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特許7088317分析制御装置、液体クロマトグラフ分析システムおよび分析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】分析制御装置、液体クロマトグラフ分析システムおよび分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/74 20060101AFI20220614BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20220614BHJP
   G01N 30/84 20060101ALI20220614BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G01N30/74 F
G01N30/06 E
G01N30/84 A
G01N21/64 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020560735
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2018047088
(87)【国際公開番号】W WO2020129223
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】湊 浩之
(72)【発明者】
【氏名】軍司 昌秀
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-029791(JP,A)
【文献】米国特許第04022575(US,A)
【文献】特開2000-193649(JP,A)
【文献】特開2000-081442(JP,A)
【文献】特公平04-001305(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送液部、第2の送液部、試料導入部、分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部を制御する分析制御装置であって、
試料分析時および分析条件決定時において、前記分析カラムおよび前記合流部を通して移動相を前記蛍光検出器に供給するように前記第1の送液部を制御する第1の送液制御部と、
前記試料分析時および前記分析条件決定時において、前記合流部を通して蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するように前記第2の送液部を制御する第2の送液制御部と、
前記試料分析時および前記分析条件決定時において、前記試料導入部により前記分析カラムの上流で前記移動相に試料を導入するように前記試料導入部を制御する試料導入制御部と、
前記試料分析時および前記分析条件決定時において、前記蛍光検出器の出力信号に基づいてクロマトグラムを生成する生成部と、
前記分析条件決定時において、前記生成部より生成されたクロマトグラムに基づいて、前記第2の送液部が前記蛍光反応液の供給を開始する時点から前記第2の送液部が前記蛍光反応液の供給を終了する時点までの期間を供給期間として決定する供給期間決定部とを備え、
前記供給期間決定部は、前記移動相の供給開始時点よりも後でかつ前記移動相に導入された前記試料が前記合流部に到達する以前に前記蛍光反応液が前記合流部に到達するように前記供給期間の開始時点を決定するとともに、前記試料が前記合流部を通過した以後の時点を前記供給期間の終了時点として決定し、
前記第2の送液制御部は、前記試料分析時において、前記決定された供給期間の開始時点で前記第2の送液部に前記蛍光反応液の供給を開始させ、前記供給期間の終了時点で前記第2の送液部に前記蛍光反応液の供給を停止させる、分析制御装置。
【請求項2】
前記第1および第2の送液制御部は、前記分析条件決定時において、前記分析カラムおよび前記合流部を通して前記移動相を前記蛍光検出器に供給するように前記第1の送液部を制御するとともに、前記合流部を通して前記蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するように前記第1および第2の送液部を制御し、
前記試料導入制御部は、前記分析条件決定時において、前記試料導入部により前記分析カラムの上流で前記移動相に前記試料を導入するように前記試料導入部を制御し、
前記供給期間決定部は、
前記分析条件決定時において、前記生成部より生成されたクロマトグラムに基づいて前記試料が前記移動相に導入された時点を基準として前記試料中の成分のピークが出現した期間をピーク出現期間として検出するピーク期間検出部と、
前記分析条件決定時において、前記合流部から前記蛍光検出器に供給される前記移動相、前記試料および前記蛍光反応液の合計の流量と、前記合流部から前記蛍光検出器までの流路の容積とに基づいて、前記合流部から前記蛍光検出器への前記試料の移動時間を算出する時間算出部と、
前記分析条件決定時において、前記ピーク期間検出部により検出されたピーク出現期間よりも前記時間算出部により算出された移動時間だけ前の期間を含む期間を、前記供給期間として算出する期間算出部とを含む、請求項1記載の分析制御装置。
【請求項3】
第1の送液部、第2の送液部、試料導入部、分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部を制御する分析制御装置であって、
試料分析時において、前記分析カラムおよび前記合流部を通して移動相を前記蛍光検出器に供給するように前記第1の送液部を制御する第1の送液制御部と、
前記試料分析時において、前記合流部を通して蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するように前記第2の送液部を制御する第2の送液制御部と、
前記試料分析時において、前記試料導入部により前記分析カラムの上流で前記移動相に試料を導入するように前記試料導入部を制御する試料導入制御部と、
前記試料分析時において、前記蛍光検出器の出力信号に基づいてクロマトグラムを生成する生成部と、
分析条件決定時において、前記第2の送液部が前記蛍光反応液の供給を開始する時点から前記第2の送液部が前記蛍光反応液の供給を終了する時点までの期間を供給期間として決定する供給期間決定部とをさらに備え、
前記第2の送液制御部は、前記移動相の供給開始時点よりも後でかつ前記移動相に導入された前記試料が前記合流部に到達する以前に前記蛍光反応液が前記合流部に到達するように前記第2の送液部に前記蛍光反応液の供給を開始させ、前記試料が前記合流部を通過した以後に前記第2の送液部に前記蛍光反応液の供給を停止させ、
前記第2の送液制御部は、前記試料分析時において、前記決定された供給期間の開始時点で前記第2の送液部に前記蛍光反応液の供給を開始させ、前記供給期間の終了時点で前記第2の送液部に前記蛍光反応液の供給を停止させ、
前記第1および第2の送液制御部は、前記分析条件決定時において、前記分析カラムおよび前記合流部を通して前記移動相を前記蛍光検出器に供給するように前記第1の送液部を制御するとともに、前記合流部を通して前記蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するように前記第1および第2の送液部を制御し、
前記試料導入制御部は、前記分析条件決定時において、前記試料導入部により前記分析カラムの上流で前記移動相に前記試料を導入するように前記試料導入部を制御し、
前記供給期間決定部は、
前記分析条件決定時において、前記生成部より生成されたクロマトグラムに基づいて前記試料が前記移動相に導入された時点を基準として前記試料中の成分のピークが出現した期間をピーク出現期間として検出するピーク期間検出部と、
前記分析条件決定時において、前記合流部から前記蛍光検出器に供給される前記移動相、前記試料および前記蛍光反応液の合計の流量と、前記合流部から前記蛍光検出器までの流路の容積とに基づいて、前記合流部から前記蛍光検出器への前記試料の移動時間を算出する時間算出部と、
前記分析条件決定時において、前記ピーク期間検出部により検出されたピーク出現期間よりも前記時間算出部により算出された移動時間だけ前の期間を含む期間を、前記供給期間として算出する期間算出部とを含む、分析制御装置。
【請求項4】
第1の送液部、第2の送液部、試料導入部、分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部と、
前記液体クロマトグラフ分析部を制御する請求項1~3のいずれかに記載の分析制御装置とを備えた、液体クロマトグラフ分析システム。
【請求項5】
分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部による分析方法であって、
分析条件決定時において、前記分析カラムおよび前記合流部を通して移動相を前記蛍光検出器に供給するステップと、
前記分析条件決定時において、前記合流部を通して蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するステップと、
前記分析条件決定時において、前記分析カラムの上流で前記移動相に試料を導入するステップと、
前記分析条件決定時において、前記蛍光検出器の出力信号に基づいてクロマトグラムを生成するステップと、
前記分析条件決定時において、前記生成されたクロマトグラムに基づいて、前記蛍光反応液の供給を開始する時点から前記蛍光反応液の供給を終了する時点までの期間を供給期間として供給期間決定部により決定するステップと、
試料分析時において、前記分析カラムおよび前記合流部を通して移動相を前記蛍光検出器に供給するステップと、
前記試料分析時において、前記供給期間決定部により決定された前記供給期間に前記合流部を通して蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するステップと、
前記試料分析時において、前記分析カラムの上流で前記移動相に試料を導入するステップと、
前記試料分析時において、前記蛍光検出器の出力信号に基づいてクロマトグラムを生成するステップとを含み、
前記供給期間決定部により決定するステップは、前記移動相の供給開始時点よりも後でかつ前記移動相に導入された前記試料が前記合流部に到達する以前に前記蛍光反応液が前記合流部に到達するように前記供給期間の開始時点を決定するとともに、前記合流部を通過した以後の時点を前記供給期間の終了時点として決定することを含み、
前記蛍光反応液を蛍光検出器に供給するステップは、前記試料分析時において、前記決定された供給期間の開始時点で前記蛍光反応液の供給を開始させ、前記供給期間の終了時点で前記蛍光反応液の供給を停止させることを含む、分析方法。
【請求項6】
前記供給期間決定部により決定するステップは、
前記分析条件決定時において、前記生成されたクロマトグラムに基づいて前記試料が前記移動相に導入された時点を基準として前記試料中の成分のピークが出現した期間をピーク出現期間として検出することと、
前記分析条件決定時において、前記合流部から前記蛍光検出器に供給される前記移動相、前記試料および前記蛍光反応液の合計の流量と、前記合流部から前記蛍光検出器までの流路の容積とに基づいて、前記合流部から前記蛍光検出器への前記試料の移動時間を算出することと、
前記分析条件決定時において、前記検出されたピーク出現期間よりも前記算出された移動時間だけ前の期間を含む期間を、前記供給期間として算出することとを含む、請求項5記載の分析方法。
【請求項7】
分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部による分析方法であって、
試料分析時において、前記分析カラムおよび前記合流部を通して移動相を前記蛍光検出器に供給するステップと、
前記試料分析時において、前記合流部を通して蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するステップと、
前記試料分析時において、前記分析カラムの上流で前記移動相に試料を導入するステップと、
前記試料分析時において、前記蛍光検出器の出力信号に基づいてクロマトグラムを生成するステップと、
分析条件決定時において、前記蛍光反応液の供給を開始する時点から前記蛍光反応液の供給を終了する時点までの期間を供給期間として決定するステップとを含み、
前記合流部を通して前記蛍光反応液を前記蛍光検出器に供給するステップは、前記移動相の供給開始時点よりも後でかつ前記移動相に導入された前記試料が前記合流部に到達する以前に前記蛍光反応液が前記合流部に到達するように前記蛍光反応液の供給を開始し、前記試料が前記合流部を通過した以後に前記蛍光反応液の供給を停止することを含み、
前記蛍光反応液を蛍光検出器に供給するステップは、前記試料分析時において、前記決定された供給期間の開始時点で前記蛍光反応液の供給を開始し、前記供給期間の終了時点で前記蛍光反応液の供給を停止することを含み、
前記供給期間を決定するステップは、
前記分析条件決定時において、前記生成されたクロマトグラムに基づいて前記試料が前記移動相に導入された時点を基準として前記試料中の成分のピークが出現した期間をピーク出現期間として検出することと、
前記分析条件決定時において、前記合流部から前記蛍光検出器に供給される前記移動相、前記試料および前記蛍光反応液の合計の流量と、前記合流部から前記蛍光検出器までの流路の容積とに基づいて、前記合流部から前記蛍光検出器への前記試料の移動時間を算出することと、
前記分析条件決定時において、前記検出されたピーク出現期間よりも前記算出された移動時間だけ前の期間を含む期間を、前記供給期間として算出することとを含む、分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析制御装置、液体クロマトグラフ分析システムおよび分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光検出器を用いた液体クロマトグラフ分析システムが知られている(例えば特許文献1参照)。液体クロマトグラフ分析システムでは、例えば、試料が導入された移動相が分析カラムに供給される。分析カラムを通過した移動相および試料に蛍光反応液が合流し、反応コイルを通過する際に試料中の特定の成分が蛍光反応液と反応して蛍光性を有する誘導体に変化する。誘導体により発せられる蛍光が蛍光検出器により検出される。
【文献】特開2000-193649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
蛍光検出器を用いた液体クロマトグラフ分析システムにおいて、高いpHを有する蛍光反応液が用いられることがある。この場合、蛍光反応液により蛍光検出器のフローセル等の光学部品が溶解し、蛍光検出器において液漏れが生じることがある。そのため、光学部品の整備または交換の頻度が高くなる。
【0004】
本発明の目的は、蛍光検出器の部品の整備または交換の頻度の低減を可能とする分析制御装置、液体クロマトグラフ分析システムおよび分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面に従う分析制御装置は、第1の送液部、第2の送液部、試料導入部、分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部を制御する分析制御装置であって、試料分析時において、分析カラムおよび合流部を通して移動相を蛍光検出器に供給するように第1の送液部を制御する第1の送液制御部と、試料分析時において、合流部を通して蛍光反応液を蛍光検出器に供給するように第2の送液部を制御する第2の送液制御部と、試料分析時において、試料導入部により分析カラムの上流で移動相に試料を導入するように試料導入部を制御する試料導入制御部と、試料分析時において、蛍光検出器の出力信号に基づいてクロマトグラムを生成する生成部とを備え、第2の送液制御部は、移動相の供給開始時点よりも後でかつ移動相に導入された試料が合流部に到達する以前(到達するときまたは到達する前)に蛍光反応液が合流部に到達するように第2の送液部に蛍光反応液の供給を開始させ、試料が合流部を通過した以後(通過したときまたは通過した後)に第2の送液部に蛍光反応液の供給を停止させる。
【0006】
その分析制御装置においては、分析の間、第1の送液部により分析カラムおよび合流部を通して蛍光検出器に移動相が供給される。一方、移動相の供給開始時点よりも後でかつ移動相に導入された試料が合流部に到達する前に合流部への蛍光反応液の供給が開始され、試料が合流部を通過した後に合流部への蛍光反応液の供給が停止される。試料が合流部に到着するときには、蛍光反応液が合流部に供給されているので、試料が合流部から蛍光検出器に移動する間に試料中の特定の成分が蛍光反応液により蛍光性を有する誘導体に変化する。それにより、クロマトグラムにおいて試料の特定の成分に対応するピークが出現する。この場合、蛍光反応液が蛍光検出器に供給されている時間は、分析の総時間に比べて短い。その結果、蛍光検出器の部品の整備または交換の頻度を低減することが可能である。
【0007】
分析制御装置は、分析条件決定時において、第2の送液部が蛍光反応液の供給を開始する時点から第2の送液部が蛍光反応液の供給を終了する時点までの期間を供給期間として決定する供給期間決定部をさらに備え、第2の送液制御部は、試料分析時において、決定された供給期間の開始時点で第2の送液部に蛍光反応液の供給を開始させ、供給期間の終了時点で第2の送液部に蛍光反応液の供給を停止させてもよい。
【0008】
上記の構成により、試料分析時には、分析条件決定時に決定された供給期間に基づいて第2の送液部による蛍光反応液の供給の開始および停止が制御される。この場合、決定された供給期間を任意の回数の分析で用いることができる。
【0009】
第1および第2の送液制御部は、分析条件決定時において、分析カラムおよび合流部を通して移動相を蛍光検出器に供給するように第1の送液部を制御するとともに、合流部を通して蛍光反応液を蛍光検出器に供給するように第1および第2の送液部を制御し、試料導入制御部は、分析条件決定時において、試料導入部により分析カラムの上流で移動相に試料を導入するように試料導入部を制御し、供給期間決定部は、分析条件決定時において、生成部より生成されたクロマトグラムに基づいて試料が移動相に導入された時点を基準として試料中の成分のピークが出現した期間をピーク出現期間として検出するピーク期間検出部と、分析条件決定時において、合流部から蛍光検出器に供給される移動相、試料および蛍光反応液の合計の流量と、合流部から蛍光検出器までの流路の容積とに基づいて、合流部から蛍光検出器への試料の移動時間を算出する時間算出部と、分析条件決定時において、ピーク期間検出部により検出されたピーク出現期間よりも時間算出部により算出された移動時間だけ前の期間を含む期間を、供給期間として算出する期間算出部とを含んでもよい。この場合、分析条件決定時に、蛍光反応液の供給期間が自動的に決定される。
【0010】
本発明の他の局面に従う液体クロマトグラフ分析システムは、第1の送液部、第2の送液部、試料導入部、分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部と、液体クロマトグラフ分析部を制御する上記の分析制御装置とを備える。
【0011】
本発明のさらに他の局面に従う分析方法は、分析カラム、合流部および蛍光検出器を含む液体クロマトグラフ分析部による分析方法であって、試料分析時において、分析カラムおよび合流部を通して移動相を蛍光検出器に供給するステップと、試料分析時において、合流部を通して蛍光反応液を蛍光検出器に供給するステップと、試料分析時において、分析カラムの上流で移動相に試料を導入するステップと、試料分析時において、蛍光検出器の出力信号に基づいてクロマトグラムを生成するステップとを含み、合流部を通して蛍光反応液を蛍光検出器に供給するステップは、移動相の供給開始時点よりも後でかつ移動相に導入された試料が合流部に到達する以前に蛍光反応液が合流部に到達するように蛍光反応液の供給を開始し、試料が合流部を通過した以後に蛍光反応液の供給を停止することを含む。
【0012】
分析方法は、分析条件決定時において、蛍光反応液の供給を開始する時点から蛍光反応液の供給を終了する時点までの期間を供給期間として決定するステップをさらに含み、蛍光反応液を蛍光検出器に供給するステップは、試料分析時において、決定された供給期間の開始時点で蛍光反応液の供給を開始し、供給期間の終了時点で蛍光反応液の供給を停止することを含んでもよい。
【0013】
供給期間を決定するステップは、分析条件決定時において、生成されたクロマトグラムに基づいて試料が移動相に導入された時点を基準として試料中の成分のピークが出現した期間をピーク出現期間として検出することと、分析条件決定時において、合流部から蛍光検出器に供給される移動相、試料および蛍光反応液の合計の流量と、合流部から蛍光検出器までの流路の容積とに基づいて、合流部から蛍光検出器への試料の移動時間を算出することと、分析条件決定時において、検出されたピーク出現期間よりも算出された移動時間だけ前の期間を含む期間を、供給期間として算出することとを含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蛍光検出器の部品の整備または交換の頻度を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る分析制御装置を含む液体クロマトグラフ分析システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1の分析制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1の液体クロマトグラフ分析システムにより得られるクロマトグラムの一例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態に係る分析方法における分析条件決定方法を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施の形態に係る分析方法における試料分析方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る分析制御装置、液体クロマトグラフ分析システムおよび分析方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
(1)液体クロマトグラフ分析システムの構成
図1は本発明の一実施の形態に係る分析制御装置を含む液体クロマトグラフ分析システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る液体クロマトグラフ分析システムは、蛍光検出器を含むHPLC(high performance liquid chromatography)用システムである。
【0018】
図1の液体クロマトグラフ分析システム100は、液体クロマトグラフ10および分析制御装置30を含む。液体クロマトグラフ10は、移動相用の第1のポンプ11、蛍光反応液用の第2のポンプ12、試料導入部13、導入ポート14、カラムオーブン15、分析カラム16、反応コイル17および蛍光検出器18を含む。分析カラム16および反応コイル17は、カラムオーブン15内に設けられる。カラムオーブン15は、分析カラム16および反応コイル17を設定された温度に維持する。
【0019】
第1のポンプ11は、移動相容器110内の移動相を吸引し、分析カラム16に供給する。試料導入部13は、例えばオートサンプラまたはインジェクタを含み、分析対象である試料を導入ポート14において移動相に導入する。第2のポンプ12は、蛍光反応液容器120内の蛍光反応液を吸引し、合流部Aに供給する。本実施の形態では、第2のポンプ12のオンおよびオフが後述のように制御される。
【0020】
分析カラム16を通過した移動相および試料は、合流部Aで蛍光反応液と合流する。それにより、試料中の特定の成分が蛍光反応液と反応し、蛍光性を有する誘導体に変化する。合流部Aで合流した移動相、試料および蛍光反応液は、反応コイル17を通して蛍光検出器18に供給される。蛍光検出器18は、特定の成分により発せられる蛍光を検出する。
【0021】
また、液体クロマトグラフ10は、クロマトグラフ制御部19、操作部20および表示部21を含む。クロマトグラフ制御部19は、第1のポンプ11、第2のポンプ12、試料導入部13、カラムオーブン15および蛍光検出器18を制御する。操作部20は、使用者がクロマトグラフ制御部19に種々の指令を与えるために用いられる。表示部21は、種々のデータ等を表示する。
【0022】
分析制御装置30は、入出力I/F(インタフェース)31、CPU(中央演算処理装置)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)34および記憶装置35を含み、例えばパーソナルコンピュータまたはサーバにより構成される。入出力I/F31、CPU32、RAM33、ROM34および記憶装置35はバス38に接続されている。分析制御装置30のバス38には、操作部36および表示部37が接続される。操作部36は、キーボードおよびポインティングデバイス等を含み、種々の値等の入力および種々の操作のために用いられる。表示部37は、液晶ディスプレイまたは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等を含み、種々の情報および画像を表示する。操作部36および表示部37は、タッチパネルディスプレイにより構成されてもよい。
【0023】
記憶装置35は、ハードディスク、光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリまたはメモリカード等の記憶媒体を含み、分析制御プログラムを記憶する。RAM33は、CPU32の作業領域として用いられる。ROM34にはシステムプログラムが記憶される。CPU32が記憶装置35に記憶された分析制御プログラムをRAM33上で実行することにより、後述する分析方法が実施される。分析方法は、分析条件決定方法および試料分析方法を含む。
【0024】
(2)分析制御装置30の機能的な構成
図2図1の分析制御装置30の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、分析制御装置30は、第1の送液制御部301、第2の送液制御部302、クロマトグラム生成部303、試料導入制御部304、動作切替部305、ピーク期間検出部306、移動時間算出部307、供給期間算出部308および供給期間記憶部309を含む。第2の送液制御部302、ピーク期間検出部306、移動時間算出部307および供給期間算出部308が供給期間決定部310を構成する。上記の構成要素(301~310)の機能は、図1のCPU32が記憶装置35等の記憶媒体(記録媒体)に記憶されたコンピュータプログラムである分析制御プログラムを実行することにより実現される。なお、分析制御装置30の一部または全ての構成要素が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0025】
第1の送液制御部301は、第1のポンプ11のオンおよびオフをクロマトグラフ制御部19に指令する。第2の送液制御部302は、第2のポンプ12のオンおよびオフをクロマトグラフ制御部19に指令する。試料導入制御部304は、試料導入部13による試料の導入をクロマトグラフ制御部19に指令する。
【0026】
動作切替部305は、使用者による操作部36の操作に基づいて液体クロマトグラフ10の動作を分析条件決定時の動作と試料分析時の動作とに切り替える。具体的には、動作切替部305は、分析条件決定時と試料分析時とで、第2の送液制御部302の動作を切り替える。
【0027】
分析条件決定時には、第1のポンプ11および第2のポンプ12が分析の開始時点から終了時点までオンしている。一方、試料分析時においては、第1のポンプ11は分析の開始時点から終了時点までオンしており、第2のポンプ12は決定された供給期間においてのみオンしている。
【0028】
クロマトグラム生成部303は、分析条件決定時および試料分析時において、蛍光検出器18からの出力信号に基づいてクロマトグラムを生成する。生成されたクロマトグラムは表示部37に表示される。
【0029】
ピーク期間検出部306は、分析条件決定時において、クロマトグラム生成部303により生成されたクロマトグラムに基づいて、試料が移動相に導入された時点を基準として試料中の特定の成分に対応するピークが出現した期間をピーク出現期間として検出する。
【0030】
移動時間算出部307は、分析条件決定時において、合流部Aから蛍光検出器18に供給される移動相、試料および蛍光反応液の合計の流量と、合流部Aから蛍光検出器18までの流路の容積とに基づいて、合流部Aから蛍光検出器18までの試料の移動時間を算出する。移動相および試料の流量は、第1のポンプ11に設定された流量である。蛍光反応液の流量は、第2のポンプ12に設定された流量である。また、合流部Aから蛍光検出器18までの流路の容積は、合流部Aから蛍光検出器18までの反応コイル17を含む配管の容積である。
【0031】
供給期間算出部308は、分析条件決定時において、ピーク期間検出部306により検出されたピーク出現期間よりも移動時間だけ前の期間を含む期間を、供給期間として算出する。それにより、蛍光反応液の供給期間が決定される。供給期間の決定方法の具体例については後述する。供給期間記憶部309は、供給期間算出部308により算出された供給期間を記憶する。決定された供給期間は、一つの分析条件として分析メソッドに規定される。
【0032】
供給期間を使用者が決定する場合には、使用者は、決定した供給期間を操作部36を用いて供給期間記憶部309に入力する。使用者が供給期間を決定する場合には、ピーク期間検出部306、移動時間算出部307および供給期間算出部308は設けられなくてもよい。
【0033】
(3)供給期間の決定方法の具体例
図3図1の液体クロマトグラフ分析システム100により得られるクロマトグラムの一例を示す図である。図3を参照しながら第2のポンプ12による蛍光反応液の供給期間の決定方法を説明する。図3の横軸は時間(分)であり、縦軸は蛍光検出器18の出力信号の電圧(mV)である。
【0034】
分析条件決定時には、例えば標準試料を用いて少なくとも1回の分析が行われる。分析の間、第1のポンプ11および第2のポンプ12がオンにされる。それにより、図3のクロマトグラムが得られる。分析の総時間は30.0分である。
【0035】
図3のクロマトグラムにおいて、0.0分は試料導入部13により試料が導入ポート14に導入された時点である。試料の導入時点の約20.0分後にピークPKが出現している。ピークPKの出現期間TPの開始時点は19.0分であり、出現期間TPの終了時点は21.0分である。本例では、液体クロマトグラフ10の合流部Aから蛍光検出器18までの流路の容量を2000[μL]とする。また、第1のポンプ11の吐出流量を1000[μL/min]とし、第2のポンプ12の吐出流量を1000[μL/min]とする。この場合、合流部Aから反応コイル17を通して蛍光検出器18に供給される移動相、試料および蛍光反応液の合計の流量は2000[μL/min]となる。したがって、試料が合流部Aから蛍光検出器18まで移動するために要する移動時間Tmは次式により求められる。
【0036】
Tm=2000[μL]/(1000[μL/分]+1000[μL/min])=1.0[min]
試料は、ピークPKの出現期間TPの開始時点よりも移動時間Tmだけ前の時点で合流部Aに到着し、出現期間TPの終了時点よりも移動時間Tmだけ前の時点で合流部Aを通過する。したがって、ピークPKの出現期間TPの開始時点よりも移動時間Tmだけ前の時点から出現期間TPの終了時点よりも移動時間Tmだけ前の時点までの期間(以下、合流点通過期間TSAと呼ぶ。)において蛍光反応液が合流部Aに供給されるように第2のポンプ12が制御される。本例では、合流点通過期間TSAは19.0分~21.0分である。
【0037】
また、第1または第2のポンプ11,12の劣化または外気温度の変化等の原因により合流部Aへの試料の到着時点のばらつきを考慮して、本例では、合流点通過期間TSAの前後にマージンΔT1,ΔT2が付加される。本例において、マージンΔT1,ΔT2は、試料の導入時点から合流部Aへの到着時点まで時間20.0分の10%である2.0分にそれぞれ設定される。これにより、供給期間TSは合流点通過期間TSAの開始時点よりマージンΔT1だけ前の時点から合流点通過期間TSAの終了時点よりマージンΔT2だけ後の時点までに設定される。本例では、供給期間TSは16.0分~22.0分である。なお、マージンΔT1,ΔT2は、第1または第2のポンプ11,12の性能、外気温度の変化の程度、または分析条件決定の実施頻度等により任意の値に設定することができる。マージンΔT1,ΔT2を考慮する必要がない場合には、供給期間TSは合流点通過期間TSAと等しい期間に決定されてもよい。
【0038】
第2のポンプ12は、供給期間TSの開始時点t1でオンにされ、供給期間TSの終了時点t2でオフにされる。それにより、試料が合流部Aに到着して合流部Aを通過するまでの期間TSAを含む供給期間TSにおいて合流部Aに蛍光反応液が供給される。供給期間TSは、1回の分析で第1のポンプ11がオンしている時間(移動相が蛍光検出器18に供給されている時間)に比べて短い。本例では、1回の分析の総時間30分のうち6分のみ蛍光反応液が蛍光検出器18に供給される。
【0039】
(4)分析方法
図4は本実施の形態に係る分析方法における分析条件決定方法を示すフローチャートである。図4の分析条件決定方法は、分析制御プログラムの実行により実施される。
【0040】
第1のポンプ11の吐出流量および第2のポンプ12の吐出流量は、分析メソッドに予め規定されている。まず、使用者による操作部36の操作に基づいて動作切替部305が第2の送液制御部302の動作を分析条件決定に切り替える。分析条件決定時において、第1の送液制御部301および第2の送液制御部302は、クロマトグラフ制御部19を通して第1および第2のポンプ11,12をオンにする(ステップS1)。それにより、第1のポンプ11により移動相容器110から分析カラム16を通して合流部Aに移動相が設定された流量で供給され、第2のポンプ12により蛍光反応液容器120から合流部Aに蛍光反応液が設定された流量で供給される。次に、試料導入制御部304は、クロマトグラフ制御部19を通して試料導入部13により導入ポート14に試料を導入させる(ステップS2)。
【0041】
クロマトグラム生成部303は、蛍光検出器18の出力信号に基づいてクロマトグラムの生成を開始する(ステップS3)。移動相、試料および蛍光反応液は、合流部Aから蛍光検出器18に供給される。このとき、試料中の特定の成分が蛍光反応液により蛍光性を有する誘導体に変化する。生成されたクロマトグラムは、表示部37に表示される。
【0042】
ピーク期間検出部306は、クロマトグラム生成部303により生成されたクロマトグラムに基づいて試料中の特定の成分に対応するピークPKの出現期間TPを検出する(ステップS4)。移動時間算出部307は、合流部Aから蛍光検出器18に供給される移動相、試料および蛍光反応液の合計の流量と、合流部Aから蛍光検出器18までの流路の容積とに基づいて、合流部Aから蛍光検出器18への試料の移動時間Tmを算出する(ステップS5)。この場合、移動時間算出部307は、合流部Aから蛍光検出器18までの反応コイル17を含む流路の容積を予め記憶している。
【0043】
供給期間算出部308は、ピークPKの出現期間TPおよび合流部Aから蛍光検出器18への試料の移動時間Tmに基づいて供給期間TSを算出する(ステップS6)。このようにして、供給期間決定部310により供給期間TSが自動的に決定される。供給期間記憶部309は、供給期間算出部308により算出された供給期間TSを記憶する。
【0044】
その後、第1および第2の送液制御部301,302は、クロマトグラフ制御部19を通して第1および第2のポンプ11,12をオフにする(ステップS7)。それにより、合流部Aへの移動相の供給および蛍光反応液の供給が終了し、蛍光検出器18に移動相および蛍光反応液が供給されない。
【0045】
なお、ステップS4~S6の処理を使用者が行い、供給期間TSを決定してもよい。この場合、使用者は、クロマトグラム生成部303により生成されたクロマトグラムにおけるピークPKに基づいて図3に示される方法で供給期間TSを算出することができる。使用者は、算出した供給期間TSを操作部36により供給期間記憶部309に記憶させる。
【0046】
図5は本実施の形態に係る分析方法における試料分析方法を示すフローチャートである。図4の試料分析方法は、分析制御プログラムの実行により実施される。
【0047】
まず、使用者による操作部36の操作に基づいて動作切替部305が第2の送液制御部302の動作を試料分析に切り替える。試料分析時においては、第2の送液制御部302が供給期間記憶部309に記憶された供給期間TSを取得する(ステップS11)。第1の送液制御部301は、クロマトグラフ制御部19を通して第1のポンプ11をオンにする(ステップS12)。それにより、第1のポンプ11により移動相容器110から分析カラム16および合流部Aを通して蛍光検出器18に移動相が設定された流量で供給される。次に、試料導入制御部304は、クロマトグラフ制御部19を通して試料導入部13により導入ポート14に試料を導入させる(ステップS13)。第2の送液制御部302は、導入ポート14への試料の導入時点からの経過時間を計測する。
【0048】
クロマトグラム生成部303は、蛍光検出器18の出力信号に基づいてクロマトグラムの生成を開始する(ステップS14)。生成されたクロマトグラムは、表示部37に表示される。
【0049】
第2の送液制御部302は、供給期間TSの開始時点t1が到来したか否かを判定する(ステップS15)。供給期間TSの開始時点t1が到来していない場合には、第2の送液制御部302は、供給期間TSの開始時点t1が到来するまで待機する。供給期間TSの開始時点t1が到来した場合には、第2の送液制御部302は、クロマトグラフ制御部19を通して第2のポンプ12をオンにする(ステップS16)。それにより、第2のポンプ12により蛍光反応液容器120から合流部Aに蛍光反応液が設定された流量で供給される。
【0050】
蛍光反応液が合流部Aに供給された時点以後に、ステップS13で導入された試料が合流部Aに到着する。それにより、移動相、試料および蛍光反応液が合流部Aから反応コイル17を通して蛍光検出器18に供給される。このとき、試料中の特定の成分が蛍光反応液により蛍光性を有する誘導体に変化する。
【0051】
第2の送液制御部302は、供給期間TSの終了時点t2が到来したか否かを判定する(ステップS17)。供給期間TSの終了時点t2が到来していない場合には、第2の送液制御部302は、供給期間TSの終了時点t2が到来するまで待機する。供給期間TSの終了時点t2が到来した場合には、第2の送液制御部302は、クロマトグラフ制御部19を通して第2のポンプ12をオフにする(ステップS18)。それにより、第2のポンプ12による合流部Aへの蛍光反応液の供給が終了する。したがって、蛍光反応液は蛍光検出器18に供給されない。
【0052】
動作切替部305は、全ての試料の分析が終了したか否かを判定する(ステップS19)。全ての試料の分析が終了していない場合には、試料導入制御部304は、ステップS13に戻る。それにより、次の試料についてステップS13~S19が行われる。全ての試料の分析が終了した場合には、第1の送液制御部301は、クロマトグラフ制御部19を通して第2のポンプ12をオフにする(ステップS20)。
【0053】
図4の分析条件決定は、1つの試料の1回の分析ごとに行われてもよく、または1ロットまたは複数ロットの試料の複数回の分析ごとに行われてもよい。
【0054】
(5)実施の形態の効果
本実施の形態に係る液体クロマトグラフ分析システム100においては、分析条件決定時に決定された供給期間TSに蛍光反応液が合流部Aに供給される。供給期間TSは、試料が合流部Aに到着する時点から試料が合流部Aを通過する時点までの期間TSAを含む短い期間である。したがって、蛍光検出器18に蛍光反応液が供給される時間は、1回の分析の総時間に比べて短い。その結果、蛍光検出器18の光学部品の整備または交換の頻度を低減することが可能である。
【0055】
また、本実施の形態では、試料分析時には、分析条件決定時に決定された供給期間TSに基づいて第2のポンプ12による蛍光反応液の供給の開始および停止が制御される。この場合、決定された供給期間TSを任意の回数の分析で用いることができる。
【0056】
さらに、分析条件決定時に、図2の供給期間決定部310が用いられる場合には、蛍光反応液の供給期間が自動的に決定されるので、使用者の作業が軽減される。
【0057】
(6)他の実施の形態
上記実施の形態では、分析制御装置30が液体クロマトグラフ10内のクロマトグラフ制御部19とは別個に設けられているが、クロマトグラフ制御部19が分析制御装置30の一部または全ての機能を有していてもよい。
【0058】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、第1のポンプ11が第1の送液部の例であり、第2のポンプ12が第2の送液部の例であり、クロマトグラム生成部303が生成部の例であり、移動時間算出部307が時間算出部の例であり、供給期間算出部308が期間算出部の例である。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
図1
図2
図3
図4
図5