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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】製袋機
(51)【国際特許分類】
   B65H 20/04 20060101AFI20220614BHJP
   B65H 20/02 20060101ALI20220614BHJP
   B31B 70/10 20170101ALI20220614BHJP
   B31B 155/00 20170101ALN20220614BHJP
   B31B 170/20 20170101ALN20220614BHJP
   B31B 160/10 20170101ALN20220614BHJP
【FI】
B65H20/04
B65H20/02 A
B31B70/10
B31B155:00
B31B170:20
B31B160:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018089751
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2019196238
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000110192
【氏名又は名称】トタニ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 達男
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-152398(JP,A)
【文献】実開平01-143395(JP,U)
【文献】特開2017-047622(JP,A)
【文献】実開平03-035960(JP,U)
【文献】実開昭56-033232(JP,U)
【文献】特開2005-119185(JP,A)
【文献】特開2005-178976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 20/00
B65H 5/00
B65H 29/00
B31B 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック袋を製造する製袋機であって、
互いに重ね合わされた少なくとも2枚の連続状のフィルムをその長さ方向に間欠的に搬送するウェブ材搬送装置と、
前記ウェブ材搬送装置より上流に配置され、前記フィルムが間欠的に搬送されるたびに前記フィルムをその幅方向にヒートシールする横ヒートシール装置と、を備え、
前記ウェブ材搬送装置は、
前記フィルムを搬送方向に搬送する第1搬送ユニットおよび第2搬送ユニットを備え、前記第2搬送ユニットは、前記第1搬送ユニットから搬送方向に離れて位置されており、
前記第1および第2搬送ユニットは、それぞれ、
前記搬送方向に直交する第1直交方向にのびる軸線の周りに回転可能に支持され、前記搬送方向および前記第1直交方向の双方に直交する第2直交方向に互いに対向する一対の搬送ローラと、
前記一対の搬送ローラの少なくとも一方を回転させる駆動源と、を備え、
前記ウェブ材搬送装置は、さらに、
前記第1および第2搬送ユニットの少なくともいずれか一方を前記搬送方向およびその反対方向に移動させて、前記第1搬送ユニットの前記一対の搬送ローラと前記第2搬送ユニットの前記一対の搬送ローラとの間の前記搬送方向の間隔を調整する間隔調整ユニットを備える、
ことを特徴とする製袋機。
【請求項2】
前記第1および第2搬送ユニットの少なくともいずれか一方は、
一方の前記搬送ローラを回転可能に支持するユニットフレームと、
前記第1直交方向にのびる軸線の周りに回動可能に前記ユニットフレームに支持され、他方の前記搬送ローラを回転可能に支持する支持回動体と、
前記支持回動体を前記一対の搬送ローラの対向間隔が小さくなる方向に付勢する付勢部材と、
前記対向間隔が小さくなる方向に前記支持回動体が回動するのを規制する規制部材と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の製袋機。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記対向間隔が変化するように前記ユニットフレームに対して移動可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載の製袋機
【請求項4】
前記間隔調整ユニットは、
前記搬送方向にのびるラックと、
前記第1および第2搬送ユニットの少なくともどちらか一方に回転可能に支持され、前記ラックと噛み合うピニオンギアと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の製袋機
【請求項5】
前記間隔調整ユニットは、
前記ピニオンギアを前記ラックに沿って回転させるために操作されるハンドルを、さらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の製袋機
【請求項6】
前記搬送ローラは、それぞれ、ゴムローラである、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製袋機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ材搬送装置を備える製袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック袋を製造する様々な製袋機が開発されている。そして、プラスチック袋も多様化している。例えば、優れた耐衝撃性を有するプラスチック袋を製造するために、図3Aに示される気泡緩衝材15を含む連続状のプラスチックフィルム11,12が用いられることがある。気泡緩衝材15は、複数の空気室150を含む。
【0003】
図7は、図3のフィルム11,12を用いてプラスチック袋1を製造する従来例の製袋機2’を示す。繰出装置20が、大幅の連続状のフィルム10を原反から繰り出し、一定速度で連続的に搬送する。その搬送方向Xは、フィルム10の長さ方向である。
【0004】
折曲装置21が、大幅のフィルム10をその長さ方向中心線10aに沿って折り曲げて、互いに重ね合わされた2枚の連続状のフィルム11,12を形成する。したがって、2枚のフィルム11,12は、折り曲げ線10aでつながっている。そして、図3Bの通り、フィルム11,12の気泡緩衝材15が互いに対向する。
【0005】
ウェブ材搬送装置3’が、折曲装置21より下流に配置されている。ウェブ材搬送装置3’は、上記のように互いに重ね合わされた2枚のフィルム11,12を搬送方向Xに間欠的に搬送する。
【0006】
なお、ダンサー装置22が、繰出装置20とウェブ材搬送装置3’との間に配置されており、連続状のフィルム11,12に適切なテンションを付与して、フィルム11,12の搬送を連続的な搬送から間欠的な搬送に適切に切り替えている。
【0007】
横ヒートシール装置23が、ダンサー装置22とウェブ材搬送装置3’との間に配置されている。横ヒートシール装置23は、フィルム11,12が間欠的に搬送されるごとに、フィルム11,12をその幅方向Yにヒートシールする。
【0008】
カッター装置24が、ウェブ材搬送装置3’より下流に配置されている。カッター装置24は、フィルム11,12が間欠的に搬送されるごとに、フィルム11,12をその幅方向Yにカットする。それによって、プラスチック袋1が得られる。
【0009】
ウェブ材搬送装置3’は、図8Aの通り、一対の搬送ローラ33,33と、一対の搬送ローラ33,33を回転させるモータ34とを備える。フィルム11,12は、一対の搬送ローラ33,33でグリップされる。そして、その状態で、搬送ローラ33,33がモータ34によって回転されることで、フィルム11,12が搬送方向Xに搬送される。
【0010】
ところで、フィルム11,12が横ヒートシール装置23によってヒートシールされると、図8Bに示される横ヒートシール部13が、プラスチック袋1の設計に基づいて決定される一定のピッチで形成される。気泡緩衝材15の空気室150がヒートシールによってつぶされるので、横ヒートシール部13の厚みは、他の部分の厚みよりもかなり小さい。したがって、一対の搬送ローラ33,33の対向間隔が大きいと、横ヒートシール部13は、一対の搬送ローラ33,33の間を通過するときに一対の搬送ローラ33,33によってグリップされない。つまり、フィルム11,12を搬送することができない。
【0011】
対向間隔を小さくすれば、横ヒートシール部13を一対の搬送ローラ33,33でグリップすることができ、したがって、フィルム11,12を搬送することができる。ただし、横ヒートシール部13以外の部分が一対の搬送ローラ33,33の間を通過するとき、気泡緩衝材15(その空気室150)が一対の搬送ローラ33,33によって強くグリップされ、破壊されることがある。すなわち、フィルム11,12は搬送されるものの、フィルム11,12の変形や損傷は避けられない。
【0012】
この問題は、上記の連続状のフィルム11,12に限らず、厚みが小さい部分を有する他のウェブ材を搬送するときにも生じうるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2017-47622号公報
【文献】特開平8-85658号公報
【文献】特開平1-176765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、厚みが小さい部分を一定のピッチで有するウェブ材を適切に搬送するウェブ材搬送装置を備える製袋機を提供する。
【0015】
本発明の一態様によれば、プラスチック袋を製造する製袋機が提供され、
製袋機は、
互いに重ね合わされた少なくとも2枚の連続状のフィルムをその長さ方向に間欠的に搬送するウェブ材搬送装置と、
ウェブ材搬送装置より上流に配置され、フィルムが間欠的に搬送されるたびにフィルムをその幅方向にヒートシールする横ヒートシール装置と、を備える。
ウェブ材搬送装置は、
フィルムを搬送方向に搬送する第1搬送ユニットおよび第2搬送ユニットを備える。第2搬送ユニットは、第1搬送ユニットから搬送方向に離れて位置されている。
第1および第2搬送ユニットは、それぞれ、
搬送方向に直交する第1直交方向にのびる軸線の周りに回転可能に支持され、搬送方向および第1直交方向の双方に直交する第2直交方向に互いに対向する一対の搬送ローラと、
一対の搬送ローラの少なくとも一方を回転させる駆動源と、を備える。
ウェブ材搬送装置は、さらに、
第1および第2搬送ユニットの少なくともいずれか一方を搬送方向およびその反対方向に移動させて、第1搬送ユニットの一対の搬送ローラと第2搬送ユニットの一対の搬送ローラとの間の搬送方向の間隔を調整する間隔調整ユニットを備える。
【0016】
第1および第2搬送ユニットの少なくともいずれか一方は、
一方の搬送ローラを回転可能に支持するユニットフレームと、
第1直交方向にのびる軸線の周りに回動可能にユニットフレームに支持され、他方の搬送ローラを回転可能に支持する支持回動体と、
支持回動体を一対の搬送ローラの対向間隔が小さくなる方向に付勢する付勢部材と、
上記の対向間隔が小さくなる方向に支持回動体が回動するのを規制する規制部材と、を含む。
【0017】
付勢部材は、対向間隔が変化するようにユニットフレームに対して移動可能であることが好ましい。
【0018】
間隔調整ユニットは、
搬送方向にのびるラックと、
第1および第2搬送ユニットの少なくともどちらか一方に回転可能に支持され、ラックと噛み合うピニオンギアと、を含んでよい。
【0019】
間隔調整ユニットは、さらに、
ピニオンギアをラックに沿って回転させるために操作されるハンドルを、さらに含んでよい。
【0020】
搬送ローラは、それぞれ、ゴムローラであることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る製袋機は、厚みが小さい部分を一定のピッチで有するフィルムを適切に搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る製袋機を概略的に示す平面図である。
図2図2は、ヒートシールされた2枚のフィルムを概略的に示す断面図である。
図3図3Aは、実施形態で用いられるフィルムを示す断面図であり、図3Bは、互いに重ね合わされた2枚のフィルムを示す断面図である。
図4図4Aおよび図4Bは、ウェブ材搬送装置を概略的に示す側面図である。
図5図5は、図4の搬送ユニットを説明するための側面図である。
図6図6Aは、間隔調整ユニットの要部を示す図であり、図6Bは、図6Aの部分側面図である。
図7図7は、従来例に係る製袋機を概略的に示す平面図である。
図8図8Aおよび図8Bは、一対の搬送ローラを用いたフィルムの搬送を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るウェブ材搬送装置および製袋機が説明される。
【0025】
図1を参照して、製袋機2は、その最上流に配置された繰出装置20を備える。繰出装置20は、大幅で連続状のプラスチックのフィルム10をその原反ロールから繰り出し、連続的に搬送する。その搬送方向Xは、フィルム10の長さ方向である。
【0026】
製袋機2は、繰出装置20より下流に配置された折曲装置21をさらに備える。繰出装置20は、フィルム10をその長さ方向中心線10aに沿って折り曲げて、2枚のフィルム11,12(ウェブ材の一例)を形成し、互いに重ね合わせる。したがって、2枚のフィルム11,12は、折り曲げ線10aでつながっている。フィルム11,12は、プラスチック袋1の胴材である。
【0027】
製袋機2は、折曲装置21より下流に配置されたウェブ材搬送装置3をさらに備える。ウェブ材搬送装置3は、互いに重ね合わされた2枚の連続状のフィルム11,12を搬送方向Xに間欠的に搬送する。
【0028】
製袋機2は、折曲装置21より下流にかつウェブ材搬送装置3より上流に配置されたダンサー装置22をさらに備える。ダンサー装置22は、フィルム11,12にテンションを付与して、フィルム11,12の搬送を連続的な搬送から間欠的な搬送に適切に切り替える。ダンサー装置22は、フィルム11,12に係合するダンサーローラ等を含む。
【0029】
製袋機2は、ダンサー装置22より下流にかつウェブ材搬送装置3より上流に配置された横ヒートシール装置23をさらに備える。横ヒートシール装置23は、フィルム11,12が間欠的に搬送されるたびに、フィルム11,12をその幅方向Yにヒートシールする。それによって、図2の通り、横ヒートシール装置23は、横ヒートシール部13を、一定のピッチPでフィルム11,12の長さ方向(搬送方向X)に間隔をあけて形成する。ピッチPは、プラスチック袋1の設計に基づいて決定される。
【0030】
製袋機2は、ウェブ材搬送装置3より下流に配置されたカッター装置24をさらに備える。カッター装置24は、フィルム11,12が間欠的に搬送されるたびに、フィルム11,12をその幅方向Yにカットする。そのカット位置は、横ヒートシール部13の位置である。製袋機2は、それによってプラスチック袋1を製造する。したがって、実施形態のプラスチック袋1では、1辺が開口縁1bとなっており、残りの3辺は閉じられている。
【0031】
図3Aは、実施形態で用いられるフィルム11,12(10)を示す。フィルム11,12の一方の面は、基材14で構成されている。フィルム11,12の反対側の面は、気泡緩衝材15で構成されている。気泡緩衝材15は、複数の空気室150を含む。
【0032】
図3Bに示される通り、2枚のフィルム11,12は、折曲装置21によって、それらの気泡緩衝材15が互いに対向するように重ね合わされる。そして、2枚のフィルム11,12は、その状態でウェブ材搬送装置3によって間欠的に搬送される。
【0033】
実施形態では、気泡緩衝材15は、シーラントとして機能する。フィルム11,12が横ヒートシール装置23によってヒートシールされるとき、フィルム11,12の気泡緩衝材15が互いに溶着する。気泡緩衝材15の空気室150は、ヒートシール時に破壊される。
【0034】
図4Aは、ウェブ材搬送装置3を示す。ウェブ材搬送装置3は、フィルム11,12を搬送方向Xに搬送する第1搬送ユニット31および第2搬送ユニット32を含む。第2搬送ユニット32は、第1搬送ユニット31から搬送方向Xに離れて位置している。
【0035】
第1搬送ユニット31および第2搬送ユニット32は、同一の構成である。図5の通り、搬送ユニット31,32は、それぞれ、一対の搬送ローラ33,33を含む。一対の搬送ローラ33,33は、それぞれ、搬送方向Xに直交する第1直交方向Y(図1参照)(実施形態では水平方向)にのびる軸線の周りに回転可能に支持されている。一対の搬送ローラ33,33は、搬送方向Xおよび第1直交方向Yの双方に直交する第2直交方向Z(実施形態では上下方向)に互いに対向している。搬送ローラ33は、それぞれ、ゴムローラである。
【0036】
搬送ユニット31,32は、それぞれ、一対の搬送ローラ33,33の少なくともいずれか一方を回転させる駆動源としてのモータ34をさらに含む。モータ34は、周知の伝達機構を介して搬送ローラ33に連結されている。実施形態では、搬送ローラ33,33の双方が伝達機構によって同期して回転される。これに代えて、一方の搬送ローラ33がモータ34によって回転され、他方の搬送ローラ33がアイドルローラであってもよい。
【0037】
フィルム11,12が一対の搬送ローラ33,33によってグリップされた状態でモータ34が駆動すると、フィルム11,12が搬送方向Xに搬送される。
【0038】
搬送ユニット31,32は、それぞれ、一方(図5の下側)の搬送ローラ33を回転可能に支持するユニットフレーム35をさらに含む。搬送ローラ33,33の回転軸33aの両端が、例えばベアリングを用いてユニットフレーム35に支持されている。モータ34は、ユニットフレーム35に取り付けられている。
【0039】
搬送ユニット31,32は、それぞれ、他方(図5の上側)の搬送ローラ33を回転可能に支持する支持回動体36をさらに含む。他方の搬送ローラ33の回転軸33aの両端が、例えばベアリングを用いて支持回動体36に支持されている。そして、この支持回動体36は、第1直交方向Yにのびる軸線AYの周りに回動可能にユニットフレーム35に支持されている。実施形態では、支持回動体36は、第1直交方向Yにのびる回動軸37を用いてユニットフレーム35に支持され、回動軸37を中心にユニットフレーム35に対して回動する。
【0040】
搬送ユニット31,32は、それぞれ、支持回動体36を、軸線AYを中心に、一対の搬送ローラ33,33の対向間隔dが小さくなる方向(図5では反時計周り)に付勢する付勢部材としてのシリンダ38をさらに含む。各搬送ユニット31,32は、それぞれ、対向間隔dが小さくなる方向への支持回動体36の回転を規制する規制部材としてのボルト39をさらに含む。
【0041】
シリンダ38の基端部38aは、ピンなどを用いてユニットフレーム35に回動可能に取り付けられている。シリンダ38の先端部(ピストンロッド)38bは、ピン等を用いて支持回動体36に回動可能に取り付けられている。シリンダ38は、そのピストンロッド38bを伸張方向eに付勢し、それによって支持回動体36を対向間隔dが小さくなる方向に付勢している。支持回動体36がボルト39に当接することで、支持回動体36の回動が規制される。
【0042】
ボルト39は、対向間隔dが変化するようにユニットフレーム35に対して移動可能である。実施形態では、ボルト39は、ユニットフレーム35に取り付けられたブラケット40に螺号している。ボルト39は、回転されることで、その長手方向fにユニットフレーム35に対して移動される。それによって、支持回動体36がボルト39に当接する位置が変化し、結果的に、対向間隔dが変化する。ボルト39の操作によって、対向間隔dを、簡単に調整することができる。ボルト39が使用されないときに回転するのを防止するために、例えばブラケット40に横穴を空け、そこにイモネジ(ホーローセットとも呼ばれる)を挿入することでボルト39を押さえてもよい。
【0043】
対向間隔dは、搬送されるフィルム11,12の全体としての厚みt(図3B)やフィルム11,12の材料に応じて設定されなければならない。フィルム11,12が一対の搬送ローラ33,33によってグリップされるように、対向間隔dは、厚みtより小さく設定される。対向間隔dが小さい程、フィルム11,12をグリップするグリップ力は大きくなる。ただし、対向間隔dが厚みtよりも小さすぎると、フィルム11,12が損傷、変形しうる。実施形態では、気泡緩衝材15の空気室150が破壊されうる。したがって、対向間隔dは、適切なグリップ力およびフィルム11,12の損傷および変形の防止が確保されるように、厚みtよりわずかに小さく設定される。このために、上述のボルト39が操作される。
【0044】
なお、フィルム11,12が一対の搬送ローラ33,33の間を通過するとき、グリップされたフィルム11,12の反力が、支持回動体36に、対向間隔dが大きくなる方向(図5では時計周り)に作用する。このとき、シリンダ38は、支持回動体36が回動されない程度の付勢力を、支持回動体36に、対向間隔dが小さくなる方向(反時計周り)に作用させている。
【0045】
図4Aを参照して、横ヒートシール部13は、一方の搬送ユニット32の一対の搬送ローラ33,33の間を通過するとき、一対の搬送ローラ33,33によってグリップされない。したがって、搬送ユニット32は、フィルム11,12を搬送できない。
【0046】
このとき、フィルム11,12は、横ヒートシール部13以外の部分において、他方の搬送ユニット31の一対の搬送ローラ33,33によってグリップされている。したがって、搬送ユニット31は、モータ34の駆動によってフィルム11,12を搬送方向Xに搬送することができる。このようにして、フィルム11,12は、第1および第2搬送ユニット31,32の少なくともいずれか一方の一対の搬送ローラ33,33によってグリップされ、搬送方向Xに搬送される。
【0047】
実施形態では、厚みの小さい部分(横ヒートシール部13)は一定のピッチPでフィルム11,12に形成されている。したがって、図4Bの通り、第1搬送ユニット31の一対の搬送ローラ33,33と第2搬送ユニット32の一対の搬送ローラ33,33と間の搬送方向Xの間隔Lが、ピッチPの自然数倍であれば、どちらの搬送ユニット31,32の一対の搬送ローラ33,33も、フィルム11,12をグリップすることができない。その結果、ウェブ材搬送装置3は、フィルム11,12を搬送できない。
【0048】
そこで、図6の通り、ウェブ材搬送装置3は、第1および第2搬送ユニット31,32の少なくともいずれか一方を搬送方向Xおよびその反対方向Xに移動させて、間隔Lを調整する間隔調整ユニット5をさらに備える。実施形態では、第1および第2搬送ユニット31,32の双方が間隔調整ユニット5によって移動される。
【0049】
間隔調整ユニット5は、ウェブ材搬送装置3のメインフレーム30に固定され、搬送方向Xにのびるラック50と、ユニットフレーム35に回転可能に支持され、ラック50と噛み合うピニオンギア51と、を含む。間隔調整ユニット5は、ピニオンギア51に接続され、ピニオンギア51をラック50に沿って回転されるために操作されるハンドル52と、をさらに含む。
【0050】
間隔調整ユニット5は、ユニットフレーム35に回転可能に支持され、メインフレーム30に接地する転動ローラ53をさらに含む。この転動ローラ53によって、搬送ユニット31,32のメインフレーム30上での円滑な移動が保障される。第1および第2搬送ユニット31,32の少なくともいずれか一方がメインフレーム30上を移動するときにメインフレーム30から浮き上がるのを防止するために、これら31,32の少なくともいずれか一方を公知の手段(例えばレール状のガイド部材)によって押えてもよい。
【0051】
ハンドル52が操作されると、ピニオンギア51がラック50上に沿って回転する。それによって、ピニオンギア51を支持する搬送ユニット31,32が、メインフレーム30に対して搬送方向Xおよびその反対方向Xに移動する。したがって、間隔Lを自由に調整できる。
【0052】
この間隔調整ユニット5によって間隔Lを調整し、当該間隔LがピッチPの自然数倍にならないようにすればよい。それによって、第1および第2搬送ユニット31,32の双方が同時に一対の搬送ローラ33,33でフィルム11,12をグリップできない状況を回避できる。したがって、フィルム11,12を適切に搬送することが保障される。
【0053】
以上のように、厚みが小さな部分(横ヒートシール部13)を有するウェブ材(フィルム11,12)が搬送されるとき、少なくともどちらかの搬送ユニット31,32が、ウェブ材を損傷,変形させることなく、ウェブ材をその一対の搬送ローラ33,33によってグリップすることができる。また、厚みが小さい部分のピッチPが変更されたとき、その変更に対応すべく間隔Lを間隔調整ユニット5によって調整できる。したがって、厚みが小さな部分を一定のピッチPで有するフィルム11,12を適切に搬送することができる。
【0054】
ウェブ材搬送装置3によって搬送されるウェブ材は、気泡緩衝材15を有する連続状のフィルム11,12以外の他のフィルムがでもよい。また、ウェブ材は、フィルムに限らず、プラスチック以外の他の材料で構成されてよい。
【0055】
ウェブ材搬送装置3は、図1の製袋機2に限らず、他の製袋機に適用されてよい。
【0056】
間隔調整ユニット5は、第1および第2搬送ユニット31,32を移動させるために、ラックアンドピニオン以外の他の構成を採用してよい。また、間隔調整ユニット5は、第1および第2搬送ユニット31,32のどちらか一方だけをメインフレーム30に対して搬送方向Xおよびその反対方向Xに移動させ、他方は、メインフレーム30に固定されてよい。
【0057】
間隔調整ユニット5は、ハンドル52に代えて、モータのような駆動源を含み、当該駆動源によって、第1および第2搬送ユニット31,32の少なくともいずれか一方を搬送方向Xおよびその反対方向Xに移動させて、間隔Lを調整してもよい。例えば、駆動源によってピニオンギア51を回転させてよい。また、間隔調整ユニット5は、マークを読み取るセンサなどを用いて、第1および第2搬送ユニット31,32のメインフレーム30に対する位置を検知できるように構成されてよい。
【0058】
フィルム11,12にある程度の大きさの異物が混入されており、その異物が一対の搬送ローラ33,33の間を通過するとき、一対の搬送ローラ33,33の対向間隔dは、異物によってシリンダ38の付勢力に抗して拡げられる。その結果、シリンダ38は異物によって縮められる。したがって、ウェブ材搬送装置3は、シリンダ38の短縮を検知するセンサを備え、当該センサの検出信号に基づいて、フィルム11,12に異物が混入されたことを検知してもよい。また、ウェブ材搬送装置3は、異物の混入が検知されたときに、警告を発してよい。
【0059】
支持回動体36を付勢する付勢部材は、実施形態ではシリンダ38であったが、これに代えて例えばバネであってよい。また、支持回動体36の回動を規制する規制部材は、実施形態ではボルト39であったが、これに代えて他の部材であってよい。
【符号の説明】
【0060】
1 プラスチック袋
11,12 フィルム(ウェブ材の一例)
13 横ヒートシール部(厚みが小さい部分の一例)
14 基材
15 気泡緩衝材
150 空気室
2 製袋機
23 横ヒートシール装置
3 ウェブ材搬送装置
30 メインフレーム
31 第1搬送ユニット
32 第2搬送ユニット
33,33 一対の搬送ローラ
34 モータ(駆動源の一例)
35 ユニットフレーム
36 支持回動体
37 回動軸
38 シリンダ(付勢部材の一例)
39 ボルト(規制部材の一例)
5 間隔調整ユニット
50 ラック
51 ピニオンギア
52 ハンドル
AY 支持回動体の回動中心
d 一対の搬送ローラの対向間隔
P 横ヒートシール部のピッチ
搬送方向/フィルムの長さ方向
搬送方向の反対方向/フィルムの長さ方向
Y 第1直交方向/胴材の幅方向
Z 第2直交方向/上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8