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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】埋め戻し材及び埋め戻し方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 3/04 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
E01C3/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018129304
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020007776
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】515013812
【氏名又は名称】甍エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518242525
【氏名又は名称】株式会社伍社
(73)【特許権者】
【識別番号】518242905
【氏名又は名称】アクアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松澤 考宏
(72)【発明者】
【氏名】大岩 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】菅原 直樹
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3189446(JP,U)
【文献】特開2003-145120(JP,A)
【文献】特開2002-105936(JP,A)
【文献】特開2008-267092(JP,A)
【文献】特開2006-097439(JP,A)
【文献】特開2004-346580(JP,A)
【文献】特開2008-062219(JP,A)
【文献】特開2008-307449(JP,A)
【文献】特開平09-316920(JP,A)
【文献】特開2000-008403(JP,A)
【文献】特開平05-337441(JP,A)
【文献】特開平03-103505(JP,A)
【文献】特開昭57-197301(JP,A)
【文献】実開昭57-193703(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管やガス管等の非金属埋設物の周囲及び上方に位置する路床や路盤の埋め戻しに用いる埋め戻し材であって、
粘土瓦を破砕した粘土瓦破砕材の最大粒径をDmaxとしたとき、
前記粘土瓦破砕材を、
前記最大粒径Dmaxから前記最大粒径Dmax×0.41までの範囲を粒径とする第1粘土瓦破砕材と、
前記最大粒径Dmax0.41未満の範囲を前記粒径とする第2粘土瓦破砕材と
で構成し、
前記非金属埋設物に接触する位置には、前記第2粘土瓦破砕材を用い、
前記非金属埋設物に接触しない位置には、前記第1粘土瓦破砕材と前記第2粘土瓦破砕材とを、前記第1粘土瓦破砕材と前記第2粘土瓦破砕材との総重量に対して、前記第2粘土瓦破砕材を21重量%以上として用いる
ことを特徴とする埋め戻し材。
【請求項2】
前記最大粒径Dmaxを15mmから4mmの範囲とする
ことを特徴とする請求項1に記載の埋め戻し材。
【請求項3】
水道管やガス管等の非金属埋設物を埋設した後に、前記非金属埋設物の周囲及び上方に埋め戻し材を充填する埋め戻し方法であって、
粘土瓦を破砕した粘土瓦破砕材として、前記粘土瓦破砕材の最大粒径Dmaxから前記最大粒径Dmax×0.41までの範囲を粒径とする第1粘土瓦破砕材と、前記最大粒径Dmax0.41未満の範囲を前記粒径とする第2粘土瓦破砕材とを、前記第1粘土瓦破砕材と前記第2粘土瓦破砕材との総重量に対して、前記第2粘土瓦破砕材を21重量%以上として攪拌混合し、
前記第2粘土瓦破砕材を前記非金属埋設物が覆われるまで充填し、
前記第2粘土瓦破砕材によって前記非金属埋設物が覆われた後に、攪拌混合した前記第1粘土瓦破砕材と前記第2粘土瓦破砕材とを充填する
ことを特徴とする埋め戻し方法。
【請求項4】
前記最大粒径Dmaxを15mmから4mmの範囲とした
ことを特徴とする請求項3に記載の埋め戻し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管やガス管等の埋設物の周囲及び上方に位置する路床や路盤の埋め戻しに用いる埋め戻し材及び埋め戻し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガラス質破砕材からなる路床材料等の埋め戻し材料及びこれらの材料を用いた施工を提案している。
特許文献2は、建設汚泥を脱水処理して得られた脱水ケーキを、セメントと水とを共にロータリーフィーダーに供給し、ロータリーフィーダー内で撹拌・混練することによって造粒し、得られた造粒物を一定期間養生した後に乾燥することによって再生砂を製造し、再生砂と、20mmから40mmの粒度に分級された砕石と、10mmから20mmの粒度に分級された砕石と、5mm以下の粒度の焼却灰とを配合することによって路盤材を得ることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-155206号公報
【文献】特開2005-163488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2は廃材を利用するものであるが、特許文献1で利用するガラス質破砕材は保水性がなく、特許文献2で利用する再生砂は、砕石や焼却灰を配合する必要がある。
【0005】
本発明は、地盤強度や耐摩耗性に優れ、従来一般的に用いられている山砂や再生砕石(RC40)に比べて軽量で保水性を備えた埋め戻し材を提供することを目的とする。
また、本発明は、この埋め戻し材を用いた埋め戻し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の埋め戻し材は、水道管やガス管等の非金属埋設物の周囲及び上方に位置する路床3や路盤2の埋め戻しに用いる埋め戻し材であって、粘土瓦を破砕した粘土瓦破砕材10の最大粒径をDmaxとしたとき、前記粘土瓦破砕材10を、前記最大粒径Dmaxから前記最大粒径Dmax×0.41までの範囲を粒径Daとする第1粘土瓦破砕材10aと、前記最大粒径Dmax0.41未満の範囲を前記粒径Dbとする第2粘土瓦破砕材10bとで構成し、前記非金属埋設物に接触する位置には、前記第2粘土瓦破砕材10bを用い、前記非金属埋設物に接触しない位置には、前記第1粘土瓦破砕材10aと前記第2粘土瓦破砕材10bとを、前記第1粘土瓦破砕材10aと前記第2粘土瓦破砕材10bとの総重量に対して、前記第2粘土瓦破砕材10bを21重量%以上として用いることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の埋め戻し材において、前記最大粒径Dmaxを15mmから4mmの範囲とすることを特徴とする。
請求項3記載の本発明の埋め戻し方法は、水道管やガス管等の非金属埋設物を埋設した後に、前記非金属埋設物の周囲及び上方に埋め戻し材を充填する埋め戻し方法であって、粘土瓦を破砕した粘土瓦破砕材10として、前記粘土瓦破砕材10の最大粒径Dmaxから前記最大粒径Dmax×0.41までの範囲を粒径Daとする第1粘土瓦破砕材10aと、前記最大粒径Dmax0.41未満の範囲を前記粒径Dbとする第2粘土瓦破砕材10bとを、前記第1粘土瓦破砕材10aと前記第2粘土瓦破砕材10bとの総重量に対して、前記第2粘土瓦破砕材10bを21重量%以上として攪拌混合し、前記第2粘土瓦破砕材10bを前記非金属埋設物が覆われるまで充填し、前記第2粘土瓦破砕材10bによって前記非金属埋設物が覆われた後に、攪拌混合した前記第1粘土瓦破砕材10aと前記第2粘土瓦破砕材10bとを充填することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の埋め戻し方法において、前記最大粒径Dmaxを15mmから4mmの範囲としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1粘土瓦破砕材の隙間に第2粘土瓦破砕材が十分に入り込むことで地盤強度(CBR試験値など)が得られるとともに粘土瓦破砕材の動きが規制されるために耐摩耗性が高く、更には締め固めが容易であることから、作業の容易化が図れ、作業者の技能に左右されない作業の平準化が図れる。また、本発明によれば、分級した粘土瓦破砕材を所定の比率で混合することで、地盤材としての性能値を安定でき、安定した品質を確保できる。また、従来一般には山砂と再生砕石(RC40)との2層構造で施工しているが、本発明によれば、1層で施工を行えるため、施工効率が向上する。また、粘土瓦破砕材は、従来一般的に用いられている山砂や再生砕石(RC40)に比べて軽量であるため、輸送効率や作業効率が高い。また、粘土瓦破砕材は、性状が変化することがなく震動によって液状化しないために、震動による地盤沈下や、地震による地盤液状化被害が生じない。また、粘土瓦破砕材は、吸水性があり、降雨時に保水することで蒸発潜熱によって地面温度を低下させることができ、夏場のヒートアイランド対策としても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】水道管やガス管等の埋設物の埋設状態を示す断面図
図2】本発明の一実施例による第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材との粒径の関係を示す説明図
図3】本発明の一実施例による第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材との占有比率の関係を示す説明図
図4】本実施例による埋め戻し材の製造方法を示す写真
図5】本実施例による埋め戻し材と従来基準との比較を示す特性図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による埋め戻し材は、粘土瓦を破砕した粘土瓦破砕材の最大粒径をDmaxとしたとき、粘土瓦破砕材を、最大粒径Dmaxから最大粒径Dmax×0.41までの範囲を粒径とする第1粘土瓦破砕材と、最大粒径Dmax0.41未満の範囲を粒径とする第2粘土瓦破砕材とで構成し、非金属埋設物に接触する位置には、第2粘土瓦破砕材を用い、非金属埋設物に接触しない位置には、第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材とを、第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材との総重量に対して、第2粘土瓦破砕材を21重量%以上として用いるものである。
本実施の形態によれば、第1粘土瓦破砕材の隙間に第2粘土瓦破砕材が十分に入り込むことで地盤強度(CBR試験値など)が得られるとともに粘土瓦破砕材の動きが規制されるために耐摩耗性が高く、更には締め固めが容易であることから、作業の容易化が図れ、作業者の技能に左右されない作業の平準化が図れる。また、本実施の形態によれば、分級した粘土瓦破砕材を所定の比率で混合することで、地盤材としての性能値を安定でき、安定した品質を確保できる。また、非金属埋設物では表面硬度が低く傷つきやすいが、本実施の形態によれば、非金属埋設物に接触する位置には、粒径の小さな第2粘土瓦破砕材を用いることで配管表面の損傷を防ぐことができる。更に、第2粘土瓦破砕材は、非金属埋設物に接触する位置には単独で用いるとともに、非金属埋設物に接触しない位置には第1粘土瓦破砕材と混合して用いることができるので、製造コストを低減できる。また、従来一般には山砂と再生砕石(RC40)との2層構造で施工しているが、本実施の形態によれば、1層で施工を行えるため、施工効率が向上する。また、粘土瓦破砕材は、従来一般的に用いられている山砂や再生砕石(RC40)に比べて軽量であるため、輸送効率や作業効率が高い。また、粘土瓦破砕材は、性状が変化することがなく震動によって液状化しないために、震動による地盤沈下や、地震による地盤液状化被害が生じない。また、粘土瓦破砕材は、吸水性があり、降雨時に保水することで蒸発潜熱によって地面温度を低下させることができ、夏場のヒートアイランド対策としても有効である。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による埋め戻し材において、最大粒径Dmaxを15mmから4mmの範囲とするものである。
本実施の形態によれば、地盤強度や耐摩耗性に優れている。
【0011】
本発明の第3の実施の形態による埋め戻し方法は、粘土瓦を破砕した粘土瓦破砕材として、粘土瓦破砕材の最大粒径Dmaxから最大粒径Dmax×0.41までの範囲を粒径とする第1粘土瓦破砕材と、最大粒径Dmax0.41未満の範囲を粒径とする第2粘土瓦破砕材とを、第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材との総重量に対して、第2粘土瓦破砕材を21重量%以上として攪拌混合し、第2粘土瓦破砕材を非金属埋設物が覆われるまで充填し、第2粘土瓦破砕材によって非金属埋設物が覆われた後に、攪拌混合した第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材とを充填するものである。
本実施の形態によれば、第1粘土瓦破砕材の隙間に第2粘土瓦破砕材が十分に入り込むことで地盤強度(CBR試験値など)が得られるとともに粘土瓦破砕材の動きが規制されるために耐摩耗性が高く、更には締め固めが容易であることから、作業の容易化が図れ、作業者の技能に左右されない作業の平準化が図れる。また、本実施の形態によれば、分級した粘土瓦破砕材を所定の比率で混合することで、地盤材としての性能値を安定でき、安定した品質を確保できる。また、非金属埋設物では表面硬度が低く傷つきやすいが、本実施の形態によれば、非金属埋設物に接触する位置には、粒径の小さな第2粘土瓦破砕材を用いることで配管表面の損傷を防ぐことができる。更に、第2粘土瓦破砕材は、非金属埋設物に接触する位置には単独で用いるとともに、非金属埋設物に接触しない位置には第1粘土瓦破砕材と混合して用いることができるので、製造コストを低減できる。また、従来一般には山砂と再生砕石(RC40)との2層構造で施工しているが、本実施の形態によれば、1層で施工を行えるため、施工効率が向上する。また、粘土瓦破砕材は、従来一般的に用いられている山砂や再生砕石(RC40)に比べて軽量であるため、輸送効率や作業効率が高い。また、粘土瓦破砕材は、性状が変化することがなく震動によって液状化しないために、震動による地盤沈下や、地震による地盤液状化被害が生じない。また、粘土瓦破砕材は、吸水性があり、降雨時に保水することで蒸発潜熱によって地面温度を低下させることができ、夏場のヒートアイランド対策としても有効である。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による埋め戻し方法において、最大粒径Dmaxを15mmから4mmの範囲とするものである。
本実施の形態によれば、地盤強度や耐摩耗性に優れている。
【実施例
【0013】
以下本発明の一実施例による埋め戻し材について説明する。
図1は、水道管やガス管等の埋設物の埋設状態を示す断面図である。
一般的には、表層はアスファルト層1で覆われ、アスファルト層1の下部には路盤2が形成される。路盤2は路床3の上部に形成され、表層から伝えられる荷重を分散して路床3に伝える。埋設物4は、路床3に埋設される。埋設物4としては、水道管やガス管の他に電線やその他のケーブルがある。
本実施例による埋め戻し材は、埋設物4の周囲及び上方に位置する路床3や、路床3の上部に形成される路盤2の埋め戻しに用いる。
本実施例による埋め戻し材は、第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとで構成する。
【0014】
図2及び図3は第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材との関係を示す説明図であり、図2は第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材との粒径の関係を示し、図3は第1粘土瓦破砕材と第2粘土瓦破砕材との占有比率の関係を示している。
図2に示すように、第1粘土瓦破砕材10a及び第2粘土瓦破砕材10bを球状であると仮定し、第1粘土瓦破砕材10aによって生じる隙間に第2粘土瓦破砕材10bが入り込み、第2粘土瓦破砕材10bによって第1粘土瓦破砕材10aの動きが規制されるためには、第1粘土瓦破砕材10aの粒径Daと第2粘土瓦破砕材10bの粒径Dbとは以下の関係となる。
Db=Da×√2-Da=0.41Da
従って、第1粘土瓦破砕材10aによって生じる隙間に第2粘土瓦破砕材10bが入り込むためには、第2粘土瓦破砕材10bの粒径Dbは0.41Da未満とする必要がある。
このことから、粘土瓦破砕材10の最大粒径をDmaxとすると、第1粘土瓦破砕材10aを最大粒径Dmaxから最大粒径Dmax×0.41までの範囲の粒径Daとし、第2粘土瓦破砕材10bを最大粒径Dmax0.41未満の範囲の粒径Dbとすることで、第1粘土瓦破砕材10aによって生じる隙間に第2粘土瓦破砕材10bが入り込むことができる。
【0015】
また図3に示すように、第1粘土瓦破砕材10aによって生じる隙間面積Sbと、この隙間面積Sbを形成する第1粘土瓦破砕材10aの面積Saとは以下の関係となる。
Sb=Da-Sa
ここで、Sa=π×(1/2×Da)
従って、Sb=Da-1/4×π×Da
=(1-0.79)Da
=0.21Da
従って、第1粘土瓦破砕材10aによって生じる隙間を第2粘土瓦破砕材10bで埋めるためには、第2粘土瓦破砕材10bは、第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとの総重量に対して21重量%以上とする必要がある。
【0016】
以上のように、本実施例による埋め戻し材は、第1粘土瓦破砕材10aの隙間に第2粘土瓦破砕材10bが十分に入り込むことで地盤強度(CBR試験値など)が得られるとともに粘土瓦破砕材10の動きが規制されるために耐摩耗性が高く、更には締め固めが容易であることから、作業の容易化が図れ、作業者の技能に左右されない作業の平準化が図れる。
また、本実施例によれば、分級した粘土瓦破砕材10を所定の比率で混合することで、地盤材としての性能値を安定でき、安定した品質を確保できる。
また、従来一般には山砂と再生砕石(RC40)との2層構造で施工しているが、本実施例によれば、1層で施工を行えるため、施工効率が向上する。
また、粘土瓦破砕材10は、従来一般的に用いられている山砂や再生砕石(RC40)に比べて軽量であるため、輸送効率や作業効率が高い。また、粘土瓦破砕材10は、性状が変化することがなく震動によって液状化しないために、震動による地盤沈下や、地震による地盤液状化被害が生じない。また、粘土瓦破砕材10は、吸水性があり、降雨時に保水することで蒸発潜熱によって地面温度を低下させることができ、夏場のヒートアイランド対策としても有効である。
【0017】
なお、図1において、埋設物4が鋼管、鉛管、又は銅管のような金属製ではなく、ポリエチレン管やHIVP管のような非金属埋設物である場合には、埋設物4に接触する路床位置3xには、第2粘土瓦破砕材10bを用い、埋設物4に接触しない路床位置3yには、第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとを、第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとの総重量に対して、第2粘土瓦破砕材10bを21重量%以上として用いる。
埋設物4が非金属埋設物では表面硬度が低く傷つきやすいが、本実施例によれば、埋設物4に接触する位置には、小さな粒径Dbである第2粘土瓦破砕材10bを用いることで配管表面の損傷を防ぐことができる。更に、第2粘土瓦破砕材10bは、埋設物4に接触する位置には単独で用いるとともに、埋設物4に接触しない位置には第1粘土瓦破砕材10aと混合して用いることができるので、製造コストを低減できる。
埋め戻し材は、最大粒径Dmaxを15mmから4mmの範囲とすることが好ましく、地盤強度や耐摩耗性に優れている。
【0018】
以下本実施例による埋め戻し材を用いた埋め戻し方法について説明する。
本実施例による埋め戻し方法は、粘土瓦を破砕した粘土瓦破砕材10として、粘土瓦破砕材10の最大粒径Dmaxから最大粒径Dmax×0.41までの範囲を粒径Daとする第1粘土瓦破砕材10aと、最大粒径Dmax0.41未満の範囲を粒径Dbとする第2粘土瓦破砕材10bとを、第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとの総重量に対して、第2粘土瓦破砕材10bを21重量%以上として攪拌混合し、攪拌混合した第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとを埋設物4の周囲及び上方に位置する路盤2及び路床3に充填する。
本実施例によれば、第1粘土瓦破砕材10aの隙間に第2粘土瓦破砕材10bが十分に入り込むことで地盤強度(CBR試験値など)が得られるとともに粘土瓦破砕材10の動きが規制されるために耐摩耗性が高く、更には締め固めが容易であることから、作業の容易化が図れ、作業者の技能に左右されない作業の平準化が図れる。
また、本実施例によれば、分級した粘土瓦破砕材10を所定の比率で混合することで、地盤材としての性能値を安定でき、安定した品質を確保できる。
また、従来一般には山砂と再生砕石(RC40)との2層構造で施工しているが、1層で施工を行えるため、施工効率が向上する。また、粘土瓦破砕材10は、従来一般的に用いられている山砂や再生砕石(RC40)に比べて軽量であるため、輸送効率や作業効率が高い。また、粘土瓦破砕材10は、性状が変化することがなく震動によって液状化しないために、震動による地盤沈下や、地震による地盤液状化被害が生じない。また、粘土瓦破砕材10は、吸水性があり、降雨時に保水することで蒸発潜熱によって地面温度を低下させることができ、夏場のヒートアイランド対策としても有効である。
【0019】
なお、図1において、埋設物4が鋼管、鉛管、又は銅管のような金属製ではなく、ポリエチレン管やHIVP管のような非金属埋設物である場合には、第2粘土瓦破砕材10bを埋設物4が覆われるまで充填し、第2粘土瓦破砕材10bによって埋設物4が覆われた後に、第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとの総重量に対して、第2粘土瓦破砕材10bを21重量%以上として攪拌混合した第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとを充填する。
埋設物4が非金属埋設物では表面硬度が低く傷つきやすいが、本実施例によれば、埋設物4に接触する位置には、小さな粒径Dbである第2粘土瓦破砕材10bを用いることで配管表面の損傷を防ぐことができる。更に、第2粘土瓦破砕材10bは、埋設物4に接触する位置には単独で用いるとともに、埋設物4に接触しない位置には第1粘土瓦破砕材10aと混合して用いることができるので、製造コストを低減できる。
【0020】
以下本実施例による埋め戻し材の製造方法について図4を用いて説明する。
図4は、本実施例による埋め戻し材の製造方法を示す写真である。
図4(a)に示すように、瓦廃材11をパケット21に入れる。図4(b)ではパケット21に収容された瓦廃材11を示している。
図4(c)では、図4(b)に示す瓦廃材11を投入するホッパー22を示している。
図4(d)に示すように、ホッパー22に投入された瓦廃材11はコンベア23で瓦廃材破砕機24に搬送される。
図4(e)は、瓦廃材破砕機24を示しており、瓦廃材破砕機24としてはハンマークラッシャーを用いることができる。図4(f)は、瓦廃材破砕機24の内部を示しており、ハンマークラッシャー部材である。
破砕工程は、図4(e)(f)に示す瓦廃材破砕機24によって粘土瓦を破砕する工程である。
破砕工程で破砕された粘土瓦破砕材10は第1メッシュ篩いで分級される(第1分級工程)。
図4(g)は、第1分級工程で用いる震動篩機25を示しており、第1メッシュ篩いを通過しない粘土瓦破砕材10は、再び破砕工程に戻して破砕される。
第1分級工程で第1メッシュ篩いを通過した粘土瓦破砕材10は、第2メッシュ篩いで分級される(第2分級工程)。
図4(h)(i)(j)は、第2分級工程で用いる震動篩機26を示しており、第2分級工程で第2メッシュ篩いを通過しない第1粘土瓦破砕材10aと、第2分級工程で第2メッシュ篩いを通過する第2粘土瓦破砕材10bとに分級する。
図4(k)は第1粘土瓦破砕材10aを、図4(l)は第2粘土瓦破砕材10bを示している。
第2分級工程で分級された第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとは、混合工程で混合される。
混合工程では、第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとの総重量に対して、第2粘土瓦破砕材10bを21重量%以上とする。
また、第2分級工程で第2メッシュ篩いを通過する第2粘土瓦破砕材10bが、第2分級工程で第2メッシュ篩いを通過しない第1粘土瓦破砕材10aに対して43重量%以上となるように破砕工程では粘土瓦を破砕することが好ましい。第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとの混合比率以上に第2粘土瓦破砕材10bを製造することで、第2粘土瓦破砕材10bを単独で利用することができる。
本実施例の製造方法によれば、第1分級工程で第1メッシュ篩いを通過しない粘土瓦破砕材10を、再び破砕工程で破砕することで、全ての粘土瓦を第1粘土瓦破砕材10aと第2粘土瓦破砕材10bとに利用でき、廃材を有効に活用できる。
【0021】
図5は本実施例による埋め戻し材と従来基準との比較を示す特性図である。
第1粘土瓦破砕材10aの粒径上限を8.5mmにするために分級メッシュ1を8.5mmとした。第1粘土瓦破砕材10aの粒径下限を3.5mm(8.5mm×0.41)とするため分級メッシュ2を3.5mmとした。第1粘土瓦破砕材10aの粒度分布は3.5mm~8.5mm(未満)、第2粘土瓦破砕材10bの粒度分布は3.5mm未満である。
原料には陶器瓦の廃材を用い、廃材としての陶器瓦を荒割りした後にハンマークラッシャーで破砕し、振動篩機で分級した。
分級した第1粘土瓦破砕材10a及び第2粘土瓦破砕材10bをフレコン(トンバック)に入れ、分級量は第1粘土瓦破砕材10a:第2粘土瓦破砕材10bを55:45の比率で分級した。
第1粘土瓦破砕材10a:第2粘土瓦破砕材10b=70:30の比率で混合して埋め戻し材とした。
70:30の比率で混合した場合、原材料100に対してA+B混合物(A55+B24)79%におけるBは21%となるため、鋼製以外の配管埋め戻し材には21%のBを使用することができる。
図5に示すように、本実施例は、設計CBRは77%、すり減り減量Rは20%、締固め最大感想密度/最適含水比(B-b)は1.611/18.4%、締固め最大乾燥密度/最適含水比(E-b)は1.665/16.9%、液性限界はNP、塑性限界はNP、湿潤密度は1.63である。すなわち、本実施例は従来基準と比較して、CBR値は高く、すり減り減量は少なく、締固め回数や締固め強度に左右されず締固めしやすく、液状化せず、塑性状態にはならず、従来材料と比較して軽い材料であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、使用済みの粘土瓦だけではなく、粘土瓦製造時に生じる瓦廃材を利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 アスファルト層
2 路盤
3 路床
3x、3y 路床位置
4 埋設物
10 粘土瓦破砕材
10a 第1粘土瓦破砕材
10b 第2粘土瓦破砕材
11 瓦廃材
21 パケット
22 ホッパー
23 コンベア
24 瓦廃材破砕機
25 震動篩機
26 震動篩機
Da、Db 粒径
Dmax 最大粒径
Sa 面積
Sb 隙間面積
図1
図2
図3
図4
図5