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特許7088440駆動装置及びその制御方法、並びにパラレルリンクロボット及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】駆動装置及びその制御方法、並びにパラレルリンクロボット及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/00 20060101AFI20220614BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G05D3/00 Q
B25J13/08 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022516459
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2021044324
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2021118751
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 諭
(72)【発明者】
【氏名】杉田 澄雄
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2001/63730(WO,A1)
【文献】特開2006-266999(JP,A)
【文献】特開2010-58171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 3/00
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、
を備える駆動装置であって、
前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、を有し、
前記補正部は、前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを有し、
前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定し、
前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求め、
前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する、
駆動装置。
【請求項2】
前記予測可能な誤差は、前記ボールねじのリード誤差と、前記パルスモータのコギングによる回転誤差との少なくとも一方を含む、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記位置センサは、リニアエンコーダである、
請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記パルスモータは、ステッピングモータである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置の制御方法であって、
前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、を有し、
前記補正部は、前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを有し、
前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定する工程と、
前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求める工程と、
前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する工程と、
を有する、駆動装置の制御方法。
【請求項6】
入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置を複数用いて構成され、ロボット先端軸の位置及び姿勢を変更するパラレルリンクロボットであって、
前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、それぞれを有し、
前記補正部は、対応する前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップをそれぞれ有しており、
前記補正部のそれぞれは、
前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定し、
前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求め、
前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する、
パラレルリンクロボット。
【請求項7】
複数の前記駆動装置は、
前記可動部の進退方向を互いに平行にして配置された第一駆動装置及び第二駆動装置と、
前記第一駆動装置と前記第二駆動装置の前記可動部とが互いに離れて接続され、当該可動部の進退によって傾動可能な第一接続部材と、
前記第一接続部材に設けられ、前記可動部の進退方向を互いに平行にして配置された第三駆動装置及び第四駆動装置と、
前記第三駆動装置と前記第四駆動装置の前記可動部とが互いに離れて接続され、当該可動部の進退によって傾動可能な第二接続部材と、
前記第二接続部材に設けられた第五駆動装置と、
を備え、
前記第一接続部材の傾動軸と、前記第二接続部材の傾動軸と、前記第五駆動装置の前記可動部の進退軸とが互いに直交している、
請求項6に記載のパラレルリンクロボット。
【請求項8】
前記ロボット先端軸にエンドエフェクタが設けられた、
請求項7に記載のパラレルリンクロボット。
【請求項9】
前記エンドエフェクタは、眼科手術用の処置具が装着される、
請求項8に記載のパラレルリンクロボット。
【請求項10】
入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置を複数用いて構成され、ロボット先端軸の位置及び姿勢を変更するパラレルリンクロボットの制御方法であって、
前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、それぞれを有し、
前記補正部は、対応する前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップをそれぞれ有しており、
前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定する工程と、
前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求める工程と、
前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する工程と、
を有する、パラレルリンクロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及びその制御方法、並びにパラレルリンクロボット及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パラレルリンクを使用したロボットは、一般的なシリアルリンクロボットに比べて位置決め精度、剛性等に優れるといった利点がある。しかし、ロボットを構成する各軸の位置決め誤差がロボットアームの先端位置の精度に大きな影響を及ぼすことになるため、このような位置決め誤差を低減する技術が検討されている。例えば、モータの回転を直線運動に変換するボールねじ装置を用いて可動部を移動させる際に、摩擦又はガタつき等により生じる可動部の位置決め誤差を補正する技術が知られている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-28782号公報
【文献】特開平11-10575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、工作機械の可動部が移動方向を反転させる際に生じる位置誤差を補正するものであるが、ボールねじが持つリード誤差、及びパルスモータ特有のコギングによる影響について何ら考慮されていない。仮に、このような誤差をフィードバック制御によって補正する場合、ゲインを大きくしなければならず、システムが不安定になるおそれがある。また、特許文献1の構成はパラレルリンク機構ではなく、サーボモータとロータリーエンコーダを使用した駆動機構が採用されている。サーボモータは静止時の安定性に乏しいため、可動部の正確な位置決めを維持することは難しい。また、ロータリーエンコーダに加えてリニアエンコーダが使用されることで、複雑なシステム構成となっている。特許文献2は、パラレルリンク機構の技術ではあるが、各リンクを単純にフィードバック制御しているに過ぎない。そのため、前述したリード誤差、コギングによる誤差による影響を受けて、エンドエフェクタの先端を精密に位置決めすることは難しい。
【0005】
また、近年、外科手術における医者や患者の負担軽減から手術用のロボットが開発されている。特に眼科手術では、網膜等に刺針することが行われ、針先のμmオーダーの正確な位置制御が要求される。上記のようなパラレルリンク機構を手術用のロボットに適用した場合には、各軸の高い絶対精度と安定性が求められることになる。
【0006】
そこで本発明は、構造を繁雑にすることなく、フィードバック制御の補正量を小さくしてエンドエフェクタの先端の位置を精密に且つ安定して制御できる駆動装置及びその制御方法、並びにパラレルリンクロボット及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置であって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、を有し、前記補正部は、前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを有し、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定し、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求め、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する、駆動装置。
【0008】
(2)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置の制御方法であって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、を有し、前記補正部は、前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを有し、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定する工程と、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求める工程と、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する工程と、を有する、駆動装置の制御方法。
【0009】
(3)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置を複数用いて構成され、ロボット先端軸の位置及び姿勢を変更するパラレルリンクロボットであって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、それぞれを有し、前記補正部は、対応する前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップをそれぞれ有しており、前記補正部のそれぞれは、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定し、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求め、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する、パラレルリンクロボット。
【0010】
(4)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置を複数用いて構成され、ロボット先端軸の位置及び姿勢を変更するパラレルリンクロボットの制御方法であって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、それぞれを有し、前記補正部は、対応する前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップをそれぞれ有しており、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定する工程と、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求める工程と、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する工程と、を有する、パラレルリンクロボットの制御方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構造を繁雑にすることなく、フィードバック制御の補正量を小さくしてエンドエフェクタの先端の位置を精密に且つ安定して制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、パラレルリンクロボットの正面斜視図である。
図2図2は、パラレルリンクロボットの背面斜視図である。
図3図3は、パラレルリンクロボットの上視図である。
図4図4は、パラレルリンクロボットの構成と動作を模式的に表した説明図である。
図5A図5Aは、第一リンク部13が駆動した場合における針25の移動の様子を示す図である。
図5B図5Bは、図5Aと反対方向に第一リンク部13が駆動した場合における針25の移動の様子を示す図である。
図6図6は、眼科手術時のエンドエフェクタの制御例を模式的に示す説明図である。
図7図7は、アクチュエータの誤差による影響を、第一リンク部を例に示す説明図である。
図8図8は、駆動装置の概略構成図である。
図9図9は、アクチュエータへ指示した指令位置と実際の移動位置との誤差を指令位置毎に示したグラフである。
図10図10は、第1の制御方法による処理内容を示す制御ブロック図である。
図11図11は、第2の制御方法による処理内容を示す制御ブロック図である。
図12図12は、第二統括変換部の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、可動部を進退移動させる複数の駆動装置を、眼科手術用のパラレルリンクロボットに適用した構成例を説明するが、駆動装置の適用例はこれに限らない。また、パラレルリンクロボットの用途もこれに限らない。
【0014】
<パラレルリンクロボットの構成>
図1は、パラレルリンクロボットの正面斜視図である。図2は、パラレルリンクロボットの背面斜視図である。図1に示すように、パラレルリンクロボット100は、第一駆動装置11Aと第二駆動装置11Bとを有する第一リンク部13と、第三駆動装置15Aと第四駆動装置15Bとを有する第二リンク部17と、第五駆動装置19と、第五駆動装置19に設けられた眼科手術用のエンドエフェクタ21と、統括制御部23と、を備える。エンドエフェクタ21は、先端に針(例えばカニューレなどの手術用器具)25が設けられて第五駆動装置19によって進退駆動される。
【0015】
図2に示すように、第一リンク部13の第一駆動装置11Aは、可動部となる支持プレート31Aを第二リンク部17に向けて進退移動させる。同様に、第二駆動装置11Bは、可動部となる支持プレート31Bを第二リンク部17に向けて進退駆動させる。支持プレート31A,31Bには、それぞれ支持部33A,33Bが固定されている。
【0016】
支持プレート31A,31Bに対向して第一接続部材35が配置されている。第一接続部材35の第一リンク部13側の面には、ブラケット37A,37Bが固定されている。ブラケット37Aは、支持プレート31Aの支持部33Aに回転自在に接続され、ブラケット37Bは、支持プレート31Bの支持部33Bに回転自在に接続されている。
【0017】
第一接続部材35の第一リンク部13側と反対側の面には、第二リンク部17の第三駆動装置15Aと第四駆動装置15Bとが固定される。図1に示すように、第二リンク部17の第三駆動装置15Aは、可動部となる支持プレート41Aを進退移動させる。同様に、第四駆動装置15Bは、可動部となる支持プレート41Bを進退駆動させる。支持プレート41A,41Bには、それぞれ支持部43A,43Bが固定されている。
【0018】
支持プレート41A,41Bに対向して第二接続部材45が配置されている。第二接続部材45は、横断面がL字形の部材であり、第二接続部材45の第二リンク部17側の面には、ブラケット47A,47Bが固定されている。ブラケット47Aは、支持プレート41Aの支持部43Aに回転自在に接続され、ブラケット47Bは、支持プレート41Bの支持部43Bに回転自在に接続されている。第二接続部材45は、断面L字形の一方の面には上記したブラケット47A,47Bが固定されており、他方の面には第五駆動装置19が固定される。
【0019】
図3は、パラレルリンクロボット100の上視図である。ここで、第一リンク部13の可動部の進退方向をX方向、第二リンク部17の可動部の進退方向をY方向とし、X方向とY方向とに垂直な方向をZ方向とする。ここでは、第一リンク部13の進退方向を水平方向とし、Z方向を鉛直方向として説明する。
【0020】
第一駆動装置11Aは、ロッド51を進退駆動するアクチュエータ53と、アクチュエータ53を一軸方向にスライド自在に支持するスライダ55とを備える。スライダ55の一部には、前述した支持プレート31Aが固定されている。図示はしないが、第二駆動装置11Bも同様の構成である。
【0021】
パラレルリンクロボット100は、第一駆動装置11A及び第二駆動装置11Bのアクチュエータ53を基準として動作される。つまり、第一駆動装置11Aにおいては、アクチュエータ53が不図示の固定部に固定され、スライダ55とロッド51とは、アクチュエータ53に対してX方向にスライドして、支持プレート31Aと共に可動部となる。図示はしないが第二駆動装置11Bについても同様である。また、第三駆動装置15A,第四駆動装置15Bについても、アクチュエータ53が第一接続部材35に固定されている他は、同様の構成である。
【0022】
図4は、パラレルリンクロボット100の構成と動作を模式的に表した説明図である。 第一駆動装置11AによるS1方向の駆動又は第二駆動装置11BによるS2方向の駆動によって、第一接続部材35は軸線L1を中心に傾動(矢印R1方向)される。また、第三駆動装置15AによるS3方向の駆動又は第四駆動装置15BによるS4方向の駆動によって、第二接続部材45は軸線L2を中心に傾動(矢印R2方向)される。これにより、第二接続部材45に第五駆動装置19を介して取り付けられたエンドエフェクタ21の先端の針25を、R1及びR2方向に移動できる。そして、第五駆動装置19のS5方向の駆動が組み合わされることにより、針25が3次元の任意方向に移動可能となる。
【0023】
つまり、このパラレルリンクロボット100によれば、第一駆動装置11Aと第二駆動装置11Bとの組、及び第三駆動装置15Aと第四駆動装置15Bとの組の駆動装置により、エンドエフェクタ21の先端の移動が可能となる。また、第五駆動装置19により、エンドエフェクタ21の先端の軸方向に沿った進退移動が可能となる。このように簡単な構成で安定したエンドエフェクタの制御が行える。また、各駆動装置の個別の動作により、精度の高い独立した位置制御ができ、エンドエフェクタ21の先端の微細なコントロールが可能となる。
【0024】
図5Aは、第一リンク部13が駆動した場合における針25の移動の様子を示す図である。図5Bは、図5Aと反対方向に第一リンク部13が駆動した場合における針25の移動の様子を示す図である。図5Aに示すように、第一リンク部13の第一駆動装置11Aを矢印X1方向に駆動すると第一接続部材35が傾動して、第一接続部材35に固定された第二リンク部17、第五駆動装置19及びエンドエフェクタ12が共に傾動する。また、図5Bに示すように、第一リンク部13の第二駆動装置11Bを矢印X2方向に駆動すると、第一接続部材35が図5Aに示す場合と逆向きに傾動して、第二リンク部17、第五駆動装置19及びエンドエフェクタ21が共に傾動する。
【0025】
このような動作により、例えば、針25の先端位置を中心にして鉛直方向からの角度θ1,θ2の揺動が行える。揺動中心は、第五駆動装置19の針25の繰り出しにより、適宜調整が可能である。
【0026】
本構成のパラレルリンクロボット100によれば、5から6自由度でμmオーダーの高い精度の動作が可能となる。このため、アクチュエータから遠隔の位置にある特定の点を中心として動作させる、いわゆるRCM(Remote Center of Motion)制御が必要となる眼科手術用のロボットへの適用が可能となる。
【0027】
<アクチュエータの駆動による位置誤差>
図6は、眼科手術時のエンドエフェクタの制御例を模式的に示す説明図である。例えば、眼球57の強膜59に孔を開けて針25を眼球内に挿入し、眼底57aの一部に処置を行う場合、眼球への侵入口61を回転中心として針25を制御する。このような場合、アクチュエータによる各軸の高い位置決め精度が必要となる。また、手術時のエンドエフェクタ21の姿勢維持は非常に重要で、各軸が位置を安定して保持する必要がある。
【0028】
図7は、アクチュエータの誤差による影響を、第一リンク部13を例に示す説明図である。第一駆動装置11Aと第二駆動装置11Bとの駆動動作によって、前述した第一接続部材35(図5参照)の傾動角度θ1,θ2が決定され、その傾動角度に応じて針25の位置と姿勢が決定される。ここで、第一駆動装置11Aのアクチュエータ53にΔL1の誤差が生じ、第二駆動装置11Bのアクチュエータ53にΔL2の誤差が生じた場合、誤差ΔL1,ΔL2の大きさが微少であっても、第一接続部材35の傾動角度が大きく変化する。この角度の変動によって位置Oでの誤差はΔL3となり、誤差はアクチュエータ53から離れた位置ほど拡大する。
【0029】
そこで、本構成のパラレルリンクロボット100では、第一リンク部13、第二リンク部17及び第五駆動装置19の各アクチュエータ53をそれぞれ独立に制御して、位置誤差の発生を防止している。
【0030】
<アクチュエータの制御>
次に、各アクチュエータ53の制御について説明する。上述した第一駆動装置11A、第二駆動装置11B、第三駆動装置15A,第四駆動装置15B、第五駆動装置19は同一の構成であり、以下の説明ではこれらを纏めて駆動装置10として説明する。
【0031】
図8は、駆動装置10の概略構成図である。駆動装置10は、入力された指令信号Sdを補正して補正信号Scを生成するコントローラ65と、補正信号Scに応じて可動部となるロッド51を進退駆動するアクチュエータ53と、可動部であるロッド51の現在位置を検出する位置センサ67と、を備える。ここでは、位置センサ67としてスケール67aと読取り部67bとを備えるリニアエンコーダを用いている。リニアエンコーダを用いることで、可動部の移動をその移動方向に沿って直接検出でき、高精度な検出が可能となる。コントローラ65と位置センサ67とは、アクチュエータ53の筐体53a内に配置さていてもよく、筐体53aの側に配置されていてもよい。
【0032】
アクチュエータ53は、ロッド51に接続されたナット69と、ナット69が螺合されるボールねじ軸71と、ボールねじ軸71を回転駆動するパルスモータ73と、を有する。図8においては、ボールねじ軸71が回転自在に支持され、ナット69が移動する構成であるが、ナットをパルスモータに回転可能に固定して、ボールねじ軸を移動させる構成としてもよい。その場合、アクチュエータをよりコンパクトにできる。
【0033】
パルスモータ73は、ステッピングモータであることが好ましい。ステッピングモータは、サーボモータと比較して静止時の安定性が高く、サーボモータの回転を検出するロータリーエンコーダを設けなくてよいので、構成を簡略化できる。また、ピエゾアクチュエータと比較して、医療機器に適した低電圧で駆動可能となる。さらに、シャフトモータと比較して、供給電源をOFFにした場合でもボールねじ軸71とナット69との摩擦力によって静止状態を維持でき、ロボットの姿勢を安定して保持できる。
【0034】
しかし、パルスモータ73にはコギングによる位置誤差が存在し、ボールねじ軸71とナット69とを有するボールねじ装置にはリード誤差が存在する。図9は、アクチュエータへ指示した指令位置と実際の移動位置との誤差を指令位置毎に示したグラフである。図9に示す指令位置と実際の移動位置のバラつきを表す誤差は、ボールねじ装置のリード誤差がモータ1回転毎に数μmmから十数μmで発生し、パルスモータ73のコギングによってモータ1回転毎に数十から数百回、数μmの振動が発生することに起因する。図9に示す場合には、誤差ΔSが約20μm生じている。
【0035】
上記のボールねじ装置のリード誤差とパルスモータのコギングとの誤差は、予め測定可能な誤差であり、制御に先立って、アクチュエータの駆動による可動部の移動位置に対する誤差を校正する位置補正量をマッピングした補正量マップを構築しておくことで、この誤差を補正できる。一方、ボールねじ装置の熱膨張、摩耗等に起因する誤差は、予め測定することはできない。
【0036】
<第1の制御方法>
本パラレルリンクロボット100の第1の制御方法では、アクチュエータへの指令を、予め測定可能な誤差と、予め測定できない誤差とに分けて補正する。即ち、指令信号で指示する目標位置の情報を、予め測定可能な誤差については、マッピングした補正量マップを参照して、位置センサ67から得られる位置情報に応じた位置補正値を求めてフィードフォワード制御により補正し、予め測定できない誤差については、フィードバック制御により補正する。
【0037】
図8に示すアクチュエータ53が備えるパルスモータ73は、駆動装置10に入力された指令信号Sdの速度設定値Vdesを所定の手順で補正した速度補正値Vcを含む補正信号Scによって駆動される。
【0038】
図10は、第1の制御方法による処理内容を示す制御ブロック図である。速度設定値Vdesは、詳細を後述する第一補正部81からの速度補正値VFFによるフィードフォワード制御と、詳細を後述する第二補正部83からの速度補正値VFBによるフィードバック制御と、により補正され、補正後の速度補正値Vcの信号がコントローラ65に入力される。
【0039】
コントローラ65は、入力された速度補正値Vcの信号に応じて図8に示すパルスモータ73を駆動する。これにより、ボールねじ軸71及びナット69を介して可動部であるロッド51が移動する。このロッド51の移動を位置センサ67により検出した可動部の現在位置Xencがコントローラ65から出力される。
【0040】
コントローラ65から出力された現在位置Xencは、マップ部85に入力される。マップ部85は、予め測定可能な誤差であるリード誤差及びコギングによる誤差が、可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを備えている。マップ部85は、補正量マップを参照して現在位置Xencに対応する位置補正量Xerrを出力する。
【0041】
位置補正量Xerrは第一補正部81に入力される。第一補正部81は、予め発生することが分かっている誤差量である位置補正量Xerr分の補正処理を、速度設定値Vdesに対して実施する。つまり、第一補正部81は、位置補正量Xerrで表される誤差を0にするように速度設定値Vdesを調整するための速度補正値VFFを算出する。換言すると、第一補正部81は、フィードフォワード制御によって位置補正量Xerrに応じて速度設定値Vdesの値を調整する。
【0042】
また、コントローラ65に入力される速度設定値Vdesは、変換部87にも入力される。変換部87は、入力された速度設定値Vdesに基づいてアクチュエータが駆動された場合の可動部の理想移動位置Xdesを推定する。
【0043】
そして、コントローラ65から出力された可動部の現在位置Xencを、この現在位置Xencに対応する位置補正量Xerrで補正した補正現在位置Xrealを求める。第二補正部83は、求めた補正現在位置Xrealが理想移動位置Xdesに近づくように速度設定値Vdesの値を調整する。つまり、第二補正部83は、補正現在位置Xrealと理想移動位置Xdesとの差が小さくなるように、速度設定値Vdesを補正する速度補正値VFBを出力し、速度設定値Vdesの値を調整する。
【0044】
つまり、第二補正部83では、ボールねじ装置の熱膨張、摩耗等の予め測定できない誤差に対応する補正が実施される。この補正は、補正現在位置Xrealと理想移動位置Xdesとの差が生じないように、速度設定値Vdesをフィードバック制御により調整する。
【0045】
上記した第二補正部83での補正処理は、第一補正部81によって、予め測定できる誤差分を補正した後の補正現在位置Xrealを補正対象とするため、第二補正部83での補正量が小さくなる。その結果、小さいゲインで補正処理が行え、オーバーシュートやハンチング等の過剰な調整が生じにくくなり、高い精度で速度設定値Vdesの調整が可能となる。
【0046】
なお、上記した第一補正部81による速度補正値VFFと、第二補正部83による速度補正値VFBとによる速度設定値Vdesの補正順序は、どちらが先であってもよい。
【0047】
<第2の制御方法>
次に、第2の制御方法について説明する。前述した第1の制御方法では、各軸の軸方向の精度は担保されるが、アクチュエータは軸方向だけでなくピッチング、ヨーイング運動しながら前後する(上下左右に揺れながら前後する)ため、その補正は単軸で行う第1の制御方法では行えない。また、軸方向の誤差ではないため、位置センサ67により検出できない誤差となる。そのため、ピッチング、ヨーイング運動により生じる誤差は、他の軸により補正させる必要がある。
【0048】
そこで、第2の制御方法では、5軸の位置情報を統合して制御する。ここでは、複数の駆動装置10が組み合わされた多軸のパラレルリンクロボットにおいて、エンドエフェクタを所望の目標位置及び姿勢に移動させるために、各駆動装置10に指示する指令信号を決定する手順を説明する。
【0049】
図11は、第2の制御方法による処理内容を示す制御ブロック図である。ここでは、指令信号Sdとして、図1に示すエンドエフェクタ21における針25の先端位置Xtipと針先速度Vtipが指示される。第一統括変換部89は、先端位置Xtipと針先速度Vtipの信号が入力されると、これら信号に応じて各駆動装置10の可動部の速度設定値Vactを求める。速度設定値Vactは、ここでは5軸のパラレルリンクロボット100の制御であるため、5次元マトリクスとして表される。
【0050】
速度設定値Vactは、後述する第一統括補正部91からの速度補正値VTF及び第二統括補正部93からの速度補正値VTBによって、5次元マトリクスの補正速度設定値VTcに補正されて、パラレルリンクロボット100の各駆動装置10に入力される。
【0051】
そして、パラレルリンクロボット100の各駆動装置10は、入力された補正速度設定値VTcから、対応する速度設定値に応じてアクチュエータを駆動し、位置センサ67(図8)により検出した可動部の現在位置を出力する。パラレルリンクロボット100は、各駆動装置10の可動部の現在位置XTaを纏め、5次元マトリクスにして出力する。
【0052】
この現在位置XTaの情報は、第二統括変換部95に入力される。図12は、第二統括変換部95の制御ブロック図である。各駆動装置10の現在位置XTaの信号が統括マップ部96に入力される。統括マップ部96は、前述した予め測定可能な誤差である、各駆動装置10におけるヨーイング方向の誤差Yerrと、ピッチング方向の誤差Perrと、軸方向の誤差Aerrとが位置毎にマッピングされた補正量マップを備える。
【0053】
統括マップ部96は、補正量マップを参照して、入力された各駆動装置10の可動部の現在位置XTaに応じて、対応する各駆動装置10におけるヨーイング方向の誤差Yerrと、ピッチング方向の誤差Perrと、軸方向の誤差Aerrとを第一補助変換部97に出力する。
【0054】
第一補助変換部97には、誤差Yerr、Perr、Aerrと、第一統括変換部89(図11)から出力される目標位置Xactの情報が入力される。第二補助変換部98は、これら入力された情報からエンドエフェクタ21における針25の先端位置の誤差を予測して、その誤差量XTipを第二補助変換部98に出力する。
【0055】
第二補助変換部98には、誤差量XTipと、第一統括変換部89から出力された目標位置Xactと、統括マップ部96から出力された軸方向の誤差Aerrが入力される。第二補助変換部98は、これら入力された情報から各駆動装置10のフィードフォワード制御量XTFを出力する。
【0056】
このフィードフォワード制御量XTFは、図11に示す第一統括補正部91に入力される。第一統括補正部91は、入力されたフィードフォワード制御量XTFに応じた速度補正値VTFを求め、第一統括変換部89から出力される速度設定値Vactを補正する。
【0057】
また、パラレルリンクロボット100から出力された可動部の現在位置XTaを、この現在位置XTaに対応する軸方向の誤差Aerrで補正した補正現在位置XTrealを求める。第二統括補正部93は、補正現在位置XTrealが、目標とする目標位置Xactに近づくように速度設定値Vactの値を調整する。つまり、第二統括補正部93は、現在位置XTaを軸方向の誤差Aerrで補正した補正現在位置XTrealと、目標位置Xactとの差XTcが小さくなるように、速度設定値Vactを補正する速度補正値VTBを出力し、速度設定値Vactを調整する。
【0058】
本構成によれば、アクチュエータがピッチング、ヨーイング運動しながら前後する場合であっても、その影響を他の軸で補正することができ、高精度な制御が可能となる。
【0059】
以上説明したように、本構成のパラレルリンクロボット100は、各駆動装置10による可動部の先端位置の把握により、エンドエフェクタ21の先端(針先)の位置を正確に把握できる。これにより、例えば、個々の駆動装置10の独立した制御により、エンドエフェクタ21の軸線上の任意の点を回転中心として、エンドエフェクタの姿勢を制御できる。つまり、駆動装置10から遠隔した位置にある点を中心として動作させるRCM(Remote Center of Motion)制御を高精度で安定して実現できる。
【0060】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0061】
上記の説明では、本発明を、複数の駆動装置を用いた眼科手術用ロボットに適用した一例を示したが、適用例はこれに限らない。例えば、エンドエフェクタの先端位置の高い精度が要求される、医療、薬品開発用ロボット、加工用ロボット等の種々のロボットにも好適に適用できる。
【0062】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
【0063】
(1)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置であって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、を有し、前記補正部は、前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを有し、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定し、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求め、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する、駆動装置。この駆動装置によれば、入力された指令信号を、アクチュエータの構造に起因する予測可能な誤差について補正量マップを用いて補正し、その後、理想移動位置との差が小さくなるように補正するため、後者の補正処理における補正量を小さくできる。よって、小さいゲインで補正処理を行え、安定して高い位置精度が得られる。
【0064】
(2)前記予測可能な誤差は、前記ボールねじのリード誤差と、前記パルスモータのコギングによる回転誤差との少なくとも一方を含む、(1)に記載の駆動装置。この駆動装置によれば、リード誤差と、コギングによる回転誤差を補正できる。
【0065】
(3)前記位置センサは、リニアエンコーダである、(1)又は(2)に記載の駆動装置。この駆動装置によれば、可動部の移動をその移動方向に沿って直接検出でき、高精度な検出が可能となる。
【0066】
(4)前記パルスモータは、ステッピングモータである、(1)から(3)のいずれか1つに記載の駆動装置。この駆動装置によれば、静止時の安定性を高め、回転を検出するロータリーエンコーダが不要となるため構成を簡略化できる。また、定電圧で駆動可能であり、且つ供給電源をOFFにした場合でも静止状態を維持でき、ロボットの姿勢を安定して保持できる。
【0067】
(5)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置の制御方法であって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、を有し、前記補正部は、前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを有し、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定する工程と、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求める工程と、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する工程と、を有する、駆動装置の制御方法。この駆動装置の制御方法によれば、入力された指令信号を、アクチュエータの構造に起因する予測可能な誤差について補正量マップを用いて補正し、その後、理想移動位置との差が小さくなるように補正するため、後者の補正処理における補正量を小さくできる。よって、小さいゲインで補正処理を行え、安定して高い位置精度が得られる。
【0068】
(6)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置を複数用いて構成され、ロボット先端軸の位置及び姿勢を変更するパラレルリンクロボットであって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、それぞれを有し、前記補正部は、対応する前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップをそれぞれ有しており、前記補正部のそれぞれは、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定し、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求め、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する、パラレルリンクロボット。このパラレルリンクロボットによれば、各リンク部の独立した制御装置により可動部の先端の速度及び位置を精度よく制御できることで、先端軸の速度及び位置が確実に定まる。また、パルスモータの補正信号による駆動によってロボット先端軸の微細な速度及び位置調整が可能となり、安定した静止及び駆動が実現できる。
【0069】
(7)複数の前記駆動装置は、前記可動部の進退方向を互いに平行にして配置された第一駆動装置及び第二駆動装置と、前記第一駆動装置と前記第二駆動装置の前記可動部とが互いに離れて接続され、当該可動部の進退によって傾動可能な第一接続部材と、前記第一接続部材に設けられ、前記可動部の進退方向を互いに平行にして配置された第三駆動装置及び第四駆動装置と、前記第三駆動装置と前記第四駆動装置の前記可動部とが互いに離れて接続され、当該可動部の進退によって傾動可能な第二接続部材と、前記第二接続部材に設けられた第五駆動装置と、を備え、前記第一接続部材の傾動軸と、前記第二接続部材の傾動軸と、前記第五駆動装置の前記可動部の進退軸とが互いに直交している、(6)に記載のパラレルリンクロボット。このパラレルリンクロボットによれば、直交5軸の駆動制御が高い位置精度で且つ高い安定性で行える。
【0070】
(8)前記ロボット先端軸にエンドエフェクタが設けられた、(7)に記載のパラレルリンクロボット。このパラレルリンクロボットによれば、エンドエフェクタを高精度に位置決めできる。
【0071】
(9)前記エンドエフェクタは、眼科手術用の処置具が装着される、(8)に記載のパラレルリンクロボット。このパラレルリンクロボットによれば、高い精度で高い安定性が得られる駆動が可能となる。
【0072】
(10)入力された指令信号を補正して補正信号を生成する補正部と、前記補正信号に応じて可動部を進退駆動するアクチュエータと、前記可動部の現在位置を検出する位置センサと、を備える駆動装置を複数用いて構成され、ロボット先端軸の位置及び姿勢を変更するパラレルリンクロボットの制御方法であって、前記アクチュエータは、前記可動部に接続されたナットと、前記ナットが螺合されるボールねじ軸と、前記ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータと、それぞれを有し、前記補正部は、対応する前記アクチュエータの構造に起因した予測可能な誤差を校正する位置補正量が前記可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップをそれぞれ有しており、前記指令信号により前記可動部が移動する理想移動位置を推定する工程と、前記補正量マップを参照して前記位置センサが検出した前記現在位置に対応する前記位置補正量を求める工程と、前記現在位置を前記位置補正量で補正した補正現在位置と、前記理想移動位置との差が小さくなるように前記指令信号を補正した前記補正信号を生成する工程と、を有する、パラレルリンクロボットの制御方法。このパラレルリンクロボットの制御方法によれば、各リンク部の独立した制御装置により可動部の先端の速度及び位置を精度よく制御できることで、先端軸の速度及び位置が確実に定まる。また、パルスモータの補正信号による駆動によってロボット先端軸の微細な速度及び位置調整が可能となり、安定した静止及び駆動が実現できる。
【符号の説明】
【0073】
10 駆動装置
11A 第一駆動装置
11B 第二駆動装置
13 第一リンク部
15A 第三駆動装置
15B 第四駆動装置
17 第二リンク部
19 第五駆動装置
21 エンドエフェクタ
23 統括制御部
25 針
31A,31B 支持プレート
33A,33B 支持部
35 第一接続部材
37A,37B ブラケット
41A,41B 支持プレート
43A,43B 支持部
45 第二接続部材
47A,47B ブラケット
51 ロッド
53 アクチュエータ
53a 筐体
55 スライダ
57 眼球
57a 眼底
59 強膜
61 侵入口
65 コントローラ
67 位置センサ
67a スケール
67b 読取り部
69 ナット
71 ボールねじ軸
73 パルスモータ
81 第一補正部
83 第二補正部
85 マップ部
87 変換部
89 第一統括変換部
91 第一統括補正部
93 第二統括補正部
95 第二統括変換部
96 統括マップ部
97 第一補助変換部
98 第二補助変換部
100 パラレルリンクロボット
【要約】
駆動装置は、補正部とアクチュエータと位置センサとを備え、アクチュエータは、可動部に接続されたナットと、ナットが螺合されるボールねじ軸と、ボールねじ軸を回転駆動するパルスモータとを有する。補正部は、予測可能な誤差を校正する位置補正量が可動部の位置毎にマッピングされた補正量マップを有する。指令信号により可動部が移動する理想移動位置を推定し、補正量マップを参照して位置センサが検出した現在位置に対応する位置補正量を求める。そして、現在位置を位置補正量で補正した補正現在位置と、理想移動位置との差が小さくなるように指令信号を補正した補正信号を生成する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12