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特許7088486ドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法
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  • 特許-ドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 47/08 20060101AFI20220614BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220614BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220614BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20220614BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220614BHJP
【FI】
B64D47/08
B64C27/08
B64C39/02
G03B17/56 A
G03B15/00 P
G03B15/00 U
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018012100
(22)【出願日】2018-01-27
(65)【公開番号】P2019127245
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】518032292
【氏名又は名称】テクノス三原株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515100042
【氏名又は名称】株式会社ACSL
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】向田 尊俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔介
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-177978(JP,A)
【文献】国際公開第2017/184327(WO,A1)
【文献】特開2017-059955(JP,A)
【文献】特開2019-082379(JP,A)
【文献】特開2019-084868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 47/08
B64C 27/08
B64C 39/02
G03B 17/56
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラを備えた飛行体本体と、前記飛行体本体から前記プロペラよりも外側に突出するカメラ用アームと、前記カメラ用アームの先端に設けられたカメラとを有するドローン飛行体を用いた撮影方法であって、
撮影対象物は、船倉内の壁面から前方に突出するように配置された断面略T字状の骨部材であり、
前記ドローン飛行体を前記壁面に近づけて飛行させながら、前記カメラ用アームの先端が前記骨部材の表側よりも前記壁面側に位置するようにし、前記カメラの撮影方向を斜め後ろ側として、前記骨部材を裏面から撮影することを特徴とするドローン飛行体を用いた撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁等の構造物、工場等の梁やスレート等について、腐食、ひび割れ、塗装剥離等の劣化状態を点検するために、撮影装置を搭載したドローン飛行体が使用されている。
【0003】
こうした撮影装置を搭載したドローン飛行体として、例えば特許文献1には、飛行中に受ける突風、気流の乱れ、飛翔浮揚気流の乱れ、あるいは構造物に接近した際の吹き返しなどの外乱によってドローン飛行体が揺れたり、移動したりしても、微細な傷などの拡大撮影や精緻な点検作業などを行うことが可能なドローン飛行体に関する発明が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、無人飛行機の飛行制御と雲台カメラの駆動制御とを一律のUIで表現し、所望の撮影アングルの指示に応じてそれぞれの制御方法を変更することで、撮影アングルの調整を容易にした方向制御方法に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-193331号公報
【文献】特開2017-62529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、橋梁等の構造物、工場等の梁やスレート等の検査対象物には、H形鋼やI形鋼の内側のように、正面からの撮影だけでは検査できない部分が存在する場合がある。このような場合には、ドローン飛行体に搭載した撮影装置では対応できず、作業者が目視で検査する必要があり、安全性や効率性に問題があった。
【0007】
これに対して、特許文献1及び特許文献2に記載された発明よれば、ドローン飛行体の揺れや移動に対応したり、撮影アングルの調整を容易にしたりすることはできるが、正面からの撮影だけでは検査できない部分に対応することはできない。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、正面からの撮影だけでは検査できない部分にも対応することの可能なドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のドローン飛行体は、プロペラを備えた飛行体本体と、前記飛行体本体から前記プロペラよりも外側に突出するカメラ用アームと、前記カメラ用アームの先端に設けられたカメラとを有することを特徴とする。
【0010】
また好ましくは、前記飛行体本体から前記カメラ用アームとは反対方向に延びるカウンターウェイト用アームと、前記カウンターウェイト用アームの先端に設けられたカウンターウェイトとを有することを特徴とする。
【0011】
また好ましくは、前記カメラの撮影方向を飛行中に調整可能としたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のドローン飛行体を用いた撮影方法は、プロペラを備えた飛行体本体と、前記飛行体本体から前記プロペラよりも外側に突出するカメラ用アームと、前記アームの先端に設けられたカメラとを有するドローン飛行体を用いた撮影方法であって、前記カメラにより撮影対象物を正面以外から撮影することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のドローン飛行体は、プロペラを備えた飛行体本体と、飛行体本体からプロペラよりも外側に突出するカメラ用アームと、カメラ用アームの先端に設けられたカメラとを有しているので、カメラの位置をプロペラの位置よりも外側にすることができる。これにより、撮影対象物にプロペラを接触させることなく、プロペラよりもカメラを撮影対象物に近づけつつ、カメラの撮影方向を正面ではなく内側や上下左右として、撮影対象物を正面以外から撮影することができる。従って、正面からの撮影だけでは検査できない部分にも対応することができる。
【0014】
また、飛行体本体からカメラ用アームとは反対方向に延びるカウンターウェイト用アームと、カウンターウェイト用アームの先端に設けられたカウンターウェイトとを有する場合には、カウンターウェイトによりカメラ用アーム及びカメラとのつり合いを取って、ドローン飛行体を安定して飛行させることができる。
【0015】
また、カメラの撮影方向を飛行中に調整可能とした場合には、ドローン飛行体を移動せずに撮影対象物の別の部位を撮影することができる。
【0016】
また、本発明のドローン飛行体を用いた撮影方法は、プロペラを備えた飛行体本体と、飛行体本体からプロペラよりも外側に突出するカメラ用アームと、アームの先端に設けられたカメラとを有するドローン飛行体を用いた撮影方法であるので、カメラの位置をプロペラの位置よりも外側にすることができる。これにより、撮影対象物にプロペラを接触させることなく、プロペラよりもカメラを撮影対象物に近づけつつ、カメラの撮影方向を正面ではなく内側や上下左右として、撮影対象物を正面以外から撮影することができる。従って、正面からの撮影だけでは検査できない部分にも対応することができる。
【0017】
このように、本発明によれば、正面からの撮影だけでは検査できない部分にも対応することの可能なドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るドローン飛行体を示す正面図である。
図2】ドローン飛行体を示す平面図である。
図3】カメラ用アーム及びカメラを示す(A)拡大正面図、(B)拡大平面図である。
図4】撮影対象物を示す正面図である。
図5】本発明の実施形態に係るドローン飛行体を用いた撮影方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態に係るドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法について説明する。図1は、本実施形態に係るドローン飛行体10を示す正面図であり、図2は、ドローン飛行体10を示す平面図である。
【0020】
ドローン飛行体10は、制御ユニットやバッテリー等を搭載した飛行体本体1と、飛行体本体1の下部に取り付けられた脚部2を有している。また、飛行体本体1の側面から外周方向に延びる6本のプロペラ用アーム3が設けられており、各プロペラ用アーム3の先端にプロペラ4が回転可能に取り付けられている。そして、ドローン飛行体10は、遠隔制御又は自律制御により飛行するようになっている。なお、プロペラの数やプロペラ用アームの形状等、飛行体本体1の構成は、特に限定されない。
【0021】
飛行体本体1のプロペラ用アーム3のうちアーム3aの先端には、カメラ用アーム5が接続されている。その結果、カメラ用アーム5が、飛行体本体1からプロペラ4よりも外側に突出した状態になっている。そして、カメラ用アーム5の先端にカメラ6が設けられている。カメラ用アーム5の突出長さは、少なくともプロペラ用アーム3aに取り付けられたプロペラ4の回転範囲を超えるようになっており、これによりカメラ6の位置はプロペラ4の位置(回転範囲を含む)よりも外側となっている。
【0022】
飛行体本体1のプロペラ用アーム3のうちアーム3bの先端には、カウンターウェイト用アーム7が接続されている。その結果、カウンターウェイト用アーム7が、飛行体本体1からプロペラ4よりも外側に突出した状態になっている。そして、カウンターウェイト用アーム7の先端にカウンターウェイト8が設けられている。カウンターウェイト用アーム7の突出長さは、少なくともプロペラ用アーム3bに取り付けられたプロペラ4の回転範囲を超えるようになっており、これによりカウンターウェイト8の位置はプロペラ4の位置(回転範囲を含む)よりも外側となっている。また、カウンターウェイト用アーム7は、カメラ用アーム5とは反対方向に延びている。
【0023】
図3は、カメラ用アーム5及びカメラ6を示す(A)拡大正面図、(B)拡大平面図である。カメラ6は、カメラ用アーム5の先端に固定部材9を介して撮影方向を調整できるように回転可能に取り付けられている。本実施形態では水平方向に回転可能としているが、上下左右を含めて回転可能としてもよい。
【0024】
また、カメラ6の撮影方向は、飛行前に調整することもできるが、飛行中に操作者が遠隔操作することにより調整できるような、公知の制御機構を設けることもできる。
【0025】
次に、本実施形態に係るドローン飛行体10を用いた撮影方法について説明する。図4は、撮影対象物を示す正面図であり、図5は、ドローン飛行体10を用いた撮影方法を示す平面図である。
【0026】
撮影対象物20は、大型船舶の船倉内であり、壁面21に補強のための骨部材22が間隔を空けて配置されているものである。骨部材22は、壁面21から前方に突出するように配置された断面略T字状部材である。そのため、骨部材22の裏面は正面から見えず、正面からの撮影だけでは検査することができない。
【0027】
これに対して、本実施形態に係るドローン飛行体10を用いた撮影方法では、図5に示すように、ドローン飛行体10を壁面21に近づけて飛行させながら、カメラ用アーム5の先端が骨部材22の表側よりも壁面21側に位置するようにする。そして、カメラ6の撮影方向を斜め後ろ側として、骨部材22を裏面から撮影する。さらに、ドローン飛行体10の飛行位置を変更するか、カメラ6の撮影角度を飛行中に調整することにより、正面からは撮影できない様々な部位の撮影が可能である。
【0028】
本実施形態に係るドローン飛行体10は、プロペラ4を備えた飛行体本体1と、飛行体本体1からプロペラ4よりも外側に突出するカメラ用アーム5と、カメラ用アーム5の先端に設けられたカメラ6とを有しているので、カメラ6の位置をプロペラ4の位置よりも外側にすることができる。これにより、撮影対象物20にプロペラ4を接触させることなく、プロペラ4よりもカメラ6を撮影対象物に近づけつつ、カメラ6の撮影方向を正面ではなく内側や上下左右として、撮影対象物20を正面以外から撮影することができる。従って、正面からの撮影だけでは検査できない部分にも対応することができる。
【0029】
また、飛行体本体1からカメラ用アーム5とは反対方向に延びるカウンターウェイト用アーム7と、カウンターウェイト用アーム7の先端に設けられたカウンターウェイト8とを有しているので、カウンターウェイト8によりカメラ用アーム5及びカメラ6とのつり合いを取って、ドローン飛行体10を安定して飛行させることができる。
【0030】
また、カメラ6の撮影方向を飛行中に調整可能とした場合には、ドローン飛行体10を移動せずに撮影対象物20の別の部位を撮影することができる。
【0031】
このように、本実施形態に係るドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法によれば、正面からの撮影だけでは検査できない部分にも対応することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態に係るドローン飛行体及びドローン飛行体を用いた撮影方法について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0033】
例えば、カメラ用アームやカウンターウェイト用アームは、伸縮可能としてもよい。また、カウンターウェイト用アームは、プロペラよりも内側に配置するようにしてもよい。また、カウンターウェイトはアームに取り付けずに、飛行体本体に直接取り付けてバランスをとるようにしてもよい。
【0034】
また、カメラ用アームやカウンターウェイト用アームは、プロペラ用アームの先端に接続せずに、プロペラ用アームとは別に飛行体本体に直接取り付けてもよい。
【0035】
また、カメラは静止画撮影、動画撮影のいずれでもよい。
【0036】
また、撮影対象物は、大型船舶の船倉内に限定されるものではなく、橋梁等の構造物、工場等の梁やスレート等、屋外屋内を問わず適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 飛行体本体
2 脚部
3 プロペラ用アーム
4 プロペラ
5 カメラ用アーム
6 カメラ
7 カウンターウェイト用アーム
8 カウンターウェイト
9 固定部材
10 ドローン飛行体
20 撮影対象物
21 壁面
22 骨部材
図1
図2
図3
図4
図5