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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】缶蓋検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 17/04 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
G01G17/04 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018181707
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020051906
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】594074182
【氏名又は名称】株式会社ワクトシステムプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】下山 貴也
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-058795(JP,A)
【文献】特開昭61-271441(JP,A)
【文献】特開2002-236102(JP,A)
【文献】特開2012-130889(JP,A)
【文献】特開平08-299879(JP,A)
【文献】特開平10-071369(JP,A)
【文献】特開2001-038273(JP,A)
【文献】特開2018-120721(JP,A)
【文献】特開2012-217884(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108344479(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48,
B65D 6/00-13/02,
B05C 7/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に全周に亘ってシーリングコンパウンドが塗付された缶蓋における前記シーリングコンパウンドの塗布量を検査する缶蓋検査装置であって、
重量計測部と、
前記缶蓋から前記シーリングコンパウンドを除去する除去部と、
前記シーリングコンパウンドの除去の前後における前記缶蓋の重量を前記重量計測部に計測させ、計測結果の差分を前記シーリングコンパウンドの塗布量として算出する制御部と、
を備えたことを特徴とする缶蓋検査装置。
【請求項2】
前記缶蓋は、平面視形状が円形となっており、
前記除去部が、
前記缶蓋を保持して、前記平面視形状の中心を通って当該平面視形状と直交する回転軸回りに前記缶蓋を回転させる回転部と、
剥離ピンを、当該剥離ピンの軸回りに回転させつつ、前記回転部によって回転される前記缶蓋の前記周縁部に当該剥離ピンの先端を押し当てることで、前記シーリングコンパウンドを剥離する剥離部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋検査装置。
【請求項3】
前記除去部が、互いに異なる方向から前記剥離ピンを押し当てる複数の前記剥離部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の缶蓋検査装置。
【請求項4】
前記除去部が、前記回転部を、前記剥離部による前記シーリングコンパウンドの剥離が可能な剥離位置と、当該剥離位置から離れた位置で前記缶蓋の受渡しが行われる受渡し位置と、の間で移動させる回転部移動機構を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の缶蓋検査装置。
【請求項5】
前記除去部が、
前記剥離ピンが貫通する貫通孔が設けられ、当該貫通孔を通して前記剥離ピンの先端を前記缶蓋の前記周縁部へと案内する剥離ピンガイドと、
前記シーリングコンパウンドの剥離後に、前記剥離ピンの先端を前記貫通孔から出し入れするように前記剥離部を前後移動させて、当該剥離ピンの先端から剥離後の前記シーリングコンパウンドを除去する剥離部前後機構と、
を備えていることを特徴とする請求項2~4のうち何れか一項に記載の缶蓋検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋に塗付されたシーリングコンパウンドの塗布量を検査する缶蓋検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属製の缶を構成する缶蓋には、多くの場合、密閉性を高めるために、周縁部に全周に亘ってシーリングコンパウンドが塗付されている(例えば、特許文献1参照。)。シーリングコンパウンドの塗付は、缶蓋の製造の一環として行われるが、一定の密閉性を得るにはシーリングコンパウンドが過不足なく適正な量で塗付される必要がある。このため、缶蓋におけるシーリングコンパウンドの塗布量が適正であるか否かが、適宜の抜取り検査等によって行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-158382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、缶蓋の製造現場では、シーリングコンパウンドの塗布量について、検査の手法については種々あるものの、作業者が手作業によって抜取り検査を行っていることが多い。手作業での検査には、多くの場合、作業が煩雑で手間がかかる上に検査ミスが生じ易いという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、缶蓋におけるシーリングコンパウンドの塗布量について、作業が容易で検査ミスの発生を抑えて抜取り検査を行うことができる缶蓋検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の缶蓋検査装置は、周縁部に全周に亘ってシーリングコンパウンドが塗付された缶蓋における前記シーリングコンパウンドの塗布量を検査する缶蓋検査装置であって、重量計測部と、前記缶蓋から前記シーリングコンパウンドを除去する除去部と、前記シーリングコンパウンドの除去の前後における前記缶蓋の重量を前記重量計測部に計測させ、計測結果の差分を前記シーリングコンパウンドの塗布量として算出する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の缶蓋検査装置によれば、缶蓋検査装置で一連の内部動作によって、シーリングコンパウンドの除去の前後における缶蓋の重量が計測され、その計測結果の差分がシーリングコンパウンドの塗布量として算出される。このため、抜取り検査において作業者に求められる作業が非常に容易なものとなっている。後は、算出された塗布量が所定の許容量であるか否か、缶蓋検査装置に自動評価させてもよく、あるいは作業者が自分で評価を行ってもよい。何れにしても評価根拠となる塗布量が缶蓋検査装置で求められるため人為的な検査ミスの発生が抑えられる。このように、本発明の缶蓋検査装置によれば、缶蓋におけるシーリングコンパウンドの塗布量について、作業が容易で検査ミスの発生を抑えて抜取り検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態にかかる缶蓋検査装置の検査対象となる缶蓋を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる缶蓋検査装置を示す模式図である。
図3図2に示されている検査前保持部及び検査前横搬送部を、図中の矢印V1方向から見た側面図である。
図4図2に示されている縦搬送部を、重量計測部の電子秤、一時保持部、除去部の回転部とともに示す図である。
図5図2に示されている除去部を示す図である。
図6図2に示されている検査後横搬送部及びエラー品保持部を、図中の矢印V2方向から見た側面図である。
図7】検査前保持部の缶蓋載置台におけるA1の載置ポケットにセットされた缶蓋が、検査前横搬送部によって搬送されるステップS1の動作を示す図である。
図8】縦搬送部によって缶蓋が重量計測部へと搬送されるステップS2の動作と、重量計測部で重量計測が行われるステップS3の動作を示す図である。
図9】重量計測済みの缶蓋が重量計測部から一時保持部に戻されるステップS4及びステップS5の動作を示す図である。
図10】缶蓋が一時保持部から除去部に引き渡されるステップS6及びステップS7の動作を示す図である。
図11】缶蓋が引き渡された回転部が受渡し位置P4から剥離位置P3へと搬送されるステップS8及びステップS9の動作を示す図である。
図12】除去部においてシーリングコンパウンドの除去が行われるステップS10の動作を示す図である。
図13】シーリングコンパウンドの除去が終了した回転部が剥離位置P3から受渡し位置P4へと搬送されるステップS11及びステップS12の動作を示す図である。
図14】缶蓋が除去部の回転部から一時保持部に搬送されるステップS13及びステップS14の動作を示す図である。
図15】一時保持部上の缶蓋が塗布量の判定結果に応じた位置へと搬送されるステップS15の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋検査装置の検査対象となる缶蓋を示す図である。
【0011】
図1に示されている缶蓋2は、円筒型のアルミニウム缶の構成部品であり、概ね円錐台上の中央部21を円環状の周縁部22が取り巻いた形状を有している。周縁部22は、図1に断面図及び拡大断面図で示されているように、外縁部221が、円弧状の断面形状となるように折り返された形状を有している。そして、この折り返された外縁部221の内側に、樹脂製のシーリングコンパウンド23が塗付されている。
【0012】
シーリングコンパウンド23は、アルミニウム缶における、缶蓋2と円筒状の周壁との密閉性を高めるために、缶蓋2と周壁との接続部位となる外縁部221の内側に塗付されている。以下に説明する缶蓋検査装置は、この缶蓋2に、シーリングコンパウンド23が、必要な密閉性を得るための適正な量で塗付されているか否かを検査する装置である。缶蓋2は、所定数をロット単位として製造されが、缶蓋検査装置は、各製造ロットに対する抜取り検査に用いられる。作業者は、各製造ロットから任意に抜き取った缶蓋2を缶蓋検査装置にセットし、シーリングコンパウンド23の塗布量についての検査を行う。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態にかかる缶蓋検査装置を示す模式図である。この図2は、缶蓋検査装置1の内部構造を、矩形箱状の筐体1aの内部を天井板側からの平面視で透視した平面透視図で示したものである。尚、以下では、この図2における左右の向きを「横」、図2における上下の向きを「縦」、紙面に垂直な向きを「上下」と呼んで説明を行う。
【0014】
缶蓋検査装置1は、重量計測部11と、シーリングコンパウンド23の除去部12と、制御部13と、を備えている。
【0015】
重量計測部11は、筐体111と、電子秤112と、電子秤112への缶蓋2の挿入口を遮蔽/解放するカバー113と、カバー駆動部114と、を備えている。筐体111は、矩形箱状のケースであり、内部に電子秤112が設置されている。電子秤112は、缶蓋2の重量を計測する部位である。電子秤112は、制御部13に接続されており、その計測結果は制御部13に送られる。カバー113は、カバー開閉方向D1に横スライド可能に、筐体111における挿入口に保持されている。カバー駆動部114は、制御部13による制御を受けてカバー113を横スライドさせて挿入口を遮蔽/解放させる。この重量計測部11では、電子秤112による重量計測が、カバー113によって挿入口が遮蔽された状態で行われる。
【0016】
除去部12は、缶蓋2からシーリングコンパウンド23を除去するものであり、回転部121と、剥離部122と、を備えている。回転部121は、缶蓋2を保持して回転させる部位であり、剥離部122は、剥離ピン122aの先端を缶蓋2における外縁部221の内側に押し当ててシーリングコンパウンド23を剥離除去する部位である。剥離部122は、互いに異なる左右二方向から剥離ピン122aの先端を斜め上方から押し当てるように左右一対が設けられている。除去部12については、後で別図を用いて詳細に説明する。
【0017】
制御部13は、缶蓋検査装置1の各部について後述する動作制御を行う制御用のPC(Personal Computer)である。本実施形態では、この制御部13が、シーリングコンパウンド23の除去の前後における缶蓋2の重量を重量計測部11に計測させ、計測結果の差分をシーリングコンパウンド23の塗布量として算出する。
【0018】
また、缶蓋検査装置1は、検査前保持部14と、検査前横搬送部15と、縦搬送部16と、一時保持部17と、検査後横搬送部18と、排出ポケット19と、エラー品保持部20と、を備えている。
【0019】
検査前保持部14は、検査前の缶蓋2を保持する部位である。また、検査前横搬送部15は、検査前保持部14に保持されている検査前の缶蓋2を一時保持部17まで搬送する部位である。
【0020】
図3は、図2に示されている検査前保持部及び検査前横搬送部を、図中の矢印V1方向から見た側面図である。
【0021】
検査前保持部14は、作業者が製造ロットから任意に抜き取った缶蓋2を検査対象として保持する部位であり、缶蓋載置台141と、縦移動レール142と、台駆動部143と、を備えている。
【0022】
缶蓋載置台141は、A1~A3、B1~B3、C1~C3、D1~D3の識別番号が付与された4行×3列の12箇所の載置ポケットに缶蓋2が重ね積みされる板状の台である。各載置ポケットには、缶蓋2が12枚まで重ね積み可能となっている。また、図2において載置ポケットA1を代表例として示されているように、各載置ポケットには、缶蓋2の中心が載置ポケットの中心と一致するように缶蓋2の位置決めを行う3本のガイドピン144が設けられている。また、各ガイドピン144は、積まれる缶蓋2の半径方向に移動可能に設けられている。ガイドピン144のこの半径方向の位置は、積まれる缶蓋2のサイズに応じた位置に予め調整される。
【0023】
縦移動レール142は、図2に示されているように、缶蓋検査装置1の筐体1aに設けられ、セット側開閉扉1bで遮蔽/解放される、検査対象の缶蓋2をセットするためのセット口1cの近傍から、縦移動方向D2に、筐体1aの奥側まで延在している。縦移動レール142は、セット口1cの近傍のセット位置P1と、図2及び図3に点線で示されたピックアップ位置P2と、の間で縦移動方向D2にスライド移動可能に缶蓋載置台141を保持している。セット位置P1は、作業者による缶蓋2のセットが可能な位置であり、ピックアップ位置P2は、検査前横搬送部15による缶蓋2のピックアップが可能な位置である。
【0024】
台駆動部143は、制御部13による制御を受けて上記のセット位置P1とピックアップ位置P2との間で缶蓋載置台141をスライド移動させる部位である。
【0025】
検査前横搬送部15は、吸着部151と、上下動機構152と、横移動レール153と、横駆動部154と、を備えている。
【0026】
吸着部151は、缶蓋載置台141に載置された缶蓋2を、制御部13による制御を受けて吸着パッド151aで吸着するとともに、その吸着を、一時保持部17の上方で解除する部位である。
【0027】
上下動機構152は、吸着部151を、缶蓋2を吸着可能な位置まで降下させるとともに横移動可能な位置まで上昇させる部位であり、レール係合部152aと、吸着部保持アーム152bと、アーム駆動部152cと、を備えている。レール係合部152aは、横移動レール153に横移動方向D3にスライド移動可能に係合しており、上下方向D4に垂下している。吸着部保持アーム152bは、レール係合部152aに固定されたアーム駆動部152cを介して上下方向D4にスライド移動可能に保持されており、レール係合部152aから更に垂下して先端に吸着部151が固定されている。アーム駆動部152cは、レール係合部152aに固定され、制御部13による制御を受けて吸着部保持アーム152bつまりは吸着部151を上下方向D4にスライド移動させる部位である。
【0028】
横移動レール153は、缶蓋載置台141における最も筐体1aの側壁に近い載置ポケットA3,・・・,D3よりも更に側壁寄りの位置から一時保持部17の上方の位置まで横移動方向D3に延在する部位である。横移動レール153は、上述したように、上下動機構152のレール係合部152aを横移動方向D3にスライド移動可能に保持している。
【0029】
横駆動部154は、上下動機構152に保持された吸着部151を、缶蓋載置台141の上方における缶蓋2の吸着位置から一時保持部17の上方の位置まで横移動方向D3にスライド移動させる。
【0030】
検査前横搬送部15では、制御部13の制御の下、缶蓋載置台141の缶蓋2を吸着部151が吸着し、その吸着部151が一時保持部17の上方の位置までスライド移動して、その位置で吸着部151が吸着を解除する。これにより、缶蓋載置台141の缶蓋2が一時保持部17まで搬送されて、この一時保持部17に載置されることとなる。
【0031】
ここで、本実施形態では、上述した検査前保持部14が、図2に示されている3箇所に配置された缶蓋有無センサ145を備えている。検査前横搬送部15では、缶蓋載置台141における4行×3列の載置ポケットのうち、横移動レール153の近傍に並んだ何れかの行に属する3つの載置ポケットの缶蓋2について、吸着部151の吸着が可能となっている。上記の缶蓋有無センサ145は、吸着部151の吸着が可能な3つの載置ポケットの直下となる3箇所に配置されている。各缶蓋有無センサ145は、各箇所における缶蓋2の有無を検出して検出結果を制御部13に送る。
【0032】
検査前保持部14では、作業者が検査対象の缶蓋2をセットしてセット側開閉扉1bを閉じると、まず、A1~A3の行の載置ポケットが缶蓋有無センサ145の直上に来るピックアップ位置P2まで缶蓋載置台141が移動される。そして、これら3つの載置ポケットについて缶蓋有無センサ145が缶蓋2の有無を検出する。何れの載置ポケットにも缶蓋2がセットされておらず、缶蓋2の存在が検出されなかった場合、B1~B3の行の載置ポケットが缶蓋有無センサ145の直上に来る位置まで缶蓋載置台141の位置が1行分ずらされる。このような缶蓋載置台141の移動は、缶蓋2の存在が検出されるまで、あるいは、D1~D3の行の載置ポケットが缶蓋有無センサ145の直上に来るまで行われる。何れの行の載置ポケットについても缶蓋2の存在が検出されなかった場合には、作業者が検査対象の缶蓋2をセットせずにセット側開閉扉1bを閉じたものとして、缶蓋載置台141がセット位置P1に戻される。
【0033】
何れかの行の載置ポケットについて缶蓋2の存在が検出されると、その行に属する3つの載置ポケットのうち缶蓋2の存在が検出された載置ポケットについて、検査前横搬送部15が缶蓋2を一時保持部17に搬送する。搬送後は、後述するように、その缶蓋2についてシーリングコンパウンド23の塗布量に対する検査が行われる。缶蓋2の搬送と検査は、缶蓋2の存在が検出された載置ポケットから缶蓋2が1つずつ順次にピックアップされて行われる。
【0034】
このようにして、缶蓋2の存在が検出された行に属する3つの載置ポケットの全ての缶蓋2について搬送と検査が終了すると、その行の載置ポケットについては缶蓋有無センサ145が缶蓋2の存在を検出しなくなる。すると、缶蓋載置台141の位置が1行分ずらされる。次の行に属する3つの載置ポケットについて缶蓋2の存在が検出されると、その行に属する3つの載置ポケットについて缶蓋2の搬送と検査が行われる。また、次の行に属する3つの載置ポケットについて缶蓋2の存在が検出されなかった場合には、缶蓋載置台141の位置が更に1行分ずらされる。このような缶蓋載置台141の移動、缶蓋2の搬送及び検査が、D1~D3の行の載置ポケットが缶蓋有無センサ145の直上に来るまで行われる。そして、D1~D3の行の載置ポケットについて缶蓋2の存在が検出されなかった場合、あるいは、D1~D3の行の載置ポケットの全ての缶蓋2の搬送及び検査が終了した場合には、缶蓋載置台141がセット位置P1に戻される。
【0035】
縦搬送部16は、一時保持部17に載置された缶蓋2を重量計測部11の電子秤112まで搬送するとともに、重量計測後の缶蓋2を電子秤112から一時保持部17へと搬送する部位である。また、縦搬送部16は、一時保持部17へと搬送した缶蓋2を更に除去部12の回転部121へと搬送する。また、縦搬送部16は、後述するように除去部12でシーリングコンパウンド23が除去された缶蓋2を、回転部121から一時保持部17へと搬送する役割も担っている。
【0036】
図4は、図2に示されている縦搬送部を、重量計測部の電子秤、一時保持部、除去部の回転部とともに示す図である。この図4には、縦搬送部16が除去部12の回転部121とともに、図2と同様の平面図、横方向から見た側面図、及び縦方向から見た側面図、の3つの図で示されている。
【0037】
縦搬送部16は、搬送アーム161と、吸着部162と、上下動機構163と、縦移動レール164と、縦駆動部165と、を備えている。
【0038】
搬送アーム161は、縦移動方向D5に延在する縦棒部分161aと、縦棒部分161aの重量計測部11側の端部から直交して突出し、缶蓋2を縦移動方向D5に押し引きする横棒部分161bと、を有する逆L状の部位である。横棒部分161bにおける重量計測部11側及び回転部121側それぞれの縁部には円弧状に凹んだ凹部161cが設けられている。
【0039】
吸着部162は、制御部13による制御を受けて一時保持部17に載置された缶蓋2を、吸着パッド162aで吸着するとともに、その吸着を、除去部12の回転部121の上方で解除する部位である。また、吸着部162は、除去部12でシーリングコンパウンド23が除去された後に、回転部121に載置された缶蓋2を、吸着パッド162aで吸着するとともに、その吸着を、一時保持部17の上方で解除する役割も担っている。上記の搬送アーム161は、縦棒部分161aにおける横棒部分161bの延出端とは反対側の端部が吸着部162に固定されている。搬送アーム161及び吸着部162は、一体となって上下動機構163や縦駆動部165によって動かされる。
【0040】
上下動機構163は、縦移動レール164に、縦移動方向D5にスライド移動可能に保持されているとともに、搬送アーム161と一体となった吸着部162を保持している。この構造により、搬送アーム161及び吸着部162は、上下動機構163とともに縦移動レール164に沿ってスライド移動可能となっている。
【0041】
この上下動機構163は、搬送アーム161については、横棒部分161bの凹部161cで缶蓋2を押し引き可能な位置まで降下させたり、縦移動可能な位置まで上昇させたりする役割を果たす。また、吸着部162については、缶蓋2を吸着可能な位置まで降下させるとともに縦移動可能な位置まで上昇させる役割を果たす。上下動機構163は、レール係合部163aと、吸着部保持アーム163bと、アーム駆動部163cと、を備えている。レール係合部163aは、縦移動レール164に縦移動方向D5にスライド移動可能に係合している。吸着部保持アーム163bは、レール係合部163aに固定されたアーム駆動部163cを介して上下方向D6にスライド移動可能に保持されており、レール係合部163aから上方に突出して先端に吸着部162が固定されている。アーム駆動部163cは、レール係合部163aに固定され、制御部13による制御を受けて吸着部保持アーム163bつまりは搬送アーム161及び吸着部162を上下方向D6にスライド移動させる部位である。
【0042】
縦移動レール164は、一時保持部17の側方で重量計測部11の近傍の位置から、後述の受渡し位置にある回転部121の側方の位置まで縦移動方向D5に延在する部位である。縦移動レール164は、上述したように、上下動機構163のレール係合部163aを縦移動方向D5にスライド移動可能に保持している。
【0043】
縦駆動部165は、上下動機構163のスライド移動を介して、搬送アーム161に缶蓋2を押し引きさせたり、吸着部162を移動させたりする役割を担っている。
【0044】
以上に説明した縦搬送部16では、検査前横搬送部15によって一時保持部17に缶蓋2が搬送されると、搬送アーム161がその缶蓋2を重量計測部11の電子秤112まで搬送する。このときの搬送は、搬送アーム161が、横棒部分161bにおける重量計測部11側の凹部161cを缶蓋2の外周に押し当てて電子秤112に向かってスライド移動して押し込むことで行われる。
【0045】
電子秤112は、この段階で缶蓋2の重量を計測して計測結果を制御部13に送る。重量計測が終了すると、今度は、搬送アーム161が缶蓋2を重量計測部11の電子秤112から一時保持部17まで搬送する。このときの搬送は、搬送アーム161が、横棒部分161bにおける重量計測部11とは反対側の凹部161cを缶蓋2の外周に押し当てて一時保持部17に向かってスライド移動して引き戻すことで行われる。
【0046】
縦搬送部16では、一時保持部17に戻された重量計測済みの缶蓋2を、今度は吸着部162が除去部12の回転部121へと搬送する。このときの搬送は、吸着部162が、一時保持部17上の缶蓋2を吸着パッド162aで吸着し、回転部121の上方までスライド移動した後に吸着を解除することで行われる。
【0047】
除去部12は、このようにして縦搬送部16の吸着部162から回転部121で受け取った重量計測後の缶蓋2からシーリングコンパウンド23を除去する部位である。
【0048】
図5は、図2に示されている除去部を示す図である。この図5には、除去部12が、図2と同様の平面図、及び縦方向から見た側面図、の2つの図で示されている。
【0049】
除去部12は、回転部121と、剥離部122と、回転部移動機構123と、剥離部支持機構124と、剥離ピンガイド125と、を備えている。
【0050】
回転部121は、平面視形状が円形の缶蓋2を保持して、その中心を通って当該平面視形状と直交する回転軸12a回りに缶蓋2を回転させる部位である。回転部121は、ベース板121aと、缶蓋回転台121bと、缶蓋回転モータ121cと、回転伝達ベルト121dと、を備えている。ベース板121aは、上記の縦搬送部16による縦移動方向D5と同方向の回転部縦移動方向D7にスライド移動可能に、回転部移動機構123に、保持されている。缶蓋回転台121bは、このベース板121aに、回転軸12a回りに回転可能に取り付けられている。また、缶蓋回転台121bには吸着パッド121b-1が設けられており、縦搬送部16の吸着部162から受け取った缶蓋2を吸着保持する。そして、缶蓋回転モータ121cが回転伝達ベルト121dを介して缶蓋回転台121bを回転駆動することで缶蓋2が回転される。
【0051】
剥離部122は、剥離ピン122aと、ピン回転モータ122bと、を備えている。剥離部122は、ピン回転モータ122bで剥離ピン122aを、当該剥離ピン122aの軸回りに回転させる。そして、回転部121によって回転される缶蓋2の周縁部22に剥離ピン122aの先端を押し当てることで、シーリングコンパウンド23を剥離する。上述したように、この剥離部122は、互いに異なる左右二方向から剥離ピン122aの先端を斜め上方から押し当てるように左右一対が設けられている。また、各剥離ピン122aの回転方向は、図1の拡大断面で示されている周縁部22における外縁部221の端縁に向かってシーリングコンパウンド23を掻き取って剥離する方向となっている。剥離ピン122aのこのような回転により、シーリングコンパウンド23が良好に掻き取り除去される。
【0052】
回転部移動機構123は、回転部121を、剥離位置P3と受渡し位置P4との間で回転部縦移動方向D7にスライド移動させる部位である。剥離位置P3は、左右一対の剥離部122の間にあってシーリングコンパウンド23の剥離が可能な位置である。受渡し位置P4は、剥離位置P3から離れた位置で縦搬送部16の吸着部162との間で缶蓋2の受渡しが行われる位置である。回転部移動機構123は、回転部縦移動レール123aと回転部縦駆動部123bとを備えている。回転部縦移動レール123aは、剥離位置P3から受渡し位置P4に掛けての移動経路を含んで回転部縦移動方向D7に延在しており、回転部121をスライド移動可能に保持している。回転部縦駆動部123bは、回転部121を、回転部縦移動レール123aに沿ってスライド移動させる。
【0053】
剥離部支持機構124は、左右一対の剥離部122それぞれを支持し、各剥離部122を支持する支持板124aを縦移動方向D8及び上下方向D9に移動させるとともに、支持板124a上で剥離部122を前後方向D10に移動させる機構である。ここにいう前後方向D10とは、剥離部122における剥離ピン122aを回転部121の缶蓋2に対して接離させる方向のことである。
【0054】
剥離部支持機構124は、支持板124aと、支持板移動機構124bと、剥離部前後機構124cと、上下動機構124dと、を備えている。上記の回転部121が受渡し位置P4から剥離位置P3へと移動する際には、移動を妨げないように、支持板移動機構124b、剥離部前後機構124c、及び上下動機構124dが左右一対の剥離部122を退避させている。即ち、この際には、支持板移動機構124bが剥離部122を縦移動方向D8に退避させ、剥離部前後機構124cが剥離部122を後方に退避させて、上下動機構124dが剥離部122を上方に退避させている。缶蓋2が載置された回転部121が剥離位置P3へと移動すると、上下動機構124dが剥離部122を降下させ、支持板移動機構124bが剥離部122を縦移動方向D8に缶蓋2に近づけるとともに、剥離部前後機構124cが剥離部122を前進させる。これにより、各剥離部122の剥離ピン122aの先端が、回転部121の周縁部22に押し当てられる。この状態で、缶蓋2が回転されつつ、各剥離ピン122aが回転されることで、周縁部22からシーリングコンパウンド23が剥離される。
【0055】
剥離ピンガイド125は、剥離部支持機構124の支持板124aに立設された柱状の部位である。この剥離ピンガイド125は、剥離ピン122aが貫通する貫通孔が設けられ、当該貫通孔を通して剥離ピン122aの先端を、回転部121の缶蓋2の周縁部22へと案内する。
【0056】
ここで、シーリングコンパウンド23の剥離後には、剥離ピン122aの先端に剥離後のシーリングコンパウンド23が付着している場合がある。本実施形態では、シーリングコンパウンド23の剥離後には、剥離部支持機構124の剥離部前後機構124cが、剥離ピン122aの先端を剥離ピンガイド125の貫通孔から出し入れするように剥離部122を前後移動させる。これにより、貫通孔の開口縁で剥離後のシーリングコンパウンド23が剥離ピン122aの先端から削ぎ落とされて除去される。
【0057】
以上に説明した除去部12によるシーリングコンパウンド23の剥離後には、剥離部支持機構124によって左右一対の剥離部122が、縦方向、後方、及び上方に退避され、回転部121が受渡し位置P4へと移動する。そして、この受渡し位置P4において、縦搬送部16の吸着部162によってシーリングコンパウンド23の剥離後の缶蓋2が回転部121から一時保持部17に搬送される。
【0058】
一時保持部17への搬送後に、縦搬送部16及び重量計測部11において、このシーリングコンパウンド23の剥離後の缶蓋2に対して、剥離前に実行された動作と同じ動作が繰り返されて、剥離後の缶蓋2の重量が計測される。即ち、まず、搬送アーム161によって重量計測部11の電子秤112へと缶蓋2が搬送される。電子秤112は、シーリングコンパウンド23の剥離後の缶蓋2の重量を計測して計測結果を制御部13に送る。重量計測が終了すると、搬送アーム161によって電子秤112から一時保持部17に搬送される。
【0059】
このようにして、シーリングコンパウンド23の剥離前及び剥離後の各段階での重量計測が終了すると、制御部13が、各段階の計測結果の差分を缶蓋2におけるシーリングコンパウンド23の塗布量として算出する。制御部13は、この算出された塗布量が、所定の許容量となっているか否かの判定を行う。
【0060】
ここでの判定結果を受けて、図2に示されている検査後横搬送部18が、制御部13による制御の下、検査後の缶蓋2を一時保持部17から排出ポケット19又はエラー品保持部20へと搬送する。即ち、制御部13は、算出した塗布量が許容量である場合には、缶蓋2を検査終了品として排出ポケット19へと検査後横搬送部18に搬送させる。塗布量が許容量ではない場合には、缶蓋2をエラー品としてエラー品保持部20へと検査後横搬送部18に搬送させる。
【0061】
図6は、図2に示されている検査後横搬送部及びエラー品保持部を、図中の矢印V2方向から見た側面図である。
【0062】
検査後横搬送部18は、吸着部181と、上下動機構182と、横移動レール183と、横駆動部184と、を備えている。
【0063】
吸着部181は、一時保持部17に載置された缶蓋2を、制御部13による制御を受けて吸着パッド181aで吸着するとともに、その吸着を、排出ポケット19又はエラー品保持部20の上方で解除する部位である。
【0064】
上下動機構182は、吸着部181を、缶蓋2を吸着可能な位置まで降下させるとともに横移動可能な位置まで上昇させる部位であり、レール係合部182aと、吸着部保持アーム182bと、アーム駆動部182cと、を備えている。レール係合部182aは、横移動レール183に横移動方向D11にスライド移動可能に係合しており、上下方向D12に垂下している。吸着部保持アーム182bは、レール係合部182aに固定されたアーム駆動部182cを介して上下方向D12にスライド移動可能に保持されており、レール係合部182aから更に垂下して先端に吸着部181が固定されている。アーム駆動部182cは、レール係合部182aに固定され、制御部13による制御を受けて吸着部保持アーム182bつまりは吸着部181を上下方向D12にスライド移動させる部位である。
【0065】
横移動レール183は、エラー品保持部20よりも側壁寄りの位置から一時保持部17の上方の位置まで横移動方向D11に延在する部位である。横移動レール183は、上述したように、上下動機構182のレール係合部182aを横移動方向D11にスライド移動可能に保持している。
【0066】
横駆動部184は、上下動機構182に保持された吸着部181を、一時保持部17の上方における缶蓋2の吸着位置から排出ポケット19又はエラー品保持部20へと横移動方向D11にスライド移動させる。
【0067】
検査後横搬送部18では、制御部13の制御の下、一時保持部17の缶蓋2を吸着部181が吸着し、その吸着部181が排出ポケット19又はエラー品保持部20の上方の位置までスライド移動して、その位置で吸着部181が吸着を解除する。
【0068】
ここで、本実施形態では、排出ポケット19が、一時保持部17からエラー品保持部20への搬送経路の途上、即ち、横移動レール183の中央直下の近傍位置に設けられている。制御部13で算出されたシーリングコンパウンド23の塗布量が許容量である場合には、吸着部181は、この排出ポケット19の上方に達した段階で吸着を解除する。これにより、塗布量が許容量である缶蓋2が検査終了品として排出ポケット19の中へと落下して排出される。
【0069】
他方、塗布量が許容量ではない場合には、吸着部181は、この排出ポケット19の上方を超えてエラー品保持部20の上方まで進んで吸着を解除する。これにより、塗布量が許容量ではない缶蓋2がエラー品としてエラー品保持部20まで搬送されて、このエラー品保持部20に載置されることとなる。作業者は、このようにして載置されたエラー品の缶蓋2を確認することで、その缶蓋2の抜取り元となった製造ロットを不良ロットとして認識することとなる。
【0070】
エラー品保持部20は、缶蓋載置台201と、縦移動レール202と、台駆動部203と、を備えている。
【0071】
缶蓋載置台201は、図2に示されているように、検査前保持部14の缶蓋載置台141における12箇所の載置ポケットと一対一に対応するように、A1~A3、B1~B3、C1~C3、D1~D3の識別番号が付与された載置ポケットを有している。缶蓋載置台201は、これらの載置ポケットに缶蓋2が重ね積みされる板状の台である。各載置ポケットには、缶蓋2が12枚まで重ね積み可能となっている。
【0072】
縦移動レール202は、図2に示されているように、缶蓋検査装置1の筐体1aに設けられ、エラー取出し側開閉扉1dで遮蔽/解放される、エラー品の缶蓋2を取り出すための取出し口1eの近傍から、縦移動方向D13に、筐体1aの奥側まで延在している。縦移動レール202は、取出し口1eの近傍の取出し位置P5と、図2及び図6に点線で示されたエラー品載置位置P6と、の間で縦移動方向D13にスライド移動可能に缶蓋載置台201を保持している。取出し位置P5は、作業者によるエラー品の缶蓋2の取出しが可能な位置であり、エラー品載置位置P6は、検査後横搬送部18によるエラー品の缶蓋2の載置が可能な位置である。
【0073】
台駆動部203は、制御部13による制御を受けて上記の取出し位置P5とエラー品載置位置P6との間で缶蓋載置台201をスライド移動させる部位である。
【0074】
ここで、上述したように、検査前保持部14においてA1~A3,・・・,D1~D3の4行の載置ポケットが1行ずつ順次に缶蓋有無センサ145の直上に来るように缶蓋載置台141が移動されつつ、検査前横搬送部15による缶蓋2の搬送が行われる。
【0075】
エラー品保持部20では、台駆動部203が、検査前保持部14における缶蓋載置台141の動きに合わせて缶蓋載置台201をスライド移動させる。即ち、検査前保持部14においてA1~A3の行の載置ポケットが缶蓋有無センサ145の直上に来ている場合には、缶蓋載置台201もA1~A3の行の載置ポケットが横移動レール183の近傍に位置して缶蓋2の載置が可能な位置に動かされる。その後、検査前保持部14において缶蓋載置台141が1行分ずらされる度に、エラー品保持部20でも缶蓋載置台201が1行分ずらされる。そして、エラー品の缶蓋2は、検査前保持部14の缶蓋載置台141においてその缶蓋2が保持されていた載置ポケットに、エラー品保持部20の缶蓋載置台201において一対一に対応した載置ポケットに載置される。このように、エラー品保持部20は、エラー品の缶蓋2を、検査前における当該缶蓋2の保持位置に対応した保持位置で保持するものとなっている。
【0076】
検査前保持部14にセットされていた全ての缶蓋2について、搬送と検査が終了し、排出ポケット19に搬送されるか、エラー品保持部20の缶蓋載置台201に載置されるかすると、缶蓋載置台201が取出し位置P5へと動かされる。作業者は、エラー取出し側開閉扉1dを開いて、取出し口1eからエラー品の缶蓋2を取り出すこととなる。
【0077】
以上に説明した缶蓋検査装置1で実行される一連の処理の流れについて、ここまでの説明と重複する部分もあるが、適宜に別図を用いて詳細に説明する。
【0078】
まず、作業者がセット側開閉扉1bを開いてセット口1cから検査前保持部14の缶蓋載置台141に、作業者が製造ロットから任意に抜き取った缶蓋2を検査対象としてセットすると、検査前横搬送部15による缶蓋2の搬送が行われる(ステップS1)。以下では、説明を簡単なものとするために、缶蓋載置台141におけるA1の載置ポケットにセットされた缶蓋2を例に挙げて、その缶蓋2に対する一連の処理の流れについて説明する。
【0079】
図7は、検査前保持部の缶蓋載置台におけるA1の載置ポケットにセットされた缶蓋が、検査前横搬送部によって搬送されるステップS1の動作を示す図である。
【0080】
作業者が缶蓋2のセット後にセット側開閉扉1bを閉じ、制御用のPCである制御部13から処理のスタート信号を出すと、一連の処理が制御部13の制御の下で実行される。まず、図7に示されているステップS1では、セット側開閉扉1b及びエラー取出し側開閉扉1dにロックが掛かり何れの扉も開閉不能となる。すると、検査前保持部14の台駆動部143が缶蓋載置台141を、A1~A3の行の載置ポケットが缶蓋有無センサ145の直上に来るピックアップ位置P2まで矢印D21方向に縦移動レール142に沿って移動させる。ここでの例では、A1の載置ポケットに缶蓋2がセットされているので、缶蓋有無センサ145がその存在を検出し、検査前横搬送部15による搬送がスタートする。
【0081】
検査前横搬送部15では、まず、横駆動部154が、上下動機構152を介して、吸着部151をA1の載置ポケットの缶蓋2の直上の位置まで、横移動レール153に沿って矢印D31方向に移動させる。続いて、上下動機構152が吸着部151を矢印D41方向に降下させる。このとき、吸着部151は、吸着パッド151aによる吸引を行いつつ降下する。そして、吸着パッド151aによる吸引力が作用する位置まで吸着部151が降下した段階で缶蓋2が吸着される。吸着部151には不図示の吸着センサが装備されており、上下動機構152は、この吸着センサで缶蓋2の吸着が検出されると吸着部151の降下を停止し、今度は横移動可能な位置まで吸着部151を矢印D42方向に上昇させる。この間に、検査前保持部14では、缶蓋有無センサ145による缶蓋2の存在チェックが行われ、A1~A3の行の載置ポケットの何れにも缶蓋2の存在が検出されなかった場合には、上述したように缶蓋載置台141が1行分ずらされる。
【0082】
吸着部151が横移動可能な位置まで上昇すると、横駆動部154が、上下動機構152を介して、吸着部151を一時保持部17の直上の位置まで、横移動レール153に沿って矢印D32方向に移動させる。続いて、上下動機構152が吸着部151を矢印D43方向に、缶蓋2が一時保持部17に達するまで降下させ、吸着部151が吸着パッド151aの吸着を解除する。これにより、缶蓋2が一時保持部17に載置される。吸着部151が吸着を解除したら、上下動機構152が吸着部151を矢印D44方向に横移動可能な位置まで上昇させる。そして、次の缶蓋2の搬送を行うべく、横駆動部154が、上下動機構152を介して、吸着部151を、次に搬送対象となる缶蓋2の直上の位置まで矢印D33方向に移動させる。
【0083】
ステップS1において、このようにして缶蓋2が一時保持部17に載置されると、今度は、縦搬送部16による缶蓋2の重量計測部11への搬送(ステップS2)と、その重量計測部11での重量計測(ステップS3)が行われる。
【0084】
図8は、縦搬送部によって缶蓋が重量計測部へと搬送されるステップS2の動作と、重量計測部で重量計測が行われるステップS3の動作を示す図である。
【0085】
ステップS2では、まず、缶蓋2の搬送に先立って、重量計測部11におけるカバー113が開けられる。続いて、縦搬送部16において、上下動機構163が矢印D61方向に搬送アーム161を降下させつつ、縦駆動部165が矢印D51方向に搬送アーム161を移動させる。これらの移動により、搬送アーム161の横棒部分161bにおける重量計測部11側の凹部161cが、一時保持部17上の缶蓋2における重量計測部11とは反対側の縁に押し当てられる。続いて、縦駆動部165は矢印D51方向に搬送アーム161を移動させ、重量計測部11の電子秤112の中央まで缶蓋2を押し込む。
【0086】
ステップS3では、重量計測に先立って、まず、縦搬送部16の縦駆動部165が矢印D52方向に搬送アーム161を重量計測部11外に退避させつつ、上下動機構163が矢印D62方向に搬送アーム161を所定位置まで上昇させる。その後、重量計測部11におけるカバー113が閉じられて、電子秤112が缶蓋2の重量を計測する。計測結果は、制御部13に送られる。
【0087】
このようにして重量計測が行われると、缶蓋2が、以下に説明するステップS4及びステップS5の動作によって重量計測部11から一時保持部17に戻される。
【0088】
図9は、重量計測済みの缶蓋が重量計測部から一時保持部に戻されるステップS4及びステップS5の動作を示す図である。
【0089】
ステップS4では、まず、重量計測部11におけるカバー113が開けられる。続いて、縦搬送部16において、上下動機構163が矢印D63方向に搬送アーム161を上昇させつつ、縦駆動部165が矢印D53方向に搬送アーム161を移動させる。これらの移動により、搬送アーム161の横棒部分161bにおける一時保持部17側の凹部161cが、電子秤112上の缶蓋2における一時保持部17とは反対側の位置に配置される。その後、上下動機構163が矢印D64方向に搬送アーム161を下降させつつ、縦駆動部165が矢印D54方向に搬送アーム161を移動させる。これらの移動により、横棒部分161bにおける一時保持部17側の凹部161cが、缶蓋2における一時保持部17とは反対側の縁に押し当てられる。
【0090】
ステップS5では、縦搬送部16の縦駆動部165が矢印D55方向に搬送アーム161を移動させ、一時保持部17における、矢印D55方向の端部近傍の、除去部12との受渡しが可能な位置まで缶蓋2を引き出す。缶蓋2が引き出された重量計測部11ではカバー113が閉じられる。
【0091】
このようにして缶蓋2が引き出されると、缶蓋2が、以下に説明するステップS6及びステップS7の動作によって一時保持部17から除去部12に引き渡される。
【0092】
図10は、缶蓋が一時保持部から除去部に引き渡されるステップS6及びステップS7の動作を示す図である。
【0093】
ステップS6では、縦搬送部16において、まず、上下動機構163が矢印D65方向に吸着部162を上昇させつつ、縦駆動部165が矢印D56方向に吸着部162を移動させる。これらの移動により、吸着部162における吸着パッド162aが、一時保持部17上の缶蓋2の上方の位置に配置される。続いて、上下動機構163が矢印D66方向に吸着部162を降下させる。このとき、吸着部162は、吸着パッド162aによる吸引を行いつつ降下する。そして、吸着パッド162aによる吸引力が作用する位置まで吸着部162が降下した段階で缶蓋2が吸着される。吸着部162には不図示の吸着センサが装備されており、上下動機構163は、この吸着センサで缶蓋2の吸着が検出されると吸着部162の降下を停止し、今度は縦移動可能な位置まで吸着部162を矢印D67方向に上昇させる。
【0094】
このステップS6の段階では、除去部12における回転部121は、図5にも示されている受渡し位置P4に配置されている。
【0095】
次のステップS7では、縦搬送部16の縦駆動部165が矢印D57方向に、缶蓋2を吸着した吸着部162を移動させる。この移動により、吸着部162が吸着した缶蓋2が、除去部12の回転部121における缶蓋回転台121bの上方まで搬送される。続いて、上下動機構163が矢印D68方向に、缶蓋2が缶蓋回転台121bに達するまで吸着部162を降下させる。缶蓋2が缶蓋回転台121bに達すると、上下動機構163が吸着部162の降下を停止するとともに吸着部162における吸着パッド162aが吸着を解除し、回転部121の缶蓋回転台121bにおける吸着パッド121b-1が吸着を開始する。このようにして缶蓋2が除去部12の回転部121に引き渡される。
【0096】
缶蓋2が回転部121に引き渡されると、回転部121が、以下に説明するステップS8及びステップS9の動作によって受渡し位置P4から剥離位置P3へと搬送される。
【0097】
図11は、缶蓋が引き渡された回転部が受渡し位置P4から剥離位置P3へと搬送されるステップS8及びステップS9の動作を示す図である。
【0098】
ステップS8では、まず、縦搬送部16における吸着部162が、回転部121の移動の妨げとならない位置まで受渡し位置P4の近傍から退避する。また、このステップS8の段階では、除去部12における左右一対の剥離部122も、回転部121の剥離位置P3への進入を妨げない位置まで退避している。
【0099】
ステップS9では、除去部12における回転部移動機構123が、回転部121を剥離位置P3へと矢印D71方向に移動させる。これにより、回転部121の缶蓋回転台121bが保持している缶蓋2が、左右一対の剥離部122の間に配置される。
【0100】
このようにして回転部121が剥離位置P3に搬送されて缶蓋2が左右一対の剥離部122の間に配置されると、除去部12において、以下に説明するステップS10の動作によってシーリングコンパウンド23の除去が行われる。
【0101】
図12は、除去部においてシーリングコンパウンドの除去が行われるステップS10の動作を示す図である。
【0102】
ステップS10では、まず、上下動機構124dが左右一対の剥離部122を支持板124aごと矢印D91方向に降下させ、支持板移動機構124bが左右一対の剥離部122を支持板124aごと矢印D81方向に移動させる。これにより、左右一対の剥離部122が、回転部121の缶蓋回転台121b上の缶蓋2に近づけられる。ただし、この段階では、まだ剥離ピン122aの先端は剥離ピンガイド125の貫通孔の内部に埋没しており缶蓋2には接触していない。
【0103】
次に、各剥離部122において、ピン回転モータ122bが剥離ピン122aを矢印D14方向に回転させるとともに、缶蓋回転モータ121cが回転伝達ベルト121dを介して缶蓋回転台121bを回転させることで缶蓋2を矢印D15方向に回転させる。そして、剥離部前後機構124cが、支持板124a上で剥離部122を矢印D101方向に移動させて、剥離ピン122aの先端を、図1に示されている缶蓋2の周縁部22、厳密には折り返された外縁部221の内側に接触させる。これにより、シーリングコンパウンド23が剥離される。そして、缶蓋2が所定回転する間に亘ってこのような剥離が続けられることで、缶蓋2からシーリングコンパウンド23が除去される。このとき、各剥離ピン122aの先端位置は微妙な位置となるため、制御部13の制御の下、支持板移動機構124b、剥離部前後機構124c、及び上下動機構124dが剥離ピン122aの先端の最適な位置決めを行う。
【0104】
シーリングコンパウンド23の除去が終了すると、缶蓋2の回転が停止されるとともに、左右一対の剥離部122で剥離ピン122aの回転が停止される。そして、剥離部前後機構124cが、剥離ピン122aの先端を剥離ピンガイド125の貫通孔から出し入れするように剥離部122を矢印D102方向に前後移動させる。
【0105】
シーリングコンパウンド23の除去が終了した段階では、剥離ピン122aの先端に、缶蓋2から除去したシーリングコンパウンド23が付着している可能性がある。剥離ピンガイド125の貫通孔は、剥離ピン122aの直径よりも0.05mm程度に大きな孔径で形成されている。剥離ピン122aの先端を貫通孔から出し入れさせることにより、この剥離ピン122aの先端に付着したシーリングコンパウンド23が貫通孔の開口縁で削ぎ落とされて除去される。
【0106】
このようにして缶蓋2からシーリングコンパウンド23が除去されると、回転部121が、以下に説明するステップS11及びステップS12の動作によって剥離位置P3から受渡し位置P4へと搬送される。
【0107】
図13は、シーリングコンパウンドの除去が終了した回転部が剥離位置P3から受渡し位置P4へと搬送されるステップS11及びステップS12の動作を示す図である。
【0108】
ステップS11では、まず、除去部12における左右一対の剥離部122が、回転部121の剥離位置P3からの搬出を妨げない位置まで次のように退避する。
【0109】
即ち、除去部12において、剥離部前後機構124cが剥離部122を矢印D103方向に後退させる。次に、支持板移動機構124bが支持板124aごと剥離部122を矢印D82方向に移動させるとともに、上下動機構124dが支持板124aごと剥離部122を矢印D92方向に移動させる。これにより、左右一対の剥離部122が、回転部121の缶蓋支持台121b上の缶蓋2から遠ざけられ、回転部121の縦移動が可能となる。また、このステップS11の段階では、縦搬送部16における吸着部162も、回転部121の移動の妨げとならない位置まで退避している。
【0110】
ステップS12では、除去部12における回転部移動機構123が、回転部121を剥離位置P3から受渡し位置P4へと矢印D72方向に移動させる。これにより、回転部121の缶蓋回転台121bが保持している缶蓋2が、縦搬送部16における吸着部162によって吸着可能な位置に配置される。
【0111】
このようにして回転部121が受渡し位置P4に搬送されて缶蓋2が吸着部162によって吸着可能な位置に配置されると、缶蓋2が、以下に説明するステップS13及びステップS14の動作によって除去部12の回転部121から一時保持部17に搬送される。
【0112】
図14は、缶蓋が除去部の回転部から一時保持部に搬送されるステップS13及びステップS14の動作を示す図である。
【0113】
ステップS13では、縦搬送部16において、まず、縦駆動部165が矢印D58方向に吸着部162を移動させる。この移動により、吸着部162における吸着パッド162aが、除去部12における回転部121の缶蓋回転台121b上の缶蓋2の上方の位置に配置される。続いて、上下動機構163が矢印D691方向に吸着部162を降下させる。このとき、吸着部162が吸着パッド162aによる吸引を行いつつ降下するとともに、缶蓋回転台121bの吸着パッド121b-1が吸着を解除する。そして、吸着パッド162aによる吸引力が作用する位置まで縦搬送部16の吸着部162が降下した段階で缶蓋2が吸着される。上下動機構163は、吸着部162の吸着センサで缶蓋2の吸着が検出されると吸着部162の降下を停止し、今度は縦移動可能な位置まで吸着部162を矢印D692方向に上昇させる。
【0114】
次のステップS14では、縦搬送部16の縦駆動部165が矢印D59方向に、缶蓋2を吸着した吸着部162を移動させる。この移動により、吸着部162が吸着した缶蓋2が一時保持部17の上方まで搬送される。続いて、上下動機構163が矢印D693方向に、缶蓋2が一時保持部17に達するまで吸着部162を降下させる。缶蓋2が一時保持部17に達すると、上下動機構163が吸着部162の降下を停止するとともに吸着パッド162aが吸着を解除する。その後、上下動機構163が矢印D694方向に、所定位置まで吸着部162を上昇させる。このようにして缶蓋2が一時保持部17まで搬送される。このときの一時保持部17の缶蓋2の位置は、この後に行われる重量計測に備えて、一時保持部17における重量計測部11側の端部近傍の位置となっている。
【0115】
缶蓋2が一時保持部17まで搬送されると、図8及び図9に示されているステップS2~ステップS5の動作が繰り返される。これにより、シーリングコンパウンド23の除去後の缶蓋2について重量計測が行われ、一時保持部17における除去部12側の端部近傍の位置へと戻される。
【0116】
ここでの重量計測の計測結果は制御部13に送られる。そして、制御部13が、各段階の計測結果の差分を缶蓋2におけるシーリングコンパウンド23の塗布量として算出する。制御部13は、この算出された塗布量が、所定の許容量となっているか否かの判定を行う。
【0117】
そして、一時保持部17上の缶蓋2が、以下に説明するステップS15の動作によって塗布量の判定結果に応じた位置へと搬送される。
【0118】
図15は、一時保持部上の缶蓋が塗布量の判定結果に応じた位置へと搬送されるステップS15の動作を示す図である。
【0119】
ステップS15における缶蓋2の搬送は、検査後横搬送部18によって行われる。このステップS15の段階では、エラー品保持部20の缶蓋載置台201は、台駆動部203によって縦移動レール202に沿ってスライド移動されて、検査後横搬送部18によるエラー品の缶蓋2の載置が可能なエラー品載置位置P6に配置されている。
【0120】
尚、ここでの例では、検査前保持部14の缶蓋載置台141におけるA1の載置ポケットの缶蓋2について塗布量の検査が行われている。この缶蓋2がエラー品である場合には、この缶蓋2は、エラー品保持部20の缶蓋載置台201において、検査前保持部14の缶蓋載置台141における保持位置と対応した保持位置に保持されることとなる。このため、ここでの例では、検査後横搬送部18がA1の載置ポケットに缶蓋2を載置可能なように、A1~A3の行の載置ポケットが横移動レール183の近傍に位置するエラー品載置位置P6にエラー品保持部20の缶蓋載置台201が配置されている。
【0121】
検査後横搬送部18では、まず、横駆動部184が、上下動機構182を介して、吸着部181を一時保持部17上の缶蓋2の直上の位置まで、横移動レール183に沿って矢印D111方向に移動させる。続いて、上下動機構182が吸着部181を矢印D121方向に降下させる。このとき、吸着部181は、吸着パッド181aによる吸引を行いつつ降下する。そして、吸着パッド181aによる吸引力が作用する位置まで吸着部181が降下した段階で缶蓋2が吸着される。吸着部181には不図示の吸着センサが装備されており、上下動機構182は、この吸着センサで缶蓋2の吸着が検出されると吸着部181の降下を停止し、今度は横移動可能な位置まで吸着部181を矢印D122方向に上昇させる。
【0122】
吸着部181が横移動可能な位置まで上昇すると、横駆動部184が、上下動機構182を介して横移動レール183に沿って吸着部122を移動させる。
【0123】
このとき、制御部13によって、シーリングコンパウンド23の塗布量が許容量であると判定された場合には、横駆動部184は、吸着部181を矢印D112方向に排出ポケット19の上方の位置まで搬送する。この場合には、この排出ポケット19の上方の位置で吸着パッド181aが吸着を解除する。これにより、塗布量が許容量である缶蓋2が検査終了品として排出ポケット19の中へと落下して排出される。
【0124】
他方、塗布量が許容量ではないと判定された場合には、横駆動部184は、吸着部181を矢印D113方向に、エラー品保持部20の缶蓋載置台201におけるA1の載置ポケットの上方の位置まで搬送する。この位置において、上下動機構182が吸着部181を矢印D123方向に、缶蓋2が載置ポケットに達するまで降下させ、吸着部181が吸着パッド181aの吸着を解除する。これにより、塗布量が許容量ではない缶蓋2がエラー品として、エラー品保持部20の缶蓋載置台201における、検査前保持部14の缶蓋載置台141での保持位置に対応したA1の載置ポケットまで搬送されて載置されることとなる。
【0125】
吸着部181が吸着を解除したら、上下動機構182が吸着部181を矢印D124方向に横移動可能な位置まで上昇させる。そして、次の缶蓋2の搬送を行うべく、横駆動部184が、上下動機構182を介して、吸着部181を所定位置まで矢印D114方向に移動させる。
【0126】
以上に説明したステップS1~ステップS15の動作により、検査前保持部14の缶蓋載置台141のA1の載置ポケットの缶蓋2についてシーリングコンパウンド23の塗布量の検査が終了する。検査前保持部14の缶蓋載置台141に未検査の缶蓋2が存在する場合には、ステップS1~ステップS15の動作と同様の動作による検査が繰り返される。
【0127】
そして、検査前保持部14の缶蓋載置台141上の缶蓋2が全て無くなり、最後の缶蓋2の検査が終了して排出ポケット19に落とされるか、エラー品保持部20の缶蓋載置台201に載置されるかすると次のような動作が実行される。即ち、この段階に至って、エラー品保持部20の缶蓋載置台201が、台駆動部203によって、缶蓋検査装置1の取出し口1eの近傍の取出し位置P5へと矢印D131方向に移動される。缶蓋載置台201が取出し位置P5に到着すると、それまでロックされていたセット側開閉扉1b及びエラー取出し側開閉扉1dのロックが解除される。これにより、作業者による、セット口1cからの新たな検査対象の缶蓋2のセットや、取出し口1eからのエラー品の缶蓋2の取出しが可能となる。作業者は、取り出したエラー品の缶蓋2の抜取り元となった製造ロットを不良ロットとして認識することとなる。
【0128】
以上に説明した実施形態の缶蓋検査装置1によれば、一連の内部動作によって、シーリングコンパウンド23の除去の前後における缶蓋2の重量が計測され、その計測結果の差分がシーリングコンパウンド23の塗布量として算出される。このため、抜取り検査において作業者に求められる作業が非常に容易なものとなっている。後は、算出された塗布量が所定の許容量であるか否かが制御部13で自動評価されることとなるが、まず、評価根拠となる塗布量が缶蓋検査装置1で求められるため人為的な検査ミスの発生が抑えられる。このように、本実施形態の缶蓋検査装置1によれば、缶蓋2におけるシーリングコンパウンド23の塗布量について、作業が容易で検査ミスの発生を抑えて抜取り検査を行うことができる。
【0129】
ここで、本実施形態の缶蓋検査装置1では、検査前の缶蓋2を保持する検査前保持部14から重量計測部11へと搬送する第1搬送部が、検査前横搬送部15と縦搬送部16によって構成されている。また、重量計測部11と除去部12との間で缶蓋2を搬送する第2搬送部が縦搬送部16によって構成されている。制御部13は、これらの搬送部を制御して検査対象の缶蓋2を各所に搬送させることとなっている。即ち、制御部13は、シーリングコンパウンド23の除去前の缶蓋2を、検査前保持部14から重量計測部11へと第1搬送部に搬送させる。重量計測後には、重量計測部14から除去部12へと第2搬送部に缶蓋2を搬送させ、シーリングコンパウンド23の除去後には除去部12から重量計測部14へと第2搬送部に缶蓋2を搬送させる。
【0130】
本実施形態によれば、検査前保持部14から重量計測部11への缶蓋2の搬送や、重量計測部11と除去部12との間における缶蓋2の搬送が、制御部13の制御の下で自動的に行なわれる。これにより、作業の一層の容易化及び検査ミス発生の一層の抑制を図ることができる。
【0131】
また、本実施形態では、検査前保持部14と重量計測部11とを結ぶ搬送経路上、且つ、重量計測部11と除去部12とを結ぶ搬送経路上、に缶蓋2を一時的に保持する検査前一時保持部としての一時保持部17が設けられている。そして、上記の第1搬送部及び第2搬送部による缶蓋2の搬送は、この一時保持部17を介して行われる。
【0132】
本実施形態によれば、缶蓋2の搬送を上記の一時保持部17を介して行うようにしたことで搬送経路の自由度が高められており、これにより、缶蓋検査装置1の装置内における各搬送部の構成の最適化を図ることができる。
【0133】
また、本実施形態では、シーリングコンパウンド23の除去後、且つ、重量計測後となる検査後の缶蓋2を重量計測部11から搬送する第3搬送部が、縦搬送部16と検査後横搬送部18とによって構成されている。制御部13は、算出した塗布量が許容量となった缶蓋2を検査終了品として排出位置としての排出ポケット19へと第3搬送部に搬送させ、塗布量が許容量ではない缶蓋2をエラー品としてエラー品保持部20へと第3搬送部に搬送させる。
【0134】
本実施形態によれば、算出された塗布量についての評価も缶蓋検査装置1において実行され、検査後の缶蓋2は、排出ポケット19及びエラー品保持部20のうち、評価結果に応じた搬送先に搬送される。これにより、作業の一層の容易化及び検査ミス発生の一層の抑制を図ることができる。
【0135】
また、本実施形態では、排出位置としての排出ポケット19が、重量計測部11からエラー品保持部20への搬送経路の途上に設けられている。
【0136】
本実施形態によれば、検査後の缶蓋2の搬送経路が一本化されているので、装置構成を簡素化することができる。
【0137】
また、本実施形態では、エラー品保持部20が、エラー品の缶蓋2を、検査前における当該缶蓋2の保持位置に対応した保持位置で保持する。
【0138】
上記のエラー品保持部20で保持される缶蓋2は、塗布量が許容量ではないエラー品であるために製造品質の管理上、個々に識別する必要性が高い。本実施形態によれば、エラー品保持部20において、エラー品の缶蓋2が、検査前の保持位置に対応した保持位置で保持される。つまり、検査の前後で缶蓋2の保持位置が互いに対応付けられているので、エラー品保持部20に保持された缶蓋2の識別が容易であり、また、識別ミスの発生も抑えることができる。
【0139】
また、本実施形態では、重量計測部11と排出ポケット19とを結ぶ搬送経路上、且つ、重量計測部11とエラー品保持部20とを結ぶ搬送経路上、に配置される検査後一時保持部として、上述した検査前一時保持部を兼ねた一時保持部17が設けられている。上記の第3搬送部は、この検査後一時保持部を介して缶蓋2を搬送する。
【0140】
本実施形態によれば、検査後の缶蓋2の搬送についても一時保持部17を介して行うようにしたことで搬送経路の自由度が高められており、これにより、検査後の搬送部の構成についても最適化を図ることができる。
【0141】
また、本実施形態では、除去部12が、円形の缶蓋2を保持して回転させる回転部121と、剥離ピン122aを回転させつつその先端を缶蓋2の周縁部22に押し当てることで、シーリングコンパウンド23を剥離する剥離部122を備えている。
【0142】
本実施形態によれば、缶蓋2を回転させつつ、回転中の剥離ピン122aの先端を押し当てることで、良好にシーリングコンパウンド23を剥離することができる。
【0143】
また、本実施形態では、除去部12が、互いに異なる左右2方向から剥離ピン122aを押し当てる一対の剥離部122を備えている。
【0144】
本実施形態によれば、左右一対の剥離部122で左右2方向から剥離ピン122aを押し当てることで、効率良くシーリングコンパウンド23を剥離することができる。
【0145】
また、本実施形態では、除去部12が、回転部121を、剥離位置P3と、当該剥離位置P3から離れた位置で缶蓋2の受渡しが行われる受渡し位置P4と、の間で移動させる回転部移動機構123を備えている。
【0146】
本実施形態によれば、回転部121に対する缶蓋2の受渡しが剥離位置P3から離れた受渡し位置P4で行われ、剥離部122が受渡しの障害となることがないので、缶蓋2の受渡しを容易に行なうことができる。
【0147】
また、本実施形態では、除去部12が、剥離ピン122aが貫通する貫通孔を通して剥離ピン122aの先端を缶蓋2の周縁部22へと案内する剥離ピンガイド125を備えている。さらに、除去部12には、剥離部122を前後に移動させる剥離部前後機構124cが設けられている。
【0148】
本実施形態では、この剥離部前後機構124cが、シーリングコンパウンド23の剥離後に、剥離ピン122aの先端を上記の貫通孔から出し入れするように剥離部122を前後移動させる。剥離部前後機構124cは、この前後移動によって剥離ピン122aの先端から剥離後のシーリングコンパウンド23を除去する役割を担っている。
【0149】
本実施形態によれば、剥離ピン122aの先端に付着した剥離後のシーリングコンパウンド23を、剥離ピン122aの先端を剥離ピンガイド125の貫通孔から出し入れすることで良好に除去することができる。
【0150】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の缶蓋検査装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0151】
例えば、上述した実施形態では、検査前保持部の一例として、缶蓋載置台141において各々12枚の缶蓋2を載置可能なA1~A3,・・・,D1~D3の12箇所の載置ポケットを有する検査前保持部14が例示されている。しかしながら、検査前保持部は、これに限るものではなく、載置ポケットに載置可能な缶蓋の数や、載置ポケット自体の数については各々任意の数に設定し得るものである。
【0152】
また、上述した実施形態では、除去部の一例として、左右一対の剥離ピン122aでシーリングコンパウンド23を除去する除去部12が例示されている。しかしながら、除去部は、これに限るものではなく、シーリングコンパウンド23の除去に用いる剥離ピンの数や配置についても任意に設定し得るものである。
【符号の説明】
【0153】
1 缶蓋検査装置
1a,111 筐体
1b セット側開閉扉
1c セット口
1d エラー取出し側開閉扉
1e 取出し口
2 缶蓋
11 重量計測部
12 除去部
12a 回転軸
13 制御部
14 検査前保持部
15 検査前横搬送部
16 縦搬送部
17 一時保持部
18 検査後横搬送部
19 排出ポケット
20 エラー品保持部
21 中央部
22 周縁部
23 シーリングコンパウンド
112 電子秤
113 カバー
114 カバー駆動部
121 回転部
121a ベース板
121b 缶蓋回転台
121b-1,151a,162a,181a 吸着パッド
121c 缶蓋回転モータ
121d 回転伝達ベルト
122 剥離部
122a 剥離ピン
122b ピン回転モータ
123 回転部移動機構
123a 回転部縦移動レール
123b 回転部縦駆動部
124 剥離部支持機構
124a 支持板
124b 支持板移動機構
124c 剥離部前後機構
124d,152,163,182 上下動機構
141,201 缶蓋載置台
142,202 縦移動レール
143,203 台駆動部
144 ガイドピン
145 缶蓋有無センサ
151,162,181 吸着部
152a,163a,182a レール係合部
152b,163b,182b 吸着部保持アーム
152c,163c,182c アーム駆動部
153,183 横移動レール
154,184 横駆動部
161 搬送アーム
161a 縦棒部分
161b 横棒部分
161c 凹部
164 縦移動レール
165 縦駆動部
221 外縁部
D1 カバー開閉方向
D2,D5,D8,D13 縦移動方向
D3,D11 横移動方向
D4,D6,D9 上下方向
D7 回転部縦移動方向
D10 前後方向
P1 セット位置
P2 ピックアップ位置
P3 剥離位置
P4 受渡し位置
P5 取出し位置
P6 エラー品載置位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15