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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】パレタイズシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 60/00 20060101AFI20220614BHJP
   B65G 57/00 20060101ALI20220614BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B65G60/00 G
B65G57/00 B
B25J13/08 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021116287
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591214527
【氏名又は名称】株式会社ジーテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】521059240
【氏名又は名称】株式会社MES甲信
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】菊池 渡
(72)【発明者】
【氏名】村山 徹
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第4073713(JP,B2)
【文献】特開2000-015370(JP,A)
【文献】特許第3973595(JP,B2)
【文献】特表2018-510783(JP,A)
【文献】特公平05-071495(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 60/00
B65G 47/91
B65G 57/00
B25J 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を、第1領域から第2領域に搬送する搬送装置と、
前記第2領域の前記搬送装置の側部に配置された中継台と、
前記搬送装置の配置領域に対して前記中継台を挟む状態で、前記第2領域に配置される容器と、
前記搬送装置に関連付けて配置され、前記搬送装置により搬送される製品をピックアップして前記中継台に積み上げる第1移送動作をする第1ロボットと、
前記搬送装置で搬送されている製品を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮像された画像に対する画像計測を実行する画像処理装置と、
前記画像処理装置による画像計測結果に基づいて、前記第1ロボットに前記第1移送動作の実施を指示する第1コントローラと、
前記中継台に積み重ねられた複数の製品の積載体を、前記容器に移送する第2移送動作をする第2ロボットと
を備えるパレタイズシステム。
【請求項2】
請求項1記載のパレタイズシステムにおいて、
前記中継台に積み重ねられた複数の製品の積載量を計測する測定装置と、
前記測定装置が計測した積載量が設定値に達すると、前記第2ロボットに前記第2移送動作の実施を指示する第2コントローラと
をさらに備えることを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項3】
請求項2記載のパレタイズシステムにおいて、
前記積載量は、前記中継台に積み重ねられた複数の製品の積載数であることを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項にパレタイズシステムにおいて、
前記第2ロボットは、前記積載体を、側面から把持する3つの爪部材によるロボットハンドを備え、前記爪部材は、先端にL字状に形成された爪部を備える
ことを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項5】
請求項4記載のパレタイズシステムにおいて、
前記第2ロボットは、前記ロボットハンドで前記積載体を側面から把持する前に、前記ロボットハンドで前記積載体を側面から挾む動作により前記積載体の重なりの乱れを補正する補正動作をしてから前記積載体の把持動作を開始する
ことを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のパレタイズシステムにおいて、
前記中継台に設けられた第3ロボットと、
前記中継台に既に積み上げられている前記積載体に、新たな製品が積み上げられると、前記第3ロボットに前記積載体の重なりの乱れを補正する補正動作の実施を指示する第3コントローラと
を備え、
前記第3ロボットは、前記中継台に積み重ねられる複数の製品の前記積載体を、前記積載体の側面から挾む方向に可動する複数の押さえ板を備え、前記複数の押さえ板を、前記積載体の側面から挾む方向に移動させることで、補正動作を実施する
ことを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のパレタイズシステムにおいて、
前記第1領域と前記第2領域との間で、前記搬送装置により搬送されている製品の外観の検査をする外観検査装置をさらに備えることを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項8】
請求項7記載のパレタイズシステムにおいて、
前記外観検査装置は、
前記搬送装置により搬送されている製品を撮影することで取得した外観画像の画像認識により、製品の外観の検査を実施することを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項9】
請求項8記載のパレタイズシステムにおいて、
前記外観検査装置は、前記外観画像と基準画像との、パターン認識における一致の度合いにより製品の外観の検査を実施することを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のパレタイズシステムにおいて、
前記第1ロボットは、吸着により製品をピックアップする吸着ヘッドを備えることを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のパレタイズシステムにおいて、
前記第1ロボットは複数設けられ、
前記第1コントローラは、複数の前記第1ロボットの各々に前記第1移送動作の実施を指示する
ことを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のパレタイズシステムにおいて、
前記中継台は、複数設けられ、
複数設けられた前記中継台の各々に対応して、前記容器が複数設けられ、
複数設けられた前記中継台の各々に対応して、前記第2ロボットが設けられている
ことを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のパレタイズシステムにおいて、
前記搬送装置は、コンベアであることを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項14】
請求項13記載のパレタイズシステムにおいて、
前記搬送装置は、チェーンコンベア、ローラーコンベア、スクリューコンベア、エアーフローティングコンベアの少なくとも1つであることを特徴とするパレタイズシステム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のパレタイズシステムにおいて、
前記製品は、トランスミッション部品、食器、食品トレイの少なくとも1つであることを特徴とするパレタイズシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス成形品などの製品を容器に積み付けるパレタイズシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスミッション部品の製造では、ロール鋼板より打ち抜き加工することで円板状のブランク材を作製し、作製したブランク材をプレス成形して部品(製品)を作製している。この種の製造工程では、作製した製品をパレットなどの容器に積み付け、製品を積み付けたパレットを、次工程の製造部署に移送している。
【0003】
上述した製品の積み付け(パレタイズ)では、一般に、プレス成形された搬出された製品を、人手によりパレットに積載している。また、この積載時に、外観の検査などを実施している。ところで、打ち抜き加工された製品は、1.3秒/枚程度の生産速度で作製されるため、一人の人手による処理速度では対応に限界があり、多くの人手を要するなど、多くの問題がある。このため、パレタイズを機械化することが検討されている。
【0004】
この機械化においては、作製された製品をベルトコンベアなどの搬送装置で搬送する過程で外観をカメラで撮影し、撮影した画像の処理により外観検査を実施する。この後、ベルトコンベアで搬送されている製品を、ロボットアームでピックアップしてパレットに積み付けることが考えられる。例えば、よく知られたビジョントラッキングによるコンベアトラッキングで、ベルトコンベアで搬送されている製品をピックアップすることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-141935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した機械化の技術においても、ロボットにより製品を1枚ずつ容器に積載することになるため、積載の速度が製品の生産などの処理速度に追いつかない場合が発生する。ロボットにより積載の速度を、製品の処理速度に追いつかせるためには、ロボットの数を増やすことが考えられる。しかしながら、ベルトコンベアの幅には限界があり、この中では、対応できるロボットの数にも限界がある。
【0007】
これらのように、従来の技術では、積載の速度が製品の処理速度に追いつかないという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、製品の処理速度に対応して、製品を容器に積載できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るパレタイズシステムは、製品を、第1領域から第2領域に搬送する搬送装置と、第2領域の搬送装置の側部に配置された中継台と、搬送装置の配置領域に対して中継台を挟む状態で、第2領域に配置される容器と、搬送装置に関連付けて配置され、搬送装置により搬送される製品をピックアップして中継台に積み上げる第1移送動作をする第1ロボットと、搬送装置で搬送されている製品を撮影するカメラと、カメラにより撮像された画像に対する画像計測を実行する画像処理装置と、画像処理装置による画像計測結果に基づいて、第1ロボットに第1移送動作の実施を指示する第1コントローラと、中継台に積み重ねられた複数の製品の積載体を、容器に移送する第2移送動作をする第2ロボットとを備える。
【0010】
上記パレタイズシステムの一構成例において、中継台に積み重ねられた複数の製品の積載量を計測する測定装置と、測定装置が計測した積載量が設定値に達すると、第2ロボットに第2移送動作の実施を指示する第2コントローラとをさらに備える。
【0011】
上記パレタイズシステムの一構成例において、積載量は、中継台に積み重ねられた複数の製品の積載数である。
【0012】
上記パレタイズシステムの一構成例において、第2ロボットは、積載体を、側面から把持する3つの爪部材によるロボットハンドを備え、爪部材は、先端にL字状に形成された爪部を備える。
【0013】
上記パレタイズシステムの一構成例において、第2ロボットは、ロボットハンドで積載体を側面から把持する前に、ロボットハンドで積載体を側面から挾む動作により積載体の重なりの乱れを補正する補正動作をしてから積載体の把持動作を開始する。
【0014】
上記パレタイズシステムの一構成例において、中継台に設けられた第3ロボットと、中継台に既に積み上げられている積載体に、新たな製品が積み上げられると、第3ロボットに積載体の重なりの乱れを補正する補正動作の実施を指示する第3コントローラとを備え、第3ロボットは、中継台に積み重ねられる複数の製品の積載体を、積載体の側面から挾む方向に可動する複数の押さえ板を備え、複数の押さえ板を、積載体の側面から挾む方向に移動させることで、補正動作を実施する。
【0015】
上記パレタイズシステムの一構成例において、第1領域と第2領域との間で、搬送装置により搬送されている製品の外観の検査をする外観検査装置をさらに備える。
【0016】
上記パレタイズシステムの一構成例において、外観検査装置は、搬送装置により搬送されている製品を撮影することで取得した外観画像の画像認識により、製品の外観の検査を実施する。
【0017】
上記パレタイズシステムの一構成例において、外観検査装置は、外観画像と基準画像との、パターン認識における一致の度合いにより製品の外観の検査を実施する。
【0018】
上記パレタイズシステムの一構成例において、第1ロボットは、吸着により製品をピックアップする吸着ヘッドを備える。
【0019】
上記パレタイズシステムの一構成例において、第1ロボットは複数設けられ、第1コントローラは、複数の第1ロボットの各々に第1移送動作の実施を指示する。
【0020】
上記パレタイズシステムの一構成例において、中継台は、複数設けられ、複数設けられた中継台の各々に対応して、容器が複数設けられ、複数設けられた中継台の各々に対応して、第2ロボットが設けられている。この場合、第2コントローラは、複数の第2ロボットの各々に第2移送動作の実施を指示する。
【0021】
上記パレタイズシステムの一構成例において、搬送装置は、コンベアである。
【0022】
上記パレタイズシステムの一構成例において、搬送装置は、チェーンコンベア、ローラーコンベア、スクリューコンベア、エアーフローティングコンベアの少なくとも1つである。
【0023】
上記パレタイズシステムの一構成例において、製品はトランスミッション部品、食器、食品トレイの少なくとも1つである。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、中継台を設け、第1ロボットにより中継台に積み重ねられた複数の製品の積載体を、第2ロボットにより、容器に移送するので、製品の処理速度に対応して、製品を容器に積載できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るパレタイズシステムの構成を示す構成図である。
図2A図2Aは、トランスミッション部品の一例を示す写真である。
図2B図2Bは、トランスミッション部品の一例を示す写真である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るパレタイズシステムの、第1ロボット104が備える吸着ヘッド141の構成を示す斜視図である。
図4図4は、第2ロボット108の詳細な構成例を示す斜視図である。
図5図5は、第3ロボット111の構成例を示す平面図である。
図6A図6Aは、他の第2ロボット108の構成例を示す平面図である。
図6B図6Bは、他の第2ロボット108の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係るパレタイズシステムについて図1を参照して説明する。このパレタイズシステムは、搬送装置101、中継台102、容器103、第1ロボット104、カメラ105、画像処理装置106、第1コントローラ107、第2ロボット108を備える。
【0027】
搬送装置101は、トランスミッション部品、食器、食品トレイなどを含む製品を、第1領域151から第2領域152に搬送する。搬送装置101は、例えば、チェーンコンベア、ローラーコンベア、スクリューコンベア、エアーフローティングコンベアなどのコンベアとすることができる。搬送装置101は、ベルトコンベアとすることもできる。例えば、第1領域151には、製品を処理する処理装置131が配置され、処理装置131で成型されて搬出された製品が、搬送装置101の第1領域151に排出される。
【0028】
製品は、例えば、鋼材による板状のブランク材をプレス成形により製造したトランスミッション部品である(図2A図2B)。トランスミッション部品は、自動車に用いられる部品である。この場合、処理装置131は、プレス成形機である。また、製品は、洗浄機で洗浄および乾燥されたトランスミッション部品である。この場合、処理装置131は、洗浄機である。また、製品は、食器洗浄機で洗浄および乾燥された食器(皿)である。この場合、処理装置131は、食器洗浄機である。また、製品は、樹脂成形機で作製された樹脂製の食品トレイである。この場合、処理装置131は、樹脂成形機である。また、製品は、ロール鋼板よりプレス機で打ち抜き加工して作製された円板状のブランク材とすることもできる。
【0029】
中継台102は、第2領域152の搬送装置101の側部に配置されている。容器103は、搬送装置101の配置領域に対して中継台102を挟む状態で、第2領域152に配置される。容器103は、例えば、パレット台とすることができる。また、容器103は、例えば、段ボール箱とすることができる。
【0030】
第1ロボット104は、搬送装置101に関連付けて配置され、搬送装置101により搬送される製品をピックアップして中継台102に積み上げる第1移送動作をする。第1ロボット104は、例えば、パラレルリンクロボットである。また、第1ロボット104は、例えば、図3に示すような、吸着により製品をピックアップする、真空吸着式の吸着ヘッド141を備える。吸着ヘッド141は、複数の吸着パッド142を備える。
【0031】
カメラ105は、搬送装置101で搬送されている製品を撮影する。画像処理装置106は、カメラ105により撮像された画像に対する画像計測を実行する。第1コントローラ107は、画像処理装置106による画像計測結果に基づいて、第1ロボット104に第1移送動作の実施を指示する。
【0032】
また、画像処理装置106は、画像計画として、外形が多角形の製品について、複数枚を積み重ねた状態で、側部の各辺の位置が一致する(重なる)ように、第1ロボット104にピックアップした製品を平面で回転させることができる。例えば、カメラ105により撮像された画像をもとに、認識された外形の各辺の位置が、設定されている状態となるように製品を回転させる。このような画像計画結果に基づいて動作する第1ロボット104の第1移送動作で、中継台102に積み上げられた複数の多角形の製品の積載体は、各々の製品の各辺の位置が、ほぼ一致する状態となる。なお、平面視で円形(円筒状)の製品の場合は、上述した動作は必要ない。
【0033】
カメラ105が、画素数が1280×1024程度の、エリアイメージセンサから構成されていれば、画像処理装置106における製品の外形の認識が可能である。エリアイメージセンサの画素数が多いほど、製品の外形の識別精度が向上し、外形の識別精度が向上する。
【0034】
第2ロボット108は、中継台102に積み重ねられた複数の製品の積載体を、容器103に移送する第2移送動作をする。第2ロボット108は、積載体を把持するロボットアームを備えるものとすることができる。第2ロボット108は、例えば、図4に示すように、水平多関節型のロボットアームであり、アーム先端部に昇降機構108aを備える。
【0035】
また、昇降機構108aには、積載体を側面から把持する3つの爪部材108cによるロボットハンド108bを備える。爪部材108cの各々は、先端にL字状に形成された爪部108dを備える。爪部材108cは、ロボットハンド108bから下方に延在している。また、爪部108dは、ロボットハンド108bの中心部に向けて、爪部材108cの延在方向に対して略垂直な方向に延びている。ロボットハンド108bは、爪部材108cで、積載体を側面から挾み、積載体の最下面端部に爪部108dを掛止することで、積載体を把持して移送する。爪部材108c、爪部108dなどの材料および形状は、移送する製品の状態に合わせて適宜に設計することができる。例えば、爪部材108c、爪部108dは、プラスチックやエラストマーなどから構成することができる。この構成とすることで、製品に対して傷をつけるなどのことが防止できる。
【0036】
ここで、第2ロボット108は、ロボットハンドで積載体を側面から把持する前に、ロボットハンド108bの3つの爪部材108cで、積載体を側面から挾む動作により積載体の重なりの乱れを補正する補正動作をしてから積載体の把持動作を開始する。
【0037】
また、このパレタイズシステムは、測定装置109、第2コントローラ110を備えることができる。測定装置109は、中継台102に積み重ねられた複数の製品の積載量を計測する。第2コントローラ110は、測定装置109が計測した積載量が設定値に達すると、第2ロボット108に第2移送動作の実施を指示する。例えば、積載量は、中継台102に積み重ねられた複数の製品の積載数とすることができる。また、積載量は、中継台102に積み重ねられた複数の製品の重量(総重量)とすることができる。
【0038】
例えば、製品が図2Aに例示したトランスミッション部品の場合、第2コントローラ110は、測定装置109が計数した積載数が、設定されている10~12枚に達すると、第2ロボット108に第2移送動作の実施を指示する。この程度の枚数のトランスミッション部品による積載体であれば、第2ロボット108による第2移送動作が、十分に可能である。
【0039】
また、例えば、製品が図2Bに例示したトランスミッション部品の場合、第2コントローラ110は、測定装置109が計数した積載数が、設定されている3~5個に達すると、第2ロボット108に第2移送動作の実施を指示する。この程度の個数のトランスミッション部品による積載体であれば、第2ロボット108による第2移送動作が、十分に可能である。
【0040】
また、製品が食器(皿)の場合、第2コントローラ110は、測定装置109が計数した積載数が、設定されている10~15枚に達すると、第2ロボット108に第2移送動作の実施を指示する。この程度の枚数の皿による積載体であれば、第2ロボット108による第2移送動作が、十分に可能である。
【0041】
また、製品が樹脂製の食器トレーの場合、第2コントローラ110は、測定装置109が計数した積載数が、設定されている30~35枚に達すると、第2ロボット108に第2移送動作の実施を指示する。この程度の枚数の樹脂製の食器トレーによる積載体であれば、第2ロボット108による第2移送動作が、十分に可能である。
【0042】
また、このパレタイズシステムは、中継台102に設けられた第3ロボット111、および第3コントローラ112を備える。第3コントローラ112は、中継台102に既に積み上げられている積載体に、新たな製品が積み上げられると、第3ロボット111に積載体の重なりの乱れを補正する補正動作の実施を指示する。第3コントローラ112は、例えば、測定装置109が計数している積載数を元に、新たな製品が積み上げられたことを把握する。
【0043】
第3ロボット111は、例えば、図5に示すように、中継台102に積み重ねられる複数の製品の積載体114を、積載体114の側面から挾む方向に可動する複数の押さえ板111a,111bを備え、複数の押さえ板111a,111bを、アクチュエータ111c,111dにより積載体114の側面から挾む方向に移動させることで、上述した補正動作を実施する。アクチュエータ111c,111dは、水平方向の最大可搬質量が40kg程度の能力を有している。
【0044】
また、前述したように、中継台102に積み上げられた複数の多角形の製品の積載体の、各々の製品の各辺の位置が、ほぼ一致していれば、上述した第3ロボット111の補正動作により、多角形の製品の場合でも、各製品で対応する辺の位置が一致した状態に、積載体の重なりの乱れが解消できる。この状態であれば、上述した第2ロボット108による第2移送動作で、製品を落下させるなどの問題が発生することがない。
【0045】
また、図6A図6Bに示すように、抑え部118aと爪部118bとを備えるロボットハンド118を第2ロボット108に用いることができる。例えば、抑え部118aは、第2移送動作における積載体を引き上げる方向に平行で、平面視で各々が45°程度の角度で連結している2つの板部材から構成することができる。このロボットハンド118により積載体の側面を、2つの方向から抑え部118aで挾み、積載体の底部を爪部118bで支えることで、積載体を把持して第2移送動作をじっしすることができる。
【0046】
また、このパレタイズシステムは、第1領域151と第2領域152との間で、搬送装置101により搬送されている製品の外観の検査をする外観検査装置113を備える。外観検査装置113は、搬送装置101により搬送されている製品を撮影することで取得した外観画像の画像認識により、製品の傷の有無や汚れの状態などの外観の検査を実施する。
【0047】
例えば、外観検査装置113は、リニアイメージセンサと、リニアイメージセンサで撮像した画像を処理して外観の判定をする判定装置とを備える。例えば、搬送されている製品の外観をリニアイメージセンサにより撮像し、撮像により得られた外観画像の機械学習(深層機械学習)によるパターン認識により、判定装置において外観の判定をすることで製品の外観の検査を実施する。上述したリニアイメージセンサは、例えば、画素数を6000以上とすることで、微細な傷や汚れなどの検出感度を向上させることができる。
【0048】
上述したパレタイズシステムでは、まず、処理装置131で打ち抜き加工されて搬出された製品が、搬送装置101の第1領域151に排出されると、この製品が、搬送装置101により、第2領域152の方向に輸送される。この過程で、外観検査装置113が、製品の外観の検査をする。この検査で不合格と判定された製品は、搬送装置101より取り除かれる。
【0049】
次に、搬送装置101で輸送されている製品は、カメラ105により撮影される。カメラ105により撮影された、搬送中の製品の画像(動画像)は、画像処理装置106により、画像計測される。第1コントローラ107は、画像処理装置106による画像計測結果に基づいて、搬送されている製品の位置を把握し、第1ロボット104に、対象の製品の第1移送動作の実施を指示する。この指示により、第1ロボット104は、搬送装置101により搬送される製品をピックアップして中継台102に積み上げる。
【0050】
上述したことにより、中継台102には、製品が積み上げられて積載体が形成される。測定装置109は、中継台102に積み重ねられた複数の製品の積載数を計数する。この計数値(積載数)が、設定されている値に達すると、第2コントローラ110が、第2ロボット108に第2移送動作の実施を指示する。この指示により、第2ロボット108は、中継台102に積み重ねられた複数の製品の積載体を、容器103に移送する。第2ロボット108は、容器103に置かれた容器に積載体を積み付ける。容器は、例えば、平面視で1475mm×1120mm,高さ(深さ)520mm程度の箱である。容器のサイズは、第2ロボット108の可動範囲に基いて適宜に設定することができる。
【0051】
第2ロボット108は、まず、アーム先端部を積載体の上部に移動させ、昇降機構108aによりロボットハンド108bを下降させ、ロボットハンド108bで積載体を把持する。ロボットハンド108bが積載体を把持すると、昇降機構108aによりロボットハンド108bを上昇させる。次いで、第2ロボット108は、アーム先端部を、容器103の上の所定の位置に移動させ、昇降機構108aによりロボットハンド108bを下降させ、把持している積載体を、容器103の上に載置する。この後、第2ロボット108は、ロボットハンド108bによる積載体の把持動作を解除し、初期状態に戻る。
【0052】
ここで、第1ロボット104による上述した第1移送動作は、搬送装置101により逐次に搬送される多数の製品を、迅速に中継台102に移送するため、積載体は、重なりが乱れている。この状態で、積載体を容器103に移送すると、容器103には、重なりが乱れた積載体が積み付けられることになる。この積載体は、次工程に搬送されて用いられる。次工程においては、積載体より製品を一枚ずつピックアップするが、重なりが乱れている積載体では、ピックアップする位置が、各々異なることになる。このような状態では、例えば、ピックアップが失敗するなどの問題が発生する。
【0053】
このため、次工程に移送される前に、積載体の重なりの乱れを補正することが重要となる。第2ロボット108は、ロボットハンド108bで積載体を側面から把持する前に、ロボットハンド108bの3つの爪部材108cで、積載体を側面から挾む動作により積載体の重なりの乱れを補正する補正動作をしてから積載体の把持動作を開始する。
【0054】
ところで、上述したロボットハンド108bでは、挟む方向には、あまり大きな力を加えることができないため、積載体の重なりの乱れを完全に補正することができない場合がある。このため、第3ロボット111により、中継台102に既に積み上げられている積載体に、新たな製品が積み上げられる毎に、積載体の重なりの乱れを補正する。第3ロボット111は、上述した積載体の重なりの乱れ補正に特化したものとすることができ、積載体を上方にピックアップする機能は必要ない。
【0055】
例えば、第3ロボット111は、アクチュエータ111c,111dにより、複数の押さえ板111a,111bを、これらの間に載置されている積載体114の方向に移動させ、押さえ板111a,111bで積載体114の側面から挾むことにより、積載体114の重なりの乱れを補正する。アクチュエータ111c,111dは、例えば、中継台102の上に固定して配置することが可能であり、押さえ板111a,111bにより、より強い力で積載体114を、この側面から挾む動作をすることが可能である。このため、第3ロボット111を用いることで、大きなずれによる重なりの乱れ補正が実施できる。
【0056】
このように、第3ロボット111により、大きなずれによる積載体の重なりの乱れが補正されていれば、第2ロボット108のロボットハンド108bによる把持動作で、積載体の重なりの乱れを完全に補正することが可能となる。
【0057】
ところで、このパレタイズシステムは、第1ロボット104を複数設ける構成とすることができる。この場合、第1コントローラ107は、複数の第1ロボット104の各々に第1移送動作の実施を指示する。また、このパレタイズシステムは、中継台102を、複数設けることができる。この場合、複数設けられた中継台102の各々に対応して、複数の容器103を設ける。また、複数設けられた中継台102の各々に対応して、第2ロボット108を設ける。この構成において、第2コントローラ110は、複数の第2ロボット108の各々に第2移送動作の実施を指示する。なお、上述した実施の形態に係るパレタイズシステムによれば、中継台102を設けてより迅速なパレタイズを可能としているので、第1ロボット104の台数を多くすることなく、製品の処理速度(例えば生産速度)に対応したパレタイズが、省スペースで実施可能である。
【0058】
また、このパレタイズシステムは、カメラ105が配置されている前などに、搬送装置101で搬送されている製品を、反転させる反転装置を設けることもできる。反転装置は、例えば、外観検査装置113とカメラ105との間に配置することができる。例えば、搬送装置101を、処理装置側の第1搬送装置と、カメラ105などが配置されている側の第2搬送装置とから構成し、第1搬送装置と第2搬送装置の間に、反転装置を設ける。
【0059】
反転装置は、第1搬送装置からで搬入される製品を一個ずつ受け入れて、第2搬送装置に反転して配置させる、放射状に設けられた複数の放射収容部を有した回転体から構成することができる。この回転体の所定の放射収容部に第1搬送装置の送出端から一個の製品が供給されると、センサーの製品検出信号によって回転体が所定の方向に一区画(一個)ずつ間欠回転し、放射収容部が製品受入れ位置から約180度回転した時点で、放射収容部で搬送している製品を第2搬送装置の上に配置する。
【0060】
以上に説明したように、本発明によれば、中継台を設け、第1ロボットにより中継台に積み重ねられた複数の製品の積載体を、第2ロボットにより、容器に移送するので、製品の処理速度に対応して、製品を容器に積載できるようになる。
【0061】
本発明によれば、上述したように、中継台および第2ロボットを用いるので、第1ロボットにおいては、搬送装置で搬送されている製品を、製品を積み重ねた積載体に重なりの乱れが発生することを許容して、より迅速にピックアップする状態の制御とすることが可能となる。また、第1ロボットでは、製品の移動範囲に限界があるため、より広い容器に、より多くの積載体を収容させることができない場合がある。これに対し、本発明によれば、中継台および第2ロボットを用いるので、第1ロボットのみでは届かない範囲まで、製品(積載体)を移動できるので、より広い容器に、より多くの積載体を収容させることができるようになる。
【0062】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0063】
101…搬送装置、102…中継台、103…容器、104…第1ロボット、105…カメラ、106…画像処理装置、107…第1コントローラ、108…第2ロボット、108a…昇降機構、108b…ロボットハンド、108c…爪部材、108d…爪部、109…測定装置、110…第2コントローラ、111…第3ロボット、112…第3コントローラ、113…外観検査装置、131…処理装置、151…第1領域、152…第2領域。
【要約】
【課題】製品の生産速度に対応して、製品を容器に積載できるようにする。
【解決手段】第1ロボット104は、搬送装置101に関連付けて配置され、搬送装置101により搬送される製品をピックアップして中継台102に積み上げる第1移動動作をする。第2ロボット108は、中継台102に積み重ねられた複数の製品の積載体を、容器103に移送する第2移送動作をする。例えば、鋼材による板状のブランク材をプレス成形により製造したトランスミッション部品である。
【選択図】 図1
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B