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特許7088495セルモジュール均等化およびプレチャージ装置、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】セルモジュール均等化およびプレチャージ装置、および方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220614BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220614BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220614BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 302A
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019561907
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 KR2018012106
(87)【国際公開番号】W WO2019088500
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0146828
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スン、チャン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヤン シク
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-054635(JP,A)
【文献】特表2006-507790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0293129(US,A1)
【文献】中国実用新案第202435082(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のセルモジュールを含むバッテリーと負荷との間に位置し、プレチャージ動作または均等化動作を行うコンバータ部と、
前記一つ以上のセルモジュールと前記コンバータ部を各々連結するスイッチング部と、
前記コンバータ部の動作に基づいて、前記プレチャージ動作を実行するプレチャージ回路または前記均等化動作を実行する均等化回路を選択的に形成する制御部と、
を備え、
前記コンバータ部は、
前記バッテリーと連結される入力端子と、
前記負荷と連結される第1出力端子と、
前記スイッチング部と連結される第2出力端子と、
を有する、多重出力絶縁型の両方向コンバータであり、
前記制御部は、
前記コンバータ部が前記均等化動作を実行する場合、前記スイッチング部を制御して、不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールの正極端子および負極端子を前記第2出力端子に連結することによって、不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュール、前記入力端子および前記第2出力端子を含む前記均等化回路を形成し、
前記コンバータ部が前記プレチャージ動作を実行する場合、前記スイッチング部を制御して前記第2出力端子と前記スイッチング部との間の連結を切断することによって、前記バッテリー、前記入力端子および前記第1出力端子を含む前記プレチャージ回路を形成する、
セルモジュール均等化およびプレチャージ装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記一つ以上のセルモジュールからセルモジュール情報を取得し、前記セルモジュール情報に基づいて前記一つ以上のセルモジュールの不均衡異常を診断する、請求項1に記載のセルモジュール均等化およびプレチャージ装置。
【請求項3】
前記制御部は、
不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールからエネルギーの回収が必要な場合、不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールのエネルギーが前記第2出力端子から前記入力端子に伝達されるように前記コンバータ部の動作を制御する、請求項1または2に記載のセルモジュール均等化およびプレチャージ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールにエネルギーの伝達が必要な場合、前記バッテリーから出力されるエネルギーが前記入力端子から前記第2出力端子に伝達されるように前記コンバータ部の動作を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載のセルモジュール均等化およびプレチャージ装置。
【請求項5】
一つ以上のセルモジュールを含むバッテリーと負荷との間に位置するコンバータ部がプレチャージ動作または均等化動作を行うステップと、
スイッチング部が前記一つ以上のセルモジュールと前記コンバータ部を各々連結するステップと、
前記コンバータ部が実行の動作に基づいて前記プレチャージ動作を実行するプレチャージ回路または前記均等化動作を実行する均等化回路を選択的に形成するために前記スイッチング部の導通状態を制御するステップと、
を備え、
前記コンバータ部は、
前記バッテリーと連結される入力端子と、
前記負荷と連結される第1出力端子と、
前記スイッチング部と連結される第2出力端子と、を有する、多重出力絶縁型の両方向コンバータであり、
前記制御するステップは、
前記コンバータ部が前記均等化動作を実行する場合、前記スイッチング部を制御して、不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールの正極端子および負極端子を前記第2出力端子に連結することによって、不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュール、前記入力端子および前記第2出力端子を含む前記均等化回路を形成するステップを含み、
前記コンバータ部が前記プレチャージ動作を実行する場合、前記スイッチング部を制御して前記第2出力端子と前記スイッチング部との間の連結を切断することによって、前記バッテリー、前記入力端子および前記第1出力端子を含む前記プレチャージ回路を形成するステップを含む、
セルモジュール均等化およびプレチャージ方法。
【請求項6】
前記制御するステップは、
前記一つ以上のセルモジュールからセルモジュール情報を取得し、前記セルモジュール情報に基づいて前記一つ以上のセルモジュールの不均衡異常を診断するステップを含む、請求項に記載のセルモジュール均等化およびプレチャージ方法。
【請求項7】
前記制御するステップは、
不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールからエネルギーの回収が必要な場合、不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールのエネルギーが前記第2出力端子から前記入力端子に伝達されるように前記コンバータ部の動作を制御するステップを含む、請求項5または6に記載のセルモジュール均等化およびプレチャージ方法。
【請求項8】
前記制御するステップは、
不均衡異常が診断された前記一つ以上のセルモジュールにエネルギーの伝達が必要な場合、前記バッテリーから出力されるエネルギーが前記入力端子から前記第2出力端子に伝達されるように前記コンバータ部の動作を制御するステップを含む、請求項5から7のいずれか一項に記載のセルモジュール均等化およびプレチャージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年11月06日付の韓国特許出願第10-2017-0146828号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、セルモジュール均等化およびプレチャージ装置、および方法に関し、より具体的には、コンバータ部が実行しようとする動作に基づいてスイッチング部の導通状態を制御してコンバータ部と一つ以上のセルモジュール(Cell Module)を選択的に連結することによって、コンバータ部が該動作を実行するための回路を形成することができる、セルモジュール均等化およびプレチャージ装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、2次電池は、電気自動車、エネルギー貯蔵システムおよび無停電電源供給装置のような高容量を必要とする環境では、単位2次電池セル(Cell)を複数接合することによって一つのバッテリーモジュールとして用いることができ、場合によってはバッテリーモジュールを複数接合して用いることができる。
【0004】
複数のバッテリーモジュールを共に用いる場合、バッテリーモジュールを生産するにつれて発生する生産偏差、バッテリーモジュールの温度偏差などの様々な要因により、複数のバッテリーモジュールの電圧が不均衡になりうる。
【0005】
一方、電圧が不均衡なバッテリーモジュールを接合して用いる場合、複数のバッテリーモジュールのキャパシティ(Capacity)および電力(Power)が減少し、バッテリーモジュールの老化を加速化して寿命を短縮させるという問題点がある。このような問題点を補完するために、複数接合して用いる場合、常に各個別モジュールの電圧、電流および温度などの種々の状態情報に基づいてモジュール間の不均衡を診断してバランシング動作を通じてバッテリーモジュール間の偏差を除去する必要性がある。
【0006】
また、従来のバッテリー管理システムの場合、バッテリーバランシングだけでなく、バッテリーの状態を測定、モニターおよび診断するシステムのように様々なシステムが複合的に構成されるため、システムを構成する費用やシステムの体積が増加するという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明者は、従来のバッテリー管理システムが有する問題点を解決するために、コンバータ部が実行しようとする動作に基づいてスイッチング部の導通状態を制御してコンバータ部と一つ以上のセルモジュール(Cell Module)を選択的に連結することによって、一つのスイッチング部を制御してコンバータ部が様々な機能を実行するようにすることができる、セルモジュール均等化およびプレチャージ装置、および方法を開発するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、コンバータ部が実行しようとする動作に基づいてスイッチング部の導通状態を制御してコンバータ部と一つ以上のセルモジュール(Cell Module)を選択的に連結することによって、コンバータ部が該動作を実行するための回路を形成することができる、セルモジュール均等化およびプレチャージ装置、および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置は、一つ以上のセルモジュールを含むバッテリーと負荷との間に位置し、プレチャージ動作または均等化動作を行うコンバータ部、上記一つ以上のセルモジュールと上記コンバータ部を各々連結するスイッチング部、および上記コンバータ部が実行しようとする動作に基づいて上記スイッチング部の導通状態を制御することによって、上記プレチャージ動作を実行するためのプレチャージ回路または上記均等化動作を実行するための均等化回路を選択的に形成する制御部を含む。
【0010】
一つの実施形態において、上記コンバータ部は、上記バッテリーと連結される入力端子、上記負荷と連結される第1出力端子、および上記スイッチング部と連結される第2出力端子を含んでもよい。
【0011】
一つの実施形態において、上記制御部は、上記コンバータ部が上記プレチャージ動作を実行しようとする場合、上記スイッチング部を制御して上記第2出力端子と上記スイッチング部との間の連結を短絡させることによって、上記バッテリー、上記入力端子および上記第1出力端子を含む上記プレチャージ回路を形成してもよい。
【0012】
一つの実施形態において、上記制御部は、上記一つ以上のセルモジュールからセルモジュール情報を取得し、上記セルモジュール情報に基づいて上記一つ以上のセルモジュールの不均衡異常を診断してもよい。
【0013】
一つの実施形態において、上記制御部は、上記コンバータ部が上記均等化動作を実行しようとする場合、上記スイッチング部を制御して不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールと上記第2出力端子を連結することによって、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュール、上記入力端子および上記第2出力端子を含む上記均等化回路を形成してもよい。
【0014】
一つの実施形態において、上記制御部は、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールからエネルギーの回収が必要な場合、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールのエネルギーが上記第2出力端子から上記入力端子に伝達されるように上記コンバータ部の動作を制御してもよい。
【0015】
一つの実施形態において、上記制御部は、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールにエネルギーの伝達が必要な場合、上記バッテリーから出力されるエネルギーが上記入力端子から上記第2出力端子に伝達されるように上記コンバータ部の動作を制御してもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ方法は、一つ以上のセルモジュールを含むバッテリーと負荷との間に位置したコンバータ部がプレチャージ動作または均等化動作を行うステップ、スイッチング部が上記一つ以上のセルモジュールと上記コンバータ部を各々連結するステップ、および上記コンバータ部が実行しようとする動作に基づいて上記プレチャージ動作を実行するためのプレチャージ回路または上記均等化動作を実行するための均等化回路を選択的に形成するために上記スイッチング部の導通状態を制御するステップを含む。
【0017】
一つの実施形態において、上記コンバータ部は、上記バッテリーと連結される入力端子、上記負荷と連結される第1出力端子、および上記スイッチング部と連結される第2出力端子を含んでもよい。
【0018】
一つの実施形態において、上記制御するステップは、上記コンバータ部が上記プレチャージ動作を実行しようとする場合、上記スイッチング部を制御して上記第2出力端子と上記スイッチング部との間の連結を短絡させることによって、上記バッテリー、上記入力端子および上記第1出力端子を含む上記プレチャージ回路を形成するステップを含んでもよい。
【0019】
一つの実施形態において、上記制御するステップは、上記一つ以上のセルモジュールからセルモジュール情報を取得し、上記セルモジュール情報に基づいて上記一つ以上のセルモジュールの不均衡異常を診断するステップを含んでもよい。
【0020】
一つの実施形態において、上記制御するステップは、上記コンバータ部が上記均等化動作を実行しようとする場合、上記スイッチング部を制御して不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールと上記第2出力端子を連結することによって、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュール、上記入力端子および上記第2出力端子を含む上記均等化回路を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0021】
一つの実施形態において、上記制御するステップは、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールからエネルギーの回収が必要な場合、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールのエネルギーが上記第2出力端子から上記入力端子に伝達されるように上記コンバータ部の動作を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0022】
一つの実施形態において、上記制御するステップは、不均衡異常が診断された上記一つ以上のセルモジュールにエネルギーの伝達が必要な場合、上記バッテリーから出力されるエネルギーが上記入力端子から上記第2出力端子に伝達されるように上記コンバータ部の動作を制御するステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、コンバータ部が実行しようとする動作に基づいてスイッチング部の導通状態を制御してコンバータ部と一つ以上のセルモジュール(Cell Module)を選択的に連結することによって、プレチャージ動作のためのプレチャージ回路または均等化動作のための均等化回路を選択的に形成することができ、一つのコンバータ部を用いて様々な動作を行うことによって、システムの体積および価格を減少できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100の構成要素を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100におけるプレチャージ回路を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100における均等化回路を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100における均等化回路を概略的に示す図である。
図5】本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100を用いてセルモジュールの均等化動作を行う一連の過程を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100を用いてセルモジュールのプレチャージ動作を行う一連の過程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では本発明の理解を助けるために好ましい実施形態を提示する。但し、下記の実施形態は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本実施形態によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100の構成要素を概略的に示す図である。
【0027】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100は、コンバータ部110、スイッチング部120および制御部130を含んで構成されることができる。
【0028】
ここで、図1に示されたセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100は一実施形態によるものであって、その構成要素は図1に示された実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて交替、付加、変更または削除されてもよい。
【0029】
先ず、コンバータ部110は、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nを含むバッテリー10と負荷20との間に位置することができ、プレチャージ動作または均等化動作を行うことができる。例えば、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nが直列に連結された場合、コンバータ部110は、最前端に位置したセルモジュール10-nと負荷20との間に位置することができる。また、コンバータ部110は、正極スイッチ40aと並列連結されることができる。
【0030】
ここで、プレチャージ動作は、メインスイッチ(40aおよび40b)の融着を防止するために、メインスイッチ(40aおよび40b)を動作させる前にDCリンクキャパシタ30を充電させてDCリンクキャパシタ30の電圧をバッテリー10の電圧と同一にさせる動作を意味する。
【0031】
ここで、均等化動作は、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nが有するエネルギーを均等にするために行う動作を意味する。例えば、均等化動作は、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nのうち他のセルモジュールに比べてエネルギーが不足したセルモジュールにエネルギーを供給する動作、および他のセルモジュールに比べてエネルギーが過度なセルモジュールからエネルギーを回収する動作であってもよい。
【0032】
一つの実施形態において、コンバータ部110は、バッテリー10から電力の供給を受けてDCリンクキャパシタ30または異常のあるセルモジュール10-1~10-nに伝達することができる。このために、コンバータ部110は、バッテリー10と連結されてバッテリー10から電力の供給を受ける入力端子110a、負荷20側と連結されてDCリンクキャパシタ30にエネルギーを供給する第1出力端子110b、および後述のスイッチング部と連結されてセルモジュール10-1~10-nに電力を供給する第2出力端子110cを含むことができる。一例として、コンバータ部110は、一つの入力値を複数の出力値として出力できる多重出力絶縁型の両方向コンバータであってもよい。
【0033】
多重出力絶縁型の両方向コンバータは、一つの入力端子と二つの出力端子とからなり、入力端子および出力端子間には絶縁がなされており、両方向にエネルギー伝達が可能である。それにより、バッテリー10から供給されるエネルギーを他のセルモジュール10-1~10-nに比べて相対的にエネルギーが不足したセルモジュール10-1~10-nに提供することができるだけでなく、エネルギーが過度なセルモジュール10-1~10-nからエネルギーを回収することもできる。
【0034】
スイッチング部120は、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nとコンバータ部110を各々連結することができる。例えば、図1に示すように、スイッチング部120は、一側が一つ以上のセルモジュール10-1~10-n各々の正極端子および負極端子と連結されることができ、他側がコンバータ部110の第2出力端子110cと連結されることによって一つ以上のセルモジュール10-1~10-nとコンバータ部110を各々連結させることができる。
【0035】
一つの実施形態において、スイッチング部120は、スイッチマトリクス(Switch Matrix)であってもよく、後述の制御部130を介して選択されたセルモジュール10-1~10-nの正極端子および負極端子を選択的に連結させることによって、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nとコンバータ部110を連結させることができる。
【0036】
一つの実施形態において、本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100の動作が開始される場合および一つ以上のセルモジュール10-1~10-nに不均衡異常が診断されない場合、スイッチング部120は、オフ状態を維持して一つ以上のセルモジュール10-1~10-nとコンバータ部110の連結を短絡させることができる。
【0037】
制御部130は、コンバータ部110が実行しようとする動作に基づいてスイッチング部120の導通状態を制御することによって、プレチャージ動作を実行するためのプレチャージ回路または均等化動作を実行するための均等化回路を選択的に形成することができる。以下では、図2~4を参照して制御部130がプレチャージ回路および均等化回路を形成する構成について具体的に説明する。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100におけるプレチャージ回路を概略的に示す図であり、図3および4は、本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100における均等化回路を概略的に示す図である。
【0039】
先ず、図2を参照すれば、制御部130は、コンバータ部110がプレチャージ動作を実行しようとする場合、スイッチング部120を制御してプレチャージ回路を形成することができる。例えば、コンバータ部110がプレチャージ動作を実行しようとする場合、制御部130は、メインスイッチ(40aおよび40b)のうち負極スイッチ40bの導通状態をオン状態に変更し、スイッチング部120の導通状態を制御して第2出力端子110cとスイッチング部120との間の連結を短絡させることができる。それにより、制御部130は、バッテリー10、コンバータ部110の入力端子110a、第1出力端子110b、DCリンクキャパシタ30および負極スイッチ40bを含む閉回路であるプレチャージ回路を形成することができる。ここで、バッテリー10から印加される電力は、コンバータ部110の第1出力端子110bを経てDCリンクキャパシタ30に印加され、印加されたバッテリー10の電力を用いてDCリンクキャパシタ30を充電させることができる。その後、制御部130は、DCリンクキャパシタ30に充電された電圧がバッテリー10の電圧と同一になる場合、負極スイッチ40bの導通状態をオフ状態に変更してプレチャージ回路を短絡させることによって、コンバータ部110のプレチャージ動作を中止させることができる。
【0040】
次に、図3を参照すれば、制御部130は、コンバータ部110が均等化動作を実行しようとする場合、スイッチング部120を制御して均等化回路を形成することができる。例えば、制御部130は、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nからセルモジュール情報を取得し、取得されたセルモジュール情報に基づいて一つ以上のセルモジュール10-1~10-nの不均衡異常を診断することができる。
【0041】
ここで、セルモジュール情報は、一つ以上のセルモジュール10-1~10-nの状態を示す情報を意味する。例えば、セルモジュール情報は、電流、電圧、温度、残存容量(SOC)および残存寿命(SOH)のいずれか一つ以上を含むことができる。
【0042】
制御部130は、セルモジュール情報に基づいて一つ以上のセルモジュール10-1~10-nの不均衡異常を診断することができる。ここで、図3に示すようにn番目のセルモジュール10-nに不均衡異常が診断された場合、制御部130は、スイッチング部120を制御してn番目のセルモジュール10-nの正極端子と負極端子をコンバータ部110の第2出力端子110cと連結させることができる。それにより、制御部130は、n番目のセルモジュール10-n、スイッチング部120、コンバータ部110の第2出力端子110cおよびコンバータ部110の入力端子110aを含む閉回路である均等化回路を形成することができる。
【0043】
次に、図4を参照すれば、制御部130は、上述した方法と同様の方法により均等化回路を形成することができる。例えば、2番目のセルモジュール10-2に不均衡異常が発生した場合、制御部130は、スイッチング部120を制御して2番目のセルモジュール10-2の正極端子と負極端子をコンバータ部110の第2出力端子110cと連結させることができる。それにより、制御部130は、2番目のセルモジュール10-2、スイッチング部120、コンバータ部110の第2出力端子110cおよびコンバータ部110の入力端子110aを含む閉回路である均等化回路を形成することができる。
【0044】
一つの実施形態において、制御部130は、不均衡異常が診断されたセルモジュール10-1~10-nにエネルギーの伝達が必要な場合、制御部130は、バッテリー10から出力されるエネルギーが入力端子110aから第2出力端子110cに伝達されるようにコンバータ部110の動作を制御することができる。例えば、図3を参照すれば、n番目のセルモジュール10-nのエネルギーが他のセルモジュール(10-1~10-3)に比べて不足した場合、制御部130は、コンバータ部110の動作を制御して入力端子110aに入力されたバッテリー10のエネルギーを第2出力端子110cに伝達し、第2出力端子110cに伝達されたバッテリー10のエネルギーをn番目のセルモジュール10-nに提供することによって、n番目のセルモジュール10-nの不足したエネルギーを充電して不均衡異常を解決することができる。
【0045】
一つの実施形態において、制御部130は、不均衡異常が診断された一つ以上のセルモジュール10-1~10-nからエネルギーの回収が必要な場合、制御部130は、不均衡異常が診断された一つ以上のセルモジュール10-1~10-nのエネルギーが第2出力端子110cから入力端子110aに伝達されるようにコンバータ部110の動作を制御することができる。例えば、図4を参照すれば、2番目のセルモジュール10-2のエネルギーが他のセルモジュール(10-1、10-3~10-n)に比べて多い場合、制御部130は、コンバータ部110の動作を制御して2番目のセルモジュール10-2のエネルギーを第2出力端子110cに伝達し、伝達された2番目のセルモジュール10-2のエネルギーを、入力端子110aを介してバッテリー10に伝達することによって、2番目のセルモジュール10-2の超過したエネルギーを消費して不均衡異常を解決することができる。以下では、図5および図6を参照して本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプリチャジン方法について説明する。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100を用いてセルモジュールの均等化動作を行う一連の過程を説明するためのフローチャートであり、図6は、本発明の一実施形態によるセルモジュール均等化およびプレチャージ装置100を用いてセルモジュールのプレチャージ動作を行う一連の過程を説明するためのフローチャートである。
先ず、図5を参照すれば、スイッチング部の導通状態をオフ状態に維持し、一つ以上のセルモジュールからセルモジュール情報を取得する(S110)。S110ステップで取得したセルモジュール情報に基づいて一つ以上のセルモジュールに対して不均衡を診断する(S120)。この時、不均衡異常がない場合には、S110ステップに戻って一つ以上のセルモジュールの不均衡異常を持続的にモニターする。しかし、不均衡異常が発生した場合、スイッチング部を制御して不均衡異常が診断されたセルモジュールと第2出力端子を連結させ、それにより、不均衡異常が診断されたセルモジュール、スイッチング部、第2出力端子、入力端子およびバッテリーを含む均等化回路を形成する(S130およびS140)。S130およびS140ステップで形成された均等化回路を用いて不均衡異常が診断されたセルモジュールにバッテリーのエネルギーを伝達または回収する(S150)。
次に、図6を参照すれば、プレチャージ動作を実行しようとする場合、負極スイッチの導通状態をオン状態に変更する(S210)。その後、スイッチング部を制御してスイッチング部と第2出力端子との間の連結を短絡させ、バッテリー、コンバータ部の入力端子、第1出力端子、DCリンクキャパシタおよび負極スイッチを含むプレチャージ回路を生成する(S220およびS230)。S220およびS230ステップで形成されたプレチャージ回路を介してプレチャージ動作を実行してバッテリーのエネルギーをDCリンクキャパシタに伝達してDCリンクキャパシタを充電する(S240)。
【0047】
前述したセルモジュール均等化およびプレチャージ方法は、図面に提示されたフローチャートを参照して説明された。簡単に説明するために、上記方法は一連のブロックで図示し説明されたが、本発明は上記ブロックの順に限定されず、幾つかのブロックは他のブロックと本明細書で図示し記述されたものとは互いに異なる順にまたは同時になされてもよく、同一または類似した結果を達成する様々な他の分枝、流れ経路およびブロックの順が実現されてもよい。また、本明細書にて記述される方法の実現のために示された全てのブロックが要求されなくてもよい。
【0048】
以上では本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該技術分野の熟練した当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解することができるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6