(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】輪木
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
E04G21/16
(21)【出願番号】P 2018237074
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】598175676
【氏名又は名称】東海ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000250580
【氏名又は名称】立花容器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】眞榮田 武
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝祐
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233960(JP,A)
【文献】特開2000-281120(JP,A)
【文献】登録実用新案第3004349(JP,U)
【文献】登録実用新案第3062267(JP,U)
【文献】特開昭51-084875(JP,A)
【文献】特開平11-277565(JP,A)
【文献】特開平09-109114(JP,A)
【文献】特開昭57-109627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/22
B65D 19/00-19/44
B65G 57/00
B29C 45/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、天板の一端部から下方に延びる第1側板と、天板の他端部から下方に延びる第2側板とを有する合成樹脂材料から構成される輪木であり、
天板と第1側板と第2側板とは、長手方向に延びる長尺な中空形状をなし、
輪木の短手方向に沿って延びる複数の補強板が、輪木の長手方向に対して間欠的に配置されており、
天板の短手方向における長さは、第1側板の短手方向における長さ又は第2側板の短手方向における長さに比して、異なる長さである輪木。
【請求項2】
補強板は、天板、第1側板、及び第2側板と一体に成形された形状である請求項1に記載の輪木。
【請求項3】
輪木の長手方向における両端部には、切り欠きからなる持ち手が設けられている請求項1又は2に記載の輪木。
【請求項4】
輪木は、ウッドチップと合成樹脂材料の混合物から構成される請求項1ないし3のいずれかに記載の輪木。
【請求項5】
補強板は、その基端部において、天板と接合する形状であり、
補強板の先端部の板厚に比して、補強板の基端部の板厚が大きくなるように構成された請求項1ないし4のいずれかに記載の輪木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪木に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁パネルや骨組などの資材を一時的に保管しておく際に、輪木が利用される。また、輸送する物品を物流倉庫で一時的に保管しておく際にも、輪木が使用される。例えば、地面や物流倉庫の床の上に輪木を敷いておき、その上に複数枚の外壁パネルなどの資材や輸送する物品を積層して保管したりする。
【0003】
従来は、木材を正方形の棒状に成形したものが輪木として一般的に利用されてきた。木材を輪木とした場合には、輪木の重量が大きくなり、輪木の設置や回収が煩雑であった。木材の輪木は、雨水などを吸って重量が重くなりやすく、重量の問題がより顕著になりやすい。また、木材の輪木は腐食しやすく、耐久性の点でも問題があった。重量等の問題を解決するために、合成樹脂材料で構成した輪木が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、帯状部材を波状に成形したプラスチック成形品からなる輪木が記載されている。この輪木では、波状部の凹部によって、成形した際に輪木全体が均一に冷却されるとされている。また、特許文献2にも、同様の波状の輪木が記載されている。この輪木は、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂などで構成されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-107914号公報
【文献】実用新案登録第2577643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2の輪木は、波状の形状をしている。このため、このような輪木は軽量であるものの、荷重が入力される方向によっては、波状の輪木が簡単に破損してしまうおそれがある。
【0007】
輪木の上に積まれた資材を運搬する際には、例えば、フォークリフトを利用して資材や物品を運搬する。このとき、フォークリフトの爪の外径によっては、地面と資材等との隙間の間に、フォークリフトの爪が入らないことがある。そのような場合は、予め、寸法の大きい輪木を別途用意しておく必要がある。しかしながら、複数の異なる寸法の輪木を運搬したり管理したりするのは、煩雑である。
【0008】
また、資材等の大きさや、輪木を設置する場所によっては、輪木が長すぎることがある。そのような場合は、予め、寸法の短い輪木を別途用意しておく必要がある。しかしながら複数の異なる寸法の輪木を運搬したり管理したりするのは、煩雑である。
【0009】
以上のような問題点に鑑みて、本発明は、従来の木材を使用した輪木よりも軽量であり、輪木の上に載せられる資材等と地面との隙間の大きさを変更することが可能であり、長さを現場で容易に変更することが可能な輪木を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
天板と、天板の一端部から下方に延びる第1側板と、天板の他端部から下方に延びる第2側板とを有する合成樹脂材料から構成される輪木であり、天板と第1側板と第2側板とは、長手方向に延びる長尺な中空形状をなし、輪木の短手方向に沿って延びる複数の補強板が、輪木の長手方向に対して間欠的に配置されており、天板の短手方向における長さは、第1側板の短手方向における長さ又は第2側板の短手方向における長さに比して、異なる長さである輪木により、上記の課題を解決する。この輪木では、天板の長さと、第1側板の長さ又は第2側板の長さとが異なるので、輪木を設置する向きを変更することによって、地面と資材との隙間の大きさを、現場で変更することが可能である。例えば、天板の長さに比して、第1側板の長さが小さい場合は、第1側板が地面に交差する向きに輪木を設置することによって、資材と輪木との隙間を小さくすることができる。逆に、天板が地面に交差する向きに輪木を設置することによって、資材と輪木との隙間を大きくすることができる。輪木がいずれの向きに設置されても、輪木の短手方向に沿って延びる複数の補強板が、載置された資材の荷重を支えることができる。これにより、輪木の強度も確保される。
【0011】
補強板は、輪木の短手方向に延びる形状であり、輪木の長手方向に沿って間欠的に配置される形状である。輪木を切断する際には、補強板が設けられていない部分を切断すれば、少ない労力で輪木を切断して短くすることができる。
【0012】
上記の輪木において、補強板は、天板、第1側板、及び第2側板に対して接合された形状とすることが好ましい。これにより、天板、第1側板、及び第2側板のうち、いずれの部分に資材等が載置されたとしても、天板と第1側板と第2側板とで、資材等の荷重を受けることができる。局所的に荷重が集中することを防止することにより、輪木の破損を防止することができる。
【0013】
上記の輪木において、輪木の長手方向における両端部には、切り欠きからなる持ち手を設けることが好ましい。この構成によれば、資材等を載置する面に持ち手が位置しないので、持ち手が資材等を載せる作業の妨げとなることがないし、輪木の強度も確保することができる。
【0014】
上記の輪木において、輪木は、ウッドチップと合成樹脂材料の混合物から構成されるようにすることが好ましい。ウッドチップと合成樹脂材料の混合物を原料として使用することによって、より軽量で丈夫な輪木とすることができる。
【0015】
上記の輪木において、補強板は、その基端部において、天板と接合する形状であり、補強板の先端部の板厚に比して、補強板の基端部の板厚が大きくなるようにすることが好ましい。補強板の基端部には、応力が集中しやすい。上記のように構成することによって、補強板が基端部において破損することを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来の木材を使用した輪木よりも軽量であり、輪木の上に載せられる資材等と地面との隙間の大きさを変更することが可能であり、輪木の長さを現場で容易に変更することが可能な輪木を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】輪木の一実施形態を示す平面側斜視図である。
【
図8】
図1の輪木を横置きにして、その上に資材を積み上げた状態を示す図である。
【
図9】
図1の輪木を縦置きにして、その上に資材を積み上げた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、輪木の一実施形態について、説明する。
【0019】
図1ないし
図9に、輪木の一実施形態を示す。本実施形態の輪木1は、天板11と、天板11の一端部から下方に伸びる第1側板12と、天板11の他端部から下方に伸びる第2側板13とを有しており、合成樹脂材料から構成される。天板11と、第1側板12と、第2側板13とは、長手方向に伸びる長尺な中空形状をなす。そして、輪木の短手方向に沿って伸びる複数の補強板14が、輪木1の長手方向に間欠的に配置される形状である。天板11の短手方向における長さは、第1側板12の短手方向における長さ又は第2側板13の短手方向における長さに比して、異なる長さとなっている。
【0020】
天板、第1側板、第2側板、及び補強板は、いずれも合成樹脂材料から構成される板状である。本実施形態の輪木1では、第1側板12及び第2側板13は天板11の短手方向における両端部から下方に伸びる形状であり、天板11と第1側板12又は第2側板13とがなす角度は、
図5に示したように、略直角である。
【0021】
第1側板12及び第2側板13の一端部は、天板11の端部に接続される形状である。第1側板12及び第2側板13の他端部には、底板は配されておらず、解放された形状となっている。このため、本実施形態の輪木1を底面側から見ると、
図2に示したように、輪木1の長手方向に対して間欠的に配置される補強板14が、視認される形状となっている。
【0022】
補強板14は、輪木1の短手方向に沿って伸びる板状の部材である。補強板14は、複数枚配置される。それぞれの補強板14は、所定の間隔を空けて、輪木1の長手方向に対して間欠的に配置される。本実施形態の輪木1では、補強板14の一端部は、天板11の短手方向に沿って接続されており、補強板14の他端部は、自由端となっている。本実施形態の輪木1では、補強板14と天板11と第1側板12と第2側板13とは、合成樹脂材料で一体に成形されている。このため、成形に手間がかからず、接合部分での強度の低下が防止される。
【0023】
本実施形態の輪木1では、補強板14は、長方形の板状である。補強板の形状はこれに限定されず、天板、第1側板、及び第2側板の形状に合わせて、変更することができる。
【0024】
本実施形態の輪木1は、天板11の短手方向における長さは、第1側板12の短手方向における長さ、又は第2側板13の短手方向における長さに比して、異なる長さとなっている。具体的には、
図7に示したように、天板11の短手方向における長さL1は、第1側板12の短手方向における長さL2、又は第2側板13の短手方向における長さL3に比して、長くなる形状となっている。
【0025】
例えば、
図8に示したように、輪木1の第1側板12又は第2側板13が地面に交差する向きに置いて、天板11の上に資材2を配置した際には、積み上げられた資材2の間に、長さL2(L3)の隙間が形成される。資材2を運搬する際には、長さL2の隙間に手やフォークリフトの爪などを入れて資材2を運搬する。
【0026】
床や地面が濡れていたり、汚れていたりするなどの事情によって、資材2を床又は地面から離しておきたいとき、又はフォークリフトの爪の厚みが大きいため、爪を資材2の隙間に入れにくいときなどは、
図9に示したように、輪木1の天板11が地面に交差する向きに置いて、天板11の上に資材2を配置するとよい。このようにすると、積み上げられた資材2の間に、長さL2(L3)よりも間隔の大きい長さL1の隙間が形成される。これにより、資材2を床又は地面からより遠ざけたり、フォークリフトの爪を物品の間の隙間に差し込みやすくなる。
【0027】
本実施形態の輪木1では、天板11の短手方向における長さL1が、第1側板12の長さL2又は第2側板13の長さL3に比して、長くなるように構成されている。天板の短手方向における長さL1が、第1側板の長さL2又は第2側板の長さL3に比して、短くなるように構成してもよい。そして、L2とL3は、略同一の長さとすることが好ましい。
【0028】
L1の値は特に限定されないが、例えば、40~500mmとすることができる。L2又はL3の値も特に限定されないが、例えば、30~400mmとすることができる。輪木1の長手方向の長さも特に限定されないが、例えば、500~4000mmとすることができる。輪木1の短手方向の長さは、天板11の短手方向における長さL1と一致する。
【0029】
本実施形態の輪木1では、補強板14は、輪木1の短手方向に沿って配される形状であるため、輪木1を短手方向に沿って切断することにより、輪木1の長さを現場や倉庫で簡単に調節することができる。例えば、
図3のC部位で輪木を半分程度に調節したり、
図3のD部位で輪木1を4/5程度に調節したりすることができる。輪木1を切断する際には、補強板14が設けられていない部分を切断すればよい。このようにすれば、天板11、第1側板12、及び第2側板13だけを切断すればよいので、切断作業を簡単に済ませることができる。補強板13は、天板11に対して、略垂直に交差するように、接続されている。このため、輪木1を垂直に切り進めていけば、補強板11に刃物が干渉しづらいようになっている。
【0030】
図5及び
図6に示したように、本実施形態の輪木1では、天板11、第1側板12、及び第2側板13のすべてに補強板14の端部が接合された形状である。このため、
図8に示したように、輪木1の第1側板12又は第2側板13が地面に交差する向きに置いて、天板11の上に資材2を配置した際にも、
図9に示したように、輪木1の天板が地面に交差する向きに置いて、第1側板12又は第2側板13の上に資材2を配置した際にも、補強板14で物品の荷重を支えることができる。これによって、物品を乗せた際に輪木の任意の箇所に局所的に応力が集中することにより、輪木1が破損することを防止することができる。
【0031】
本実施形態の輪木1では、
図5に示したように、補強板14は、その基端部141において天板11と接合する形状となっている。そして、補強板14の基端部141の板厚は、補強板14の先端部142の板厚よりも大きくなる形状となっている。補強板14は、このような形状となっているため、輪木1に対して、応力が負荷された際に、輪木1の補強板14が基端部141から折れるなどして破損しにくい形状とされている。
【0032】
本実施形態の輪木1では、
図2及び
図7に示したように、輪木1の長手方向における両端部には、切り欠き15からなる持ち手が設けられている。
図7の例では、切り欠きの形状は、天板11が位置する方向の角を円弧状に角取りした略方形の切り欠きとした。切り欠き15の上方には、天板11の端部から下方に延びる持ち手用の板16が配される。運搬する際には、切り欠き15から手指を入れて、持ち手用の板16の下端とその裏面とを手指で支えることができる。これによって、安定した状態で輪木1を支えることができる。持ち手用の板16は、第1側板12の長さL1又は第2側板13の長さL2に比して、長さが短い、略長方形状の板から構成されている。切り欠きの形状は、これに限定されず、例えば、円弧状の切り欠きとしてもよいし、方形の切り欠きとしてもよいし、円形や方形の孔としてもよい。持ち手用の板の形状も、同様に上記の例に限定されない。
【0033】
本実施形態の輪木1は、ウッドチップと、合成樹脂材料の混合物から構成されている。これによって、輪木1の重量を軽量にし、しかもプラスチック単体よりも強度を向上させることができる。ウッドチップは、例えば、木の枝、間伐材、又は木質建材などの廃材などを破砕したものを使用することができる。
【0034】
上記の実施形態の輪木1では、天板は平面視において長方形状であり、第1側板又は第2側板は、正面視又は背面視において長方形状である。天板、第1側板又は第2側板の形状は、長方形状に限定されず、例えば、楕円形状、又は角が円弧状に落とされた長方形状などにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 輪木
11 天板
12 第1側板
13 第2側板
14 補強板
15 切り欠き
141 補強板の基端部
142 補強板の先端部