム1が使用される病院又は薬局には、複数の前記混注支援システム1が設けられることがある。この場合、前記ウェアラブル端末16をいずれの前記混注支援システム1で使用するかが予め固定されていることも考えられるが、前記ウェアラブル端末16を使用する前記混注支援システム1を任意に切替可能であることが望ましい。そのため、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16の接続先を任意に設定可能であることが考えられる。具体的には、複数の前記混注支援システム1に対応する号機番号が予め設定されており、前記号機番号が設定されることによって前記接続先が設定される。なお、複数の前記混注支援システム1では、前記混注制御部11が共通であることも考えられ、この場合には、例えば前記ウェアラブル端末16の接続先に代えて、前記混注制御部11を除く前記フットスイッチ部15、前記第2読取部21、及び前記秤量部22などの構成要素との関連付けが設定項目として設定される。
【0157】
そして、前記端末制御部161は、後述の設定処理(
図29参照)を実行することにより、前記設定機能を実現する。ここに、前記設定処理を実行するときの前記端末制御部161が設定処理部の一例である。ここで、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16の電源投入又は省電力モードからの復帰などによる前記ウェアラブル端末16の起動に伴って前記設定処理を実行する。
【0158】
また、前記設定処理の一部又は全部が、前記混注制御部11によって実行されてもよい。この場合、前記混注制御部11は、前記ウェアラブル端末16の電源が投入されて起動した後、前記ウェアラブル端末16から送信される起動信号に基づいて、前記ウェアラブル端末16の起動を認識する。
【0159】
以下、
図29を参照しつつ、前記設定処理の手順の一例について説明する。
【0160】
<ステップS51>
まず、前記ウェアラブル端末16の起動に伴って、前記端末制御部161は、ステップS51において、前記設定項目の内容を設定するために用いられる設定画面D3を前記端末表示部161に表示させる。なお、前記設定画面D3のレイアウト情報及び画像データなどは前記記憶部173に記憶されている。ここに、
図30A~
図30Cは、前記設定画面D3の一例を示す図である。
【0161】
図30Aに示されるように、前記端末制御部161は、前記設定画面D3において、前記撮影部163で捉えられる映像をプレビュー画面P2に表示させる。また、前記端末制御部161は、前記プレビュー画面P2に一次元コード又は二次元コードなどのコード情報を写すことを促すメッセージも前記設定画面D3に表示させる。さらに、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16で過去に設定された前記設定項目の履歴が前記記憶部173に記憶されている場合には、最も新しい履歴を現在の前記設定項目の設定内容として前記設定画面D3に表示させる。なお、前記設定項目の履歴は前記混注制御部11の記憶部113に記憶されており、前記端末制御部161が前記記憶部113から読み出してもよい。
図30Aに示される例では、現在の前記設定項目の設定内容として、前記表示モードが右目モードであり、前記接続先が1号機である旨が表示されている。
【0162】
<ステップS52>
ステップS52において、前記端末制御部161は、前記撮影部163で捉えられる一次元コード又は二次元コードなどのコード情報から情報を読み取る読取処理が実行可能な待機状態に遷移させる。ここで、前記コード情報は、例えば不図示の紙媒体に印刷されていること、前記安全キャビネット100に貼付されていること、又は不図示のタブレット端末などに表示されること等が考えられる。なお、前記一次元コードは、例えばバーコードであり、前記二次元コードは、例えばQRコード(登録商標)である。ここに、前記読取処理を実行するときの前記端末制御部161が読取処理部の一例である。具体的に、前記端末制御部161は、前記撮影部163による撮影範囲内に前記コード情報が存在する場合に、前記コード情報から情報を読み取る。即ち、前記端末制御部161は、作業者による撮影操作を要することなく、前記コード情報から情報を読み取ることが可能である。
【0163】
<ステップS53>
ステップS53において、前記端末制御部161は、前記待機状態の継続時間を示す待機時間の計時を開始する。具体的に、前記端末制御部161は、前記ステップS53が実行されるタイミングで前記待機時間を0にリセットして前記待機時間の計時を開始する。
【0164】
<ステップS54>
ステップS54において、前記端末制御部161は、前記待機状態において前記読取処理によって前記コード情報から情報が読み取られたか否かを判断する。ここで、前記コード情報から情報が読み取られたと判断された場合(S54:Yes)、処理はステップS541に移行する。一方、前記コード情報から情報が読み取られていないと判断された場合(S54:No)、処理はステップS55に移行する。なお、前記端末制御部161は、前記読取処理で読み取られた情報が前記設定項目の設定に用いられる予め定められた特定の情報を含む場合にのみ情報が読み取られたと判断し、前記特定の情報が含まれていない場合には前記読取処理で読み取られた情報を無視することも考えられる。
【0165】
<ステップS55>
ステップS55において、前記端末制御部161は、前記ステップS53で計時が開始された前記待機時間が予め設定された上限時間(例えば5秒又は10秒)以上であるか否かを判断する。ここで、前記待機時間が前記上限時間以上であると判断された場合(S55:Yes)、処理はステップS56に移行する。なお、前記待機時間が前記上限時間以上でないと判断された場合(S55:No)、処理は前記ステップS54に戻る。
【0166】
なお、本実施形態では、前記ウェアラブル端末16の起動後、最初に実行される前記ステップS55で判断指標として用いられる上限時間(第1上限時間に相当)と、2回目以降に実行される前記ステップS55で判断指標として用いられる上限時間(第2上限時間に相当)とが同じ時間である場合について説明するが、前記上限時間(第1上限時間、第2上限時間)各々は異なる時間であってもよい。即ち、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16が起動してから前記第1上限時間内に前記読取処理によって情報が読み取られ、その情報に基づいて前記設定項目を設定した後も前記待機状態を維持する。そして、その後、前記端末制御部161は、予め設定された第2上限時間以内の間隔で前記読取処理によって情報が読み取られた場合は当該情報に基づいて前記設定項目の内容を設定して前記待機状態を維持する。即ち、前記ウェアラブル端末16が起動後、2回目だけでなく3回目以降も、前記第2上限時間以内の間隔で前記読取処理によって情報が読み取られる場合にはその情報に基づく前記設定項目の内容の設定が実行されることになる。一方、前記端末制御部161は、前回の前記読取処理による情報の読み取り後から前記第2上限時間の経過前に前記読取処理によって情報が読み取られなかった場合は前記待機状態を解除する。例えば、前記第1上限時間が前記第2上限時間よりも長く設定されていれば、作業者が前記ウェアラブル端末16の電源投入後に最初の前記コード情報を読み取るまでの間に余裕ができると共に、その後は無駄な待ち時間が短縮される。
【0167】
また、前記端末制御部161は、前記ステップS55において前記待機時間が前記上限時間以上に達していない場合であっても(S55:No)、前記ウェアラブル端末16で設定可能な全ての前記設定項目各々についての設定が一通り実行された場合は、処理をステップS58に移行させることも他の実施形態として考えられる。
【0168】
<ステップS541>
一方、前記コード情報から情報が読み取られたと判断された場合は、続くステップS541において、前記端末制御部161は、前記コード情報から読み取られた情報に基づいて前記設定項目の内容を設定し、前記待機状態を維持したまま処理を前記ステップS53に戻す。
【0169】
即ち、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16の起動開始時に前記待機状態に遷移した後、前記上限時間が経過するまでの間に前記読取処理によって情報が読み取られた場合は、当該情報に基づいて前記設定項目の内容を設定する。同様に、前記端末制御部161は、前記ステップS541による設定処理が実行された後、前記上限時間が経過するまでの間に前記読取処理によって情報が読み取られた場合にも、当該情報に基づいて前記設定項目の内容を設定する。なお、前記端末制御部161は、前記設定処理によって既に設定された前記設定項目を設定するための情報が前記読取処理で読み取られた場合にも、前記設定項目の内容を再設定した後、処理をステップS53に戻すことにより前記待機時間をリセットして前記待機時間の計時を0から再度開始する。これにより、誤って前記設定項目が設定された場合でも容易にその設定内容を変更することが可能である。
【0170】
また、前記読取処理によって読み取られた情報に基づいて前記設定項目が設定された後も前記待機状態が継続する。従って、前記端末制御部161は、前記設定処理において、複数の前記設定項目を連続的に設定することが可能であるため、作業者は複数の前記設定項目の内容を設定する場合であっても前記ウェアラブル端末16の操作を行う必要がない。
【0171】
より具体的に、前記端末制御部161は、前記コード情報から読み取られた情報に基づいて、前記設定項目の種別を判断すると共に、その設定項目の内容を設定する。例えば、前記端末制御部161は、前記設定項目が前記表示モードであってその内容が前記左目モードであることを示す情報が前記コード情報から読み取られた場合に、前記表示モードを前記左目モードに設定する。ここに、
図30Bは、前記表示モードが前記左目モードに設定された場合の表示例である。
図30Bに示されるように、前記端末制御部161は、前記表示モードを前記左目モードに設定すると共に、前記表示モードが前記左目モードに設定された旨のメッセージを前記設定画面D3の前記プレビュー画面P2にポップアップ表示させる。なお、前記メッセージは、予め設定された時間が経過した後、自動的に前記設定画面D3から消去される。
【0172】
また、前記端末制御部161は、前記設定項目が前記接続先であってその内容が2号機番号であることを示す情報が前記コード情報から読み取られた場合に、前記接続先を2号機に設定する。具体的に、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16を、2号機に対応する前記混注支援システム1に対応する前記混注制御部11との間で通信接続を確立する。また、複数の前記混注支援システム1に共通の前記混注制御部11が用いられる場合には、前記ウェアラブル端末16が使用される前記安全キャビネット100が前記号機番号などによって設定され、前記安全キャビネット100に対応して配置されたその他の構成要素が前記ウェアラブル端末16と対応付けられる。ここに、
図30Cは、前記接続先が2号機に設定された場合の表示例である。
図30Cに示されるように、前記端末制御部161は、前記接続先を2号機に設定すると共に、前記接続先が2号機に設定された旨のメッセージを前記設定画面D3の前記プレビュー画面P2にポップアップ表示させる。なお、前記メッセージは、予め設定された時間が経過した後、自動的に前記設定画面D3から消去される。
【0173】
また、一つの前記コード情報に複数の前記設定項目に関する情報が含まれており、前記端末制御部161が、一つの前記コード情報から読み取られる情報に基づいて複数の前記設定項目の内容を一挙に設定することが考えられる。具体的に、前記表示モード及び前記接続先の2種類の前記設定項目について、合計4つの前記コード情報が用意されている場合には、一つの前記コード情報から読み取られる情報に基づいて前記表示モード及び前記号機番号の合計4種類の組み合わせが設定可能である。例えば、一つの前記コード情報から読み取られた情報に基づいて、前記表示モードが前記左目モードに設定され、前記接続先が2号機に設定されることが考えられる。
【0174】
また、同じ作業者であれば、前記ウェアラブル端末16で設定する前記設定項目各々の内容が常に同じであることが考えられる。そこで、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16を使用する作業者ごとに前記設定項目各々の内容を設定することも考えられる。具体的に、前記記憶部173には、前記作業者ごとに対応する前記設定項目各々の内容が予め記憶されており、前記端末制御部161が、前記コード情報から前記作業者を識別可能な情報が読み取られた場合に、前記作業者に対応する前記設定項目各々の内容を前記記憶部173から読み出して設定することが考えられる。例えば、前記端末制御部161は、ある作業者が前記ウェアラブル端末16又は前記混注制御部11にログインした後に、前記設定処理で設定された最新の前記設定項目各々の内容を当該作業者に対応付けて前記記憶部173に記憶させることが考えられる。なお、前記作業者ごとに対応する前記設定項目の内容は前記混注制御部11の記憶部113に記憶されており、前記端末制御部161が前記記憶部113から前記作業者ごとに対応する前記設定項目の内容を読み出してもよい。また、前記混注支援システム1に複数の前記ウェアラブル端末16が含まれる場合に、そのいずれかの前記ウェアラブル端末16の前記記憶部173に前記作業者ごとに対応する前記設定項目の内容が記憶されており、前記端末制御部161が他の前記ウェアラブル端末16の前記記憶部173から前記作業者ごとに対応する前記設定項目の内容を読み出してもよい。
【0175】
<ステップS56>
前記待機時間が前記上限時間以上であると判断されると、続くステップS56において、前記端末制御部161は、前記読取処理が実行可能な前記待機状態を解除する。即ち、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16が起動して前記待機状態に遷移した後、前記上限時間が経過するまでの間に前記読取処理によって情報が読み取られなかった場合は前記待機状態を解除する。同様に、前記端末制御部161は、前記ステップS541による前記設定項目の設定処理が実行された後、前記上限時間が経過するまでの間に前記読取処理によって情報が読み取られなかった場合にも前記待機状態を解除する。従って、前記端末制御部161は、前記設定処理において、前記上限時間内に前記コード情報から情報が読み取られないことを条件に自動的に前記設定処理を終了させることが可能であるため、作業者は前記設定項目の内容を設定しない場合であっても手で前記ウェアラブル端末16の操作を行う必要がない。
【0176】
<ステップS57>
ステップS57において、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16について設定可能な一又は複数の前記設定項目に、前記待機状態で前記読取処理によって読み取られる情報に基づいて設定されなかった未設定項目が存在する場合は、当該未設定項目を前記記憶部173に記憶されている前記履歴に基づいて設定する。具体的に、前記端末制御部161は、前記未設定項目の内容を前記記憶部173に記憶されている最新の前記履歴の状態に設定する。なお、前記端末制御部161は、前記ウェアラブル端末16で過去に設定された前記設定項目の履歴を前記記憶部173に蓄積して前記記憶部173に記憶すること、又は前記設定項目各々について最新の履歴のみを前記記憶部173に記憶することが考えられる。
【0177】
<ステップS58>
ステップS58において、前記端末制御部161は、前記表示制御処理(
図7参照)を開始する。これにより、前記ウェアラブル端末16では、前記端末表示部162に前記混注作業の各作業工程の内容が順次表示され、作業者による前記混注作業が支援されることになる。このとき、前記表示制御処理において、前記端末制御部161は、前記設定処理で設定された前記設定項目各々の設定内容に従って前記作業工程各々の内容を前記端末表示部162に表示させる。
【0178】
以上、説明したように、前記混注支援システム1では、前記ウェアラブル端末16が起動に伴って前記待機状態に遷移し、前記読取処理で読み取られる情報に基づいて前記設定項目の内容が設定されるため、作業者が手を使って操作を行うことなく一又は複数の前記設定項目を設定することが可能である。
【0179】
また、前記端末制御部161は、前記ステップS54で前記コード情報から情報が読み取られた場合に、その情報に対応する設定項目の種別を判断すると共に、その設定項目の内容を設定すること、即ち複数の前記設定項目について任意の順序で設定可能な構成について説明した。一方、前記端末制御部161が、予め設定された複数の前記設定項目についての前記コード情報の読み取りを促す画面を予め設定された順序で表示させ、その表示に対応する前記設定項目の内容を示す情報が前記コード情報から順次読み取られることにより、前記設定項目各々の内容を順次設定することも他の実施形態として考えられる。
【0180】
なお、前記設定項目の種別は、前記表示モード及び前記接続先に限らず、前記ウェアラブル端末16又は前記混注制御部11の動作に関する各種の設定項目であればよい。例えば、前記混注支援システム1が複数の撮影部を備える場合に、その複数の撮影部から、前記混注作業に含まれる前記溶解液撮影工程又は前記薬液撮影工程などの撮影工程で用いる撮影部を選択するための設定が前記設定項目の一例として考えられる。例えば、前記混注支援システム1が、前記ウェアラブル端末16の前記撮影部163の他に、前記操作表示部12及び前記第1読取部13などと共に固定され、或いは、前記安全キャビネット100に固定された状態で用いられる固定撮影部を備えることが考えられる。この場合、前記端末制御部161は、前記設定処理において、前記コード情報から読み取られる情報に基づいて、前記撮影工程で使用する撮影部として前記撮影部163及び前記固定撮影部のいずれかを選択することが考えられる。
【0181】
また、前記混注支援システム1では、前記混注作業に含まれる各作業工程の表示内容が作業者の技能レベル又は作業者の好みに応じて変更可能であることが考えられる。具体的に、前記端末制御部161は、前記作業工程について簡易的に作業工程の内容を表示する簡易モードと、前記作業工程について詳細に作業工程の内容を表示する詳細モードとを備え、前記設定処理における前記読取処理で読み取られた情報に応じて前記簡易モードと前記詳細モードとを切り替えることが考えられる。この場合、前記簡易モード及び前記詳細モードの切り替えの設定が前記設定項目の一例として考えられる。例えば、前記溶解液抜取り工程又は前記薬液抜取り工程などの抜取り工程において、前記調製データで指定されている注射器で複数回の抜取り工程に分けて溶解液又は薬液を抜き取る必要がある場合、前記詳細モードでは前記抜取り工程各々に対応する抜取り量が前記端末表示画面D2に順次表示され、前記簡易モードでは前記抜取り量の合計が前記端末表示画面D2に表示される。また、前記溶解液計量工程又は前記薬液計量工程などの計量工程が実行される場合に、前記詳細モードでは、前記計量工程による計量対象の溶解液又は薬液を注射器で抜き取ることを促す抜取り表示画面が表示された後に秤量画面を表示させ、前記簡易モードでは、前記抜取り表示画面が表示されずに前記秤量画面が表示されることが考えられる。
【0182】
また、前記混注支援システム1では、前記混注制御部11が、前記薬品画像表示機能の有効及び無効を、前記設定処理における前記読取処理で読み取られた情報に応じて切り替えることが考えられる。即ち、前記薬品画像表示機能の有効及び無効の切り替えの設定が前記設定項目の一例であることが考えられる。
【符号の説明】
【0183】
1 混注支援システム
11 混注制御部
12 操作表示部
13 第1読取部
14 プリンター
15 フットスイッチ部
16 ウェアラブル端末
161 端末制御部
162 端末表示部
163 撮影部
164 端末操作部
165 スピーカー
166 マイク
21 第2読取部
22 秤量部