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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】放射線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020547664
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2018035680
(87)【国際公開番号】W WO2020065761
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 智晴
(72)【発明者】
【氏名】藤井 英樹
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-312776(JP,A)
【文献】特開2014-083165(JP,A)
【文献】特開2010-046212(JP,A)
【文献】国際公開第2005/089651(WO,A1)
【文献】特開平10-155786(JP,A)
【文献】特開平09-192123(JP,A)
【文献】特開平07-327976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線照射部と放射線検出部を備え、被検者を放射線撮影する撮影機構と、
被検者に対して音声ガイダンスを出力する音声ガイダンス部と、
前記音声ガイダンス部による音声ガイダンスのみを実行する練習モードと、前記音声ガイダンス部による音声ガイダンスと同期して前記撮影機構による放射線撮影を実行する撮影モードとを切り替えるための制御部と、
を備え、
前記撮影機構の動作として、連続して複数の放射線画像を撮影するシリアル撮影、及び単一の放射線画像を撮影する一般撮影を実行可能であり、
前記制御部は、前記シリアル撮影を実行する際に、所定の入力操作に応じて前記練習モードと前記撮影モードのいずれかを実行し、前記一般撮影を実行する際に前記撮影モードを実行することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
前記撮影機構は、タッチパネル式の表示部を備え、
前記制御部は、前記シリアル撮影の実行時に前記表示部に前記練習モードの実行開始スイッチを表示する放射線撮影装置。
【請求項3】
請求項に記載の放射線撮影装置において、
前記制御部は、さらに、前記一般撮影の実行時に前記表示部に前記一般撮影を実行するときの撮影準備スイッチを表示する放射線撮影装置。
【請求項4】
請求項に記載の放射線撮影装置において、
前記撮影機構は、前記練習モードの実行開始スイッチを備え、
前記制御部は、前記シリアル撮影の実行時には前記練習モードの実行開始スイッチを有効とし、前記一般撮影の実行時には前記練習モードの実行開始スイッチを無効とする放射線撮影装置。
【請求項5】
請求項に記載の放射線撮影装置において、
前記撮影機構は、前記撮影機構に放射線撮影の準備を開始させるための準備開始スイッチを備え、
前記制御部は、前記シリアル撮影の実行時には前記準備開始スイッチが操作されたときに前記練習モードの実行を開始させ、前記一般撮影の実行時には前記準備開始スイッチが操作されたときに前記撮影機構に放射線撮影の準備を開始させる放射線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線撮影装置等の放射線撮影装置に関し、特に、音声ガイダンス機能を備えた放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者に対して呼吸器系の診断を行う診断用のX線撮影装置においては、被検者の呼吸のタイミングとX線撮影のタイミングを一致させることが必要となる。例えば、肺を膨らませた状態で撮影を行う胸部撮影は、被検者が大きく息を吸った状態で息止めを行い、その間にX線を照射してX線撮影を実行する必要がある。X線を照射している時間内において呼吸により肺が動くと、撮影されたX線画像にボケが生じ、診断に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
このため、X線撮影時に音声ガイダンスを出力することが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。また、被検者の息止めのタイミングをサポートするため、「オートボイス」と呼ばれる音声ガイダンス機器が販売されている。この音声ガイダンス機器を使用した場合には、X線撮影装置によるX線撮影動作と連動し、X線撮影装置におけるX線準備開始スイッチを押圧するタイミングで音声ガイダンス機器より「息を吸って止めてください」というアナウンスが被検者に対し行われ、引き続きX線撮影装置のX線撮影スイッチを押圧するとX線撮影装置からX線が照射され、X線照射が完了後にX線撮影画像が取得される。このX線撮影の完了時には、音声ガイダンス機器より「撮影終了です」というアナウンスが行われる。
【0004】
また、X線撮影スイッチを押すとX線照射を1回だけ行って単一のX線画像を撮影する一般撮影とは別に、X線撮影スイッチを押し続けている間、複数のX線照射を行い、連続して複数のX線画像を撮影するシリアル撮影(serial radiography)を行う場合もある。このシリアル撮影時には、例えば、フレームレートが15fps(frames per second)であれば、15秒間の間に225回のX線撮影が行われる。
【0005】
このシリアル撮影時における音声ガイダンスでは、例えば、最初にX線撮影装置におけるX線撮影の準備ボタンが押圧された後、5秒間の間に、音声ガイダンス機器より被検者に吸気を促すアナウンスなされる。次に、X線撮影装置のX線撮影スイッチが押圧されてX線撮影が開始される2秒間の間に、音声ガイダンス機器より被検者に息を止めるよう指示するアナウンスがなされる。そして、連続したX線撮影を継続しながら、次の5秒間の間に音声ガイダンス機器より被検者に呼気を促すアナウンスがなされ、引き続き、2秒の間に音声ガイダンス機器より被検者に息を止めるように指示するアナウンスがなされた後、次の5秒間の間に音声ガイダンス機器より被検者に呼気を促すアナウンスがなされる。そして、X線撮影装置におけるX線撮影スイッチの押圧が解除されるとともに、2秒間の間に音声ガイダンス機器より撮影が終了した旨のアナウンスがなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-325339号公報
【文献】特開2008-67935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シリアル撮影は、一般撮影とは異なり被検者が特殊な呼吸を行う必要があることから、撮影を行う前に被検者が呼吸方法を練習することが好ましい。この練習時には、放射線技師等が被検者の側で呼吸方法を指示する。この時には、シリアル撮影に実際に使用する音声ガイダンス機器を用いて呼吸方法を練習することにより、実際の撮影時と練習時で乖離のない適切な呼吸を行うことが可能となる。
【0008】
しかしながら、呼吸方法の練習のために音声ガイダンス機器を作動させるためには、それに伴ってX線撮影装置においてX線撮影の準備とX線の照射がなされることから、被検者等の被ばくを防止するため、X線防護用の鉛の衝立を用意するなどの被ばく防止の手段を設ける必要が生ずる。
【0009】
また、通常の音声ガイダンス機器とは別に、X線撮影装置におけるX線撮影動作とは連動しない音声ガイダンス機器を準備することでこのような問題を解消することも可能ではあるが、この場合には、音声ガイダンス機器を2個用意する必要があることから、コストがかかるだけではなく、その設置場所を確保する必要がある。
【0010】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、放射線の被ばくを考慮することなく既存の音声ガイダンス機器を使用して呼吸方法等の練習を実行することが可能な放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、放射線照射部と放射線検出部を備え、被検者を放射線撮影する撮影機構と、被検者に対して音声ガイダンスを出力する音声ガイダンス部と、前記音声ガイダンス部による音声ガイダンスのみを実行する練習モードと、前記音声ガイダンス部による音声ガイダンスと同期して前記撮影機構による放射線撮影を実行する撮影モードとを切り替えるための制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記撮影機構の動作として、単一の放射線画像を撮影する一般撮影と、連続して複数の放射線画像を撮影するシリアル撮影と、を実行可能であり、前記制御部は、前記一般撮影の実行時には前記撮影モードを選択し、前記シリアル撮影の実行時には、前記練習モードと前記撮影モードのいずれかを選択する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記撮影機構は、タッチパネル式の液晶表示部を備え、前記制御部は、前記シリアル撮影の実行時に、前記タッチパネル式の液晶表示部に前記練習モードの実行開始スイッチを表示する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記制御部は、前記シリアル撮影の実行時に前記タッチパネル式の液晶表示部に前記練習モードの実行開始スイッチを表示するとともに、前記一般撮影の実行時に前記タッチパネル式の液晶表示部に前記一般撮影を実行するときの撮影準備スイッチを表示する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記撮影機構は、前記練習モードの実行開始スイッチを備え、前記制御部は、前記シリアル撮影の実行時には前記練習モードの実行開始スイッチを有効とし、前記一般撮影の実行時には前記練習モードの実行開始スイッチを無効とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記撮影機構は、前記撮影機構に放射線撮影の準備を開始させるための準備開始スイッチを備え、前記制御部は、前記シリアル撮影の実行時には前記準備開始スイッチが操作されたときに前記練習モードの実行を開始させ、前記一般撮影の実行時には前記準備開始スイッチが操作されたときに前記撮影機構に放射線撮影の準備を開始させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、音声ガイダンス部による音声ガイダンスのみを実行する練習モードと、音声ガイダンス部による音声ガイダンスと同期して撮影機構による放射線撮影を実行する撮影モードとを切り替えることができることから、放射線の被ばくを考慮することなく既存の音声ガイダンス機器を使用して呼吸方法等の練習を実行することが可能となる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、呼吸方法等の練習の必要のない一般撮影時には撮影モードが選択されるとともに、練習が必要なシリアル撮影時には練習モードの選択が可能となることから、撮影形態に合わせて音声ガイダンスの態様を選択することが可能となる。
【0019】
請求項3の発明によれば、シリアル撮影の実行時に練習モードを容易に開始することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、シリアル撮影の実行時に練習モードを容易に開始することができるとともに、一般撮影の実行時に撮影の準備を容易に開始することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、シリアル撮影の実行時に練習モードを容易に開始することができるとともに、一般撮影の実行時に練習モードが実行されることを防止することが可能となる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、準備開始スイッチを利用することにより、シリアル撮影の実行時に練習モードを容易に開始することができるとともに、一般撮影の実行時に撮影の準備を容易に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明に係るX線撮影装置の概要図である。
図2】この発明に係るX線撮影装置における検診台3および撮影部4の斜視図である。
図3】操作部2の概要図である。
図4】撮影部4における操作部41の正面図である。
図5】X線撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
図6】操作部2におけるタッチパネル式の液晶表示部22の表示画面の一例を示す概要図である。
図7練習モード時における指令信号の送信状態を示すブロック図である。
図8撮影モード時における指令信号の送信状態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る放射線撮影装置としてのX線撮影装置の概要図である。また、図2は、この発明に係るこの発明に係る放射線撮影装置としてのX線撮影装置における検診台3および撮影部4の斜視図である。
【0025】
この発明に係るX線撮影装置は、オペレータがX線撮影操作等を実行するための操作室101に設置されたコンソール部1、操作部2および音声ガイダンス部5と、被検者Mに対して撮影を行うための撮影室100に設置された検診台3および撮影部4とを備える。撮影室100と操作室101とは、隔壁102により遮断されている。
【0026】
操作室101に設置されたコンソール部1は、液晶表示器等から構成される表示部11と、各種の操作を実行するためのキーボードやマウス等からなる操作部12とを備える。表示部11には、X線撮影画像等が表示される。このコンソール部1は、図示を省略した病院内の被検者管理システムの院内通信である院内ネットワークと接続されている。
【0027】
操作室101に配置された音声ガイダンス部5は、「オートボイス」と呼ばれる市販の音声ガイダンス機器から構成される。この音声ガイダンス部5は、被検者Mの息止めのタイミングをサポートするための音声ガイダンスを発生させるためのものであり、撮影室100の壁等に配設されたスピーカ51と接続されている。
【0028】
図3は、操作部2の概要図である。
【0029】
この操作部2は、操作室101内において隔壁102に配設される。この操作部2は、タッチパネル式の液晶表示部22と入力ボタン24と有する操作パネル21と、撮影部4におけるX線管42に対するX線照射およびその準備のための信号を送信するための二段式の押しボタン25を有するハンドスイッチ23とを備える。この操作部2は、X線管42の管電圧や管電流、あるいは、X線照射時間等のX線の照射条件を設定するためのものである。この操作部2は、撮影室100に配設された高電圧発生部6と接続されている。この高電圧発生部6は、X線管42に対して、X線の照射を可能とするための高電圧を供給する。なお、この高電圧発生部6は、撮影室100内においてX線の照射を開始するために使用されるフットスイッチ20と接続されている。
【0030】
再度、図1および図2を参照して、検診台3は、被検者Mを載置する天板31と、内部にX線検出器としてのフラットパネルディテクタ(FPD)を収納したX線検出部33と、天板31およびX線検出部33を昇降するための昇降部34とを備える。X線検出部33は、図2に示すG方向に水平移動可能となっている。また、X線検出部33は、天板31とともに、図2に示すF方向に昇降可能となっている。
【0031】
撮影部4は、図2に示すように、撮影室100の天井に対して互いに直交するA方向およびB方向に移動可能な基部61と、この基部61から下方に延びる支持部62と、この支持部62に対してC方向に昇降するともに、D方向に回動する移動部63と、この移動部63の下端部に軸支され、ハンドル45、X線管42およびコリメータ43を一体としてE方向に回動させる支持軸64とを備える。このため、ハンドル45、X線管42およびコリメータ43は、A、B、C、D、E方向に移動可能となっている。
【0032】
図4は、撮影部4における操作部41の正面図である。
【0033】
この操作部41は、X線管42をコリメータ43とともに移動させるためのハンドル45と、操作パネル44とから構成される。操作パネル44の中央部には、タッチパネル式の液晶表示部46が配設されている。また、この液晶表示部46の周囲には、複数の入力ボタン49が配設されている。
【0034】
図5は、この発明に係る放射線撮影装置としてのX線撮影装置の主要な制御系を示すブロック図である。
【0035】
高電圧発生部6には、装置全体を制御する制御部70が配設されている。この制御部70は、ソフトウエアがインストールされたコンピュータから構成される。この制御部70に含まれる各種の機能は、コンピュータにインストールされているソフトウエアを実行することで実現される。この高電圧発生部6における制御部70は、上述したコンソール部1、操作部2、検診台3、撮影部4および音声ガイダンス部5と接続されている。
【0036】
なお、図5に示す実施形態においては、高電圧発生部6に制御部70を配設した場合について説明したが、この制御部70は、例えばコンソール部1等の、高電圧発生部6以外の部材に配設してもよく、また、その機能を複数の部材に分割して配設してもよい。また、図5に示す実施形態においては、高電圧発生部6を介してコンソール部1、操作部2、検診台3、撮影部4および音声ガイダンス部5を接続しているが、これらの各部は、どのような形態で互いに接続されてもよい。
【0037】
このX線撮影装置は、コンソール部1、操作部2、検診台3、撮影部4および高電圧発生部6から構成される撮影機構の動作として、単一の放射線画像を撮影する一般撮影と、連続して複数の放射線画像を撮影するシリアル撮影とを実行することが可能となっている。これらの一般撮影とシリアル撮影のいずれを実行するのかは、コンソール部1の操作部12や操作部2、あるいは、撮影部4の操作部41から選択することができる。また、このX線撮影装置における音声ガイダンス部5は、音声ガイダンスのみを実行する練習モードと、音声ガイダンスと同期して撮影機構によるX線撮影を実行する撮影モードとを切替可能となっている。上述した制御部70は、一般撮影の実行時には撮影モードを選択し、シリアル撮影の実行時には、練習モードと撮影モードのいずれかを選択する。
【0038】
図6は、操作部2におけるタッチパネル式の液晶表示部22の表示画面の一例を示す概要図である。
【0039】
制御部70は、シリアル撮影の実行時には、タッチパネル式の液晶表示部22に練習モードの実行開始スイッチ28を表示する。この練習モードの実行開始スイッチ28を操作したときには、音声ガイダンス部5による音声ガイダンスのみを実行する練習モードが実行される。また、制御部70は、一般撮影の実行時には、タッチパネル式の液晶表示部22に一般撮影を実行するときの撮影準備スイッチ29を表示する。この撮影準備スイッチ29が押されたときには、一般撮影を実行する前のX線管42の準備動作として、X線管42における回転陽極が回転を開始し、X線照射の準備を実行する。なお、この練習モードの実行開始スイッチ28または撮影準備スイッチ29は、撮影部4の操作部41におけるタッチパネル式の液晶表示部46にも表示される。
【0040】
オペレータが、コンソール部1の操作部12や操作部2、あるいは、撮影部4の操作部41を操作することにより、一般撮影を選択したときには、図6において右側に示すように、操作部2におけるタッチパネル式の液晶表示部22には、一般撮影時における撮影準備スイッチ29が表示される。オペレータがこの撮影準備スイッチ29を押すことにより、一般撮影を実行する前のX線管42の準備動作として、X線管42における回転陽極が回転を開始し、X線照射の準備が開始される。しかる後、オペレータが操作部2のハンドスイッチ23における押しボタン25を押圧することで一般撮影が実行される。
【0041】
一方、オペレータが、コンソール部1の操作部12や操作部2、あるいは、撮影部4の操作部41を操作することにより、シリアル撮影を選択したときには、図6において左側に示すように、操作部2におけるタッチパネル式の液晶表示部22には、練習モードの実行開始スイッチ28が表示される。そして、オペレータがこの練習モードの実行開始スイッチ28を押圧した場合には、図5に示す制御部70は、音声ガイダンス部5による音声ガイダンスのみを実行する練習モードをスタートする。一方、オペレータがこの練習モードの実行開始スイッチ28を押圧しなかった場合には、図5に示す制御部70は、オペレータによる次の操作に従って、音声ガイダンス部5による音声ガイダンスと同期して撮影機構によるX線撮影を実行する撮影モードをスタートする。
【0042】
図7は、音声ガイダンス部5による音声ガイダンスのみを実行し、撮影機構によるX線撮影は実行しない練習モード時における指令信号の送信状態を示すブロック図であり、図8は、音声ガイダンス部5による音声ガイダンスと同期して撮影機構によるX線撮影を実行する撮影モード時における指令信号の送信状態を示すブロック図である。
【0043】
オペレータが操作部2におけるタッチパネル式の液晶表示部22または撮影部4の操作部41におけるタッチパネル式の液晶表示部46に表示された練習モードの実行開始スイッチ28を押圧して練習モードに移行した後には、図7に示すように、操作部2または撮影部4の操作部41を操作した場合、X線撮影制御部72からの信号は音声ガイダンス部用信号出力部73を介して音声ガイダンス部5における音声ガイダンス出力制御部52に送信される。そして、音声ガイダンス部5における音声ガイダンス出力制御部52がスピーカ51に対して、音声ガイダンスを出力するための信号を送信する。これにより、スピーカ51から、シリアル撮影を実行するときと同じ音声が出力され、被検者Mは呼吸方法等の練習を実行することが可能となる。この時には、X線管42からX線が照射されることはないことから、X線の被ばくを考慮する必要はない。
【0044】
なお、オペレータが撮影部4の操作部41を操作して練習モードに移行し、撮影部4の操作部41を操作して被検者Mの練習を実行する場合においては、オペレータが被検者Mの横で一緒に練習をする場合に、オペレータが撮影室100と操作室101の間で移動する必要をなくすことができる。
【0045】
一方、オペレータが練習モードに移行することなく操作部2または撮影部4の操作部41を操作した場合には、図8に示すように、X線撮影制御部72からの信号は、音声ガイダンス部用信号出力部73とX線管制御部71とに送信される。そして、音声ガイダンス部用信号出力部73からは音声ガイダンス部5における音声ガイダンス出力制御部52に信号が送信され、音声ガイダンス部5における音声ガイダンス出力制御部52がスピーカ51に対して、音声ガイダンスを出力するための信号を送信する。また、X線管制御部71からはX線管42に対してX線の照射信号が送信される。これにより、スピーカ51から、シリアル撮影の各工程に対応した音声ガイダンスが出力され、予め練習した呼吸法により呼吸を行う被検者Mに対してシリアル撮影が実行される。
【0046】
上述した実施形態においては、シリアル撮影の実行時にはタッチパネル式の液晶表示部22、46に練習モードの実行開始スイッチ28を表示するとともに、一般撮影の実行時にはタッチパネル式の液晶表示部22、46に一般撮影を実行するときの撮影準備スイッチ29を表示している。そして、練習モードの実行開始スイッチ28を押圧することにより、練習モードを実行している。しかしながら、練習モードを開始するための構成として、その他の手法をとることも可能である。
【0047】
すなわち、練習モードを開始するための第1の変形例として、操作部2における複数の入力ボタン24または撮影部4の操作部41における複数の入力ボタン49のうちのいずれかを練習モードの実行開始スイッチとする。そして、シリアル撮影の実行時には制御部70によりこの練習モードの実行開始スイッチを有効とし、一般撮影の実行時には制御部70によりこの練習モードの実行開始スイッチを無効とする。これにより、一般撮影時に練習モードとなることを防止することが可能となる。
【0048】
また、練習モードを開始するための第2の変形例として、操作部2のハンドスイッチ23における二段式の押しボタン25の一段目を、一般撮影の実行時にはX線撮影の準備開始スイッチとし、シリアル撮影時には練習モードの実行開始スイッチとする。このような構成を採用した場合においても、一般撮影時に練習モードとなることを防止することが可能となる。
【0049】
なお、上述した実施形態においては、いずれも、コンソール部1、操作部2、検診台3、撮影部4および高電圧発生部6から構成される撮影機構のいずれかの構成を使用して練習モードを開始しているが、撮影機構とは別に、練習モードを実行するための専用の練習操作部を設けてもよい。この場合には、練習操作部は、撮影機構のいずれかに付設してもよく、撮影機構とは独立して設けてもよい。そして、練習操作部と撮影機構または音声ガイダンス部5との信号の送受信は、有線で行ってもよく、無線通信を利用して行ってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 コンソール部
2 操作部
3 検診台
4 撮影部
5 音声ガイダンス部
6 高電圧発生部
11 表示部
12 操作部
20 フットスイッチ
21 操作パネル
22 タッチパネル式の液晶表示部
23 ハンドスイッチ
24 入力ボタン
28 練習モードの実行開始スイッチ
29 一般撮影を実行するときの撮影準備スイッチ
31 天板
33 X線検出部
41 操作部
42 X線管
43 コリメータ
45 ハンドル
46 タッチパネル式の液晶表示部
49 入力ボタン
51 スピーカ
52 音声ガイダンス出力制御部
70 制御部
71 X線管制御部
72 X線撮影制御部
73 音声ガイダンス部用信号出力部
100 撮影室
101 操作室
M 被検者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8