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特許7088515搬送台車、搬送装置、搬送システム、レールへの搬送台車の取付方法、および、レールへの搬送装置の取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】搬送台車、搬送装置、搬送システム、レールへの搬送台車の取付方法、および、レールへの搬送装置の取付方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20220614BHJP
   B65G 1/00 20060101ALN20220614BHJP
【FI】
B61B13/00 Z
B61B13/00 A
B65G1/00 501C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021037765
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】504082025
【氏名又は名称】株式会社イング
(73)【特許権者】
【識別番号】594162515
【氏名又は名称】阪和興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】永木 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 悦二
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-075162(JP,U)
【文献】実開昭56-112118(JP,U)
【文献】特開2007-119145(JP,A)
【文献】実開昭49-135911(JP,U)
【文献】実公昭47-036333(JP,Y1)
【文献】特開平09-109892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B65G 1/00
B61F 9/00
B61D 15/00
B60D 1/04
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レールおよび第2レールを含む少なくとも2本のレールに沿って走行可能な搬送台車であって、
搬送台車本体と、
前記搬送台車本体に支持される主ローラと、
副ローラを有し、前記搬送台車本体に連結される副ローラユニットと
を具備し、
前記副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過可能な第1姿勢と、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能であり、
前記副ローラユニットの姿勢が前記第2姿勢であるとき、前記搬送台車は、少なくとも2本の前記レールに沿って走行可能であり、
前記第1レールの中心軸と前記第2レールの中心軸とを含む平面を第1平面PL1と定義した場合、前記第1姿勢および前記第2姿勢は、前記副ローラが前記第1平面PL1に対して平行となる面で回転した姿勢である
搬送台車。
【請求項2】
前記副ローラユニットが前記搬送台車本体に連結された状態で、前記副ローラユニットの姿勢を前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で姿勢変更可能である
請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記副ローラユニットは、前記副ローラを支持する副ローラ支持部材を有し、
前記副ローラ支持部材は、第1軸まわりを回動可能なように、前記搬送台車本体に取り付けられている
請求項1または2に記載の搬送台車。
【請求項4】
第1ストッパを更に具備し、
前記第1ストッパは、前記副ローラユニットの姿勢が前記第1姿勢から前記第2姿勢に変更されるように、前記副ローラ支持部材が前記第1軸まわりを第1回転方向に回転されるとき、前記副ローラ支持部材の回動限界を規定する
請求項3に記載の搬送台車。
【請求項5】
前記副ローラユニットは、前記副ローラ支持部材が前記第1軸まわりに回動することを禁止するロック部材を有する
請求項3または4に記載の搬送台車。
【請求項6】
前記副ローラユニットは、
前記副ローラユニットを前記搬送台車本体に固定する固定部材と、
前記固定部材を操作する操作レバーと
を備える
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の搬送台車。
【請求項7】
前記副ローラユニットは、前記操作レバーと前記固定部材とが係合された第1状態と、前記操作レバーと前記固定部材との係合が解除された第2状態との間で状態を切り替える状態切替機構を有する
請求項6に記載の搬送台車。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の搬送台車と、
第2搬送台車と、
前記搬送台車と前記第2搬送台車とを連結する連結部材と
を具備する
搬送装置。
【請求項9】
前記連結部材は、複数の部材に分割可能であり、
前記連結部材が前記複数の部材に分割された状態では、前記搬送台車と前記第2搬送台車とを個別に運搬可能である
請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の搬送台車あるいは請求項8または9に記載の搬送装置と、
前記搬送台車または前記搬送装置に連結される第1連結部を有する駆動台車と
を具備する搬送システム。
【請求項11】
前記搬送台車または前記搬送装置は、前記駆動台車の前記第1連結部に連結される第2連結部を有し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、
前記搬送台車または前記搬送装置に対する前記駆動台車の第1走行方向への相対移動を、前記搬送台車または前記搬送装置が前記駆動台車を前記レールに向けて押圧する押圧力に変換する第1変換機構、および/または、
前記搬送台車または前記搬送装置に対する前記駆動台車の前記第1走行方向とは反対の方向への相対移動を、前記搬送台車または前記搬送装置が前記駆動台車を前記レールに向けて押圧する押圧力に変換する第2変換機構
を有する
請求項10に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記搬送台車または前記搬送装置と前記駆動台車とを含む主走行体の走行方向前方側に、前記主走行体とともに移動可能に設けられる衝突検知用の長尺部材と、
前記長尺部材の状態変化に応じて前記長尺部材への物体の衝突を検知する衝突検知センサと、
前記衝突検知センサから衝突検知信号を受信することに応じて、前記駆動台車の走行を停止させる制御装置と
を更に具備する
請求項10または11に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記主走行体の走行方向の前端と前記長尺部材との間を埋める注意喚起用の可撓性面状体を更に具備する
請求項12に記載の搬送システム。
【請求項14】
レールへの搬送台車の取付方法であって、
前記搬送台車は、
搬送台車本体と、
前記搬送台車本体に支持される主ローラと、
副ローラを有し、前記搬送台車本体に連結される副ローラユニットと
を具備し、
前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
前記取付方法は、
前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが横切るように前記副ローラユニットを移動させる工程と、
前記副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過可能な第1姿勢から、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過不能な第2姿勢に変更する工程と
を具備し、
前記第1レールの中心軸と前記第2レールの中心軸とを含む平面を第1平面PL1と定義した場合、前記第1姿勢および前記第2姿勢は、前記副ローラが前記第1平面PL1に対して平行となる面で回転した姿勢である
レールへの搬送台車の取付方法。
【請求項15】
レールへの搬送装置の取付方法であって、
前記搬送装置は、
搬送台車と、
第2搬送台車と、
前記搬送台車と前記第2搬送台車とを連結する連結部材と
を具備し、
前記搬送台車は、
搬送台車本体と、
前記搬送台車本体に支持される主ローラと、
副ローラを有し、前記搬送台車本体に連結される副ローラユニットと
を備え、
前記第2搬送台車は、
第2搬送台車本体と、
前記第2搬送台車本体に支持される第2搬送台車主ローラと、
第2搬送台車副ローラを有し、前記第2搬送台車本体に連結される第2副ローラユニットと
を備え、
前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
前記取付方法は、
前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが横切るように前記副ローラユニットを移動させ、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記第2搬送台車副ローラが横切るように前記第2副ローラユニットを移動させる工程と、
前記副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過可能な第1姿勢から、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過不能な第2姿勢に変更し、前記第2副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記第2搬送台車副ローラが通過可能な第1姿勢から、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記第2搬送台車副ローラが通過不能な第2姿勢に変更する姿勢変更工程と
を具備し、
前記第1レールの中心軸と前記第2レールの中心軸とを含む平面を第1平面PL1と定義した場合、前記第1姿勢および前記第2姿勢は、前記副ローラが前記第1平面PL1に対して平行となる面で回転した姿勢である
レールへの搬送装置の取付方法。
【請求項16】
前記姿勢変更工程は、前記搬送台車と前記第2搬送台車とが前記連結部材を介して剛的に連結された状態で実行される
請求項15に記載のレールへの搬送装置の取付方法。
【請求項17】
前記連結部材は、複数の部材に分割可能であり、
前記連結部材が前記複数の部材に分割された状態では、前記搬送台車と前記第2搬送台車とを個別に運搬可能であり、
前記姿勢変更工程は、前記搬送台車と前記第2搬送台車とが前記連結部材によって連結された後に実行される
請求項15または16に記載のレールへの搬送装置の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車、搬送装置、搬送システム、レールへの搬送台車の取付方法、および、レールへの搬送装置の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル等の搬送物を搬送する台車が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、資材搬送ユニットが開示されている。特許文献1に記載の資材搬送ユニットは、ガイドレールと、ガイドレールの下部に設置される振れ止めレールと、外装パネルを積載してガイドレールに沿って移動する搬送台車本体とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-68243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、レールに迅速に取り付け可能な搬送台車、搬送装置、搬送システム、搬送台車の取付方法、および、搬送装置の取り付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に示す、搬送台車、搬送装置、搬送システム、レールへの搬送台車の取付方法、および、レールへの搬送装置の取付方法に関する。
【0007】
(1)第1レールおよび第2レールを含む少なくとも2本のレールに沿って走行可能な搬送台車であって、
搬送台車本体と、
前記搬送台車本体に支持される主ローラと、
副ローラを有し、前記搬送台車本体に連結される副ローラユニットと
を具備し、
前記副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過可能な第1姿勢と、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能であり、
前記副ローラユニットの姿勢が前記第2姿勢であるとき、前記搬送台車は、少なくとも2本の前記レールに沿って走行可能である
搬送台車。
(2)前記副ローラユニットが前記搬送台車本体に連結された状態で、前記副ローラユニットの姿勢を前記第1姿勢と前記第2姿勢との間で姿勢変更可能である
上記(1)に記載の搬送台車。
(3)前記副ローラユニットは、前記副ローラを支持する副ローラ支持部材を有し、
前記副ローラ支持部材は、第1軸まわりを回動可能なように、前記搬送台車本体に取り付けられている
上記(1)または(2)に記載の搬送台車。
(4)第1ストッパを更に具備し、
前記第1ストッパは、前記副ローラユニットの姿勢が前記第1姿勢から前記第2姿勢に変更されるように、前記副ローラ支持部材が前記第1軸まわりを第1回転方向に回転されるとき、前記副ローラ支持部材の回動限界を規定する
上記(3)に記載の搬送台車。
(5)前記副ローラユニットは、前記副ローラ支持部材が前記第1軸まわりに回動することを禁止するロック部材を有する
上記(3)または(4)に記載の搬送台車。
(6)前記副ローラユニットは、
前記副ローラユニットを前記搬送台車本体に固定する固定部材と、
前記固定部材を操作する操作レバーと
を備える
上記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の搬送台車。
(7)前記副ローラユニットは、前記操作レバーと前記固定部材とが係合された第1状態と、前記操作レバーと前記固定部材との係合が解除された第2状態との間で状態を切り替える状態切替機構を有する
上記(6)に記載の搬送台車。
(8)上記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載の搬送台車と、
第2搬送台車と、
前記搬送台車と前記第2搬送台車とを連結する連結部材と
を具備する
搬送装置。
(9)前記連結部材は、複数の部材に分割可能であり、
前記連結部材が前記複数の部材に分割された状態では、前記搬送台車と前記第2搬送台車とを個別に運搬可能である
上記(8)に記載の搬送装置。
(10)上記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載の搬送台車あるいは上記(8)または(9)に記載の搬送装置と、
前記搬送台車または前記搬送装置に連結される第1連結部を有する駆動台車と
を具備する搬送システム。
(11)前記搬送台車または前記搬送装置は、前記駆動台車の前記第1連結部に連結される第2連結部を有し、
前記第1連結部および前記第2連結部は、
前記搬送台車または前記搬送装置に対する前記駆動台車の第1走行方向への相対移動を、前記搬送台車または前記搬送装置が前記駆動台車を前記レールに向けて押圧する押圧力に変換する第1変換機構、および/または、
前記搬送台車または前記搬送装置に対する前記駆動台車の前記第1走行方向とは反対の方向への相対移動を、前記搬送台車または前記搬送装置が前記駆動台車を前記レールに向けて押圧する押圧力に変換する第2変換機構
を有する
上記(10)に記載の搬送システム。
(12)前記搬送台車または前記搬送装置と前記駆動台車とを含む主走行体の走行方向前方側に、前記主走行体とともに移動可能に設けられる衝突検知用の長尺部材と、
前記長尺部材の状態変化に応じて前記長尺部材への物体の衝突を検知する衝突検知センサと、
前記衝突検知センサから衝突検知信号を受信することに応じて、前記駆動台車の走行を停止させる制御装置と
を更に具備する
上記(10)または(11)に記載の搬送システム。
(13)前記主走行体の走行方向の前端と前記長尺部材との間を埋める注意喚起用の可撓性面状体を更に具備する
上記(12)に記載の搬送システム。
(14)レールへの搬送台車の取付方法であって、
前記搬送台車は、
搬送台車本体と、
前記搬送台車本体に支持される主ローラと、
副ローラを有し、前記搬送台車本体に連結される副ローラユニットと
を具備し、
前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
前記取付方法は、
前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが横切るように前記副ローラユニットを移動させる工程と、
前記副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過可能な第1姿勢から、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過不能な第2姿勢に変更する工程と
を具備する
レールへの搬送台車の取付方法。
(15)レールへの搬送装置の取付方法であって、
前記搬送装置は、
搬送台車と、
第2搬送台車と、
前記搬送台車と前記第2搬送台車とを連結する連結部材と
を具備し、
前記搬送台車は、
搬送台車本体と、
前記搬送台車本体に支持される主ローラと、
副ローラを有し、前記搬送台車本体に連結される副ローラユニットと
を備え、
前記第2搬送台車は、
第2搬送台車本体と、
前記第2搬送台車本体に支持される第2搬送台車主ローラと、
第2搬送台車副ローラを有し、前記第2搬送台車本体に連結される第2副ローラユニットと
を備え、
前記レールは、第1レールおよび第2レールを含み、
前記取付方法は、
前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが横切るように前記副ローラユニットを移動させ、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記第2搬送台車副ローラが横切るように前記第2副ローラユニットを移動させる工程と、
前記副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過可能な第1姿勢から、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記副ローラが通過不能な第2姿勢に変更し、前記第2副ローラユニットの姿勢を、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記第2搬送台車副ローラが通過可能な第1姿勢から、前記第1レールと前記第2レールとの間を前記第2搬送台車副ローラが通過不能な第2姿勢に変更する姿勢変更工程と
を具備する
レールへの搬送装置の取付方法。
(16)前記姿勢変更工程は、前記搬送台車と前記第2搬送台車とが前記連結部材を介して剛的に連結された状態で実行される
上記(15)に記載のレールへの搬送装置の取付方法。
(17)前記連結部材は、複数の部材に分割可能であり、
前記連結部材が前記複数の部材に分割された状態では、前記搬送台車と前記第2搬送台車とを個別に運搬可能であり、
前記姿勢変更工程は、前記搬送台車と前記第2搬送台車とが前記連結部材によって連結された後に実行される
上記(15)または(16)に記載のレールへの搬送装置の取付方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、レールに迅速に取り付け可能な搬送台車、搬送装置、搬送システム、搬送台車の取付方法、および、搬送装置の取り付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態における搬送台車がレールに取り付けられる様子を模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態における搬送台車がレールに取り付けられる様子を模式的に示す図である。
図3図3は、第1の実施形態における搬送台車を模式的に示す概略3面図である。
図4図4は、第1の実施形態における搬送台車を模式的に示す概略底面図である。
図5図5は、副ローラユニットが搬送台車本体に固定される様子を模式的に示す概略断面図である。
図6図6は、副ローラユニットが搬送台車本体に固定される様子を模式的に示す概略断面図である。
図7図7は、副ローラユニットが搬送台車本体に固定される様子を模式的に示す概略断面図である。
図8図8は、副ローラユニットが搬送台車本体に固定される様子を模式的に示す概略断面図である。
図9図9は、搬送台車本体の変形例を模式的に示す概略側面図である。
図10図10は、第1の実施形態におけるレールへの搬送台車の取付方法の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、第1の実施形態の第1変形例における搬送台車を模式的に示す概略側面図である。
図12図12は、第2の実施形態における搬送装置を模式的に示す概略2面図である。
図13図13は、第2の実施形態における搬送装置がレールに取り付けられた後の様子を模式的に示す図である。
図14図14は、第2の実施形態における搬送装置がレールに取り付けられる様子を模式的に示す概略2面図である。
図15図15は、第2の実施形態におけるレールへの搬送装置の取付方法の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、第3の実施形態における搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図17図17は、図16において円Aで囲まれた部分の拡大図である。
図18図18は、第4の実施形態における搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図19図19は、第4の実施形態におけるパネル搬送システムを模式的に示す概略側面図である。
図20図20は、検知棒の配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
図21図21は、検知板の配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態における搬送台車1、搬送装置10、搬送システム100、レール91への搬送台車1の取付方法、および、レール91への搬送装置10の取付方法について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0011】
(方向の定義)
本明細書において、搬送台車1の一つの走行方向を第1走行方向MR1と定義する。搬送台車1がレール91に取り付けられている場合には、第1走行方向MR1は、レール91(例えば、第1レール91a)の延在方向と一致する。また、搬送台車1の長手方向が搬送台車1の走行方向と一致する場合には、第1走行方向MR1は、搬送台車1の長手方向と一致する。
【0012】
第1レール91aの中心軸と第2レール91bの中心軸とを含む平面を第1平面PL1と定義する。また、第1平面PL1の一方側から他方側に向かう方向を第1方向DR1と定義する。図1に記載の例では、第1方向DR1は、下方向である。代替的に、第1方向DR1は、上方向あるいはその他の方向であってもよい。
【0013】
本明細書において、搬送台車1の幅方向を第2方向DR2と定義する。なお、搬送台車1の幅方向とは、搬送台車1が第1レール91aおよび第2レール91bを含むレール91に取り付けられるとき、第1レール91aから第2レール91bに向かう方向と平行な方向である。
【0014】
(第1の実施形態)
図1乃至図11を参照して、第1の実施形態における搬送台車1A、レール91への搬送台車の取付方法について説明する。図1および図2は、第1の実施形態における搬送台車1Aがレール91に取り付けられる様子を模式的に示す図である。図3は、第1の実施形態における搬送台車1Aを模式的に示す概略3面図である。図3の上段の左側には概略正面図が記載され、図3の上段の右側には概略側面図が記載され、図3の下段には概略底面図が記載されている。図4は、第1の実施形態における搬送台車1Aを模式的に示す概略底面図である。図5乃至図8は、副ローラユニット30が搬送台車本体20に固定される様子を模式的に示す概略断面図である。図9は、搬送台車本体20の変形例を模式的に示す概略側面図である。図10は、第1の実施形態におけるレール91への搬送台車の取付方法の一例を示すフローチャートである。図11は、第1の実施形態の第1変形例における搬送台車である駆動台車1Sを模式的に示す概略側面図である。
【0015】
第1の実施形態における搬送台車1Aは、第1レール91aおよび第2レール91bを含む少なくとも2本のレール91に沿って走行可能な搬送台車である。図1に記載の例では、第1レール91a、第2レール91bの各断面形状は円形状であるが、第1レール91a、第2レール91bの各断面形状は円形状に限定されない。
【0016】
図1に例示されるように、搬送台車1Aは、搬送台車本体20と、主ローラ21と、副ローラユニット30とを備える。
【0017】
主ローラ21は、搬送台車本体20に支持される。
【0018】
副ローラユニット30は、搬送台車本体20に連結され、副ローラ31を有する。図1に記載の例では、副ローラ31は、主ローラ21よりも小型のローラである。代替的に、副ローラ31のサイズは、主ローラ21のサイズと等しくてもよい。更に代替的に、副ローラ31のサイズは、主ローラ21のサイズより大きくてもよい。換言すれば、「主」、「副」の用語によって、ローラのサイズは限定されない。
【0019】
図2に例示されるように、副ローラユニット30の姿勢は、第1姿勢(図2(a)を参照。)と、第2姿勢(図2(b)を参照。)との間で変更可能である。
【0020】
第1姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過可能な副ローラユニット30の姿勢である。図1に記載の例において、第1姿勢の副ローラユニット30を第1方向DR1に移動させることにより、副ローラ31が、第1レール91aと第2レール91bとの間(より具体的には、第1平面PL1)を通過する。図1に記載の例では、副ローラユニット30が、搬送台車本体20に連結されている。この場合、搬送台車本体20と副ローラユニット30とが一体的に第1方向DR1に移動されることにより、副ローラ31が、第1レール91aと第2レール91bとの間を通過する。
【0021】
副ローラユニット30は、搬送台車本体20に分離可能に連結されていてもよい。例えば、搬送台車本体20に副ローラユニット30がボルト等によって仮連結された後、副ローラ31が、第1レール91aと第2レール91bとの間を通過するように、搬送台車本体20と副ローラユニット30とが一体的に第1方向DR1に移動されてもよい。更に代替的に、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が横切るように、搬送台車本体20に連結されていない副ローラユニット30が移動された後、副ローラユニット30が、搬送台車本体20に連結されてもよい。
【0022】
図2(b)に例示されるように、第2姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過不能な副ローラユニット30の姿勢である。図2(b)に例示されるように、搬送台車1Aがレール91に取り付けられた後、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢に維持されることにより、搬送台車1Aがレール91から脱落することが防止される。また、搬送台車1Aがレール91に取り付けられた後、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢に維持されることにより、搬送台車1Aは、第1レール91aおよび第2レール91bに沿って走行可能である。
【0023】
第1の実施形態では、副ローラユニット30の姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能である。この場合、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢にした状態で、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が横切るように副ローラユニット30を移動させ、その後、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更することができる。こうして、搬送台車1Aをレール91に迅速に取り付けることができる。
【0024】
図1に記載の例では、搬送台車1Aが有する副ローラユニット30の数は1個であるが、搬送台車1Aが有する副ローラユニット30の数は、2個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0025】
続いて、図1乃至図9を参照して、第1の実施形態、後述の第1変形例、あるいは、後述の第2の実施形態、第3の実施形態または第4の実施形態において、採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0026】
(搬送台車1Aの重量)
搬送台車1Aの重量は、ユーザーが1人で持ち運び可能な重量であることが好ましい。搬送台車1Aの重量は、例えば、20kg以下、10kg以下、5kg以下、3kg以下、あるいは、1kg以下である。ただし、実施形態において、搬送台車1Aの重量は限定されず、任意である。図1に記載の例では、搬送台車1Aは、外部からの駆動力あるいは人力によって駆動される受動台車である。代替的に、搬送台車1Aは、モータ等の駆動源を有し、レール91に沿って自走可能な駆動台車であってもよい。
【0027】
(搬送台車本体20)
図1に記載の例では、搬送台車本体20は、板材(例えば、金属板)によって構成されている。搬送台車本体20が板材によって構成される場合、搬送台車本体20の重量を低減することができる。搬送台車本体20は、1つの部品によって構成されていてもよく、複数の部品のアセンブリによって構成されていてもよい。
【0028】
図1に記載の例では、第1走行方向MR1に垂直な断面において、搬送台車本体20は、略U字形状を有する。搬送台車本体20は、底壁23と、第1側壁24aと、第2側壁24bとを有していてもよい。図1に記載の例では、搬送台車本体20の上方は開放されている。なお、搬送台車本体20の形状は、図1に記載の例に限定されず、任意である。例えば、搬送台車本体20は、頂壁を有していてもよい。また、第1走行方向MR1に垂直な断面において、搬送台車本体20は、略矩形形状を有していてもよい。
【0029】
(主ローラ21)
図1に記載の例では、主ローラ21は、搬送台車本体20の側部24(より具体的には、第1側壁24a、または、第2側壁24b)に支持されている。
【0030】
図1に記載の例では、搬送台車1Aは、複数の主ローラ21を有し、複数の主ローラ21は、第1主ローラ21aと、第2主ローラ21bとを含む。第1主ローラ21aの車軸WA1および第2主ローラ21bの車軸WB1は、それぞれ、第1走行方向MR1に垂直である。車軸WA1および車軸WB1は、それぞれ、水平面に平行であってもよい。また、車軸WA1および車軸WB1は、1つの直線上に配置されていてもよい。
【0031】
図1に記載の例では、第1主ローラ21aは、上方から第1レール91aに接触する上段ローラである(なお、「上方」には、斜め上方も含まれる。)。また、第2主ローラ21bは、上方から第2レール91bに接触する上段ローラである(なお、「上方」には、斜め上方も含まれる。)。
【0032】
図3に例示されるように、複数の主ローラ21は、第3主ローラ21cと、第4主ローラ21dとを含んでいてもよい。第3主ローラ21cの車軸WC1および第4主ローラ21dの車軸WD1は、それぞれ、第1走行方向MR1に垂直である。車軸WC1および車軸WD1は、1つの直線上に配置されていてもよい。
【0033】
主ローラ21のレール接面は、例えば、樹脂によって構成される。代替的に、主ローラ21のレール接面は、金属によって構成されていてもよい。
【0034】
(副ローラユニット30)
図2に記載の例では、副ローラユニット30が搬送台車本体20に連結された状態で、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢(図2(a)を参照。)と第2姿勢(図2(b)を参照。)との間で姿勢変更可能である。この場合、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過するように搬送台車本体20および副ローラユニット30を一体的に移動させる作業と、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更する作業とを連続的に実行することができる。よって、より迅速に、搬送台車1Aをレール91に取り付けることができる。
【0035】
図2に記載の例では、副ローラユニット30は、副ローラ31を支持する副ローラ支持部材32を有する。副ローラ支持部材32は、1つの部品によって構成されていてもよく、複数の部品のアセンブリによって構成されていてもよい。
【0036】
副ローラ支持部材32は、第1軸AX1まわりを回動可能なように、搬送台車本体20に取り付けられている。この場合、副ローラ支持部材32を、第1軸AX1まわりに、搬送台車本体20に対して第1回転方向R1に相対回転させることにより、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢(図2(a)を参照。)から第2姿勢(図2(b)を参照。)に変更することができる。また、副ローラ支持部材32を、第1軸AX1まわりに、搬送台車本体20に対して第2回転方向R2(換言すれば、第1回転方向R1とは反対の方向)に相対回転させることにより、副ローラユニット30の姿勢を第2姿勢(図2(b)を参照。)から第1姿勢(図2(a)を参照。)に変更することができる。
【0037】
副ローラ支持部材32が、第1軸AX1まわりを回動可能なように、搬送台車本体20に取り付けられている場合には、より迅速に、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢変更することができる。
【0038】
図2(b)に記載の例では、副ローラ支持部材32は、ベース部321と、第1脚部322aと、第2脚部322bとを有する。ベース部321は、副ローラ支持部材32が搬送台車本体20に固定された状態において、搬送台車本体20に接触する部分である。第1脚部322aは、ベース部321に連結され、第1副ローラ31aを支持する。第2脚部322bは、ベース部321に連結され、第2副ローラ31bを支持する。図2(b)に記載の例では、第1脚部322aと第2脚部322bとの間に操作レバー34が配置されている。操作レバー34については、後述される。
【0039】
図2(b)に記載の例では、副ローラユニット30は,複数の副ローラ31を有し、複数の副ローラ31は、第1副ローラ31aと、第2副ローラ31bとを含む。また、第1副ローラ31aおよび第2副ローラ31bは、副ローラ支持部材32によって支持されている。第1副ローラ31aおよび第2副ローラ31bは、主ローラ21が、レール91から脱輪するのを防止する脱輪防止ローラとして機能する。
【0040】
図2(a)に例示されるように、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢であるとき、第1副ローラ31aの車軸WA2は、第1走行方向MR1と非垂直である。このため、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢であるとき、第1副ローラ31aは、第1走行方向MR1に沿う方向の走行に適さない。他方、図2(b)に例示されるように、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢であるとき、第1副ローラ31aの車軸WA2は、第1走行方向MR1と垂直である。このため、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢であるとき、第1副ローラ31aは、第1走行方向MR1に沿う方向の走行に適している。図2(a)あるいは図2(b)に記載の例では、車軸WA2は、水平面に対して傾斜している。代替的に、車軸WA2は、水平面に対して平行であってもよい。
【0041】
図2(b)に記載の例では、第1副ローラ31aは、下方から第1レール91aに接触する下段ローラである(なお、「下方」には、斜め下方も含まれる。)。
【0042】
第1副ローラ31aと同様に、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢であるとき、第2副ローラ31bの車軸WB2は、第1走行方向MR1と非垂直である。他方、図2(b)に例示されるように、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢であるとき、第2副ローラ31bの車軸WB2は、第1走行方向MR1と垂直である。車軸WB2は、水平面に対して傾斜していてもよいし、水平面に対して平行であってもよい。図2(b)に記載の例では、車軸WB2は、車軸WA2と非平行である。代替的に、車軸WB2と車軸WA2とは、平行であってもよいし、一直線上に配置されていてもよい。
【0043】
図2(b)に記載の例では、第2副ローラ31bは、下方から第2レール91bに接触する下段ローラである(なお、「下方」には、斜め下方も含まれる。)。
【0044】
図3に記載の例において、第1副ローラ31aの外縁と、第2副ローラ31bの外縁との間の距離L1は、第1レール91aの内側縁と第2レール91bの内側縁との間の間隔よりも大きい。当該距離L1は、例えば、15cm程度(10cm以上20cm以下)である。なお、実施形態において、距離L1は、15cm程度に限定されず、任意である。
【0045】
図4(a)に記載の例では、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢であるとき、第1副ローラ31aの中心と、第2副ローラ31bの中心とを結ぶ直線N1は、第1走行方向MR1に垂直であり、水平面に平行である。他方、図4(b)に記載の例では、副ローラユニットの姿勢が第1姿勢であるとき、第1副ローラ31aの中心と、第2副ローラ31bの中心とを結ぶ直線N1は、第1走行方向MR1に平行であり、水平面に平行である。
【0046】
図4(a)に記載の例では、副ローラ31の第1走行方向MR1に沿う方向における位置は、主ローラ21の第1走行方向MR1に沿う方向における位置と異なっている。より具体的には、第1走行方向MR1に沿う方向における副ローラ31の位置は、第1走行方向MR1に沿う方向における主ローラ21の位置とオーバーラップしていない。この場合、レール91間の継ぎ目に段差がある場合、あるいは、レール91の表面に他部材(必要であれば、図13のバンド95を参照。)が配置されている場合、搬送台車1Aが、当該段差あるいは当該他部材を乗り越えやすい。
【0047】
図4(a)に記載の例では、副ローラユニット30が第2姿勢である状態において、第1走行方向MR1に沿う方向にみて、第1副ローラ31aおよび第2副ローラ31bは、第1主ローラ21aおよび第2主ローラ21bが存在する領域AR1と、第3主ローラ21cおよび第4主ローラ21dが存在する領域AR2との間の領域AR3に配置されている。代替的に、副ローラユニット30が第2姿勢である状態において、第1副ローラ31aおよび第2副ローラ31bは、上述の領域AR1、領域AR2、領域AR3以外の領域に配置されていてもよい。
【0048】
副ローラ31のレール接面は、例えば、金属によって構成される。代替的に、副ローラ31レール接面は、樹脂によって構成されていてもよい。
【0049】
(中段ローラ27)
図2(a)に記載の例では、搬送台車1Aは、中段ローラ27を有する。中段ローラ27は、側方からレール91に接触する。中段ローラ27は、搬送台車1Aの横動(換言すれば、レールの幅方向に沿う方向の移動)を抑制する。
【0050】
図2(a)に記載の例では、中段ローラ27は、搬送台車本体20の底部(より具体的には、底壁23)に支持されている。
【0051】
図2(a)に記載の例では、搬送台車1Aは、複数の中段ローラ27を有し、複数の中段ローラ27は、第1中段ローラ27aと、第2中段ローラ27bとを含む。第1中段ローラ27aの車軸WA3および第2中段ローラ27bの車軸WB3は、それぞれ、第1方向DR1(より具体的には、鉛直方向)に平行である。
【0052】
図3に記載の例では、第1中段ローラ27aおよび第2中段ローラ27bの第1走行方向MR1に沿う方向における位置は、第1主ローラ21aおよび第2主ローラ21bの第1走行方向MR1に沿う方向における位置と略一致している。この場合、第1走行方向MR1に沿う方向における搬送台車1Aの長さをコンパクトにすることができる。
【0053】
図3に例示されるように、複数の中段ローラ27は、第3中段ローラ27cと、第4中段ローラ27dとを含んでいてもよい。図3に記載の例では、第3中段ローラ27cおよび第4中段ローラ27dの第1走行方向MR1に沿う方向における位置は、第3主ローラ21cおよび第4主ローラ21dの第1走行方向MR1に沿う方向における位置と略一致している。
【0054】
中段ローラ27のレール接面は、例えば、金属によって構成される。代替的に、中段ローラ27のレール接面は、樹脂によって構成されていてもよい。
【0055】
(第1ストッパ28a、第2ストッパ28b)
図4(a)に記載の例では、搬送台車1Aは、第1軸AX1まわりの副ローラ支持部材32の回動を規制する第1ストッパ28aおよび/または第2ストッパ28bを有する。図4に記載の例では、第1ストッパ28aおよび/または第2ストッパ28bは、搬送台車本体20に設けられている。より具体的には、第1ストッパ28aおよび/または第2ストッパ28bは、搬送台車本体20の表面から突出するように設けられている。第1ストッパ28aおよび/または第2ストッパ28bは、搬送台車本体20を貫通するように配置されたボルト、あるいは、当該ボルトに係合するナットであってもよい。
【0056】
第1ストッパ28aは、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変更されるように、副ローラ支持部材32が第1軸AX1まわりを第1回転方向R1に回転されるとき、副ローラ支持部材32の回動限界を規定する。副ローラ支持部材32が第1ストッパ28aに接触した状態が、副ローラユニット30の第2姿勢に対応することが好ましい。この場合、副ローラ支持部材32が第1ストッパ28aに接触するまで、副ローラ支持部材32を回動させることにより、自動的に、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢となる。
【0057】
図4(a)に記載の例では、搬送台車本体20に2個の第1ストッパ28aが配置されている。代替的に、搬送台車本体20に配置される第1ストッパ28aの数は、1個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0058】
第2ストッパ28bは、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢から第1姿勢に変更されるように、副ローラ支持部材32が第1軸AX1まわりを第2回転方向R2に回転されるとき、副ローラ支持部材32の回動限界を規定する。副ローラ支持部材32が第2ストッパ28bに接触した状態が、副ローラユニット30の第1姿勢に対応することが好ましい。この場合、副ローラ支持部材32が第2ストッパ28bに接触するまで、副ローラ支持部材32を回動させることにより、自動的に、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢となる。
【0059】
図4(b)に記載の例では、搬送台車本体20に2個の第2ストッパ28bが配置されている。代替的に、搬送台車本体20に配置される第2ストッパ28bの数は、1個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0060】
(ロック部材38)
図5に例示されるように、副ローラユニット30は、副ローラ支持部材32が第1軸AX1まわりに回動することを禁止するロック部材38を備えていてもよい。図5に記載の例では、ロック部材38が第1係合部29aに係合するとき、副ローラ支持部材32の回動が禁止される。
【0061】
ロック部材38は、搬送台車本体20に形成された第1係合部29aに係合可能である。図5に記載の例では、ロック部材38、第1係合部29aが、それぞれ、2個設けられているが、ロック部材38、第1係合部29aの数は、2個に限定されない。図5に記載の例では、ロック部材38が、係合凸部K1を有し、第1係合部29aが、係合穴部K2または係合凹部を有する。代替的に、ロック部材38が係合穴部K2または係合凹部を有し、第1係合部29aが係合凸部K1を有していてもよい。また、係合凸部K1の係合表面は、球状面であってもよい。図4(a)に記載の例では、ロック部材38が第1係合部29aに係合することにより、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢に維持される。
【0062】
図4(b)に例示されるように、ロック部材38は、搬送台車本体20に形成された第2係合部29bに係合可能であってもよい。図4(b)に記載の例では、第2係合部29bが2個設けられているが、第2係合部29bの数は2個に限定されない。ロック部材38が、係合凸部K1を有する場合には、第2係合部29bは、係合穴部K2または係合凹部を有することが好ましく、ロック部材38が係合穴部K2または係合凹部を有する場合には、第2係合部29bは係合凸部K1を有することが好ましい。図4(b)に記載の例では、ロック部材38が第2係合部29bに係合することにより、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢に維持される。
【0063】
副ローラユニット30が、ロック部材38を有する場合、副ローラ支持部材32の意図せぬ回動が防止される。また、副ローラ支持部材32が、螺合によって、搬送台車本体20に固定される場合、副ローラ支持部材32の意図せぬ回動が防止されることにより、螺合の弛みが防止される。
【0064】
(固定部材33、および、操作レバー34)
図5に記載の例では、副ローラユニット30は、固定部材33を有する。固定部材33は、副ローラユニット30(より具体的には、副ローラ支持部材32)を、搬送台車本体20に固定する。固定部材33は、搬送台車本体20に螺合するネジ棒331を有していてもよい。この場合、搬送台車本体20は、ネジ棒331に螺合するネジ穴を有するか、ネジ棒331に螺合するナット201を有することが好ましい。
【0065】
副ローラユニット30は、固定部材33を操作する操作レバー34を有することが好ましい。この場合、工具を用いることなく、副ローラユニット30に付属する操作レバー34を操作するだけで、副ローラユニット30を搬送台車本体20に固定することができる。また、副ローラユニット30に付属する操作レバー34を操作するだけで、搬送台車本体20に対する副ローラユニット30の固定を解除することができる。
【0066】
図5に記載の例では、固定部材33(より具体的には、ネジ棒331)は、副ローラ支持部材32を押圧する押圧面331aを有する。図5に記載の例では、操作レバー34の操作によりネジ棒331が駆動され、ネジ棒331の駆動により、押圧面331aと搬送台車本体20との間の間隔が変化する。押圧面331aと搬送台車本体20との間の間隔が縮小されて、押圧面331aと搬送台車本体20とによって副ローラ支持部材32が挟持されることにより、副ローラユニット30(より具体的には、副ローラ支持部材32)が、搬送台車本体20に固定される。他方、押圧面331aと搬送台車本体20との間の間隔が拡大されて、押圧面331aと搬送台車本体20とによる副ローラ支持部材32の挟持が解除されることにより、搬送台車本体20に対する副ローラユニット30の固定が解除される。
【0067】
図5に記載の例では、副ローラユニット30は、操作レバー34と固定部材33(より具体的には、ネジ棒331)とが係合された第1状態と、操作レバー34と固定部材33(より具体的には、ネジ棒331)との間の係合が解除された第2状態との間で状態を切り替える状態切替機構Mを有する。
【0068】
状態切替機構Mは、固定部材側係合部M1と、操作レバー側係合部M2とを備える。図5に記載の例では、固定部材側係合部M1は、固定部材側歯部(より具体的には、外向きに突出する外歯)を有し、操作レバー側係合部M2は、操作レバー側歯部(より具体的には、内向きに突出する内歯)を有する。代替的に、固定部材側係合部M1は、任意の形状の凸部あるいは凹部を有し、操作レバー側係合部M2は、当該凸部あるいは凹部に係合する任意の形状の凹部あるいは凸部を有していてもよい。
【0069】
図5に記載の例では、状態切替機構Mは、副ローラユニット30の状態が第1状態に維持されるように操作レバー34を付勢する付勢部材35を有していてもよい。図5に記載の例では、付勢部材35の付勢力によって、操作レバー側係合部M2と固定部材側係合部M1とが係合した状態(換言すれば、第1状態)が維持される。この場合、操作レバー34の操作中に、意図せずして、操作レバー側係合部M2と固定部材側係合部M1との間の係合が外れることが防止される。付勢部材35は、操作レバー34と固定部材33(より具体的には、後述のアタッチメント331d)との間に配置されていることが好ましい。
【0070】
図5を参照して、状態切替機構Mの構造の一例について更に詳細に説明する。
【0071】
図5に記載の例では、固定部材33(より具体的には、ネジ棒331)は、ネジを有する軸部331bと、軸部331bに連結された頭部331cと、頭部331cに固定可能なアタッチメント331dとを有する。アタッチメント331d、例えば、ネジ部材である。頭部331c(より具体的には、頭部331cの外周面)には、固定部材側係合部M1が設けられている。
【0072】
操作レバー34は、ユーザーによって操作される操作部341と、操作レバー側係合部M2と、抜け防止部342とを有する。操作レバー34は、固定部材側係合部M1を覆うように配置されるカバー343を有していてもよい。操作部341は、例えば、第1軸AX1まわりを回動可能な操作アームによって構成される。操作レバー側係合部M2は、例えば、カバー343の内側に配置される。抜け防止部342は、頭部331cとアタッチメント331dとの間に配置され、操作レバー34が固定部材33から脱落することを防止する。図5に記載の例では、抜け防止部342とアタッチメント331dとの間に上述の付勢部材35が配置されている。
【0073】
図5に記載の例において、操作レバー34が、第1軸AX1に沿って、固定部材側係合部M1と操作レバー側係合部M2との間の係合が解除される方向(図5では、下方向)に移動されると、操作レバー34と固定部材33との間の係合が解除された第2状態となる(図8(a)を参照。)。他方、操作レバー34が、第1軸AX1に沿って、固定部材側係合部M1と操作レバー側係合部M2とが係合する方向(図8(a)では、上方向)に移動されると、操作レバー34と固定部材33とが係合された第1状態となる(図8(b)を参照。)。なお、第1状態と第2状態との間で状態を切り替える状態切替機構Mの用途については、後述のサブステップST3-2乃至サブステップST3-4において説明される。
【0074】
(搬送台車本体20の変形例)
図9を参照して、搬送台車本体20の変形例について説明する。図9に例示されるように、搬送台車本体20は、主ローラ21を支持する第1フレーム20aと、副ローラユニット30が連結される第2フレーム20bとを有していてもよい。図9に記載の例では、第1フレーム20aと第2フレーム20bとがボルト等の締結部材により一体化され、第1フレーム20aおよび第2フレーム20bが搬送台車本体20として機能する。
【0075】
図9に記載の例では、搬送台車1Aは、2個の副ローラユニット30を有する。また、図9に記載の例では、各副ローラユニット30の姿勢を、上述の第1姿勢と上述の第2姿勢との間で姿勢変更可能である。代替的に、搬送台車1Aは、1個のみの副ローラユニット30を有していてもよいし、3個以上の副ローラユニット30を有していてもよい。
【0076】
(パネル支持部材51)
図9に例示されるように、搬送台車1Aによって搬送される搬送対象物は、パネルPであってもよい。図9に記載の例では、搬送台車1Aは、パネルPを起立姿勢で支持するパネル支持部材51を有する。図9に記載の例では、搬送台車1Aは、長尺パネルPsの一端部を支持する。長尺パネルPsの他端部は、他の搬送台車によって支持されてもよい。搬送台車1Aと他の搬送台車とは任意の連結具を介して連結されていてもよい。代替的に、搬送台車1Aと他の搬送台車とは、長尺パネルPsのみを介して連結されていてもよい。換言すれば、搬送物である長尺パネルPsが、搬送台車1Aと他の搬送台車とを連結する部材として機能してもよい。
【0077】
図9に記載の例では、パネル支持部材51は、搬送台車本体20に取り付けられている。
【0078】
(レール91への搬送台車1の取付方法)
続いて、図1乃至図10を参照して、第1の実施形態におけるレール91への搬送台車1の取付方法について説明する。図10は、第1の実施形態におけるレール91への搬送台車1の取付方法の一例を示すフローチャートである。
【0079】
第1の実施形態におけるレール91への搬送台車の取付方法において、レール91に取り付けられる搬送台車1は、第1の実施形態における搬送台車1Aであってもよいし、その他の搬送台車であってもよい。搬送台車1は、(1)搬送台車本体20と、(2)搬送台車本体20に支持される主ローラ21と、(3)副ローラ31を有し、搬送台車本体20に連結される副ローラユニット30と、を備える。
【0080】
第1ステップST1において、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が横切るように副ローラユニット30が移動される。第1ステップST1は、副ローラユニット移動工程である。副ローラユニット移動工程では、副ローラユニット30と搬送台車本体20とが一体的に移動されることが好ましい。
【0081】
図2(a)には、第1ステップST1(副ローラユニット移動工程)を実行後の様子が示されている。第1レール91aの中心軸と第2レール91bの中心軸とを含む平面を第1平面PL1と定義するとき、第1ステップST1(副ローラユニット移動工程)の実行により、主ローラ21が第1平面PL1の一方側(例えば、上方)に配置され、副ローラ31が第1平面PL1の他方側(例えば、下方)に配置される。
【0082】
第2ステップST2において、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変更される。第2ステップST2は、姿勢変更工程である。第1姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過可能な副ローラユニット30の姿勢に対応し、第2姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過不能な副ローラユニット30の姿勢に対応する。姿勢変更工程は、例えば、副ローラユニット30を、第1軸AX1まわりに、第1回転方向R1に回転させることを含む。
【0083】
図2(a)に記載の例では、姿勢変更工程は、副ローラユニット30が搬送台車本体20に連結された状態で、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更することを含む。また、図2(a)に記載の例では、姿勢変更工程は、副ローラ31を支持する副ローラ支持部材32を、第1軸AX1まわりに回動させることを含む。また、図4(a)に例示されるように、姿勢変更工程は、第1ストッパ28aに接触するまで、副ローラ支持部材32を第1軸AX1まわりに回動させることを含んでいてもよい。図2(b)には、第2ステップST2(姿勢変更工程)を実行後の様子が示されている。
【0084】
第3ステップST3において、副ローラユニット30が搬送台車本体20に固定される。第3ステップST3は、固定工程である。図5に例示されるように、固定工程は、副ローラユニット30を搬送台車本体20に固定するための固定部材33が、操作レバー34によって操作されることにより実行されてもよい。また、図6に例示されるように、固定工程の実行後、副ローラ支持部材32の第1軸AX1まわりの回動がロック部材38によって禁止されるようにされてもよい。第3ステップST3は、後述のサブステップST3-1を含んでいてもよい。
【0085】
サブステップST3-1において、固定部材33の押圧面331aと搬送台車本体20との間の間隔が縮小するように、操作レバー34が操作される。サブステップST3-1は、間隔縮小工程である。図5に記載の例では、固定部材33は、搬送台車本体20に螺合するネジ棒331を有する。図5に記載の例において、操作レバー34が、第1軸AX1まわりに第1操作方向RA1に操作されると、ネジ棒331がネジ棒の先端側に前進する。こうして、固定部材33の押圧面331aと搬送台車本体20との間の間隔が縮小される。
【0086】
サブステップST3-1(間隔縮小工程)は、副ローラユニット30が第1ストッパ28aに接触した状態(図4(a)を参照。)で実行されることが好ましい。この場合、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢に維持された状態で、副ローラユニット30が搬送台車本体20に固定されることとなる。また、図4(a)に記載の例では、副ローラユニット30が第1ストッパ28aに接触した状態において、第1ストッパ28aは、副ローラユニット30が、第1操作方向RA1と同方向に回動することを防止する。換言すれば、第1ストッパ28aは、操作レバー34が、第1軸AX1まわりに第1操作方向RA1に操作されるときに、副ローラユニット30が操作レバー34と共回りすることを防止する。
【0087】
サブステップST3-1の実行後、依然として、副ローラユニット30が搬送台車本体20に固定されていない場合(図7(a)を参照。)には、後述のサブステップST3-2乃至サブステップST3-4が実行されてもよい。
【0088】
サブステップST3-2において、副ローラユニット30の状態が、操作レバー34と固定部材33とが係合された第1状態(図7(a)を参照。)から、操作レバー34と固定部材33との係合が解除された第2状態(図7(b)を参照。)に切り替えられる。サブステップST3-2は、第1の状態切替工程である。
【0089】
サブステップST3-2は、例えば、操作レバー34を、第1軸AX1に沿って移動させることを含む。図7(a)に記載の例において、操作レバー34を、第1軸AX1に沿って、搬送台車本体20から離れる方向に移動させると、操作レバー側係合部M2と固定部材側係合部M1との間の係合が解除される。サブステップST3-2(第1の状態切替工程)は、付勢部材35による付勢力に抗して、操作レバー34を移動させることを含んでいてもよい。
【0090】
サブステップST3-3において、操作レバー34が、第1軸AX1まわりに第2操作方向RA2(第1操作方向RA1とは反対の方向)に操作される(図7(b)を参照。)。その結果、第1軸AX1まわりの操作レバー34の角度位置が元の位置に戻される(図8(a)を参照。)。サブステップST3-3は、操作レバー34の戻し工程である。
【0091】
サブステップST3-4において、副ローラユニット30の状態が、操作レバー34と固定部材33との間の係合が解除された第2状態(図8(a)を参照。)から、操作レバー34と固定部材33とが係合された第1状態(図8(b)を参照。)に切り替えられる。サブステップST3-4は、第2の状態切替工程である。
【0092】
サブステップST3-4は、例えば、操作レバー34を、第1軸AX1に沿って移動させることを含む。図8(a)に記載の例において、操作レバー34を、第1軸AX1に沿って、搬送台車本体20に近づく方向に移動させると、操作レバー側係合部M2と固定部材側係合部M1とが係合される。こうして、操作レバー34を、再度、第1操作方向RA1に操作することが可能となる。換言すれば、サブステップST3-4の実行後、再度、サブステップST3-1を実行することが可能となる。
【0093】
上述のサブステップST3-1乃至ST3-4は、副ローラユニット30が搬送台車本体20に固定されるまで実行される。
【0094】
第1の実施形態におけるレール91への搬送台車1の取付方法では、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が横切るように副ローラユニット30を移動させる工程と、副ローラユニット30の姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過可能な第1姿勢から、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過不能な第2姿勢に変更する工程とを含む。よって、搬送台車1をレール91に迅速に取り付けることができる。
【0095】
なお、レール91からの搬送台車1の取り外しは、レール91への搬送台車1の取付方法とは逆の手順で実行される。
【0096】
すなわち、第1に、搬送台車本体20に対する副ローラユニット30の固定が解除される。(1)当該固定の解除は、操作レバー34を第2操作方向RA2に操作することにより、固定部材33の押圧面331aと搬送台車本体20との間の間隔を拡大させることを含んでいてもよい。(2)なお、操作レバー34を第2操作方向RA2に一回操作するだけでは、ロック部材38と第1係合部29aとの間の係合が解除されない場合には、(2a)操作レバー側係合部M2と固定部材側係合部M1との間の係合を解除させる工程と、(2b)操作レバー34を、第1軸AX1まわりに第1操作方向RA1に操作して、操作レバー34の角度位置を元の角度位置に戻す工程と、(2c)操作レバー側係合部M2と固定部材側係合部M1とを係合させる工程と、(2d)操作レバー34を、再度、第2操作方向RA2に操作することにより、固定部材33の押圧面331aと搬送台車本体20との間の間隔を更に拡大させる工程と、が実行されてもよい。
【0097】
第2に、副ローラユニット30の姿勢が第2姿勢から第1姿勢に変更される。当該姿勢の変更は、例えば、副ローラユニット30を、第1軸AX1まわりに、第2回転方向R2に回転させることにより実行される。そして、第3に、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が横切るように副ローラユニット30が移動される。
【0098】
以上の工程により、レール91から搬送台車1が取り外される。
【0099】
(第1の実施形態の第1変形例)
図11を参照して、第1の実施形態の第1変形例における搬送台車1について説明する。図11は、第1の実施形態の第1変形例における搬送台車1を模式的に示す概略側面図である。
【0100】
第1の実施形態の第1変形例における搬送台車1は、自走可能な駆動台車1Sである点において、上述の搬送台車1Aとは異なる。なお、駆動台車1S(搬送台車1)は、駆動台車自体に搭載される搬送物を搬送するように構成されていてもよいし、駆動台車1Sに連結された受動台車に搭載される搬送物を搬送するように構成されていてもよい。
【0101】
図11に記載の例において、駆動台車1Sは、第1レール91aおよび第2レール91bを含む少なくとも2本のレール91に沿って走行可能な搬送台車1である。
【0102】
駆動台車1Sは、駆動台車本体20-Sと、駆動台車本体20-Sに支持される駆動台車主ローラ21-Sと、駆動台車副ローラ31-Sを有する駆動台車副ローラユニット30-Sと、を具備する。駆動台車副ローラユニット30-Sは、駆動台車本体20-Sに連結される。
【0103】
駆動台車1Sにおいて、駆動台車副ローラユニット30-Sの姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を駆動台車副ローラ31-Sが通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を駆動台車副ローラ31-Sが通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能である。また、駆動台車副ローラユニット30-Sの姿勢が第2姿勢であるとき、駆動台車1Sは、少なくとも2本のレール91に沿って走行可能である。
【0104】
よって、第1の実施形態の第1変形例は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0105】
なお、第1の実施形態の第1変形例では、上述の第1の実施形態において説明された事項を全て採用可能である。第1の実施形態の説明において、「搬送台車1A」、「搬送台車本体20」、「主ローラ21」、「副ローラユニット30」、「副ローラ31」を、それぞれ、「駆動台車1S」、「駆動台車本体20-S」、「駆動台車主ローラ21-S」、「駆動台車副ローラユニット30-S」、「駆動台車副ローラ31-S」に読み替えれば、第1の実施形態の第1変形例の説明となる。
【0106】
なお、図11に記載の例では、駆動台車1Sは、2個の駆動台車副ローラユニット30-Sを有し、各駆動台車副ローラユニット30-Sの姿勢を、上述の第1姿勢と上述の第2姿勢との間で姿勢変更可能である。代替的に、駆動台車1Sは、1個のみの駆動台車副ローラユニット30-Sを有していてもよいし、3個以上の駆動台車副ローラユニット30-Sを有していてもよい。
【0107】
続いて、駆動台車1Sに特有の構成について説明する。駆動台車1Sは、モータ81と、モータ81の駆動を制御する制御装置83とを備える。モータ81は、主ローラ21-Sのうちの少なくとも1つを駆動ローラとして駆動させる。駆動台車1Sは、モータ81に電力を供給するバッテリ、および/または、外部のコントローラからの制御指令を受信する受信機(より具体的には、アンテナ)を備えていてもよい。
【0108】
図11に記載の例では、駆動台車1Sは、受動台車に連結可能な第1連結部60sを有する。駆動台車1Sの第1連結部60sが受動台車に連結されることにより、受動台車は、駆動台車1Sとともに、レール91に沿って移動することができる。
【0109】
(第2の実施形態)
図1乃至図9図12乃至図14を参照して、第2の実施形態における搬送装置10Aについて説明する。図12は、第2の実施形態における搬送装置10Aを模式的に示す概略2面図である。図12の上側には概略側面図が記載され、図12の下側には概略底面図が記載されている。図13は、第2の実施形態における搬送装置10Aがレール91に取り付けられた後の様子を模式的に示す図である。図14は、第2の実施形態における搬送装置10Aがレール91に取り付けられる様子を模式的に示す概略2面図である。図14の左側には概略正面図が記載され、図14の右側には概略側面図が記載されている。
【0110】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0111】
図12に例示されるように、第2の実施形態における搬送装置10Aは、第1の実施形態における搬送台車1Aと、第2搬送台車1Bと、連結部材110と、を備える。図12に記載の例では、搬送装置10Aが備える台車の数は2個であるが、搬送装置10Aが備える台車の数は3個以上であってもよい。
【0112】
第2の実施形態における搬送装置10Aは、第1の実施形態における搬送台車1Aを備えるため、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が奏される。
【0113】
第2搬送台車1Bは、第1の実施形態における搬送台車1Aと同じ構造の台車であってもよいし、第1の実施形態における搬送台車1Aとは異なる構造の台車であってもよい。
【0114】
連結部材110は、搬送台車1Aと第2搬送台車1Bとを連結する。図12に記載の例では、搬送台車1A(より具体的には、搬送台車本体20)は、連結部材110の第1部分111に、搬送台車1Aの幅方向(換言すれば、第2方向DR2)に平行な第1揺動軸AT1まわりに揺動可能に連結されている。搬送台車1Aが、連結部材110に対して第1揺動軸AT1まわりを揺動可能な場合、搬送台車1Aは、レール91の段差、あるいは、レール91の表面の他部材(必要であれば、図13のバンド95を参照。)を円滑に乗り越えることができる。なお、連結部材110の第1部分111に対する搬送台車1Aの相対運動は、第1揺動軸AT1まわりの運動を除き、実質的に拘束されていてもよい(もちろん、第1揺動軸AT1まわりの運動を許容するために確保される遊びの範囲内での任意の方向の運動は許容される。)。
【0115】
図12に記載の例では、第2搬送台車1B(より具体的には、第2搬送台車本体20-B)は、連結部材110の第2部分112に、第2搬送台車1Bの幅方向(換言すれば、第2方向DR2)に平行な第2揺動軸AT2まわりに揺動可能に連結されている。第2搬送台車1Bが、連結部材110に対して第2揺動軸AT2まわりを揺動可能な場合、第2搬送台車1Bは、レール91の段差、あるいは、レール91の表面の他部材を円滑に乗り越えることができる。なお、連結部材110の第2部分112に対する第2搬送台車1Bの相対運動は、第2揺動軸AT2まわりの運動を除き、実質的に拘束されていてもよい(もちろん、第2揺動軸AT2まわりの運動を許容するために確保される遊びの範囲内での任意の方向の運動は許容される。)。
【0116】
図12に記載の例では、第1揺動軸AT1まわりの搬送台車1Aの運動、および、第2揺動軸AT2まわりの第2搬送台車1Bの運動を除き、搬送台車1Aと第2搬送台車1Bとの間の相対位置関係が、連結部材110によって一定に維持される。この場合、搬送装置10Aは、長尺な搬送物等をより安定的に搬送することが可能となる。
【0117】
図12に記載の例では、連結部材110は、搬送台車1Aの第1走行方向MR1に沿って延在する剛性フレーム110aを有する。搬送台車1Aは、剛性フレーム110aの第1部分111に連結され、第2搬送台車1Bは、剛性フレーム110aの第2部分112に連結される。なお、第2の実施形態において、連結部材110は、必ずしも、剛性フレーム110aである必要はない。連結部材110は、搬送台車1Aと第2搬送台車1Bとを連結するボルトであってもよい。
【0118】
(第2搬送台車1B)
図12に記載の例では、第2搬送台車1Bは、第2搬送台車本体20-Bと、主ローラ21-Bと、中段ローラ27-Bと、第1ストッパ28a-Bと、第2ストッパ28b-Bと、第1係合部29a-Bと、第2係合部29b-Bと、第2副ローラユニット30-Bと、副ローラ31-Bと、第2副ローラ支持部材32-Bと、第2固定部材33-Bと、第2操作レバー34-Bと、第2ロック部材38-Bと、第2状態切替機構M-Bと、を備える。これらの構成に対応する構成については、既に、第1の実施形態において説明済みである。よって、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。なお、第1の実施形態における説明において、「搬送台車1A」、「搬送台車本体20」、「主ローラ21」、「中段ローラ27」、「第1ストッパ28a」、「第2ストッパ28b」、「第1係合部29a」、「第2係合部29b」、「副ローラユニット30」、「副ローラ31」、「副ローラ支持部材32」、「固定部材33」、「操作レバー34」、「ロック部材38」、「状態切替機構M」、「第1軸AX1」を、それぞれ、「第2搬送台車1B」、「第2搬送台車本体20-B」、「主ローラ21-B」、「中段ローラ27-B」、「第1ストッパ28a-B」、「第2ストッパ28b-B」、「第1係合部29a-B」、「第2係合部29b-B」、「第2副ローラユニット30-B」、「副ローラ31-B」、「第2副ローラ支持部材32-B」、「第2固定部材33-B」、「第2操作レバー34-B」、「第2ロック部材38-B」、「第2状態切替機構M-B」、「第2軸AX2」に読み替えることにより、これらの構成の説明とする。
【0119】
上述の読み替えの結果、第2搬送台車1Bは、(1)第2搬送台車本体20-Bと、(2)第2搬送台車本体20-Bに支持される主ローラ21-Bと、(3)副ローラ31-Bを有し、第2搬送台車本体20-Bに連結される第2副ローラユニット30-Bと、を具備することが自明である。また、(4)第2搬送台車1Bにおいて、第2副ローラユニット30-Bの姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31-Bが通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31-Bが通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能であることが自明である。
【0120】
なお、第1の実施形態において、任意付加的な構成として説明された事項は、第2搬送台車1Bにおいても任意付加的な構成(換言すれば、採用可能な構成であり、また、省略可能な構成)である。
【0121】
(剛性フレーム110a)
図12に記載の例において、剛性フレーム110aは、長尺フレームである。剛性フレーム110aのアスペクト比(換言すれば、剛性フレーム110aの長さを、平面視における剛性フレームの最大幅で割ることにより得られる値)は、例えば、3以上、5以上、あるいは、8以上である。剛性フレーム110aの長さは、60cm以上であってもよく、120cm以上であってもよく、180cm以上であってもよい。なお、剛性フレーム110aは、複数の部品のアセンブリによって構成されていても構わない。
【0122】
図13に例示されるように、剛性フレーム110aの長手方向に垂直な断面における剛性フレーム110aの断面形状は、矩形枠形状等の閉枠形状であることが好ましい。ただし、剛性フレーム110aの断面形状は、C形枠形状等の開枠形状であっても構わない。剛性フレーム110aの長手方向に垂直な断面における剛性フレーム110aの断面形状が枠形状であることにより、剛性フレーム110aの重量が低減される。また、断面形状が、閉じた形状である場合には、剛性フレーム110aがより高剛性となる。
【0123】
(第1レール91aと第2レール91bとを連結する連結部材93)
図13に記載の例では、第1レール91aと第2レール91bとが連結部材93によって連結されている。連結部材93は、ブラケット94と、第1バンド95aと、第2バンド95bとを含む。第1バンド95aの一部は、第1レール91aに掛け回され、第1バンド95aの他の一部は、ブラケット94に掛け回されている。また、第2バンド95bの一部は、第2レール91bに掛け回され、第2バンド95bの他の一部は、ブラケット94に掛け回されている。第1バンド95a、第2バンド95bは、例えば、金属製のバンドである。
【0124】
(レール91への搬送装置10の取付方法)
続いて、図1乃至図15を参照して、第2の実施形態におけるレール91への搬送装置10の取付方法について説明する。図15は、第2の実施形態におけるレール91への搬送装置10の取付方法の一例を示すフローチャートである。
【0125】
第2の実施形態におけるレール91への搬送装置の取付方法において、レール91に取り付けられる搬送装置10は、第2の実施形態における搬送装置10Aであってもよいし、その他の搬送装置であってもよい。搬送装置10は、(1)搬送台車1Aと、(2)第2搬送台車1Bと、(3)搬送台車1Aと第2搬送台車1Bとを連結する連結部材110と、を備える。(4)搬送台車1Aは、搬送台車本体20と、搬送台車本体20に支持される主ローラ21と、副ローラ31を有し、搬送台車本体20に連結される副ローラユニット30と、を備える。(5)第2搬送台車1Bは、第2搬送台車本体20-Bと、第2搬送台車本体20-Bに支持される第2搬送台車主ローラ21-Bと、第2搬送台車副ローラ31-Bを有し、第2搬送台車本体20-Bに連結される第2副ローラユニット30-Bと、を備える。
【0126】
なお、図12に記載の例では、連結部材110は、搬送台車1Aおよび第2搬送台車1Bを、それぞれ、揺動軸(AT1、AT2)まわりに揺動可能に支持している。代替的に、図16に例示されるように、連結部材110は、搬送台車1Aと第2搬送台車1Bとを剛的に連結していてもよい。なお、本明細書において、「剛的に連結」とは、連結される2つの物の相対位置および相対角度が実質的に変化しない連結を意味する。
【0127】
第1ステップST101において、第1レール91aと第2レール91bとの間を、搬送台車1Aの副ローラ31が横切るように副ローラユニット30が移動され、第1レール91aと第2レール91bとの間を、第2搬送台車1Bの副ローラ31-Bが横切るように第2副ローラユニット30-Bが移動される。第1ステップST101は、副ローラユニット移動工程である。副ローラユニット移動工程では、副ローラユニット30と、搬送台車本体20と、第2副ローラユニット30-Bと、第2搬送台車本体20-Bと、連結部材110とが一体的に移動されることが好ましい。
【0128】
図14(a)には、第1ステップST101(副ローラユニット移動工程)を実行前の様子が示され、図14(b)には、第1ステップST101(副ローラユニット移動工程)を実行後の様子が示されている。第1レール91aの中心軸と第2レール91bの中心軸とを含む平面を第1平面PL1と定義するとき、第1ステップST101(副ローラユニット移動工程)の実行により、搬送台車1Aの主ローラ21、および、第2搬送台車1Bの主ローラ21-Bが第1平面PL1の一方側(例えば、上方)に配置され、搬送台車1Aの副ローラ31、および、第2搬送台車1Bの副ローラ31-Bが第1平面PL1の他方側(例えば、下方)に配置される。
【0129】
第2ステップST102において、副ローラユニット30の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変更され、第2副ローラユニット30-Bの姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変更される。第2ステップST102は、姿勢変更工程である。副ローラユニット30の第1姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過可能な副ローラユニット30の姿勢に対応し、第2副ローラユニット30-Bの第1姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31-Bが通過可能な第2副ローラユニット30-Bの姿勢に対応する。また、副ローラユニット30の第2姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過不能な副ローラユニット30の姿勢に対応し、第2副ローラユニット30-Bの第2姿勢は、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31-Bが通過不能な第2副ローラユニット30-Bの姿勢に対応する。姿勢変更工程は、例えば、副ローラユニット30を、第1軸AX1まわりに、第1回転方向R1に回転させることを含み、第2副ローラユニット30-Bを、第2軸AX2まわりに、第1回転方向R1に回転させることを含む。
【0130】
図14(b)に記載の例では、姿勢変更工程は、搬送台車1A(より具体的には、搬送台車本体20)と、第2搬送台車1B(より具体的には、第2搬送台車本体20-B)とが連結部材110を介して連結された状態で実行される。図16に例示されるような搬送装置10Aがレール91に取り付けられる場合には、姿勢変更工程は、搬送台車1Aと第2搬送台車1Bとが連結部材110を介して剛的に連結された状態で実行されてもよい。
【0131】
なお、図16に記載の例では、搬送台車1Aと、第2搬送台車1B、第3搬送台車1Cとが1本の長尺な連結部材110を介して連結されている。代替的に、搬送台車1Aと第2搬送台車1Bとが第1部材を介して連結され、第2搬送台車1Bと第3搬送台車1Cとが第2部材を介して連結され、第1部材と第2部材とが第3部材を介して連結されていてもよい。換言すれば、実施形態において、連結部材110による連結の形態は任意である。また、連結部材110は、複数の部材に分割可能であってもよい。この場合、連結部材110が複数の部材に分割された状態において、搬送台車1A、第2搬送台車1B、(あるいは、第3搬送台車1C)を個別に運搬することができる。なお、連結部材110が複数の部材に分割された状態において、どの部材に、いくつの搬送台車が取り付けられているかは任意である。換言すれば、運搬時の状態で、搬送装置10がどのような状態に分割されているかは任意である。搬送台車1A、および、第2搬送台車1B(並びに、第3搬送台車1C)は、任意のアセンブリサイト(例えば、レール91が布設されている現場の近傍)で、連結部材110を介して連結される。上述の姿勢変更工程は、搬送台車1Aおよび第2搬送台車1B(並びに、第3搬送台車1C)が、連結部材によって連結された後、例えば、連結部材によって剛的に連結された後に実行されてもよい。連結部材110が分割可能であること、および、姿勢変更工程が連結部材110による連結の後に実行されることとにより、運搬の容易性と、レール91への取り付けの容易性とが両立される。
【0132】
また、図14(b)に記載の例では、姿勢変更工程は、副ローラユニット30が搬送台車本体20に連結された状態で、副ローラユニット30の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更し、第2副ローラユニット30-Bが第2搬送台車本体20-Bに連結された状態で、第2副ローラユニット30-Bの姿勢を第1姿勢から第2姿勢に変更することを含む。図14(c)には、第2ステップST102(姿勢変更工程)を実行後の様子が示されている。
【0133】
第3ステップST103において、副ローラユニット30が搬送台車本体20に固定され、第2副ローラユニット30-Bが第2搬送台車本体20-Bに固定される。第3ステップST103は、固定工程である。固定工程は、副ローラユニット30を搬送台車本体20に固定するための固定部材33が、操作レバー34によって操作され、第2副ローラユニット30-Bを第2搬送台車本体20-Bに固定するための第2固定部材33-Bが、第2操作レバー34-Bによって操作されることにより実行されてもよい。
【0134】
副ローラユニット30を搬送台車本体20に固定する工程は、第1の実施形態において説明されたサブステップST3-1を含んでいてもよく、サブステップST3-1乃至ST3-4を含んでいてもよい。また、第2副ローラユニット30-Bを第2搬送台車本体20-Bに固定する工程は、第1の実施形態において説明されたサブステップST3-1と同様の工程を含んでいてもよく、サブステップST3-1乃至ST3-4と同様の工程を含んでいてもよい。
【0135】
第2の実施形態におけるレール91への搬送装置10Aの取付方法では、副ローラユニット30の姿勢、および、第2副ローラユニット30-Bの姿勢を、それぞれ、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ(31;31-B)が通過可能な第1姿勢から、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ(31;31-B)が通過不能な第2姿勢に変更することが可能である。よって、搬送装置10Aをレール91に迅速に取り付けることができる。
【0136】
(第3の実施形態)
図1乃至図17を参照して、第3の実施形態における搬送システム100について説明する。図16は、第3の実施形態における搬送システム100を模式的に示す概略側面図である。図17は、図16において円Aで囲まれた部分の拡大図である。
【0137】
搬送システム100は、搬送台車1または搬送装置10と、駆動台車Sとを備える。搬送台車1は、第1の実施形態における搬送台車1Aであってもよいし、その他の搬送台車であってもよい。搬送装置10は、第2の実施形態における搬送装置10Aであってもよいし、その他の搬送装置であってもよい。
【0138】
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第3の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第3の実施形態において、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0139】
図16に記載の例では、搬送システム100は、搬送台車1A(または、搬送装置10A)と、駆動台車Sとを有する。
【0140】
搬送台車1A(または、搬送装置10A)は、駆動台車Sの第1連結部60sに連結される第2連結部60aを有する。搬送台車1A(または、搬送装置10A)は、パネルPを支持するパネル支持部材51を有していてもよい。搬送台車1A(または、搬送装置10A)のその他の構成については、第1の実施形態(または、第2の実施形態)において詳細に説明済みである。よって、搬送台車1A(または、搬送装置10A)のその他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0141】
駆動台車Sは、第1の実施形態の第1変形例における搬送台車である駆動台車1Sであってもよいし、その他の駆動台車であってもよい。駆動台車Sは、搬送台車1Aまたは搬送装置10A(より具体的には、第2連結部60a)に連結される第1連結部60sを備える。
【0142】
駆動台車Sの第1連結部60sと、搬送台車1A(または、搬送装置10A)の第2連結部60aとが連結されることにより、搬送台車1A(または、搬送装置10A)は、駆動台車Sとともに、レール91(第1レール91aおよび第2レール91b)に沿って走行可能である。図16に例示されるように、レール91の第1端部から第2端部に向かう方向を第1走行方向MR1と定義し、レール91の第2端部から第1端部に向かう方向を第2走行方向MR2(第1走行方向MR1とは反対の方向)と定義する。この場合、搬送台車1A(または、搬送装置10A)は、駆動台車Sとともに、第1走行方向MR1に移動可能であり、また、第2走行方向MR2に移動可能である。
【0143】
図17(b)に例示されるように、駆動台車Sがレール91に沿って第1走行方向MR1に走行するとき、搬送台車1A(または、搬送装置10A)は、第2連結部60aおよび第1連結部60sを介して、駆動台車Sをレール91に向かう方向(図17(b)中の矢印を参照。)に押圧するように構成されていることが好ましい。この場合、駆動台車Sがレール91に沿って第1走行方向MR1に走行するときに、駆動台車Sの主ローラ21-Sが、レール91に対してスリップすることが抑制される。通常、搬送台車1A(または、搬送装置10A)に搭載される搬送物の重量が大きくなるほど、駆動台車Sの主ローラ21-Sのスリップの可能性が増加する。これに対し、上記の構成では、搬送台車1A(または、搬送装置10A)に搭載される搬送物の重量が大きくなるほど、搬送台車1A(または、搬送装置10A)が、駆動台車Sをレール91に向かう方向に押圧する押圧力が大きくなり、主ローラ21-Sのスリップの可能性が低減されるとの利点がある。
【0144】
上記の構成は、例えば、第1連結部60sおよび第2連結部60aが、搬送台車1A(または、搬送装置10A)に対する駆動台車Sの第1走行方向MR1への相対移動を、搬送台車1A(または、搬送装置10A)が駆動台車Sをレール91に向けて押圧する押圧力に変換する第1変換機構Q1を有することによって実現される。当該第1変換機構Q1は、第2連結部60aに設けられる第1傾斜面601(より具体的には、駆動台車Sから離れるにつれて高さが低くなる第1傾斜面601)を含んでいてもよい。この場合、駆動台車Sが搬送台車1A(または、搬送装置10A)に向かって移動すると、駆動台車Sの第1連結部60sは、第1傾斜面601によって、下方に押圧される。代替的に、第1変換機構Q1は、第1連結部60sに設けられる第3傾斜面(より具体的には、搬送台車1Aまたは搬送装置10Aに近づくにつれて高さが低くなる第3傾斜面)を含んでいてもよい。この場合、駆動台車Sが搬送台車1A(または、搬送装置10A)に向かって移動すると、搬送台車1Aまたは搬送装置10Aは、駆動台車Sの第1連結部60sの第3傾斜面を下方に押圧する。更に代替的に、第1変換機構Q1は、第2連結部60aに対する第1連結部60sの相対移動を、第2連結部60aが第1連結部60sを下方に向けて押圧する力に変換する任意のリンク機構、歯車機構、あるいは、ばね機構を含んでいてもよい。
【0145】
図17(c)に例示されるように、駆動台車Sがレール91に沿って第2走行方向MR2に走行するとき、搬送台車1A(または、搬送装置10A)は、第2連結部60aおよび第1連結部60sを介して、駆動台車Sをレール91に向かう方向(図17(c)中の矢印を参照。)に押圧するように構成されていることが好ましい。この場合、駆動台車Sがレール91に沿って第2走行方向MR2に走行するときに、駆動台車Sの主ローラ21-Sが、レール91に対してスリップすることが抑制される。
【0146】
上記の構成は、例えば、第1連結部60sおよび第2連結部60aが、搬送台車1A(または、搬送装置10A)に対する駆動台車Sの第2走行方向MR2(第1走行方向MR1とは反対の方向)への相対移動を、搬送台車1A(または、搬送装置10A)が駆動台車Sをレール91に向けて押圧する押圧力に変換する第2変換機構Q2を有することによって実現される。当該第2変換機構Q2は、第2連結部60aに設けられる第2傾斜面602(より具体的には、駆動台車Sに近づくにつれて高さが低くなる第2傾斜面602)を含んでいてもよい。この場合、駆動台車Sが搬送台車1A(または、搬送装置10A)から離れる方向に移動すると、駆動台車Sの第1連結部60sは、第2傾斜面602によって、下方に押圧される。代替的に、第2変換機構Q2は、第1連結部60sに設けられる第4傾斜面(より具体的には、搬送台車1Aまたは搬送装置10Aから離れるにつれて高さが低くなる第4傾斜面)を含んでいてもよい。この場合、駆動台車Sが搬送台車1A(または、搬送装置10A)から離れる方向に移動すると、搬送台車1Aまたは搬送装置10Aは、駆動台車Sの第1連結部60sの第4傾斜面を下方に押圧する。更に代替的に、第2変換機構Q2は、第2連結部60aに対する第1連結部60sの相対移動を、第2連結部60aが第1連結部60sを下方に向けて押圧する力に変換する任意のリンク機構、歯車機構、あるいは、ばね機構を含んでいてもよい。
【0147】
図17(a)に記載の例では、第2連結部60aは、下方が開放された凹部600を有し、当該凹部600が、第1傾斜面601および第2傾斜面602を含む。また、第1連結部60sは、第1傾斜面601および第2傾斜面602に対して摺動可能な摺動部材605を有する。この場合、凹部600を、上方から、摺動部材605に引っ掛けることにより、第1連結部60sと第2連結部60aとを連結することができる。よって、第1連結部60sと第2連結部60aとの連結を短時間で行うことができる。なお、摺動部材605は、例えば、ピン部材である。
【0148】
(パネルPの搬送)
図16に記載の例では、搬送システム100は、パネルP(例えば、長尺パネルPs)を搬送可能である。搬送システム100は、起立姿勢のパネルPを搬送可能であってもよい。
【0149】
図16に記載の例では、搬送システム100は、駆動台車Sと、パネルPの第1端部P1(駆動台車S側の端部)を支持する搬送装置10Aと、パネルPの第2端部P2(駆動台車Sとは反対側の端部)を支持する第2搬送装置10A’とを有する。第2搬送装置10A’は、搬送装置10Aと実質的に同一構造の搬送装置であってもよいし、その他の構造の搬送装置であってもよい。図16に記載の例では、搬送装置10Aは、パネルPの第1端部P1を支持する第1のパネル支持部材51aを備え、第2搬送装置10A’は、パネルPの第2端部P2を支持する第2のパネル支持部材51bを備える。
【0150】
図16に記載の例では、搬送装置10Aは、連結された3個の搬送台車1A、1B、1Cを含む。なお、搬送装置10Aが有する搬送台車の数は、1個であってもよいし、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。搬送装置10Aの長さは、例えば、180cm以上である。また、搬送装置10Aの幅は、例えば、20cm以下である。搬送装置10Aは、第2連結部60aを介して、駆動台車Sの第1連結部60sに連結される。
【0151】
図16に記載の例では、第2搬送装置10A’は、連結された3個の搬送台車1A’、1B’、1C’を含む。なお、第2搬送装置10A’が有する搬送台車の数は、1個であってもよいし、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。第2搬送装置10A’の長さは、例えば、180cm以上である。また、第2搬送装置10A’の幅は、例えば、20cm以下である。
【0152】
図16に記載の例では、第2搬送装置10A’は、パネルPのみを介して、搬送装置10Aと連結されている。代替的に、第2搬送装置10A’は、任意の連結具を介して搬送装置10Aに連結されていてもよい。
【0153】
(第4の実施形態)
図18乃至図21を参照して、第4の実施形態における搬送システム100Dについて説明する。図18および図19は、第4の実施形態における搬送システム100Dを模式的に示す概略側面図である。図20は、検知棒41a、41bの配置の一例を模式的に示す概略断面図である。図21は、検知板41cの配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
【0154】
第4の実施形態では、第1の実施形態乃至第3の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態、第2の実施形態、または、第3の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第4の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第4の実施形態において、第1の実施形態、第2の実施形態、または、第3の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0155】
第4の実施形態における搬送システム100Dは、パネルP等が搭載される搬送台車1または搬送装置10と、搬送台車1または搬送装置10に連結される駆動台車Sと、衝突検知用の長尺部材41と、衝突検知センサ43と、制御装置83とを備える。
【0156】
搬送台車1または搬送装置10と、駆動台車Sとは、主走行体Eを構成する。換言すれば、主走行体Eには、搬送台車1または搬送装置10と、駆動台車Sとが含まれる。搬送台車1、搬送装置10、駆動台車Sについては、第1の実施形態乃至第3の実施形態における説明を援用し、搬送台車1、搬送装置10、および、駆動台車Sについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0157】
衝突検知用の長尺部材41は、主走行体Eの走行方向前方側に、主走行体Eとともに移動可能に設けられる。長尺部材41は、高さ方向に延在していることが好ましい。より具体的には、長尺部材41の長手方向は、鉛直方向に略平行であることが好ましい。この場合、長尺部材41の高さの範囲内で、主走行体Eの走行方向前方側に存在する物体Xを検知することができる。長尺部材41は、棒部材であってもよいし、板部材であってもよい。
【0158】
衝突検知センサ43は、長尺部材41の状態変化に応じて長尺部材41への物体Xの衝突を検知する。物体Xは、主走行体Eの走行方向前方側に進入し得る任意の物体である。物体Xは、作業者の身体の一部である可能性もあるし、現場に存在する部材、部品あるいは構造物である可能性もある。
【0159】
衝突検知センサ43が検知する長尺部材41の状態変化は、典型的には、長尺部材41の姿勢変化である。例えば、衝突検知センサ43は、長尺部材41が、予め設定される初期姿勢から転倒すること、あるいは、傾斜することを検知する。衝突検知センサ43は、長尺部材41から受ける衝撃力を検知してもよい。図18(a)に記載の例では、衝突検知センサ43は、長尺部材41の下端部に配置されている。
【0160】
制御装置83は、衝突検知センサ43から衝突検知信号(換言すれば、長尺部材41の状態変化を示す信号)を受信する。衝突検知信号は、長尺部材41が転倒あるいは傾斜したことを示す信号であってもよいし、長尺部材41が閾値を超える衝撃力を受けたことを示す信号であってもよい。
【0161】
制御装置83は、衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信することに応じて、駆動台車Sの走行を停止させる。
【0162】
第4の実施形態における搬送システム100Dが、上述の構成を有することにより、主走行体Eの走行方向前方側に任意の物体が進入した場合に、主走行体Eを速やかに停止させることができる。
【0163】
制御装置83が衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信してから主走行体Eが完全停止するまでに主走行体Eが走行する距離を、距離DTと定義するとき、主走行体Eの走行方向の前端Epから長尺部材41までの距離D1は、距離DTより大きいことが好ましい。距離D1は、例えば、100cm以上、150cm以上、あるいは、200cm以上である。距離D1が、距離DTより大きいことにより、長尺部材41に衝突した物体Xが、主走行体Eと衝突することが防止される(図18(b)を参照。)。
【0164】
続いて、図18乃至図21を参照して、第4の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0165】
(注意喚起用の可撓性面状体)
搬送システム100Dは、注意喚起用の可撓性面状体45を備えていてもよい。可撓性面状体45は、主走行体Eの走行方向の前端Epと長尺部材41との間を埋める。可撓性面状体45には、「衝突注意」といった、注意を喚起する文字または図柄が表示されていることが好ましい。可撓性面状体45は、布によって構成されていてもよく(換言すれば、可撓性面状体45は、旗であってもよく)、色付きの樹脂フィルムによって構成されていてもよく、その他の材質によって構成されていてもよい。
【0166】
搬送システム100Dは、足場と建築物との間のように見通しの悪い場所に設置される場合がある。このような場合、長尺部材41が通過した後に、主走行体Eの走行方向前方側に、作業者が不意に身体の一部を出す可能性を完全に排除することができない。そこで、図18(a)に記載の例では、主走行体Eの走行方向の前端Epと長尺部材41との間を埋める可撓性面状体45が配置されていることにより、作業者に注意喚起を促す。
【0167】
主走行体Eの走行方向の前端Epから長尺部材41までの距離を距離D1とするとき、主走行体Eの走行方向に沿う方向における可撓性面状体45の長さD2は、距離D1の2/3以上、3/4以上、あるいは、4/5以上であることが好ましい。この場合、可撓性面状体45は、主走行体Eの走行方向の前端Epと長尺部材41との間の大部分を埋めることとなる。よって、長尺部材41が通過した後に、主走行体Eの走行方向前方側に、作業者が不意に身体の一部を出す可能性がなくなる。主走行体Eの走行方向に沿う方向における可撓性面状体45の長さD2は、例えば、100cm以上、150cm以上、あるいは、200cm以上である。
【0168】
可撓性面状体45の上端の高さは、搬送装置10によって搬送されるパネルP等の搬送物の上端の高さよりも高いことが好ましい。可撓性面状体45の上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上である。
【0169】
図18(b)に記載の例では、物体Xが長尺部材41に衝突すると、主走行体Eの走行方向における可撓性面状体45の長さD2は縮小する。当該長さの縮小は、面状体が可撓性であることにより実現される。
【0170】
(伸縮部材47)
図18(a)に記載の例では、搬送システム100Dは、長尺部材41と主走行体Eの走行方向の前端Epとの間の間隔を縮小可能にする伸縮部材47を備える。
【0171】
上述のとおり、物体Xが長尺部材41に衝突した後、主走行体Eが完全停止するまでに、主走行体Eは距離DTだけ走行する。搬送システム100Dが、伸縮部材47を備える場合には、物体Xが長尺部材41に衝突する際の衝撃が緩和される。
【0172】
図18(a)に記載の例では、伸縮部材47は、第1棒部材47aと、第2棒部材47bと、第1棒部材47aと第2棒部材47bとを揺動可能に連結するジョイント47cとを含む。図18(b)に記載の例では、物体Xが長尺部材41に衝突すると、ジョイント47cが上方に移動し、第1棒部材47aと第2棒部材47bとが折り畳まれる方向に互いに対して揺動する。こうして、主走行体Eの走行方向における伸縮部材47の長さが縮小する。
【0173】
図18(a)に記載の例では、伸縮部材47は、揺動可能に連結された複数の棒部材を含む。代替的に、あるいは、付加的に、伸縮部材47は、主走行体Eの走行方向に伸縮可能なばねを含んでいてもよい。更に代替的に、伸縮部材47は、テレスコピックな部材を含んでいてもよい。
【0174】
図18(b)に記載の例では、物体Xが長尺部材41に衝突すると、主走行体Eの走行方向における伸縮部材47の長さが縮小するとともに、主走行体Eの走行方向における可撓性面状体45の長さも縮小する。
【0175】
(補助台車1F)
図18(a)に記載の例では、搬送システム100Dは、補助台車1Fを備える。補助台車1Fは、主走行体Eの走行方向前方側を走行する補助走行体として機能する。補助台車1Fは、衝突検知用の長尺部材41、および/または、衝突検知センサ43を支持する。補助台車1Fは、可撓性面状体45の一端部を支持してもよい。また、補助台車1Fは、伸縮部材47の一端部を支持してもよい。図18(a)に記載の例では、補助台車1Fは、第1棒部材47aの端部を揺動可能に支持している。
【0176】
補助台車1Fは、第1の実施形態で説明された搬送台車1Aと同様の構造を有していてもよい。図18(b)に記載の例では、補助台車1Fは、主ローラ21、および、副ローラ31を備える。補助台車1Fは、副ローラ31を含む副ローラユニット30を備えていてもよい。また、副ローラユニット30の姿勢を、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過可能な第1姿勢と、第1レール91aと第2レール91bとの間を副ローラ31が通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能であってもよい。
【0177】
(連結部49)
図18(b)に記載の例では、搬送システム100Dは、補助台車1Fを、伸縮部材47を介して主走行体Eに連結する連結部49を備える。連結部49は、主走行体Eに配置された主走行体側連結部ECに対して着脱可能であることが好ましい。
【0178】
連結部49は、可撓性面状体45の他端部を支持してもよい。また、連結部49は、伸縮部材47の他端部を支持してもよい。図18(b)に記載の例では、連結部49は、第2棒部材47bの端部を揺動可能に支持している。
【0179】
図19(a)に示されるように、主走行体Eが、第1走行方向MR1に走行可能、かつ、第2走行方向MR2に走行可能である場合には、連結部49は、主走行体Eの第2走行方向MR2側の先端部に配置された第1の主走行体側連結部EC1に着脱可能、かつ、主走行体Eの第1走行方向MR1側の先端部に配置された第2の主走行体側連結部EC2に着脱可能とされてもよい。この場合、連結部49を、第1の主走行体側連結部EC1または第2の主走行体側連結部EC2に選択的に連結することにより、主走行体Eがどちらの方向に走行する場合でも、主走行体Eの走行方向前方側に進入する物体を検知して主走行体Eの走行を停止させることができる。
【0180】
代替的に、あるいは、付加的に、図19(b)に示されるように、搬送システム100Dは、連結部49および伸縮部材47を介して主走行体Eの第1の主走行体側連結部EC1に連結される補助台車1Fに加え、連結部49’および伸縮部材47’を介して主走行体Eの第2の主走行体側連結部EC2に連結される第2の補助台車1F’を備えていてもよい。当該第2の補助台車1F’は、衝突検知用の長尺部材41’を支持していてもよいし、衝突検知センサ43’を支持していてもよいし、可撓性面状体45’の一端部を支持していてもよいし、伸縮部材47’の一端部を支持していてもよい。「衝突検知用の長尺部材41’」、「衝突検知センサ43’」、「可撓性面状体45’」、「伸縮部材47’」は、「衝突検知用の長尺部材41」、「衝突検知センサ43」、「可撓性面状体45」、「伸縮部材47」と同様の構成であるため、これらについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0181】
搬送システム100Dが、主走行体Eの第2走行方向MR2側に補助台車1Fを備え、主走行体Eの第1走行方向MR1側に第2の補助台車1F’を備える場合、主走行体Eがどちらの方向に走行する場合でも、主走行体Eの走行方向前方側に進入する物体を検知して主走行体Eの走行を停止させることができる。
【0182】
(衝突検知用の長尺部材41)
図20に記載の例では、衝突検知用の長尺部材41は、第1検知棒41aおよび第2検知棒41bを含む複数の検知棒によって構成されている。
【0183】
図20に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、搬送装置10によって搬送されるパネルP等の搬送物の全体は、第1検知棒41aと第2検知棒41bとの間に配置されている。この場合、物体が、第1検知棒41aおよび第2検知棒41bによる検知をすり抜けて、パネルP等の搬送物に衝突することが防止または抑制される。当該搬送物との衝突を防止または抑制する観点から、補助台車1Fの走行方向に沿う方向に見て、第1検知棒41aは、補助台車1Fの第1主ローラ21a(第1レール91aに接触する主ローラ21)の内縁210aよりも幅方向外側に位置することが好ましい。また、第2検知棒41bは、補助台車1Fの第2主ローラ21b(第2レール91bに接触する主ローラ21)の内縁210bよりも幅方向外側に位置することが好ましい。なお、ここでの「幅方向」は、補助台車1Fの幅方向を意味する。
【0184】
図20に記載の例では、補助台車1Fの走行方向に沿う方向に見て、第1検知棒41aの外縁と、第2検知棒41bの外縁との間の距離D3は、169mmであり、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4は、126mmである。補助台車1Fの走行方向に沿う方向に見て、第1検知棒41aの外縁と、第2検知棒41bの外縁との間の距離D3は、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4の1.0倍以上、1.1倍以上、1.2倍以上、あるいは、1.3倍以上であってもよい。
【0185】
図20に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、搬送装置10によって搬送されるパネルP等の搬送物の上端の高さは、第1検知棒41aの上端の高さよりも低く、第2検知棒41bの上端の高さよりも低い。この場合、物体が、第1検知棒41aおよび第2検知棒41bによる検知をすり抜けて、パネルP等の搬送物に衝突することが防止または抑制される。第1検知棒41aの上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上であり、第2検知棒41bの上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上である。
【0186】
図21に記載の例では、衝突検知用の長尺部材41は、少なくとも1つの検知板41cによって構成されている。
【0187】
図21に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、搬送装置10によって搬送されるパネルP等の搬送物の全体は、検知板41cの幅方向における2つの外縁(411c、412c)の間に配置されている。この場合、物体が、検知板41cによる検知をすり抜けて、パネルP等の搬送物に衝突することが防止または抑制される。第1外縁411cは、補助台車1Fの第1主ローラ21aの内縁210aよりも幅方向外側に位置することが好ましい。また、第2外縁412cは、補助台車1Fの第2主ローラ21bの内縁210bよりも幅方向外側に位置することが好ましい。
【0188】
図21に記載の例では、補助台車1Fの走行方向に沿う方向に見て、第1外縁411cと、第2外縁412cとの間の距離D5は、169mmであり、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4は、126mmである。補助台車1Fの走行方向に沿う方向に見て、第1外縁411cと、第2外縁412cとの間の距離D5は、第1主ローラ21aの内縁210aと第2主ローラ21bの内縁210bとの間の距離D4の1.0倍以上、1.1倍以上、1.2倍以上、あるいは、1.3倍以上であってもよい。
【0189】
図21に記載の例では、レール91に沿う方向に見て、搬送装置10によって搬送されるパネルP等の搬送物の上端の高さは、検知板41cの上端の高さよりも低い。この場合、物体が、検知板41cによる検知をすり抜けて、搬送物に衝突することが防止または抑制される。検知板41cの上端のレール91からの高さは、例えば、90cm以上、100cm以上、110cm以上である。
【0190】
図20および図21に記載の例では、衝突検知用の長尺部材41は、搬送装置10とともに、足場97と建築物98との間の空間SPを通過する。この場合、衝突検知用の長尺部材41および衝突検知センサ43は、足場97または建築物98から当該空間SPに突出する突出物、あるいは、足場97または建築物98の隙間から当該空間SPに突出する突出部を検知することができる。こうして、これらの突出物が、搬送装置10によって搬送されるパネルPに衝突することが防止または抑制される。足場97と建築物98との間の空間SPの幅は、約30cmである。衝突検知用の長尺部材41は、このような狭い空間SPに突出する突出物を検出するのに最適である。
【0191】
(制御装置83)
制御装置83(例えば、図18(a)を参照。)は、衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信する。制御装置83と衝突検知センサ43とは、無線によって信号伝達可能に構成されていることが好ましい。制御装置83は、衝突検知センサ43から衝突検知信号を受信すると、駆動台車Sの駆動ローラ(例えば、主ローラ21-Sのうちの少なくとも1つ)の駆動を停止させる。制御装置83は、モータ81に停止信号を送信することにより駆動ローラを駆動するモータ81を停止させてもよい。
【0192】
実施形態における搬送台車1、搬送装置10、または、搬送システム100が、パネルP等の建材の搬送に用いられる場合、レール91は、建設現場の足場に固定されるものであってもよい。建設現場の足場と建造物との間の隙間は、30cm程度であり、隙間は大きくない。しかし、上述の実施形態では、第1レール91aおよび第2レール91bを含むレール91を狭い隙間(例えば、建設現場の足場と建造物との間の隙間)に配置することができる。もちろん、実施形態における搬送台車1、搬送装置10、または、搬送システム100は、建材以外の搬送物を搬送してもよい。また、レール91が設置される場所は、建設現場の足場と建造物との間の隙間に限定されない。
【0193】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態または他の変形例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態または各変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明の搬送台車、搬送装置、搬送システム、レールへの搬送台車の取付方法、および、レールへの搬送装置の取付方法を用いると、レールに、搬送台車または搬送装置を迅速に取り付けることができる。したがって、搬送台車、搬送装置、搬送システムを使用して搬送物を搬送する業者、および、搬送台車、搬送装置、搬送システムを製造する製造業者にとって有用である。
【符号の説明】
【0195】
1、1A、1B、1C、1A’、1B’、1C’…搬送台車、1F…補助台車、1F’…第2の補助台車、1S…駆動台車、10、10A、10A’…搬送装置、20…搬送台車本体、20-B…第2搬送台車本体、20-S…駆動台車本体、20a…第1フレーム、20b…第2フレーム、21…主ローラ、21-B…第2搬送台車主ローラ、21-S…駆動台車主ローラ、21a…第1主ローラ、21b…第2主ローラ、21c…第3主ローラ、21d…第4主ローラ、23…底壁、24…側部、24a…第1側壁、24b…第2側壁、27、27-B…中段ローラ、27a…第1中段ローラ、27b…第2中段ローラ、27c…第3中段ローラ、27d…第4中段ローラ、28a、28a-B…第1ストッパ、28b、28b-B…第2ストッパ、29a、29a-B…第1係合部、29b、29b-B…第2係合部、30…副ローラユニット、30-B…第2副ローラユニット、30-S…駆動台車副ローラユニット、31…副ローラ、31-B…第2搬送台車副ローラ、31-S…駆動台車副ローラ、31a…第1副ローラ、31b…第2副ローラ、32…副ローラ支持部材、32-B…第2副ローラ支持部材、33…固定部材、33-B…第2固定部材、34…操作レバー、34-B…第2操作レバー、35…付勢部材、38…ロック部材、38-B…第2ロック部材、41、41’…衝突検知用の長尺部材、41a…第1検知棒、41b…第2検知棒、41c…検知板、43、43’…衝突検知センサ、45、45’…可撓性面状体、47、47’…伸縮部材、47a…第1棒部材、47b…第2棒部材、47c…ジョイント、49、49’…連結部、51…パネル支持部材、51a…第1のパネル支持部材、51b…第2のパネル支持部材、60a…第2連結部、60s…第1連結部、81…モータ、83…制御装置、91…レール、91a…第1レール、91b…第2レール、93…連結部材、94…ブラケット、95…バンド、95a…第1バンド、95b…第2バンド、97…足場、98…建築物、100、100D…搬送システム、110…連結部材、110a…剛性フレーム、111…連結部材の第1部分、112…連結部材の第2部分、201…ナット、210a、210b…内縁、321…ベース部、322a…第1脚部、322b…第2脚部、331…ネジ棒、331a…押圧面、331b…軸部、331c…頭部、331d…アタッチメント、341…操作部、342…抜け防止部、343…カバー、411c…第1外縁、412c…第2外縁、600…凹部、601…第1傾斜面、602…第2傾斜面、605…摺動部材、E…主走行体、EC…主走行体側連結部、EC1…第1の主走行体側連結部、EC2…第2の主走行体側連結部、Ep…前端、K1…係合凸部、K2…係合穴部、M…状態切替機構、M-B…第2状態切替機構、M1…固定部材側係合部、M2…操作レバー側係合部、P…パネル、P1…第1端部、P2…第2端部、Ps…長尺パネル、Q1…第1変換機構、Q2…第2変換機構、S…駆動台車、WA1、WA2、WA3、WB1、WB2、WB3、WC1、WD1…車軸、X…物体
【要約】      (修正有)
【課題】レールに迅速に取り付け可能な搬送台車、搬送装置、搬送システム、搬送台車の取付方法、および、搬送装置の取り付け方法を提供する。
【解決手段】第1レールおよび第2レールを含む少なくとも2本のレールに沿って走行可能な搬送台車に関する。搬送台車は、搬送台車本体と、搬送台車本体に支持される主ローラと、副ローラを有し、搬送台車本体に連結される副ローラユニットと、を具備する。副ローラユニットの姿勢を、第1レールと第2レールとの間を副ローラが通過可能な第1姿勢と、第1レールと第2レールとの間を副ローラが通過不能な第2姿勢との間で姿勢変更可能である。副ローラユニットの姿勢が第2姿勢であるとき、搬送台車は、少なくとも2本のレールに沿って走行可能である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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