(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】圧電トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H01L 41/09 20060101AFI20220614BHJP
H01L 41/113 20060101ALI20220614BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20220614BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20220614BHJP
H04R 17/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H01L41/09
H01L41/113
H01L41/187
H01L41/053
H04R17/02
(21)【出願番号】P 2020559726
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2019034707
(87)【国際公開番号】W WO2020121609
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2018230898
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 文弥
(72)【発明者】
【氏名】池内 伸介
(72)【発明者】
【氏名】持田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 青司
(72)【発明者】
【氏名】安達 永純
(72)【発明者】
【氏名】岸本 諭卓
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/094520(WO,A1)
【文献】特開2011-004129(JP,A)
【文献】国際公開第2007/060768(WO,A1)
【文献】特表2011-527152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/09
H01L 41/113
H01L 41/187
H01L 41/053
H04R 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端部を有し、該固定端部から離れる方向に延在する複数の梁部と、
前記複数の梁部の各々の前記固定端部と接続された基部とを備え、
前記複数の梁部の各々は、同一平面内で延在し、かつ、前記複数の梁部のうち少なくとも2つの梁部の各々の延在方向は、互いに異なり、
前記複数の梁部の各々は、同一方向の分極軸を有する単結晶圧電体層と、該単結晶圧電体層の上側に配置された上部電極層と、前記単結晶圧電体層を挟んで前記上部電極層の少なくとも一部に対向するように配置された下部電極層とを含み、
前記分極軸は、前記平面内において分極成分を有しており、
前記分極軸に直交し、かつ、前記平面内で延在する、直交軸の軸方向は、前記複数の梁部の各々の延在方向と交差している、圧電トランスデューサ。
【請求項2】
前記複数の梁部の各々の前記延在方向と、前記直交軸の軸方向とのなす角が、40度以上50度以下である、請求項1に記載の圧電トランスデューサ。
【請求項3】
前記単結晶圧電体層が、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムで構成されている、請求項1または請求項2に記載の圧電トランスデューサ。
【請求項4】
前記分極軸は、前記平面内においてのみ延在している、請求項3に記載の圧電トランスデューサ。
【請求項5】
前記複数の梁部として、3つ以上の梁部を備え、
前記平面に対して垂直な方向から見たときに、前記複数の梁部の各々は、三角形状または四角形状の外形を有し、かつ、前記平面内で互いに異なる方向に延在しつつ隣接する梁部同士の各間隔が互いに等しくなるように、配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の圧電トランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電トランスデューサの構成を開示した先行文献として、特表2014-515214号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された圧電トランスデューサは、基板と、複数の片持ち梁とを備えている。複数の片持ち梁の各々は、互いに隣接し、先細である。複数の片持ち梁の各々は、梁基端部と、梁先端部と、梁本体部とを規定している。梁本体部は、梁基端部と梁先端部との間に配置される。複数の片持ち梁の各々は、梁先端部が共通の仮想点に向けて延びるように配置されている。複数の片持ち梁の各々は、梁基端部に沿って基板に結合されるが、梁本体部に沿って基板に結合されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電トランスデューサの複数の梁部の各々において、単結晶材料で構成された圧電体層である単結晶圧電体層が用いられることがある。単結晶圧電体層は、一方向に延びる分極軸を有する。単結晶圧電体層の分極軸が、複数の梁部の各々が延在する平面内において一方向にのみ分極成分を有している場合、単結晶圧電体層は、この分極成分方向と上記平面内において直交する方向において分極成分を有さない。複数の梁部に、分極成分方向に延在する梁部、および、分極成分方向と交差する方向に延在する梁部が含まれる場合、複数の梁部の各々の曲げ弾性率の差が大きくなる。これにより、たとえば、圧電トランスデューサの駆動時に、複数の梁部の各々の共振周波数および変形量などの機械的特性が互いに異なるために、圧電トランスデューサの入出力特性が低下する場合がある。すなわち、単結晶圧電体層が用いられた圧電トランスデューサにおいては、複数の梁部の各々の固有の機械的特性が互いに異なるためにデバイス特性等についての問題が発生する場合がある。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、単結晶圧電体層を含む複数の梁部同士の機械的特性の差を小さくすることができる、圧電トランスデューサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく圧電トランスデューサは、複数の梁部と、基部とを備えている。複数の梁部の各々は、固定端部を有し、固定端部から離れる方向に延在している。基部は、複数の梁部の各々の固定端部と接続されている。複数の梁部の各々は、同一平面内で延在し、かつ、複数の梁部のうち少なくとも2つの梁部の各々の延在方向は、互いに異なっている。複数の梁部の各々は、同一方向の分極軸を有する単結晶圧電体層と、上部電極層と、下部電極層とを含んでいる。上部電極層は、単結晶圧電体層の上側に配置されている。下部電極層は、単結晶圧電体層を挟んで上部電極層の少なくとも一部に対向するように配置されている。分極軸は、上記平面内において分極成分を有している。分極軸に直交し、かつ、上記平面内で延在する、直交軸の軸方向は、複数の梁部の各々の延在方向と交差している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単結晶圧電体層を含む複数の梁部同士の機械的特性の差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの構成を示す、前方上方からの斜視図である。
【
図3】
図1に示した圧電トランスデューサについてIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層の下面に下部電極層を設けた状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、下部電極層および単結晶圧電体層の各々の下面に中間層を設けた状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、準備された基板を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、
図5に示す複数の層を、
図6に示す基板に接合させた状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層の上面を削った状態を示す
断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層の上面に上部電極層を設けた状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層における孔部と、複数の梁部同士の隙間部分とを形成した状態を示す断面図である。
【
図11】比較例に係る圧電トランスデューサの構成を示す斜視図である。
【
図12】比較例に係る圧電トランスデューサについて、駆動時において複数の梁部の各々が最も上方に変位した状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサについて、駆動時において複数の梁部の各々が最も上方に変位した状態を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態の第1変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【
図15】本発明の一実施形態の第2変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【
図16】本発明の一実施形態の第3変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【
図17】本発明の一実施形態の第4変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【
図18】本発明の一実施形態の第5変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【
図19】本発明の一実施形態の第6変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【
図20】本発明の一実施形態の第7変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサについて図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの構成を示す、前方上方からの斜視図である。
図3は、
図1に示した圧電トランスデューサについてIII-III線矢印方向から見た断面図である。なお、
図1および
図2においては、圧電トランスデューサを構成する各層の境界は図示していない。
【0011】
図1から
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100は、複数の梁部110と、基部120とを備えている。
【0012】
図1に示すように、複数の梁部110の各々は、固定端部111と先端部112とを有している。複数の梁部110の各々は、固定端部111から離れる方向に延在している。先端部112は、複数の梁部110の各々において、固定端部111からの延在方向Eの先端に位置している。複数の梁部110の各々は、同一平面内で延在している。
【0013】
複数の梁部110の各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、延在方向Eにおいて先細の外形を有している。具体的には、複数の梁部110の各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、三角形状の外形を有している。本実施形態において、この三角形状は、固定端部111を底辺とし、先端部112を頂点とする、二等辺三角形状である。すなわち、複数の梁部110の各々の延在方向Eは、各梁部110の外形形状である二等辺三角形状の底辺の中点と頂点とを結ぶ方向である。
【0014】
なお、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、複数の梁部110の各々は、延在方向Eにおいて幅が一定となる外形を有してもよいし、延在方向Eにおいて幅が徐々に広くなる外形を有していてもよい。複数の梁部110の各々は、四角形状の外形を有していてもよい。梁部110の形状および配置が異なる変形例に係る圧電トランスデューサについては、後述する。
【0015】
図1および
図2に示すように、本実施形態においては、圧電トランスデューサ100は4つの梁部110を備えている。このように、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100は、複数の梁部110として、3つ以上の梁部110を備えている。
【0016】
図1に示すように、複数の梁部110の各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、圧電トランスデューサ100の仮想中心点Cに関して互いに点対称となるように配置されている。本実施形態においては、4つの梁部110の各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、上記平面内で互いに異なる方向に延在しつつ隣接する梁部110同士の延在方向Eが互いに90°異なるように、配置されている。
【0017】
このように、複数の梁部110のうち少なくとも2つの梁部110の各々の延在方向Eは、互いに異なっている。なお、複数の梁部110の中に、延在方向Eが互いに同一である梁部110が含まれていてもよい。
【0018】
本実施形態において、複数の梁部110の各々の延在方向Eは、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、仮想中心点Cに向かって延在している。なお、複数の梁部110の各々の延在方向Eは、仮想中心点から離れるように延在してもよい。本実施形態とは延在方向Eが異なる複数の梁部を有する変形例に係る圧電トランスデューサについては、後述する。
【0019】
図1および
図2に示すように、複数の梁部110の各々は、隙間113を挟んで、互いに離れて位置している。本実施形態において、複数の梁部110同士の間に位置する隙間113は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、仮想中心点Cから放射状に延在している。隙間113の延在する方向において、隙間113の幅は略一定である。
【0020】
すなわち、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、複数の梁部110の各々は、上記平面内で互いに異なる方向に延在しつつ隣接する梁部110同士の各間隔が互いに等しくなるように、配置されている。
【0021】
図1から
図3に示すように、本実施形態において、基部120は、複数の梁部110の各々の固定端部111と接続されている。複数の梁部110の各々の先端部112は、基部120から離間した自由端である。
【0022】
なお、複数の梁部110の各々の先端部112は、圧電トランスデューサ100の駆動時に上下に振動する板状部と互いに接続されていてもよい。板状部を有する変形例に係る圧電トランスデューサについては、後述する。
【0023】
図3に示すように、複数の梁部110の各々および梁部110同士の間に位置する隙間113の下方において、下向きに開口する凹部115が形成されている。本実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、凹部115の上方に位置する部分が、複数の梁部110の各々および梁部110同士の間に位置する隙間113となる。
【0024】
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサは、単結晶圧電体層10と、上部電極層20と、下部電極層30とを備えている。本実施形態においては、複数の梁部110の各々が、単結晶圧電体層10と、上部電極層20と、下部電極層30とを含んでいる。
【0025】
単結晶圧電体層10には、孔部11が設けられている。孔部11は、単結晶圧電体層10を上下に貫通するように形成されている。本実施形態において、孔部11は、下部電極層30上に位置するように形成されている。なお、
図1および
図2において孔部11は図示していない。
【0026】
本実施形態において、単結晶圧電体層10は、梁部110の一部と、基部120の一部とを構成している。単結晶圧電体層10を構成する材料については、後述する。
【0027】
上部電極層20は、単結晶圧電体層10の上側に配置されている。上部電極層20は、少なくとも一部が凹部115の上方に位置するように配置される。
【0028】
本実施形態において、上部電極層20は梁部110の一部を構成している。上部電極層20は、Ptなどの導電性を有する材料で構成されている。上部電極層20と単結晶圧電体層10との間に、Tiなどで構成された密着層が配置されていてもよい。
【0029】
下部電極層30は、単結晶圧電体層10を挟んで上部電極層20の少なくとも一部に対向するように配置されている。下部電極層30は、下部電極層30の少なくとも一部が凹部115の上方に位置するように配置されている。下部電極層30は、凹部115の上方において、単結晶圧電体層10を挟んで上部電極層20の少なくとも一部と対向するように配置されている。
【0030】
本実施形態において、下部電極層30は梁部110の一部および基部120の一部を構成している。また、下部電極層30の隙間113側の端部は、本実施形態においては隙間113に露出していないが、隙間113に露出していてもよい。
【0031】
下部電極層30は、Ptなどの導電性を有する材料で構成されている。下部電極層30と単結晶圧電体層10との間に、Tiなどで構成された密着層が配置されていてもよい。
【0032】
本実施形態に係る圧電トランスデューサは、基板40をさらに備えている。基板40は、下部電極層30の下方に配置されている。基板40は、ハンドル層41と、ハンドル層41の上部に積層されたボックス層42と、ボックス層42の上部に積層された活性層43とを含んでいる。
【0033】
本実施形態において、ハンドル層41および活性層43の各々は、Siで構成されている。ボックス層42は、SiO2で構成されている。本実施形態において、基板40は、いわゆるSOI(Silicon on Insulator)基板である。
【0034】
本実施形態においては、ハンドル層41およびボックス層42の各々に、凹部115が形成されている。活性層43には、隙間113が形成されている。すなわち、ハンドル層41およびボックス層42の各々は、基部120の一部を構成している。活性層43は、梁部110の一部および基部120の一部を構成している。
【0035】
基板40と下部電極層30との間、および、基板40と単結晶圧電体層10との間には、中間層50が配置されている。中間層50は、下部電極層30の下面および単結晶圧電体層10の下面のうち下部電極層30が位置していない部分の各々を、下方から覆うように配置されている。中間層50は、たとえばSiO2で構成されている。
【0036】
本実施形態においては、上部電極層20と下部電極層30との間に電位差を与えることで、単結晶圧電体層10のうち、上部電極層20と下部電極層30との間に位置する部分を歪ませることができる。このため、圧電トランスデューサ100は、駆動時において、複数の梁部110が上下に屈曲するように振動する。なお、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100は、受信素子として用いられてもよい。
【0037】
次に、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100の製造方法について説明する。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層の下面に下部電極層を設けた状態を示す断面図である。
図4に示すように、リフトオフ法、めっき法、または、エッチング法などにより、単結晶圧電体層10の下面に下部電極層30を設ける。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、下部電極層および単結晶圧電体層の各々の下面に中間層を設けた状態を示す断面図である。
図5に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法またはPVD(Physical Vapor Deposition)法などにより、下部電極層30および単結晶圧電体層10の各々の下面に、中間層50を設ける。
【0040】
図6は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、準備された基板を示す断面図である。
図6に示すように、凹部115が形成されていない状態の基板40が準備される。
【0041】
図7は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、
図5に示す複数の層を、
図6に示す基板に接合させた状態を示す断面図である。
図7に示すように、中間層50の下面に、基板40の活性層43側の主面を接合させる。
【0042】
図8は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層の上面を削った状態を示す
断面図である。
図8に示すように、単結晶圧電体層10の上面を化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などにより削って、単結晶圧電体層10を所望の厚さにする。
【0043】
図9は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層の上面に上部電極層を設けた状態を示す断面図である。
図9に示すように、リフトオフ法、めっき法、または、エッチング法などにより、単結晶圧電体層10の上面の一部に、上部電極層20を設ける。
【0044】
図10は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサの製造方法において、単結晶圧電体層における孔部と、複数の梁部同士の隙間部分とを形成した状態を示す断面図である。
図10に示すように、リフトオフ法、めっき法、または、エッチング法などにより、単結晶圧電体層10に孔部11を設ける。また、リフトオフ法、めっき法、または、エッチング法などにより、単結晶圧電体層10、上部電極層20、中間層50、活性層43およびボックス層42の各々に、複数の梁部110同士の間に位置する隙間113を設ける。
【0045】
最後に、基板40の下方側の主面から基板40に対して深掘反応性イオンエッチング(Deep RIE:Deep Reactive Ion Etching)などをすることにより、基板40に凹部115を形成する。
【0046】
上記の工程により、
図3に示すような本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100が製造される。
【0047】
次に、単結晶圧電体層10を構成する材料について説明する。
単結晶圧電体層10は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)またはタンタル酸リチウム(LiTaO3)で構成されている。ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々は、圧電特性が比較的高いセラミックス材料である。
【0048】
ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々の結晶構造は、三方晶系に属する。三方晶系は、主軸に関して3回回転対称を有する結晶系である。ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々の分極軸は、各結晶構造における三方晶系の主軸の軸方向に沿うように延在している。単結晶圧電体においては、分極軸の軸方向のみ他の方向とは、弾性率が大きく異なる。
【0049】
図1から
図3に示すように、単結晶圧電体層10は、一方向に向いた分極軸Z’を有している。分極軸Z’は、複数の梁部110の各々が延在する同一の平面内において分極成分を有している。本実施形態においては、複数の梁部110の各々が延在する平面に対して、分極軸Z’が傾いて交差している。ただし、分極軸Z’は、上記平面内においてのみ延在していてもよい。
【0050】
単結晶圧電体層10の材料として用いられるニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々は、分極軸Z’が上記平面方向に延在する分極成分を有するように、XカットまたはYカットされている。
【0051】
ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々がXカットされている場合、分極軸Z’は、上記平面内においてのみ延在する。すなわち、分極軸Z’と上記平面のなす角は常に略0°となる。
【0052】
ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々がYカットされている場合、結晶の切り出し角度であるカット角によって、分極軸Z’と上記平面とのなす角度が変化するため、圧電トランスデューサ100の圧電特性が大きく変化する。圧電特性の観点から、Yカットのカット角は20°以上35°以下であることが好ましく、最も好ましくは26°である。本実施形態において、単結晶圧電体層10は、30°のカット角でYカットされたニオブ酸リチウムで構成されている。
【0053】
上記のように、本実施形態において、単結晶圧電体層10は、一方向に向き、かつ、上記平面内に分極成分を有する、分極軸Z’を有している。すなわち、複数の梁部110の各々に含まれる単結晶圧電体層10の分極軸Z’は、全て同一方向を向いている。
【0054】
図1に示すように、分極軸Z’の軸方向は、複数の梁部110の各々が延在する平面内において一方向にのみ成分を有している。単結晶圧電体層10の有する圧電定数および弾性率の観点から、上記平面内に分極成分を有する圧電トランスデューサ100は、電気-機械間の変換効率が向上する。
【0055】
図1から
図3に示すように、単結晶圧電体層10は、複数の梁部110の各々が延在する平面内において、分極軸Z’が上記平面内において有する分極成分に直交する、直交軸X’を有している。すなわち、
図1から
図3に示すように、直交軸X’の軸方向は、分極軸Z’に直交し、かつ、上記平面内で延在している。単結晶圧電体層10の分極軸Z’は、直交軸X’の軸方向には成分を有さない。単結晶圧電体層10は、分極軸Z’および直交軸X’の各々と互いに直交する第3軸Y’をさらに有している。
【0056】
単結晶圧電体層10においては、上記平面内において分極軸Z’が有する分極成分の方向Z1’と、直交軸X’の軸方向とでは、単結晶圧電体層10の曲げ弾性率が大きく異なる。具体的には、上記平面内において分極軸Z’が有する分極成分方向Z1’における単結晶圧電体層10曲げ弾性率は小さく、直交軸X’の軸方向における単結晶圧電体層10曲げ弾性率は大きい。このため、本実施形態においては、複数の梁部110に、分極成分方向Z1’に延在する梁部、および、直交軸X’の軸方向に延在する梁部、の各々が含まれないように、圧電トランスデューサ100が構成される。
【0057】
ここで、複数の梁部に、分極成分方向に延在する梁部、および、直交軸X’の軸方向に延在する梁部、の両方が含まれている、比較例に係る圧電トランスデューサについて説明する。
【0058】
図11は、比較例に係る圧電トランスデューサの構成を示す斜視図である。
図11に示すように、比較例に係る圧電トランスデューサ900は、単結晶圧電体層における分極成分方向および直交軸X’の軸方向と複数の梁部の各々の延在方向との角度関係が、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100における上記角度関係と異なること以外は、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100と同様の構成となっている。
【0059】
比較例に係る圧電トランスデューサ900は、分極成分方向に延在する2つの梁部910a、および、直交軸X’の軸方向に延在する2つの梁部910bを有している。このため、比較例に係る圧電トランスデューサ900においては、分極成分方向に延在する2つの梁部910aの各々と、分極成分方向と交差する方向に延在する2つの梁部910bの各々とで、曲げ弾性率が互いに大きく異なる。
【0060】
図12は、比較例に係る圧電トランスデューサについて、駆動時において複数の梁部の各々が最も上方に変位した状態を示す斜視図である。
図12に示すように、比較例に係る圧電トランスデューサ900においては、駆動時において、分極成分方向に延在する2つの梁部910aの各々と、直交軸X’の軸方向に延在する2つの梁部910bの各々とで、上下方向における最大変位が大きく異なる。そのため、上記平面内で互いに異なる方向に延在しつつ隣接する梁部910aと梁部910bとの間の隙間が、駆動時に広くなる。
【0061】
一方、
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、分極成分方向Z
1’および直交軸X’の軸方向の各々は、複数の梁部110の各々の延在方向Eと交差している。すなわち、複数の梁部110には、分極成分方向Z
1’に延在する梁部、および、直交軸X’の軸方向に延在する梁部、の各々が含まれていない。
【0062】
具体的には、複数の梁部110の各々の延在方向Eと、直交軸X’の軸方向とのなす角は、40度以上50度以下である。これにより、単結晶圧電体層10を含む複数の梁部110の各々の曲げ弾性率が均一化されている。より好ましくは、圧電トランスデューサ100において、複数の梁部110の各々の延在方向Eと、直交軸X’の軸方向とのなす角が、45度である。この場合、複数の梁部110の各々の曲げ弾性率を最も均一化することができる。
【0063】
図13は、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサについて、駆動時において複数の梁部の各々が最も上方に変位した状態を示す斜視図である。
図13に示すように、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、複数の梁部110の各々の曲げ弾性率が均一化されているため、駆動時において、複数の梁部110の各々が上下方向に略均一に変位する。そのため、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100の複数の梁部110における変形量の差は、比較例に係る圧電トランスデューサ900の複数の梁部910a,910bにおける変形量の差と比較して、小さくなっている。
【0064】
そのため、上記平面内で互いに異なる方向に延在しつつ隣接する梁部110同士の間の隙間は、比較例に係る梁部910aと梁部910bとの間の隙間より、駆動時において狭く維持される。
【0065】
このように、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、単結晶圧電体層10は、一方向に向いた分極軸Z’を有している。分極軸Z’は、上記平面内において分極成分を有している。分極軸Z’に直交し、かつ、上記平面内で延在する、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110の各々の延在方向Eと交差している。
【0066】
上記の構成により、複数の梁部110に、分極成分方向Z1’に延在する梁部、および、直交軸X’の軸方向に延在する梁部、の各々が含まれなくすることができるため、複数の梁部110同士の機械的特性の差を小さくすることができる。また、本発明の一実施形態においては、具体的には複数の梁部の各々の曲げ弾性率を均一化することができる。これにより、本実施形態に係る圧電トランスデューサ100の駆動時においては、複数の梁部110の各々の共振周波数および変形量などの機械的特性の差を小さくできるため、圧電トランスデューサ100の入出力特性を向上することができる。
【0067】
本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、複数の梁部110の各々の延在方向Eと、直交軸X’の軸方向とのなす角が、40度以上50度以下である。
【0068】
上記の構成により、複数の梁部110の各々の延在方向Eと、上記平面内における分極成分方向Z1’と交差する方向とのなす角は、全ての梁部110において40度以上50度以下となるため、複数の梁部110の各々の曲げ弾性率をより均一化することができる。これにより、圧電トランスデューサ100の駆動時に、複数の梁部110の各々の共振周波数および変形量などの機械的特性の差をさらに小さくできるため、圧電トランスデューサ100の入出力特性を効果的に向上することができる。
【0069】
本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、単結晶圧電体層10は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムで構成されている。
【0070】
ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々の結晶構造は、三方晶系に属している。ニオブ酸リチウムおよびタンタル酸リチウムの各々の分極軸は、各結晶構造における三方晶系の主軸の軸方向に沿うように延在しているため、分極軸が、他の圧電セラミック材料より極端に長い。また、三方晶系は、主軸に関して3回回転対称を有する結晶系である。
【0071】
複数の梁部の各々が延在する平面に対して分極軸が傾いて交差する場合、上記平面内において、分極成分方向Z1’と、直交軸X’の軸方向とでは、単結晶圧電体層10の曲げ弾性率が大きく異なる。
【0072】
しかしながら、単結晶圧電体層10がニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムで構成されている場合であっても、複数の梁部110の各々の延在方向Eと直交軸X’の軸方向とが、上述の関係を満たすことにより、圧電特性の高い材料で単結晶圧電体層10を構成しつつ、複数の梁部110の各々の曲げ弾性率を均一化させることができる。その結果、圧電トランスデューサの入出力特性を向上することができる。
【0073】
本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、分極軸Z’が、上記平面内においてのみ延在していてもよい。
【0074】
上記の構成においては、単結晶圧電体層10の材料としてXカットされたニオブ酸リチウムまたはXカットされたタンタル酸リチウムが用いられるが、この場合、分極軸Z’と上記平面とのなす角は常に略0°となる。これにより、Xカットのカット角の違いによって圧電トランスデューサ100の圧電特性に変化が生じることを抑制することができる。
【0075】
本実施形態に係る圧電トランスデューサ100においては、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、複数の梁部110の各々は、三角形状または四角形状の外形を有し、かつ、上記平面内で互いに異なる方向に延在しつつ隣接する梁部110同士の各間隔が互いに等しくなるように、配置されている。
【0076】
上記の構成において、複数の梁部110の各々の曲げ弾性率が均一化されていることにより、駆動時における複数の梁部110の各々の変位による各隙間113の変化量を均一化して、圧電トランスデューサ100の入出力特性を向上することができる。
【0077】
以下、本実施形態の各変形例に係る圧電トランスデューサについて、図を参照して説明する。なお、本発明の一実施形態に係る圧電トランスデューサ100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0078】
図14は、本発明の一実施形態の第1変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図14に示すように、本発明の一実施形態の第1変形例に係る圧電トランスデューサ100aは、複数の梁部110aと、基部120aとを備えている。
【0079】
複数の梁部110aの各々は、同一平面内で延在しており、この平面に対して垂直な方向から見たときに、延在方向Eaにおいて幅が徐々に広くなる外形を有している。具体的には、複数の梁部110aの各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、固定端部111aを上底とする台形状の外形を有している。
【0080】
複数の梁部110aの各々の延在方向Eaは、上記平面に対して垂直な方向からみたときに、圧電トランスデューサ100aの仮想中心点Caから離れるように延在している。
【0081】
本実施形態の第1変形例に係る圧電トランスデューサ100aは、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、複数の梁部110aを取り囲むように配置された周壁部130aをさらに備えている。複数の梁部110aの各々の先端部112aと、周壁部130aとは、互いに離間している。
【0082】
基部120aと、周壁部130aとは、複数の梁部110aの積層方向における下方において、直接的または間接的に互いに接続されている。
【0083】
本実施形態の第1変形例に係る圧電トランスデューサ100aにおいても、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110aの各々の延在方向Eaと交差している。
【0084】
図15は、本発明の一実施形態の第2変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図15に示すように、本発明の一実施形態の第2変形例に係る圧電トランスデューサ100bは、本実施形態の第1変形例に係る圧電トランスデューサ100aとは、複数の梁部の各々の形状のみ異なっている。
【0085】
本実施形態の第2変形例に係る圧電トランスデューサ100bにおいては、複数の梁部110bの各々は、同一平面内で延在している。複数の梁部110bの各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、延在方向Ebにおいて幅が一定となる外形を有している。具体的には、複数の梁部110bの各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、矩形形状の外形を有している。
【0086】
本実施形態の第2変形例に係る圧電トランスデューサ100bにおいては、複数の梁部110b同士の間に位置する隙間113bは、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、略正方形状である。
【0087】
本実施形態の第2変形例に係る圧電トランスデューサ100bにおいても、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110bの各々の延在方向Ebと交差している。
【0088】
図16は、本発明の一実施形態の第3変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図16に示すように、本発明の一実施形態の第3変形例に係る圧電トランスデューサ100cにおいては、複数の梁部110cの各々が、同一平面内で延在している。
【0089】
複数の梁部110cの各々は、この平面に対して垂直な方向から見たときに、固定端部111cを下底とする台形状の外形を有している。このため、複数の梁部110cの各々の先端部112cに囲まれるようにして、略矩形形状の隙間が圧電トランスデューサ100cの中心部に形成されている。
【0090】
本実施形態の第3変形例に係る圧電トランスデューサ100cにおいても、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110cの各々の延在方向Eと交差している。
【0091】
図17は、本発明の一実施形態の第4変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図17に示すように、本発明の一実施形態の第4変形例に係る圧電トランスデューサ100dは、複数の梁部110dと、基部120dとを備えるとともに、板状部140dをさらに備えている。
【0092】
複数の梁部110dの各々は、同一平面内で延在している。複数の梁部110dの各々は、この平面に対して垂直な方向から見たときに、矩形形状の外形を有している。
【0093】
複数の梁部110dの各々の先端部112dは、板状部140dに接続されている。板状部140dは、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、圧電トランスデューサ100dの仮想中心点Cdを中心とする、円形状の外形を有している。
【0094】
板状部140dは、基部120dとは接続されておらず離間している。このため、圧電トランスデューサ100dの駆動時においては、複数の梁部110dの各々が上下方向に変位することにより、板状部140dが上下方向に移動する。
【0095】
上記平面に対して垂直な方向から見たときに、上記平面内で互いに異なる方向に延在しつつ隣接する梁部110d同士の間の隙間113dにおける基部120d側の縁部は、仮想中心点Cdを中心とする円の円弧形状である。
【0096】
本実施形態の第4変形例に係る圧電トランスデューサ100dにおいても、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110dの各々の延在方向Eと交差している。これにより、本変形例においては、複数の梁部110d同士の延在方向Eにおける応力の差を小さくすることができる。このため、複数の梁部110dと板状部140dとを互いに接続する複数の接続部にかかる応力について、接続部同士での応力差を小さくすることができる。ひいては、圧電トランスデューサ100dの信頼性を向上できる。
【0097】
図18は、本発明の一実施形態の第5変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図18に示すように、本発明の一実施形態の第5変形例に係る圧電トランスデューサ100eは、本実施形態の第4変形例に係る圧電トランスデューサ100dとは、板状部の外形のみ異なっている。
【0098】
本実施形態の第5変形例に係る圧電トランスデューサ100eにおいて、複数の梁部110eの各々は、同一平面内で延在している。この平面に対して垂直な方向から見たときに、板状部140eは、圧電トランスデューサ100eの仮想中心点Ceを中心とする、略正方形状の外形を有している。
【0099】
複数の梁部110eの各々の先端部112eは、板状部140eの略正方形状の頂点の各々において、板状部140eに接続されている。
【0100】
本実施形態の第5変形例に係る圧電トランスデューサ100eにおいても、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110eの各々の延在方向Eと交差している。
【0101】
図19は、本発明の一実施形態の第6変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図19に示すように、本発明の一実施形態の第6変形例に係る圧電トランスデューサ100fは、本実施形態の第4変形例に係る圧電トランスデューサ100dとは、複数の梁部の各々の外形と板状部の外形とが異なっている。
【0102】
本実施形態の第6変形例に係る圧電トランスデューサ100fにおいて、複数の梁部110fの各々は、同一平面内で延在している。複数の梁部110fの各々は、この平面に対して垂直な方向から見たときに、延在方向Eにおいて先細の外形を有している。具体的には、複数の梁部110fの各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、台形状の外形を有している。隙間113fの延在する方向において、隙間113fの幅は略一定である。板状部140fは、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、多角形状の外形を有している。具体的には、板状部140fは、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、八角形状の外形を有している。
【0103】
複数の梁部110fの各々の先端部112fは、板状部140fの多角形状の辺の各々において、板状部140fに接続されている。
【0104】
本実施形態の第6変形例に係る圧電トランスデューサ100fにおいても、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110fの各々の延在方向Eと交差している。
【0105】
図20は、本発明の一実施形態の第7変形例に係る圧電トランスデューサの構成を示す平面図である。
図20に示すように、本発明の一実施形態の第7変形例に係る圧電トランスデューサ100gは、主に、複数の板状部が設けられている点で、本実施形態の第6変形例に係る圧電トランスデューサ100fと異なっている。
【0106】
本実施形態の第7変形例に係る圧電トランスデューサ100gにおいて、複数の梁部110gの各々は、同一平面内で延在している。複数の梁部110gの各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、三角形状の外形を有している。
【0107】
本実施形態の第7変形例に係る圧電トランスデューサ100gは、複数の板状部140gを備えている。複数の板状部140gの各々は、複数の隙間113gの各々に1つずつ位置しており、互いに隣り合う2つの梁部110g同士を互いに接続している。複数の板状部140gの各々は、上記平面に対して垂直な方向から見たときに、矩形状の外形を有している。
【0108】
本実施形態の第7変形例に係る圧電トランスデューサ100gにおいても、直交軸X’の軸方向は、複数の梁部110gの各々の延在方向Eと交差している。
【0109】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
10 単結晶圧電体層、11 孔部、20 上部電極層、30 下部電極層、40 基板、41 ハンドル層、42 ボックス層、43 活性層、50 中間層、100,100a,100b,100c,100d,100e,100f,100g,900 圧電トランスデューサ、110,110a,110b,110c,110d,110e,110f,110g,910a,910b 梁部、111,111a,111c 固定端部、112,112a,112c,112d,112e,112f 先端部、113,113b,113d,113f,113g 隙間、115 凹部、120,120a,120d 基部、130a 周壁部、140d,140e,140f,140g 板状部。