(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】植物生育指標測定装置、植物生育指標算出プログラムおよび植物生育指標測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20220614BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G01N21/27 B
A01G7/00 603
(21)【出願番号】P 2020208242
(22)【出願日】2020-12-16
(62)【分割の表示】P 2017517834の分割
【原出願日】2016-04-12
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2015097586
(32)【優先日】2015-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】片桐 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭洋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 謙二
(72)【発明者】
【氏名】天野 紗織
(72)【発明者】
【氏名】深澤 啓司
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-301810(JP,A)
【文献】特開2003-021688(JP,A)
【文献】国際公開第2009/116613(WO,A1)
【文献】特開2013-231645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268094(US,A1)
【文献】特開2012-159375(JP,A)
【文献】特表2004-536318(JP,A)
【文献】特開2006-101768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61
G01W 1/00-1/18
A01G 7/00-7/06
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データに基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算部と、
太陽光の測定対象への入射角度である太陽角度のデータ、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向のデータ、および前記太陽光の拡散度データと、前記生育指標の補正値との対応関係を補正情報として記憶する補正情報記憶部とを備え、
前記生育指標演算部は、前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度に基づいて補正前の生育指標を求め、前記補正情報に基づく前記補正値で前記補正前の生育指標を補正して前記生育指標を求める、
植物生育指標測定装置。
【請求項2】
前記生育指標演算部は、さらに、第3および第4波長で測定した、前記太陽光の光強度データを用いて、前記補正前の生育指標を求める、
請求項1に記載の植物生育指標測定装置。
【請求項3】
前記補正情報記憶部は、前記太陽角度のデータ、前記太陽方向のデータおよび前記拡散度データに、さらに、前記測定対象に対する前記各光強度データの測定方向の角度である測定角度データおよび前記測定対象の葉密度データとを加えた、前記生育指標の補正値との対応関係を前記補正情報として記憶する、
請求項1または2に記載の植物生育指標測定装置。
【請求項4】
前記第3波長は、前記第1波長と対応する波長であり、前記第4波長は、前記第2波長と対応する波長である、
請求項2または
請求項2を引用する請求項3に記載の植物生育指標測定装置。
【請求項5】
植物生育指標を算出するためにコンピュータに実行させる植物生育指標算出プログラムであって、
互いに異なる第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データに基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す第1生育指標を求める第1生育指標演算工程と、
記憶部に記憶されている、太陽光の前記測定対象への入射角度である太陽角度のデータ、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向のデータ、および前記太陽光の拡散度データと、前記第1
生育指標に対する補正値との対応関係を示す補正情報を読み出す補正情報読み出し工程と、
前記補正情報に基づく前記補正値で前記第1
生育指標を補正して第2生育指標を求める第2生育指標演算工程と、
をコンピュータに実行させる植物生育指標算出プログラム。
【請求項6】
複数の葉を持つ測定対象の反射光の光強度を、互いに異なる第1および第2波長で測定する反射光測定部と、
太陽光の前記測定対象への入射角度を太陽角度として取得する太陽角度取得部と、
前記反射光測定部の測定方向に対する太陽の方向を太陽方向として取得する太陽方向取得部と、
前記太陽の太陽光の拡散度を測定する拡散度測定部と、
互いに異なる第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データに基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算部と、
太陽光の測定対象への入射角度である太陽角度のデータ、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向のデータ、および前記太陽光の拡散度データと、前記生育指標の補正値との対応関係を補正情報として記憶する補正情報記憶部とを備え、
前記生育指標演算部は、前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度に基づいて補正前の生育指標を求め、前記補正情報に基づく前記補正値で前記補正前の生育指標を補正して前記生育指標を求める、
植物生育指標測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物における生育の度合いを表す生育指標を求める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
農業では、高品質および安定多収穫な農作物の植物を育てるために、例えば追肥時期や追肥量等の施肥管理を適切に実施する必要がある。そのために、現状の植物の状態が判定される。この判定には、従前、葉色の濃さが植物の状態を表していることから、例えば黄緑色から濃い緑色まで徐々に色を変化させた複数の色見本を備える葉色板(葉色カラースケール)が用いられている。このような葉色板を用いた植物の状態の判定では、主観的な判定となるため、あるいは、農業の工業化に適さないため、近年では、種々の装置が研究、開発されている。その1つに、例えば、特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
この特許文献1に開示された植物の生育度測定装置は、植物の生育度を光学的に測定する装置であって、植物により反射された太陽光を入射させて分光し、2種以上の特定波長の光の反射強度を測定する第1の受光部と、太陽光を直接入射させて前記第1の受光部と同一波長の光に分光し、参照光としてその受光強度を測定する第2の受光部と、前記第1の受光部で検出した特定波長の反射強度を前記第2の受光部で検出した参照光の受光強度を基に補正し、補正された反射強度を基に、測定植物の葉色(SPAD値)、草丈、乾物重、(草丈×茎数)、{草丈×葉色(SPAD値)}及び{草丈×茎数×葉色(SPAD値)}の少なくとも1つを求める演算部と、を備える。
【0004】
ところで、前記特許文献1に開示されて植物の生育度測定装置は、生育度を求めるために、前記特定波長の反射強度を前記参照光の受光強度を基に補正している。しかしながら、実際の圃場では、植物の葉は、1枚だけの単葉ではなく、複数枚の群葉である。このため、植物により反射された太陽光は、群葉で透過や反射を繰り返した後に受光されることになり、この結果、受光強度は、例えばカメラ(撮像部)で受光する場合、前記カメラと太陽との位置関係に依存してしまう。したがって、前記特許文献1に開示されて植物の生育度測定装置は、精度の点で、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-168771号公報(特許第4243014号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より精度良く生育指標を測定できる植物生育指標測定装置、植物生育指標算出プログラムおよび植物生育指標測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる植物生育指標測定装置は、互いに異なる第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データに基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算部と、太陽光の測定対象への入射角度である太陽角度のデータ、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向のデータ、および前記太陽光の拡散度データと、前記生育指標の補正値との対応関係を補正情報として記憶する補正情報記憶部とを備え、前記生育指標演算部は、前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度に基づいて補正前の生育指標を求め、前記補正情報に基づく前記補正値で前記補正前の生育指標を補正して前記生育指標を求める。
【0008】
本発明の他の一態様にかかる植物生育指標測定算出プログラムは、植物生育指標を算出するためにコンピュータに実行させる植物生育指標算出プログラムであって、互いに異なる第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データに基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す第1生育指標を求める第1生育指標演算工程と、記憶部に記憶されている、太陽光の前記測定対象への入射角度である太陽角度のデータ、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向のデータ、および前記太陽光の拡散度データと、前記第1の生育指標に対する補正値との対応関係を示す補正情報を読み出す補正情報読み出し工程と、前記補正情報に基づく前記補正値で前記第1の生育指標を補正して第2生育指標を求める第2生育指標演算工程と、をコンピュータに実行させる。
【0009】
本発明の他の一態様にかかる植物生育指標測定システムは、複数の葉を持つ測定対象の反射光の光強度を、互いに異なる第1および第2波長で測定する反射光測定部と、太陽光の前記測定対象への入射角度を太陽角度として取得する太陽角度取得部と、前記反射光測定部の測定方向に対する太陽の方向を太陽方向として取得する太陽方向取得部と、前記太陽の太陽光の拡散度を測定する拡散度測定部と、互いに異なる第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データに基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算部と、太陽光の測定対象への入射角度である太陽角度のデータ、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向のデータ、および前記太陽光の拡散度データと、前記生育指標の補正値との対応関係を補正情報として記憶する補正情報記憶部とを備え、前記生育指標演算部は、前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度に基づいて補正前の生育指標を求め、前記補正情報に基づく前記補正値で前記補正前の生育指標を補正して前記生育指標を求める。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる植物生育指標測定装置、植物生育指標測定プログラムおよび植物育成指標測定システムは、より精度良く、植物の生育指標を測定できる。
【0011】
上記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】拡散度Wが相対的に低い場合における、カメラ角度(測定角度)β別の太陽方向φとNDVI値との関係を示す図である。
【
図3】拡散度Wが中程度の場合における、カメラ角度(測定角度)β別の太陽方向φとNDVI値との関係を示す図である。
【
図4】拡散度Wが相対的に高い場合における、カメラ角度(測定角度)β別の太陽方向φとNDVI値との関係を示す図である。
【
図5】実施形態における植物生育指標測定システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態における植物生育指標測定システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態の植物生育指標測定システムにおける測定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0014】
実際の圃場で、複数の葉から成る群葉のNDVI(Normalized Difference Vegetation Index、正規化植生指標)値を測定する場合において、反射強度を得るために前記群葉の測定対象を撮像するカメラと太陽との位置関係が前記NDVI値に与える影響について、まず、説明する。
【0015】
図1は、測定系を説明するための図である。
図2は、拡散度Wが相対的に低い場合における、カメラ角度(測定角度)β別の太陽方向φとNDVI値との関係を示す図である。
図3は、拡散度Wが中程度の場合における、カメラ角度(測定角度)β別の太陽方向φとNDVI値との関係を示す図である。
図4は、拡散度Wが相対的に高い場合における、カメラ角度(測定角度)β別の太陽方向φとNDVI値との関係を示す図である。これら
図2ないし
図4において、
図Aは、太陽角度αが0である場合におけるNDVI値を示し、
図Bは、太陽角度αが30である場合におけるNDVI値を示し、
図Cは、太陽角度αが60である場合におけるNDVI値を示す。実線は、カメラ角度βが0度である場合の測定結果を示し、破線は、カメラ角度βが30度である場合の測定結果を示し、二点鎖線は、カメラ角度βが60度である場合の測定結果を示し、一点鎖線は、カメラ角度βが90度である場合の測定結果を示す。そして、これら各図において、横軸は、度単位(degree)で表す太陽方向φであり、その縦軸は、NDVI値である。
【0016】
この実験では、測定対象は、複数の葉から成る群葉であり、
図1に示すように、この測定対象に、太陽角度αの太陽から太陽光が照射されている場合に、この測定対象が、カメラ角度(測定角度)βで、NDVI値を測定するNDVIカメラによって測定された。前記測定では、太陽方向をφとし、太陽の拡散度をWとした場合に、これら太陽角度α、カメラ角度β、太陽方向φおよび拡散度WをパラメータとしてNDVI値が実測された。その結果が
図2ないし
図4それぞれに示されている。
【0017】
ここで、太陽角度αは、太陽の高さを表し、水平面の法線方向である鉛直方向を基準に(鉛直方向を0度として)、測定対象に入射する太陽光の角度によって表される。すなわち、太陽角度αは、水平面に入射する太陽光の入射角である。カメラ角度(測定角度)βは、鉛直方向を基準に(鉛直方向を0度として)、測定方向(NDVIカメラの光軸に沿った方向)と鉛直方向とのなす角度である。太陽方向φは、NDVIカメラの測定方向に対する太陽の方向であり、測定対象に対するNDVIカメラの測定方向と、前記測定対象に照射(入射)される太陽光の照射方向(入射方向)とのなす角度である。拡散度Wは、太陽光が前記測定対象に照射されるまでの間に、例えば雲や霧等の大気の状態(気象条件)によって拡散される度合いである。
【0018】
図2ないし
図4から分かるように、NDVI値は、これら太陽角度α、カメラ角度β、太陽方向φおよび拡散度Wに依存している。例えば、カメラ角度βが0度から90度へ変化するに従ってNDVI値は、小さくなる傾向にある。また例えば、拡散度Wが低い場合および拡散度Wが中程度である場合では、太陽角度αが0度から90度へ変化するに従ってNDVI値は、太陽方向φに依存するようになる傾向にある。
【0019】
このようにNDVI値が太陽角度α、カメラ角度(測定角度)β、太陽方向φおよび拡散度Wに依存する理由は、次のように推察されている。すなわち、群葉の場合、太陽光は、透過や反射を繰り返すが、この透過や反射の回数は、太陽角度α、カメラ角度β、太陽方向φおよび拡散度Wによって変化する。このため、群葉で反射した太陽光の反射光強度は、太陽角度α、カメラ角度β、太陽方向φおよび拡散度Wによって変化することになり、この結果、NDVI値は、太陽角度α、カメラ角度β、太陽方向φおよび拡散度Wに依存することになる。ここで、群葉の葉密度(単位面積における群葉の占有率)Lも、前記透過や反射の回数に影響を与えるため、NDVI値は、群葉の葉密度Lに依存するものとなる。
【0020】
したがって、NDVI値は、このような原因に基づいて補正されることで、より精度が高くなる。この観点から、一態様では、NDVI値は、太陽角度αおよび太陽方向φに基づいて補正されることが好ましい。他の一態様では、NDVI値は、太陽角度α、太陽方向φおよび拡散度Wに基づいて補正されることがより好ましい。他の一態様では、NDVI値は、太陽角度α、太陽方向φ、拡散度W、カメラ角度(測定角度)および葉密度Lに基づいて補正されることがさらに好ましい。
【0021】
次に、本実施形態について説明する。
図5は、実施形態における植物生育指標測定システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
実施形態における植物生育指標測定装置は、第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データと、太陽光の測定対象への入射角度である太陽角度データと、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向データと、に基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算部を備える。好ましくは、上述の植物生育指標測定装置において、前記生育指標演算部は、さらに、第3および第4波長で測定した、前記太陽の太陽光の光強度データと、前記太陽の太陽光の拡散度データと、に基づいて、前記測定対象の前記生育指標を求める。より好ましくは、上述の植物生育指標測定装置において、前記生育指標演算部は、さらに、前記測定対象に対する前記各光強度データの測定方向の角度である測定角度データと、前記測定対象の葉密度データと、に基づいて、前記測定対象の前記生育指標を求める。
【0023】
このような植物生育指標測定装置は、これら各データを入力するために、データを入力する入力回路または外部機器との間でデータの入出力を行うインターフェース回路と、前記生育指標演算部を機能的に構成するマイクロプロセッサと、これらの周辺回路とを備えたコンピュータを備えて構成されて良いが、ここでは、これら各データを得る各部と、前記生育指標演算部とを備えた植物生育指標測定システムの実施形態について説明する。すなわち、本実施形態における植物生育指標測定システムは、複数の葉を持つ測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める装置であって、複数の葉を持つ測定対象の反射光の光強度を、互いに異なる第1および第2波長で測定する反射光測定部と、太陽の高度を太陽角度として取得する太陽角度取得部と、前記反射光測定部の測定方向に対する前記太陽の方向を太陽方向として取得する太陽方向取得部と、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度、前記太陽角度取得部で取得した前記太陽角度、ならびに、前記太陽方向取得部で取得した前記太陽方向に基づいて、前記測定対象の生育指標を求める生育指標演算部とを備える。好ましくは、前記植物生育指標測定システムは、前記太陽の太陽光の光強度を、互いに異なる第3および第4波長で測定する太陽光測定部と、前記太陽の太陽光の拡散度を取得する拡散度取得部とをさらに備え、前記生育指標演算部は、前記生育指標を求める際に、前記太陽光測定部で測定した前記第3および第4波長それぞれでの前記太陽光の各光強度、および、前記拡散度取得部で取得した前記拡散度をさらに考慮するものである。より好ましくは、前記植物生育指標測定システムは、前記測定対象に対する前記反射光測定部の測定方向の角度を測定角度として取得する測定角度取得部と、前記測定対象の葉密度を取得する葉密度取得部とをさらに備え、前記生育指標演算部は、前記生育指標を求める際に、前記測定角度取得部で取得した前記測定角度、および、前記葉密度測定部で取得した前記葉密度をさらに考慮するものである。
【0024】
このような実施形態における植物生育指標測定システムMは、例えば、
図5に示すように、反射光測定部1と、GPS(Global Positioning System、全地球測位網)部2と、方位計3と、傾斜計4と、太陽光測定部5と、制御処理部6と、時計部7と、記憶部8と、インターフェース部9と、電源部10とを備える。
【0025】
反射光測定部1は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、測定対象の反射光の光強度を、互いに異なる第1および第2波長で測定する装置であり、その測定結果を制御処理部6へ出力する。前記第1および第2波長は、求める生育指標に応じた適宜な波長であって良く、例えば、NDVI値を生育指標として求める場合には、650nm近辺の可視光の波長および750nm以上の赤外光の波長である。
【0026】
より具体的には、反射光測定部1は、可視光の画像(可視画像)を生成する第1可視撮像部1-1と、赤外光の画像(赤外画像)を生成する第1赤外撮像部1-2とを備える。第1可視撮像部1-1は、例えば、波長650nmを中心波長とする比較的狭帯域で光を透過する第1バンドパスフィルタ、前記第1バンドパスフィルタを透過した測定対象の可視光の光学像を所定の結像面上に結像する第1結像光学系、前記第1結像面に受光面を一致させて配置され、前記測定対象の可視光の光学像を電気的な信号に変換する第1イメージセンサ、前記第1イメージセンサの出力に対し公知の画像処理を施して可視光での第1画像データRvを生成する第1デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等を備えて構成される、いわゆるカメラ等である。第2赤外撮像部1-2は、例えば、波長800nmを中心波長とする比較的狭帯域で光を透過する第2バンドパスフィルタ、前記第2バンドパスフィルタを透過した測定対象の赤外光の光学像を所定の結像面上に結像する第2結像光学系、前記第2結像面に受光面を一致させて配置され、前記測定対象の赤外光の光学像を電気的な信号に変換する第2イメージセンサ、前記第2イメージセンサの出力に対し公知の画像処理を施して赤外光での第2画像データRiを生成する第2DSP等を備えて構成される、いわゆる赤外カメラ等である。第1可視撮像部1-1は、可視光での前記第1画像データRvを制御処理部6へ出力し、第1赤外撮像部1-2は、赤外光での前記第2画像データRiを制御処理部6へ出力する。第1可視撮像部1-1の第1測定方向(第1光軸に沿った第1方向)と第1赤外撮像部1-2の第2測定方向(第2光軸に沿った第2方向)とが互いに平行となるように、第1可視撮像部1-1と第1赤外撮像部1-2とは、配設される。これら互いに平行な第1可視撮像部1-1の第1測定方向および第1赤外撮像部1-2の第2測定方向が当該植物生育指標測定装置Mの測定方向である。
【0027】
なお、上述では、反射光測定部1は、第1可視撮像部1-1および第1赤外撮像部1-2を備えて構成されたが、反射光測定部1は、赤色を受光するR画素、緑色を受光するG画素、青色を受光するB画素および赤外を受光するIr画素を2行2列に配列した単位配列を持つイメージセンサ(RGBIrイメージセンサ)や、白色を受光するW画素、黄色を受光するY画素、赤色を受光するR画素および赤外を受光するIr画素を2行2列に配列した単位配列を持つイメージセンサ(WYRIrイメージセンサ)等を用いることで、1つの撮像部を備えて構成されても良い。この場合、例えば、R画素の出力およびIr画素の出力が用いられる。また例えば、G画素の出力およびIr画素の出力が用いられる。また例えば、B画素の出力およびIr画素の出力が用いられる。また例えば、W画素の出力およびIr画素の出力が用いられる。また例えば、Y画素の出力およびIr画素の出力が用いられる。また、反射光測定部1は、分光器を備えて構成されても良い。
【0028】
GPS部2は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、地球上の現在位置を測定するための衛星測位システムによって、当該植物生育指標測定装置Mの位置を測定する装置であり、その測位結果(緯度X、経度Y、高度Z)を制御処理部6へ出力する。なお、GPS部2は、DGSP(Differential GSP)等の誤差を補正する補正機能を持ったGPSであっても良い。
【0029】
方位計(コンパス)3は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、地磁気等に基づいて方位を測定することによって、当該植物生育指標測定装置Mの測定方向の方位を測定する装置であり、その測定方位φcを制御処理部6へ出力する。方位φcは、北を0度とし、東を90度とし、南を180度とし、そして、西を270度として表される。
【0030】
傾斜計4は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、傾斜を測定することによって、当該植物生育指標測定装置Mの測定方向の角度を測定する装置であり、その測定角度βを制御処理部6へ出力する。
【0031】
太陽光測定部5は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、前記太陽の太陽光の光強度を、互いに異なる第3および第4波長で測定する装置であり、その測定結果を制御処理部6へ出力する。前記第3および第4波長は、求める生育指標に応じた適宜な波長であって良いが、本実施形態では、太陽光測定部5は、反射光測定部1と同様の構成であり、したがって、第3波長は、前記第1波長とされ、第4波長は、前記第2波長とされる。太陽光測定部5は、第1可視撮像部1-1と同様の構成の第2可視撮像部5-1と、第2赤外撮像部1-2と同様の構成の第2赤外撮像部5-2とを備え、第2可視撮像部5-1は、可視光での第3画像データSvを生成して制御処理部6へ出力し、第2赤外撮像部5-2は、赤外光での第4画像データSiを生成して制御処理部6へ出力する。第2可視撮像部5-1の第3測定方向(第3光軸に沿った第3方向)と第2赤外撮像部5-2の第4測定方向(第4光軸に沿った第4方向)とが互いに平行となるように、そして、前記第3および第4測定方向が天空(上空)を向くように、これら第2可視撮像部5-1と第2赤外撮像部5-2とは、配設される。太陽光測定部5は、測定対象に照射される太陽光の光強度を取得することを目的とするため、前記結像光学系には、例えば魚眼レンズ等の広角レンズが用いられて良く、また、前面(例えば入射面等)に拡散板が配設されても良い。これによって幅広い方向からの太陽光を得ることができる。
【0032】
時計部7は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、年月日時分を計る回路であり、その現在の年月日時分を制御処理部6へ出力する。
【0033】
IF部9は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部9は、有線または無線によって通信する通信カード等であり、例えばイーサネット環境等の通信ネットワークを介して例えばサーバ装置等の外部装置との間で通信しても良い(イーサネットは登録商標)。
【0034】
電源部10は、電力を必要とする、当該植物生育指標測定装置Mの各部へ各部に応じた電圧で電力を供給する回路である。
【0035】
記憶部8は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、当該植物生育指標測定システムMの各部を当該各部の機能に応じて制御する制御プログラムや、測定対象の生育指標を求める生育指標演算プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、生育指標を補正するための補正情報や、葉密度を求めるための生育情報等の、生育指標の演算に必要なデータが含まれる。記憶部8は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部8は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部6のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部8は、比較的大容量のハードディスクを備えても良い。
【0036】
そして、記憶部8は、前記補正情報や生育情報を記憶するために、前記補正情報を予め記憶する補正情報記憶部81と、前記生育情報を予め記憶する生育情報記憶部82とを機能的に備える。前記補正情報は、例えば、太陽角度αおよび太陽方向φと補正値(第1補正値)との対応関係を表す情報(第1補正情報)である。前記補正値は、反射光測定部1で測定した前記第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度に基づいて求められた生育指標を補正するための値である。また例えば、前記補正情報は、太陽角度α、太陽方向φおよび拡散度Wと補正値(第2補正値)との対応関係を表す情報(第2補正情報)である。また例えば、前記補正情報は、太陽角度α、太陽方向φ、拡散度W、測定角度βおよび葉密度Lと補正値(第3補正値)との対応関係を表す情報(第3補正情報)である。前記補正情報(第1ないし第3補正情報)は、複数のサンプルを用いた実験等によって予め作成される。前記補正情報(第1ないし第3補正情報)は、所定の関数式の形式で補正情報記憶部81に記憶されても良いが、本実施形態では、テーブル形式(ルックアップテーブル)で補正情報記憶部81に予め記憶される。前記生育情報は、例えば、植え付け(例えば田植え)からの日数と葉密度Lとの対応関係を示す情報である。前記植え付けからの日数に代え、日付、葉齢(主稈(親茎)の葉の枚数)、平均草丈および平均茎数のうちのいずれかが用いられても良い。前記生育情報は、複数のサンプルから求めた平年値等に基づいて予め作成される。前記生育情報は、所定の関数式の形式で生育情報記憶部82に記憶されても良いが、本実施形態では、テーブル形式(ルックアップテーブル)で生育情報記憶部82に予め記憶される。
【0037】
制御処理部6は、植物生育指標測定システムMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、生育指標を求めるための回路である。制御処理部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部6には、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部61、太陽角度演算部62、太陽方向演算部63、拡散度演算部64、葉密度演算部65および生育指標演算部66が機能的に構成される。
【0038】
制御部61は、植物生育指標測定システムMの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。
【0039】
太陽角度演算部62は、GPS部2で取得した緯度Xおよび経度Y、ならびに、時計部7で計った年月日時分に基づいて、公知の手法によって、太陽角度αを求めるものである。太陽角度αを求める手法として、例えば、「“太陽方位、高度、大気外日射量の計算”、[online]、2015年3月23日検索、インターネット<http://www.es.ris.ac.jp/~nakagawa/met_cal/solar.html>」に開示されている太陽高度Aおよび太陽方位ψを求める手法が利用できる。太陽高度Aは、仰角であり、太陽角度α=90度-太陽高度Aの関係にある。より具体的には、まず、1月1日からの通し日数dnからθ0=2π(dn-1)/365によってθ0が求められる。次に、次式1によって太陽赤緯δが求められ、次式2によって均時差Eqが求められる。次に、次式3によって、日本標準時間JSTから、太陽の時角hが求められる。そして、次式4によって太陽高度Aが求められる。なお、太陽方位ψは、次式5によって求められる。
δ=0.006918-0.399912cos(θ0)+0.070257sin(θ0)-0.006758cos(2θ0)-0.000907sin(2θ0)-0.002697cos(3θ0)-0.001480sin(3θ0)・・・(式1)
Eq=0.000075+0.001868cos(θ0)+0.032077sin(θ0)-0.014615cos(2θ0)-0.040849sin(2θ0)・・・(式2)
h=(JST-12)π/12+標準子午線からの経度差+均時差Eq・・・(式3)
A=arcsin[sin(Y)sin(δ)+cos(Y)cos(δ)cos(h)]・・・(式4)
ψ=arctan[cos(Y)cos(δ)sin(h)/[sin(Y)sin(α)-sin(δ)]]・・・(式5)
【0040】
太陽方向演算部63は、GPS部2で取得した緯度Xおよび経度Y、ならびに、時計部7で計った年月日時分に基づいて、公知の手法によって、太陽方位ψを求め、この求めた太陽方位ψと方位計3で求めた反射光測定部1の測定方向の方位φcに基づいて太陽方向φを求めるものである。より具体的には、太陽方向演算部63は、方位計3で測定した方位φcと前記式5から求められる太陽方位ψとの差分として太陽方向φを求めるものである(φ=ψ-φc)。
【0041】
拡散度演算部64は、拡散度Wを求めるものである。より具体的には、例えば、拡散度演算部64は、太陽光測定部5の測定結果に基づいて、拡散度Wを求めるものである。例えば、拡散度演算部64は、第2可視撮像部5-1で生成された可視光での第3画像データSvの標準偏差σsvを求め、この求めた標準偏差σsvで所定係数Kを除算することで拡散度Wを求める(W=K/σsv)。あるいは、例えば、拡散度演算部64は、第2赤外撮像部5-2で生成された赤外光での第4画像データSiの標準偏差σsiを求め、この求めた標準偏差σsiで所定係数Kを除算することで拡散度Wを求める(W=K/σsi)。前記所定係数Kは、雲1つ無い快晴(雲量0、無雲)の場合に拡散度Wが0となり、曇天(雲量8、全天雲)の場合に拡散度Wが1となるように正規化するための係数である。曇天から晴天になるに従って標準偏差σsv(σsi)は、大きくなるため、拡散度は、低下するため、前記標準偏差σsv(σsi)は、拡散度Wに利用できる。また例えば、拡散度演算部64は、反射光測定部1のシャッタースピード(例えば第1可視撮像部1-1のシャッタースピード)SSを反射光測定部1から取得し、この取得したシャッタースピードSSをそのまま拡散度Wとする(W=SS)。曇天から晴天になるに従ってシャッタースピードSSは、高速となり、拡散度Wは、低下するため、シャッタースピードSSは、そのまま拡散度Wにできる。
【0042】
葉密度演算部65は、生育情報記憶部82に記憶された生育情報に基づいて葉密度を求めるものである。例えば、前記生育情報が植え付け(例えば田植え)からの日数と葉密度Lとの対応関係を示す情報である場合では、葉密度演算部65は、IF部9を介して取得された植え付けからの日数に対応する葉密度を生育情報記憶部82に記憶された前記生育情報から求める。なお、植物生育指標測定装置Mは、外部からデータを入力するための入力部(例えばテンキーやキーボード等)をさらに備え、この入力部を介して植え付けからの日数が植物生育指標測定装置Mに入力されても良い。
【0043】
生育指標演算部66は、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度、太陽角度演算部62で求めた太陽角度α、ならびに、太陽方向演算部63で求めた太陽方向φに基づいて、測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求めるものである。これによれば、生育指標を求める際に、太陽角度および太陽方向を考慮するので、より精度良く生育指標が測定できる。好ましくは、生育指標演算部66は、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度、太陽角度演算部62で求めた太陽角度α、太陽方向演算部63で求めた太陽方向φ、太陽光測定部5で測定した第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度、ならびに、拡散度演算部64で求めた拡散度Wに基づいて、測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める。これによれば、生育指標を求める際に、さらに、第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度および拡散度Wも考慮するので、さらに精度良く生育指標が測定できる。より好ましくは、生育指標演算部66は、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度、太陽角度演算部62で求めた太陽角度α、太陽方向演算部63で求めた太陽方向φ、太陽光測定部5で測定した第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度、拡散度演算部64で求めた拡散度W、傾斜計4で取得した測定角度β、ならびに、葉密度演算部65で求めた葉密度Lに基づいて、測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める。これによれば、生育指標を求める際に、さらに、測定角度βおよび葉密度Lも考慮するので、さらにより精度良く生育指標が測定できる。
【0044】
より具体的には、補正情報記憶部81に第1補正情報が記憶されている場合には、生育情報記憶部82は、省略可能であり、生育指標演算部66は、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度に基づいて、補正前の生育指標を求め、太陽角度演算部62で求めた太陽角度α、および、太陽方向演算部63で求めた太陽方向φとに対応する第1補正値を前記第1補正情報から求め、この求めた第1補正値で前記補正前の生育指標を補正して最終的な生育指標(補正後の生育指標)を求める。
【0045】
また、補正情報記憶部81に第2補正情報が記憶されている場合には、生育情報記憶部82は、省略可能であり、生育指標演算部66は、太陽光測定部5で測定した第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度に基づいて、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度の比率が所定値となるように正規化しつつ、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度に基づいて、補正前の生育指標を求め、太陽角度演算部62で求めた太陽角度α、太陽方向演算部63で求めた太陽方向φ、および、拡散度演算部64で求めた拡散度Wとに対応する第2補正値を前記第2補正情報から求め、この求めた第2補正値で前記補正前の生育指標を補正して最終的な生育指標(補正後の生育指標)を求める。
【0046】
また、補正情報記憶部81に第3補正情報が記憶されている場合には、生育指標演算部66は、太陽光測定部5で測定した第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度に基づいて、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度の比率が所定値となるように正規化しつつ、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度に基づいて、補正前の生育指標を求め、太陽角度演算部62で求めた太陽角度α、太陽方向演算部63で求めた太陽方向φ、および、拡散度演算部64で求めた拡散度W、傾斜計4で取得した測定角度β、および、葉密度演算部65で求めた葉密度Lとに対応する第3補正値を前記第3補正情報から求め、この求めた第3補正値で前記補正前の生育指標を補正して最終的な生育指標(補正後の生育指標)を求める。
【0047】
このような植物生育指標測定装置Mでは、GPS部2、時計部7および太陽角度演算部62によって、太陽光の測定対象への入射角度を太陽角度として取得する太陽角度取得部の一例が構成される。GPS部2、時計部7、方位計3および太陽方向演算部63によって、反射光測定部1の測定方向に対する太陽の方向を太陽方向として取得する太陽方向取得部の一例が構成される。
【0048】
なお、植物生育指標測定システムMは、上述したように、必要に応じて、さらに、制御処理部6に接続され例えば各種コマンドや各種データ等を入力する入力部を備えて良く、また、前記入力部で入力された各種コマンドや各種データおよび測定結果等を出力する出力部等を備えても良い。
【0049】
次に、本実施形態の動作について説明する。ここでは、補正情報記憶部81に第3補正情報が記憶され、生育指標演算部66は、前記第3補正値を用いて最終的な生育指標(補正後の生育指標)を求める場合について説明するが、補正情報記憶部81に第1補正情報が記憶され、生育指標演算部66は、前記第1補正値を用いて最終的な生育指標を求める場合や、補正情報記憶部81に第2補正情報が記憶され、生育指標演算部66は、前記第2補正値を用いて最終的な生育指標を求める場合も、以下に説明する処理を適宜に省略することで、同様に説明できる。
【0050】
図6は、実施形態における植物生育指標測定システムの動作を示すフローチャートである。
図7は、実施形態の植物生育指標測定システムにおける測定結果の一例を示す図である。
図7の横軸は、SPAD(Soil & Plant Analyzer Development)値であり、その縦軸は、NDVI値である。
【0051】
このような植物生育指標測定システムMでは、まず、ユーザ(オペレータ)によって測定対象の群葉に反射光測定部1が向くように、植物生育指標測定システムMが配置される。ユーザによって図略の電源スイッチがオンされると、制御処理部6は、必要な各部の初期化を実行し、制御処理プログラムの実行によって、制御処理部6には、制御部61、太陽角度演算部62、太陽方向演算部63、拡散度演算部64、葉密度演算部65および生育指標演算部66が機能的に構成される。そして、植物生育指標測定システムMは、次のように動作する。
【0052】
図6において、制御処理部6は、制御部61によって反射光測定部1を制御することで反射光測定部1に可視光での第1画像データRvおよび赤外光での第2画像データRiを生成させ、制御部61によって太陽光測定部5を制御することで太陽光測定部5に可視光での第3画像データSvおよび赤外光での第4画像データSiを生成させ、反射光測定部1から可視光での第1画像データRvおよび赤外光での第2画像データRiを取得し、太陽光測定部5から可視光での第3画像データSvおよび赤外光での第4画像データSiを取得する(S1)。
【0053】
次に、制御処理部6は、制御部61によってGPS部2を制御することでGPS部2に緯度Xおよび経度Yを測定させ、制御部61によって方位計3を制御することで方位計3に方位φcを測定させ、制御部61によって傾斜計4を制御することで傾斜計4に測定角度βを測定させ、GPS部2から緯度Xおよび経度Yを取得し、方位計3から方位φcを取得し、そして、傾斜計4から測定角度βを取得する(S2)。
【0054】
次に、制御処理部6は、時計部7から年月日時分を取得する(S3)。
【0055】
次に、制御処理部6は、生育指標演算部66によって、太陽光測定部5で測定した第3画像データSvおよび第4画像データSiに基づいて、太陽光の分光特性補正係数Iを求める(S4)。より具体的には、生育指標演算部66は、互いに同じ画素位置(x、y)の画素ごとに、第3画像データSvの画素値sv(x、y)と第4画像データSiの画素値si(x、y)との比を太陽光の分光特性補正係数I(x、y)として求める(I(x、y)=sv(x、y)/si(x、y))。太陽光のスペクトルは、時刻や天候や湿度等によって変化するが、これによって可視光での第1画像データRvと赤外光での第2画像データRiとの比率が所定値になるように正規化処理が可能となる。
【0056】
次に制御処理部6は、生育指標演算部66によって、太陽光測定部5で測定した第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度Sv、Siに基づいて、反射光測定部1で測定した第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度の比率Rv、Riが所定値となるように正規化しつつ、反射光測定部1で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度Rv、Riに基づいて、補正前の生育指標、例えばNDVI値を求める(S5)。より具体的には、生育指標演算部66は、互いに同じ画素位置(x、y)の画素ごとに、第2画像データRiの画素値ri(x、y)に、前記処理S4で求めた太陽光の分光特性補正係数I(x、y)を乗算することで、正規化した第2画像データRiの画素値ri’(x、y)(=ri(x、y)×I(x、y))を求め、互いに同じ画素位置(x、y)の画素ごとに、次式6によってNDVI値を求める。なお、rv(x、y)は、画素位置(x、y)での第1画像データRvの画素値である。
NDVI(x、y)=[ri’-rv]/[ri’+rv]・・・(式6)
【0057】
次に、制御処理部6は、拡散度演算部64によって拡散度Wを求める(S6)。より具体的には、拡散度演算部64は、一例では、第2可視撮像部5-1で生成された可視光での第3画像データSvの標準偏差σsvを求め、この求めた標準偏差σsvで所定係数Kを除算することで拡散度Wを求める(W=K/σsv)。
【0058】
次に、制御処理部6は、太陽角度演算部62によって、GPS部2で取得した緯度Xおよび経度Y、ならびに、時計部7で計った年月日時分に基づいて、太陽角度αを求める(S7)。
【0059】
次に、制御処理部6は、太陽方向演算部63によって、GPS部2で取得した緯度Xおよび経度Y、ならびに、時計部7で計った年月日時分に基づいて、太陽方位ψを求め、方位計3で測定した方位φcと前記求めた太陽方位ψとの差分として太陽方向φを求める(φ=ψ-φc)(S8)。
【0060】
次に、制御処理部6は、葉密度演算部65によって、IF部9等を介して取得された植え付けからの日数に対応する葉密度Lを生育情報記憶部82に記憶された前記生育情報から求める(S9)。
【0061】
次に、制御処理部6は、生育指標演算部66によって、処理S2で取得した測定角度β、処理S6で求めた拡散度W、処理S7で求めた太陽角度α、処理S8で求めた太陽方向φおよび処理S9で求めた葉密度Lに対応する第3補正値を補正情報記憶部81に記憶された前記第3補正情報から求め、この求めた第3補正値で処理S5で求めた補正前の生育指標、この例ではNDVI値を補正し、最終的な生育指標(補正後の生育指標)を求める。例えば、生育指標演算部66は、前記求めた第3補正値を処理S5で求めた補正前のNDVI値に乗算することで補正後のNDVI値を求める((補正後のNDVI値)=(第3補正値)×(補正前のNDVI値))。なお、乗算に代え、足し算が用いられてもよい。
【0062】
次に、制御処理部6は、この求めた最終的な生育指標(補正後の生育指標)を処理S3で取得した年月日時分に対応付けて記憶部8に記憶し、そして、前記求めた最終的な生育指標(補正後の生育指標)を処理S3で取得した年月日時分に対応付けてIF部9を介して外部へ出力する(S11)。
【0063】
そして、制御処理部6は、処理を処理S1に戻し、上記各処理を繰り返す。
【0064】
図7には、本実施形態の植物生育指標測定システムMによって求められた測定結果の一例が示されている。
図7から分かるように、検量線は、ほぼ1本となり、良好に補正され、より精度の高いNDVI値が求められている。
【0065】
以上説明したように、本実施形態における植物生育指標測定装置、植物生育指標算出プログラムおよび植物生育指標測定システムは、より精度良く生育指標を測定できる。
【0066】
なお、上述の実施形態では、生育指標としてNDVI値が求められたが、これに限定されるものではない。例えば、RVI(Ratio Vegetation Index、比植生指標)が求められても良い(RVI=Ri’/Rv、RVI(x、y)=ri’(x、y)/rv(x、y))。また例えば、DVI(Difference Vegetation Index、差植生指標)が求められても良い(DVI=Ri’-Rv、DVI(x、y)=ri’(x、y)-rv(x、y))。また例えば、TVI(Transformed Vegetation Index)が求められても良い(TVI=NDVI+0.5)0.5)。また例えば、IPVI(Infrared Percentage Vegetation Index)が求められても良い(IPVI=Ri’/(Ri’+Rv)=(NDVI+1)/2)。
【0067】
上述の植物生育指標測定装置システムMは、生育情報記憶部82に記憶された生育情報に基づいて葉密度Lを求めたが、反射光測定部1で生成される可視光での第1画像データRvおよび赤外光での第2画像データRiに基づいて、土の部分の面積と植物の部分の面積との面積比を求め、葉密度を求めても良い。
【0068】
上述の植物生育指標測定システムMでは、第1ないし第3補正情報のうちのいずれかが用いられたが、太陽角度α、太陽方向φ、拡散度W、測定角度β、葉密度Lおよび太陽光の分光特性補正係数Iと補正値(第4補正値)との対応関係が用いられてもよい。
【0069】
上述の植物生育指標測定システムMでは、可視光での第3画像データSvおよび赤外光での第4画像データSiを求めるために、太陽光測定部5が用いられたが、これに代え、分光反射率が既知である太陽光測定用部材が用いられてもよい。この場合、前記太陽光測定用部材が反射光測定部1で測定され、可視光での第1画像データRvのうちの前記太陽光測定用部材を撮像した画像領域における画素値の平均値が可視光での第3画像データSvとされ、赤外光での第2画像データRiのうちの前記太陽光測定用部材を撮像した画像領域における画素値の平均値が赤外光での第4画像データSiとされる。
【0070】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0071】
一態様にかかる植物生育指標測定装置は、第1および第2波長で測定した、複数の葉を持つ測定対象の反射光の各光強度データと、太陽光の測定対象への入射角度である太陽角度データと、前記各光強度データの測定方向に対する前記太陽の方向である太陽方向データと、に基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算部を備える。
【0072】
このような植物生育指標測定装置は、生育指標を求める際に、第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度だけでなく、太陽角度および太陽方向も考慮するので、より精度良く生育指標を測定できる。
【0073】
他の一態様では、上述の植物生育指標測定装置において、前記生育指標演算部は、さらに、第3および第4波長で測定した、前記太陽の太陽光の光強度データと、前記太陽の太陽光の拡散度データと、に基づいて、前記測定対象の前記生育指標を求める。
【0074】
このような植物生育指標測定装置は、生育指標を求める際に、さらに、第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度および拡散度も考慮するので、さらに精度良く生育指標を測定できる。
【0075】
他の一態様では、上述の植物生育指標測定装置において、前記生育指標演算部は、さらに、前記測定対象に対する前記各光強度データの測定方向の角度である測定角度データと、前記測定対象の葉密度データと、に基づいて、前記測定対象の前記生育指標を求める。
【0076】
このような植物生育指標測定装置は、生育指標を求める際に、さらに、測定角度および葉密度も考慮するので、さらにより精度良く生育指標を測定できる。
【0077】
他の一態様にかかる植物生育指標測定方法は、複数の葉を持つ測定対象の反射光の光強度を、互いに異なる第1および第2波長で測定する反射光測定工程と、太陽光の測定対象への入射角度を太陽角度として取得する太陽角度取得工程と、前記反射光の測定方向に対する前記太陽の方向を太陽方向として取得する太陽方向取得工程と、前記反射光測定工程で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度、前記太陽角度取得工程で取得した前記太陽角度、ならびに、前記太陽方向取得工程で取得した前記太陽方向に基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算工程とを備える。
【0078】
このような植物生育指標測定方法は、生育指標を求める際に、第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度だけでなく、太陽角度および太陽方向も考慮するので、より精度良く生育指標を測定できる。
【0079】
他の一態様にかかる植物生育指標測定システムは、複数の葉を持つ測定対象の反射光の光強度を、互いに異なる第1および第2波長で測定する反射光測定部と、太陽光の測定対象への入射角度を太陽角度として取得する太陽角度取得部と、前記反射光測定部の測定方向に対する前記太陽の方向を太陽方向として取得する太陽方向取得部と、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度、前記太陽角度取得部で取得した前記太陽角度、ならびに、前記太陽方向取得部で取得した前記太陽方向に基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める生育指標演算部とを備える。好ましくは、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記太陽角度取得部は、緯度および経度を取得するGPS部と、年月日時分を計る時計部と、前記GPS部で取得した前記緯度および経度ならびに前記時計部で計った年月日時分に基づいて前記太陽角度を求める太陽角度演算部とを備える。好ましくは、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記太陽方向取得部は、緯度および経度を取得するGPS部と、年月日時分を計る時計部と、前記反射光測定部の測定方向の方位を求める方位計と、前記GPS部で取得した前記緯度および経度ならびに前記時計部で計った年月日時分に基づいて太陽方位を求め、前記求めた太陽方位と前記方位計で求めた前記反射光測定部の測定方向の方位に基づいて前記太陽方向を求める太陽方向演算部とを備える。好ましくは、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記太陽角度および前記太陽方向と前記生育指標の第1補正値との対応関係を第1補正情報として記憶する第1補正情報記憶部をさらに備え、前記生育指標演算部は、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度に基づいて、補正前の生育指標を求め、前記太陽角度取得部で取得した前記太陽角度、および、前記太陽方向取得部で取得した前記太陽方向とに対応する第1補正値を前記第1補正情報から求め、前記求めた第1補正値で前記補正前の生育指標を補正して前記生育指標を求める。
【0080】
このような植物生育指標測定システムは、生育指標を求める際に、第1および第2波長それぞれでの反射光の各光強度だけでなく、太陽角度および太陽方向も考慮するので、より精度良く生育指標を測定できる。
【0081】
他の一態様では、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記太陽の太陽光の光強度を、互いに異なる第3および第4波長で測定する太陽光測定部と、前記太陽の太陽光の拡散度を取得する拡散度取得部とをさらに備え、前記生育指標演算部は、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度、前記太陽角度取得部で取得した前記太陽角度、前記太陽方向取得部で取得した前記太陽方向、前記太陽光測定部で測定した前記第3および第4波長それぞれでの前記太陽光の各光強度、ならびに、前記拡散度取得部で取得した前記拡散度に基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める。好ましくは、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記拡散度取得部は、前記太陽光測定部の測定結果に基づいて、前記拡散度を求める。好ましくは、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記反射光測定部は、前記測定対象を撮像するカメラを備えて構成され、前記拡散度取得部は、前記カメラのシャッタースピードを前記拡散度とする。好ましくは、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記太陽角度、前記太陽方向および前記拡散度と前記生育指標の第2補正値との対応関係を第2補正情報として記憶する第2補正情報記憶部をさらに備え、前記生育指標演算部は、前記太陽光測定部で測定した前記第3および第4波長それぞれでの前記太陽光の各光強度に基づいて、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度の比率が所定値となるように正規化しつつ、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度に基づいて、補正前の生育指標を求め、前記太陽角度取得部で取得した前記太陽角度、前記太陽方向取得部で取得した前記太陽方向、および、前記拡散度取得部で取得した前記拡散度とに対応する第2補正値を前記第2補正情報から求め、前記求めた第2補正値で前記補正前の生育指標を補正して前記生育指標を求める。
【0082】
このような植物生育指標測定システムは、生育指標を求める際に、さらに、第3および第4波長それぞれでの太陽光の各光強度および拡散度も考慮するので、さらに精度良く生育指標を測定できる。
【0083】
他の一態様では、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記測定対象に対する前記反射光測定部の測定方向の角度を測定角度として取得する測定角度取得部と、前記測定対象の葉密度を取得する葉密度取得部とをさらに備え、前記生育指標演算部は、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度、前記太陽角度取得部で取得した前記太陽角度、前記太陽方向取得部で取得した前記太陽方向、前記太陽光測定部で測定した前記第3および第4波長それぞれでの前記太陽光の各光強度、前記拡散度取得部で取得した前記拡散度、前記測定角度取得部で取得した前記測定角度、ならびに、前記葉密度測定部で取得した前記葉密度に基づいて、前記測定対象における生育の度合いを表す生育指標を求める。好ましくは、上述の植物生育指標測定システムにおいて、前記太陽角度、前記太陽方向、前記拡散度、前記測定角度および前記葉密度と前記生育指標の第3補正値との対応関係を第3補正情報として記憶する第3補正情報記憶部をさらに備え、前記生育指標演算部は、前記太陽光測定部で測定した前記第3および第4波長それぞれでの前記太陽光の各光強度に基づいて、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度の比率が所定値となるように正規化しつつ、前記反射光測定部で測定した前記第1および第2波長それぞれでの前記反射光の各光強度に基づいて、補正前の生育指標を求め、前記太陽角度取得部で取得した前記太陽角度、前記太陽方向取得部で取得した前記太陽方向、前記拡散度取得部で取得した前記拡散度、前記測定角度取得部で取得した前記測定角度、および、前記葉密度測定部で取得した前記葉密度とに対応する第3補正値を前記第3補正情報から求め、前記求めた第3補正値で前記補正前の生育指標を補正して前記生育指標を求める。
【0084】
このような植物生育指標測定システムは、生育指標を求める際に、さらに、測定角度および葉密度も考慮するので、さらにより精度良く生育指標を測定できる。
【0085】
この出願は、2015年5月12日に出願された日本国特許出願特願2015-97586を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0086】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、植物生育指標測定装置および植物生育指標測定方法ならびに植物生育指標測定システムが提供できる。