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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】レンズメータ
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20220614BHJP
   G01M 11/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G01M11/00 L
G01M11/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017239372
(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2019105582
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390000594
【氏名又は名称】株式会社レクザム
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】林 徳義
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 俊治
(72)【発明者】
【氏名】猪熊 香佑
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036919(JP,A)
【文献】特開2006-267108(JP,A)
【文献】特開2015-117948(JP,A)
【文献】特開平08-122211(JP,A)
【文献】特表2010-514101(JP,A)
【文献】特開2007-205876(JP,A)
【文献】特開平11-211617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00- 11/02
G01J 3/00- 3/51
G01N 21/00- 21/01
G01N 21/17- 21/61
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検レンズの光学特性を算出するための測定光を前記被検レンズに出射する第1光源と、
前記第1光源からの測定光が通過するピンホールを有するピンホール板と、
前記被検レンズのブルーライトの透過率を測定するためのブルーライトの測定光を前記被検レンズに出射する第2光源と、
前記第2光源の配設される基板であり、前記ピンホールを通過した前記第1光源からの測定光が通過する通過孔を有する基板である第2光源基板と、
前記測定光の光路に存在するパターンマスクと、
前記被検レンズ及び前記パターンマスクを通過した測定光を受光する受光部と、
前記第1光源からの測定光が出射されている際に前記受光部によって受光されたパターンマスクの受光像を用いて、前記被検レンズの光学特性を算出する光学特性算出部と、
前記第2光源からの測定光が出射されている際に前記受光部によって受光された、前記パターンマスクの透過部を通過した測定光の受光量を用いて、前記被検レンズのブルーライトの透過率を算出する透過率算出部と、
前記光学特性算出部によって算出された光学特性と、前記透過率算出部によって算出された透過率とを出力する出力部と、を備えたレンズメータ。
【請求項2】
前記第2光源を2以上備えており、
2以上の前記第2光源は、前記第2光源基板の通過孔の周囲に配設されており、それぞれ波長の異なるブルーライトの測定光を出射し、
前記透過率算出部は、2以上の前記第2光源のそれぞれの波長ごとに前記被検レンズのブルーライトの透過率を算出する、請求項1記載のレンズメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検レンズの光学特性や透過率を算出するレンズメータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブルーライト(高エネルギー可視光線)の眼への影響が問題となってきている。ブルーライトは、波長が380~500nmの青色光のことであり、可視光線では最も波長が短く、強いエネルギーを持っている。そのブルーライトは、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達するため、眼精疲労の原因になるといわれている。また、パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイやLED照明からの光には、このブルーライトが多く含まれている。そのため、そのブルーライトをカットするブルーライトカット眼鏡が普及してきており、パソコンやスマートフォン等を使用する際に着用すると、眼精疲労等を和らげる働きがあるといわれている。
【0003】
従来、被検レンズの球面度数や円柱度数、プリズム値等の光学特性を測定するために用いられるレンズメータにおいて、ブルーライトの透過率を測定するための専用の光学系を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。そのようなレンズメータを用いることによって、被検レンズの光学特性と共に、ブルーライトの透過率も測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-131191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたレンズメータでは、光学特性を測定する光学系と、ブルーライトの透過率を測定する光学系が別々に設けられていた。その場合には、独立した2個の光学系が必要になるため、装置が大型化すると共に、それだけコストも上昇することになるという問題があった。また、上記特許文献1には、光学特性測定用の光学系と、透過率測定用の光学系の一部を共用する構成についても記載されているが、その場合であっても、両光学系の光路を分けるハーフミラーを追加する必要があり、それに応じて光学系が大きくなり、部品点数の増加に応じてコストも増大するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、コンパクトな構成により、被検レンズの光学特性とブルーライト透過率との両方を測定可能なレンズメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によるレンズメータは、被検レンズの光学特性を算出するための測定光を被検レンズに出射する第1光源と、被検レンズのブルーライトの透過率を測定するためのブルーライトの測定光を被検レンズに出射する第2光源と、第2光源の配設される基板であり、第1光源からの測定光が通過する通過孔を有する基板である第2光源基板と、測定光の光路に存在するパターンマスクと、被検レンズ及びパターンマスクを通過した測定光を受光する受光部と、第1光源からの測定光が出射されている際に受光部によって受光されたパターンマスクの受光像を用いて、被検レンズの光学特性を算出する光学特性算出部と、第2光源からの測定光が出射されている際に受光部によって受光された受光量を用いて、被検レンズのブルーライトの透過率を算出する透過率算出部と、光学特性算出部によって算出された光学特性と、透過率算出部によって算出された透過率とを出力する出力部と、を備えたものである。
このような構成により、第1光源から出射された測定光は、第2光源の配設されている第2光源基板に設けられた通過孔を通過することによって被検レンズに到達する。したがって、ハーフミラー等を設けることなく、被検レンズの光学特性を算出するための測定光と、ブルーライトの透過率を測定するための測定光とを被検レンズに投射することができ、レンズメータの投光部の構成をコンパクトにすることができる。その結果、レンズメータをより小型化することが可能となり、また、コストを低減することもできる。
【0008】
また、本発明によるレンズメータでは、第2光源を2以上備えており、2以上の第2光源は、第2光源基板の通過孔の周囲に配設されており、それぞれ波長の異なるブルーライトの測定光を出射し、透過率算出部は、2以上の第2光源のそれぞれの波長ごとに被検レンズのブルーライトの透過率を算出してもよい。
このような構成により、ブルーライトの複数の波長のそれぞれについて、被検レンズの透過率を算出することができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるレンズメータによれば、よりコンパクトな構成によって、被検レンズの光学特性とブルーライト透過率とを算出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態によるレンズメータの外観を示す斜視図
図2】同実施の形態によるレンズメータの光学系と後段の処理を行うための機能ブロックとを示す図
図3】同実施の形態における光学特性の測定時の受光像を示す図
図4】同実施の形態におけるブルーライトの透過率の測定時の光学系を示す図
図5】同実施の形態におけるブルーライトの透過率の測定時の受光像を示す図
図6】同実施の形態における第2光源基板に配設された第2光源の一例を示す図
図7】同実施の形態における第1及び第2光源基板を有するレンズメータを示す透視図
図8】同実施の形態によるレンズメータの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるレンズメータについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるレンズメータは、光学特性を算出するための測定光を出射する第1光源が配設された第1光源基板と、ブルーライトの透過率を算出するための測定光を出射する第2光源が配設された第2光源基板とを備え、第2光源基板に、第1光源からの測定光が通過する通過孔が設けられているものである。
【0012】
図1は、本実施の形態によるレンズメータ1の外観を示す斜視図であり、図2は、レンズメータ1の光学系と、後段の処理に関する機能ブロックとを示す図である。図1において、レンズメータ1は、測定結果が表示されるモニタ2や、測定結果が印字されるプリンタ3、被検レンズが載置されるレンズ受け4、レンズ押さえユニットの昇降に用いられるレンズ押さえレバー5、被検レンズのレンズ受け4上での位置決めを補助するためのレンズプレート6、被検レンズに印点を行うための印点ユニット7等を有している。なお、図1で示される各構成は一例であり、レンズメータ1は、それらの一部の構成を有していなくてもよく、また他の構成を有していてもよい。図2で示されるように、レンズメータ1は、第1光源基板11と、第1光源12と、ピンホール板13と、第2光源基板14と、第2光源15a,15bと、第1レンズ16と、パターンマスク17と、第2レンズ18と、受光部19と、光学特性算出部20と、透過率算出部21と、出力部22とを備える。なお、図2では、レンズメータ1の特徴的な構成を示しており、レンズメータ1がこれら以外の構成を有していてもよいことは言うまでもない。
【0013】
第1光源基板11は、第1光源12が配設される基板である。第1光源12は、被検レンズ9の光学特性を算出するための測定光を被検レンズ9に出射する。第1光源12は、ブルーライトよりも長い波長である測定光を出射することが好適であり、例えば、525nmの測定光を出射するLEDであってもよく、他の波長の測定光を出射する光源であってもよい。ピンホール板13は、第1光源12と、第2光源基板14の通過孔14aとの間に設けられ、第1光源12からの測定光が通過するピンホールを有する。
【0014】
第2光源基板14は、第2光源15a,15bの配設される基板であり、第1光源12からの測定光が通過する通過孔14aを有する基板である。第2光源15a,15bは、被検レンズ9のブルーライトの透過率を測定するためのブルーライトの測定光を被検レンズ9に出射する。なお、各第2光源15a,15bを区別しない場合には、第2光源15と呼ぶこともある。第2光源15が出射するブルーライトの波長は、400~470nmの範囲に含まれてもよく、380~500nmの範囲に含まれてもよい。2個以上の第2光源15が存在する場合には、各第2光源15は、それぞれ波長の異なるブルーライトの測定光を出射してもよい。図2では、第2光源基板14に2個の第2光源15a,15bが設けられる場合について示しているが、そうでなくてもよい。第2光源基板14に配設される第2光源15の個数は、1個であってもよく、3個以上であってもよい。1個または2個以上の第2光源15は、通過孔14aの周囲に配設されることが好適である。また、第2光源15は、通過孔14aに近い位置であって、第1光源12からの測定光を妨げない位置に配置されることが好適である。第2光源15を、光学系の光軸に近づけるためである。
【0015】
図6(a)は、2個の第2光源15a,15bが配設された第2光源基板14を示す図であり、図6(b)は、3個の第2光源15a,15c,15dが配設された第2光源基板14を示す図である。図6(a),図6(b)において、第2光源15a~15dは、それぞれ通過孔14aの周囲に配置されている。第2光源15aは、例えば、380~400nmの範囲内の波長の測定光を出射するUV光源であってもよい。また、第2光源15bは、例えば、400~470nmの範囲内の波長の測定光を出射するブルーライト光源であってもよい。また、第2光源15cは、例えば、400~430nmの範囲内の波長の測定光を出射するブルーライト光源であってもよい。また、第2光源15dは、例えば、430~470nmの範囲内の波長の測定光を出射するブルーライト光源であってもよい。このように、複数の波長の第2光源15を用いることによって、被検レンズ9に関するより細かい透過率測定、すなわち、ブルーライトの波長ごとの透過率測定を行うことができるようになる。
【0016】
図7は、レンズメータ1における第1及び第2光源基板11,14の配置を示す透視図である。図7で示されるように、第1光源基板11と第2光源基板14とは、光軸に対して垂直となるように配置されており、両基板は略平行である。したがって、2種類の光源を2階建て構造にしてコンパクトに配置できている。
【0017】
図2を参照して、被検レンズ9は、測定光の光路に挿入可能になっている。また、パターンマスク17は、測定光の光路に存在する。したがって、受光部19は、被検レンズ9及びパターンマスク17を通過した測定光を受光することになる。なお、パターンマスク17の位置は問わない。パターンマスク17は、例えば、被検レンズ9よりも光源側に存在してもよい。受光部19は、パターンマスク17の透過部の形状に対応する受光像を電気信号に変換した画像を取得する。パターンマスク17は、例えば、同心の2個の環状の透過部を有するものであってもよい。その場合には、図3図5で示されるように、受光像はリング像となる。そのパターンマスク17としては、既知のものを用いることができる。
【0018】
光学特性算出部20は、第1光源12からの測定光が出射されており、第2光源15からの測定光が出射されていない際に、受光部19によって受光されたパターンマスク17の受光像を用いて、被検レンズ9の光学特性を算出する。その光学特性は、例えば、球面度数であってもよく、円柱度数(柱面度数)であってもよく、プリズム値であってもよく、あるいは、それらの任意の2以上のものであってもよい。その光学特性に、軸角度(乱視軸角度)が含まれていてもよい。なお、受光像から光学特性を算出する方法は、すでに公知であり、その説明を省略する。
【0019】
透過率算出部21は、第2光源15からの測定光が出射されており、第1光源12からの測定光が出射されていない際に、受光部19によって受光された受光量を用いて、被検レンズ9のブルーライトの透過率を算出する。透過率算出部21は、第2光源15からの測定光の光路に被検レンズ9が存在する場合と、存在しない場合との受光量を用いることによって、被検レンズ9に関するブルーライトの透過率を算出することができる。例えば、透過率は、被検レンズ9が光路に存在しない際の受光量から、被検レンズ9が光路に存在する際の受光量を減算することによって算出されてもよい。被検レンズ9が光路に存在しない際の受光量、すなわち基準となる受光量は、被検レンズ9の測定を始める前にあらかじめ測定され、図示しない記録媒体で記憶されていてもよく、または、被検レンズ9の透過率を算出するごとに測定されてもよい。なお、それぞれ波長が異なる測定光を出射する2個以上の第2光源15が存在する場合には、透過率算出部21は、それぞれの波長ごとに被検レンズ9のブルーライトの透過率を算出してもよい。
【0020】
出力部22は、光学特性算出部20によって算出された光学特性と、透過率算出部21によって算出された透過率とを出力する。両者は、一緒に出力されてもよく、または、別々に出力されてもよい。この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、プリンタによる印刷でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部22は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部22は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
【0021】
次に、被検レンズ9の光学特性を取得する際の光学系について、図2を参照しながら説明する。図2では、第2光源15は、オフになっている。
第1光源12から出射された測定光は、ピンホール板13を通過することによって絞られるため、ピンホールの位置が点光源である場合と同様になる。したがって、ピンホール板13のピンホールは、第1レンズ16と共役関係にある位置に設けられることが好適である。そのようにすることで、ピンホール板13からの拡散光としての測定光が、第1レンズ16によって平行光束となる。また、第2光源基板14の通過孔14aは、ピンホールからの測定光を妨げない程度の大きさを有していることが好適である。したがって、通過孔14aの直径は、ピンホールからの測定光の第2光源基板14の位置における光束径よりも大きくてもよい。第1レンズ16によって平行光束とされた測定光は被検レンズ9及びパターンマスク17を通過して、第2レンズ18によって収束され、受光部19において結像する。図3は、光学特性を算出する際に受光部19によって取得されたパターンマスク17の受光像の一例を示す図である。光学特性算出部20は、その受光像を用いて光学特性を算出する。
【0022】
次に、被検レンズ9に関するブルーライトの透過率を取得する際の光学系について、図4を参照しながら説明する。図4では、第1光源12はオフになっている。
第2光源15aから出射された測定光は、第1レンズ16、被検レンズ9、パターンマスク17、及び第2レンズ18を通過して、受光部19で受光される。そして、透過率算出部21は、そのときの受光部19での受光量と、被検レンズ9が光路に存在しないときの受光量とを用いることによって、被検レンズ9に関するブルーライトの透過率を算出する。図5は、透過率を算出する際に受光部19によって取得されたパターンマスク17の受光像の一例を示す図である。この場合には、光源が光軸中心から外れているため、受像パターンも、光軸中心から外れたところで結像することになる。
【0023】
次に、レンズメータ1の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)レンズメータ1の電源が投入されると、第1光源12が点灯される。この場合には、第2光源15は、消灯しているものとする。
【0024】
(ステップS102)光学特性算出部20は、光学特性を算出するかどうか判断する。そして、光学特性を算出する場合には、ステップS103に進み、そうでない場合には、光学特性を算出すると判断するまでステップS102の処理を繰り返す。なお、自動制御の場合には、操作者が被検レンズ9をレンズ受け4にセットし、アライメント操作を行うことによってアライメント条件が満たされると、そのことが自動的に検知され、光学特性を算出すると判断されてもよい。一方、手動制御の場合には、操作者が光学特性を算出する旨の指示を入力した時(例えば、メモリスイッチが押下された時)に、光学特性を算出すると判断されてもよい。
【0025】
(ステップS103)受光部19は、その時点のパターンマスク17の受光像の画像を画像メモリに取り込む。
【0026】
(ステップS104)光学特性算出部20は、ステップS103で取り込まれた画像を用いて、被検レンズ9の光学特性を算出する。光学特性算出部20は、例えば、画像メモリに記録されたリング像の中心位置と、各角度における半径を求め、統計処理によって球面度数や円柱度数、プリズム値等を算出してもよい。
【0027】
(ステップS105)出力部22は、算出された光学特性を出力する。その出力は、例えば、モニタ2による表示であってもよく、プリンタ3による印字であってもよい。
【0028】
(ステップS106)第1光源12が消灯される。
【0029】
(ステップS107)第2光源15が点灯される。
なお、ステップS106,S107の消灯や点灯は、図示しない制御部によって行われてもよい。
【0030】
(ステップS108)受光部19は、その時点の画像を画像メモリに取り込む。
【0031】
(ステップS109)透過率算出部21は、ステップS108で取り込まれた画像を用いて、被検レンズ9に関するブルーライトの透過率を算出する。その透過率の計算では、例えば、被検レンズ9が光路に存在しない場合に受光部19によって取得された画像の輝度値と、被検レンズ9が光路に存在する場合に受光部19によって取得された画像(すなわち、ステップS108で取り込まれた画像)の輝度値との差分計算が行われてもよい。その輝度値としては、パターンマスク17の透過部を通過した測定光に関する輝度値、例えば、リング像のリング部分の輝度値の代表値が用いられてもよい。代表値は、例えば、平均値や中間値、最大値等であってもよい。
【0032】
(ステップS110)出力部22は、算出された透過率を出力する。その出力は、例えば、モニタ2による表示であってもよく、プリンタ3による印字であってもよい。
【0033】
なお、図8のフローチャートにおいて、透過率が出力された後に、第2光源15が消灯されてもよい。また、複数の第2光源15が存在する場合には、ステップS107~S109の処理が、各第2光源15について繰り返され、ブルーライトの各波長の透過率が、ステップS110で出力されてもよい。また、被検レンズ9が光路に存在しない場合の輝度値は、例えば、レンズメータ1の電源が投入された後であって、第1光源12が点灯されるまでに測定されていてもよい。その時点では、まだ被検レンズ9がレンズ受け4に載置されていないと考えられるからである。また、図8のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。
【0034】
以上のように、本実施の形態によるレンズメータ1によれば、第1光源12が設けられた第1光源基板11と、第2光源15が設けられ、第1光源12の測定光のための通過孔14aを有する第2光源基板14とを、2階建て構造としたことにより、両光源を省スペースで配置することができる。したがって、ハーフミラーを設ける場合と比較して、コンパクトな構成を実現することができる。その結果、レンズメータ1をより小型化できるようになり、コストを低減することもできるようになる。また、通過孔14aの周囲に、波長の異なる複数の第2光源15を配設した場合には、ブルーライトの複数の波長のそれぞれについて、被検レンズ9の透過率を算出することができるようになり、被検レンズ9の透過率をより細かく取得することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、レンズメータ1がピンホール板13と第2光源基板14とをそれぞれ有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。ピンホール板13と第2光源基板14とは一体に構成されてもよい。すなわち、第2光源基板14が有する通過孔14aを、ピンホールとしてもよい。その場合には、ピンホール板13を別途、設ける必要がなくなると共に、第2光源15を、光学系の光軸により近づけることができるようになる。
【0036】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0037】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0038】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0039】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上より、本発明によるレンズメータによれば、装置を小型化できるという効果が得られ、ブルーライトの透過率も測定できるレンズメータとして有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 レンズメータ
9 被検レンズ
11 第1光源基板
12 第1光源
13 ピンホール板
14 第2光源基板
14a 通過孔
15、15a~15d 第2光源
17 パターンマスク
19 受光部
20 光学特性算出部
21 透過率算出部
22 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8